JP5385796B2 - 活性なscFv抗体及びそのライブラリーを生産する方法 - Google Patents

活性なscFv抗体及びそのライブラリーを生産する方法 Download PDF

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Description

本開示は、組換え一本鎖抗体、及びこのような抗体を生産及び使用する方法に関する。
遺伝子工学的アプローチは、特定の結合特異性、特定のドメイン構造、他の所望の特性を有する組換え抗体の生産を可能にしてきた。ある種の遺伝子工学的に操作された抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。一本鎖Fvフラグメントは、遺伝子工学的に操作されたポリペプチドであって、柔軟なペプチドリンカーを介して、軽鎖可変領域(VL)に連結された重鎖可変領域(VH)を含む。各VH及びVLドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む。CDRは短いアミノ酸配列であり、抗体分子間で非常に変化し、したがって、抗体結合特異性の大きな多様性を生じさせる原因となる。VHのCDR及びVLのCDRの組み合わせは、任意の所定の抗体の結合特異性を決定する。
一本鎖Fvフラグメントは、完全な大きさの抗体の結合特異性及び一価結合親和性を示し、遺伝子操作及び発現の相対的な容易性の付加された利点を与える(これは、scFvが、完全な大きさの抗体である場合のように、別々のコーディング配列というよりはむしろ、単一のコーディング配列によってコードされ、そこから発現されるためである)。一本鎖Fvフラグメント及び他の組換え抗体は、幅広い用途、例えば、医療用診断試験、基礎研究、種々の疾患に対する治療用抗体処置において使用される。
細胞内発現抗体(intrabody)は、細胞内で異所的に発現される遺伝子操作された抗体分子である。細胞内発現抗体は、生存細胞内で標的抗原の機能を視覚化するか又は調節するために使用可能である。例えば、細胞内発現抗体の使用は、標的化された抗原の機能を直接的に阻害することによって、又は正常な細胞内位置から標的化された抗原を転用することによって表現型ノックアウトを誘導することができる(例えば、細胞内発現抗体は、分解機構にその標的抗原を変更することができる)。また、細胞内発現抗体は、それらの標的抗原の機能を増加させるか又は変化させることができる。タンパク質標的については、細胞内発現抗体は、特定の翻訳後修飾又は特定の抗原立体構造に標的化され得る。さらに、細胞内発現抗体によって誘導された表現型ノックアウトは、アドレス指定(addressing)シグナル(例えば、核局在化シグナル、ミトコンドリア局在化シグナル、又は小胞体シグナル)を用いて、特定の細胞内コンパートメントに細胞を標的化することによって、特定の細胞コンパートメントに限定することができる。また、細胞内発現抗体は、標的のオリゴマー構造を修飾することによって、標的機能を調節することができる。
細胞内発現抗体による表現型ノックアウトは、その標的への抗体分子の結合能力にだけ依存するため、細胞内で完全な抗体分子を発現させる必要がなく、可変領域(Fv)内に完全に位置されるその結合部位だけを必要とする。単一のポリペプチド鎖内に含まれる小さな大きさ及び抗原特異性のそれらの利点が与えられると、scFvは、細胞内の抗体発現のために使用される組換え抗体フラグメントの最も共通した型である。
細胞内発現抗体の使用についての一連の制限は、大部分のscFvが、細胞質ゾル及び核の還元条件下ではフォールディングできないということである。このような条件下では、scFvの2つの保存されたジスルフィド架橋が減少し、それによって、不安定となり、多数のscFvの結合活性を不活性化する。インビトロでは、大部分のscFvは、還元条件下で復元することができない。scFv配列の統計学的分析によれば、1%よりも少ないscFvがジスルフィド結合形成がない場合に発現され、活性であるには十分に安定であることが示されている。さらに、scFvタンパク質がインビボにおいて発現され、活性であるには、その還元形態において確かに十分に安定であるとしても、プロテアーゼ感受性又はフォールディング動力学などの他のパラメータもまた、細胞内発現抗体の最終的インビボでの宿命に影響を与える可能性があり、したがって、最終的な細胞内発現抗体の発現及び活性に重要である。
活性な細胞内発現抗体を得るために、現在のアプローチは、多くの場合、2つの連続工程を伴う。第1に、対象の抗原に特異的に結合するscFv又はFab抗体の一団が同定される(例えば、ファージディスプレイライブラリーによる)。第2に、特異的に結合する抗体は、インビボにおいて標的抗原に結合及び/又は阻害するそれらの能力について試験される。1%よりも少ないscFvは、細胞内発現抗体として潜在的に有用であるため(それらは、細胞内に存在する還元条件下で発現されず、及び/又は適切にフォールドすることができないため)、細胞内発現抗体として使用可能である単一のscFvの同定は、100個を超えるscFvクローンの同定を必要として、その数は、大部分の場合では得ることができないものである。
医療及び研究用途での使用のために、細胞内発現抗体として用いることができる抗体を生産し、同定することの前述の困難性を考慮して、必要とされるのは、細胞内発現抗体として使用することができる抗体を生産及び選択するより効果的な方法である。
第1の局面では、少なくとも106個の固有の(unique)scFvクローンを含む抗体ライブラリーが本明細書に記載され、ここで、scFvクローンによってコードされる抗体が細胞内で発現される場合、少なくとも約20%のscFvクローンは、細胞内で標的抗原と検出可能に特異的に結合することができる抗体をコードする。
第2の局面では、抗体ライブラリーが本明細書に記載され、ここで、抗体ライブラリーは、少なくとも約106個の固有のscFv抗体クローンを含み、少なくとも約20%のscFv抗体クローンが、大腸菌細胞内で発現することができ、大腸菌細胞1リットルあたり少なくとも約5mgのレベルで可溶性抗体を生成し、ここで、大腸菌細胞は、OD600nmが約5になるまで増殖される。
第3の局面では、少なくとも約106個の固有のscFv抗体クローンを含む抗体ライブラリーが本明細書に記載され、ここで、各固有のscFv抗体クローンは、固有のCDR3VH配列及び固有のCDR3VL配列の少なくとも1つを含む固有のscFv抗体をコードし、固有のscFv抗体クローンは、scFv13R4によってコードされるフレームワーク配列と実質的に同一であるフレームワーク配列をコードする。
上記抗体ライブラリーのいずれかにおいて、固有のscFv抗体クローンは、固有のCDR3VH配列を含むscFv抗体をコードすることができる。
上記抗体ライブラリーのいずれかにおいて、固有のscFv抗体クローンは、固有のCDR3VL配列を含むscFv抗体をコードすることができる。
上記抗体ライブラリーのいずれかにおいて、固有のscFv抗体クローンは、固有のCDR3VH配列及び固有のCDR3VL配列を含むscFv抗体をコードすることができる。
第4の局面では、還元条件下で実質的に可溶性タンパク質として発現可能なscFv抗体が本明細書に記載され、ここで、scFv抗体は、第3の局面において、上記されるライブラリーから単離される。scFv抗体は、還元条件下で標的抗原に特異的に結合することができる。
第5の局面では、細胞内で第4の局面において上述されるscFv抗体を発現させ、それによって、scFv抗体を生産することを含むscFv抗体を生産する方法が本明細書に記載される。この方法は、細胞からscFv抗体をさらに精製することを含むことができる。
第6の局面では、細胞内で発現可能なscFv抗体クローンに富んだscFv抗体を調製する方法であって、a)scFv抗体クローンの第1の回収物を用意し、ここで、第1の回収物が、VHのCDR3ループ内の固有の配列を含むクローンを含み、前記第1の回収物が、細胞内に導入されると検出可能に発現され得るscFv抗体に富んでいて;b)scFv抗体クローンの第2の回収物を用意し、ここで、第2の回収物が、VLのCDR3ループ内の固有の配列を含むクローンを含み、前記第2の回収物が、細胞内に導入されると検出可能に発現され得るscFv抗体に富んでいて;c)第1の回収物のscFv抗体クローン由来のVHドメインと、第2の回収物のscFv抗体クローン由来のVLドメインとを接合して、scFv抗体クローンの第3の回収物を得て、ここで、第3の回収物が、VHのCDR3ループ内の固有の配列、及びVLのCDR3ループ内の固有の配列を含むscFv抗体クローンを含む、を含み、それにより、細胞内で発現され得るscFv抗体クローンに富んだscFv抗体ライブラリーを調製する。
scFv抗体ライブラリーを調節するための上記方法において、前記第1の回収物が、第1の回収物に含まれる他のscFv抗体クローンと比較して、実質的に同一のVLを含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、第2の回収物に含まれる他のscFv抗体クローンと比較して、実質的に同一のVH配列を含むscFv抗体クローンを含む。
scFv抗体ライブラリーを調節するための上記方法において、前記第1の回収物が、scFv13R4VL配列に実質的に同一であるVLを含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、scFv13R4VH配列に実質的に同一であるVHを含むscFv抗体クローンを含む。
scFv抗体ライブラリーを調節するための上記方法において、前記第1の回収物が、VHドメインと同一なCDR1及びCDR2配列を含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、VLドメインと同一なCDR1及びCDR2配列を含むscFv抗体クローンを含む。
第7の局面では、第6の局面において上記される方法によって製造される抗体ライブラリーが本明細書に記載される。
第8の局面では、第6の局面において上記される方法によって製造される抗体ライブラリーから選択される抗体が本明細書に記載される。
第9の局面では、本発明は、抗体ライブラリーを構築する方法を特徴とし、a)scFv抗体フレームワークを選択し;b)scFv抗体フレームワークのVH CDR3領域に配列多様性を導入して、固有のVH CDR3領域を含むscFv抗体クローンを含む第1のライブラリーを生じさせ;c)scFv抗体フレームワークのVL CDR3領域に配列多様性を導入して、固有のVL CDR3領域を含むscFv抗体クローンを含む第2のライブラリーを生じされ;d)第1のライブラリーから、scFv抗体を検出可能に発現しないクローンを除去し;e)第2のライブラリーから、scFv抗体を検出可能に発現しないクローンを除去し;f)第1及び第2のライブラリーを再結合させて、固有のVH CDR3領域及びVL CDR3領域を含むscFv抗体ライブラリーを含む第1のライブラリーを生じさせることを含み、それにより、抗体ライブラリーを構築する。
上記の方法において、scFvはscFv13R4であってもよい。
細胞内発現抗体として使用されてもよい、細胞質において発現されるscFvを単離するための新規な抗体ライブラリーを提供することが本発明の目的である。
単一フレームワークに基づき、細胞内発現を最適化された新規な抗体ライブラリーを提供することが本発明の別の目的である。
本発明の更なる目的は、細胞内発現抗体として使用されてもよい細胞質において発現されるscFvを単離するための新規な抗体ライブラリーを構築及び評価するための新規な方法を提供することである。
本発明の別の目的は、単一のフレームワークに基づき、細胞内発現を最適化した新規な抗体ライブラリーを構築及び評価する新規な方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、細胞内発現抗体として使用されてもよい高発現するscFvを生産するために、抗体ライブラリーを用いる新規な方法を提供することである。
本発明のなお別の目的は、単一のフレームワークに基づき、細胞内発現を最適化したscFvを生産するために、抗体ライブラリーを試料する新規な方法を提供することである。
本発明のこれら及び他の目的、特徴、利点は、開示された態様の下記の詳細な説明の考察後に明らかとなる。
