ところが、特許文献1の上記発光ダイオード点灯装置においては、直流電源4が全波整流回路からなるので、整流された交流半波電圧の瞬時値がLED回路8の動作電圧より低くなる期間の降圧チョッパの動作が不安定になり、この期間負荷電流が供給されなくなるから、LED回路8の発光にちらつきが生じやすくなる。
そこで、直流電源4の直流出力端に平滑コンデンサを接続することが考えられるが、この場合平滑コンデンサの急激な充電電流が流れるために、入力電流の高調波が増加してしまうので、高調波を所用程度まで低減させる必要がある。しかし、日本においては、25W以下の発光ダイオード点灯装置に対する高調波規格は存在していない。日本においては、有効入力電力が25W以下の放電灯照明機器に対してのみ高調波規格JIS C61000-3-2 Class Cがある。この規格は、有効入力電力が25W以下の放電灯照明機器においては、入力電流の位相、第3次および第5次の高調波成分比率をそれぞれ所要の程度まで改善することを規定している。
本発明は、入力電流の高調波による不具合を生じにくくするとともに回路が安定に動作して明るさのちらつきが発生しない発光ダイオード点灯装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の発光ダイオード点灯装置は、100Vの交流電圧を整流する整流回路および整流回路の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサを備えた直流電源と、直流電源に接続する入力端、負荷を接続する出力端および出力端間に接続した出力コンデンサを備えた降圧チョッパと、降圧チョッパの出力端に負荷として接続して点灯する発光ダイオードとを具備し;発光ダイオードの総電力を25W以下にするとともに、直流電源の平滑コンデンサの静電容量を20μF以下となるように低く設定することで整流電圧がリップルを適度に含むように平滑化して入力電流波形の5次高調波比率を60%以下にし、平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の全期間にわたり降圧チョッパの出力電圧より高くなるように平滑コンデンサの静電容量を設定し、かつ出力コンデンサの電圧を35〜48Vに設定したことを特徴としている。
上記において、直流電源は、整流回路および平滑コンデンサを備えている。そして、整流回路が交流電源、例えば商用交流電源の交流電圧を整流して直流を得る。なお、交流電圧は100Vに限定されない。平滑コンデンサは、後述するように設定された静電容量であり、整流により得られた直流電圧を適度のリップルを含むように平滑化することで5次高調波比率を所定値以下とするとともに、平滑コンデンサの電圧を降圧チョッパの出力コンデンサの電圧に対して後述するように所定の関係にして発光ダイオードを点灯するための電力を直流の態様で後述する降圧チョッパに供給する。
降圧チョッパは、直流電源に接続する入力端、負荷を接続する出力端および出力端間に接続した出力コンデンサを備えていて、入力直流電圧より低圧の直流電圧を出力する周知のチョッパ回路である。
すなわち、直流電源の1極と一方の出力端子との間にスイッチング素子およびインダクタの直列回路を接続し、スイッチング素子とインダクタの接続点と直流電源の1極および他方の出力端子との間にダイオードを、スイッチング素子がOFF期間中にインダクタから流出する電流に対して順方向に接続してなる。また、出力端子間には出力コンデンサが接続され、主としてスイッチングに伴って発生する高周波を負荷の発光ダイオードに流さないようにバイパスする。そして、上記スイッチング素子のスイッチングを自励形または他励形の駆動回路などの制御回路を用いて制御する。
そうして、降圧チョッパは、スイッチング素子のオン時間をTON、オフ時間をTOFF、直流電源電圧をVIN、出力電圧をVOUTとすれば、出力電圧がVOUT=VIN・TON/(TON+TOFF)となり、入力電圧より低くなる関係があることで知られている。
