JP5386909B2 - 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着ベルト、これを用いた定着装置、及びこの定着装置を用いた画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置では、用紙等の記録媒体上に形成されたトナー像を記録媒体上に定着し、永久画像にするための工程を定着工程と呼んでいる。この定着工程では、従来より、圧力定着、オーブン定着、溶剤定着、熱圧力定着法等の方式が利用されているが、これらの方式の中でも熱を有効に伝えられ、トナー像をより強固に定着させられ、かつ比較的安全であるため、熱圧力定着法がもっとも一般的である。
ところで、定着装置では、紙シワや紙詰まりを抑制する目的で、定着ロールをフレア形状(ロールの両端部から中央部に向かってその外径が連続的に小さくなって行く形状)に加工し、ロールの回転によって、ロールの軸方向の両端側に記録媒体を引っ張るように複写紙を搬送しながら定着するという方法が広く知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
また、近年はウォームアップ(定着装置において定着可能温度までの到達させること)の短縮や少熱容量化により、それらに対応した定着装置として、ベルト定着方式の開発が活発に行われ採用されている。このベルト定着方式に用いられる定着ベルト、特にカラー機には、ポリイミド樹脂等の管状耐熱性基材の外面にシリコーンゴムなどの弾性層を有し、その弾性層の外面にフッ素樹脂などの離型層が形成された3層構造の柔軟性と離型性を兼ね備えた定着ベルトを用いることが多く、さらに最近では、電磁誘導加熱方式による定着ベルトとして、発熱層となる金属層や保護層を有し、多層構造化かつ少熱容量化になっている。
これら定着ベルトは、製法及び構成上から、フレア形状化が極めて困難とされていたが、フレア形状が形成されている耐熱性基材(管状物)の外面に、弾性層前駆体を所定の速度で吐出しつつ、かつ耐熱性基材の速度を制御させながら移動させ、耐熱性基材層の外側表面に弾性層前駆体を所定の膜厚でフレア形状に成形する弾性層前駆体の吐出量と、耐熱性基材の移動速度のいずれか一つを制御しながら成形する定着ベルト製造法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許公開平7−121045号公報 特開2002−14560号公報 特開2000−94461号公報 特開2006−199026号公報
本発明の課題は、フレア形状のベルトに比べ、ベルトの搬送性及び耐久性の低下を抑制すると共に、記録媒体のしわ及び定着不良を抑制する定着ベルトを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基材層と、
前記基材層の外周面上に配設される金属発熱層と、
前記金属発熱層の外周面上に配設される金属保護層であって、ニッケル又はニッケル合金を含んで構成される金属保護層と、
前記金属保護層の外周面上に配設される弾性層と、
予め定められた間隔で前記金属保護層の外周面のベルト軸方向両端部に設けられると共に、ベルト軸方向両端部からベルト軸方向中央部側へベルト回転方向に向くようにベルト軸方向に対して傾斜して設けられる複数の段差部と、
を備えることを特徴とする定着ベルト。
請求項2に係る発明は、
前記段差部の高さが、5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
請求項3に係る発明は、
前記段差部とベルト回転方向とのなす角度が、鋭角で30度以上70度以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
請求項4に係る発明は、
ベルト軸方向両端部の一方に設けられる前記段差部とベルト軸方向両端部の他方に設けられる前記段差部とが、対称形状であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
請求項5に係る発明は、
前記弾性層の下層が前記基材層であり、前記段差部が前記基材層の外周面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
請求項6に係る発明は、
前記基材層と前記弾性層との間に発熱層と前記発熱層の外周面側に配設される保護層とを有すると共に、前記段差部が当該保護層に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
請求項7に係る発明は、
記録媒体上のトナー像を加熱するための加熱部材と、前記加熱部材を加圧して配設される加圧部材と、を少なくとも備え、
前記加熱部材が、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着ベルトであることを特徴とする定着装置。
請求項8に係る発明は、
像保持体と、該像保持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
前記定着手段が、請求項7に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、フレア形状のベルトに比べ、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、段差部の高さを考慮しない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制される。
