JP5385955B2 - 防護柵用支柱 - Google Patents

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Description

本発明は、防護柵用支柱に関する。
車両用の防護柵は、車道からの車両等の転落を防止するものであり、所定間隔で立設した複数の支柱間に横梁(横架材)等を架け渡した構造を具備している。
この種の防護柵用支柱は、車道脇の地覆に固定される台座と、横梁を支持する支柱本体とを備えるものが一般的である。例えば、特許文献1には、台座と支柱本体とを鋳造により一体成形した防護柵用支柱が開示されており、特許文献2には、筒状の中空形材からなる支柱本体を台座の上面に立設し、両者を溶接により固着した防護柵用支柱が開示されている。
なお、この種の防護柵用支柱は、支柱本体が下端部を起点として後方へ傾倒することで車両衝突時の衝突エネルギーを吸収するので、支柱本体に発生する曲げモーメントは、下に向うにしたがって大きくなる。
特開2007−315055号公報 特開2007−132048号公報
鋳造品からなる特許文献1の防護柵用支柱では、サイズ変更に対応し難いという問題がある。中空形材を利用する特許文献2の防護柵用支柱では、中空形材の切断位置を変更するだけで、高さ寸法を変更できるようになるものの、外観デザインが単調になり易いという問題がある。
また、特許文献1の防護柵用支柱では、車両衝突時に発生する曲げモーメントの大きさが高さ位置によって異なることに伴い、支柱本体の断面剛性を高さ方向に変化させているが、特許文献2の防護柵用支柱では、支柱本体(中空形材)の断面形状を高さ方向に一様にせざるを得ないので、支柱本体の上部等において、断面剛性が過大になる場合がある。
このような観点から、本発明は、サイズ変更が容易でありながらも外観デザインが単調になり難く、かつ、断面剛性を高さ方向に変化させることが可能な防護柵用支柱を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、車道脇に設置される防護柵用支柱であって、複数の支柱構成材を上下方向に積み重ねて構成されており、前記各支柱構成材は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、かつ、その押出方向が左右方向または前後方向となるように配置されている、ことを特徴とする。より好ましくは、上下方向に隣り合う二つの前記支柱構成材同士を接合するとよい。
なお、本発明における「上下」、「前後」および「左右」は、防護柵用支柱を車道脇に設置した状態を基準とし、かつ、車道に面する側を「前側」とする。すなわち、車道に直交する方向(横断方向)が「前後方向」となり、車道に沿う方向(縦断方向)が「左右方向」となる。
本発明によれば、支柱構成材の数を増減させるか、あるいは、少なくとも一つの支柱構成材を高さ寸法の異なる他の支柱構成材に置き換えるだけで、防護柵用支柱の高さ寸法を変更することができ、さらには、支柱構成材の素となる押出形材の切断長さを変更するだけで、防護柵用支柱の左右方向の寸法(幅寸法)または前後方向の寸法(奥行き寸法)を変更することができる。また、断面形状の異なる複数の支柱構成材を使用することができるので、防護柵用支柱の断面剛性を高さ方向に変化させることができる。なお、押出形材の切断長さは、支柱の強度が所定の大きさとなるように決定することが好ましい。
本発明では、押出方向が左右方向または前後方向となるように支柱構成材を配置しているので、支柱構成材の端面形状が支柱の側面または前後面に現れるようになる。つまり、本発明によれば、支柱構成材(押出形材)の端面形状が外観デザインのアクセントになり得るので、外観デザインが単調になり難くなる。なお、支柱構成材の端面形状を外観デザインに利用しない場合には、一の支柱構成材の開口端面に蓋材を覆設するか、あるいは、複数の支柱構成材の開口端面に跨るように蓋材を覆設してもよい。蓋材は、構造材でもよいし、非構造材でもよい。