(a)ライブラリー構築中の工程の図式的アウトライン。重要な工程は固有のヒトscFvフレームワークへの調整されたCDR3ループの導入;CAT酵素との融合及びCAMプレート上での選択による発現していないクローンの除去;13個のVHライブラリー及び5個のVLライブラリーの再結合、ファージ上の提示である。(b)データベースで回収されたCDR3ループの概要。(c)55個の再配列されたヒト抗体由来の5個のアミノ酸の長さのVH CDR3の各位置でのアミノ酸の分布。 CDR3の長さ分布の略図。データベース、及びライブラリーからの118個の配列決定されたクローンにおけるCDR3の長さの分布。 細胞質発現ベクターにおいてクローニングされ、T7プロモーターの調節下で大腸菌に発現されたライブラリー由来の20個のクローンのウェスタンブロット分析。ライブラリーからの20個のクローンは、細胞質発現ベクターにおいてクローニングされ、T7プロモーターの調節下で大腸菌に発現された。可溶性抽出物が調製され、SDS−PAGEによって分離され、9E10及びアルカリホスファターゼ結合した抗マウスIgG抗体(基質(BCIP/NBT)を用いた、クーマシー染色(a)又はウェスタンブロット(b)によって分析された。各レーンは、2×107個(2×10の7乗)の細胞に対応する。左の矢印は、scFvの位置を示す。 HeLa細胞において無作為に採取したscFv発現の選択された蛍光顕微鏡写真。細胞は、指示されたscFv−EGP構築物を用いてトランスフェクトされた。13R4及び1F4は、それぞれ、正及び負の対照を示す。トランスフェクションの24時間後、細胞を固定し、蛍光性イソチオシアネートフィルターセットを用いた蛍光顕微鏡下で視覚化された。顕微鏡写真は、各場合において同数の細胞を含む代表的なフィールドを示す。倍率:×400。 5つの精製されたタンパク質に対する結合剤の選択。(a)各ラウンドの選択由来の2.5×1010個のファージは、それらのそれぞれの抗原に対して、ELISAによって試験され、抗M13HRP結合したモノクローナル抗体(Pharmacia)を用いて曝露した。R0は選択されていないライブラリーであり、Rnは、第nラウンドの選択後に得られたストックである。特異性は、第3ラウンドの選択についてBSAに基づいて試験された(A450nm 約0.1−0.3)。(b)GST:Sykタンパク質に対する各ラウンドの選択からのモノクローナルファージは、(a)におけるELISAによって試験された。可溶性であり活性なscFvの割合(吸光度>0.1)は指示されたタンパク質に対して3ラウンド後に選択され、ペリプラズム(グレイ)又は細胞質(ブラック)のいずれかにおいて発現された。 HeLa細胞におけるEGFPに融合した抗ヒストンscFvの発現の顕微鏡写真。細胞は、図4の説明に示されるようにトランスフェクトされ、処置された。写真は、scFv13R4、3つの代表的な抗ヒストンクローン(2、5及び10)を用いてトランスフェクトされた典型的な細胞を示す。D、DAPI染色(青色)であり、GFPシグナルと重なる。 還元条件下で選択されたscFvの活性の発現のグラフ表示。細胞質におけるscFvを発現する細胞の抽出物は、10mMのDTTの有無により、図3に示されるように調製された。したがって、ELISAは、DTTの有無により行った。x軸:ウェルあたりの抽出物の量。y軸:450nmでのELISAシグナル。 細胞内発現抗体を用いてHeLa細胞の二重染色及び免疫蛍光法による顕微鏡写真。dsRed−モノマーGFPに融合された抗ヒストンクローン5(図6)を用いてHeLa細胞をトランスフェクトした。微小管は、抗チューブリンscFv 2F12C(表3)を用いてIFによってトランスフェクトされた細胞において表された。細胞は、視覚化するために適切な波長で観察された:(A)2F12C scFv(微小管単独);(B)クローン5細胞内発現抗体(ヒストン単独);(C)2F12C及びクローン5(微小管及びヒストン);(D)DAPIを用いて染色するCプラス核。
原核細胞又は真核細胞内で発現することができるscFvに富んだscFvライブラリーを構築するための方法が本明細書に提供される。scFvは、細胞内に存在する還元条件下でそれらの構造を維持し、細胞内の標的抗原に特異的に結合する能力を保持し、したがって、種々の治療及び研究アプローチにおける細胞内発現抗体として使用することができる。本明細書に記載される方法は、還元条件下で安定であるscFvのライブラリーを生産するために使用されるので、これらのライブラリーもまた原核細胞又は真核細胞によって発現し、及びそれらから精製され得るscFvの生産に有用である(例えば、細胞を溶解し、周知な技術によって所望のscFvを精製することによる)。このように精製されたscFvは、研究における使用、診断試験、疾患治療のための抗体として有用である。
インビボにおいて使用されるべきscFvを安定化させるための改善されたストラテジーは、細胞内発現のために調整されたscFvライブラリーを構築することである。理想的には、このようなライブラリーは、細胞の細胞質に見出されるものなどの、還元条件下でフォールドすることができるscFvだけを含むべきである。別のストラテジーは、細胞内発現抗体の選択のために単一の最適化された抗体フレームワークに基づいてscFvライブラリーを構築することである。
単一の最適化された抗体フレームワークに基づき、細胞内発現のために調整されている新規な抗体ライブラリーを構築する方法が本明細書に記載されている。分子進化を通じて、本発明者らは、大腸菌の細胞質に高レベルで発現する、scFv13R4と呼ばれるヒトscFvを得た。さらに、このscFvは、非常に発現され、可溶的であり、酵母及び哺乳動物細胞において標的抗原に特異的な結合活性を提示する。このscFvは、インビトロにおいて非常に安定であり、還元剤の存在下で復元可能である。さらに、そのフォールディング動力学の分析は、親scFvよりも速くフォールディングし、インビトロではよりゆっくりと凝集することを示した。
最適化されたscFv13R4のフレームワークに基づくヒトscFvライブラリーは、10億個を超えるクローンを含み、それらは、107〜108の従来のライブラリーと比べて大きい。本発明者らは、種々の異なる長さのVH及びVL CDR3ループをコードするように本ライブラリーを設計したため、本ヒトscFvライブラリーの多様性は、従来のライブラリーよりもはるかに大きい。さらに、本発明者らは、ヒトCDR3を模倣するCDR3ループをコードする変性オリゴヌクレオチド配列の偏向混合物を使用した。最適化されたCDR3ループ、発現していないクローンを排除するためのろ過工程を用いると、本発明者らは、発現していないscFvのライブラリーを取り除き、クローンの多様性を損なうことなしに細胞質で発現したscFvを保持し、これは、抗原として使用されるいくつかのタンパク質を用いた試験を通じて確認された。前述されたscFvライブラリーに反して、ライブラリー中の大部分のscFvは、大腸菌及び哺乳動物の細胞質において十分に発現する。
scFvライブラリーを構築するためのこの新しいアプローチは、機能的な細胞内発現抗体の容易かつ大規模な選択を可能にする。例えば、異なるタンパク質に対するいくつかの強力な結合剤は、Syk及びAurora−Aタンパク質キナーゼ、αβチューブリン二量体、パピローマウイルスE6タンパク質、コアヒストン、ガンキリン(gankyrin)、MAPK11−14を含み、ライブラリーから単離されている。選択されたscFvのいくつかは、細菌の細胞質において非常に高レベルで発現し、ほんの20mlの培養物から1mg以上の活性なscFvの精製を可能にする。さらに、標的抗原としてのコアヒストンに対する3ラウンドの選択後、半分を超える選択されたscFvが、インビボでヒト細胞において発現されると活性となり、基本的に核に局在した。こん新しいタイプのライブラリー、このようなライブラリーを創作及び用いる方法、このようなライブラリーから単離された抗体は、機能的な細胞内発現抗体の単純かつ大規模な選択のためだけでなく、多数のバイオテクノロジー、診断、治療用途において使用可能である高発現したscFvの発現及び精製のためにも有用である。
細胞内発現抗体
細胞内発現抗体は、細胞内で異所的に発現される遺伝子工学的に操作された抗体分子である。細胞内発現抗体は、生存細胞において標的化された抗原を視覚化又は阻害するために使用することができ、したがって、種々の研究及び医学的(例えば、診断及び治療的)用途における使用を見出す。しかしながら、細胞内発現抗体技術は、典型的な抗体発現ライブラリー中のほんの1%未満のscFvがインビボにおいて発現及び/又は活性となるには十分に安定であるという事実によって制限されている。これは、細胞内環境が、非常に多くのscFvが安定性のために必要とする2つの保存されたジスルフィド結合を減少するためである。還元条件下で安定であり、したがって、細胞内発現抗体としての使用に適しているscFvに非常に富んだscFvのライブラリーを生産する方法が本明細書に記載されている。細胞内発現抗体は、細胞内発現抗体を使用する種々の研究、診断、及び治療的アプローチのために用いることができる。
大部分の場合において、効果的な細胞内発現抗体を得るために、2つの連続工程を現在必要とする。第1に、標的抗原に対する一団の抗体が単離されなければならない。ファージに提示される非常に高い質であって、未使用の抗体の利用性により、この工程は、現在、同時にいくつかのタンパク質に対する結合剤を単離するために、ファージディスプレイによって容易に達成され、自動化され得る。第2工程では、これらの抗体フラグメント(scFv又はFab)は、それらの標的を阻害する能力について、インビボにおいて試験されなければならない。しかしながら、大部分のscFvは、大部分の関心のある標的が局在する細胞質及び細胞の核において見出される還元条件下で適切にフォールディングしない。これは、scFvの凝集及び不活性化をもたらす可能性があり、それらの標的と相互作用することができない。1%未満のscFvは細胞内発現抗体として効果的であるため、タンパク質に対する単一の結合剤を得ることは、100個のscFvの単離を必要とし、この数は、多くの場合において得られる可能性がない。これは、2ハイブリッド又は同等のシステムを用いてインビボで行われるときでさえ、標準のscFvライブラリーからの細胞内発現抗体を同定するプロセスを異なる手法にする。さらに、現在のライブラリーに含まれる低い割合の活性なscFvは、スクリーニングされた潜在的なレパートリーの100倍の減少をもたらし、同じタンパク質の異なるエピトープに対する細胞内発現抗体の単離を不可能にする。
ライブラリー
細胞内発現のために最適化されたscFvの新規なファージディスプレイライブラリー、このライブラリーを構築及び使用する新規な方法が本明細書に記載されている。ライブラリーは、細胞質内で改善された活性のために選択される親scFvの単一の抗体フラグメントに基づいて構築される。親scFvは非常に安定であり、好ましいフォールディング及び凝集動力学を有し、全ての試験された細胞型において非常に高レベルで発現される。ライブラリーの構築のために単一のフレームワークを有することは、それらの配列の大部分が保存されているので、クローン間でより匹敵する発現レベルを可能にしなければならない。
しかしながら、CDR配列はまた、scFvフォールディング及び発現において役割を果たすので、本発明者らは、クローンの発現レベルはさらにいくつかの変動性をさらに示す。これらの相違を最小限にするため、本発明者らは、CDR3ループ内にのみ変動性を導入し、それは、これらのループが、抗体において最も可変的であり、したがって、配列及び長さのバリエーションに非常に寛容である可能性がより高いためである。CDR3における変動性の導入は、大部分のタンパク質に対する抗体を生じさせるには十分である。さらに、本発明者らは、天然のヒト配列中に観察された分布を回復するようにこれらのループ内のアミノ酸の頻度を注意深く偏らせた。無作為に選択されたクローンの発現レベルが細胞質において比較されると、いくつかの明確な相違にかかわらずに、高い割合のものが大腸菌及び哺乳動物細胞において正確に発現された。細胞内に発現されたscFvのこの比率は、前述のライブラリーにおけるものよりも非常に高い。
また、本発明者らは、5つの異なるタンパク質(Aurora−A、GST:Syk、チューブリン、ヒストン、及びパピローマウイルスHPB16由来のE6タンパク質)に対する結合剤(即ち、選択された標的抗原に特異的に結合する抗体)を選択することができた。その後の研究では、本発明者らはまた、ガンキリン及びMAPK11−14を含む新しい標的に対する結合剤を有する。MAPK11−14については、関与する4つのタンパク質は、p38MAPキナーゼの4つの異性体である。これらのタンパク質は、非常に相同(約60〜74%の同一性)である。全てのケースにおいて、本発明者らは、選択のために使用されるアイソフォームに特異的なscFvを単離することができた。これは、このライブラリーから単離することができたscFvの特異性を強調する。
scFvライブラリーを構築する際の度重なる関心事は、ライブラリーの多様性及びサイズの同時の最適化である。一般に、このようなライブラリーの大きさは、約1010個のクローンに対する形質転換効率によって制限される。この制限された数のクローンにより、したがって、発現していないscFv又は二重を避けることは、非常に重要である。この問題を解決するために、本発明者らは、第1に、細胞内発現のために絶えず最適化された抗体フレームワークを選択し、次に、2工程の手法を用いて、ライブラリーをさらに最適化した。