請求項3に係る発明によれば、段差部とベルト回転方向とのなす角度を考慮しない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制されると共に、記録媒体の詰まりが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、ベルト軸方向両端部に設けられる段差部が対称形状でない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制されると共に、記録媒体の搬送方向のずれが抑制される。
請求項5に係る発明によれば、発熱源を持たない定着ベルトであっても、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、発熱源を持つ定着ベルトであっても、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制された定着画像が得られる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る定着ベルトを示す概略斜視図である。図3は、第1実施形態に係る定着ベルトを示す側面図である。
第1実施形態に係る定着装置100は、図1に示すように、定着ベルト10の外周面に接触するように、加圧ロール(加圧部材)11が設けられており、加圧ロール11と定着ベルト10との間の接触領域が形成される。この接触領域において、定着ベルト10は、加圧ロール11の周面に沿った形に湾曲している。
ここで、加圧ロール11は、例えば、基体11A上に、シリコーンゴム等による弾性層11Bが形成され、更にその上に、フッ素系化合物等による離型層11Cが形成された構成を有する。
定着ベルト10の内周面に接触し、加圧ロール11に向けて定着ベルト10の内周面を押圧する押圧部材13が設けられている。押圧部材13により、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域にかかる圧力を、局所的に、高められる。押圧部材13は、定着ベルト10の内周面に接して押圧する、金属、耐熱樹脂、又は耐熱ゴム等によるパッド13Bと、このパッド13Bを支持する支持体13Aとから構成されている。
定着ベルト10の外側であって、定着ベルト10を中心として加圧ロール11と対向する位置に、電磁誘導コイル(励磁コイル)12aを内蔵した電磁誘導装置(電磁誘導加熱手段)12が設けられている。電磁誘導装置12は、電磁誘導コイル12aに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、定着ベルト10の金属発熱層に渦電流を発生させるものである。この渦電流が金属発熱層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、その結果として、定着ベルト10の表面が発熱することになる。
なお、定着ベルト10の金属発熱層を発熱させるものであれば、電磁誘導装置12の設置位置は特に限定されない。
次に、本実施形態に係る定着ベルト10について詳細に説明する。
本実施形態に係る定着ベルト10は、図2及び図3に示すように、例えば、基材層10Aの外周面上に、下地金属層10B、電磁誘導作用により自己発熱する金属発熱層10Cと、金属保護層10Dと、弾性層10Eと、離型層10Fと、が順に形成された層構成を有する無端ベルトである。そして、金属保護層10Dには、予め定められた間隔で金属保護層10D(弾性層10Eの直下下層)のベルト軸方向両端部に設けられると共に、ベルト軸方向両端部からベルト軸方向中央部側へベルト回転方向に向くようにベルト軸方向に対して傾斜して、複数の段差部10Gが設けられている。
以下、本実施形態に係る定着ベルト10を構成する各層についてより詳細に説明する。なお、各層の符号は、省略して説明する。
[基材層]
基材層は、隣接して設けられた金属発熱層が発熱した状態でも物性低下がなく、高強度を維持する層であることがよい。このため、基材層は、主として耐熱性樹脂から構成される(ここで、本明細書において、「主として」、「主成分」とは、質量比で50%以上であることを意味し、以下も同義である)。また、基材層は、金属基材層(金属フィルム)を適用してよい。
耐熱性樹脂から主に構成される基材層の場合、定着ベルトの内周面と接触する押圧部材との摺動性を確保することでき、押圧部材の寿命を延長させることも可能である。更に、耐熱性樹脂には断熱効果があるため、金属発熱層で発生した熱を押圧部材へ逃がすことなく効率よく使うことも可能である。
基材層を構成しうる耐熱性樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱・高強度樹脂等が挙げられるが、これら以外にも、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。これらの中でも、ポリイミドが望ましい。
また、耐熱性樹脂中に断熱効果のあるフィラーを加えたり、耐熱性樹脂を発泡させることにより、断熱効果を更に向上させてもよい。
基材層の厚さは、定着ベルトの長期に渡る繰り返しの周動搬送を実現する剛性と柔軟性とを両立させる観点から、10μm以上100μm以下の範囲が望ましく、30μm以上80μm以下の範囲がより望ましい。
基材層の厚みが10μm未満では剛性が弱く、皺が生じたり、両端に亀裂が生じてしまう場合がある。一方、基材層の厚みが100μmを超えると、柔軟性を確保できなくなる場合や、熱容量が増加するためウォームアップ時間が長くなる場合がある。
[下地金属層]
下地金属層は、例えば、耐熱性樹脂で構成される基材層の外周面に金属発熱層を電解メッキ法により形成するために形成される層であり、必要に応じて設けられるものである。金属発熱層の形成加工方法としては、コスト等の観点から電解めっき法が望ましいとされていることから、基材層に耐熱性樹脂で構成される基材層を用いる場合は、直接電解めっきができない。このため、金属発熱層形成の為に、下地金属層が必要となる。この下地金属層を形成する方法としては、化学めっき法が望ましく、中でも一般的な化学ニッケルが望ましい。
