JP2020534796A - エピトープ翻訳後修飾状態に特異的な抗体の開発方法及び開発のための組成物 - Google Patents

エピトープ翻訳後修飾状態に特異的な抗体の開発方法及び開発のための組成物 Download PDF

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Abstract

本開示は、とりわけ、目的のタンパク質を認識する抗体を生成する方法を提供する。幾つかの態様において、目的のタンパク質は、翻訳後修飾(PTM)部位を含有する。幾つかの態様において、翻訳後修飾を含まない部位に特異的に結合する非PTM結合抗体を生成する方法が提供される。幾つかの態様において、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む汎PTM結合抗体ライブラリーが、提供される。さらなる態様において、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む非PTM結合抗体ライブラリーが、提供される。【選択図】図1

Description

[0002]多くの細胞活動は、リン酸化のような、翻訳後修飾により制御される。しかしながら、細胞成長、機能、発生、及び分化におけるこれらの修飾の役割の研究は、特異的な試薬の欠如により妨害される。最も一般に使用される、抗体(「Ab」)を生成する方法は、動物の免疫を通じてである。しかしながら、この方法は、一般に、低処理であり、高価であり、時間がかかり、生成されたAbは、新たに補充することが常に可能なわけではない。翻訳後修飾特異的なAbクローンの希少さは、課題になる。
[0003]翻訳後修飾抗原に対する抗体を生成する伝統的な方法は、現在、効率的ではない。さらに、対の1つのメンバーが、修飾されたエピトープに結合し、対の第2のメンバーが、修飾されていない同じ配列に結合する、Ab対を開発する、現行の方法はない。
[0004]したがって、特異的な翻訳後修飾状態を有するエピトープを認識し、結合し、及び/又はモジュレートする抗体の開発の改良された方法及び組成物が依然として必要とされている。
[0005]特異的な翻訳後修飾を有するエピトープを認識し、結合し、及び又はモジュレートする抗体の開発を可能にする方法が、本明細書において提供される。本開示は、初めて、翻訳後修飾特異的な抗体の産生への構造ベース指向進化のアプローチを記載する。幾つかの実施形態において、特異的な、翻訳後修飾されたエピトープに結合する既存の傾向及びコンテキスト配列に結合する一般的な様式を有する抗体フレームワークに基づく焦点が絞られた抗体ライブラリーを産生する方法が、本明細書において記載される。
[0006]本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケット内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、汎PTM結合抗体を同定する工程を含む、PTM状態に無関係に翻訳後修飾(PTM)部位を認識する抗体を生成する方法を提供する。
[0007]本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において荷電していないアミノ酸を導入する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケット内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、汎PTM結合抗体を同定する工程を含む、修飾状態に関わらず又は修飾状態に依存のいずれかで、翻訳後修飾(PTM)部位を認識する抗体を生成する方法を提供する。
[0008]幾つかの実施形態において、PTM部位は、天然に存在するPTM部位である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、遺伝子操作されたPTM部位である。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、部位特異的変異誘発により、目的のペプチド又はタンパク質に導入される。当該技術分野において公知の様々な様式を使用して、遺伝子操作されたPTM部位を生じさせることができる。幾つかの実施形態において、部位特異的変異誘発は、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、目的のペプチド又はタンパク質において1個又は複数のアミノ酸置換により導入される。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、1個又は複数のアミノ酸の目的のペプチド又はタンパク質への挿入により導入される。幾つかの実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質に挿入された1個又は複数のアミノ酸は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数のアミノ酸置換は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸置換であり得る。
[0009]幾つかの実施形態において、生じた抗体は、修飾状態に関わらず、PTM部位を認識する。幾つかの実施形態において、生じた抗体は、修飾状態に依存して、PTM部位を認識する。例えば、幾つかの実施形態において、修飾状態は、PTMを欠くことであり得る。
[0010]幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位が、構造上予想されたものである。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、実験で決定されたものである。幾つかの実施形態において、任意の荷電していないアミノ酸が使用され得るが、荷電していないアミノ酸は、アラニン又はグリシンである。当該技術分野における様々な方法を使用して、荷電していないアミノ酸を導入することができる。荷電していないアミノ酸を導入する任意の適当な方法が使用され得る。幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、部位変異誘発により導入される。
[0011]本明細書における方法は、任意のPTMに適用され得る。例えば、PTMは、任意の種類のアセチル化、アミド化、脱アミド、プレニル化(例えば、ファルネシル化若しくはゲラニル化)、ホルミル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、ミリストイル化、ニトロシル化、リン酸化、シアリル化、硫酸化、ポリシアリル化、ユビキチン化、SUMO化、NEDD化、リボシル化、硫酸化、又はその任意の組合せであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、負に荷電している、正に荷電している、親水性である、及び/又は疎水性である。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。幾つかの実施形態において、PTMは、グリコシル化である。幾つかの実施形態において、グリコシル化は、シアリル化、アセチル化又はメチル化である。
[0012]1つの態様において、本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、非PTM結合抗体を同定する工程を含む、翻訳後修飾の非存在下でPTM部位に特異的に結合する非PTM結合抗体を生成する方法を提供する。
[0013]1つの態様において、本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位におけるPTMを寄せ付けないアミノ酸を導入する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの内側又は外側のいずれかの1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;及びPTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、非PTM結合抗体を同定する工程を含む、翻訳後修飾される可能性を有する部位だが、かかる部位が、翻訳後修飾(PTM)により修飾されていないとき、部位に特異的に結合する非PTM結合抗体を生成する方法を提供する。
[0014]幾つかの実施形態において、PTM部位は、天然に存在するPTM部位である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、遺伝子操作されたPTM部位である。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、部位特異的変異誘発により、目的のペプチド又はタンパク質に導入される。当該技術分野における公知の様々な様式を使用して、遺伝子操作されたPTM部位が産生され得る。幾つかの実施形態において、部位特異的変異誘発は、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、目的のペプチド又はタンパク質における1個又は複数のアミノ酸置換により導入される。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、1個又は複数のアミノ酸の目的のペプチド又はタンパク質への挿入により導入される。幾つかの実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質に挿入される1個又は複数のアミノ酸は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数のアミノ酸置換は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸置換であり得る。
[0015]幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、構造上予想されたものである。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、実験で決定されたものである。幾つかの実施形態において、PTMは、負に荷電している。PTMは、任意の負に荷電したPTMであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。幾つかの実施形態において、PTMは、グリコシル化である。幾つかの実施形態において、グリコシル化は、シアリル化である。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸である。天然に存在する又はしない、任意の種類の負に荷電したアミノ酸は、本明細書において提供される方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。
[0016]幾つかの実施形態において、PTMは、正に荷電している。PTMは、任意の正に荷電したPTMであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、レチニリデンシッフ塩基形成又はアルギニル化である。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸である。天然に存在する又はしない、任意の種類の正に荷電したアミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンである。
[0017]幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、非標準的なアミノ酸である。天然に存在する又はしない、任意の種類の非標準的なアミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、非標準的なアミノ酸は、ホスホセリン、ホスホチロシン、p−アジド−フェニルアラニン、ベンゾイル−フェニルアラニン、又はアセチル−リジンである。
[0018]幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、サプレッサーtRNAにより導入される。天然に存在する又はしない、任意の種類の、この方法で導入されたアミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、かかるアミノ酸は、セレノシステイン又はピロリジンである。
[0019]幾つかの実施形態において、PTMは、疎水性である。任意の種類の疎水性PTMは、本明細書における方法に修正可能である。幾つかの実施形態において、PTMが疎水性であるとき、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、親水性である。したがって、幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、親水性である。天然に存在する又はしない、任意の種類の親水性アミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、又はスレオニンである。
[0020]幾つかの実施形態において、PTMは、親水性である。幾つかの実施形態において、PTMが親水性であるとき、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、疎水性である。したがって、幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、疎水性である。天然に存在する又はしない、任意の種類の疎水性アミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、疎水性アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン又はトリプトファンである。
[0021]当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、PTMを寄せ付けないアミノ酸を導入することができる。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、部位変異誘発により導入される。
[0022]幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット部位に隣接するコンテキスト配列を、無作為化して、非PTM結合抗体のライブラリーを生成する。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流又は下流の3〜15個の残基を含む。当該技術分野において公知の部位特異的変異誘発の任意の方法を使用して、PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することができる。例えば、エラープローンPCR、プライマー伸長による部位特異的変異誘発、インバースPCR、クンケルベースの変異誘発、カセット変異誘発、全体プラスミド変異誘発、AXM変異誘発、エラープローンローリングサークル増幅(RCA)、又はin vivo部位特異的変異誘発を使用して、無作為化をコンテキスト配列に導入して、抗体ライブラリーを生成することができる。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域は、エラープローンローリングサークル増幅(RCA)により、無作為化される。
[0023]幾つかの実施形態において、コンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域は、PTM結合ポケットを変化させることなく、無作為化される。
[0024]任意の種類のライブラリーは、候補汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体をディスプレイするため使用することができる。例えば、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ及び/又はmRNAディスプレイを使用することができる。幾つかの実施形態において、候補汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を含むライブラリーは、ファージディスプレイライブラリーである。
[0025]幾つかの実施形態において、候補汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を含むライブラリーは、少なくとも10、10、10、1010、1011、又は1012の多様性を有する。
[0026]当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、抗体ライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、ファージディスプレイ又はマイクロエマルジョンスクリーニングアプローチを使用することができる。幾つかの実施形態において、ライブラリーをスクリーニングする工程は、ホールセルパニングを含む。幾つかの実施形態において、ホールセルパニングは、エマルジョンベースである。
[0027]幾つかの実施形態において、方法は、同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証する工程をさらに含む。当該技術分野において公知の任意の方法は、汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証するために使用することができる。例えば、ELISA及び/又は機能的アッセイは、抗体検証のため使用することができる。幾つかの実施形態において、検証工程は、高処理である。
[0028]上で、及び以下でより詳細に考察される通り、本明細書における方法のPTMは、任意の種類のPTMであり得、抗体の検証は、様々な方法、例えば、高処理の検証を通じて又は機能的アッセイを用いて行うことができる。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化であり、高処理の検証工程は、ホスホ−セリン又はホスホ−チロシンを、抑制可能なアンバー(UAG)停止コドンに組み込み、これにより、汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証するためのリン酸化タンパク質を産生する細胞株の使用を含む。
[0029]本明細書において記載される方法において、任意の種類の細胞を使用することができる。例えば、細胞は、古細菌細胞、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、又は真核生物の細胞であり得る。幾つかの実施形態において、細胞株は、大腸菌である。幾つかの実施形態において、細胞株は、昆虫細胞株である。
[0030]幾つかの実施形態において、同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体は、機能的アッセイにより検証される。幾つかの実施形態において、汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証する工程は、検証を行うために、scFvをIgGに変換する工程を含む。当該技術分野における任意の方法は、scFvをIgGに変換するために使用することができる。例えば、scFvをIgGに変換する1つの方法は、可変重鎖及び軽鎖遺伝子をpMINERVAベクターにクローニングする工程及びCHO細胞の一過性遺伝子導入によりベクターを発現させる工程を含む。
[0031]さらなる実施形態において、検証工程は、同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体が、PTMに対する立体インヒビター抗体であるかを決定することを含む。
[0032]幾つかの実施形態において、目的の酵素上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;酵素上のPTM部位に結合するPTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;目的の酵素に対するライブラリーをスクリーニングする工程及びPTM修飾の非存在下でPTM部位を認識する抗体を選択する工程;並びに酵素活性アッセイを行うことにより、立体阻害性抗体を選択する工程を含む、酵素に対する立体阻害性抗体を生成する方法が提供される。
[0033]幾つかの実施形態において、目的の酵素上のPTM部位を遺伝子操作する工程;目的の酵素上の遺伝子操作されたPTM部位を特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;酵素上の遺伝子操作されたPTM部位に結合するPTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;遺伝子操作されたPTM部位を有さない目的の酵素に対するライブラリーをスクリーニングする工程及び遺伝子操作されたPTM部位の非存在下で抗体を認識する抗体を選択する工程;並びに酵素活性アッセイを行うことにより、立体阻害性抗体を選択する工程を含む、酵素に対する立体阻害性抗体を生成する方法が提供される。
[0034]幾つかの実施形態において、PTM部位は、天然に存在するPTM部位である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、遺伝子操作されたPTM部位である。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、部位特異的変異誘発により、目的の酵素に導入される。当該技術分野において公知の様々な様式を使用して、遺伝子操作されたPTM部位を産生することができる。幾つかの実施形態において、部位特異的変異誘発は、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、目的の酵素における1個又は複数のアミノ酸置換により導入される。幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTM部位は、1個又は複数のアミノ酸の目的の酵素への挿入により、導入される。幾つかの実施形態において、目的の酵素に挿入された1個又は複数のアミノ酸は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数のアミノ酸置換は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸置換であり得る。
[0035]幾つかの実施形態において、汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体は、先行する開示のいずれか1つの方法に従い生成される。
[0036]1つの態様において、本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む汎PTM結合抗体ライブラリーを提供し、複数の抗体は、PTM結合ポケット及びPTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する1個又は複数の無作為化された領域を含む。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケットは、PTMと相互作用することが決定されている1個又は複数の部位において荷電していないアミノ酸を含む。