ところで、防護柵用支柱を利用して構成される車両用の防護柵は、防護柵用支柱を変形(傾倒)させることで、車両の衝突エネルギーを吸収する。前側からの衝突荷重によって防護柵用支柱が後方に傾倒する際には、防護柵用支柱の前側部分に引張力が作用し、後側部分に圧縮力が作用するので、総ての前記支柱構成材を、押出方向が左右方向となるように配置すれば、防護柵用支柱の断面形状を、車両衝突時に防護柵用支柱に発生する力(圧縮力、引張力)に適した形状とすることができる。なお、押出方向が左右方向となるように支柱構成材を配置した場合には、支柱構成材の後側部分に作用した圧縮力によって、支柱構成材の後側部分(防護柵用支柱の後部)に座屈が発生するようになる。ちなみに、押出方向が前後方向となるように支柱構成材を配置した場合には、支柱構成材の側部(防護柵用支柱の側部)に横倒れ座屈が発生するようになる。
一番下に位置する支柱構成材をこれとは別体の台座部材に接合し、当該台座部材を地覆に固定してもよいが、一番下に位置する支柱構成材に台座部を一体成形し、前記台座部を地覆に固定するとよい。このようにすると、支柱構成材と台座部材とを接合する作業が不要になるので、防護柵用支柱の製作に要する手間とコストを削減することが可能になる。
また、上下方向に隣り合う二つの前記支柱構成材のうちの下側の前記支柱構成材の上部を、上側の前記支柱構成材の下部に嵌合すると、支柱構成材同士の接合強度を高めることが可能になる。
前記した課題を解決する本発明に係る他の防護柵用支柱は、アルミニウム合金製の押出形材からなる単一の支柱構成材にて構成されており、前記支柱構成材は、前記押出形材の押出方向が左右方向または前後方向となるように配置されている、ことを特徴とする。
一の支柱構成材で防護柵用支柱を構成した場合であっても、その素となる押出形材の切断位置を変更するだけで、防護柵用支柱の左右方向の寸法(幅寸法)または前後方向の寸法(奥行き寸法)を変更することができる。また、押出方向が左右方向または前後方向となるように支柱構成材を配置すれば、支柱構成材の端面形状が防護柵用支柱の側面または前後面に現れるようになるので、外観デザインのアクセントになり得る。なお、支柱構成材の端面形状を外観デザインに利用しない場合には、支柱構成材の開口端面に蓋材を覆設してもよい。蓋材は、構造材でもよいし、非構造材でもよい。
本発明に係る防護柵用支柱によれば、サイズ変更が容易でありながらもデザインが単調になり難く、かつ、断面剛性を高さ方向に変化させることが可能になる。
本発明の第一の実施形態に係る防護柵用支柱を示す斜視図である。 (a)は一番上に位置する支柱構成材(上部材)の側面図、(b)は中間に位置する支柱構成材(中部材)の側面図、(c)は一番下に位置する支柱構成材(下部材)の側面図である。 本発明の第一の実施形態に係る防護柵用支柱の変形例を示す側面図である。 本発明の第一の実施形態に係る防護柵用支柱の製造方法の一例を示す斜視図である。 図4に示した組立体の正面図である。 本発明の第二の実施形態に係る防護柵用支柱を示す斜視図である。 本発明の第三の実施形態に係る防護柵用支柱を示す斜視図である。 本発明の第四の実施形態に係る防護柵用支柱を示す斜視図である。 本発明の第五の実施形態に係る防護柵用支柱を示す側面図である。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る防護柵用支柱A1は、図1に示すように、車道に沿って配置される横梁Bを支持するものであり、車道脇の地覆Cに設置されている。
防護柵用支柱A1は、上下方向に積み重ねられた複数の支柱構成材1,2,3によって構成されている。支柱構成材1,2,3は、いずれもアルミニウム合金製の押出形材からなり、かつ、その押出方向が左右方向(車道に沿う方向)となるように配置されている。