下地金属層の厚みは、柔軟性を損なわない範囲であることが望ましく、0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、0.1μm以上5μm以下の範囲がより望ましい。
[金属発熱層]
金属発熱層は、磁界が印加された際にこの層内に発生する渦電流により発熱する機能を有する発熱層であり、電磁誘導作用を生ずる金属が用いられて構成される。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、若しくは2種類以上の合金のどちらでも選択可能である。この中でも、固有抵抗が低く、十分な発熱が得られる点から、銅、金、銀及びこれらの合金が望ましく、更に、コスト及び加工性から、特に、銅或いは銅を主成分とする合金が望ましい。
金属発熱層の厚さは、熱容量の点から薄いほうが望ましいが、厚さが1μm未満になると、抵抗値が高くなることにより、十分な渦電流が発生し難くなり発熱が不足し、ウォームアップ時間が長くなるか、又は、定着可能な温度まで加熱することができなくなる場合がある。また、金属発熱層の厚さが50μmを超えると、渦電流は発生するものの、抵抗値が低すぎるために発熱が不足し、ウォームアップ時間が長くなる場合がある。また、金属発熱層自体の熱容量が大きくなってしまうことからもウォームアップ時間が長くなってしまう場合がある。
従って、金属発熱層の厚さは、1μm以上50μm以下の範囲であることが望ましく、5μm以上20μm以下の範囲であることがよりに望ましい。
また、金属発熱層の弾性率は、定着ベルトの長期に渡る繰り返しの周動搬送を可能とする剛性と柔軟性とを両立させる観点から、1000kgf/mm以上25000kgf/mm以下の範囲が望ましく、1500kgf/mm以上15000kgf/mm以下の範囲がより望ましい。
[金属保護層]
金属保護層には、予め定められた間隔で金属保護層(弾性層よりも下層)のベルト軸方向両端部(ベルト幅方向両端部)の外周面に設けられると共に、ベルト軸方向両端部からベルト軸方向中央部側へベルト回転方向に向くようにベルト軸方向に対して傾斜して、複数の段差部が設けられている。言い換えれば、複数の段差部は、ベルト軸方向中央部側からベルト軸方向両端部へベルト回転方向とは逆方向に向くように、ベルト軸方向に傾斜して設けられている。
つまり、段差部は、金属保護層のベルト軸方向に対して傾斜すると共に、外側(ベルト軸方向両端部側)の一端が、内側(ベルト軸方向中央部側)の他端よりも、ベルト回転方向下流側に位置して設けられている。この如く形成される段差部は、予め定められた間隔で平行(厳密に平行である必要はない)に複数配設、即ち所謂スパイラル状に複数配設されている。
段差部は、金属保護層の凹状の溝(又は凸状の突出部)を予め定められた間隔で配設することで設けられる。また、段差部は、定着時(定着ベルトと加圧ロールとの接触領域)において、記録媒体の幅方向両端部(記録媒体におけるベルト軸方向の両端部)と接触する領域と重なる領域に設けられる。
段差部の高さ(図3中H:凹状の溝深さ又は凸状の突出部の高さ)は、5μm以上の範囲であることが望ましく、5μm以上30μm以下の範囲であることがより望ましい。この段差部の高さが上記範囲であると、当該高さを考慮しない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制される。一方、この段差部の高さが高すぎると、定着不良が生じることがある。
段差部は、ベルト回転方向(図2中矢印A)とのなす角度(図2中θ:)が、鋭角で30度以上70度以下であること望ましく、40度以上60度以下の範囲であることがより望ましい。この角度が上記範囲であると、段差部とベルト回転方向とのなす角度を考慮しない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制されると共に、記録媒体の詰まりが抑制される。
段差部は、ベルト軸方向両端部の一方に設けられる段差部とベルト軸方向両端部の他方に設けられる段差部とが、対称形状となるように設けることがよい。これにより、ベルト軸方向両端部に設けられる段差部が対称形状でない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制されると共に、記録媒体の搬送方向のずれが抑制される。なお、対称形状とは、ベルト軸方向に対して直交方向でベルト軸方向中心を通る軸を対称軸としたときに、対称となる形状を意味する。
段差部を設ける間隔(凹部又は凸部を設ける間隔)は、10μm以上3mm以下の範囲であることが望ましく、50μm以上2mm以下の範囲であることがより望ましい。この間隔が上記範囲であると、当該間隔を考慮しない場合に比べ、記録媒体のしわが抑制される。
段差部を設ける領域は、記録媒体の幅方向両端部がそれぞれ重なる領域であることがよく、ベルト軸方向端部から中央部へ200mm以内の領域であることが好ましく、30mm以上150mm以下の範囲であることがより望ましい。
段差部が設けられる金属保護層は、例えば、銅、又はニッケルを含んで構成されることがよく、特に、繰り返しの変形によるクラック(割れ)の発生、及び繰り返し加熱での酸化劣化等の抑制の点から、耐酸化金属であるニッケル(又はニッケル合金)であることが望ましい。また、金属保護層の形成は、薄膜での加工性も考慮した場合、電解めっき法が望ましいことから、金属保護層は、強度が高く一般的な電解ニッケルめっきが望ましい。