[0037]天然に存在する又はしない、任意の荷電していないアミノ酸は、本明細書における方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、アラニン又はグリシンである。
[0038]本明細書において提供される方法におけるPTMは、任意のPTMであり得る。例えば、PTMは、任意の種類のアセチル化、アミド化、脱アミド、プレニル化(例えば、ファルネシル化若しくはゲラニル化)、ホルミル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、ミリストイル化、ニトロシル化、リン酸化、シアリル化、硫酸化、ポリシアリル化、ユビキチン化、SUMO化、NEDD化、リボシル化、硫酸化、又はその任意の組合せであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。幾つかの実施形態において、PTMは、グリコシル化である。任意の種類のグリコシル化は、本明細書において記載される方法と合致する。幾つかの実施形態において、グリコシル化は、シアリル化である。
[0039]1つの態様において、本開示は、とりわけ、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む非PTM結合抗体ライブラリーを提供し、複数の抗体は、PTM結合ポケット及びPTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する1個又は複数の無作為化された領域を含み、PTM結合ポケットは、PTMと相互作用することが決定されている1個又は複数の部位におけるPTMを寄せ付けないアミノ酸を含む。
[0040]幾つかの実施形態において、PTMは、負に荷電している。任意の負に荷電したPTMは、本明細書において記載される方法と合致する。幾つかの実施形態において、非PTM結合抗体ライブラリーは、PTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。幾つかの実施形態において、PTMは、グリコシル化である。幾つかの実施形態において、グリコシル化は、シアリル化である。
[0041]幾つかの実施形態において、非PTM結合抗体を生成する方法は、抗体のPTM結合ポケットにおける1個又は複数の部位においてPTMを寄せ付けないアミノ酸を導入する工程を含む。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸である。天然に存在する又はしない、任意の負に荷電したアミノ酸は、本明細書において記載される方法において使用することができる。幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。
[0042]幾つかの実施形態において、PTMは、正に荷電している。任意の正に荷電したPTMは、本明細書において記載される方法と合致する。幾つかの実施形態において、PTMは、レチニリデンシッフ塩基形成又はアルギニル化である。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸である。天然に存在する又はしない、任意の正に荷電したアミノ酸は、本明細書において記載される方法において使用することができる。幾つかの実施形態において、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンである。
[0043]幾つかの実施形態において、PTMは、疎水性である。任意の疎水性PTMは、本明細書において記載される方法と合致する。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、親水性である。天然に存在する又はしない、任意の親水性アミノ酸は、本明細書において記載される方法を用いて使用することができる。幾つかの実施形態において、親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、又はスレオニンである。
[0044]幾つかの実施形態において、PTMは、親水性である。任意の親水性PTMは、本明細書において記載される方法と合致する。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、疎水性である。天然に存在する又はしない、任意の疎水性アミノ酸は、本明細書において記載される方法において使用することができる。幾つかの実施形態において、疎水性アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン又はトリプトファンである。
[0045]上で、及びさらに以下の詳細において記載される通り、PTMは、任意のPTMであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。本明細書において記載される方法において、既存の抗体は、任意のリン酸化残基に結合することができる。幾つかの実施形態において、リン酸化残基は、Ser、Tyr、及び/又はThrである。したがって、幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化であり、既存の抗体は、リン酸化Ser(pSer)、リン酸化Tyr(pTyr)、及び/又はリン酸化スレオニン(pThr)に結合する。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pSerである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pTyrである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pThrである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pHis(リン酸化ヒスチジン)である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pArg(リン酸化アルギニン)である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pLys(リン酸化リジン)である。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pSer、pTyr、pThr、pHis、pArg、及び/又はpLysの組合せである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pSer及びpTyrの組合せである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pSer及びpThrの組合せである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pTyr及びpThrの組合せである。
[0046]幾つかの実施形態において、PTM結合ポケットは、CDR H2領域及び/又はCDR L2領域を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数の無作為化された領域は、PTM部位の上流又は下流の3〜15個の残基を含むコンテキスト配列に結合する。
[0047]幾つかの実施形態において、汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリーの1個又は複数の無作為化された領域は、無作為CDR H3、又はL3を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数の無作為化された領域は、無作為CDR H1、L1、H3及び/又はL3を含む。幾つかの実施形態において、1個又は複数の無作為化された領域は、無作為化されたフレームワーク領域を含む。
[0048]幾つかの実施形態において、汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリーのPTM結合ポケットは、CDR H2領域を含み、1個又は複数の無作為化された領域は、無作為CDR H3、CDR L3、及び/又はCDR L2を含む。
[0049]幾つかの実施形態において、汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリーの1個又は複数の無作為化された領域は、部位特異的変異誘発により生成される。
[0050]幾つかの実施形態において、汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリーの1個又は複数の無作為化された領域は、エラープローンRCAにより生成される。
[0051]幾つかの実施形態において、汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリーの1個又は複数の無作為化された領域は、アラニン及び/又はヒスチジンスキャニングにより、生成される。
[0052]幾つかの実施形態において、ライブラリーは、ファージディスプレイライブラリー、細菌ディスプレイライブラリー、酵母ディスプレイライブラリー、リボソームディスプレイライブラリー、及びmRNAディスプレイライブラリーからなる群から選択される。
[0053]幾つかの実施形態において、ライブラリーは、抗体フラグメントから選択される複数の抗体を含む。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、scFv、Fab、Fab’、Fv、又はIgGから選択される複数の抗体を含む。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、scFvライブラリーである。幾つかの実施形態において、scFvライブラリーは、M13 scFvライブラリーである。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、10、10、10、1010、1011、1012より大きな多様性を有する。
[0054]本開示は、とりわけ、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対する修飾されたペプチドをスクリーニングする工程、目的の修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;及び1個又は複数の抗体の修飾を含まない目的のペプチドへの結合を決定し、これにより、目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程を含む、目的のペプチドへの抗体を産生する方法を提供する。
[0055]本開示は、とりわけ、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対する修飾されたペプチドをスクリーニングする工程、目的の修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;親和性成熟により、1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーを生成する工程;修飾を含まない目的のペプチドに対するクローン型のライブラリーをスクリーニングし、これにより、目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程を含む、目的のペプチドへの抗体を産生する方法を提供する。
[0056]実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、リン酸化アミノ酸である。実施形態において、リン酸化アミノ酸は、ホスホセリン(SEP)又はホスホチロシンである。実施形態において、リン酸化アミノ酸は、ホスホセリン(SEP)である。実施形態において、リン酸化アミノ酸は、ホスホチロシンである。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、目的のペプチド内の天然に存在するアミノ酸を置換する。実施形態において、抗体ライブラリーは、ホスホバイアス抗体ライブラリーである。実施形態において、ホスホバイアス抗体ライブラリーは、ファージディスプレイライブラリー、細菌ディスプレイライブラリー、酵母ディスプレイライブラリー、リボソームディスプレイライブラリー、又はmRNAディスプレイライブラリーから選択される。実施形態において、抗体ライブラリーは、ファージディスプレイライブラリーである。実施形態において、抗体ライブラリーは、抗体フラグメントから選択される複数の抗体を含む。実施形態において、抗体ライブラリーは、scFv、Fab、Fab’、Fv、又はIgGから選択される複数の抗体を含む。実施形態において、抗体ライブラリーは、scFvライブラリーである。実施形態において、scFvライブラリーは、M13 scFvライブラリーである。実施形態において、抗体ライブラリーは、約10、10、10、1010、1011、若しくは1012又は10、10、10、1010、1011、若しくは1012より大きな多様性を有する。実施形態において、抗体ライブラリーは、約1013、1012、1011、若しくは1010又は1013、1012、1011、若しくは1010より小さな多様性を有する。実施形態において、方法は、目的のペプチドに結合する抗体の親和性成熟をさらに含む。実施形態において、親和性成熟は、指向進化により行われる。実施形態において、親和性成熟は、修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体のCDR−H2及び/又はCDR−L2領域の外側の配列を無作為化する工程を含む。実施形態において、親和性成熟は、エラープローンPCR変異誘発を含む。実施形態において、スクリーニング工程のそれぞれは、ホールセル、細胞フラグメント、又は単離されたタンパク質において行われる。実施形態において、スクリーニング工程のそれぞれは、ホールセルパニングを含む。実施形態において、ホールセルパニングは、エマルジョンベースである。実施形態において、エマルジョンベースのスクリーニングは、遅延エマルジョン感染性(DEI)である。実施形態において、目的のペプチドは、目的のタンパク質のエピトープに基づく。実施形態において、エピトープは、目的のタンパク質の外部ドメイン内にある。実施形態において、エピトープは、直線性エピトープである。実施形態において、エピトープは、立体構造又は不連続エピトープである。実施形態において、目的のペプチドは、約5〜30個のアミノ酸を含む。実施形態において、目的のペプチドは、およそ約10〜20個のアミノ酸を含む。実施形態において、目的のペプチドは、目的のタンパク質の外部ドメインにおける3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、又は10個毎のアミノ酸の周りの配列を含む。実施形態において、目的のペプチドは、目的のタンパク質の外部ドメインにおける5個毎のアミノ酸の周りの配列を含む。実施形態において、目的のペプチドは、グリコシル化部位を含まない。実施形態において、目的のタンパク質は、細胞表面受容体である。実施形態において、細胞受容体は、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、酵素結合受容体、又はリガンド開口型イオンチャンネル受容体である。実施形態において、細胞受容体は、レプチン受容体、グルカゴン受容体、インスリン受容体、CXCR4、NTSR1、NTSR2又は受容体チロシンキナーゼである。実施形態において、方法は、抗体が目的のタンパク質に結合するかを試験する工程をさらに含む。実施形態において、方法は、抗体が目的のタンパク質の機能を阻害するかを試験する工程をさらに含む。実施形態において、目的のタンパク質の機能は、競合的阻害により、抗体によって阻害される。実施形態において、目的のタンパク質の機能は、非競合的阻害により、抗体によって阻害される。実施形態において、非競合的阻害は、アロステリック阻害である。実施形態において、方法は、目的のタンパク質の機能が抗体により増大されかを試験する工程をさらに含む。
[0057]本開示は、とりわけ、目的のタンパク質由来の配列に基づきペプチドを合成する工程であって、配列は、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾される、工程、先行する請求項のいずれか1つの方法に従い、ペプチドに結合する抗体を同定する工程;及び抗体が目的のタンパク質の機能を阻害するかを試験する工程を含む、目的のタンパク質を阻害する抗体を産生する方法を提供する。実施形態において、方法は、抗体が目的のタンパク質を立体的に阻害するかを決定する工程をさらに含む。
[0058]本出願において使用される、用語「約」及び「およそ」は、均等なものとして使用される。本明細書における刊行物、特許、又は特許出願への任意の引用は、それらの全体が参照により組み込まれる。約/およそと共に又はなしで本出願において使用される任意の数は、当業者により認識される任意の通常の変動をカバーすることを意味する。
[0059]本発明の他の特性、目的、及び利点は、続く詳細な説明において明らかである。しかしながら、詳細な説明が、本発明の実施形態を示しながら、制限ではなく説明のみの目的で与えられることは、理解されるべきである。本発明の範囲内の様々な変更及び修飾は、詳細な説明から当業者に明らかとなる。
図1は、リン酸化状態に特異的な抗体(リン酸化状態に特異的な抗体クローン型)をもたらす方法の1つの実施形態を示す一連の模式図である。模式図は、特異的なコンテキスト配列のPTM状態(例えば、リン酸化状態;リン酸化状態に特異的な抗体クローン型)を検出するそれらの能力においてのみ異なる抗体クローン型を開発する方法を説明する。方法をさらに使用して、リン酸化誘導体をまず産生して、結合を方向付け、次に、この誘導体を親和性成熟させて、コンテキスト配列への親和性を増大させることにより、任意の所定のペプチドに対する抗体をもたらすことができる。 図2は、細胞表面タンパク質のインヒビターである抗体の開発を描写するフロー図である。図2、パネルAは、目的の受容体の外部ドメインの重複する部分を含む10〜20−merのペプチドの合成を描写する(GPCRを描写する)。このフロー図において、10〜20merのペプチドを、天然に存在するアミノ酸を置き換える中央のホスホ−セリン(SEP)を用いて合成する。図2、パネルBは、目的の細胞表面タンパク質に対する抗体アロステリックインヒビターを開発するプロセスにおけるファージディスプレイステージを描写する。このフロー図において、ファージディスプレイを使用して、リン酸化特異的なscFvヒットを同定する。図2、フロー図のパネルCは、同定したヒットが変異誘発され、天然の配列ペプチドに対して成熟(例えば、発見成熟(「DisMAT」)及び/又は親和性成熟(「AffMAT」)を経験することを示す。図2、フロー図のパネルDは、IgGを精製し、続いて、細胞ベースのアッセイにおいて精製したIgGを試験することを示す。 図3は、ヒトトロンビンタンパク質の模式図及び本明細書において記載される方法に従って、ヒトトロンビンタンパク質に対して開発した抗体アロステリックインヒビターの活性を描写する一連のグラフ(図3、パネル(a)〜(d))を示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図4、パネルA〜Fは、計算的な方法及びアラニンスキャニング(パネルE)の実験データに基づき、リン酸化ペプチドと複合したScFvのモデルを描写する一連の模式図(パネルA〜D及びF)である。図4、パネルAは、ロゼッタタンパク質モデリングソフトウエアのロゼッタAbプロトコールを使用した、上の200/2000計算した構造デコイのオーバーレイを示す。図4、パネルBは、2つの最大スコアの構造が、同様のCDR構造を提示したことを示す。図4、パネルCは、構造モデルの静電気輪郭が、H2に結合している深い負に荷電した溝を提示したことを示す。図4、パネルEは、アラニン系統的変異導入の結果を示す。図4、パネルEにおいて示す、親和性に重要な残基は、図4、パネルDにおいて示す溝の一部を形成する。リン酸化抗原の正に荷電した半分(MARRPRHSIYS(ホス)SDEDDEDFE)を、溝に手動でモデル化し、ロゼッタFlexiPepDockを使用して、精密化した(図4、パネルF)。結果は、左の大部分のアルギニンは、タンパク質を結合していないことを示す。 図5、パネルA〜Dは、リン酸塩特異的なライブラリーの設計及び解析を示す、一連の模式図(パネルA〜B)、棒グラフ(パネルC)、及び表(パネルD)である。データは、1個の残基置換が、pSer結合をpTyr結合にスイッチし得ることを示す。構造の相違を、図5、パネルA及びBにおいて説明する。変異した残基を標識する。H3及びH2 CDRループを標識し、結合している残基を、バーとして示す。図5、パネルCは、抗Mybリン酸化セリン(pSer)に特異的なscFv(AXM1293)及びその変異体を用いて、ペプチドのパネルに対するELISA結果を示す棒グラフである。図5、パネルDは、L2、H3及びL3を同時に無作為化し、異なるリン酸化標的に対してスクリーニングしたライブラリーを示す。異なるリン酸化標的に対するスクリーニングを、CDR−H2が、pSerとpTyrの両方を認識するライブラリーを使用して行い、固有のヒット数を、伝統的なライブラリーアプローチと比較した。 図5、パネルA〜Dは、リン酸塩特異的なライブラリーの設計及び解析を示す、一連の模式図(パネルA〜B)、棒グラフ(パネルC)、及び表(パネルD)である。データは、1個の残基置換が、pSer結合をpTyr結合にスイッチし得ることを示す。構造の相違を、図5、パネルA及びBにおいて説明する。変異した残基を標識する。H3及びH2 CDRループを標識し、結合している残基を、バーとして示す。図5、パネルCは、抗Mybリン酸化セリン(pSer)に特異的なscFv(AXM1293)及びその変異体を用いて、ペプチドのパネルに対するELISA結果を示す棒グラフである。図5、パネルDは、L2、H3及びL3を同時に無作為化し、異なるリン酸化標的に対してスクリーニングしたライブラリーを示す。異なるリン酸化標的に対するスクリーニングを、CDR−H2が、pSerとpTyrの両方を認識するライブラリーを使用して行い、固有のヒット数を、伝統的なライブラリーアプローチと比較した。 図5、パネルA〜Dは、リン酸塩特異的なライブラリーの設計及び解析を示す、一連の模式図(パネルA〜B)、棒グラフ(パネルC)、及び表(パネルD)である。データは、1個の残基置換が、pSer結合をpTyr結合にスイッチし得ることを示す。構造の相違を、図5、パネルA及びBにおいて説明する。変異した残基を標識する。H3及びH2 CDRループを標識し、結合している残基を、バーとして示す。図5、パネルCは、抗Mybリン酸化セリン(pSer)に特異的なscFv(AXM1293)及びその変異体を用いて、ペプチドのパネルに対するELISA結果を示す棒グラフである。図5、パネルDは、L2、H3及びL3を同時に無作為化し、異なるリン酸化標的に対してスクリーニングしたライブラリーを示す。