第1に、本発明者らは、scFvライブラリー(下記の実施例1を参照)を構築するために使用される、各CDR3の長さ(13VH CDR3の長さ、5VL CDR3の長さ)について18個の「小さな」ライブラリーを構築した。これらの18個のライブラリーの各々は、無作為化されたCDR3によって、親scFv13R4の対応するCDR3を置換することによって作製された。次に、1個及びたった1個の無作為化されたCDR3を有する得られたライブラリーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードする遺伝子に融合され、本発明者らは、選択可能なマーカーとしてしたものである。各CDR3ライブラリーの大腸菌へのトランスフェクション後、ライブラリーは、大腸菌の細胞質において発現されたCDR3−CAT融合体について選択するためのクロラムフェニコール(CAM)含有培地に置かれた。この工程は、約10〜30%によって各ライブラリーの多様性を減少させた。
CAT遺伝子は本明細書において与えられた実施例において使用されるが、当業者は、任意の適切な選択可能なマーカーをコードする核酸は、CDR3をコードする核酸と融合され、原核細胞又は真核細胞で発現されるscFvのためのscFvライブラリーを豊富にするために本明細書に与えられた方法に使用され得ることを理解する。例えば、細菌細胞における使用のための適切な選択可能なマーカーには、限定されないが、カナマイシン耐性遺伝子が含まれる。哺乳動物における使用のための選択可能なマーカーの例には、限定されないが、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、プロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子が挙げられる。酵母細胞のための選択可能なマーカーの例には、URA3、HIS3、及びpurEが挙げられる。さらに、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその誘導体、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、又は他のルミネッセント、蛍光分析、及び/又は比色分析用マーカーなどのマーカーは、全ての細胞型において、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)を用いて使用され、発現され得るscFvをコードするクローンに対するscFvライブラリーに富んでいる。当業者は、本明細書に記載されているscFvライブラリーを構築するための適切な選択可能なマーカー及び適切な選択スキームを選択するために、本明細書に記載の技術をどのように使用するか、さらに、当該技術分野において何が知られているかを理解する。
第2の工程では、本発明者らは、VL領域及びscFv13R4の元々のVLにおける新しいCDR3配列を含む新たに生じたscFvクローンが発現され、VL領域及びscFv13R4の元々のVH領域における新しいCDR配列を含む新たに生じたscFvクローンが発現される場合に、VH領域における新しいCDR3配列及びVL領域における新しいCDR3配列を含む組換えscFvクローンもまた発現され、それによって、発現されただけのscFvを含むライブラリーを生じるという仮説に基づいて、最終の多様性を生じさせるために選択されたVH及びVLライブラリーを無作為にアセンブルさせるためにPCRを使用した。無作為に選択された20個のクローンのうちの19個が、大腸菌の細胞質において可溶性形態で少なくとも部分的に発現されたため、これはそのケースであった。重要なことには、この選択工程は、ライブラリー構築中の初期に行われるので、最終のライブラリーの多様性は、最終の形質転換によって限定されるだけであった。この最終の組換え工程は、高い多様性によって生じることによって、全てのクローンが最終ライブラリーにおいて固有となることを確認した。要するに、このアプローチは、15億個の発現した異なるscFvのライブラリーをもたらした。
大規模での細胞内発現抗体としてのscFvの成功使用は、ライブラリーによって実行されるためのいくつかの本質的なポイントを必要とする。第1に、scFvは、単離が容易でなければならない。これは、現に記載された方法についてのケースであり、本発明者らは、試験した全てのタンパク質に対する結合剤を単離することができただけでなく、単一サイクルの選択が100%に近い結合剤を得るには十分でもあった。この非常に高い濃縮率は、十分に発現したscFvのみを含む、高い質の偏ったライブラリー、及びトリプシン感受性のヘルパーファージKM13の使用に起因して推定される。これは非常に重要なことであり、細胞内発現抗体としてのscFvのインビボでの試験前に、単一のパンニングサイクルを使用することが可能であり、標的化されたエピトープのより良好な多様性を可能にする。また、この高い濃縮率は、パンニング工程に必要とされる精製された抗原の量を大量に低減する。本発明者らは、ウェルあたり1μg程度のタンパク質を用いて、マイクロタイタープレートに選択することができた。ELISAによる結合活性の更なる選択及び確認は、結合剤の非常に高い比率のために必要ではないため、現に、非常に少量の抗原を用いて良好な細胞内発現抗体を単離することができる。第2に、scFvは、全ての細胞コンパートメントにおいて、特に細胞質及び核などの還元部分においてフォールディングできなければならない。再度、これは、試験された80%を超えるクローンが、細胞内で少なくとも部分的に可溶であるため、本明細書に記載されたscFvライブラリーに対するケースである。さらに、本発明者らは、良好な細胞質結合剤が、大腸菌及び真核細胞においてscFvを選択したファージにおいて得ることができたことを示した。
少なくとも約:106、5×106、107、5×107、108、5×108、109、1.5×109、5×109、1010、5×1010、1011、5×1011、1012、1013、1014、1015、又は1016個の固有のscFvクローンを含む抗体ライブラリーが本明細書に提供され、ここで、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、又はそれを超えるscFvクローンは、そのscFvクローンによってコードされた抗体が細胞内で(細胞内発現抗体として)発現される場合、標的抗原に検出可能に特異的に決グリコサミノグリカンすることができる抗体をコードする。本明細書に記載のscFvは、標的抗原に検出可能に特異的に結合することが望まれる任意の原核細胞又は真核細胞(例えば、限定されないが、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、両生類細胞、トリ細胞、哺乳動物細胞など)において標的抗原に検出可能に特異的に結合するために発現可能である。
「特異的に結合する」とは、scFv抗体が、別の抗原よりもむしろ標的抗原に優先的に結合することを意味する。「検出可能に特異的に結合する」とは、その標的抗原へのscFv抗体の特異的結合が観察されることを意味し、例えば、限定されないが、scFv抗体がその標的抗原に結合する細胞内での表現型の変化、又はscFv抗体とその標的抗原との間の相互作用の減少(例えば、scFv抗体とその標的抗原の細胞内での同時局在化)が挙げられる。
典型的な使用
本明細書に記載のライブラリーは細胞内発現抗体の単離のために最適化されているが、ライブラリーもまた、診断及び治療用途のためにscFvを選択することができる。さらに、本発明者らは、発現されたヒト配列を用いてCDR3多様性を設計したので、ライブラリーに存在するscFvは、完全なヒトであり、患者の抗scFv抗体応答を誘導してはならない。
本明細書に記載のライブラリー、及びそれによって生産される抗体は、機能的な細胞内発現抗体を同定するためだけでなく、多数のバイオテクノロジー及び治療用途において使用され得る高度に発現したscFvの単離のためにも有用である。例えば、ライブラリー及びそれによって生産される抗体は、遺伝子送達ストラテジー治療薬、創薬ツール、望ましくない標的分子の凝集を妨げること、ミスフォールドしたタンパク質障害に関連した疾患状態に対抗すること、癌関連の標的に結合し、中和し、その機能を調節することに可憐した使用を有し、限定されないが、それらを含んでもよい。
例えば、本明細書に記載の細胞内発現抗体は、sykチロシンキナーゼ、及びアレルギー性障害に関わる他のタンパク質の活性を調節するために使用することができる(例えば、WO2005106481を参照;また、Ulanova et al.,Expert Opin Ther Targets 2005,9:901−921も参照。MAPキナーゼ(MAPK)は細胞増殖の主要なメディエーターであり、多くの場合、癌治療における阻害のために標的化される(例えば、Sebolt−Leopold JS and Herrera,R,Nat Rev Cancer,4:937−947(2004)を参照)。他の関心の高い標的は、微小管、及び関連タンパク質である(Jordan MA and Wilson,L,Nat Rev Cancer,4:253−265(2004)を参照)。
免疫抗体は、例えばVillani,MEら(Immunomodulation of cucumber mosaic virus infection by antibodies selected in vitro from a stable single−framework phage display library,Plant Molecular Biology 58(3):305(2005))に記載の方法を用いて、作物などの市販用に価値のある植物の疾患を処置又は予防するために使用可能である。
本明細書に記載の細胞内発現抗体は、ヒト又は動物細胞における感染を治療又は予防するために使用することができる。例えば、細胞内発現抗体は、例えば、Swan,CH et al,T−cell protection and enrichment through lentiviral CCR5 gene delivery,Gene Ther.13:1480−1492に記載の方法を用いて、ヒト免疫不全ウイルスによる細胞の感染を治療、改善、又は予防するために使用可能である。
本明細書に記載の細胞内発現抗体は、例えば、Miller,TWら(A human single−chain Fv intrabody preferentially targets amino−terminal Huntingtin’s fragments in striatal models of Huntington’s disease,Neurobiol dis.19:47−56(2005))及びMiller及びMesser(Intrabody applications in neurological disorders:progress and future prospects,Mol.Ther.12:394−401(2005)に記載される神経障害に関与するタンパク質を標的化するために使用することができる。
本明細書に記載の細胞内発現抗体は、例えば、Williams,BR及びZhu,Z(Intrabody−based approaches to cancer therapy:status and prospects,Current med Chem 13:1473−1480(2006)、並びにDoorbar J.及びGriffin H.(2007)Intrabody strategies for the treatment of human papillomavirus−associated disease.Expert Opin.Biol.Ther.7(5),677−689に記載されるような癌タンパク質などの癌に関連したタンパク質を標的化することによって癌治療に使用することができる。
本明細書に記載の細胞内発現抗体は、例えば、Fang CYら(Modulation of EpsteinO−Barr Virus Latent Membrane Protein 1 Activity by Intrabodies,Intervirology 50:254−263(2007))に記載の感染原によって発現されたタンパク質を標的化することによって感染(例えば、限定されないが、Epstein−Barrウイルス)を治療するための使用可能である。
本明細書に記載されるように、細胞内発現抗体は、対象とする細胞内発現抗体をコードする発現ベクターを細胞に投与することによって細胞に投与し得る。細胞内発現抗体の発現に適切な発現ベクターは、当該技術分野において周知である。本明細書に記載の細胞内発現抗体をコードする発現ベクターの投与は、多数の周知なアプローチのいずれか1つ、例えば、限定されないが、単独でのプラスミド又はウイルス発現への核酸の直接的な転移、又は陽イオン性リポソームなどの担体との組み合わせによって達成することができる。このような発現ベクター(発現ベクターが細胞内に導入された場合に操作可能に連結されたコーディング配列を発現するのに適切であるプロモーター及びエンハンサー配列を含む)、このようなベクターの作製、使用、及び細胞への送達する方法は、当該技術分野において周知であり、細胞への細胞内発現抗体を投与するための使用に容易に適合され得る。