発光ダイオードは、降圧チョッパの出力端に負荷として接続し、降圧チョッパの出力電流により付勢されて点灯する。降圧チョッパの出力端に接続される発光ダイオードは、その複数が直列接続した直列回路でもよいし、単独でもよい。また、これらの複数が均一化分流回路などを介して並列接続して負荷回路を構成していてもよい。
また、発光ダイオードは、その発光特性およびパッケージ態様なども特段限定されないので、既知の各種発光特性、パッケージ態様および定格などを適宜選択して用いることができる。
本発明において、入力電流波形の5次高調波比率が60%以下で、かつ平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサの電圧より高い状態を実現するために、直流電源の平滑コンデンサが有する静電容量を以下のように設定する。
すなわち、平滑コンデンサの静電容量は、第1の条件として入力電流波形の5次高調波比率が60%以下になるよう設定される。この条件を満足することにより、入力電流の第5次の高調波比率が60%以下になるように平滑コンデンサの静電容量を設定すると、第3次高調波成分比率および入力電流のピーク位相の影響も抑制することができることを見出したため、本発明のように構成することがよい。負荷は25W以下である。さらにまた、このように構成すると、発光ダイオード点灯装置ではあるが、日本の25W以下の放電灯照明機器に対する高調波規格も満足する。この高調波規格について具体的に説明すれば、入力電流波形の5次高調波比率が61%以下、第3次高調波比率が86%以下であることおよび入力電流のピーク位相が65°以下であることの条件が規定されていて、これらについても満足しなければならない。しかし、平滑コンデンサの静電容量が第5次高調波の条件を満足する許容最大値以下であれば、第3次高調波比率および入力電流のピーク位相の条件をも満足することを後述する図2により見出したので、第5次好調以外の上記項目の規格値は問題にならない。
また、平滑コンデンサの静電容量は、上述の第1の条件を満足し、かつ第2の条件として平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサの電圧より高くなるように設定される。第2の条件を満足することにより、交流電圧周期の全期間において降圧チョッパを連続的に安定に動作させることができる。これに対して、第1の条件を満足するために、平滑コンデンサの静電容量を小さくしただけでは、後述するように整流電圧に含まれるリップルが多くなり、平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の一部の期間で降圧チョッパの出力コンデンサの電圧より低くなると、降圧チョッパは、平滑コンデンサの電圧が出力コンデンサの電圧より低い期間で安定な動作が得られないので、間欠的な動作となり、その結果発光ダイオードの明るさにちらつきを生じやすくなる。
なお、上記の構成は、平滑コンデンサが寿命(例えば静電容量が定格値の80%に低下したとき)に至るまでの期間中、上述の第1および第2の条件が維持されるように構成することが好ましい。
前述の第1の条件を満足するために、平滑コンデンサの静電容量を小さくすると、その結果整流電圧に含まれるリップルが多くなり、平滑コンデンサの電圧が交流周期の一部の期間で降圧チョッパの出力コンデンサの電圧より低くなりやすくなる。この問題については、降圧チョッパの出力電圧を低く設定して出力コンデンサの電圧が低くなるように構成することによっても、第2の条件である交流電圧周期の全期間にわたり平滑コンデンサの電圧が出力コンデンサの電圧より高くすることが可能になる。
出力コンデンサの電圧を交流電圧の1/2以下に設定すれば、交流電圧周期の全期間にわたり平滑コンデンサの電圧が出力コンデンサの電圧より高くすることが容易になる。しかし、平滑コンデンサの電圧に対する出力コンデンサの電圧の比率が小さくなるにしたがって回路効率が低下する傾向があるので、なるべくは上記比率が低くなりすぎないように設定するのが好ましい。回路効率を比較的高くするには、例えば交流電圧が100Vの場合、出力コンデンサの電圧が35〜48Vになるように負荷として出力端に接続する発光ダイオードの直列数を設定するのがよい。この電圧範囲内であれば、回路効率が89%以上になるとともに、平滑コンデンサなどの部品ばらつきがあっても、実用的な25W以下で高調波による不具合を抑制し、または高調波規格を満足し、かつ降圧チョッパが交流周期の全期間にわたり安定に動作して明るさのちらつきが生じないとともに、高い回路効率が得られて実用性が高くなる。