異なるリン酸化標的に対するスクリーニングを、CDR−H2が、pSerとpTyrの両方を認識するライブラリーを使用して行い、固有のヒット数を、伝統的なライブラリーアプローチと比較した。 図5、パネルA〜Dは、リン酸塩特異的なライブラリーの設計及び解析を示す、一連の模式図(パネルA〜B)、棒グラフ(パネルC)、及び表(パネルD)である。データは、1個の残基置換が、pSer結合をpTyr結合にスイッチし得ることを示す。構造の相違を、図5、パネルA及びBにおいて説明する。変異した残基を標識する。H3及びH2 CDRループを標識し、結合している残基を、バーとして示す。図5、パネルCは、抗Mybリン酸化セリン(pSer)に特異的なscFv(AXM1293)及びその変異体を用いて、ペプチドのパネルに対するELISA結果を示す棒グラフである。図5、パネルDは、L2、H3及びL3を同時に無作為化し、異なるリン酸化標的に対してスクリーニングしたライブラリーを示す。異なるリン酸化標的に対するスクリーニングを、CDR−H2が、pSerとpTyrの両方を認識するライブラリーを使用して行い、固有のヒット数を、伝統的なライブラリーアプローチと比較した。 図6は、修飾したpMINERVA scFvからIgGシステムを示す一連の模式図である。scFv Abを、gp3−融合物としてpMINERVAファージミドpDonorベクターにコードし、ファージディスプレイバイオパニング法においてスクリーニングする。スクリーニング後、所望の生物物理学的特性を有するscFvをコードするファージミドを同定する。このファージミドを、phiC31インテグラーゼを発現し、一例として、IgGアクセプターベクター(pAcceptor)を有する、大腸菌株に導入する。組換え現象の産物は、CH遺伝子及びVH遺伝子の3’末端に隣接するポリアデニル化シグナル部位を導入する。さらに、組換え現象は、哺乳類プロモーターとVL遺伝子の5’の機能的タンパク質開始部位の両方を導入する。scFvのVHとVLドメインの間のリンカーは、i)重鎖と軽鎖可変ドメインの間のペプチドリンカーと、ii)phiC31インテグラーゼの36bpの機能的基質の両方として機能することができるphiC31 36bpのattP部位を含む。[図の説明文:Pmam、哺乳類プロモーター;Pyeast、酵母プロモーター;Pcmv、CMVプロモーター;5’ss及び3’ss、スプライスシグナル;VL、軽鎖の可変セクション;VH、重鎖の可変セクション;gp3、ファージM13遺伝子3産物;PE.coli、大腸菌プロモーター;CH又はFc、重鎖の定常領域;attB、attP、インテグラーゼ遺伝子の基質;attR及びattL、インテグラーゼ遺伝子の産物;polyA、ポリアデニル化配列;CamS、CamR、それぞれ、プロモーターを含む及び含まないクロラムフェニコール抵抗性遺伝子;TCRzeta、T細胞受容体ゼータ;CAR−T、キメラ抗原受容体;Prosplice、Procat、二重機能プロモータータイプ;IRES、内部リボソームエントリー部位;RBS、リボソーム結合部位]。 図7は、親和性成熟ライブラリー構築アプローチのためのAXM変異誘発を示す一連の模式図である。オリゴヌクレオチドのプールを、5’末端に複数のホスホロチオエート結合を含有するリバースプライマーを使用したエラープローンPCR条件下で増幅する。得られた2本鎖DNAを、T7エキソヌクレアーゼを用いて処理して、dsDNA分子の未修飾の鎖を選択的に分解する。次に、得られた1本鎖DNA、又は「メガプライマー」を、ウラシル化、循環、1本鎖ファージミドDNAにアニーリングし、これを使用して、DNAポリメラーゼによるin vitro合成を刺激する。次に、ライゲーションしたヘテロ二本鎖産物を、大腸菌AXE688細胞に形質転換し、この際、ウラシル化した鎖は、ウラシルN−グリコシラーゼによりin vivoで切断され、メガプライマーを含有する新たに合成した組換え鎖の残存が有利になる。また、Eco29kIを使用して、完全には組換え体ではない任意のクローンを除去する。 図8は、ファージディスプレイを示す一連の模式図である。ファージディスプレイを、タンパク質相互作用の高処理スクリーニングのため使用する。M13糸状ファージディスプレイの場合、目的のタンパク質又はペプチドをコードするDNAを、微量なコートタンパク質をコードする、pIII遺伝子にライゲーションする。次に、ファージ遺伝子及び挿入DNAハイブリッドを、大腸菌TG1に形質導入する。対象となるタンパク質標的をマイクロタイタープレートウェル又はビーズの表面に固定することにより、その表面上の抗体標的の1つに結合するAbを提示するファージは残存し、一方、他のものは、洗浄により取り除かれる。残存するものを、溶出し、これを使用して、さらなるファージを産生し(ヘルパーファージを用いた細菌感染による)、これにより、対象となる(すなわち、結合する)ファージが濃縮されているファージ混合物を産生する。低pH溶出バッファーを合わせて、溶出を行うことができる。これらの工程の繰り返しサイクリングを、不所望な物質を取り除くことによる貴重な試料の濃縮に関して、「パニング」として言及する。最終工程で溶出したファージを使用して、適当な細菌宿主を感染させることができ、細菌宿主から、ファージミドを集め、対象となるDNA配列を切除し、配列決定して、対象となる、相互作用するタンパク質又はタンパク質フラグメントを同定することができる。 図9は、ファージマイクロエマルジョンスクリーニング方法を示す一連の模式図である。このスクリーニングアプローチにおいて、scFvバリアントをコードするバクテリオファージM13のライブラリーを用いて感染させた大腸菌を、油中水滴型エマルジョンにおいて抗原でコートしたビーズを用いてコンパートメント化して、平均して、1つのコンパートメント当たりおよそ1個のビーズ及び1〜10個の感染した細菌細胞となるようにする。結果として、それぞれのコンパートメントにおいて、複数コピーの組換えファージを産生し、組換えファージの幾つかは、抗原でコートしたビーズに結合し得る。エマルジョンを破壊し、マイクロビーズを、任意の結合したファージと共に、単離する。次に、ビーズを、FITCに結合した抗M13 IgG Abとインキュベートする。故に、結合したファージを含む抗原でコートしたビーズを、複数のフルオレセイン分子で標識する。次に、これらのビーズを、フローサイトメトリーソーティングにより、濃縮することができる(ビーズに結合したファージと一緒に)。 図10、パネルA〜Bは、高いタイターの完全な組換え抗体ライブラリーを産生するためのin vivo制限酵素の使用及び飽和プラスミドDNAを用いた形質転換を示す一連の模式図である。図10、パネルAは、組換えライブラリーの産生においてAXE688株を使用したin vivo制限酵素を示す。相補性決定領域(CDR)内にEco29kI部位を有する親プラスミドを、AXE688[=TG1(eco29KIR、eco29kIM)]細胞において発現したEco29kI酵素により切断する。図10、パネルBは、飽和DNAを使用したin vivo細胞選択を描写する。細胞の選択性を、過飽和濃度のプラスミドDNAを使用することにより活用して、完全な組換えクローンの巨大なライブラリーを生成することができる。エレクトロ−コンピテント細胞アリコート内のコンピテント細胞は、混合物中のコンピテント細胞の数に関連してDNA飽和である条件下で複数のプラスミドを取り上げ得る。AXE688を使用して、細胞は、in vivoで複数のプラスミド及びEco29kI部位を保持する制限酵素親DNAを取り上げ、これにより、より高い割合の完全組換えクローンを用いて形質転換した細胞を得る。 図10、パネルA〜Bは、高いタイターの完全な組換え抗体ライブラリーを産生するためのin vivo制限酵素の使用及び飽和プラスミドDNAを用いた形質転換を示す一連の模式図である。図10、パネルAは、組換えライブラリーの産生においてAXE688株を使用したin vivo制限酵素を示す。相補性決定領域(CDR)内にEco29kI部位を有する親プラスミドを、AXE688[=TG1(eco29KIR、eco29kIM)]細胞において発現したEco29kI酵素により切断する。図10、パネルbは、飽和DNAを使用したin vivo細胞選択を描写する。細胞の選択性を、過飽和濃度のプラスミドDNAを使用することにより活用して、完全な組換えクローンの巨大なライブラリーを生成することができる。エレクトロ−コンピテント細胞アリコート内のコンピテント細胞は、混合物中のコンピテント細胞の数に関連してDNA飽和である条件下で複数のプラスミドを取り上げ得る。AXE688を使用して、細胞は、in vivoで複数のプラスミド及びEco29kI部位を保持する制限酵素親DNAを取り上げ、これにより、より高い割合の完全組換えクローンを用いて形質転換した細胞を得る。 図11、パネルA〜Cは、選択した抗体のCDRH3に特異的な抗イディオタイプ抗体の単離を示す一連の模式図(図11、パネルA)並びにグラフ(図11、パネルB及びC)を描写する。図11、パネルDは、次の酵素:トロンビン、アミラーゼ及びソルターゼを阻害する単離された抗体の代表例を示す一連の模式図及びグラフを描写する。模式図は、単離した抗体が、酵素標的に結合する範囲を示す。グラフは、様々な条件下での抗体による阻害を示す。 図11、パネルA〜Cは、選択した抗体のCDRH3に特異的な抗イディオタイプ抗体の単離を示す一連の模式図(図11、パネルA)並びにグラフ(図11、パネルB及びC)を描写する。図11、パネルDは、次の酵素:トロンビン、アミラーゼ及びソルターゼを阻害する単離された抗体の代表例を示す一連の模式図及びグラフを描写する。模式図は、単離した抗体が、酵素標的に結合する範囲を示す。グラフは、様々な条件下での抗体による阻害を示す。 図11、パネルA〜Cは、選択した抗体のCDRH3に特異的な抗イディオタイプ抗体の単離を示す一連の模式図(図11、パネルA)並びにグラフ(図11、パネルB及びC)を描写する。図11、パネルDは、次の酵素:トロンビン、アミラーゼ及びソルターゼを阻害する単離された抗体の代表例を示す一連の模式図及びグラフを描写する。模式図は、単離した抗体が、酵素標的に結合する範囲を示す。グラフは、様々な条件下での抗体による阻害を示す。 図11、パネルA〜Cは、選択した抗体のCDRH3に特異的な抗イディオタイプ抗体の単離を示す一連の模式図(図11、パネルA)並びにグラフ(図11、パネルB及びC)を描写する。図11、パネルDは、次の酵素:トロンビン、アミラーゼ及びソルターゼを阻害する単離された抗体の代表例を示す一連の模式図及びグラフを描写する。模式図は、単離した抗体が、酵素標的に結合する範囲を示す。グラフは、様々な条件下での抗体による阻害を示す。 図12、パネルA〜Dは、本明細書において記載するファージ由来IgG抗体を使用して作製した抗体の代表例である一連のマイクログラフ及びグラフを描写する。図12、パネルAは、SK−N−SH(ヒトニューロブラストーマ細胞株細胞)におけるミエリン塩基性タンパク質に特異的な抗体の免疫細胞化学染色の結果を描写する。図12、パネルBは、HeLa細胞において行なった、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用した、ウエスタンブロットを描写する。図12、パネルCは、フローサイトメトリー実験が、NTSR1 GPCRを過剰発現した細胞株と一緒にインキュベートしたsc−Fv E1抗体を使用した、フローサイトメトリーのグラフを描写する。図12、パネルDは、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用したクロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)の結果を示すグラフである。 図12、パネルA〜Dは、本明細書において記載するファージ由来IgG抗体を使用して作製した抗体の代表例である一連のマイクログラフ及びグラフを描写する。図12、パネルAは、SK−N−SH(ヒトニューロブラストーマ細胞株細胞)におけるミエリン塩基性タンパク質に特異的な抗体の免疫細胞化学染色の結果を描写する。図12、パネルBは、HeLa細胞において行なった、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用した、ウエスタンブロットを描写する。図12、パネルCは、フローサイトメトリー実験が、NTSR1 GPCRを過剰発現した細胞株と一緒にインキュベートしたsc−Fv E1抗体を使用した、フローサイトメトリーのグラフを描写する。図12、パネルDは、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用したクロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)の結果を示すグラフである。 図12、パネルA〜Dは、本明細書において記載するファージ由来IgG抗体を使用して作製した抗体の代表例である一連のマイクログラフ及びグラフを描写する。図12、パネルAは、SK−N−SH(ヒトニューロブラストーマ細胞株細胞)におけるミエリン塩基性タンパク質に特異的な抗体の免疫細胞化学染色の結果を描写する。図12、パネルBは、HeLa細胞において行なった、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用した、ウエスタンブロットを描写する。図12、パネルCは、フローサイトメトリー実験が、NTSR1 GPCRを過剰発現した細胞株と一緒にインキュベートしたsc−Fv E1抗体を使用した、フローサイトメトリーのグラフを描写する。図12、パネルDは、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用したクロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)の結果を示すグラフである。 図12、パネルA〜Dは、本明細書において記載するファージ由来IgG抗体を使用して作製した抗体の代表例である一連のマイクログラフ及びグラフを描写する。図12、パネルAは、SK−N−SH(ヒトニューロブラストーマ細胞株細胞)におけるミエリン塩基性タンパク質に特異的な抗体の免疫細胞化学染色の結果を描写する。図12、パネルBは、HeLa細胞において行なった、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用した、ウエスタンブロットを描写する。図12、パネルCは、フローサイトメトリー実験が、NTSR1 GPCRを過剰発現した細胞株と一緒にインキュベートしたsc−Fv E1抗体を使用した、フローサイトメトリーのグラフを描写する。図12、パネルDは、ヒストンH2Bに特異的な抗体を使用したクロマチン免疫沈降アッセイ(ChIP)の結果を示すグラフである。 図13、パネル(a)〜(c)は、ウエスタン解析における修飾特異的なクローン型(「MSC」)抗体対の同定及び検証を表す一連の模式図を示す。図13、パネル(a)は、定方向リン酸化Abクローン型(「DPAC」)の図を示す模式図である。DPACは、新規のリン酸化特異的抗体及び修飾を含まない、同じ配列を認識する一致する抗体対の単離及び検証のためのプラットフォームである。図13、パネル(b)は、発見成熟(「DisMat」)の使用を通じてリン酸化特異的なファージ抗体ヒットの分子進化を説明する模式図である。図13、パネル(c)は、大腸菌における単離し、変換したIgGの検証を示す模式図である。 図14は、動物由来のリン酸化特異的な抗体の使用を示す模式図である。動物由来のリン酸化特異的な抗体を使用した研究から得たデータは、リン酸化無関係又はセリン特異的な抗体の発見における6種の試験RAbMaクローンに対する66%の成功率を示す。特異的リン酸化Abクローン型3(「DPAC3」)は、既存の抗リン酸化修飾組換えモノクローナル抗体の未修飾及びリン酸化無関連のクローナルな誘導体への変換のためのプラットフォームを指す。 図15、パネルA及びパネルBは、抗akt473の発見及び発見成熟(「DisMat」)を示す一連のグラフである。 図15、パネルA及びパネルBは、抗akt473の発見及び発見成熟(「DisMat」)を示す一連のグラフである。 図16Aは、遅延型エマルジョン感染性(「DEI」):リコンビナトリアルバイオパニングを示す模式図である。DEIは、エマルジョンベースのスクリーニングアッセイである。 図16Bは、DEIアッセイにおけるM13による感染に対する成長温度の効果を示す棒グラフである。大腸菌TG1細胞を、20℃、24℃、又は37℃においてOD600=0.4まで成長させた。次に、細胞を、ファージとインキュベートし、洗浄し(未結合のファージを取り除き)、アンピシリン形質導入のため37℃において播種した。それぞれの条件下でのアンピシリン抵抗性コロニーの数をカウントし、プロットした。 図17、パネルA及びBは、DEIの実施形態において使用した細菌ディスプレイシステムを示す模式図である。図17、パネル(A)は、Lpp−OmpA細菌ディスプレイシステムの模式イメージを示す。図17、パネル(B)は、大腸菌プロモーター(lac)、Lpp−OmpA融合タンパク質、Tevタンパク質分解酵素切断部位、及び抗原フラグメントを含有する発現コンストラクト及び抗原ディスプレイの模式図を示す。プロモーター、ディスプレイタンパク質(Lpp−OmpA)、及び抗原配列はそれぞれ、代替配列のクローニングを促進するための制限酵素部位により隣接する。(右)phiC31インテグラーゼによる組み込み。大腸菌宿主において、phiC31インテグラーゼタンパク質は、2つのベクターのattP及びattB配列を組換え、これにより、予め規定した向きにホーミングとドナーベクター配列の両方を含む、単一のキメラ分子を産生する。組換え現象の産物は、VHをCH遺伝子に融合する。さらに、組換え現象は、哺乳類プロモーターとVL遺伝子の5’の機能的タンパク質開始部位の両方を導入する。特に重要なことには、scFvのVHとVLドメインの間のリンカーが、i)重鎖と軽鎖可変ドメインの間のペプチドリンカー、及びii)phiC31インテグラーゼの36bpの機能的基質の両方として機能することができるphiC31 36bpのattP部位を含む。[図の説明文:PCMV、CMVプロモーター;mSigP、哺乳類シグナルペプチド;bSigP、細菌シグナルペプチド;ss、スプライスシグナル;VL、軽鎖の可変セクション;VH、重鎖の可変セクション;gp3、ファージM13遺伝子3産物;PSacR、枯草菌SacRプロモーター;Ptac、キメラtrp及びlacプロモーター;Fc、重鎖の定常領域;attB、attP、phiC31インテグラーゼ遺伝子の基質;attR及びattL、phiC31インテグラーゼ遺伝子の産物;loxP、creタンパク質の基質;polyA、ポリアデニル化配列]。 図17、パネルA及びBは、DEIの実施形態において使用した細菌ディスプレイシステムを示す模式図である。図17、パネル(A)は、Lpp−OmpA細菌ディスプレイシステムの模式イメージを示す。図17、パネル(B)は、大腸菌プロモーター(lac)、Lpp−OmpA融合タンパク質、Tevタンパク質分解酵素切断部位、及び抗原フラグメントを含有する発現コンストラクト及び抗原ディスプレイの模式図を示す。プロモーター、ディスプレイタンパク質(Lpp−OmpA)、及び抗原配列はそれぞれ、代替配列のクローニングを促進するための制限酵素部位により隣接する。(右)phiC31インテグラーゼによる組み込み。大腸菌宿主において、phiC31インテグラーゼタンパク質は、2つのベクターのattP及びattB配列を組換え、これにより、予め規定した向きにホーミングとドナーベクター配列の両方を含む、単一のキメラ分子を産生する。組換え現象の産物は、VHをCH遺伝子に融合する。さらに、組換え現象は、哺乳類プロモーターとVL遺伝子の5’の機能的タンパク質開始部位の両方を導入する。特に重要なことには、scFvのVHとVLドメインの間のリンカーが、i)重鎖と軽鎖可変ドメインの間のペプチドリンカー、及びii)phiC31インテグラーゼの36bpの機能的基質の両方として機能することができるphiC31 36bpのattP部位を含む。[図の説明文:PCMV、CMVプロモーター;mSigP、哺乳類シグナルペプチド;bSigP、細菌シグナルペプチド;ss、スプライスシグナル;VL、軽鎖の可変セクション;VH、重鎖の可変セクション;gp3、ファージM13遺伝子3産物;PSacR、枯草菌SacRプロモーター;Ptac、キメラtrp及びlacプロモーター;Fc、重鎖の定常領域;attB、attP、phiC31インテグラーゼ遺伝子の基質;attR及びattL、phiC31インテグラーゼ遺伝子の産物;loxP、creタンパク質の基質;polyA、ポリアデニル化配列]。 図18、パネルA及びBは、大腸菌の表面の18種の別々に提示したペプチドのマルチプレックスの結果を示す一連のグラフである。最初の10種のペプチドについての100万個を超える抗体次世代配列(「NGS」)読み取りの出現の解析を示す。図18、パネルAは、ファージヒットのNGS解析を示す。特異的な抗体配列の機能を標的N対全NGSセット(標的Nを差し引く)に対してグラフ化する。図18、パネルBは、NGS読み取りの3つの「分類」又はグループ化の説明を示す。図18、パネルBにおいて示す通り、3つの分類又はグループ化は、(i)濃縮した標的1特異的なscFv;(ii)非特異的なscFv;及び(iii)濃縮した全ての他のscFvである。 図18、パネルA及びBは、大腸菌の表面の18種の別々に提示したペプチドのマルチプレックスの結果を示す一連のグラフである。最初の10種のペプチドについての100万個を超える抗体次世代配列(「NGS」)読み取りの出現の解析を示す。図18、パネルAは、ファージヒットのNGS解析を示す。特異的な抗体配列の機能を標的N対全NGSセット(標的Nを差し引く)に対してグラフ化する。図18、パネルBは、NGS読み取りの3つの「分類」又はグループ化の説明を示す。図18、パネルBにおいて示す通り、3つの分類又はグループ化は、(i)濃縮した標的1特異的なscFv;(ii)非特異的なscFv;及び(iii)濃縮した全ての他のscFvである。 図19は、ウエスタン解析においてオルソロガスな抗体を使用してタンパク質に対する修飾特異的なクローン型(「MSC」)抗体の検証を示す模式図である。
定義
[0080]本発明がより容易に理解されるために、ある特定の用語が、まず以下で定義される。以下の用語及び他の用語についての追加の定義は、本明細書を通じて説明される。
[0081]親和性試薬:本明細書において使用される、用語「親和性試薬」は、標的分子に特異的に結合して、例えば、標的分子の活性を同定する、追跡する、捕捉するか、又は影響する任意の分子である。本明細書において記載される方法により同定されるか、又は回収される親和性試薬は、「遺伝的にコードされる」、例えば、抗体、ペプチド又は核酸であり、したがって、配列決定される能力がある。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」を、本明細書において互換的に使用して、一緒に結合した2個以上のアミノ酸を指す。