ベクターは、細胞に遺伝子を送達するための任意のヌクレオチド構築体であってもよく、例えば、プラスミド又はウイルスベクター、例えば、組換えレトロウイルスゲノムをパッケージすることができるレトロウイルスベクターが挙げられる(例えば、Pastan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:4486,1988;Miller et al.,Mol.Cell.Biol.6:2895,1986を参照)。次に、組換えレトロウイルスを使用して感染させ、それによって、感染した細胞に本発明の核酸を送達することができる。変更した核酸を哺乳動物に導入する正確な方法は、当然に、レトロウイルスベクターの使用に限定されない。他の技術は、この手法に幅広く利用可能である。例えば、アデノウイルスベクター(Mitani et al.,Hum.GeneTher.5:941−948,1994)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(Goodman et al.,Blood 84:1492−1500,1994)、レンチウイルスベクター(Naidini et al.,Science 272:263−267,1996)、偽型レトロウイルスベクター(Agrawal et al.,Exper.Hematol.24:738−747,1996)の使用が挙げられる。また、物理学的な遺伝子導入技術を使用することができ、リポソーム送達、受容体を媒介した他のエンドサイトーシス機構が挙げられる(例えば、Schwartzenberger et al.,Blood 87:472−478,1996を参照)。本発明は、これらの又は他の通常使用される遺伝子導入法のいずれかと組み合わせて使用可能である。トランスフェクションのための適切な手段には、ウイルスベクター、化学的形質転換体、又は物理機械的な方法、例えば、エレクトロポレーション及びDNAの直接的な分散が挙げられ、例えば、WolfF,J.A.,ら,Science,247,1465−1468,(1990);Wolff,J.A.Nature,352,815−818,(1991)に記載されている。
細胞透過性細胞内発現抗体(トランスボディ)は、scFv抗体と、例えば、Heng,BC及びCao,T(Making cell−permeable antibodies (Transbody)through fusion of protein transduction domains(PTD)with single chain variable fragment(scFv)antibodies:potential advantages over antibodies expressed within the intracellular environment(Intrabody),Med Hypotheses 64:1105−1108(2005))に記載される方法に従って、細胞透過性抗体が細胞膜を通過し、細胞に入るのを可能にするタンパク質遺伝子導入ドメイン(PTD)とを融合することによって細胞に投与可能である。あるいは、scFvは、完全抗体(Courtete J.,Sibler A.P.,Zeder−Lutz G.,Dalkara D.,Zuber G.&Weiss E.(2007)Suppression of cervical carcinoma cell growth by intracytoplasmic co−delivery of anti−oncoprotein E6 antibody and siRNA.Mol.Cancer Ther.6,1728−36)を用いた場合に示されるように、陽イオン性脂質と混合し、効率的に細胞に送達可能である。このような細胞透過性細胞内発現抗体は、細胞培養において(例えば、研究目的で)使用可能であり、研究目的で使用可能である(例えば、感染原を有することが疑われるヒト、動物、又は植物由来の細胞の試料中のウイルス又は微生物を検出することを目的とする)。このような細胞透過性細胞内発現抗体は、特定の標的抗原の活性を調節し、それによって動物における表現型を変更するために研究動物に投与することができる(例えば、限定されないが、全身投与、例えば、研究動物への細胞内発現抗体を静脈内に投与することによる、又は局所投与による)。また、このような細胞透過性細胞内発現抗体は、ヒト又はヒト以外の動物患者に投与し、上述される疾患又は感染を治療又は予防することができる。例えば、細胞透過性細胞内発現抗体は、静脈内、局所、経口、又は他の周知な方法によって投与することができ、当業者に承認される。
大規模な抗体生産のための本scFv抗体の使用
scFv抗体クローンは還元条件下でフォールドする抗体をコードするので、本明細書に記載のライブラリーもまた、細胞(例えば、細菌細胞などの原核細胞、又は酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞などの真核細胞など)内にscFv抗体を発現させることによって大量に生産され得るscFv抗体を同定し、細胞からscFv抗体を単離するために有用である。大量の抗体を精製することが望まれる一本鎖scFv抗体は、限定されないが、例えば、実験室研究において有用であるscFv抗体が含まれ、医学的診断試験用、市販の診断試験又は他の種類の診断試験用(飲料水又は食物における汚染した微生物を検出するため)、抗体治療用(癌を治療するため、又は抗体が疾患を治療するために使用可能である感染又は他の種類の疾患を治療するため)が挙げられる。
発現したscFv抗体の単離のための抗体ライブラリーが本明細書に提供され、ここで、抗体ライブラリーには、少なくとも約:106、5×106、107、5×107、108、5×108、109、1.5×109、5×109、1010、5×1010、1011、5×1011、1012、1013、1014、1015、又は1016個の固有のscFv抗体クローンを含み、ここで、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又はそれを超えるscFv抗体クローンは、細胞内で発現することができ、OD600nmが約5となるまで増殖させたフラスコ内の細胞1リットルあたり、少なくとも5mg、8mg、10mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、又は50mgを超えるレベルで可溶性抗体を生産する。
細胞由来の発現したscFv抗体などのタンパク質を発現及び精製するための多くの十分に許容されるアプローチがあり、当業者は、scFv抗体を発現及び精製する細胞発現系の最も適切なタイプをどのように選択するのかを理解する。タンパク質発現のための方法を記載する多くのマニュアルが当該技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,2006を参照されたい。
定義
「固有の配列」とは、scFv抗体クローンの回収の中で、scFv抗体クローンの回収に含まれる他のクローンのCDR3配列とは異なるCDR3配列を含む少なくとも106個のクローンが存在することを意味する。scFv抗体クローン又はこのようなクローンのライブラリーに関して、「固有の配列」は、scFv13R4内の対応する位置に存在する配列とは異なっている。
用語「抗体フラグメント」及び「フレーム配列」とは、scFv抗体クローンの任意の固有でない位置、例えば、固有のCDR3 VH領域及び/又は固有のCDR3 VL領域でないscFv抗体の任意の位置を意味する。本明細書において言及されるように、抗体フレーム又はフレームワーク配列は、本ライブラリーが基礎とする親scFvクローンであるscFv13R4のものである。
「実質的に同一」とは、比較される2以上のアミノ酸配列が、少なくとも98%、98.5%、99%、又は99.5%同一であるか、あるいは比較される2以上の核酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸残基は、98%、98.5%、99%、99.5%同一であるアミノ酸配列をコードすることを意味する。
「共通配列」は、scFvクローンの間で共有するヌクレオチド又はアミノ酸配列を意味する。
「scFv抗体クローン」とは、VH CDR3ドメイン、VL CDR3ドメイン内、又はVH及びVL CDR3ドメイン内の固有の配列を含むscFv抗体の個々の種をコードする核酸分子を意味する。
「標的抗原」とは、標的抗原ではない別の抗原への特定抗体の結合と比較して、特定の抗体によって優先的に結合される抗原を意味する。
「特異的に結合する」とは、抗体が、他の抗原に対する抗体の結合と比較して、特定の標的抗原に強力にかつ優先的に結合することを意味する。
「異所的に発現される」とは、対象とする抗原の発現が特定種の細胞内に自然には発現しないことを意味し、この場合、抗体が発現し、即ち、抗体が、細胞内に発現される。これは、抗体をコードする発現構築物は、細胞内に導入されている。
「単離された」又は「精製された」とは、scFV抗体が、生成された細胞内の他の生物学的成分とは実質的に分離され、そこから分離して生成され、又はそこから分離して精製され、即ち、他の細胞タンパク質、DNA、RNA、脂質などの他の細胞成分とは実質的に分離されていることを意味する。用語「単離された」又は「精製された」は、完全な精製を必要としない;むしろ、相対的な用語として意図される。好ましくは、scFv抗体は、他の細胞成分とは分離された精製されるか又は単離され、その結果、scFv抗体は、scFv抗体調製物の全含有量の少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれを超えて示される。
「可溶性」抗体は、抗体分子が凝集形態ではないことを意味する。可溶性抗体は、その標的抗原に特異的に結合する能力を有する。
「実質的に可溶性」とは、本明細書に記載される少なくとも20%、例えば、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又はそれを超えるscFv抗体が適切にフォールドされ、したがって、その標的抗原に特異的に結合することができる。
実施例1:細胞内発現のために最適化されたscFvライブラリーの構築
材料
細菌株、化合物及び酵素
LB及び2×YT培地は、前述される(Miller,J.H.A Short Course in Bacterial Genetics:a Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria.Cold Spring Harbor Laboratory Press;1992)。菌株C−Max5F’(Bio−rad laboratories)は、大腸菌K−12,[F’lacfq Tn10]ψ80dlacZΔM15デルタ(lacZYA−argF)U169 recA1 endA1 hsdR17(rk -k +)phoA supE44λ−thi−1 gyrA96 relA1である。MC1061(ATCC #53338)は、大腸菌K−12、F−λ−hsdR2 hsdM+ hsdS+ mcrA mcrB1 araD139Δ(ara−leu)7696Δ(lacIPOZY)X74 galE15 galU galKl6 rpsL thiである。非サプレッサー菌株HB2151は、大腸菌K−12[F’proA++ laclq lacZΔM15]araΔ(lac−pro)thiである。化合物はSigmaから購入した。制限酵素及びクローニングされたTaqポリメラーゼはFermentasから購入した。ProofStart及びPfu DNAポリメラーゼは、それぞれQiagen及びPromegaから購入した。プラスミドDNA、PCR及びアガロース分離したDNAは、Macherey−Nagel Nucleospinキットを用いて精製した。
オリゴヌクレオチド
変性CDR3ループを導入するために使用される18個のスパイクされたオリゴヌクレオチドを合成し、IBA GmbH(Goettingen,Germany)によって高速液体クロマトグラフィー(HPLS)を用いて精製した。18個のスパイクされたオリゴヌクレオチドの配列は下記の通りである。H3 n=n個のアミノ酸の長さVH CDR3ループ;K3 n=n個のアミノ酸の長さVLカッパ(κ)CDR3ループ;L3 n=n個のアミノ酸の長さVLラムダ(λ)CDR3ループ。変性位置に関して、4塩基の割合は、N(A/C/G/T)として与えられる。各スパイクされた(変性された)位置で使用される各ヌクレオチドの割合は、下記の表1に示されている。
Figure 0005385796
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表1.