金属保護層の厚さは、その材質により最適な厚さは異なるが、例えば、ニッケル(又はニッケル合金)を金属保護層に用いる場合には、その厚さが2μm以上20μm以下の範囲であることが望ましく、5μm以上10μm以下の範囲であることがより望ましい。
[弾性層]
弾性層は、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルト表面がトナー像に密着する役割を担う層である。特に、カラー画像を形成する場合、弾性層により、記録媒体及びトナー像の加熱ムラ及び光沢ムラが抑制された画像が得られる。また、弾性層が加圧部材との接触領域内で変形し、低荷重でも接触幅が得られことから、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が速くなってもトナー像への熱の受け渡しができて定着が行われ、白黒画像を形成する場合でも、高速化が実現される。
弾性層とは、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する材料から構成される層であることを意味する。
弾性層を構成する材料としては、公知の弾性材料が挙げられる。弾性材料としては、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性のゴムを用いることが望ましい。この耐熱性のゴムとしては、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744や、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
[離型層]
離型層は、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。離型層は、必要に応じて設けられる。
離型層は、フッ素系化合物等の低表面エネルギー材料を主成分として含んで構成されることがよい。フッ素系化合物としては、例えば、フッ素ゴムや、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等のフッ素樹脂などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
離型層の厚さは、1μm以上100μm以下の範囲であることが望ましく、20μm以上50μm以下の範囲であることがより望ましい。
ここで、各層の膜厚の測定は、以下のようにして行われる。即ち、基材層の膜厚は、渦電流式膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定した。また、金属発熱層、及び金属保護層の膜厚は、蛍光X線膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定した。
−定着ベルトの製造方法−
本発明の定着ベルトの製造方法としては、公知の方法が利用される。なお、下地金属層、金属発熱層及び金属保護層とは膜厚が薄く、これらの層単体での取り扱いが難しいため、基材層上に、メッキ法などにより、下地金属層、金属発熱層、及び金属保護層をこの順に形成することが望ましい。そして、金属保護層上に、弾性層や離型層を形成する。
ここで、金属保護層に上記段差部を設ける手法としては、例えば、以下の手法が挙げられる。無論、これに限られるものではない。
1)基材層、下地金属層、及び金属発熱層のいずれかを、切削又は研磨することで段差部(凹凸)を形成し、メッキ法により基材層上に、下地金属層、金属発熱層、及び金属保護層を順次形成することで、下層の段差部(凹凸)に沿った段差部(凹凸)を金属保護層に形成する手法
2)金属保護層を形成した後、当該層に直接、切削又は研磨することで、段差部(凹凸)を形成する手法
一方、金属保護層上に、弾性層と離型層を塗布法により形成する場合には、これらの層を塗布形成する前に、金属保護層表面や弾性層表面に必要に応じて適切なプライマー材料による前処理を行うことが望ましい。この前処理を行うことにより各層間の接着性がより向上される。
また、金属保護層上に、弾性層及び離型層を塗布法により積層形成する場合には、塗布形成された塗膜を加熱処理するプロセスを経て離型層や弾性層が形成される。この塗膜の加熱処理に際しては、不活性ガス(窒素ガス・アルゴンガス等)雰囲気下で行ってもよい。
以下、本実施形態に係る定着装置100における電磁誘導作用による定着ベルトの金属発熱層の発熱原理を以下に説明する。
まず、不図示の励磁回路により電磁誘導コイル12aに交流電流が印加されると、電磁誘導コイル12aの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。この磁束が定着ベルト10の金属発熱層を横切るとき、その磁束の変化を妨げる磁界を生じるように金属発熱層中に渦電流が発生する。この渦電流と金属発熱層の固有抵抗によってジュール熱が発生する。
金属発熱層中に発生した渦電流は、表皮効果のためにほとんど金属発熱層の電磁誘導装置12側の面に集中して流れ、金属発熱層の表皮抵抗Rsに比例した電力で発熱を生じる。
ここで、角周波数をω、透磁率をμ、固有抵抗をρとすると、表皮深さδは下式(1)で示される。
式(1) δ=(2ρ/ωμ)1/2
また、表皮抵抗Rsは下式(2)で示される。
式(2) Rs=ρ/δ=(ωμρ/2)1/2
更に、定着ベルト10の金属発熱層10Cに発生する電力Pは、定着ベルト10中を流れる電流をIh、面積をSとすると、下記式(3)で表わされる。
式(3) P∝Rs∫|Ih|2dS
したがって、表皮抵抗Rsを大きくするか、或いは電流Ihを大きくすれば電力Pを増すことができ、発熱量を増すことが可能となる。ここで表皮深さδ(m)は、励磁回路の周波数f(Hz)と、比透磁率μrと、固有抵抗ρ(Ω・m)により下式(4)で表わされる。