以下の説明において、複数の支柱構成材1,2,3を区別する場合には、一番下に位置する支柱構成材1を「下部材1」と称し、一番上に位置する支柱構成材3を「上部材3」と称し、中間に位置する支柱構成材2を「中部材2」と称する。なお、本実施形態の防護柵用支柱A1は、上下二つの中部材2,2を具備しているが、二つの中部材2,2の構成は同一である。
下部材1は、図2の(c)に示すように、台座部11と、前壁12と、後壁13と、上壁14と、補強部15と、上嵌合部16と、係止突部17とを備えている。
台座部11は、地覆C(図1参照)に固定される部位であり、平板状を呈している。台座部11には、道路側アンカー挿通孔11aと背面側アンカー挿通孔11bとが形成されている。アンカー挿通孔11a,11bには、地覆Cに植設されたアンカーボルトC1(図1参照)が挿通される。本実施形態では、前壁12と後壁13との間に道路側アンカー挿通孔11aを形成するとともに、後壁13の後方に背面側アンカー挿通孔11bを形成しているが、アンカー挿通孔11a,11bの位置を限定する趣旨ではない。
前壁12は、車道に面する部位であり、台座部11の前端から立ち上っている。本実施形態の前壁12は、正面視矩形を呈する平板状に成形されているが(図1参照)、曲板状や折れ板状に成形してもよい。また、本実施形態の前壁12は、台座部11から垂直に立ち上っているが、斜めに立ち上るように形成してもよい。
後壁13は、前壁12の後方において台座部11から立ち上っていて、前壁12と平行に対峙している。本実施形態の後壁13は、背面視矩形を呈する平板状に成形されているが、曲板状や折れ板状に成形してもよい。また、本実施形態の後壁13は、台座部11から垂直に立ち上っているが、斜めに立ち上るように形成してもよい。
上壁14は、その上側に隣接する他の支柱構成材(図2の(b)に示す中部材2)の下面に突き合わされる部位であり、台座部11の上方に形成されている。上壁14の前端部は、上嵌合部16に繋げられており、上壁14の後端部は、後壁13の上端部に繋げられている。本実施形態の上壁14は、平板状に成形されているが、曲板状、折れ板状、波板状に成形してもよい。
補強部15は、下部材1の剛性を高めるために配置されたものであり、本実施形態のものは、後壁13から斜め上方に立ち上がり、前壁12と上嵌合部16の境界部分(内隅部)に繋げられている。補強部15の位置や数等に制限はなく、適宜変更しても差し支えない。また、補強部15を別部材にて形成してもよい。
上嵌合部16は、その上側に位置する他の支柱構成材(図2の(b)に示す中部材2)の下部に嵌合する部位であり、下部材1の上部に形成されている。上嵌合部16は、左右方向(図2の(c)の紙面垂直方向)に連続している。本実施形態の上嵌合部16は、側面視横J字状を呈していて、前壁12の上端部と上壁14の前端部との間に介設されている。すなわち、上嵌合部16は、下部材1の前側上部に設けられていて、前面に開口する嵌合溝16aを形成している。
係止突部17は、中部材2(図2の(b)参照)の後方へのズレを阻止する部位であり、上壁14の上面に突設されている。係止突部17は、左右方向に連続している。
下部材1を製造するには、下部材1の端面形状と同じ断面形状を有する押出形材を、押出方向と直交する面に沿って切断し、アンカー挿通孔11a,11b等を形成すればよい。
なお、本実施形態では、正面視長方形を呈する下部材1を例示したが、下部材1の形態を限定する趣旨ではない。図示は省略するが、例えば、正面視台形を呈する下部材1としても差し支えない。この場合には、下部材1の素となる押出形材を、押出方向に対して傾斜する方向に切断すればよい。
中部材2は、図2の(b)に示すように、下壁21と、前壁22と、後壁23と、上壁24と、補強部25と、上嵌合部26Uと、下嵌合部26Lと、係止突部27Uと、係止凹部27Lとを備えている。