なお、交流電源電圧が100Vを超える高い場合において、出力コンデンサの電圧を例えば上述のような低い範囲に維持するために、降圧チョッパの電圧降下率を相対的に高く設定した態様を採用することも許容される。この態様においては回路力率が多少低下するものの、後述する本発明の効果が得られる。
本発明は、直流電源の平滑コンデンサの静電容量を低く設定して降圧チョッパの入力電流波形の5次高調波比率が60%以下にし、かつ平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の全期間にわたり降圧チョッパの出力電圧より高くなるように平滑コンデンサの静電容量を設定したことにより、静電容量を低く設定したときに整流電圧に含まれるリップルが多くなって交流電圧周期の一部の期間で平滑コンデンサの電圧が降圧チョッパの出力コンデンサの電圧より低くなり、その期間には安定な動作が得られないので、降圧チョッパが間欠的な動作となり、その結果発光ダイオードの明るさがちらつきを生じることがなくなり、入力電流の高調波が低減するとともに、降圧チョッパが交流周期の全期間にわたり安定に動作して明るさのちらつきが生じない発光ダイオード点灯装置を提供できる効果を奏する。
また、交流電圧が100Vの場合、出力コンデンサの電圧を交流電圧の1/2以下に設定しても比較的高い回路効率を得ることが容易になる。
さらに、平滑コンデンサの静電容量は、平滑コンデンサが寿命に至るまで入力電流波形の5次高調波比率が60%以下で、かつ平滑コンデンサの電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサの電圧より高くなるように設定されていることにより、平滑コンデンサの寿命期間を通じて上記本発明の効果を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示す第1の実施形態において、発光ダイオード点灯装置は、直流電源DC、降圧チョッパSDC、発光ダイオードLED、自励形駆動信号発生回路DSGおよびターンオフ回路TOFを具備している。なお、自励形駆動信号発生回路DSGおよびターンオフ回路TOFで自励形駆動回路を構成している。以上の各構成要素に加えて、起動回路STが付設されている。
直流電源DCは、入力端が例えば定格電圧100Vの商用交流電源などの交流電源ACに接続する全波整流回路DBおよび平滑コンデンサC1を備えている。平滑コンデンサC1は、全波整流回路DBの出力端間に接続して全波整流回路DBの直流出力を適度のリップルを含んだ平滑化電圧を形成する。また、全波整流回路DBの入力端間に接続しているのは雑音防止用コンデンサC2である。
降圧チョッパSDCは、直流電源DCに接続した入力端t1、t2、負荷を接続する出力端t3、t4、スイッチング素子Q1、インピーダンス手段Z1および第1のインダクタL1を直列に含み、入力端t1および出力端t3の間に接続した第1の回路A、ならびに第1のインダクタL1およびダイオードD1を直列に含み出力端t3、t4間に接続した第2の回路Bを備えて自励駆動形の降圧チョッパとして構成されている。また、出力端t3、t4間には出力コンデンサC3が接続している。
本形態において、降圧チョッパSDCのスイッチング素子Q1はFET(電界効果トランジスタ)からなり、そのドレイン、ソースが第1の回路Aに接続される。そして、第1の回路Aが出力コンデンサC3および/または後述する負荷回路LCを介して第1のインダクタL1の充電回路を形成し、第2の回路Bが第1のインダクタL1およびダイオードD1が出力コンデンサC3および/または後述する負荷回路LCを介して第1のインダクタL1の放電回路を形成している。なお、本形態において、インピーダンス手段Z1は、抵抗器からなるが、所望により適度の抵抗成分を有するインダクタまたはコンデンサなどを用いることができる。