[0082]動物:本明細書において使用される、用語「動物」は、動物界の任意のメンバーを指す。幾つかの実施形態において、「動物」は、発生の任意のステージにあるヒトを指す。幾つかの実施形態において、「動物」は、発生の任意のステージにある非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態において、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/又はブタ)である。幾つかの実施形態において、動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、及び/又は虫を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、動物は、遺伝子導入動物、遺伝子操作された動物、及び/又はクローンであってもよい。
[0083]抗体:本明細書において使用される、用語「抗体」又は「Ab」又は「Abs」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。ttに「特異的に結合する」又は「免疫反応する」により、抗体が、所望の抗原の1個又は複数の抗原決定基と反応することを意味する。抗体は、抗体フラグメントを含む。抗体はまた、ポリクローナル、モノクローナル、キメラdAb(ドメイン抗体)、1本鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2フラグメント、scFv、及びFab発現ライブラリーを含むが、これらに限定されない。抗体は、抗体全体、又は免疫グロブリン、又は抗体フラグメントであってもよい。
[0084]認識された免疫グロブリンポリペプチドは、カッパー及びラムダ軽鎖並びにアルファ、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン及びミュー重鎖又は他の種における均等物を含む。全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDa又は約214個のアミノ酸の)は、NH2末端の約110個のアミノ酸の可変領域及びCOOH末端のカッパー又はラムダ定常領域を含む。全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDa又は約446個のアミノ酸の)は、可変領域(約116個のアミノ酸の)及び前述の重鎖定常領域の1つ、例えば、ガンマ(約330個のアミノ酸の)を同様に含む。
[0085]抗原結合部位:本明細書において使用される、用語「抗原結合部位」又は「結合部分」は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の一部を指す。抗原結合部位は、重(「H」)及び軽(「L」)鎖のN末端の可変(「V」)領域のアミノ酸残基により形成される。「高可変領域」として言及される、重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に多岐の区間は、「フレームワーク領域」、又は「FR」として公知のより保存された隣接区間の間に挿入される。したがって、用語「FR」は、免疫グロブリンにおける高可変領域の間、高可変領域に隣接する天然で見られるアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの高可変領域及び重鎖の3つの高可変領域を、3次元空間において互いに関連して取り決めて、抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、重鎖及び軽鎖のそれぞれの3つの高可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」として言及される。
[0086]抗イディオタイプ抗体:本明細書において使用される、「抗イディオタイプ抗体」は、別の抗体の抗原結合部位に特異的に結合し、それ故、他の抗体が特異的に結合している抗体を意味する。抗イディオタイプ抗体は、別の抗体により通常認識されるエピトープを模倣し得る。イディオタイプは、免疫グロブリンの可変領域における構造の遺伝的に決定されたバリエーションである。イディオタイプ可変性の正確な遺伝子バイアスは、部分的に説明されたのみであった。しかしながら、イディオタイプバリエーションは、イディオトープとしても言及される、特に、抗原結合部位の範囲内のアミノ酸配列及びタンパク質構造(いわゆる決定基)を含む。用語「イディオタイプ」は、抗体分子の可変領域の決定基の完全なセットを命名する。
[0087]およそ又は約:本明細書において使用される、目的の1個又は複数の値に適用される、用語「およそ」又は「約」は、規定の参照値に類似する値を指す。ある特定の実施形態において、用語「およそ」又は「約」は、別段規定されないか、又は別段前後から明白でない限り(かかる数字が、可能性のある値の100%を超える場合を除き)、規定の参照値のいずれかの向き(大きいか、又は小さい)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下以内にある値の範囲を指す。
[0088]生物学的に活性:本明細書において使用される、語句「生物学的に活性」は、生物学的システム、特に、生物において活性を有する任意の剤の特徴を指す。例えば、生物に投与されるとき、その生物に対する生物学的効果を有する剤は、生物学的に活性であるとみなされる。特定の実施形態において、ペプチドが、生物学的に活性である場合、ペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有するそのペプチドの一部が、「生物学的に活性な」部分として典型的に言及される。
[0089]クローン型:本明細書において使用される、用語「クローン型」は、体細胞親和性成熟を通じて同じ祖先のB細胞から生じる抗体のセットを指す。
[0090]特異的なリン酸化状態に特異的な抗体クローン型1(「DPAC1」):本明細書において使用される、「特異的リン酸化状態に特異的な抗体クローン型1」又は「DPAC1」は、新規のリン酸化特異的な抗体及び修飾を含まない、同じ配列を認識する一致する抗体対の単離及び検証のためのプラットフォームを指す(図1及び図13)。
[0091]特異的なリン酸化状態に特異的な抗体クローン型2(「DPAC2」):本明細書において使用される、「特異的なリン酸化状態に特異的な抗体クローン型2」又は「DPAC2」は、目的のペプチド又はタンパク質に対する抗体インヒビターの単離のためのプラットフォームを指す。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、酵素であり得る。実施形態において、阻害は、立体阻害を介してである。DPAC2はまた、抗イディオタイプ抗体を産生するためのプラットフォームを指す(図2)。
[0092]特異的なリン酸化状態に特異的な抗体クローン型3(「DPAC3」):本明細書において使用される、「特異的なリン酸化状態に特異的な抗体クローン型3」又は「DPAC3」は、既存の抗リン酸化修飾した組換えモノクローナル抗体の未修飾及びリン酸化に無関連のクローナルな誘導体への変換のためのプラットフォームを指す(図14)。
[0093]発見成熟(「DisMat」):本明細書において使用される、「発見成熟」又は「DisMat」は、発見ヒットクローンの無作為変異ライブラリーを産生し、次に、抗原濃度が高く、3〜4回の繰り返しラウンドのパニングを通じて一定を維持する、発見バイオパニング条件下でこれらの新規に作製されたライブラリーをバイオパニングするための、AXMエラープローンPCR変異誘発(図7)を指す。これらの変化した特異性クローンは、本明細書において「クローン型」として言及される。結合は、また親和性成熟(「AffMat」)指向進化を使用することにより、さらに改善され得る。例えば、AffMatにおいて、免疫原濃度は、3〜4回のラウンドのそれぞれのパニング毎に4〜10分の1に降下する。本発明において利用されるAffMatは、割合外の選択プロトコールが、クローン型の親和性を増大させることを可能にする。
[0094]エピトープ:本明細書において使用される、用語「エピトープ」は、免疫グロブリン、又はフラグメントに特異的に結合する能力がある任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、アミノ酸又は糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面基から通常なり、特異的な3次元構造特徴、並びに特異的な電荷特徴を通常有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端又はC末端のペプチドに対して生じてもよい。
[0095]機能的エピトープ:本明細書において使用される、用語「機能的エピトープ」は、結合相互作用へのエネルギー関与するエピトープ内の残基を意味する。
[0096]機能的均等物又は誘導体:本明細書において使用される、用語「機能的均等物」又は「機能的誘導体」は、アミノ酸配列の機能的誘導体の文脈において、オリジナルの配列のものと実質的に類似する生物学的活性(機能又は構造のいずれか)を保持する分子を示す。機能的誘導体又は均等物は、天然の誘導体であり得るか、又は合成で調製される。典型的な機能的誘導体は、1個又は複数のアミノ酸の置換、欠損、又は付加を有するアミノ酸配列を含み、但し、タンパク質の生物学的活性は保存される。置換しているアミノ酸は、置換されたアミノ酸のものと類似する物理化学的特性を望ましくは有する。所望の類似の物理化学的特性は、電荷、バルキネス、疎水性、親水性等における類似性を含む。
[0097]in vitro:本明細書において使用される、用語「in vitro」は、多細胞生物内よりむしろ人工的環境において、例えば、試験官又は反応容器において、細胞培養液等において生じる現象を指す。
[0098]in vivo:本明細書において使用される、用語「in vivo」は、ヒト及び非ヒト動物のような、多細胞生物内で生じる現象を指す。細胞ベースのシステムの文脈において、用語を使用して、生きている細胞内で生じる現象を指し得る(例えば、in vitroシステムと逆)。
[0099]単離された:本明細書において使用される、用語「単離された」は、(1)最初に産生される(天然において及び/又は実験設定においてのいずれかで)とき、関連した成分の少なくとも幾つかと異なり、及び/又は(2)人の手により産生され、調製され、及び/又は製造された物質及び/又は実体を指す。単離された物質及び/又は実体は、物質及び/又は実体が最初に関連した他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、又は100%異なってもよい。幾つかの実施形態において、単離された剤は、約80%より高い、約85%より高い、約90%より高い、約91%より高い、約92%より高い、約93%より高い、約94%より高い、約95%より高い、約96%より高い、約97%より高い、約98%より高い、約99%より高い、実質的に100%、又は100%の純品である。本明細書において使用される、物質が、他の成分を実質的に含まないなら、物質は、「純品」である。本明細書において使用される、用語「単離された細胞」は、多細胞生物において含有されない細胞を指す。
[0100]免疫学的結合:用語「免疫学的結合」は、免疫グロブリン分子と免疫グロブリンが特異的な抗原との間で生じるタイプの非共有相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強さ、又は親和性は、相互作用の解離定数(K)の点で表され得、Kが小さいほど、高い親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該技術分野において周知の方法を使用して定量することができる。
[0101]分子ディスプレイシステム:本明細書において使用される、用語「分子ディスプレイシステム」又は「抗体ライブラリー」は、標的分子又はリガンドへの可能性のある結合剤についてスクリーニングするための可能性のある親和性試薬のライブラリーを提示する能力がある任意のシステムである。分子ディスプレイシステムの例は、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ及びmRNAディスプレイを含む。幾つかの実施形態において、ファージディスプレイが使用される。
[0102]修飾特異的なクローン型:本明細書において使用される、用語「修飾特異的なクローン型」又は「MSC」は、数個のアミノ酸が異なり、翻訳後状態の同じエピトープに異なって結合する抗体である。「数個のアミノ酸」は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を意味する。
[0103]ポリペプチド:本明細書において使用される、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して一緒に結合したアミノ酸の連続的な鎖を指す。用語を使用して、任意の長さのアミノ酸鎖を指すが、当業者は、用語が、非常に長い鎖に限定されず、ペプチド結合を介して一緒に結合した2個のアミノ酸を含む最短の鎖を指し得ることを理解する。当業者に公知である通り、ポリペプチドは、処理され、及び/又は修飾されてもよい。
[0104]翻訳後修飾:本明細書において使用される、用語「翻訳後修飾」は、タンパク質生合成中又は後のいずれかで生じるペプチド又はタンパク質の任意の修飾を一般に指す。例えば、翻訳後修飾は、制御性サブユニットのタンパク分解切断又はタンパク質全体の分解のような、官能基又はタンパク質のタンパク質又はペプチドへの共有付加を含む。
[0105]翻訳後修飾部位:本明細書において使用される、用語「翻訳後修飾部位」は、任意の修飾(複数可)のアクセプターとして作用するペプチド、タンパク質、又は酵素内の1個又は複数のアミノ酸残基を一般に指す。翻訳後修飾部位は、天然に存在し得るか、又は翻訳後修飾部位は、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に遺伝子操作され得る。
[0106]タンパク質:本明細書において使用される、用語「タンパク質」は、別々の単位として機能する1個又は複数のポリペプチドを指す。単一ポリペプチドが、別々の機能する単位であり、別々の機能する単位を形成するために他のポリペプチドとの永久的又は一時的な物理的関連を必要としないなら、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され得る。別々の機能単位が、互いに物理的に関連する1個より多くのポリペプチドを含むなら、用語「タンパク質」は、物理的に結合し、別々の単位として一緒に機能する複数のポリペプチドを指す。
[0107]scFv:1本鎖Fv(「scFv」)ポリペプチド分子は、共有結合したVH::VLヘテロダイマーであり、ペプチドをコードするリンカーにより結合したVH及びVLをコードする遺伝子を含む遺伝子融合から発現され得る(Hustonら、(1988年)、Proc Nat Acad Sci USA、85(16):5879〜5883頁を参照)。多数の方法を記載して、抗体V領域由来の天然で凝集しているが、化学的には分離したポリペプチド軽鎖及び重鎖のscFv分子への変換のための化学構造を区別しており、抗原結合部位の構造に実質的に類似する3次元構造にフォールディングする。例えば、米国特許第5,091,513号;第5,132,405号;及び第4,946,778号を参照。
[0108]実質的に:本明細書において使用される、用語「実質的に」は、目的の特徴又は特性のトータル又はほぼトータルの範囲又は程度を示す定量的状態を指す。生物学的技術分野における当業者は、生物学的及び化学的現象は、完了まで達し、及び/或いは完全に進行する、又は絶対的な結果を達成若しくは回避することが仮にあるとしても稀であることを理解する。それ故、用語「実質的に」を本明細書において使用して、多くの生物学的及び化学的現象における固有の完全性の可能性のある欠如を取得する。
ある特定の実施形態の詳細な説明
[0109]本発明の様々な態様は、以下のセクションにおいて詳細に記載される。セクションの使用は、本発明を限定しようとするものではない。それぞれのセクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「又は」の使用は、別段規定されない限り、「及び/又は」を意味する。
[0110]本開示は、とりわけ、特異的な翻訳後修飾を有するエピトープを認識し、結合し、及び又はモジュレートする抗体を生成する方法及び生成するための組成物を提供する。幾つかの実施形態において、本開示は、翻訳後修飾特異的な抗体の産生のための構造ベースの指向進化アプローチを記載する。幾つかの実施形態において、開示は、汎翻訳後修飾抗体の生成を記載し、抗体は、翻訳後修飾の存在又は非存在下でエピトープに結合する。幾つかの実施形態において、本開示は、目的のペプチド又はタンパク質を阻害する抗体を産生する方法を提供する。実施形態において、抗体は、抗酵素立体インヒビターである。
[0111]エピトープの特異的な翻訳後修飾を標的にする抗体の生成は、研究の多くの態様における当該抗体の使用を可能にし、同じ可能性のある治療上の使用を可能にする。例えば、治療タンパク質標的又は他の生物学的標的に結合し、修飾する抗体が、生成され得る。「生物学的タンパク質標的」により、幾つかの他の実体がそれへと方向付けられ及び/又は結合する、生きている生物(例えば、細胞、タンパク質、小分子、RNA、DNA等)内の任意のものを意味し、結合は、細胞及び/又は生きている生物の生理を変化させる。
[0112]1本鎖可変フラグメント(scFv)の様な組換え抗体は、多くの魅力的な性状を有する。組換え抗体は、適当な異種性宿主における過剰発現を通じて新たに補充することが可能であり、組換え抗体は、容易に保存され、DNAとして伝達され、組換え抗体は、様々な酵素、蛍光タンパク質、及びエピトープタグへの融合物として遺伝子操作され得る。また有用なscFvは、IgGに容易に変換され得る。しかしながら、したがって、本開示の前の、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、及びリボソームディスプレイのような、in vitroの選択方法は、翻訳後修飾に特異的な抗体をカスタマイズするための要件と合致するにはあまりに非効率的である。
[0113]幾つかの方法が、in vitroでAb多様性を生じさせるために従前に使用された。幾つかの方法は、免疫した又は免疫していない脊椎動物細胞(ナイーブライブラリーを生成するため)のいずれかの免疫領域(天然のアプローチ)のcDNAをクローニングする工程、混合したヌクレオチド合成を用いたAb CDR遺伝子フラグメントのトータルの合成、及び半合成アプローチを含み、それにより、フレームワーク遺伝子が、合成され、多様性が、多数のCDRをクローニングすることにより、生成される。一定のフレームワークを含む典型的なファージディスプレイライブラリーは、(i)天然に存在するAbにおいて最も変動するか、又は(ii)所定の抗原(「Ag」)と最も相互作用すると計画されるかのいずれかが見出されている5個のCDRにおける12カ所の位置を無作為化する。これらのライブラリーを用いたトータルの可能性のある多様性は、試料採取され得る(典型的には、ファージライブラリーを用いて1010〜1011)多様性より、依然として実質的に高く(>3.8×1021)、所定のCDR位置における全てのアミノ酸が、機能的Abを生じる訳ではない。良好なファージディスプレイライブラリーは、一般に、>10%の組換え体を含む、>1011である。本明細書において提供されるライブラリー産生方法を使用して(図10)、>1012及び>85%の組換え体であるライブラリーが、作製され得る。本明細書において記載される、幾つかの実施形態において、3カ所の一定の位置を使用してリン酸化標的を結合するための焦点が絞られたライブラリーは、無作為化されたライブラリーより、有効に20(=8,000)倍高い効率であり、価値であり、実用的である。
[0114]幾つかの実施形態において、CDR残基の無作為化変異誘発の代わりに、先行技術の翻訳後修飾抗体結合を、ライブラリー無作為化アプローチに組み込み、対象となる結合剤の頻度がより高いライブラリーを生じ得る。
翻訳後修飾
[0115]本明細書において記載される方法は、任意の種類の翻訳後修飾を有する任意のエピトープに適用され得る。翻訳後修飾は、任意の翻訳後修飾であり得る。翻訳後修飾は、負に荷電している、正に荷電している、親水性である、及び/又は疎水性である可能性がある。
[0116]翻訳後修飾の非限定的な例として、翻訳後修飾は、任意の種類のアセチル化、アミド化、脱アミド、プレニル化(例えば、ファルネシル化若しくはゲラニル化)、ホルミル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、ミリストイル化、リン酸化、シアリル化、ポリシアリル化、ユビキチン化、SUMO化、NEDD化、リボシル化、硫酸化、又はその任意の組合せであり得る。
[0117]幾つかの実施形態において、翻訳後修飾は、例えば、ミリストイル化、リポイル化、及び/又はパラミトイル化を含む、アシル化であり得る。翻訳後修飾は、例えば、イソプレニル化、プレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、糖化、フラビン部分の付加、ヘムc、ホスホン酸エステル化、レチニリデンシッフ塩基形成、アシル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、アミド化、アルギニル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、ブチリル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、マロニル化、ニトロシル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、アデニリル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、S−グルタチオン付加、S−ニトロシル化、S−スルフェニル化、S−スルフィニル化、S−スルホニル化、サクシニル化、硫酸化、糖化、カルバミル化、カルボニル化、ビオチニル化、カルバミル化、酸化、ペグ化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、NEDD化、Pup化、シトルリン化、脱アミド、エリミニル化又はその任意の組合せであり得る。
[0118]幾つかの実施形態において、翻訳後修飾は、ジスルフィド架橋結合、タンパク分解切断、イソアスパラギン酸形成、ラセミ化、タンパク質スプライシング又はその任意の組合せを含み得る。
翻訳後修飾部位
[0119]本明細書において記載される実施形態において、PTM部位は、任意のPTM部位であり得る。PTM部位は、天然に存在する又は遺伝子操作されたいずれかであり得る。遺伝子操作されたPTM部位は、目的のペプチド、タンパク質又は酵素において1個又は複数のアミノ酸の置換により、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に導入され得る。或いは、又は前述に加えて、遺伝子操作されたPTM部位は、1個又は複数のアミノ酸残基を、目的のペプチド、タンパク質、又は酵素に挿入することにより、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に導入され得る。導入された遺伝子操作されたPTM部位は、任意の長さのものであり得る。非限定的な例として、導入されたPTMは、約1〜25、1〜50、1〜100又は1〜150個のアミノ酸を含み得る。幾つかの実施形態において、導入されたPTMは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態において、導入されたPTMは、約1〜10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)又は1〜15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)個のアミノ酸を含む。