*変性した位置に関して、4塩基の割合はN(A/C/G/T)として与えられる。
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ライブラリーを構築するために使用される他のオリゴヌクレオチドは、MWGによって合成され、下記の配列を有する:
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プラスミド
ファージミドベクターPhagemid vector pCANTAB6(McCafferty J et al.,Appl Biochem Biotechnol 1994,47:157−171)は、線状ファージM13のマイナーコートタンパク質pIIIへのNcoI/NotI−scFvフラグメントのN末端融合のために使用された。このファージミドは、pUC119由来であり、下記の順番で下記の配列を含む:lacプロモーター、pelBリーダー配列、scFvクローニングのためのNcoI及びNotI部位、9E10モノクローナル抗体によって認識されるHis6及びc−mycタグ、アンバーコドン及びpIII遺伝子配列。
大腸菌におけるscFvの細胞質発現のために、本発明者らは、プラスミドpET23NNを使用した。このプラスミドは、pET23d(+)(Novagen)由来であり、T7プロモーター、その後、ATG開始を含むNcoI部位、NotI部位、その後、c−myc及びHis6タグを含む。
プラスミドpscFv CATはpTrc99A由来であり、tacプロモーター、その後、フレーム外のscFvのATG開始を含むNcoI部位、NotI部位、その後のCAT遺伝子を含む。scFvがNcoI−NotI部位内に挿入されると、scFvは、CATタンパク質との融合体として発現される。構築は下記の通り行った:第1に、pTrc99A(A13038)の固有のBstEII部位は、消化、その後、平滑末端を形成するための5’突出の埋め、連結によって除去される。得られるプラスミドは、NcoI及びNotIにより消化され、4210bpのフラグメントが精製された(フラグメントI)。第2に、CAT遺伝子内に位置したプラスミドpACYC184(X064043)は、部位特異的突然変異によって除去され、ACCのThr172からACGに変更した。次に、CAT遺伝子はCAT−NotI.for(TAAGGCGGCCGCAATGGAGAAAAAAATCACTG;配列番号28)及びCAT−HindIII.back(ACTGCCTTAAAAAGCTTACGCC;配列番号29)を用いたPCRによって増幅させた。オリゴヌクレオチド配列では、導入された制限部位に下線を引き、CAT遺伝子の開始及び終止をボールド・イタリックとした。660bpのPCRフラグメントは、NotI及びHindIIIによって消化し、精製した(フラグメントII)。第3に、750bpのNcoI−NotI scFv13E6フラグメント(抗E6モノクローナル抗体のCDRループを含むscFv13R4のグラフトされたバージョン。Philibertらにより公開)を精製した(フラグメントIII)。第4に、3つのフラグメントI、II及びIIIを連結し、プラスミドpscFvCATを得た。最後に、165bpの内部欠失は、この遺伝子の2つのPstI部位の間のフラグメントを除去することによってscFvに導入された。得られたプラスミドは、pscFvCATと呼ばれ、AmpR及びCAMSである。これは、PstIフラグメントの欠失は、scFvにおけるフレームシフトをもたらすためである。
プラスミドp513−EGFPは、pSG5の誘導体(Green,S.,et al.Nucleic Acids Res 1988,16:369)、SV40初期プロモーターの調節下で、EGFPコーディング領域(Clontech,Inc.)を囲む。p513−scFv−EGFP構築物は、10残基のリンカーを有するscFv及びEGFPコーディング領域コーディング領域のフレーム融合体に対応する。
scFvコーディング領域はオリゴヌクレオチドプライマー5’−ACTGATAAGCTTGCCACCATGGCCGAGGTGC(配列番号30)及び5’−TTGATTACTAGTGAGTTTTTGTTCTGCGGCC(配列番号31)を用いて増幅させ、HindIII−SpeI消化したp51 3−EGFPベクターに挿入した。
最適化された抗体フレームワーク
scFVライブラリーの効果を最大限にするために、ライブラリーの構築は、細胞内発現抗体の選択のための単一の最適化された抗体フレームワークの選択から開始した。分子進化を通じて、scFv13R4と呼ばれるヒトscFvを得て、それは、大腸菌の細胞質に高レベルで発現する。また、このscFvが発現し、酵母及び哺乳動物細胞の両方において可溶性であり活性な構造を有する。このscFvは、インビトロでは非常に安定であり、還元剤の存在下において復元することができる。さらに、そのフォールディングの分析は、親scFvよりも速くフォールディングし、インビトロではよりゆっくりと凝集することを示す。単離された変異体は、主に、VHドメインに局在化し、この特定のscFvに非常に特異的であるように見え、それは、それらが非常に相同なVHドメインに転移することができないためである。scFv13R4のヌクレオチド及びアミノ酸配列を下記に示す。
Figure 0005385796
方法
CDR3配列のデータベース
KabatデータベースのRelease 5(1992年8月)を用い(Johnson,G.,及びWu,T.T.:Kabat Database and its applications:30 years after the first variability plot.Nucleic Acids Res 2000,28:214−218)。このデータセットには44990配列が含まれる。第1に、4643個のヒトVH配列は、偽遺伝子ではなく、ヒト化されておらず、抽出された。次に、H3配列は、このデータセットから抽出され、最初に、存在する場合にはヌクレオチド配列を考慮し、次にアミノ酸を考慮する。最後に、僅か20個の標準のアミノ酸を含む3469個の完全なH3配列が、2703個が固有である中で維持された。同じ手法は、それぞれλ及びκ軽鎖のために行われ、775個及び828個が固有である1044及び1291個の配列をもたらした。
2003年11月27日に既存のIMGT/LIGM−DBデータベースからのCDR3配列も抽出された(Giudicelli,V.,et al.IMGT/LIGM−DB,the IMGT(R) comprehensive database of immunoglobulin and T cell receptor nucleotide sequences.Nucleic Acids Res 2006,34:D781−784)。「生産的/標準の/ヒト/cDNA+RNA/再配列された」遺伝子が考慮された。519H3、1432K3、及び1131L3配列が得られ、そのうち、4323H3、974K3、及び812L3配列は固有であった。
また、127個の追加のヒト抗体配列は、タンパク質データベース(Berman,H.M.,et al.The Protein Data Bank.Nucleic Acids Res 2000,28:235−242.)から回収した。この目的で、本発明者らは、2003年8月19日にAndrew Martinによって既にコンパイルされた510個の配列のファイルを使用した(Allcorn,L.C.及びMartin,A.C.R.SACS−self−maintaining database of antibody crystal structure information. Bioinformatics 2002,18:175−181)。
スパイクされたオリゴヌクレオチド設計
アミノ酸の表示を偏らせることにおいて、3つのコドン位置の各々でのヌクレオチドの最適化された混合物が前述のように設計された(Wang,W.,及びSaven,J.G.Designing gene libraries from protein profiles for combinatorial protein experiments.Nucleic Acids Res 2002,30:el20;Park,S.,et al.Progress in the development and application of computational methods for probabilistic protein design.Comput Chem Eng 2005,29:407−421)。タンパク質配列の未成熟終了は、停止コドンを実現する可能性に上界の0.05を課すことによって制限された。アミノ酸の所望の可能性を十分に回収しなかった34個の位置については、第2の最適化が同じ方法でなされたが、停止コドン頻度に制限を課さなかった。オリゴヌクレオチド合成に関して、計算された頻度は、下記の通り、5%増加の範囲内であった:0%〜5%の間の全ての頻度は、5%の概数で表された;他の頻度は、最も近似の5%の概数で表された;得られた合計が100%を超える場合、5%は、5%を超える概数で表されたアミノ酸頻度から除去され、概数で表された頻度と標的頻度との間の相違は最大であり、合計まで累次積分されたプロセスは100%であった;この合計が100%を下回る場合、5%は、95%を下回る概数で表された頻度に添加され、概数で表された頻度と標的頻度との間の相違は最大となり、合計まで累次積分されたプロセスは100%であった。
VH及びVLライブラリーの構築
可変CDR3配列は、鋳型プラスミドpAB1−scFv13R4p(Martineau,P.,及びBetton,J.M.In vitro folding and thermodynamic stability of an antibody fragment selected in vivo for high expression levels in Escherichia coli cytoplasm.J Mol Biol 1999,292:921−929.)を用いたホットスタートプルーフリーディングポリメラーゼ(ProofStart,Qiagen)によりPCRアセンブリによってscFv13R4に導入された。ランダムH3ループを導入するために、ランダムH3配列を有する5’の遺伝子が、オリゴヌクレオチドM13rev−49及び13個の変性オリゴヌクレオチドの1つを用いて得られ、3’は、PliaisonH3及びM13uni−43(55℃で20サイクルについて)で得られた。このようにして、2つの精製されたバンドは、M13rev−49及びM13uni−43を用いたPCR(30サイクル、55℃)によってアセンブリされた。得られたPCRは、市販のキット(Nucleospin,Macherey−Nagel)を用いて精製され、NcoI及びNotI酵素を用いて16時間、37℃で設計され、次にゲル上で精製された。同じ手法は、使用されたプライマー対が5’端についてはM13rev−49/PliaisonL3であり、その遺伝子の3’部分については、M13uni−43を含むL3/K3ループ(K3 n又はL3 n)をコードする変性オリゴヌクレオチドの1つであることを除いては、ランダムL3及びK3ループを導入するために行われた。
各々の消化されたバンドは、100μlの1μgのNcoI−NotI消化され、精製されたpscFvΔCATに、T4 DNAリガーゼの10Weiss単位を用いて16時間、16℃で連結された。連結は、熱処理による不活性化され、市販のキット(Nucleospin)を用いて精製された。次に、連結は、300μlのMC1061コンピーテント細胞(Sidhu,S.S.,et al.Phage display for selection of novel binding peptides.Methods Enzymol 2000,328:333−363)に電気泳動され、100μg/mlのアンピシリンを含むLBの600cm2の正方形プレート上に撒かれ、次に16時間3℃でインキュベートした。18個のライブラリー(13BH及び5VL)は、10%グリセロールを含む10mlのLBに播種され、109個の細菌は、即座に、100μg/mlのアンピシリン、1mM IPTG及び30μg/mlのCAMを含むLBの600cm2の正方形プレート上に撒かれ、16時間37℃でインキュベートされた。その後、ライブラリーは、10%グリセロールを含む10mlのLBに播種され、−80℃で凍結された。アリコートを用いて、ライブラリーアセンブリーのためにDNAを調製した。
ライブラリーアセンブリー
13個のVHライブラリーは、Pfuポリメラーゼ及びプライマーM13rev−49/PliaisonH3.backを用いて増幅させ、5VLライブラリーは、scFvCAT.rev/H3 Liaisonを用いて増幅させた(30サイクル、55℃)。18個のPCRバンドを最初に精製し、次に、ImageJソフトウェアを用いてゲル上で注意深く定量した。13個のVHライブラリーは、ヒトH3におけるそれらの頻度に比例した量でプールされた。このミックスは、VHプールと呼ばれた。2個のVLκバンドは、75%の9アミノ酸長のループ、25%の10アミノ酸長のループを得るためにプールされた。VLλバンドは、30%の9アミノ酸長のループ、30%の10アミノ酸長のループ、40%の11アミノ酸長のループを得るためにプールされた。最後に、κ及びλミックスは、VLプールと呼ばれる最終のミックスに各クラスの50%を得るためにプールされた。