式(4) δ=503(ρ/(fμr))1/2
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆に言うとほとんどのエネルギーはこの深さまで吸収されている。
ここで、定着ベルトの金属発熱層の厚みは、上記式で表わされる表皮深さより厚く(3μm以上100μm以下)することが望ましい。金属発熱層の厚みが3μmよりも小さいと、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる場合があるためである。
次に、本実施形態に係る電磁誘導加熱方式の定着装置100による定着について説明する。
まず、不図示の駆動装置により加圧ロール11が矢印C方向に回転し、それにつれて定着ベルト10も矢印B方向に従動回転する。ここで、トナー像14が形成された記録媒体15は、上記発熱機構により発熱した定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域を矢印A方向に挟持搬送される。この際、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域では、トナー像14は溶融状態で記録媒体15の表面に押圧され、記録媒体15の表面に定着される。
ここで、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域の出口では、定着ベルト10が押圧部材13による押圧から解放されて基材層側へ大きな曲率で曲げ回され、定着ベルト10の形状が変化する。一方、記録媒体15は、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域に送り込まれた際、加圧ロール11の周面に沿って進む。このため、記録媒体15は、自身の剛性によって定着ベルト10から剥離され、セルフストリッピング(ベルトに記録媒体15が巻き付かないこと)が実現される。上記のように定着ベルト10が大きく曲げ回されるときの曲率半径は、5mm程度である。
なお、ここでは、加圧ロール11が駆動し、定着ベルト10が従動する態様を示したが、定着ベルト10を駆動して、加圧ロール11を従動させる駆動方法を適用してもよい。その場合、定着ベルト10を駆動させることにより、加圧ロールが非接触な状態でウォームアップが可能になり、熱容量の小さいベルトのみを加熱するためウォームアップタイムが短くなる。また、加圧ロール駆動の際に必要となる、加圧ロールの熱膨張による通紙速度の変化を相殺するためのフィードバック制御等が不要になるため、ベルト駆動の方が望ましい。
以上説明した本実施形態に係る定着装置100では、これに用いる定着ベルト10として、弾性層10Eの下層(本実施形態では金属保護層10D)に上記特定の段差部10Gを設けた定着ベルトを採用する。この定着ベルト10は、加圧ロール11(加圧部材)との接触領域に、トナー像を保持した記録媒体15が浸入すると、記録媒体15の幅方向両端部は定着ベルト10の段差部10Gが設けられた領域の弾性層10E(本実施形態では離型層10F)と接触する。この段差部が設けられた領域の弾性層10E(本実施形態では離型層10F)では、加圧ロール11(加圧部材)により圧力が加えられると、段差部10Gとそれ以外の領域(凹部と凸部)で圧力の分布が生じる。これにより、当該段差部10Gに沿った定着ベルト10外方向(ベルト軸方向)に向かった力(図4矢印B)が、搬送方向(図4中矢印A)とは別に当該記録媒体15に掛かることになる(図4参照)。つまり、記録媒体は、その幅方向両端部が双方外側へ引っ張られつつ、定着がなされる。
また、段差部10Gは、弾性層10Eに直接設けず、その下層(本実施形態では金属保護層10D)に設けられることから、弾性層10Eに極端な凹凸が形成されないと共に、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域において生じる段差部10Gも定着に影響がでない程度に抑えられる。
加えて、フレア形状のベルトの如く、ベルトの厚みを変化させる必要がない。
したがって、本実施形態では、発熱源を持つ定着ベルト10であっても(電磁誘導加熱方式の定着ベルト)、フレア形状のベルトに比べ、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。図6は、第2実施形態に係る定着ベルトを示す概略斜視図である。図7は、第2実施形態に係る定着ベルトを示す側面図である。
第2実施形態に係る定着装置102は、図5に示すように、定着ベルト30に接するように加圧ロール31が配され、定着ベルト30と加圧ロール31とにより接触領域を形成している。加圧ロール31は、例えば、基体31A上にシリコーンゴム等による弾性層31Bを形成し、さらにその上層に離型層31Cを形成したものである。
定着ベルト30内側には、加圧ロール31と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール33Aと、逆T字型をした圧力印加部材33Bと、潤滑剤を含浸させた金属パッド33Cとからなる押圧部材33が配されている。圧力印加部材33Bは、圧力ロール33Aを介して定着ベルト30を加圧ロール31に押しつけ、上記接触領域に押圧力を加える。このとき圧力印加部材33Bは、金属パッド33Cが圧力ロール33Aの内面を滑りながら押圧力を印加している。なお、圧力ロール33Aの内面には潤滑性のある耐熱オイルがコーティングされていることが望ましい。
また、定着ベルト30の内側には、定着ベルト30の接触領域を加熱するためのヒータランプなどの加熱源32が配されている。