[0120]導入されたPTMは、当該技術分野において公知の任意の方法により、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に導入され得る。例えば、分子クローニングの周知の方法を使用して、導入されたPTM部位をコードするヌクレオチドを、目的のペプチド、タンパク質、又は酵素に挿入され得る。或いは、当該技術分野において公知の方法を使用して、所望のPTM部位に対応するアミノ酸配列を、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に直接導入し得る。
[0121]幾つかの実施形態において、遺伝子操作されたPTMは、目的のペプチド、タンパク質又は酵素に存在する1個又は複数のアミノ酸の置換により導入され得る。例えば、遺伝子操作されたPTM部位は、部位変異誘発又は無作為化変異誘発により導入され得る。部位変異誘発は、例えば、点変異、一連の点変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、若しくは間の任意の量)、欠損又は挿入であり得る。
PTM−及び汎PTM結合抗体ライブラリーの生成
[0122]翻訳後修飾(PTM)を認識する抗体を産生する構造ベースの指向進化アプローチを開発する方法が、本明細書において提供される。幾つかの実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において負に荷電しているか、又は荷電していないアミノ酸を導入する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、汎PTM結合抗体を同定する工程を含む、PTM部位を認識する抗体を生成する方法が提供される。
[0123]1つの態様において、本開示は、リン酸化特異的結合高可変領域の組み込みにより濃縮され得る、リン酸化−アミノ酸−認識ライブラリーを使用する方法を提供する。抗リン酸化特異性を、生物物理学的マーカーとして使用して、ペプチド、これにより、タンパク質上の特異的な部位にリン酸化特異的な抗体の結合を「極限」させ得る。1つの特異的な部位が、同定されると、組換え抗体を開発して、天然の配列を認識することができる。実施形態において、本開示は、非常に高度に類似の配列を認識する抗リン酸化タンパク質抗体及び発生した抗体の発見及び検証をもたらす。
[0124]幾つかの実施形態において、抗体を生成する方法は、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程を含む。PTMは、任意のPTMであり得る。典型的にPTM修飾は、上で記載される。特異的な翻訳後修飾を認識する出発抗体を有することにより、翻訳後修飾と直接的に相互作用する残基の解析及び同定を可能にする。幾つかの実施形態において、出発抗体は、抗体PTM結合ポケットの構造解析及び決定のため使用される。
[0125]幾つかの実施形態において、出発抗体のPTM結合ポケットが、同定される。当該技術分野において、PTM結合ポケットの同定を可能にする幾つかの方法が存在する。任意の適当な方法を使用して、抗体PTM結合ポケットを同定することができる。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、構造的に予想されたものである。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、実験で決定されたものである。
[0126]幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において導入される。「導入される」により、次の:i)その天然の位置における既存のアミノ酸を別の選択されたアミノ酸で置換すること;ii)追加の選択されたアミノ酸を、選択された位置の配列に付加すること;又はiii)配列由来の選択されたアミノ酸を取り除き、オリジナルの取り除かれたアミノ酸の位置から離れた配列における異なる位置に別のアミノ酸を付加することのいずれか1つを意味する。荷電していないアミノ酸は、例えば、PTM結合ポケット内の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15部位に導入され得る。実施形態において、荷電していないアミノ酸は、PTM結合ポケット内の1つの部位に導入される。実施形態において、荷電していないアミノ酸は、PTM結合ポケットに隣接して導入される。「隣接の」により、PTM結合ポケットから取り除かれた約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を意味する。幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン又はグリシンである。幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、アラニン又はグリシンである。アミノ酸の等電点(pI)は、荷電していないアミノ酸の選択においてガイドとして使用され得る(表1)。様々な方法を使用して、荷電していないアミノ酸を、抗体のPTM結合ポケットに導入することができる。当該技術分野において公知の任意の方法を使用することができる。幾つかの実施形態において、荷電していないアミノ酸は、部位変異誘発により導入される。
[0127]幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において導入される。負に荷電したアミノ酸は、例えば、PTM結合ポケット内の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の部位に導入され得る。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、PTM結合ポケット内の1つの部位に導入される。実施形態において、荷電していないアミノ酸は、PTM結合ポケットに隣接して導入される。幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、リン酸化アミノ酸である。幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)、ホスホチロシン、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)である。実施形態において、SEPは、次のアミノ酸:Ser(S)、Gly(G)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、ロイシン(L)、及びイソロイシン(I)のいずれか1つ又は複数を置き換えるように、導入される。アミノ酸の等電点(pI)は、負に荷電したアミノ酸の選択においてガイドとして使用され得る(表1)。
Figure 2020534796
[0128]幾つかの実施形態において、PTMは、任意のPTMであり得る。幾つかの実施形態において、PTMは、荷電していることも、荷電していないこともある。荷電していないPTMの例は、メチル化を含み得る。幾つかの実施形態において、PTMは、負に荷電又は正に荷電していることがある。典型的な負に荷電したPTMは、リン酸化、グリコシル化及びシアリル化を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、PTMは、親水性及び/又は疎水性であり得る。
[0129]幾つかの実施形態において、PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーが、生成される。PTM部位に隣接するコンテキスト配列は、変動する長さのものであり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流及び/又は下流の約1〜15(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)個のアミノ酸残基であり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流及び/又は下流の約15〜30(すなわち、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)個のアミノ酸残基であり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流と下流の両方であり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流に位置する。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の下流に位置する。
[0130]当該技術分野において公知の任意の部位特異的変異誘発方法を使用して、PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化し得る。例えば、エラープローンPCR、プライマー伸長による部位特異的変異誘発、インバースPCR、クンケルベースの変異誘発、カセット変異誘発、全体プラスミド変異誘発、AXM 変異誘発、エラープローンローリングサークル増幅(RCA)、又はin vivo部位特異的変異誘発を使用して、無作為化を導入して、ライブラリーを生成し得る。幾つかの実施形態において、クンケルベースの部位特異的変異誘発が、使用される。幾つかの実施形態において、AXM変異誘発が、使用される。幾つかの実施形態において、エラープローンローリングサークル増幅(RCA)が、使用される。
[0131]幾つかの実施形態において、ライブラリーは、PTMを含む目的のペプチド又はタンパク質に対してスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、このスクリーニングは、PTMを特異的に認識する抗体の同定を可能にする。或いは、このスクリーニングは、PTMを認識しない抗体の同定を可能にする。或いは、このスクリーニングは、PTMを有するエピトープ及び有さないエピトープに結合する抗体の同定を可能にする。これらの後者の抗体は、エピトープのPTM状態に関わらず、特異的なエピトープに結合するので、これらの抗体は、「汎PTM」抗体である。
非PTM結合抗体ライブラリーの生成
[0132]幾つかの実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケット内の1個又は複数の部位におけるPTMを寄せ付けないアミノ酸を導入する工程;PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;及びPTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してライブラリーをスクリーニングし、これにより、 非PTM結合抗体を同定する工程を含む、翻訳後修飾(PTM)を含まない部位に特異的に結合する、非PTM結合抗体の生成方法が提供される。
[0133]幾つかの実施形態において、抗体を生成する方法は、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程を含む。PTMは、任意のPTMであり得る。典型的なPTM修飾は、上で記載される。特異的な翻訳後修飾を認識する出発抗体を有することは、翻訳後修飾と直接的に相互作用する残基の解析及び同定を可能にする。幾つかの実施形態において、出発抗体は、抗体PTM結合ポケットの構造解析及び決定のため使用される。幾つかの実施形態において、出発抗体のPTM結合ポケットが、同定される。当該技術分野において、PTM結合ポケットの同定を可能にする幾つかの方法がある。任意の適当な方法を使用して、抗体PTM結合ポケットを同定することができる。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、構造上予想されたものである。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位は、実験で決定されたものである。
[0134]幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、PTMと相互作用することが決定されている抗体のPTM結合ポケットにおける1個又は複数の部位において導入される。実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、任意のアミノ酸であり得る。実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、正に荷電又は負に荷電している。実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、負に荷電している。実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、正に荷電している。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、荷電したアミノが、PTMを寄せ付け得るかどうかに依存して、正に荷電又は負に荷電している。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、負に荷電している。例えば、幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)、ホスホチロシン、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)である。幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、正に荷電している。例えば、正に荷電したアミノ酸は、リジン、アルギニン、又はヒスチジンであり得る。
[0135]PTMを寄せ付けないアミノ酸は、非標準的なアミノ酸であり得る。非限定的な例として、非標準的なアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)、ホスホチロシン、p−アジド−フェニルアラニン、ベンゾイル−フェニルアラニン、又はアセチル−リジンである。非限定的な例として、アミノ酸は、セレノシステイン又はピロリジンであり得る。実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、サプレッサーtRNAにより導入される。
[0136]幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、親水性である。実施形態において、任意の親水性アミノ酸が、使用され得る。例えば、親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、又はスレオニンであり得る。
[0137]幾つかの実施形態において、PTMを寄せ付けないアミノ酸は、疎水性である。実施形態において、任意の疎水性アミノ酸が、使用され得る。例えば、疎水性アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン又はトリプトファンである。
[0138]幾つかの実施形態において、PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーが、生成される。PTM部位に隣接するコンテキスト配列は、変動する長さのものであり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流及び/又は下流の約1〜15(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)個のアミノ酸のアミノ酸残基であり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流及び/又は下流の約15〜30(すなわち、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)個のアミノ酸残基であり得る。実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流に位置する。実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の下流に位置する。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、PTM部位の上流と下流の両方であり得る。
[0139]当該技術分野において公知の任意の部位特異的変異誘発方法を使用して、PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化し得る。例えば、エラープローンPCR、プライマー伸長による部位特異的変異誘発、インバースPCR、クンケルベースの変異誘発、カセット変異誘発、全体プラスミド変異誘発、AXM 変異誘発、エラープローンローリングサイクル増幅(RCA)、又はin vivo部位特異的変異誘発を使用して、無作為化を導入して、ライブラリーを生成し得る。幾つかの実施形態において、クンケルベースの部位特異的変異誘発が、使用される。幾つかの実施形態において、AXM変異誘発が、使用される。AXM変異誘発は、米国特許第9,617,537号、及び米国特許第9,422,549号において記載され、それぞれの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、エラープローンローリングサイクル増幅(RCA)が、使用される。
[0140]幾つかの実施形態において、コンテキスト配列に結合するPTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域は、PTM結合ポケットを変更することなく、無作為化される。
[0141]幾つかの実施形態において、ライブラリーは、PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、このスクリーニングは、PTMを認識しない抗体の同定を可能にする。
インヒビター抗体の生成
[0142]実施形態において、インヒビター抗体を生成する方法が、提供される。インヒビター抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法により目的のペプチド、又はタンパク質を阻害することができる。例えば、本明細書における方法により産生されるインヒビター抗体は、立体阻害、アロステリック阻害及び/又は競合的阻害により阻害することができる。実施形態において、抗体は、立体インヒビターである。実施形態において、抗体は、アロステリックインヒビターである。実施形態において、抗体は、競合的阻害剤である。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、酵素である。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、膜スパンニングタンパク質である。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T)である。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、細胞受容体である。細胞受容体は、任意の種類の細胞受容体であり得、例えば、実施形態において、細胞受容体は、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、酵素結合受容体、又はリガンド開口型イオンチャンネル受容体である。目的のペプチド又はタンパク質を標的にするインヒビター抗体の産生方法は、任意の種類のGPCRに適用することができる。多数の種類のGタンパク質結合受容体は、当該技術分野において公知である。例えば、GPCRは、とりわけ、アデノシン受容体、接着GPCR、アドレナリン作動性受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、ドーパミン受容体、ヒスタミン受容体、代謝型グルタミン酸受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、嗅覚受容体、オピオイド受容体及びセロトニン受容体として見られる。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、レプチン受容体、グルカゴン受容体、インスリン受容体、CXCR4、NTSR1、NTSR2及び受容体チロシンキナーゼから選択される。
[0143]実施形態において、インヒビター抗体は、抗イディオタイプ抗体である。インヒビター抗体は、任意の種類のイディオタイプを標的とするように構築され得る。実施形態において、インヒビター抗体は、ハーセプチン、及び/又は抗CD19を阻害する。実施形態において、インヒビター抗体は、二重特異的抗体を阻害する。実施形態において、インヒビター抗体は、変性と天然IgGの両方に結合する。実施形態において、インヒビター抗体は、変性又は天然IgGのいずれかに結合する。
[0144]実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質へのインヒビター抗体を生成する方法は、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対する修飾されたペプチドをスクリーニングする工程、目的の修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;及び1個又は複数の抗体の修飾を含まない目的のペプチドへの結合を決定し、これにより、目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程を含む。
[0145]実施形態において、目的のペプチドへの抗体を産生する方法は、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対する修飾されたペプチドをスクリーニングする工程、目的の修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;親和性成熟により、1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーを生成する工程;修飾を含まない目的のペプチドに対してクローン型のライブラリーをスクリーニングし、これにより、目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程を含む。