下壁21は、その下側に隣接する他の支柱構成材(図2の(c)に示す下部材1または他の中部材2)の上面に固定される部位である。下壁21は、下側に隣接する他の支柱構成材の上壁の形状に対応する形状に成形されていて、他の支柱構成材の上面に面接触する。本実施形態の下壁21は、平板状に成形されている。
前壁22は、車道に面する部位であり、下壁21の前端から立ち上っている。本実施形態の前壁22は、正面視矩形を呈する平板状に成形されているが(図1参照)、曲板状や折れ板状に成形してもよい。また、本実施形態の前壁22は、下壁21から垂直に立ち上っているが、斜めに立ち上るように形成してもよい。
後壁23は、前壁22の後方において下壁21から立ち上っていて、前壁22と平行に対峙している。本実施形態の後壁23は、背面視矩形を呈する平板状に成形されているが、曲板状や折れ板状に成形してもよい。また、本実施形態の後壁23は、下壁21から垂直に立ち上っているが、斜めに立ち上るように形成してもよい。
上壁24は、その上側に隣接する他の支柱構成材(他の中部材2または図2の(a)に示す上部材3)の下面に突き合わされる部位であり、下壁21の上方に形成されている。上壁24の前端部は、上嵌合部26Uに繋げられており、上壁24の後端部は、後壁23の上端部に繋げられている。本実施形態の上壁24は、平板状に成形されているが、曲板状、折れ板状、波板状に成形してもよい。
補強部25は、中部材2の剛性を高めるために配置されたものであり、本実施形態のものは、下壁21と後壁23との境界部分(内隅部)から斜め上方に立ち上がり、前壁22と上嵌合部26Uの境界部分(内隅部)に繋げられている。補強部25の位置や数等に制限はなく、適宜変更しても差し支えない。また、補強部25を別部材にて形成してもよい。
上嵌合部26Uは、その上側に位置する他の支柱構成材(他の中部材2または図2の(a)に示す上部材3)の下部に嵌合する部位であり、中部材2の上部に形成されている。上嵌合部26Uは、左右方向(図2の(b)の紙面垂直方向)に連続している。本実施形態の上嵌合部26Uは、側面視横J字状を呈していて、前壁22の上端部と上壁24の前端部との間に介設されている。すなわち、上嵌合部26Uは、中部材2の前側上部に設けられていて、前面に開口する嵌合溝26aを形成している。
下嵌合部26Lは、その下側に位置する他の支柱構成材(図2の(c)に示す下部材1または他の中部材2)の上部に嵌合する部位であり、中部材2の下部に形成されている。下嵌合部26Lは、左右方向(図2の(b)の紙面垂直方向)に連続している。本実施形態の下嵌合部26Lは、側面視鉤状(L字状)を呈していて、下壁21の前端部の下面に突設されている。すなわち、下嵌合部26Lは、中部材2の前側下部に設けられていて、後壁23側に開口する嵌合溝26bを形成している。
係止突部27Uは、その上側に位置する他の支柱構成材(他の中部材2または図2の(a)に示す上部材3)の後方へのズレを阻止する部位であり、上壁部24の上面に突設されている。本実施形態の係止突部27Uは、後壁23の真上に形成されていて、左右方向(図2の(a)の紙面垂直方向)に連続している。
係止凹部27Lは、係止突部27Uの下方(本実施形態では後壁23の真下)に形成されている。係止凹部27Lには、その下側に位置する他の支柱構成材の係止突部(図2の(c)に示す下部材1の係止突部17または他の中部材2の係止突部27U)が入り込む。
中部材2を製造するには、中部材2の端面形状と同じ断面形状を有する押出形材を、押出方向と交差する面に沿って切断すればよい。
なお、図示は省略するが、横梁Bの取付座となる梁受け部を前壁22に形成してもよい。また、本実施形態では、同一形状の中部材2,2を上下に積み重ねた場合を例示したが、異なる形状の中部材を上下に積み重ねてもよい。
上部材3は、図2の(a)に示すように、下壁31と、前壁32と、後壁33と、上壁34と、補強部35と、下嵌合部36と、係止凹部37と、梁受け部38とを備えている。