本実施形態に係る定着装置102では、定着ベルト30と加圧ロール31(加圧部材)とにより形成される接触領域にトナー像を保持する記録媒体を通過させ、熱及び圧力によって定着を行なう。つまり、圧力ロール33Aの矢印D方向への回転に従動して定着ベルト30は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール31も矢印C方向に従動回転する。そして、トナー像34が形成された記録媒体35は矢印A方向に、上記定着ベルト30と加圧ロール31との接触領域に挿通され、加熱溶融及び加圧されトナー像が定着される。
次に、本実施形態に係る定着ベルト30について詳細に説明する。
本実施形態に係る定着ベルト30は、図6及び図7に示すように、例えば、基材層30Aの外周面上に、弾性層30Bと、離型層30Cと、が順に形成された層構成を有する無端ベルトである。そして、基材層30Aには、予め定められた間隔で基材層30A(弾性層30Bの直下下層)のベルト軸方向両端部に設けられると共に、ベルト軸方向両端部からベルト軸方向中央部側へベルト回転方向に向くようにベルト軸方向に対して傾斜して、複数の段差部30Dが設けられている。
この基材層30Aに設けられる段差部30Dは、例えば、次の手法により設けられる。
1)筒状金型の内面に段差部30Dに相当する凹凸を設け、当該筒状金型の内面に基材層形成用樹脂を塗布して基材層30Aを形成して、当該基材層30Aに段差部30Dを設ける手法。
2)基材層30Aを形成した後、切削又は研磨により段差部30Dを形成する手法。
なお、これら以外、本実施形態に係る定着ベルト30を構成する各層は、上記第1実施形態と同様なため説明を省略する。
以上説明した本実施形態に係る定着装置102では、これに用いる定着ベルト30として、弾性層30Bの下層(本実施形態では基材層30A)に上記特定の段差部30Dを設けた定着ベルトを採用する。
このため、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の理由から、発熱源を持ない定着ベルト30(ハロゲンランプなどの加熱源を持つ加熱方式の定着ベルト)であっても、フレア形状のベルトに比べ、ベルトの搬送性及び耐久性の低下が抑制されると共に、記録媒体のしわ及び定着不良が抑制される。
〔第3実施形態〕
図8は、第3実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。なお、第3実施形態に係る画像形成装置は、上記第1又は第2実施形態に係る定着装置を備える画像形成装置である。
第3実施形態に係る画像形成装置200は、例えば、感光体ドラム(像保持体)202、帯電装置(帯電手段)204、レーザースキャナ(潜像形成手段)206、ミラー208、現像装置(現像手段)210、中間転写体212、転写ロール(転写手段)214、クリーニング装置216、除電装置218、現像装置(現像手段)100、給紙ユニット220、給紙ローラ222、レジストローラ224、及び、記録媒体ガイド226を備える。
具体的には、例えば、感光体ドラム202の周囲に沿って矢印方向に順に、感光体ドラム202に近接して設けられその表面を帯電させる帯電装置204(非接触型の帯電装置)と、感光体ドラム202の表面に形成された潜像にトナーを付与することによりトナー像を形成する回転式の現像装置210と、外周面が感光体ドラム202表面に接触し矢印D方向及び矢印E方向の両方に回転可能な中間転写体212と、中間転写体212表面にトナー像を転写した後の感光体ドラム202表面を清掃するクリーニング装置216と、感光体ドラム202表面を除電する除電装置218と、が設けられている。
なお、帯電装置204と現像装置210との間の感光体ドラム202表面には、感光体ドラム202表面に潜像を形成するために、各色の画像情報(信号)に応じたレーザー光が、ミラー208を介してレーザースキャナ206より照射される。
現像装置210は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容した各色の現像器(不図示)を備えており、現像装置210が矢印方向に回転することにより、感光体ドラム202の表面に形成された潜像に各色のトナーを付与し、トナー像を形成することが可能である。
中間転写体212の周囲には、感光体ドラム202の他に、転写ロール214が設けられている。中間転写体212の外周面と転写ロール214表面とは圧接し、該圧接部を記録媒体が矢印A方向に挿通可能であり、前記圧接部を記録媒体が通過した際に、中間転写体212表面に保持されたトナー像が、記録媒体の表面に転写される。また、圧接部に対して、矢印A方向と反対側には給紙装置が設けられ、矢印A方向側には定着装置100(102)が設けられている
給紙装置は、給紙ユニット220、給紙ローラ222、レジストローラ224、及び記録媒体ガイド226から構成される。中間転写体212と感光体ドラム202との圧接部への給紙は、給紙ユニット220に収納された記録媒体が、給紙ユニット220に内蔵された不図示の記録媒体押し上げ手段により給紙ローラ222に接触する位置まで押し上げられ、その記録媒体が給紙ローラ222に接触した時点で、給紙ローラ222及びレジストローラ224が回転することにより記録媒体ガイド226に沿って矢印A方向に搬送されることにより行われる。
次に、画像形成装置200における画像形成について説明する。
まず、感光体ドラム202表面に形成された各色のトナー像は、感光体ドラム202と中間転写体212との間に印加されたバイアス電圧により、感光体ドラム202と中間転写体212との接触部において、各色のトナー像毎に画像情報と一致するように中間転写体212の外周面に重ねて転写される。このようにしてカラーのトナー像がその外周面に転写された中間転写体212は矢印E方向に回転し、前記トナー像は、転写ロール214と中間転写体212との圧接部において、前記給紙装置によって、圧接部に搬送されてきた記録媒体の表面に転写される。