[0146]実施形態において、修飾されたペプチドについての塩基配列を形成するペプチドは、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメイン及び/又は外部ドメインの周囲領域に対応する。実施形態において、修飾されたペプチドについての塩基配列を形成するペプチドは、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメインである。実施形態において、修飾されたペプチドについての塩基配列を形成するペプチドは、目的のタンパク質から得られる活性部位及び/又は活性部位の周囲領域である。実施形態において、目的のペプチド又はタンパク質は、酵素である。「周囲領域」により、外部ドメイン及び/又は活性部位から上流及び/又は下流の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を意味する。実施形態において、修飾されたペプチドは、1個又は複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)を、上で記載された目的のペプチド又はタンパク質から得られた塩基配列に導入することにより、産生される。実施形態において、修飾されたペプチドは、1個のアミノ酸を、目的のペプチド又はタンパク質から得られた塩基配列を導入することにより、産生される。「導入すること」により、次の:i)天然の位置の既存のアミノ酸を別の選択されたアミノ酸で置換すること;ii)追加の選択されたアミノ酸を、選択された位置の配列に付加すること;又はiii)配列由来の選択されたアミノ酸を取り除き、別のアミノ酸を、オリジナルの取り除かれたアミノ酸の位置と離れた配列における別々の位置に付加することのいずれか1つを意味する。実施形態において、修飾されたペプチドを合成して、負に荷電したアミノ酸を含む。実施形態において、抗イディオタイプ抗体を、CDR H3及び/又はL3由来の塩基配列の使用を通じて構築して、修飾されたペプチドを生成する。実施形態において、CDR H3配列を塩基配列として使用して、修飾されたペプチドを合成する。実施形態において、CDR L3を塩基配列として使用して、修飾されたペプチドを合成する。実施形態において、CDR H3とL3の両方を塩基配列として使用して、修飾されたペプチドを合成する。
[0147]幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、リン酸化アミノ酸である。幾つかの実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)、ホスホチロシン、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、ホスホセリン(SEP)である。アミノ酸の等電点(pI)を、負に荷電したアミノ酸の選択におけるガイドとして使用することができる(上の表1)。負に荷電したアミノ酸は、塩基性ペプチドに導入され、これにより、修飾されたペプチドを形成する。約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸は、塩基性ペプチド内に導入され得る。実施形態において、負に荷電したアミノ酸を、塩基性ペプチド内の1つの部位に導入して、修飾されたペプチドを生じる。実施形態において、負に荷電したアミノ酸は、外部ドメイン又は活性部位に隣接して導入される。「隣接の」により、外部ドメイン及び/又は活性部位から上流又は下流の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を意味する。
[0148]当該技術分野における任意の方法を使用して、候補抗体についてスクリーニングすることができる。幾つかの実施形態において、エマルジョンフォールセルベースライブラリースクリーニング方法が、使用される。実施形態において、エマルジョンホールセルベースライブラリースクリーニング方法は、遅延エマルジョン感染性(「DEI」)である。ホールセルスクリーニング方法(例えば、ホールセルパニング)は、米国特許公開第2015−0322150号及び国際公開第2015/085079号において記載され、それぞれの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0149]当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、インヒビター抗体を精製し得る。多数の抗体精製技術は、当該技術分野において入手可能である。例えば、抗体は、タンパク質A又はタンパク質Gを使用したアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができ、免疫血清のIgG分画を主にもたらす。続いて、又は代わりに、探した免疫グロブリンの標的である特異的な抗原、又はそのエピトープをカラムに固定して、イムノアフィニティークロマトグラフィーにより免疫特異的な抗体を精製してもよい。
[0150]実施形態において、アッセイを使用して、精製したインヒビター抗体の目的のペプチド又はタンパク質を結合し、及び/又は阻害する能力について試験する。実施形態において、細胞ベースのアッセイを使用して、精製したインヒビター抗体の結合及び/又は阻害する能力を試験する。他のアッセイ、例えば、ELISA、FACS、及び/又は免疫細胞化学を使用して、精製したインヒビター抗体を試験することができる。
[0151]任意の抗体ライブラリーは、本明細書において開示される方法を用いて使用することができる。実施形態において、抗体ライブラリーは、負の荷電へとバイアスをかけた抗体ライブラリーである。実施形態において、抗体ライブラリーは、リン酸化バイアスの抗体ライブラリーである。
[0152]実施形態において、1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーは、当該技術分野において公知の手段により、変異され、成熟される。実施形態において、1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーは、親和性成熟により、変異され、成熟される。実施形態において、1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーは、AXM変異誘発により成熟される(図7)。
[0153]実施形態において、修飾されたペプチドに対してスクリーニングされる抗体ライブラリーは、リン酸化アミノ酸(例えば、ホスホセリン(SEP)又はホスホチロシン)を結合する予め規定された傾向を有する。実施形態において、修飾されたペプチドに対してスクリーニングされた抗体ライブラリーは、修飾した配列のコンテキスト(すなわち、コンテキスト配列)における特異的な配列に結合する一般的な様式を有する。実施形態において、ファージライブラリーを構築し、使用して、抗リン酸化ペプチド抗体を同定する。実施形態において、スクリーニングされるペプチドに導入されるリン酸化アミノ酸は、その配列における天然のアミノ酸を置換する。実施形態において、単離された抗体の指向進化アプローチが行われる。指向進化後、抗体は、天然の配列を認識することができるクローン型についてスクリーニングされる(例えば、スクリーニングされるペプチドにおける天然に存在するアミノ酸が、その配列におけるリン酸化されたアミノ酸を置換する場合)。
[0154]実施形態において、修飾されたエピトープについての塩基配列は、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメイン又は活性部位における又は隣接するおよそ1個毎、2個毎、3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、10個毎、11個毎、又は12個毎のアミノ酸を体系的に「ゆっくり下がる」ことにより、選択される。実施形態において、修飾されたエピトープについての塩基配列は、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメイン又は活性部位におけるおよそ1個毎、2個毎、3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、10個毎、11個毎、又は12個毎のアミノ酸を体系的に「ゆっくり下がる」ことにより、選択される。実施形態において、修飾されたエピトープについての塩基配列は、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメインにおけるおよそ1個毎、2個毎、3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、10個毎、11個毎、又は12個毎のアミノ酸を体系的に「ゆっくり下がる」ことにより、選択される。実施形態において、修飾されたエピトープについての塩基配列は、目的のペプチド又はタンパク質の活性部位におけるおよそ1個毎、2個毎、3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、10個毎、11個毎、又は12個毎のアミノ酸を体系的に「ゆっくり下がる」ことにより、選択される。実施形態において、修飾されたエピトープについての塩基配列は、目的のペプチド又はタンパク質の外部ドメインにおいて若しくは隣接する、又は活性部位において若しくは隣接するおよそ1個毎、2個毎、3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、10個毎、11個毎、又は12個毎のアミノ酸を体系的に「ゆっくり下がる」ことにより、選択される。
ライブラリー構築、増幅及びスクリーニング
[0155]抗体ライブラリーは、任意の種類の抗体ライブラリーであり得る。抗体ライブラリーの例は、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ及びmRNAディスプレイを含む。幾つかの実施形態において、抗体ライブラリーは、ファージディスプレイである。
[0156]当該技術分野において公知の任意の種類のライブラリー増幅方法は、第2のライブラリーの増幅のため使用され得る。幾つかの実施形態において、目的の配列は、オリゴヌクレオチドの対を使用して増幅されてもよく、対のうち一方のオリゴヌクレオチドは、保護されたオリゴヌクレオチドであり、他方は、保護されていないオリゴヌクレオチドである。目的の配列は、PCR、エラープローンPCR、等温性増幅、又はローリングサークル増幅のような増幅反応により、かかるオリゴヌクレオチド対を使用して増幅されてもよい。幾つかの実施形態において、ライブラリー増幅方法は、ローリングサークル増幅(RCA)である。幾つかの実施形態において、ライブラリー増幅方法は、エラープローンローリングサークル増幅である。RCAは、ライブラリーを約50〜150倍(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、及び間の任意の値)増幅することができる。幾つかの実施形態において、RCAは、ライブラリーを約100倍増幅することができる。幾つかの実施形態において、RCA増幅ライブラリーは、直線化され、再度環状にされる。
[0157]抗体ライブラリーは、当該技術分野において公知の任意の適当な細胞に導入され得る。実施形態において、細胞は、古細菌細胞、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、又は真核生物の細胞である。実施形態において、細胞は、酵母細胞、植物細胞、又は動物細胞である。実施形態において、細胞は、大腸菌細胞又は出芽酵母細胞である。幾つかの実施形態において、細胞は、昆虫細胞である。実施形態において、細胞株は、任意の電気又は化学的コンピテント細胞である。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、DH5α、JM109、C600、HB101、又はTG1に形質転換される。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、TG1細胞に形質転換される。
[0158]幾つかの実施形態において、抗体ライブラリーは、多様な約10〜1014(すなわち、10、10、10、1010、1011、1012、1013、及び1014)個の固有の抗体を有する。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、多様な少なくとも10及び1012(すなわち、10、10、1010、1011、及び1012)を有する。
[0159]当該技術分野における任意の方法を使用して、候補抗体についてスクリーニングすることができる。幾つかの実施形態において、エマルジョンホールセルベースライブラリースクリーニング方法が、使用される。ホールセルスクリーニング方法(例えば、ホールセルパニング)は、米国特許出願公開第2015−0322150号及び国際公開第2015/085079号において記載され、それぞれの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。ホールセルスクリーニング方法は、例えば、抗体ファージライブラリーを用いて形質導入されている大腸菌が、目的の抗原を提示する細胞又はビーズと一緒にインキュベートされる、エマルジョンの生成を含む。一晩のインキュベーションプロセス中、抗体ディスプレイファージは、大腸菌から分泌され、抗原を提示する細胞又はビーズに結合する。続く処理は、ファージに結合した標識された抗体の付加、及びホールセル又はビーズに提示された抗原に結合した抗体提示ファージを単離するための続くFACSソーティングを含む。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、複数ラウンドのホールセルスクリーニングのため処理される。幾つかの実施形態において、ホールセルスクリーニングは、約3〜8回(すなわち、3、4、5、6、7、8)行われる。幾つかの実施形態において、ホールセルスクリーニングは、約3回行われる。幾つかの実施形態において、複数のラウンドのホールセルスクリーニングは、より特異的なエピトープ結合抗体の単離をもたらす。
遅延エマルジョン感染性(DEI):組換えバイオパニング
[0160]実施形態において、ホールセルパニングアプローチは、次の:i)誘導可能なファージ結合部位を有し、表面にペプチド、タンパク質、リン酸化ペプチド又はリン酸化タンパク質を提示する細菌細胞(例えば、大腸菌)を用意する工程;ii)細菌細胞が、1個の細菌細胞当たり1個のファージが存在するような比でバーコード配列識別子を含むファージ抗体ライブラリーと混合され、エマルジョン化され;iii)誘導可能なファージ結合部位の発現を誘導し、これにより、細菌細胞のファージ感染を可能にする工程;iv)ファージが感染した細菌細胞を成長させる工程、及びv)バーコード配列識別子を配列決定して、ファージによりコードされる抗体を同定する工程を含む。実施形態において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。
[0161]背景として、F線毛は、大腸菌のM13感染のための結合部位である。F線毛は、<22℃において成長させたF大腸菌において発現されない。DEIにおいて、細胞へのファージミドコード抗体「結合」は、M13提示抗体と一晩16℃において成長させた遺伝子型F大腸菌宿主の細菌細胞表面提示抗原の相互作用による。これらの表現形F宿主は、M13ファージAbライブラリーに対して10:1(細胞:ファージ)比で混合される。所望の比は、1個の細菌細胞当たり結合した1個のファージを有することである。ファージより多くの細菌からなる比を有することにより、ポアソン分布に起因する制限が、克服される。抗体ライブラリー及び細胞ライブラリー混合物を洗浄して、結合していない、弱く結合したファージを取り除き、成長培地に再懸濁される。任意の結合したファージと共に単一の洗浄された細胞を、油中成長培地型エマルジョンにおいて乳化させる。細菌より多く、小さい微小滴を産生することにより、ポアソン分布を克服する。CDR H2における3個のアミノ酸に起因するライブラリーがリン酸化に焦点が絞られていることは、その有効なサイズをおよそ8,000倍(=20)増大させ、DEIにおいてより小さなライブラリーを使用することを補償する。エマルジョン温度を、37℃まで増大させて、(1)F線毛発現を誘導し、(2)細胞表面からのファージの分離を可能にし、(3)F線毛結合を介して、分離したファージの感染を可能にする。細胞内で、入ってくる抗体によりコードされるドナーファージミドは、phiC31インテグラーゼの仲介を通じて抗原によりコードされるアクセプタープラスミドを用いて組換える。クロラムフェニコール(CAM)遺伝子を、ドナーファージミド及びアクセプタープラスミドの首尾よい組換えのため、活性化して、プラスミド同時組換え体を形成する。数時間後、エマルジョンは、破壊され、細胞を、一晩、CAMの存在下で成長させる。Ag配列に物理的に結合したAb遺伝子を今や有する、プール由来の組換えられたプラスミドが、単離される。個々のプラスミドの抗原及び抗体配列の対形成した末端の次世代DNA配列決定(NGS)及び複数バーコードスキームを使用して、CAM抵抗性抗体:抗原対の全てを同定し、結合させる。
[0162]実施形態において、大腸菌細胞は、F大腸菌細胞である。実施形態において、F大腸菌細胞は、クロラムフェニコール(CAM)遺伝子を含むアクセプタープラスミドを含有する。実施形態において、F大腸菌細胞を、約22℃未満の温度(例えば、約10.0℃、10.5℃、11.0℃、11.5℃、12.5℃、13.0℃、13.5℃、14.0℃、14.5℃、15.0℃、15.5℃、16.0℃、16.5℃、17.0℃、17.5℃、18.0℃、18.5℃、19.0℃、19.5℃、20.0℃、20.5℃、21.0℃、20.5℃)にて成長させる。実施形態において、F大腸菌は、ファージライブラリーと混合され、これにより、F大腸菌細胞を乳化する。実施形態において、乳化したF大腸菌細胞を、約37℃の温度にて成長させ、続いて、クロラムフェニコールを培養液に導入する。実施形態において、感染し、成長させ、クロラムフェニコールにより発現したF大腸菌内に含有されるプラスミドを配列決定して、ファージによりコードされる抗体を同定する。
[0163]幾つかの実施形態において、方法は、検証工程をさらに含む。当該技術分野において公知の任意の方法を検証工程において使用して、目的の抗体を検証することができる。例えば、ELISA及び/又は機能的アッセイは、抗体検証のため使用することができる。幾つかの実施形態において、検証工程は、高処理である。
[0164]幾つかの実施形態において、検証工程は、同定されたPTM、汎PTM、非PTM結合抗体が、PTMに対する立体インヒビターであるかどうかを決定する工程を含む。例えば、本明細書において提供される方法を使用して、目的のペプチド又はタンパク質を標的にする立体阻害性抗体を生成することができる。実施形態において、本明細書において記載される方法は、目的の酵素を阻害する立体阻害性抗体を生成する。立体阻害性抗体を生成する方法は、例えば、目的の酵素上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;酵素上のPTM部位に結合するPTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;ライブラリーを目的の酵素に対してスクリーニングする工程及びPTM修飾の非存在下でPTM部位を認識する抗体を選択する工程;並びに酵素活性アッセイを行うことにより、立体阻害性抗体を選択する工程を含む。これらの方法について、任意の酵素が、立体抗体インヒビターのための標的であり得る。酵素活性を検出するか、又は定量するアッセイは、当該技術分野において公知である。任意のかかる酵素活性アッセイは、選択プロセスにおいて使用することができる。
リン酸化状態に特異的な抗体ライブラリーの設計
[0165]幾つかの実施形態において、リン酸化特異的な抗体ライブラリーの生成方法が、提供される。幾つかの実施形態において、汎リン酸化抗体ライブラリーの生成方法が、提供される。幾つかの実施形態において、非リン酸化抗体ライブラリーの生成方法が、提供される。
[0166]以下は、リン酸化翻訳後修飾に特異的である抗体ライブラリーを生成するための典型的なストラテジーである。
[0167]幾つかの実施形態において、リン酸化翻訳後修飾(PTM)は、任意の残基においてであり得る。幾つかの実施形態において、リン酸化は、セリン、スレオニン、チロシン及び/又はヒスチジン残基において生じる。幾つかの実施形態において、リン酸化は、セリン、スレオニン、チロシン、ヒスチジン、アルギニン及び/又はリジン残基において生じる。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pSerである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pTyrである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pThrである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pHisである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pArgである。幾つかの実施形態において、PTM部位は、pLysである。
[0168]幾つかの実施形態において、抗体を生成する方法は、目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程を含む。幾つかの実施形態において、PTMは、リン酸化である。幾つかの実施形態において、リン酸化結合ポケットが、同定される。
[0169]従前の研究は、リン酸化アミノ酸に結合する抗体の能力が、重/軽鎖相補性決定領域2(CDR H2又はL2)に依存し、リン酸化されたアミノ酸と接触させることを示唆した。さらなる研究は、リン酸化ペプチドに結合する傾向を有するリン酸化に焦点が絞られたライブラリーが、CDR H2における天然のリン酸塩結合モチーフを用いて産生され得ることを示した。
[0170]無作為化、無関係のスクリーニングを通じて、抗Myb pSer特異的なscFvのCDR H2におけるアミノ酸が、リン酸化Myb1−20ペプチドの結合に重要であることが示された。L2又はH2の選択は、コンテキスト配列の向きと相関するように思われる。これらの知見に基づき、リン酸塩結合部位が、局所モジュールとして設計され得る。
[0171]リン酸化抗体結合相互作用の構造解析は、リン酸化エピトープに関して、リン酸化領域が、ループ又は回転構造を有する直線モチーフを通常生じることを示した。理論により結び付けられる必要はないが、これは、恐らく、キナーゼの小さな基質結合ポケットに合う必要に起因する。したがって、異なるリン酸化領域の間の配列バリエーションは、実際に、比較的固有の二次構造に影響しない。
[0172]さらなる解析は、リン酸化エピトープ特異性が、恐らく、コンテキスト配列について最適な長さを要求することを示唆する。リン酸化特異的なAbは、リン酸化アミノ酸と周囲のコンテキスト配列の両方を認識する。守備よいリン酸化ペプチドAbは、リン酸化残基の上流及び/又は下流の約4〜5個外側の残基を通常認識し、これは、コンテキスト配列への過剰な結合が、リン酸化アミノ酸の関与を薄め、結果として、天然のペプチドよりリン酸化ペプチド特異性を損ない得ることを示唆している。