下壁31は、その下側に隣接する他の支柱構成材(図2の(b)に示す中部材2)の上面に固定される部位である。下壁31は、下側に隣接する他の支柱構成材の上壁の形状に対応する形状に成形されていて、他の支柱構成材の上面に面接触する。本実施形態の下壁31は、平板状に成形されている。
前壁32は、車道に面する部位であり、下壁31の前端から立ち上っている。本実施形態の前壁32は、正面視矩形を呈する平板状に成形されているが(図1参照)、曲板状や折れ板状に成形してもよい。また、本実施形態の前壁32は、下壁31から垂直に立ち上っているが、斜めに立ち上るように形成してもよい。
後壁33は、前壁32の後方において下壁31から立ち上っていて、前壁32と対峙している。本実施形態の後壁33は、折れ板状に成形されているが、平板状や曲板状に成形してもよい。
上壁34は、防護柵用支柱A1の上端面を形成する部位であり、下壁31の上方に形成されている。上壁34の前端部は、梁受け部38に繋げられており、上壁34の後端部は、後壁33の上端部に繋げられている。
補強部35は、上部材3の剛性を高めるために配置されたものであり、本実施形態のものは、下壁31と後壁33との境界部分(内隅部)から斜め上方に立ち上がり、梁受け部38に繋げられている。補強部35の位置や数等に制限はなく、適宜変更しても差し支えない。また、補強部35を別部材にて形成してもよい。
下嵌合部36は、その下側に位置する他の支柱構成材(図2の(b)に示す中部材2)の上部に嵌合する部位であり、上部材3の下部に形成されている。下嵌合部36は、左右方向(図2の(a)の紙面垂直方向)に連続している。本実施形態の下嵌合部36は、側面視鉤状(L字状)を呈していて、下壁31の前端部の下面に突設されている。すなわち、下嵌合部36は、上部材3の前側下部に設けられていて、後壁33側に開口する嵌合溝36bを形成している。
係止凹部37は、後壁33の真下に形成されている。係止凹部37には、その下側に位置する他の支柱構成材の係止突部(図2の(b)に示す中部材2の係止突部27U)が入り込む。
梁受け部38は、横梁B(図1参照)の取付座となる部位であり、上部材3の前側上部に形成されている。梁受け部38は、横梁Bの外面形状に対応する形状(本実施形態では、側面視円弧状)に成形されている。梁受け部38には、図示は省略するが、ボルト挿通孔が形成されている。このボルト挿通孔には、横梁Bを固定するためのボルトが挿通される。
上部材3を製造するには、上部材3の端面形状と同じ断面形状を有する押出形材を、押出方向と交差する面に沿って切断すればよい。ちなみに、本実施形態の切断長さは、下部材1、中部材2および上部材3ともに同じである。
なお、防護柵用支柱A1の強度は、押出形材の切断幅寸法により、同じ押出形材を用いた場合でも変更(調整)することが可能である。この場合、下部材1、中部材2および上部材3を形成する各押出形材の切断長さは、後方へ傾倒する際の座屈荷重が所定の大きさとなるように決定する。なお、後方へ傾倒する際には、曲げモーメントの一番大きく作用する下部材1の後壁13および補強部15において所定の座屈荷重に達し、後壁13および補強部15から座屈し始める。
防護柵用支柱A1を製造するには、複数の支柱構成材1,2,3を上下方向に積み重ね、必要に応じてボルト接合や溶接を施せばよい。
下部材1に中部材2を積み重ねる際には、下部材1の係止突部17を中部材2の係止凹部27Lに入り込ませつつ、下部材1の上嵌合部16を中部材2の下嵌合部26Lに嵌合させればよい。より詳細には、下部材1および中部材2を相対的に押出方向(左右方向)または押出方向に直交する方向(前後方向)にスライドさせて、下部材1の嵌合溝16aに中部材2の下嵌合部26Lの先端部分26dを挿入し、下部材1の上嵌合部16の張出片16cを中部材2の嵌合溝26bに挿入すればよい。両部材を嵌合させると、下部材1と中部材2とが機械的に接合されるようになるので、下部材1と中部材2とが上下に離間し難くなる。なお、両部材を嵌合させると、下部材1の上面が中部材2の下面に面接触するようになる。