発光ダイオードLEDは、その所望数が直列接続して負荷回路LCを形成し、降圧チョッパSDCの出力端t3、t4間に出力コンデンサC3に並列接続することで、付勢されて点灯する。
自励形駆動回路のうち、自励形駆動信号発生回路DSGは、降圧チョッパSDCの第1のインダクタL1に磁気結合した第2のインダクタL2を備えている。そして、第2のインダクタL2に誘起した電圧をスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)とドレインの間に駆動信号として印加して、そのスイッチング素子Q1をオン状態に維持する。なお、第2のインダクタL2の他端は、インピーダンス手段Z1を介してスイッチング素子Q1のソースに接続している。
本形態において、自励形駆動信号発生回路DSGには、上記構成に加えてコンデンサC4と抵抗器R1の直列回路が第2のインダクタL2の一端とスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)との間に直列に介在している。また、自励形駆動信号発生回路DSGの出力端間にツェナーダイオードZD1が接続して、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)とドレインの間に過電圧が印加されてスイッチング素子Q1が破壊されないよう過電圧保護回路を形成している。
ターンオフ回路TOFは、コンパレータCP1、スイッチ素子Q2、第1および第2の制御回路電源ES1、ES2を備えている。そして、コンパレータCP1の端子P1は、その内部の基準電圧回路の基底電位側から導出されてインピーダンス手段Z1と第1のインダクタL1の接続点に接続する。また、上記基準電圧回路は、コンパレータCP1内に付設されていて、後述する第2の制御回路電源ES2から端子P4で電源の供給を受けて基準電圧を生成し、コンパレータCP1内部の演算増幅器の非反転入力端子に基準電圧を印加する。同様に端子P2は、コンパレータCP1の入力端子であり、第1のスイッチング素子Q1とインピーダンス手段Z1の接続点に接続して演算増幅器の反転入力端子に入力電圧を印加する。また、端子P3は、コンパレータCP1の出力端子であり、後述する第2のスイッチング素子Q2のベースに接続して出力電圧を第2のスイッチング素子Q2に印加する。さらに、端子P5は、後述する第1の制御回路電源ES1に接続して、コンパレータCP1に制御電源を供給する。
スイッチ素子Q2は、トランジスタからなり、そのコレクタが第1のスイッチング素子Q1の制御端子に接続し、エミッタがインピーダンス素子Z1および第1のインダクタL1の接続点に接続している。したがって、スイッチ素子Q2がオンすることによって、自励形駆動信号発生回路DSGの出力端を短絡する。そうして、スイッチング素子Q1はターンオフする。なお、スイッチ素子Q2のベース・エミッタ間に抵抗器R2が接続している。
第1の制御回路電源ES1は、第2のインダクタL2の両端にダイオードD2およびコンデンサC5の直列回路を接続して構成されており、第1のインダクタL1が充電されるときに第2のインダクタL2に発生する誘起電圧でダイオードD2を経由してコンデンサC5が充電され、ダイオードD2およびコンデンサC5の接続点からプラスの電位を出力してコンパレータCP1の出力端子に制御電圧を印加するように構成されている。
第2の制御回路電源ES2は、第1のインダクタL1に磁気結合する第3のインダクタL3の両端にダイオードD3およびコンデンサC6の直列回路を接続して構成されており、第1のインダクタL1が放電するときに第3のインダクタL3に発生する誘起電圧でダイオードD3を経由してコンデンサC6が充電され、ダイオードD3およびコンデンサC6の接続点からプラスの電圧を出力して基準電圧回路に制御電圧を印加して基準電圧を生成するように構成されている。
起動回路STは、第1のスイッチング素子Q1のドレイン・ゲート間に接続した抵抗器R3と前記自励形駆動信号発生回路DSGの抵抗器R1およびコンデンサC4に並列接続する抵抗器R10との直列回路、第2のインダクタL2、ならびに前記降圧チョッパSDCの第2の回路Bの出力コンデンサC3および/または負荷回路LCの発光ダイオードLEDからなる直列回路により構成され、直流電源DCの投入時に主として抵抗器R3とR10の抵抗値比で決まるプラスの起動電圧が第1のスイッチング素子Q1のゲートに印加されて降圧チョッパSDCが起動する。