[0173]幾つかの実施形態において、コンテキスト配列の最適な長さは、リン酸化残基の上流又は下流の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の残基である。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列の最適な長さは、リン酸化残基の上流又は下流の約3、4、5、又は6個の外側の残基である。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列の最適な長さは、リン酸化残基の上流又は下流の約4又は5個の外側の残基である。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、翻訳後修飾の上流又は下流であり得る。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、翻訳後修飾の上流である。幾つかの実施形態において、コンテキスト配列は、翻訳後修飾の下流である。
[0174]まとめると、データは、コンテキスト配列の共通結合様式が調べられ得るなら、均一な構造、恐らく規定されたコンテキストの長さ、並びにリン酸塩結合部位の証明された設計が一緒になると、非常に焦点が絞られた知識に基づいたリン酸化状態の結合ライブラリーを設計可能にすることを示す。
[0175]幾つかの実施形態において、リン酸化翻訳後修飾のための結合ポケットは、CDR H2領域及び/又はCDR L2領域である。幾つかの実施形態において、CDR H2領域及び/又はCDR L2領域の外側の領域は、無作為化される。CDR H2領域及び/又はCDR L2領域の外側の任意の領域が、無作為化され得る。例えば、CDR H1、H3、L1、L3、又はフレームワーク領域が、無作為化され得る。幾つかの実施形態において、1個又は複数の無作為化された領域は、無作為CDR H3、又はL3を含む。幾つかの実施形態において、PTM結合ポケットは、CDR H2領域を含み、1個又は複数の無作為化された領域は、無作為CDR H3、CDR L3、及び/又はCDR L2を含む。
[0176]当該技術分野において公知の部位特異的変異誘発の任意の方法を使用して、リン酸化部位に隣接するコンテキスト配列に結合するリン酸化結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化し得る。例えば、エラープローンPCR、プライマー伸長による部位特異的変異誘発、インバースPCR、クンケルベースの変異誘発、カセット変異誘発、全体プラスミド変異誘発、AXM変異誘発、エラープローンローリングサイクル増幅(RCA)、又はin vivo部位特異的変異誘発を使用して、無作為化を導入して、ライブラリーを生成し得る。幾つかの実施形態において、クンケルベースの部位特異的変異誘発が、使用される。幾つかの実施形態において、AXM変異誘発が、使用される。幾つかの実施形態において、エラープローンローリングサイクル増幅(RCA)が、使用される。
[0177]幾つかの実施形態において、コンテキスト配列に結合するリン酸化結合ポケットの外側の1個又は複数の領域が、リン酸化結合ポケットを変化させることなく、無作為化される。
[0178]幾つかの実施形態において、ライブラリーは、リン酸化を含む目的のペプチド又はタンパク質に対してスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、ライブラリーは、PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対してスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、このスクリーニングは、リン酸化を特異的に認識する抗体の同定を可能にする。或いは、このスクリーニングは、リン酸化を認識しない抗体の同定を可能にする。或いは、このスクリーニングは、リン酸化を有し、有さないエピトープに結合する抗体の同定を可能にする。これらの後者の抗体は、エピトープのリン酸化状態に関して、特異的なエピトープに結合するので、「汎リン酸化」抗体である。
[0179]特異的な翻訳後修飾抗体複合体の既存の構造との比較と共に、機能的変異誘発及び構造モデリングの組合せである、このアプローチを使用して、候補ペプチド結合溝が、同定され得る。リン酸化ペプチド抗体複合体について、焦点が絞られたリン酸化ペプチドライブラリー設計についての候補として働き得る、CDR L3及びH3の幾つかの規定された領域がホルスターとなった、ペプチド結合溝が同定された。
抗体
[0180]本開示の抗体は、複数特異的、例えば、二重特異的であってもよい。抗体は、哺乳類(例えば、ヒト又はマウス)、ヒト化、キメラ、組換え、合成産生されたか、又は天然で単離されたものであり得る。本開示の典型的な抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、IgM、IgA(例えば、IgA1、IgA2、及びIgAsec)、IgD、IgE、Fab、Fab’、Fab’2、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、scFv−Fc、並びにSMIP結合部分を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、抗体は、scFvである。scFvは、scFvが、抗原結合を可能にする異なる向きで生じることを可能にする、例えば、柔軟なリンカーを含んでもよい。様々な実施形態において、抗体は、細胞質安定性scFv又は細胞の内側の低減する環境においてその構造及び機能を保持する細胞内抗体であってもよい(例えば、Fisher及びDeLisa、J. Mol. Biol.、385(1):299〜311頁、2009年を参照;参照により本明細書に組み込まれる)。特定の実施形態において、scFvは、本明細書において記載される方法に従い、IgG又はキメラ抗原受容体に変換される。実施形態において、抗体は、変性と天然のタンパク質標的の両方に結合する。実施形態において、抗体は、変性又は天然のタンパク質のいずれかに結合する。
[0181]ヒトを含む、大抵の哺乳類において、抗体全体は、ジスルフィド結合により結合された、少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を有する。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域(CH)からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)並びにCH1とCH2の間のヒンジ領域からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(CL)からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存される領域と共に分散された、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域にさらに分割され得る。それぞれのVH及びVLは、次の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で、アミノ末端からカルボキシ末端に整列された、3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。
[0182]抗体は、抗体の全ての公知の形態及び抗体様特性を有する他のタンパク質スキャフォールドを含む。例えば、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異的な抗体、1価の抗体、キメラ抗体、又はフィブロネクチン又はアンキリンリピートのような、抗体様特性を有するタンパク質スキャフォールドであり得る。抗体は、次のアイソタイプ:IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、IgM、IgA(例えば、IgA1、IgA2、及びIgAsec)、IgD、又はIgEのいずれかを有し得る。
[0183]抗体フラグメントは、抗体からもたらされる1個又は複数のセグメントを含んでもよい。抗体からもたらされるセグメントは、特定の抗原に特異的に結合する能力を保持し得る。抗体フラグメントは、例えば、Fab、Fab’、Fab’2、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、又はSMIPであってもよい。抗体フラグメントは、例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体、アフィボディー、ナノボディ、アプタマー、ドメイン抗体、直線性抗体、1本鎖抗体、又は抗体フラグメントから形成され得る様々な複数特異的な抗体のいずれかであってもよい。
[0184]抗体フラグメントの例は、(i)Fabフラグメント:VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる1価のフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント:ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋結合により結合された2つのFabフラグメントを含む2価のフラグメント;(iii)Fdフラグメント:VH及びCH1ドメインからなるフラグメント;(iv)Fvフラグメント:抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるフラグメント;(v)dAbフラグメント:VH及びVLドメインを含むフラグメント;(vi)dAbフラグメント:VHドメインであるフラグメント;(vii)dAbフラグメント:VLドメインであるフラグメント;(viii)単離された相補性決定領域(CDR);及び(ix)1個又は複数の合成リンカーにより任意選択で結合され得る2つ以上の単離されたCDRの組合せを含む。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VL及びVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、VL及びVHは、組換え方法を使用して、例えば、VL及びVHを単一タンパク質として発現されるのを可能にする合成リンカーにより、結合することができ、VL及びVH領域対が、1価の結合部分(1本鎖Fv(scFv)として知られる)を形成する。抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を使用して得られてもよく、幾つかの場合では、インタクトな抗体として同じ方法において使用されてもよい。抗原結合フラグメントは、組換えDNA技術又はインタクトな免疫グロブリンの酵素若しくは化学切断により、産生されてもよい。抗体フラグメントは、追加のC末端のアミノ酸、N末端のアミノ酸、又は個々のフラグメントを分けるアミノ酸の付加を含む、上で記載された抗体フラグメントのいずれかをさらに含んでもよい。
[0185]抗体は、第1の種からもたらされた1個又は複数の抗原決定領域又は定常領域及び第2の種からもたらされた1個又は複数の抗原決定領域又は定常領域を含むなら、抗体は、キメラとして言及され得る。キメラ抗体は、例えば、遺伝子操作により構築されてもよい。キメラ抗体は、異なる種(例えば、マウス及びヒト由来)に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントを含んでもよい。
[0186]抗体は、ヒト抗体であってもよい。ヒト抗体は、フレームワークとCDR領域の両方が、ヒト免疫グロブリン配列からもたらされる、可変領域を有する結合部分を指す。さらに、抗体が、定常領域を含有するなら、定常領域はまた、ヒト免疫グロブリン配列からもたらされる。ヒト抗体は、1個又は複数の配列バリエーション、例えば、変異のような、ヒト免疫グロブリン配列において同定されていないアミノ酸残基を含んでもよい。バリエーション又は追加のアミノ酸は、例えば、ヒト操作により、導入されてもよい。本開示のヒト抗体は、キメラではない。
[0187]抗体は、ヒト化であってもよく、抗体が、非ヒト免疫グロブリンから実質的にもたらされた1個又は複数の抗原決定領域(例えば、少なくとも1つのCDR)を含むか、又は抗体が、ヒト免疫グロブリン又は抗体から実質的にもたらされた少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含むように操作されることを意味する。抗体は、本明細書において記載される従来の方法を使用して、例えば、第1のベクターによりコードされる非ヒト抗体由来の抗原認識配列を、第2のベクターによりコードされるヒトフレームワークに挿入することにより、ヒト化であってもよい。例えば、第1のベクターは、非ヒト抗体(又はそのフラグメント)及び部位特異的な組換えモチーフをコードするポリヌクレオチドを含んでもよく、一方、第2のベクターが、第1のベクター上の部位特異的な組換えモチーフに相補的なヒトフレームワーク及び部位特異的な組換えをコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。部位特異的な組換えモチーフは、組換え現象が、非ヒト抗体由来の1個又は複数の抗原決定領域のヒトフレームワークへの挿入をもたらし、これにより、ヒト化抗体をコードするポリヌクレオチドを形成するように、それぞれのベクターに位置してもよい。
[0188]ある特定の実施形態において、抗体は、scFvからIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に変換される。当該技術分野において、scFvフラグメントをIgGに変換する様々な方法がある。scFvフラグメントをIgGに変換する1つのかかる方法は、米国特許出願公開第20160362476号において開示され、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
結合親和性
[0189]抗体及び抗体フラグメントについての結合親和性は、当該技術分野において公知の様々な方法を通じて決定することができる。例えば、結合親和性は、Munson及びPollard、Anal.Biochem.、107:220、(1980年)のスキャッチャード解析により決定され得る。別の方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成及び解離の割合を測定することを必要とし、割合は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、及び両方の向きで割合に等しく影響する幾何学パラメーターに依存する。したがって、「結合速度定数」(Kon)と「解離速度定数」(Koff)の両方は、濃度の計算並びに結合及び解離の実際の割合により決定され得る。(Nature、361:186〜87頁、(1993年)を参照)。Koff/Konの比は、親和性と関連しない全てのパラメーターの解除を可能にし、解離定数Kと等しい。(一般に、Daviesら、(1990年)、Annual Rev Biochem、59:439〜473頁を参照)。
[0190]幾つかの実施形態において、翻訳後の特異的な抗体結合親和性は、K約1nMである。幾つかの実施形態において、翻訳後の特異的な抗体結合親和性は、約1nMのKより高い。幾つかの実施形態において、抗体結合親和性は、約1〜50nM(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50nM、又は間の任意の値)のKである。幾つかの実施形態において、抗体結合親和性は、約1〜15nM(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は間の任意の値)のKである。
実施例1−特異的な翻訳後修飾のための抗体ペプチド結合溝の同定
[0191]本実施例は、特異的な翻訳後修飾に結合する抗体ペプチド結合溝の同定を記載する。本実施例において評価する特異的な翻訳後修飾は、リン酸化である。翻訳後修飾特異的な抗体クローン型の誘導を説明する1つの実施形態の方法を示す模式図を、図1において示す。
[0192]機能的変異誘発と構造モデリングの組合せ、並びにリン酸化ペプチドAb複合体の既存の構造と比較を使用し、CDR L3及びH3の幾つかの規定された領域がホルスターとなった、共有のペプチド結合溝を同定した。CDR L3及びH3におけるこれらの制限した領域は、焦点が絞られたリン酸化ペプチドライブラリー設計のための候補として働き得る。
[0193]抗Mybリン酸化セリン(pSer)特異的なscFv(AXM1293)のCDR領域の無作為化アラニン系統的変異導入法から得られたデータは、CDR H2におけるアミノ酸残基は、リン酸化Myb1−20ペプチドの結合に重要であることを示した(図4)。アラニンスキャニング結果(図4)及びH2がリン酸塩結合中心であるという知見に基づき、抗Myb pSer特異的なscFv(AXM1293)のAb構造及びそのコグネイトリン酸化ペプチドとの複合体を、ロゼッタAb3ソフトウエアを使用して、モデル化した。構造モデリング及びアラニン系統的変異導入法(図4)から得られた結果の解析から、L2及びH2を利用して、それぞれ、C末端又はN末端のコンテキスト配列を含むリン酸化ペプチドを標的にすることができると結論付けた(図4)。2つの他のリン酸化ペプチド−Ab構造は、多様なリン酸塩結合部位(H2又はL2)を有するが、共通のコンテキスト配列結合モード、つまり、H3及びL3がペプチドにとってのホルスターとなるモードを共有することが決定されたが、これは、複合体モデルにおいても同様に観察される(図4)。さらなる検証を、変異誘発及び結晶学的方法を使用して行う。
実施例2−翻訳後修飾特異的抗体ライブラリーの設計及び産生
[0194]本実施例は、焦点が絞られたリン酸化セリン(pSer)、リン酸化チロシン(pTyr)、及びpSer/pTyr抗体ライブラリーの設計及び産生を記載する。予め解明した構造及び本明細書において得られたデータの解析から、リン酸化ペプチドの中心の結合領域を、L3、H3及びH2又はL2を含む三角形の領域に極限することができることを決定した。この相互作用の主要な多様性は、L3及びH3により関与し、一方、H2又はL2の選択は、リン酸塩結合及び恐らくペプチドの向きを示す。
[0195]AXM1293のような、pSer特異的である抗体を選択し、抗pTyr特異的、又は両方の抗pSer/p−Tyr特異的である、追加の抗体クローンを選択する(図5を参照)。L3及びH3の一部を無作為化し、すなわち、特異的なペプチド/タンパク質との相互作用を仲介すると推定されるL3及びH3のCDRループを無作為化し、一方、荷電していないpSer、pTyr又はpSer/pTyrについての親和性を既に有するCDR H2は変化させずにおく。したがって、これは、pSer抗体ライブラリーからpTyr認識への単純なスイッチシフトをもたらし、H2領域が、ペプチドと実際に接触する計算的なモデルを支持することが、より重要である。この目的のため、pTyrペプチドに対するライブラリーを得て、L3、H3及びL2上の残基を無作為化した。このライブラリーから得られたデータは、伝統的なライブラリーと比較して、pTyr−ペプチドに対する成功した割合を約束することを示す(図5)。
[0196]コンテキスト配列の側鎖が、中間のL3及びH3に主に結合することをさらに確認するために、CDR L3及びH3における他の相互作用するアミノ酸を、アラニンスキャニングにより調べる。例えば、リン酸化ペプチドとAbの複合体を結晶化させることを含め、計算的モデルのさらなる確認及びペプチドと相互作用する残基の正確な位置の特定を行う。コンテキスト溝を囲む荷電したアミノ酸を変更することにより、バリアントライブラリーをまた作製して、バリアントライブラリーを産生する。これは、本発明者らが、首尾よくスクリーニングし得るペプチドの拡大を可能にする。
抗体ライブラリー設計
[0197]AXM1293(抗Myb pSer11)ライブラリーについて、12個の残基を、可能性のある相互作用する(4Åのペプチド内)残基並びにカバットデータベースにおける配列決定したヒトAbにおけるそれらの多様性に基づきCDR L3(コチアナンバリングにおけるL93、L94、L95及びL95A)、並びにH3(コチアナンバリングにおけるH95、H96、H97、H98、H99、H100、H100A及びH100B)において無作為化する。注目すべきは、H95(AXM1293におけるAsp)は、結合ポケットの負の電荷に主に関与し、結合エピトープの正の電荷を補完する。残基のセットを選択して、将来的な標的に対する電荷相補性を確実にする。pSer又はpTyrペプチドを標的にする所定のH2領域を含む少なくとも3つ、最大6つのライブラリーを、並行して構築する。
[0198]ライブラリーを、修飾したpMINERVAファージミドシステムにおいて構築した(図6を参照)。ライブラリーを構築するために、AXM変異誘発の修飾を使用した(図5)。AXM変異誘発の修飾は、カバットデータベースにおいて選択したCDR位置における残基のクンケルベース部位特異的な変異誘発を使用する。scFvのライブラリーを、gpIIIコートタンパク質への遺伝子融合物としてバクテリオファージM13の表面に提示する(図8)。構造モデルのガイダンスを用いないで、予備ライブラリーを設計したので、残基を含有する可能性のあるリン酸化ペプチドのみの無作為化を用いたより焦点が絞られたライブラリーは、恐らく、スクリーニング効率を増強する。ファージライブラリーのデータは、リン酸化に焦点が絞られた抗体ライブラリーを使用するとき、増強したバイオパニング結果を示した(以下の表2及び3を参照)。
Figure 2020534796
Figure 2020534796
[0199]組換え抗体ライブラリーを産生する追加の方法を使用することができる。例えば、in vivoの組換え抗体の産生方法もまた使用することができる(図10及び図14)。動物由来のリン酸化特異的な抗体のデータは、リン酸化に無関係又はセリン特異的な抗体を見出す際に、6つの試験RAbMaクローンに対して約66%の成功率を示す。
[0200]天然のものと類似する高度に多様で、緻密なAbライブラリーは、単一Abフレームワークにおける多数の変異から首尾よく構築することができる。可能性のあるヒトAbレパートリーは、少なくとも1011であるが、いずれかの一時期に存在するAb特異性の数は、個体におけるB細胞の総数により、並びにそれぞれの個体の抗原との遭遇により、制限され、いずれかの一時期においておよそ10の異なる特異性であると、予想する。これは、本明細書における1つの実施形態において記載する100番目の多様性のライブラリーである。それ故、このライブラリーを用いて1ラウンドのバイオパニングを行うことにより、天然の選択を模倣し、結合Abの多様なパターンを得ることができる。ライブラリーのサイズが、高親和性Abの首尾よい単離に必須であるなら、高親和性は、Abの首尾よい適用のため必ずしも予め必要ではない。これは、特異性、発現レベル及び安定性のような他の特性もまた重要であるためである。
[0201]Abの親和性を、修飾した親和性成熟アプローチによりさらに増強することができる(図5)。この方法は、減少する量の抗原を用いたバリアント親和性選択を用いた、エラープローンPCRによる、多様性のAb遺伝子への導入を含む。親和性成熟プロセスは、より低い結合親和性を有する中程度のサイズの天然のファージライブラリーから選択されるAbの親和性を改善するため、又は診断又は免疫療法のような、ある特定の適用において使用されるべき「優れた」Abを生成するのに有用である。B細胞のin vivo選択から得られた上限の親和性(10−10M)より、およそ10倍高い親和性(10−11M)を有するファージAbを、in vitro親和性成熟により作製したことを報告した。