VHプール及びVLプールは、500μl中で、TaqDNAポリメラーゼ、プライマーM13rev−49/scFvCAT2.revを用いたPCRによってアセンブリされた(30サイクル、55℃)。PCRは、少なくとも各々6時間、NcoI及びNotIの20ユニットを用いて首尾よく消化し、精製し、その後、ゲル上で定量した。50μgのベクターpCANTAB6は、各々少なくとも6時間、80ユニットのNcoI及びNotIで首尾よく消化され、精製され、次に、ゲル上で定量された。5μgの直線化されたpCANTAB6は、50WeissユニットのT4 DNAリガーゼを用いて、16℃で500μlにおいて、等モル量のインサート(0.84μg)と連結された。連結は熱により不活性化され、市販のキット(Nucleospin)を用いて精製された。次に、精製された連結は、10×300μlのC−Max5αF’コンピーテント細胞においてエレクトロポレートされ(Sidhu,S.S.,et al.Phage display for selection of novel binding peptides.Methods Enzymol 2000,328:333−363)、1%のグルコース及び100μg/mlのアンピシリンを含むLBの10個の600cm2の正方形プレート上に播種された。16時間37℃でのインキュベーション後、細胞は、10%グリセロールを含む2×YTに集められ、20倍の多様性に対応するアリコートにおいて−80℃で凍結維持された。
抗原
Aurora−Aは、Hisタグ化されたタンパク質であり、大腸菌で生産された。GST:Sykは、大腸菌で発現させた(Dauvillier,S.,et al.Intracellular single−chain variable fragments directed to the Src homology 2 domains of Syk partially inhibit Fc epsilon RI signaling in the RBL−2H3 cell line.J Immunol 2002 169:2274 2283)。パピローマウイルスHPB16由来のE6タンパク質は、シアノバクテリアAnabaena(Desplancqら、公開)において発現された。ヒストン(H2a、H2b、H3及びH4のミックス)をSigma(タイプII−AS、#H7755)から購入した。チューブリンをブタ脳から精製した(Williams,R.C.J.,及びLee,J.C.Preparation of tubulin from brain.Methods Enzymol 1982,85(Pt B):376−385)。
ライブラリー救出及び選択
ライブラリー救出は、トリプトン感受性ヘルパーファージを用いて、基本的には、前述されるように行った(Kristensen,P.,及びWinter,G.Proteolytic selection for protein folding using filamentous bacteriophages.Fold Des 1998,3:321−328)。要約すると、10〜20倍過剰である多様性(2〜3×1010個の細菌)に対応するライブラリーのアリコートは、100μg/mlのアンピシリン及び1%グルコースを含む1000mlの2×YTに撒かれ、OD600nmが0.7になるまで37℃で振とうしながら増殖させた。200ml(約3×1010細胞)は5×1011ヘルパーファージKM13(Kristensen,P.,及びWinter,G.Proteolytic selection for protein folding using filamentous bacteriophages.FoldDes 1998,3:321−328)で感染され、振とうなしに30分間37℃でインキュベートされた。細胞をペレットにし、100μg/mlのアンピシリン及び25μg/mlのカナマイシンを含む1000mlの2×YTに再懸濁させ、激しく振とうしながら30℃で一晩インキュベートされた。ファージを含む上清は、5分の1量のPEG−8000 20%、NaCl 2.5Mを添加することによって沈殿させ、15%グリセロールを補足されたPBSに再懸濁させた。1011〜1012のファージを含むアリコートを−80℃で保存した。
結合剤の選択のために、100μlの精製抗原が、Nunc Maxisorb 96ウェルプレートにコートされた。第1ラウンドでは、10〜100μg/mlの抗原濃度を使用した。その後のラウンドについては、1〜10μg/mlの抗原濃度を使用した。0.1%のTween20を含むPBS(PBST)を用いてプレートを3回洗浄し、2%脂肪を含まないミルク(MBPS)を用いて2時間室温で飽和した。1011〜1012のファージが、2%MPBDSでウェルあたりに添加され、2時間室温でインキュベートされた。プレートをPBSTで20回(第1ラウンド)又は40回(第2及び第3ラウンド)洗浄し、次にPBSで3回洗浄した。過剰なPBSを除去し、ファージは、10分間室温で、100μlの100mMトリエチルアミンの添加によって溶出された。溶出されたファージ懸濁液は、50μlの1M Tris−HCl pH7.4を用いて中和され、次に、1.5μlの0.1M CaCl2、15μlの10mg/mlのTPCK処理したトリプシン(Sigma)の添加によって、トリプシンで15分間室温で消化された。2×YT中の37℃で指数関数的に増殖しているCmax5αF’菌株の1mlに40μlのトリプシン処理したファージを感染させ、振とうせずに30分間、37℃でインキュベートし、次に、15cmの丸いペトリ皿上に播種した(LB、100μg/mlアンピシリン、1%グルコース)。37℃で一晩インキュベーション後、プレートから細菌を回収し、KM13ヘルパーファージを用いたファージの新しいストックを調製するために用いた。このストックの1011〜1012のファージを次の選択のためのラウンドに使用した。
ペリプラスム及び細胞質スクリーニング
ペリプラスムスクリーニングに関して、ラウンド3のファージを用いて、非サプレッシブ菌株HB2151に感染させた。個々のクローンは、(Harrison,J.L.,et al.Screening of phage antibody libraries.Methods Enzymol 1996,267:83−109)に記載されるように、抗原をコートした96ウェルのマイクロタイタープレートによってscFv発現について試験された。細胞質スクリーニングに関して、プラスミドは、第2又は第3の選択ラウンドの細菌プールから調製し、NcoI及びNotI酵素で消化し、750bpバンドが、NcoI−NotI消化され、脱リン酸化されたプラスミドpET23NNにクローニングされた。連結は、C−Max5αF’に形質転換され、100μg/mlアンピシリンを含むLBに細胞を蒔き、16時間37℃でインキュベートした。細胞を回収し、プラスミドDNAを調製し、これを用いて化学的にコンピーテントなBL21(DE3)pLysSを形質転換した。個々のクローンは、100μlの2×YT、100μg/mlのアンピシリンを含む96ウェルマイクロタイタープレート中で激しく振とうしながら、37℃で、OD600nmが0.6に到達するまで増殖させた。IPTGを最終0.4mMまで添加し、マイクロタイタープレートを湿気雰囲気下で激しく振とうしながら、24〜30℃で16時間インキュベートした。遠心分離後、細胞を100μlの50mM Tris−HCl pH7.5、5mM EDTAに再懸濁し、凍結/融解し、氷上で1時間インキュベートした。MgCl2を最大10mM添加し、DNAを10μg/mlのDNAseIで消化した。5〜20μlは、抗原をコートした96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)上でELISAに使用された。暴露は、9E10モノクローナル抗体、その後、HRP結合させた抗マウスIgG抗体を用いて行われた。
scFvの精製
プラスミドpET23NNにクローニングされたscFvは、BL21(DE3)pLysSの細胞質から精製され、親scFv13R4(Martineau,P.,et al.Expression of an antibody fragment at high levels in the bacterial cytoplasm. J Mol Biol 1998,280:117−127)について記載されるように、Ni−NTAカラムで精製した。
細胞トランスフェクション及び免疫蛍光
HeLa細胞は、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(25μg/ml)及び10%熱不活性化したウシ胎児血清を補足したダルベッコ変法イーグル組織培地(DMEM;Invitrogen)中で、37℃、湿度5%、CO2雰囲気下で維持した。一時的なトランスフェクションは、製造業者の使用説明書に従ってTransFectin脂質試薬(Bio−Rad,Hercules,CA,USA)を用いて行った。トランスフェクションの前日に、6ウェルプレートのカバースリップ上に2.5×105細胞/ウェルで細胞を播種した。1μgのDAN、100μlのDMEMに希釈した2μlの試薬を混合し、室温で20分間放置した。混合物を添加してから24時間、37℃で細胞を増殖させた。発現されたGFPタグ化したタンパク質は45分間室温で、PBS中の4%パラホルムアルデヒドを用いてトランスフェクトした細胞の固定後に視覚化された。PBSで過剰に洗浄後、細胞を死滅させ、Fluoromount−G(SouthernBiotech,Birmingham,UK)でマウントした。処置された細胞は、Olympus DP50カメラを搭載したZeiss Axioplan蛍光顕微鏡を用いて試験した。Zeiss40×plan−neofluar対物で画像を回収し、Adobe Photoshop5.5を用いて加工した。図8に関して、HeLaは、dsRedモノマーGFPに融合した抗ヒストンクローン5でトランスフェクトされ、上述されるように固定され、Trito X−100(0.2%、5分)で透過された。微小管ネットワークは、9E10抗myc及びAlexa Fluor488抗マウスIgG抗体を用いて、3μg/mlで2F12C scFv(表3)を用いて示された。細胞は、共焦点顕微鏡によって観察された(×63)。
結果
工程1:抗体フレームワークの選択
scFvライブラリーの有効性を最大限にするために、ライブラリーの構築は、細胞内発現抗体の選択のために単一の最適化された抗体フレームワークの選択から開始した。分子進化を通じて、scFv13R4と呼ばれるヒトscFvを得て、これは、大腸菌の細胞質に高レベルで発現する。また、このscFvは、酵母及び哺乳動物細胞において発現され、可溶性及び安定な構造を有する。このscFvは、インビトロでは非常に安定であり、還元剤の存在下で復元可能である。さらに、そのフォールディング動力学の分析は、それが親scFvよりも速くフォールディングし、インビトロではよりゆっくりと凝集することを示した。単離された突然変異体は、主にVHドメインに局在化し、この特定のscFvに非常に特異的であるようである。scFv13R4のヌクレオチド及びアミノ酸配列を下記に示す。
工程2:CDR3配列への多様性の導入
a)ヒトCDr3配列のデータベース
ヒトCDR3配列は、3つの主要な供給源からコンパイルされた:Kabatデータベース(Johnson,G.及びWu,T.T.Kabat Database and its applications:30 years after the first variability plot.Nucleic Acids Res 2000,28:214−218)、IMGTデータベース(Giudicelli,V.,et al.IMGT/LIGM−DB,the IMGT(R)comprehensive database of immunoglobulin and T cell receptor nucleotide sequences.Nucleic Acids Res 2006,34:D781−784)、及びRCSB PDB(Berman, HM.,et al.The Protein Data Bank.Nucleic Acids Res 2000,28:235−242)。二重を取り出した後、データベースは、5179H3、1432K3、及び1131L3CDR3固有の配列を含んでいた。大部分のH3配列は固有であることを気付くことができ、それは、例えば、Kabatデータベースでは、2368H3配列(88%)は、2703の完全なH3配列のうちのただ一度であったためである。結果は、L3及びK3の場合において同等であり、それは、それぞれ87%及び82%の配列がKabatデータベースにおいて固有であったためである。これは、ヒトCDR3配列の非常に高い可変性を強調する。
しかしながら、この可変性は、ループにおいて均一に分布されておらず、各アミノ酸の頻度は、各ループに対して、1つの位置から別の位置へと変化する。さらに、アミノ酸分布は、抗体配列の起源に依存する。この偏りは、例えば、終わりから3番目の残基の場合として構造的制約に起因する可能性があり、それは、しばしば、アスパラギン酸塩(Kabat番号付けスキームを用いるとD101)であり、H3の拡張した構造と屈折した構造との間のスイッチにおいて重要な役割を果たす。他の場合には、このバイアスは、D及びJセグメントに対して利用可能な配列の制限された数に起因するだけであってもよく、天然の抗体に見出されたもの以外のアミノ酸が容認されてもよい。