記録媒体の表面に転写されたトナー像は、矢印A方向に移動し、定着装置100(102)により加熱定着され、記録媒体の表面に画像が形成される。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(比較例1)
−電磁誘導加熱方式の定着ベルトの作製−
離型剤処理された円筒形の金型にポリイミド前駆体溶液(U−ワニスS:宇部興産株式会社製)をフローコート装置を用いて塗布し、100℃で30分間乾燥後、380℃の炉に入れて60分間焼成させ、基材層80μmを形成する。
次に、基材層の外周面に対して、発熱層の下地処理として粗面化処理を行ない、無電解ニッケル層を1μm成膜させて、下地金属層を形成する。
次に、下地金属層の外周面に、金属発熱層として電解銅めっき層15μm、及び金属保護層として電解ニッケルめっき層15μmを成膜する。
次に、金属保護層の外周面に、フローコート装置を用いて、弾性層の下地処理プライマー(DY39−067:東レダウコーニングシリコーン株式会社製)、液状シリコーンゴム(X34−1053A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布し、乾燥後、200℃の炉に入れて加硫焼成させ、弾性層250μmを形成する。
次に、弾性層の外周面に、離型層の下地処理プライマー(No.101A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布し、100℃30分で乾燥させる。その後、当該弾性層の外周面に、離型層としてPFAチューブ(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体チューブ)30μmをチューブ被覆機を用いてチュービング被覆を行ない、200℃の炉に入れて加硫焼成させて、離型層を形成した。
これにより、電磁誘導加熱方式の定着ベルトを完成させた。
(実施例1)
比較例1において、基材層のベルト軸方向両端部(端部から中央部へ100mmの領域)に、金属発熱層の下地処理としての粗面化処理において、事前にマスキングを施し、特定の形状で段差部(図2及び図3参照:高さH5、角度θ45度、間隔1mm、対称形状)を形成した後、下地金属層、金属発熱層、金属保護層を順次形成した。結果、当該金属保護層のベルト軸方向両端部(端部から中央部へ100mmの領域)に、特定の形状で段差部(図2及び図3参照:高さH5μm、角度θ45度、間隔1mm、対称形状)を形成した。これら以外は、比較例1と同様にして、定着ベルトを完成させた。
(実施例2)
比較例1において、金属保護層形成事にマスキングを施して電解めっき処理を施し、金属保護層のベルト軸方向両端部(端部から中央部へ50mmの領域)に、特定の形状で段差部(図2及び図3参照:高さH5μm、角度θ30度、間隔0.5mm、対称形状)を形成した。これら以外は、比較例1と同様にして、定着ベルトを完成させた。
(実施例3)
マスキングを変更して、金属保護層に形成する段差部の角度θを70度とした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(実施例4)
マスキングと粗面化処理時間を変更して、金属保護層に形成する段差部の高さHを2μm、角度θを45度にした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(実施例5)
マスキングを変更して、金属保護層に形成する段差部の角度θを80度とした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(実施例6)
マスキングを変更して、金属保護層に形成する段差部の角度θを25度とした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(実施例7)
マスキングと粗面化処理時間を変更して、金属保護層に形成する段差部の高さHを30μm、角度θを45度にした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(実施例8)
マスキングと粗面化処理時間を変更して、金属保護層に形成する段差部の高さHを100μm、角度θを45度にした以外は、実施例2と同様にして定着ベルトを完成させた。
(評価)
得られた定着ベルトを、電磁誘導加熱方式の定着装置(図1参照)に装着し、電磁誘導加熱した状態で、10枚/分の速度で5万枚の通紙定着を行なった。そして、紙しわ及び紙詰まりの発生状態、並びに、定着状態(定着性)を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0005386909
上記結果から、弾性層の下層に特定の段差部を設けた本実施例では、比較例に比べ、紙しわ及び紙詰まりの発生状態、並びに、定着状態(定着性)が共に良好であることがわかる。また、本実施例のうち、段差部の高さH及び角度θを特定の範囲とすることで、紙しわ及び紙詰まりの発生状態が良好になることもわかる。
(実施例9)
−金属発熱層を持たない定着ベルトの作製−
離型剤処理された円筒形の金型にポリイミド前駆体溶液(U−ワニスS:宇部興産株式会社製)をフローコート装置を用いて塗布し、100℃で30分間乾燥後、380℃の炉に入れて60分間焼成させ、基材層80μmを形成する。
次に、基材層のベルト軸方向両端部外周面(端部から中央部へ150mmの領域)に、事前にマスキングを施して粗面化処理を行い、特定の形状で段差部(図6及び図7参照:高さH10μm、角度θ45度、間隔1mm、対称形状)を形成した。