次に、回路動作について説明する。
直流電源DCは、その平滑コンデンサC1の静電容量が前述のように比較的低い値に設定されているから、入力電流波形の5次高調波比率が60%以下となり、その結果入力電流の高調波が日本の25W以下の放電灯照明機器に対する高調波規格(JIS C61000-3-2 Class C)をも満足する。
直流電源DCが投入され、起動回路STにより降圧チョッパSDCが起動すると、スイッチング素子Q1がオンして、直流電源DCから第1の回路A内を出力コンデンサC3または/および負荷回路LCの発光ダイオードLEDを経由して直線的に増加する増加電流が流れ出す。この増加電流により、自励形駆動信号発生回路DSGの第2のインダクタL2にはコンデンサC4側がプラスとなる電圧が誘起され、この誘起電圧がコンデンサC4および抵抗器R1を経由してスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)にプラスの電圧を印加するので、スイッチング素子Q1はオン状態に維持され増加電流が流れ続ける。これと同時に、増加電流によりインピーダンス手段Z1に電圧降下が生じ、その降下電圧がターンオフ回路TOFのコンパレータCP1の端子P2に入力電圧として印加される。
上記増加電流の増大に伴いコンパレータCP1の入力電圧が増加して基準電圧を超えると、コンパレータCP1が動作して、端子P3にプラスの出力電圧が発生する。その結果、ターンオフ回路TOFのスイッチ素子Q2がオンして自励形駆動信号発生回路DSGの出力端を短絡するので、降圧チョッパSDCのスイッチング素子Q1がオフし、上記増加電流が遮断される。
スイッチング素子Q1がオフすると、第1のインダクタL1に上記増加電流が流れることによってそこに蓄積されていた電磁エネルギーが放出されて、第1のインダクタL1およびダイオードD1を含む第2の回路Bの内部を出力コンデンサC3または/および負荷回路LCの発光ダイオードLEDを経由して減少電流が流れ出す。この減少電流により、自励形駆動信号発生回路DSGの第2のインダクタL2にはコンデンサC4側がマイナスとなる電圧が誘起され、この誘起電圧がツェナーダイオードZD1を経由してコンデンサC4にマイナスの電位を印加するとともに、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)にゼロ電位が印加されるので、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持され減少電流が流れ続ける。
第1のインダクタL1内に蓄積されていた電磁エネルギーの放出が終了して減少電流が0になると、第1のインダクタL1に逆起電力が発生して、第2のインダクタL2に誘起される電圧が逆転し、コンデンサC4側が再びプラスに転じるので、この誘起電圧がコンデンサC4および抵抗器R1を経由してスイッチング素子Q1のゲートにプラスの電圧を印加すると、スイッチング素子Q1は再びオン状態に反転して、再び増加電流が流れ出す。
以後、以上と同様の回路動作が繰り返されて、増加電流および減少電流が合成されて三角波形の負荷電流が流れることにより、負荷回路LCの発光ダイオードLEDは点灯する。
以上の回路動作において、平滑コンデンサC1の電圧が交流電圧周期の全期間において出力コンデンサC3の電圧より高くなるので、降圧チョッパSDCが連続的に安定動作するので、発光ダイオードLEDに明るさのちらつきが生じない。また、出力コンデンサC3の電圧すなわち負荷電圧を、35〜48Vの範囲内に設定することができる。この範囲内であれば、回路効率が89%以上の高効率となる。
したがって、本発明は、100V以上の交流電源に接続して用いる白熱電球に置換可能なLED電球などの比較的小形の発光ダイオード点灯装置に好適である。