また、下側の中部材2に上側の中部材2を積み重ねる際には、下側の中部材2の係止突部27Uを上側の中部材2の係止凹部27Lに入り込ませつつ、下側の中部材2の上嵌合部26Uを上側の中部材2の下嵌合部26Lに嵌合させればよい。より詳細には、中部材2,2を相対的に押出方向(左右方向)または押出方向に直交する方向(前後方向)にスライドさせて、下側の中部材2の嵌合溝26aに上側の中部材2の下嵌合部26Lの先端部分26dを挿入し、下側の中部材2の上嵌合部26Uの張出片26cを上側の中部材2の嵌合溝26bに挿入すればよい。両部材を嵌合させると、中部材2,2が機械的に接合されるようになるので、中部材2,2が上下に離間し難くなる。なお、両部材を嵌合させると、下側の中部材2の上面が上側の中部材2の下面に面接触するようになる。
中部材2に上部材3を積み重ねる際には、中部材2の係止突部27Uを上部材3の係止凹部37に入り込ませつつ、中部材2の上嵌合部26Uを上部材3の下嵌合部36に嵌合させればよい。より詳細には、中部材2および上部材3を相対的に押出方向(左右方向)または押出方向に直交する方向(前後方向)にスライドさせて、中部材2の嵌合溝26aに上部材3の下嵌合部36の先端部分36dを挿入し、中部材2の上嵌合部26Uの張出片26cを上部材3の嵌合溝36bに挿入すればよい。両部材を嵌合させると、中部材2と上部材3とが機械的に接合されるようになるので、中部材2と上部材3とが上下に離間し難くなる。なお、両部材を嵌合させると、中部材2の上面が上部材3の下面に面接触するようになる。
以上のような構成の防護柵用支柱A1によれば、下部材1、中部材2,2および上部材3の端面形状が側面に現れるようになる。つまり、防護柵用支柱A1によれば、下部材1、中部材2,2および上部材3の端面形状(小口形状)が外観デザインのアクセントになるので、外観デザインが単調になり難くなる。
なお、前側からの衝突荷重によって防護柵用支柱A1が後方に傾倒する際には、防護柵用支柱A1の前側部分に引張力が作用する一方で、上部材3の前壁32等に作用した衝突荷重が上壁34や補強部35を介して後壁13,23,33に伝わり、防護柵用支柱A1の後側部分に圧縮力が作用するようになるところ、本実施形態では、押出方向が左右方向となるように下部材1、中部材2,2および上部材3を配置しているので、防護柵用支柱A1の断面形状が前記した引張力および圧縮力に対応した断面形状となり、ひいては、前側からの衝突荷重に適した形状を得ることができる。つまり、防護柵用支柱A1では、押出形材の外殻をなす板状部分(前壁12,22,32および後壁13,23,33)が防護柵用支柱A1の前側部分および後側部分に位置するようになり、その結果、前側からの衝突荷重に対する支持力が高いものとなる。ちなみに、防護柵用支柱A1においては、下部材1の後壁13および補強部15が座屈を起こし、防護柵用支柱A1が後方へ大きく傾倒するようになる。
また、防護柵用支柱A1によれば、下部材1、中部材2および上部材3のそれぞれにおいて断面形状(断面剛性)を変更することができるので、防護柵用支柱A1の断面剛性を高さ方向に変化させることもできる。なお、防護柵用支柱A1が後方に傾倒する際に発生する曲げモーメントは、下に向うにしたがって大きくなるので、下部材1の断面剛性を高めておくことが望ましい。また、各支柱構成材の素となる押出形材を切断するに際し、上方に向かって狭くなるように各押出形材を切断することでも、下側の断面剛性が大きい防護柵用支柱A1を得ることができる。