次に、段差部が形成された基材層の外周面に、フローコート装置を用いて、弾性層の下地処理プライマー(DY39−067:東レダウコーニングシリコーン株式会社製)、液状シリコーンゴム(X34−1053A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布し、乾燥後、200℃の炉に入れて加硫焼成させ、弾性層250μmを形成する。
次に、弾性層の外周面に、離型層の下地処理プライマー(No.101A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布し、100℃30分で乾燥させる。その後、当該弾性層の外周面に、離型層としてPFAチューブ(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体チューブ)30μmをチューブ被覆機を用いてチュービング被覆を行ない、200℃の炉に入れて加硫焼成させて、離型層を形成した。
これにより、定着ベルトを完成させた。
−評価−
得られた定着ベルトを、定着装置(図5参照)に装着し、加熱源(例えばハロゲンランプ)により加熱した状態で、10枚/分の速度で5万枚の通紙定着を行なった。そして、紙しわ及び紙詰まりの発生状態、並びに、定着状態(定着性)を調べたところ、紙しわの発生や紙詰まりなどのトラブルも発生しなかった。また、定着不良が見られず良好な画像が得られた
第1実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る定着ベルトを示す概略斜視図である。 第1実施形態に係る定着ベルトを示す側面図である。 第1実施形態に係る定着ベルトの定着時の作用を説明するための模式図である。 第2実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着ベルトを示す概略斜視図である。 第2実施形態に係る定着ベルトを示す側面図である。 第3実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
符号の説明
10 定着ベルト
10A 基材層
10B 下地金属層
10C 金属発熱層
10D 金属保護層
10E 弾性層
10F 離型層
10G 段差部
11 加圧ロール
11A 基体
11B 弾性層
11C 離型層
12 電磁誘導装置
12a 電磁誘導コイル
13 押圧部材
13A 支持体
13B パッド
14 トナー像
15 記録媒体
30 定着ベルト
30A 基材層
30B 弾性層
30D 段差部
30C 離型層
31 加圧ロール
31A 基体
31B 弾性層
31C 離型層
32 加熱源
33 押圧部材
33A 圧力ロール
33B 圧力印加部材
33C 金属パッド
34 トナー像
35 記録媒体
100 定着装置
102 定着装置
200 画像形成装置
202 感光体ドラム
204 帯電装置
206 レーザースキャナ
208 ミラー
210 現像装置
212 中間転写体
214 転写ロール
216 クリーニング装置
218 除電装置
220 給紙ユニット
222 給紙ローラ
224 レジストローラ
226 記録媒体ガイド

Claims (8)

  1. 基材層と、
    前記基材層の外周面上に配設される金属発熱層と、
    前記金属発熱層の外周面上に配設される金属保護層であって、ニッケル又はニッケル合金を含んで構成される金属保護層と、
    前記金属保護層の外周面上に配設される弾性層と、
    予め定められた間隔で前記金属保護層の外周面のベルト軸方向両端部に設けられると共に、ベルト軸方向両端部からベルト軸方向中央部側へベルト回転方向に向くようにベルト軸方向に対して傾斜して設けられる複数の段差部と、
    を備えることを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記段差部の高さが、5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 前記段差部とベルト回転方向とのなす角度が、鋭角で30度以上70度以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  4. ベルト軸方向両端部の一方に設けられる前記段差部とベルト軸方向両端部の他方に設けられる前記段差部とが、対称形状であることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  5. 前記弾性層の下層が前記基材層であり、前記段差部が前記基材層の外周面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  6. 前記基材層と前記弾性層との間に発熱層と前記発熱層の外周面側に配設される保護層とを有すると共に、前記段差部が当該保護層に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  7. 記録媒体上のトナー像を加熱するための加熱部材と、前記加熱部材を加圧して配設される加圧部材と、を少なくとも備え、
    前記加熱部材が、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着ベルトであることを特徴とする定着装置。
  8. 像保持体と、該像保持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を少なくとも備え、
    前記定着手段が、請求項7に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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