ライブラリーの構築に関して、天然の分布を模倣するCDR3を作製することが決定され、それには2つの主な理由がある:i)1つの目的は、ヒトの治療における可能な使用に対してできるだけヒトとなるようにscFvを生じさせることである;ii)天然のアミノ酸分布を維持することが機能的抗体をより可能にもたらす。
データベースからのCDR3配列は、長さによって整列され、各位置での各々の20個の可能なアミノ酸の頻度、各ループ長の頻度を計算した。軽鎖CDR3の場合には、配列は、各クラスについて独立して分析された。H3配列の場合には、これは、結果として35個の表に示され、1と34とのアミノ酸の間の各H3長さについての1つである。長さnのループに関しては、この表は20n頻度を含んでいた。
b)CDR3ループをコードするためのオリゴヌクレオチド設計
18個のオリゴヌクレオチドは、コンパイルされたCDR3データベースに見出されたアミノ酸分布に従うように設計された。コドンの各位置での4つのヌクレオチドの192個の最適化されたミックスを用いて、所望のアミノ酸分布を用いてできるだけ十分に合致させた。このアプローチの腫瘍な利点は、より良好なオリゴヌクレオチドの質をもたらす伝統的なオリゴヌクレオチド合成を必要とするだけであるということである。しかしながら、遺伝コードの制限のために、任意のアミノ酸分布を正確に従うことができない。さらに、ライブラリーは天然のアミノ酸分布を厳格に従わない場合、これは、CDR3ループにおける対象とする非天然の多様性を誘導する場合がある。
249個の可変位置について最適化されたミックスを最初に計算し、終止コドンの最少頻度とこの分布を合致させ、次に、標的分布とは非常に離れ過ぎている34個の位置は、この最後の制限を緩和することによってさらに最適化された。遺伝コードの制限のために、ある位置は、完全には最適化されなかった。例えば、位置3では、アラニン及びグリシンは、本発明者らのミックスにおいて表されないままであり、他のアミノ酸頻度と合致させるために、天然には見出されない、システイン様のいくつかのアミノ酸の実質的な量を誘導することが必要であった。しかしながら、データベースとオリゴヌクレオチドをコードした頻度との間には良好な全体の承知があり、これは、大部分のよく見られるアミノ酸がライブラリーにおいて最大の比率で示され、まれなアミノ酸は、通常、低い頻度で存在していた。CDR3ループを構築するために使用された18個の変性オリゴヌクレオチドの配列は、上記で提供される。
c)VH及びVL鎖のためのCDR3ループライブラリーの構築
各CDR3ループ長についての独立したライブラリーを構築した。これは、重鎖及び2種の軽鎖の各々について独立してなされた。各ライブラリーに関して、ランダムCDR3ループは、PCRによって導入され、次に、得られたライブラリーは、scFv13R遺伝子に戻ってクローニングされ、それは、ベクターpscFvCATのCAT遺伝子に融合された。これは、1つ及びただ1つの無作為化されたCDR3ループを有するscFv13R4クローンのライブラリーをもたらした。
5アミノ酸長のH3ループライブラリーを最初に構築した。43個の無作為に選択されたクローンを配列決定した。いくつかの位置は、20アミノ酸についての頻度の期待された値と異なるが、平均して、ライブラリーにおけるアミノ酸の分布は期待された分布と合致していた。これは、オリゴヌクレオチドの質が良好であり、得られたライブラリーがヒトH3ループにおけるアミノ酸の天然の分布に従っていたことを示した。
Figure 0005385796
aCATとの融合としてクローニングされ、アンピシリン上で選択されたライブラリーの最初の多様性。これは、形質転換後に得られたクローン数である。
b形質転換からの12〜20クローンがCAMプレート上で検査された。プレートは、16時間37℃でインキュベートされ、コロニーサイズを推定した。カラム++、+及び−は、それぞれ、正常に増殖され、小さなコロニーを提供し、全く成長しなかったコロニーの分画を示す。
cCAM上で選択されたライブラリーの多様性。多様性は、最後の多様性が(最初の多様性)×(CAM表現型++)に近いことを想定することによって、カラム「最初の多様性」及び「CAM表現型」あら推定される。現実の多様性はより高いかもしれないが、これは、カラム「CAM表現型」において+で記されたクローンのいくつかが低い量で存在していたかもしれないためである。
工程3:発現しない配列の除去
期待されるように、VH及びVLライブラリーの構築から形成されたクローンの全てが、3つの主要な理由のために本質的であったわけではない:i)多様性を導入するために使用されたオリゴヌクレオチドは終止コドンを含む場合がある;ii)終止コドン又はフレームシフトはPCR及びクローン工程によって導入されてもよい;又は(iii)scFvは細胞質ではあまり発現しない。これらの機能的ではないscFvクローンを除去するために、発現したクローンは、下記に記載されるようなMaxwell KLら(A simple in vivo assay for increased protein solubility, Protein Sci 1999;8:1908−1911)の方法を用いて、scFv遺伝子とクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)酵素とを誘導させることによって選択された。
scFV−CAT融合タンパク質の創作
要約すると、scFvライブラリーは、tacプロモーターの調節下でベクターpscFv−CATのNcoIとNotI部位との間で独立して、下流の遺伝子とフレームを合わせてクローニングされた。したがって、scFv−CAT融合タンパク質は細胞質で発現した。scFvが終止コドンの封入又はフレームシフト変異のために適切に発現されない場合、あるいは細胞質でフォールディングができない場合、得られたscFv−CATタンパク質は、発現されないか又は活性でなく、その結果としてクロラムフェニコール感受性(CAMS)表現型となる。他方、scFvが適切に発現されると、得られるscFv−CATタンパク質は、細胞質で十分に発現され、細菌は、クロラムフェニコール耐性(CAMR)となる。クロラムフェニコール(CAM)濃度を調整することによって、異なる可溶性レベルのscFv−CATタンパク質の発現を選択さえ可能となる。
異なるCAM濃度は、15〜200μg/mlの範囲のこの選択工程について試験した。最高濃度のCAMでは、ライブラリーは、十分に発現したscFvに富んでいた。また、scFv遺伝子の部分的又は完全な欠失を有する組換えファージミドをクローンは含んでいた。次に、ライブラリーは、培地CAM濃度(30μg/ml)上で播種された。この濃度は、全ての発現していないか又は強力に凝集しているscFvを除去するには十分に高いが、scFv欠失を有する検出な可能なプラスミドには至らなかった。
ライブラリーの最終サイズを見積もるために、少なくとも12クローンが画ライブラリーから単離され、CAMRクローンの分画を測定するためにアンピシリン及びCAM上で選択された。あるクローンは、アンピシリン/CAM/IPTGプレート上で素早く成長し形質転換された(表2、カラム++)、あるものはゆっくりと増殖し(カラム+)、あるものは全く増殖しなかった(カラム−)。発現したscFvのライブラリーのサイズは、したがって、CAMRクローンの頻度によって、元々のライブラリーサイズ(アンピシリン上で選択される)の生産物として見積もられた。18ライブラリーのサイズは、表2の最終カラムに提供され、2.5×106〜1.9×108の範囲であった。
工程4:CAM選択されたライブラリーのアセンブリ
最終ライブラリーは、5CAM選択されたBLライブラリーを用いた13CAM選択されたVHライブラリーを再度組み合わせることによってアセンブリされた。理論的に可能な多様性は、1015(約13VH×107×5VL×106)である。これは、エレクトロポレーションによって得ることができたライブラリーよりも非常に大きい。つまり、最終ライブラリーにおいて同じクローンを2回得る可能性は非常に小さい。
13個のVHライブラリー及び5個のVLライブラリーは、17ヌクレオチドの重複配列を用いたPCRによって増幅し、次に精製し、アガロースゲル上で定量した。その後、BH及びVL精製フラグメントは、ヒト抗体のCDR3ループ長の天然の部分に比例した量でプールされた(図3a)。最後に、VH及びVLミックスは、PCRによってアセンブリされ、消化され、ファージディスプレイに安定なベクターにクローニングされた。ライブラリーは、菌株Cmax5αF’にエレクトロポレートされ、100個の無作為に拾い上げられたコロニーについてPCRにより検査されたように、scFvインサートを含む1.5×109個のクローンのライブラリーを得た。18個のCAM選択されたライブラリーは、ヒト抗体のCDR3ループ長の天然の分布に比例した量でアセンブリされ、10億個を超えるクローンの最終ライブラリーを形成した。
118個のクローンは、ループ長及び配列を決定するために配列決定された。ほぼ全てのループ長がライブラリーに見出された。また、11及び16個のアミノ酸長のループは、ライブラリーにおいて少数派であった。これは、恐らくは、Agilent Bioanalizerに関するそれらのプロフィールによって示されるように、これらのオリゴヌクレオチドの貧弱な質に起因するためである。7〜12の範囲にあるループ長は、ライブラリーにおいて多数派であって、ヒト抗体において最も頻繁に見出され、ライブラリーに全て存在する。配列決定されたクローン数は、非常に少なく、CDR3ループに見出されたアミノ酸の頻度を分析することができなかった。元々のscFv13R4配列によるいくつかの汚染を除いて、CDR3配列はライブラリーに2倍見出されなかった。
細胞におけるscFvの発現
CAM選択工程の新規な使用のため、VH及びVLライブラリーは、独立して、細胞における発現のために最適化された。VH及びVLライブラリーのこの最適化のため、結果は、発現されたscFv13R4だけでなければならない。さらに、CDR3ループだけが、元々のscFv抗体フレームワークと得られたscFvライブラリーとの間で修飾されるので、2つのドメイン間の大部分の接合部分は、クローン間で保存されている。したがって、任意のVHは、任意のVLと正確にアセンブリされ、得られるscFvの発現レベルは、CAMにおいて選択されるVH及びVLライブラリーからの両方のクローンのものに近いこと考えられる。換言すれば、VHは、修飾されたH3ループを有し、VL13R4に融合されると十分に発現される場合、修飾されたCFR3ループを有するVLと結合し、VH13R4との融合体として選択される場合に十分に発現する。この仮説は、最終のライブラリー由来のランダムクローンを拾い上げ、大腸菌の細胞質及び哺乳動物の細胞質ゾルにおいてそれらを発現させることによって試験された。
DNAは、最終ライブラリー、及び強力なT7プロモーターの調節下で細胞質発現のためのプラスミドにおいてクローニングされたscFv遺伝子から調製された。このような強力なプロモーター下で得られる非常に高発現レベルは、凝集プロセスの高い動力学オーダーのために可溶性発現を超えた凝集を支持することが気付くべきである。したがって、この試験のストリンジェンシーが高く、より弱いプロモーターを用いることによって可溶性対不溶性の比を増加させることが可能である。20個のクローンが大腸菌において試験され、それらのうちの19個が細胞質において少なくとも幾分可溶的発現を示した(図3)。クローンの4分の1(5/20;クローン3、10、11、16、19)は、scFvがクーマシー染色されたゲル上で明確に視覚可能であるため、非常に高レベルで発現された。大腸菌における可溶性発現レベルのより全体的な見解を得るために、ライブラリーは、T7プロモーターの調節下でGFPuv遺伝子の前でクローニングされた。scFvは可溶性であり、細胞質において発現される場合、これは、UVトランスイルミネーターで直接的にモニターされ得る緑色蛍光タンパク質(GFP)活性をもたらすべきである。約1000個のクローンは、検出可能なGFP活性の存在について試験され、約60%がGFP+を示し、それは、再度、最終ライブラリー由来のscFvの大部分が大腸菌の細胞質に正確に発現されることを示した。これらの2つの試験は、上述されるscFvライブラリーを構築する新規な方法が大腸菌における細胞質発現したscFvを非常に首尾よく生じさせることを示した。
次に、哺乳動物におけるライブラリーの発現を試験した。15個のscFvは、EGFP遺伝子との融合体として、SV40初期プロモーターの調節下で哺乳動物発現ベクターにクローニングされた。典型的な結果を図4に示す。3つのクローンは、高い可溶性レベルで発現され、親scFv13R4(クローン15)のものに匹敵し、10scFvは主に可溶性であることが見出されたが、いくつかの凝集した材料はなお細胞(クローン33及び36)に存在し、2つのクローンは、細胞質凝集体として本質的に体積し(クローン24)、ハイブリドーマ誘導の抗癌タンパク質E6scFv1F4を用いて観察された(図4)。結論として、試験された15個のscFvのうち13個が、トランスフェクトされた細胞の細胞質及び核において容易に検出可能である可溶性タンパク質として発現された。
同時に、これらの結果は、最終ライブラリー由来の85%を超えるクローンが大腸菌(16/20)、哺乳動物細胞質(13/15)において可溶性scFvを発現し、一方、それらの約20%が非常に高レベルでscFvを発現した(大腸菌では5/20、真核細胞では3/15)。全体として、大部分のクローンは、細菌及び真核細胞質の還元条件下で十分に発現した。これは、最適化されていないscFvライブラリーを用いて以前に得られた結果と比較して非常な改善である。