なお、ターンオフ回路TOFの動作は、コンパレータCP1およびスイッチ素子Q2の2段階動作により遂行され、コンパレータCP1は、入力電圧が0.3V以下でも安定かつ正確に動作する。このため、インピーダンス手段Z1の抵抗値を小さくすることができるから、従来技術における入力電圧が0.5Vであるとしても、本発明によれば、従来技術におけるのよりインピーダンス手段Z1の電力損失が40%以上低減させることができる。
また、ターンオフ回路TOFの温度特性は、コンパレータCP1側で決まり、コンパレータCP1に対して所望の良好な温度特性を付与することができるので、従来のようにスイッチ素子Q2の温度特性に起因する問題はなくなる。なお、コンパレータCP1の温度特性は、例えば基準電圧回路に用いるツェナーダイオードとして、その温度特性が若干負特性ないしフラットな特性を有するものを選択することが容易であるから、このような特性をコンパレータCP1の温度特性として寄与させることができる。これにより、温度特性が良好な発光ダイオード点灯装置を得ることができる。
さらに、ターンオフ回路TOFにコンパレータCP1を配設することにより、スイッチ素子Q2を安定に、かつ正確に動作させることができるので、発光ダイオード点灯装置の出力のばらつきが低減する。
次に、本発明の第1の実施形態における平滑コンデンサC1の好適な静電容量の設定の仕方について図2ないし図4を参照して説明する。すなわち、既述の高調波歪が25W以下の高調波規格を満足するとともに、回路が安定に動作して明るさのちらつきが生じない実用的な発光ダイオード点灯装置を得るための平滑コンデンサC1の好適な静電容量の設定の仕方を説明する。
図2は、直流電源の平滑コンデンサの容量と入力電流ピークの位相および高調波成分の関係を示すグラフであり、横軸は平滑コンデンサC1の容量Cin[μF]を、縦軸は左側が入力電流ピークの位相θ、右側が高調波成分を示す高調波[%]を、それぞれ示している。また、図中の曲線に付した「θ」は入力電流ピークの位相、「3次」は第3次高調波成分比率、「5次」は第5次高調波成分比率、をそれぞれ示している。なお、平滑コンデンサC1は、図1示す発光ダイオード点灯装置における直流電源DCの平滑コンデンサC1である。
図2から理解できるように、交流電圧100Vの交流電源ACを整流した直流電源DCにおいて、平滑コンデンサの静電容量が実際的な8〜25μFの場合、入力電流ピークの位相θは、いずれも65°以下を満足するので、問題ない。第3次高調波成分比率「3次」は、平滑コンデンサの静電容量が約22μF以下であれば問題ない。第5次高調波成分比率「5次」は、平滑コンデンサの静電容量が約20μF以下であれば問題ない。
よって、本発明の第1の形態において、直流電源DCの平滑コンデンサC1の静電容量は、最適には15μFであり、部品ばらつきを考慮して10〜20μFの範囲であれば、上記規格を満足する。なお、好適には12〜18μFの範囲である。
図3は、直流電源の平滑コンデンサの容量と直流電源の電圧リップル最低値の関係を示すグラフであり、横軸は平滑コンデンサC1(図1ないし図3)の容量Cin[μF]を、縦軸は直流電源の電圧リップル最低値VDC−min[V]を、それぞれ示している。なお、電圧リップル最低値は、平滑コンデンサC1の寿命末期時の低下した静電容量のときに得られる電圧リップル最低値である。
図3から理解できるように、平滑コンデンサC1に用いる電解コンデンサは、寿命末期時にはその静電容量が低下し、これに応じて電圧リップル最低値が低くなる傾向があり、静電容量が約10μFのときの電圧リップル最低値が53Vである。交流電源電圧100Vに対して降圧チョッパの出力電圧は入力電圧以下において動作するが、入力電圧の電圧リップルが最低値のときにも動作を継続するためには、出力電圧が上記電圧リップル最低値以下でなければならない。すなわち、交流周期の全期間において、平滑コンデンサC1の電圧が出力コンデンサC3の電圧より高くなければならない。
しかも、降圧チョッパのスイッチングを安定して行うには、さらに5V以上の余裕が必要であるから、100V交流電源を用いる場合の出力コンデンサC3の電圧、したがって負荷電圧を入力電圧の1/2以下、より好ましくは48V以下に設定するのがよい。