さらに、防護柵用支柱A1によれば、組み合わせるべき押出形材の種類を変更するだけで、高さ寸法や強度等を容易に変更することができる。防護柵用支柱A1の高さ寸法を変更する場合には、例えば、中部材2の数を増減させるか、あるいは、図3に示すように、中部材2に代えて、高さ寸法の異なる中部材2´を組み合わせればよい。なお、押出形材の切断長さを変更して支柱構成材の幅寸法を増減させることでも、防護柵用支柱A1の剛性や強度(座屈荷重や耐荷重)を変更することができる。また、押出形材の肉厚を調整することでも、座屈荷重の大きさを調整することができるので、例えば、座屈荷重を大きくしたい場合には、肉厚の大きい押出形材を使用すればよい。
また、防護柵用支柱A1によれば、下部材1に台座部11を一体成形したので、台座部材を別途用意する必要がない。つまり、防護柵用支柱A1によれば、下部材1と台座部材とを接合する作業が不要になるので、防護柵用支柱A1の製作に要する手間とコストを削減することが可能になる。
また、防護柵用支柱A1では、下部材1または中部材2の上部を、その真上に位置する中部材2または上部材3の下部に嵌合させているので、支柱構成材同士の接合強度を高めることが可能になる。
本実施形態では、押出形材を所定長さに切断して下部材1、中部材2,2および上部材3を得た後に、これらを積み重ねることで防護柵用支柱A1を製造したが、図4に示すように、押出形材の組立体Kを切断することで防護柵用支柱A1を製造してもよい。組立体Kは、下部材1の素となる押出形材10、中部材2の素となる押出形材20および上部材の素となる押出形材30を互いに嵌合して得たものである。図4においては、組立体Kの側面(防護柵用支柱A1の前面又は後面となる面)に現れた形材同士の境界線(突合部)に沿って摩擦攪拌接合を行っている。組立体Kを切断する前に形材同士を接合しておけば、切断時の位置ずれを防止することができ、さらに、複数本分の防護柵用支柱A1に対して連続して接合を行えるので、接合時間が少なくて済む。なお、図示は省略するが、溶接や接着により形材同士を接合してもよい。
なお、図5に示すように、水平の設置面に設置される防護柵用支柱A1を製造する場合には、押出方向と直交する面X1に沿って組立体Kを切断し、傾斜した設置面に設置される防護柵用支柱A1を製造する場合には、押出方向と直交する面X1に対して設置面の傾斜角度と等しい角度で傾斜する面X2に沿って組立体Kを切断する。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、支柱構成材1,2,3の端面形状を露出させ、防護柵用支柱A1の外観デザインとして利用する場合を例示したが、外観デザインとして利用しないような場合には、図6に示すように、支柱構成材1,2,3の開口端面に蓋材4を覆設してもよい。
すなわち、第二の実施形態に係る防護柵用支柱A2は、第一の実施形態に係る防護柵用支柱A1(図1参照)の側面に蓋材4,4を取り付けたものである。蓋材4は、支柱構成材1,2,3を補剛可能な構造材(例えば、アルミニウム合金製の板材)からなり、摩擦攪拌接合、溶接、接着、ビス止め等の手段により、支柱構成材1,2,3の開口端面に固着されている。図6においては、支柱構成材1,2,3の開口端面を一括して覆うことができる蓋材4を例示したが、支柱構成材1,2,3を個別に覆うような構成としても差し支えない。なお、蓋材4は、単なる化粧部材(非構造材)としても勿論差し支えない。
(第三の実施形態)
第三の実施形態に係る防護柵用支柱A3は、図7に示すように、車道脇に設置されるものであって、上下方向に積み重ねられた複数の支柱構成材301,302,303によって構成されているが、支柱構成材301,302,303は、その押出方向が前後方向(車道と直交する方向)となるように配置されている。
防護柵用支柱A3においても、支柱構成材301,302,303の数を増減させるか、あるいは、支柱構成材301,302,303のうちの少なくとも一つを他の支柱構成材に置き換えるだけで、防護柵用支柱A3の高さ寸法を変更することができる。また、支柱構成材301,302,303の素となる押出形材の切断位置を変更するだけで、防護柵用支柱A3の前後方向の寸法(奥行き寸法)を変更することができる。