結合剤の検出
上記で示されるように、ライブラリーは、非常に高い比率の発現されたクローンを含む。次の工程は、特定のタンパク質に対して、ライブラリーから抗体を選択することである。したがって、ファージディスプレイライブラリーは、マイクロタイタープレートに吸着した精製されたタンパク質を用いた5つの異なる抗原に対する結合剤について選択した。選択の3ラウンドを行い、溶出したファージは、固相化された抗原に対してELISAによって試験された。全ての場合において、陽性シグナルは、1回のラウンドの選択後に得られた。このシグナルは2回のラウンド後に増強されたが、第3ラウンドの選択中にさらに増加することはなかった。この非常に早い選択プロセスは、恐らくは、低いバックグラウンドをもたらす発現されたscFvだけを含むフォーカスされたライブラリー自体、並びにバックグラウンドレベルをさらに減少させたトリプシン感受性ヘルパーファージの使用に起因する。
選択プロセスを特徴付けるために、60個のクローンは、GST:Syk融合に対する3つの選択ラウンドから選択された。これらのクローンを用いて、モノクローナルファージを調製し、次に、ELISAによって抗原への結合について試験した。図7は、各選択ラウンドについて得られたELISA値の分布を示す。この分布は正常であり、各選択のラウンドにおいてシグナルが非常に均一であった。これは、半分を超えるクローンが、0.1のピーク値内のELISAシグナルを示したためである。選択プロセス中、1回のラウンド後の0.4〜0.5から、ラウンド2後の0.2、ラウンド3の1.0にピークシグナルが増加し、ポリクローナルファージを用いて得られた結果と良好な相関を示した。さらに、選択の1回のラウンド後、ほぼ100%のクローンは、既に抗原を認識した。これは、トリプシン感受性ヘルパーファージと組み合わせた最適化されたライブラリーの使用が、結果として、選択プロセス中にバックグラウンドのほぼ全体的に存在しないことを示した。
次に、ライブラリーがペリプラズムにおいて可溶性scFvを発現しているクローンを含むかどうかを試験した。非サプレッシブHB2151菌株は、チューブリン、GST:Syk及びコアヒストンに対する第3ラウンドの選択後に溶出されたファージで感染させた。ペリプラズム抽出物を調製し、ELISAによって結合活性を試験した。3つの場合において、12〜20%のクローンが、0.5(バックグラウンドの10倍)よりも高い吸光度値を有する強力なシグナルを与え、約30%が明らかに陽性であり、0.1(バックグラウンドの2倍)よりも高い吸光度値を有した。これらの結果は、他のscFvライブラリーを用いて報告されたものと有利に比較され、ライブラリーに存在する、高比率の十分に発現されたクローンに対して強調する。さらに、これは、CAM選択アプローチがオリゴヌクレオチドに存在する終止コドンを含まない構築物について効率的に選択されることを示した。これは、ファージディスプレイされたライブラリーから可溶性scFvを単離する非常な重要性が確かであり、CDRのアンバー終止コドンが合成及び半合成ライブラリーのパンニング中に頻繁に選択されるためである。
従来の特徴付けの両方において、scFvは、scFv−pIII融合体又は可溶性タンパク質として大腸菌ペリプラズムにおける酸化条件下で発現された。さらに、パンニングは、酸化条件下で再度ファージで行われた。scFvがまた細胞質で確実に発現されるかどうかを試験するために、同じプールのクローン(ラウンド3)が、強力なT7プロモーターの調節下で細胞質発現ベクターにサブクローニングされた。各抗原に対して、95個のクローンが、それらのそれぞれの抗原への結合についてELISAによって試験された。各場合において、陽性クローンの数は、ペリプラズムでのスクリーニングと同程度であるか、又はさらには良好であった。例えば、GST:Sykの場合には、80%の試験されたクローンが、3ラウンドの選択後に陽性であった。これは、ペリプラズム選択工程が細胞質の可溶性scFvの比率を減少しなかったことを示した。さらに、上述される最適化されたライブラリーを用いると、選択中の偏りの導入を避けるために、細胞質内で直接的に選択することは必要でない。
チューブリンに対する第2及び第3ラウンドの選択からの個々のクローンが配列決定された。配列を表3に示す。
Figure 0005385796
第2(5クローン)及び第3(6クローン)ラウンドの選択由来の細胞質発現されたscFvを用いたELISAにおける最良の陽性クローンのCDR3の配列(表3)。a同じラウンドの配列決定されたクローンの間のscFvの出現の頻度。b収率:フラスコ内で増殖させた1リットルの細胞から精製したscFvのmg(OD600=5)。cWB:ウェスタンブロットによる脳抽出物に含まれるチューブリンの検出。dIF:+は、scFvが免疫蛍光によって微小管ネットワークを表すことができることを意味する(図8)。クローン2C1C、2E11C、2F12C、2G4C及び2G9Cの配列は、EMBLデータベースに提出され、それらの受け入れ番号は、それぞれ、AM886280AM886281AM886282AM886283及びAM886284である。
全ての場合において、配列決定されたクローンは、細胞質に発現されたscFvを用いて行ったELSIAにおいて最良のシグナルを与えるものであった。第2ラウンドからのたった1つのクローン、第3ラウンドからの1つが2倍であることが見出されたので、大部分のクローンは異なっていた。これは、高い多様性が3ラウンドの選択後でさえも存在していることを示した。抗チューブリンscFvのうち8個が、細胞質からアフィニティークロマトグラフィーによって精製された。全ての場合において、8mgを超えるscFvは、フラスコ内で増殖させて1リットルの細胞から精製され(OD600=5)、あるscFvは、大腸菌ペリプラズムの抗HER2について報告された非常に高発現レベルに匹敵する細胞あたりのレベルで発現された。
細胞内発現抗体としてのscFvの機能性
単離されたscFvがインビボでそれらの標的に結合するか否かを測定するために、ヒト細胞において発現した抗ヒストンscFvが特徴付けられた。第3ラウンドの選択は、ベクターp513−EGFPにクローニングされ、10個の無作為に選択されたクローンをHeLa細胞にトランスフェクトされた。scFv−EGFP融合体を発現している細胞の、蛍光顕微鏡によって観察された典型的な結果を図6に示す。1つのscFvは、細胞質凝集体として発現された。4つのscFvは、scFv13R4の同程度のレベルで、細胞の均一な染色によって判断されるように、可溶性細胞質タンパク質として発現された。最後に、3つのscFvの発現は、核のより強力な染色を生じさせ(図6、クローン2)、2つのscFvは、核に排他的に局在化された(図6、クローン5及び10)。これらのscFv−EGFP融合タンパク質が細胞の細胞質に発現され、核局在化シグナルを含まなかったので、これは、ヒストンとインビボで相互することができ、したがって、細胞内で活性であることを示唆する。この分析は、コアヒストンに対する第3ラウンドの選択後に存在する約半分のクローンがインビボでそれらの核標的に結合することを示した。これは、インビトロにおいて、精製されたscFvを用いたウェスタン及びドットブロットによって確認された。さらに、これらのクローンの配列決定により、それらが、異なる重及び軽CDR3領域を含むことを示した。
抗チューブリンscFvのインビトロでの特徴付け
細胞の細胞質における還元条件下で抗チューブリンscFvの活性を証明するために、scFvは、還元剤の存在下で抽出され、ELISAシグナルと、還元条件下で抽出されたscFvを用いて得られたものとを比較した。図7に示されるように、試験された5個のscFvは、両方の条件下で同じELISAシグナルを与え、scFVが、ジスルフィド結合形成がない場合でさえも、還元条件下で十分に活性を保持することを示す。5個のscFvは、競合ELISAにおいて、脳抽出物及び天然のタンパク質のウェスタンブロットによるフォールディングしていないチューブリンを認識することができた。細胞内で微小管と相互作用する5つのscFvの能力は、IFによって試験された。クローン2F12C及び2G4Cは、細胞内の微小管ネットワークを表した。
図8は、インビトロ及びインビボのプロテオーム研究のための供給源としてライブラリーの有用性を例証する:HeLa細胞は、赤色−GFPに融合した抗ヒストンクローン5でトランスフェクトされ、微小管ネットワークは、2F12CscFvを用いたIFによって表された。
結局は、本発明者らの結果は、この報告書に記載されるライブラリーが非常に多様性かつ機能性であり、インビボで活性な完全なヒト細胞内発現抗体の迅速かつ容易な単離を可能にすることを示す。
上記で引用された全ての特許、刊行物及び要約は、全体として参照により本明細書に援用される。本発明のいくつかの態様だけが本明細書に記載されているが、本発明が本明細書に請求される発明の精神及び範囲から逸脱せずに、多くの他の特定の形態で具現され得ることが理解されなければならない。したがって、本実施例及び態様は、例示であると考えなければならず、制限してはならず、本発明は、本明細書に与えられた主催に限定されるべきではない。

Claims (10)

  1. 少なくとも106個の固有のscFv抗体クローンを含む抗体ライブラリーであって、各固有のscFv抗体クローンが、固有のCDR3VH配列及び固有のCDR3VL配列の少なくとも1つを含む固有のscFv抗体をコードし、ここで、固有のscFv抗体クローンが、配列番号32で表されるヌクレオチド配列によってコードされるフレームワーク配列と98%同一なフレームワーク配列をコードする前記抗体ライブラリー。
  2. 前記固有のscFv抗体クローンが、固有のCDR3VH配列を含むscFv抗体をコードする、請求項1に記載の抗体ライブラリー。
  3. 前記固有のscFv抗体クローンが、固有のCDR3VL配列を含むscFv抗体をコードする、請求項1に記載の抗体ライブラリー。
  4. 前記固有のscFv抗体クローンが、固有のCDR3VH配列及び固有のCDR3VL配列を含むscFv抗体をコードする、請求項1に記載の抗体ライブラリー。
  5. 細胞内で発現可能なscFv抗体クローンに富んだscFv抗体ライブラリーを調製する方法であって、
    a)scFv抗体クローンの第1の回収物を用意し、ここで、第1の回収物が、VHのCDR3ループ内の固有の配列を含むクローンを含み、前記第1の回収物が、細胞内に導入されると検出可能に発現され得るscFv抗体に富んでいて;
    b)scFv抗体クローンの第2の回収物を用意し、ここで、第2の回収物が、VLのCDR3ループ内の固有の配列を含むクローンを含み、前記第2の回収物が、細胞内に導入されると検出可能に発現され得るscFv抗体に富んでいて;
    c)第1の回収物のscFv抗体クローン由来のVHドメインと、第2の回収物のscFv抗体クローン由来のVLドメインとを接合して、scFv抗体クローンの第3の回収物を得て、ここで、第3の回収物が、VHのCDR3ループ内の固有の配列、及びVLのCDR3ループ内の固有の配列を含むscFv抗体クローンを含む
    を含み、それにより、細胞内で発現され得るscFv抗体クローンに富んだscFv抗体ライブラリーを調製する前記方法。
  6. 前記第1の回収物が、第1の回収物に含まれる他のscFv抗体クローンと比較して、98%同一のVLを含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、第2の回収物に含まれる他のscFv抗体クローンと比較して、98%同一のVH配列を含むscFv抗体クローンを含む、請求項に記載の方法。
  7. 前記第1の回収物が、配列番号33で表されるアミノ酸配列に98%同一であるVLを含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、配列番号33で表されるアミノ酸配列に98%同一であるVHを含むscFv抗体クローンを含む、請求項に記載の方法。
  8. 前記第1の回収物が、VHドメインと同一であるCDR1及びCDR2配列を含むscFv抗体クローンを含み、前記第2の回収物が、VLドメインと同一であるCDR1及びCDR2配列を含むscFv抗体クローンを含む、請求項に記載の方法。
  9. 抗体ライブラリーを構築する方法であって、
    a)scFv抗体フレームワークを選択し;
    b)scFv抗体フレームワークのVH CDR3領域に配列多様性を導入して、固有のVH CDR3領域を含むscFv抗体クローンを含む第1のライブラリーを生じさせ;
    c)scFv抗体フレームワークのVL CDR3領域に配列多様性を導入して、固有のVL CDR3領域を含むscFv抗体クローンを含む第2のライブラリーを生じされ;
    d)第1のライブラリーから、scFv抗体を検出可能に発現しないクローンを除去し;
    e)第2のライブラリーから、scFv抗体を検出可能に発現しないクローンを除去し;
    f)第1及び第2のライブラリーを再結合させて、固有のVH CDR3領域及びVL CDR3領域を含むscFv抗体ライブラリーを含む第1のライブラリーを生じさせる
    ことを含み、
    それにより、抗体ライブラリーを構築する前記方法。
  10. 前記scFvが配列番号33で表されるアミノ酸配列からなる、請求項に記載の方法。
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