図4は、100V交流電源を用いる場合の降圧チョッパの出力電圧と回路効率の関係を説明するグラフであり、横軸は出力電圧VL[V]を、縦軸は回路効率WL/Win[%]を、それぞれ示している。
図4から理解できるように、平滑コンデンサC1の電圧に対して出力コンデサC3の電圧が低くなるにしたがって回路効率が低下する傾向がある。100V交流電源を用いる場合に、89%以上の回路効率を得るには、出力コンデサC3の電圧を約35V以上にするのがよい。したがって、出力コンデサC3の電圧が35〜48Vの範囲であれば、高調波規格を満足し、回路動作が安定して明るさのちらつきを生じないで、しかも高回路効率の発光ダイオード点灯装置が得られる。
しかし、高回路効率に拘らないのであれば、本発明においては、出力コンデンサC3の電圧が35V以下であっても、換言すれば交流電圧が100V超であっても、放電灯照明機器に対する高調波規格を満足し、回路動作が安定して明るさのちらつきを生じない発光ダイオード点灯装置を得ることができる。
図5は、本発明の発光ダイオード点灯装置の第2の実施形態を示す回路図であるが、図中、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。本形態は、過電圧保護回路OVPを付加している点で主として第1の形態と異なる。
過電圧保護回路OVPは、第2の制御回路電源ES2およびコンパレータCP2を主体として構成されている。
第2の制御回路電源ES2は、図1に示す第1の実施形態におけるのと同様である。さらに、ダイオードD3およびコンデンサC6の接続点に抵抗器R4および抵抗器R5の直列回路と、抵抗器R6およびツェナーダイオードZD2の直列回路と、の一端がそれぞれ並列接続している。
コンパレータCP2は、その反転入力端子P6が抵抗器R4および抵抗器R5の接続点に接続し、抵抗器R4および抵抗器R5の直列回路が第2の制御回路電源ES2のコンデンサC6に並列接続している。なお、抵抗器R4および抵抗器R5は、電圧分圧回路を構成していて、分圧された抵抗器R5の端子電圧が反転入力端子P6に印加される。
また、非反転入力端子P7がコンパレータCP1の基準電圧回路、したがってコンパレータCP1の入力端子P2に接続している。コンパレータCP1の基準電圧回路は、定電圧部および基準電圧出力部からなる。定電圧部は、抵抗器R6およびツェナーダイオードZD2の直列回路からなり、第2の制御回路電源ES2のコンデンサC6に並列接続している。基準電圧回路の基準電圧出力部は、ツェナーダイオードZD2に並列接続した抵抗器R7および抵抗器R8の分圧回路により構成され、分圧された抵抗器R8の端子電圧が基準電圧として出力される。この基準電圧は、コンパレータCP1の演算増幅器の反転入力端子P6およびコンパレータCP2の非反転入力端子P7に、それぞれ印加される。なお、図1の端子P1は、抵抗器R8およびツェナーダイオードZD2のアノードの接続点である。
一方、コンパレータCP1の演算増幅器は、その非反転入力端子が図1の端子P2に接続し、出力端子が端子P3に接続するとともに、抵抗器R9を介して端子P5に接続している。
そうして、本形態においては、負荷回路LCの発光ダイオードLEDが点灯中に何らかの理由で異常となり、降圧チョッパSDCの出力が過電圧になると、第1のインダクタL1に磁気結合していて第1のインダクタL1が放電時の電圧のときに誘起される電圧が出力される第3のインダクタL3には降圧チョッパSDCの出力電圧に比例するので、第2の制御回路電源ES2のコンデンサC6の端子電圧も比例して増大する。その結果、コンデンサC6の端子電圧が抵抗器R4、R5で分圧され、コンパレータCP2の反転入力端子P6に入力する電圧が基準電圧を超えるので、マイナスの出力電圧が端子P9から出力される。このため、第1のスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)の電位がマイナスになり、第1のスイッチング素子Q1がオフし、発光ダイオードLEDが消灯して保護される。その後は、起動回路STの抵抗器R3およびR10の抵抗値の設定により再起動できないように構成されている。その他の回路動作は、図1に示す第1の実施形態におけるのと同様である。