なお、防護柵用支柱A3においては、その側壁に横倒れ座掘を発生させることにより、防護柵用支柱A3を変形(傾倒)させる。
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る防護柵用支柱A4は、図8に示すように、車道脇に設置されるものであって、上下方向に積み重ねられた複数の支柱構成材401,402,403によって構成されているが、防護柵用支柱A4においては、複数の支柱構成材401,402,403のうちの少なくとも一つを、押出方向が左右方向となるように配置し、残りを前後方向となるように配置している。なお、図8では、一番下に位置する支柱構成材401および一番上に位置する支柱構成材403を、押出方向が左右方向となるように配置し、中間に位置する支柱構成材402,402を、押出方向が前後方向となるように配置している。
(第五の実施形態)
第五の実施形態に係る防護柵用支柱A5は、図9に示すように、単一の支柱構成材にて構成されている。防護柵用支柱A5を構成する支柱構成材は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、その押出方向が左右方向(図9の紙面垂直方向)となるように配置されている。
防護柵用支柱A5においても、その素となる押出形材の切断位置を変更するだけで、防護柵用支柱5の左右方向の寸法(幅寸法)を変更することができる。また、押出形材の端面形状が防護柵用支柱A5の側面に現れるようになるので、外観デザインのアクセントになり得る。また、押出形材を利用すれば、支柱構成材の前壁や後壁の肉厚を高さ方向に変化させることができるので、防護柵用支柱A5の断面剛性を高さ方向に変化させることもできる。
なお、図示は省略するが、防護柵用支柱を構成する単一の支柱構成材を、その素となる押出形材の押出方向が前後方向となるように配置してもよい。
A1〜A5 防護柵用支柱
1 下部材(支柱構成材)
2 中部材(支柱構成材)
3 上部材(支柱構成材)
4 蓋材

Claims (7)

  1. 車道脇に設置される防護柵用支柱であって、
    複数の支柱構成材を上下方向に積み重ねて構成されており、
    前記各支柱構成材は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、かつ、その押出方向が左右方向または前後方向となるように配置されている、ことを特徴とする防護柵用支柱。
  2. 上下方向に隣り合う二つの前記支柱構成材同士が接合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の防護柵用支柱。
  3. 前記支柱構成材の開口端面に蓋材が覆設されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防護柵用支柱。
  4. 総ての前記支柱構成材は、その押出方向が左右方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の防護柵用支柱。
  5. 一番下に位置する前記支柱構成材に台座部が一体成形されており、
    前記台座部が地覆に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の防護柵用支柱。
  6. 押出形材の切断長さは、支柱の強度が所定の大きさになるように決定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の防護柵用支柱。
  7. 横梁を支持する防護柵用支柱であって、
    アルミニウム合金製の押出形材からなる単一の支柱構成材にて構成されており
    前記支柱構成材は、前記押出形材の押出方向が左右方向または前後方向となるように配置されている、ことを特徴とする防護柵用支柱。
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