実施例3−ライブラリーのスクリーニング
[0202]スクリーニング実験の陽性対照として、抗pSer Ab、AXM1293を使用し、それは、使用するpSer含有ペプチドについての親和性およそ1×10−7Mを有する。予備アラニンスキャニングデータは、H2残基が、リン酸化残基に結合し、ペプチドの主鎖と相互作用する計算モデルを支持する(図2)。データは、サイズ10のライブラリーでさえ、より大きな1010の焦点が絞られていないライブラリーよりリン酸化結合剤について濃縮されることを示す(図5)。
ファージディスプレイスクリーニング
[0203]翻訳後修飾を囲む特定配列コンテキストを有するpSer又はpTyrを認識するscFvを選択するために、ライブラリーを、pSer及びpTyrペプチドの収集物に対してスクリーニングする。例えば、Akt1 pSer473、Rb pSer780、及びCREB pSer133を、pSerライブラリーのスクリーニングのため使用し、Her2 pTyr1222、Myb pTyr11、及びEsr1 pTyr537を、pTyrライブラリーのスクリーニングのため使用する。追加のペプチドもまた、さらなる対照としてスクリーニングすることができる。
[0204]リン酸基を欠く同じペプチドを競合として溶液に加えて、リン酸化ペプチドについての選択性であるscFvを選択する。両方の標準的なファージディスプレイ(図8)により及びマイクロエマルジョンスクリーニングアプローチ(図9)を使用して、ライブラリーをスクリーニングする。クローンを、油中水滴型エマルジョンにおける別々のコンパートメント内の抗原に対して個別に調べるので、エマルジョンアプローチを使用して、結合剤のより多様なセットを回収することができる。
[0205]追加のライブラリーを生成し、スクリーニングし、コンテキスト特異的溝近くの電気的電荷が、変化する。
発見した抗体の予備解析及び抗体特徴決定
[0206]抗体は、ペプチドの末端のカルボキシレートに結合するので、
データの解析は、しばしば、ペプチドに対するAbが、ペプチド特異的であることを示す。カルボキシレートが、全長(FL)タンパク質において通常遠位にある場合、ペプチドのみの抗リン酸化アミノ酸結合剤は、最初の結合剤より5〜6個のアミノ酸長いペプチドに対する第2ラウンドのスクリーニングを回避することができる。
[0207]典型的には、スクリーニングから単離した440種以上の個々のクローンを、pSer又はpTyr含有ペプチド、それらの非リン酸化対応物並びに対照ペプチド及びタンパク質に対するファージELISAにより解析する。バックグランドより>5倍のELISAシグナル、及び非リン酸化ペプチド誘導体との競合的ELISAにおいて少なくとも20%の阻害を有するクローンを、大腸菌において発現させ、例えば、金属アフィニティークロマトグラフィーのような、当該技術分野における方法により、精製する。
[0208]溶解性scFvs及びIgGを、様々な方法により検証する。例えば、溶解物におけるタンパク質のリン酸化状態を、入手可能なときは、Abcam又はCell Signalingのいずれかから市販されている既存のタンパク質特異的な抗pSer又は抗pTyr Abを使用して確認する。検証したscFvを、IgGに変換し、遺伝子導入によりCHO細胞において発現させる(図6)。
実施例4−修飾特異的なクローン型(MSC)の生成
[0209]本実施例は、とりわけ、修飾特異的なクローン型(MSC)を生成する方法を記載する。本明細書において使用される、MSCは、数個のアミノ酸が異なり、同じエピトープの翻訳後修飾状態に差次的に結合する抗体である。本実施例において、記載するMSCは、同じエピトープのリン酸化状態に差次的に結合する物である。
[0210]汎リン酸塩結合Ab(すなわち、リン酸化部位における両方のリン酸化の状態への結合)を見出すために、部位特異的変異誘発を使用して、リン酸塩において相互作用することが決定されているAbリン酸化部位結合ポケットにおける構造上予想された及び実験で決定された部位において荷電していないアミノ酸(アラニン又はグリシンのいずれかを結合ポケットに)を置く。非リン酸塩結合(すなわち、リン酸化部位における修飾していないセリン又はチロシンのみへの結合)を見出すために、部位特異的変異誘発を使用して、リン酸化部位結合ポケットにおける構造上予想された及び実験で決定された部位において負に荷電したアミノ酸(アスパラギン酸又はグルタミン酸のいずれか、結合ポケットにおいてリン酸塩を恐らく寄せ付けない)に置く。これらの変異したAbの特異的な進化を使用し、これらの変異したAbを、ペプチドにおけるリン酸化アミノ酸が、ここで修飾されていないペプチドに対してスクリーニングする。
ファージディスプレイスクリーニング、抗体特徴決定及び検証
[0211]Abにおけるリン酸塩結合アミノ酸が特異的に荷電している(すなわち、ala、gly、asp又はgluのいずれかに)こと以外、上のファージディスプレイスクリーニングのセクションにおいて記載した、同様の方法論を使用する。実験条件下で同定したヒットが存在しないなら、本発明者らは、スクリーニングストラテジーを変動させる。
[0212]抗体特徴決定のため、スクリーニングから単離した個々のクローンを、pSer又はpTyr含有ペプチドのいずれか及びそれらの非リン酸化対応物に対するファージELISAにより解析する。抗体検証のため、溶解性MSC scFvを、セリン又はチロシンリン酸化を含まない(及び含む)標的タンパク質を過剰発現する細胞溶解物に対するウエスタンブロットによりまず検証する(例えば、図13及び19を参照)。溶解物におけるタンパク質のリン酸化状態を、Abcam及びCell Signalingから市販されている既存のタンパク質特異的な抗pSer又は抗pTyr Abを使用して確認する。例えば、図19は、ノックアウト細胞株が入手可能である場合、4種の異なる細胞溶解物を産生することができる:1)野生型(wt)ヒト細胞溶解物、(2)ノックアウト(KO)細胞株溶解物、(3)SEP抑制性大腸菌(SEP)において発現したタンパク質X及び(4)野生型大腸菌株(SER)を示す。オルソロガスな、ホスホセリン−MSC及びセリン特異的なMSC抗体が、図19において見られるパターンを生じるなら、次に、MSC抗体を見出すサポートを検証する。図19において、タンパク質Xは、野生型においてリン酸化されない仮定する。検証したscFvを、可変重鎖及び軽鎖遺伝子を本発明者らのpMINERVAベクターにクローニングし、CHO細胞の一過性遺伝子導入によりそれらを発現させることにより、IgGに変換される(図6)。
実施例5−特異的リン酸化Abクローン型(DPAC)
[0213]抗体リン酸塩結合部位を、局所モジュールとして設計し、リン酸化特異的な抗体をもたらす効率的な手段として使用し得る。本明細書において提示されるストラテジーは、抗体のCDR−H2が、リン酸化を好む、及びリン酸化特異的な結合活性について一定を保つ、リン酸化に焦点が絞られた濃縮ファージディスプレイ抗体ライブラリーを産生することである。このライブラリーをファージバイオパニングにおいて使用して、M13 gpIIIタンパク質に提示した抗体を、予め特定したリン酸化アミノ酸を含有する合成ペプチドへと方向付ける。
予備DPAC状態の結果
[0214]ペプチドの20対(すなわち、対は、Sep含有と天然の配列両方からなる)のセットを合成した。20種のSepペプチドを、AXM40及びAXM41ライブラリーを使用してスクリーニングした。結果を、以下の表4において示す。
Figure 2020534796
[0215]発見スクリーニングの「ヒット」を、非リン酸化天然配列に対して続いて試験した。次の3つの分類のヒットを観察した:(i)リン酸化に無関連であり、Abが、リン酸化と非リン酸化ペプチドの両方に等しく結合した、(ii)リン酸化特異的であり、これは、天然のペプチドより、>10倍良好にリン酸化ペプチドに結合した、及び(iii)リン酸化を好み、これは、リン酸化と非リン酸化ペプチドの両方に結合し、リン酸化ペプチドを>5倍好んだ。リン酸化を好む候補は、既に:(1)天然の配列に結合すること、及び(2)リン酸化を好む候補は、リン酸塩により影響されるので、Sep近くに極限する可能性が最も高いと推定されることが理由で、リン酸化を好む候補を、まず調べた。リン酸化を好むものは、ここで、IgGに変換し、精製し、全長タンパク質に対して検証する。必要なら、これらの発見ヒットを、AXM変異誘発により親和性成熟して、天然の配列に対する増大した結合親和性を有する抗体をもたらし得る。IgGに変換したscFv又はFabをさらに検証する。
予備DPAC研究の概要
[0216]リン酸化ペプチドに結合する固有の傾向を有するリン酸化に焦点が絞られたライブラリーを、CDR H2において天然のリン酸塩結合モチーフを用いて効率的に産生することができる。抗Myb Sep(Sep11)特異的なscFv(AXM1293)のCDR H2におけるアミノ酸は、リン酸化Myb1−20ペプチドの結合に重要である(図13)。H2が一定を維持し、L3、H3及びL2上の残基を無作為化した、幾つかのパイロットライブラリーを製造した。これらのパイロットライブラリーは、本発明者らの伝統的なライブラリー(一般に、類似のサイズのペプチドに対して<50%の成功率を生じる、表4を参照)と比較して、20〜25merのリン酸化したペプチドに対して有望な成功率(試験した10のうち10)を既に提示した。
図15、パネルA及びBは、DPACにより生成した抗akt473抗体の別の例を示す。図15(パネルA及びB)は、抗akt473の発見及び発見成熟(「DisMat」)を示す。本研究のため、akt473部位に対応するリン酸化ペプチドを、リン酸化に焦点が絞られたライブラリーに対してスクリーニングし、リン酸化特異的なクローンを単離した。次に、本クローンを変異誘発し、修飾されていないペプチドに対して再スクリーニングした。
実施例5−抗酵素抗体立体インヒビターの設計
[0217]本実施例は、立体酵素インヒビターの産生を記載する。幾つかの実施形態において、立体酵素インヒビターを、細胞及び酵素ベースのスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。
[0218]タンパク質又はペプチドの特異的なアミノ酸に対する(又は少なくとも隣接する)組換え抗体を生成するのがしばしば困難である。タンパク質又はペプチドの特異的なアミノ酸への組換え抗体の生成を可能にする方法を、本明細書及び上の実施例において記載した。上の実施例において記載した通り、機能ベース構造モデル及びアラニンスキャニングを使用して、IgG及びscFv Abによるリン酸化アミノ酸及びコンテキスト配列結合についての一般的な様式を同定した。
[0219]タンパク質又はペプチドのリン酸化部位に対する抗体は、しばしば、これらのAbがリン酸化アミノ酸に結合しやすくする特定のCDR−H2生殖系列から生じる。これらのAbは、Abの2つの領域を介して結合する:(1)「リン酸化特異的な」結合部位領域とみなし得る特異的なCDR−H2配列、及び(2)残りの5つのCDRのうち1個又は複数を含む第2の領域が、「コンテキスト」配列に結合する。コンテキスト配列は、得られたAbが、リン酸化タンパク質又はペプチド抗原に特異的であるようにする。Abライブラリーを作製し、これにより、特異的なリン酸化結合活性に関与するCDR−H2を、一定のアミノ酸配列に保ち得る。リン酸塩との相互作用に関与するCDR−H2における少なくとも3つの特異的なアミノ酸を用いる場合、これらのライブラリーは、従来のスクリーニングライブラリーより抗リン酸化アミノ酸結合についてほぼ10000倍(20)濃縮されている。
[0220]本明細書における1つの方法は、CDR−H2が、リン酸化特異的な結合活性について一定を保っている、リン酸化に焦点が絞られた濃縮ライブラリーを産生することである。このライブラリーを、ファージバイオパニングにおいて使用して、予め特定したリン酸化アミノ酸を含有するペプチドへと、M13 gpIIIタンパク質に提示したAbを方向付ける。相補的なアプローチにおいて、タンパク質構造解析を使用して、酵素活性部位内の隣接する又は(恐らく)1個又は複数の表面暴露アミノ酸ループを規定する。これらのループ配列を含む合成ペプチドを、(1)天然の配列、及び(2)天然の配列の中心のアミノ酸が、ホスホセリン又はホスホチロシンのいずれかで置換されたペプチドから構成される対として合成する。1つの実施形態において、ループ選択は、中心のアミノ酸が、実際に、セリン又はチロシンのいずれかであるループへとバイアスをかける。これらのアミノ酸が、タンパク質表面でしばしば見られることを認める。抗リン酸化濃縮ライブラリーを、発見クローンをもたらすリン酸化含有ペプチドに対してまずバイオパニングする。したがって、指向進化を使用して、天然の配列に対して、抗リン酸化Abを発生させる。最終的に、天然のリン酸化されていないコンテキスト配列に結合することができるこれらの発生したAbを、酵素活性を阻害するそれらの能力について試験し、必要なら、より高い親和性のため親和性成熟させる。
[0221]幾つかの実施形態において、この方法は、どのようなアミノ酸が、天然の配列に存在するかにかかわらず、中心のアミノ酸が、ホスホセリン又はホスホチロシンのいずれかで置換されているループを選択する工程をさらに含む。任意の1個のアミノ酸が、この方法を使用して、適当な結合剤を生じるのに失敗するなら、これは、幾つかのペプチドを任意の所定のタンパク質配列についてスクリーニングすることを可能にする。ペプチドにおける所定の位置の上流又は下流のリン酸化アミノ酸を動かすことにより、ループ特異的なAbを開発する増大した機会を可能にする。
[0222]抗酵素抗体立体インヒビターを作製する方法が、本明細書において記載される。この目的のため、リン酸化アミノ酸に結合する既存の傾向を有するAbフレームワークに基づくリン酸化に焦点が絞られた特異的ライブラリー及びコンテキスト配列に結合する一般的な様式を使用する。このリン酸化特異的なライブラリーを使用して、Ab結合を、酵素の活性部位周囲の表面に暴露したループのアミノ酸配列を含むリン酸化修飾されたペプチドへと方向付ける。これは、生化学及び薬理学における有用性を有する可逆的なインヒビターの迅速な生成を可能にする。
[0223]立体インヒビター抗体を、ヒトトロンビンタンパク質に対して首尾よく産生した(図3)。この目的のため、トロンビン活性部位の周囲の選択したトロンビン配列の重複する部分に対応するペプチドを合成した。合成したペプチドを遺伝子操作して、ホスホセリン(GGGSGGSWGEGCDR(pSer)GKYG)を組み込む。次に、scFvヒットを、天然の配列(下線):qmgivswgegcdrdgkygfythvfrに対して成熟させた。示した4つのscFv結合剤のうち、3つ(図3、パネルa、b、及びc)が、トロンビン活性を阻害し、一方、選択したペプチド結合剤の1つ(図3、パネルd)はしなかった。
ライブラリーの設計、ライブラリー構築、リン酸化免疫原の設計、及びライブラリースクリーニング
[0224]pSer、pTyr及びpSer/pTyrライブラリーを設計し、上の実施例において記載した通り、構築する。次に、pSer、pTyr及びpSer/pTyrライブラリーを、リン酸化免疫原と接触させる。
[0225]幾つかの実施形態において、酵素標的は、次の所望の特性:(i)市販又は精製したタンパク質を産生するのが比較的容易、(ii)酵素アッセイ(例えば、ジェルベース、蛍光ベース又は比色分析アッセイ)を行うのが比較的単純、(iii)公的データベースにおいて入手可能な構造情報、(iv)公知及び入手可能な基準インヒビター(例えば、立体)、及び(v)セリン又はチロシンのいずれかを含有する活性部位に近くで隣接する表面暴露ループを有するものに焦点を絞る。幾つかの実施形態において、これらの特性の全て又はほぼ全てを有するタンパク質の分類は、ポリメラーゼ、制限酵素、ホスファターゼ、キナーゼ、ATPase、ルシフェラーゼなどを含む。酵素の構造を使用して、表面ループを同定し、選択する。
[0226]上の実施例と同様に、抗体の親和性を、親和性成熟により濃縮し得る (図7)。スクリーニングプロセスのため、ライブラリーを、標準的ファージディスプレイ(図8)とマイクロエマルジョンスクリーニングアプローチ(図7)の両方を使用してスクリーニングする。
[0227]候補scFvを、必要に応じてIgGに変換し得る(図6)。候補scFvのIgGへのこの変換は、IgGにおけるscFv可変領域の2量体化の結果として生じる「親和性効果」に起因して結合親和性において4〜10倍の増大を可能にする。
[0228]本明細書において記載されるファージ由来IgG抗体を使用して生成した典型的な抗体を、図12において提示する。例えば、図12において示す通り、本明細書において記載される方法論に従ってファージ由来IgG抗体からもたらされた抗体を、免疫組織化学適用(図12、パネルA)、ウエスタンブロット適用(図12、パネルB)、フローサイトメトリー適用(図12、パネルC)、及びクロマチン免疫沈降アッセイ(ChiP)(図12、パネルC)において検証した。
[0229]図12、パネルAは、SK−N−SH(ヒトニューロブラストーマ細胞株)細胞におけるミエリン塩基性タンパク質に対して構築した抗体の代表的な免疫組織化学適用を示す。細胞を、4%ホルムアルデヒド(10分)を用いて固定し、0.1%トリトンX−100を用いて5分間透過処理し、次に、0.1%PBS−Tween中の1%BSA/10%正常ロバ血清/0.3グリシンを用いて1時間ブロッキングした。次に、細胞を、一晩、+4℃にて、濃度5μg/mlのab209328とインキュベートし、次に、1/2000希釈(緑色で示す)のロバ抗ヒト(Alexa Flu又は488)2次Abを用いて検出した。核DNAを、DAR(青色で示す)及び1/250希釈(赤色で示す)のアルファチューブリンに対するab195889、マウスモノクローナル(Alexa Flu又は594)を用いて標識した。
[0230]図12、パネルBは、抗ヒストンH2B抗体を使用した代表的なウエスタンブロットを示す。全てのレーン:0.25μg/mlの抗ヒストンH2B Ab[IGX4228R−1](ab213225)。レーン1:CTH(仔ウシ胸腺ヒストン)0.5μg。レーン2:HeLa(ヒト上皮癌腫細胞株)ホールセル溶解物20μg。レーン3:HeLa(ヒト上皮癌腫細胞株)核溶解物10μg。レーン4:NIH 3T3(マウス胚線維芽細胞株)ホールセル溶解物20μg。レーン5:NIH 3T3(マウス胚線維芽細胞株)核溶解物10μg。レーン6:ヒストンH2B組換えタンパク質0.1μg。レーン7:ヒストンH3組換えタンパク質0.1μg。1/50000希釈の2次ペルオキシダーゼAffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)。ECL技術を使用して開発。還元条件下で行う。推定バンドサイズ:14kDa、観察したバンドサイズ:17kDa。暴露時間:1分。このプロットを、MESバッファー系下で4〜12%Bis−トリスゲルを使用して行った。ゲルを、200Vにて35分間泳動し、その後、ニトロセルロース膜に30Vにて70分間移動させた。次に、膜を、1時間、3%牛乳を使用してブロッキングし、その後、ab213225と一晩4℃にてインキュベートした。Ab結合を、ECL発生溶液ab133406を使用して視覚化した。
[0231]図12、パネルCは、抗NTSR抗体を使用した代表的なフローサイトメトリープロットを示す。簡単に述べると、GPCR NTSR1を過剰発言する細胞株(黒色)及び陰性対照ヌル細胞株(青色、上部、及び紫色、下部)を、フルオレセインNTSR1リガンド(上部)又はscFv E1(下部)のいずれかと混合し、フローサイトメトリー解析の対象にした。
[0232]図12、パネルDは、ファージ由来IgG抗体を使用した、代表的なクロマチン免疫沈降の結果(ChIP)を示す。簡単に述べると、クロマチンを、Abcam X−ChIPプロトコールに従い、HeLa細胞から調製した。細胞を、ホルムアルデヒドを用いて10分間固定した。ChIPを、クロマチン25μg、ab213288 2μg(青色)、及びタンパク質A/Gセファロースビーズ20μlを用いて行った。Abをビーズ対照に加えなかった(黄色)。免疫沈降したDNAを、リアルタイムPCR(Taqmanアプローチ)により定量した。プライマー及びプローブを、転写領域の最初のkbに位置させた。
実施例7:抗イディオタイプ及び酵素インヒビター抗体の設計
[0233]本実施例は、抗イディオタイプ抗体の生成を記載し、示す。本実施例はまた、ソルターゼ、トロンビン及びアミラーゼを阻害する酵素インヒビター抗体の生成を記載し、示す(図11、パネルD)。概念の証明として、これらの酵素を選択したが、当業者が認識する通り、本明細書において提示する方法論をまた、当該技術分野において公知の標的化した他の酵素又は他の抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)に適用することができる。
[0234]抗イディオタイプ抗体を、選択した抗体(図11、パネルA〜C)に対して構築した。抗イディオタイプ抗体と酵素インヒビター抗体の両方を、図2において描写するフロー図において示す同じワークフローを使用して、構築した。簡単に述べると、抗イディオタイプ抗体の生成のため、CDR H3及びL3由来の塩基配列を選択して、別々の修飾したペプチドを生成した。その配列内にホスホセリンを含むように、修飾したペプチドを合成した。ファージライブラリーを、修飾したペプチドに対してスクリーニングし、選択した抗体のCDRH3に特異的である抗体を単離し、これにより、抗イディオタイプ抗体を生成した。結合アッセイは、抗イディオタイプ抗体の結合を示す(図11、パネルA〜C)。
[0235]本明細書において記載し、図2において描写する方法論を使用して、抗体をまた、次の酵素標的:ソルターゼ、トロンビン及びアミラーゼに対して生成させた。結合アッセイを、単離した抗体から得て、生成させた(すなわち、ソルターゼ、トロンビン、及びアミラーゼ)単離した抗体との接触の際に結合及び酵素阻害を確認した(図11D)。
実施例8:遅延エマルジョン感染性(DEI):組換えバイオパニングストラテジー
[0236]図16、パネルAは、遅延エマルジョン感染性を説明する模式図を示す。
組換えバイオパニングストラテジー。簡単に、DEIバイオパニングストラテジーを、次の通り概説する。およそ104種の異なるAgの大腸菌表面ディスプレイLpp’ompA融合ライブラリーを、16℃にて成長させて、F線毛(細胞表面のM13受容体)発現及びクローナルな拡大を抑制する。>1010の複雑さのファージディスプレイAbライブラリーを、バルク溶液において細菌ライブラリーと、Ag−Ab相互作用が生じるのに十分な期間に合わせて、次に、洗浄して、結合していないファージを取り除く。トリプシン(加えた特異性及び増大した分離効率のためgpIIIタンパク質からgpIIIタンパク質を特異的に切断するため)を加え、細胞(及び任意の結合したファージ)を、混合物をボルテックスして、油中水滴型エマルジョンの個々の滴内に細胞を封入することにより、迅速にコンパートメント化する。エマルジョンを37℃に移して、F線毛の発現及びファージ粒子の分離を誘導する。分離したファージを、誘導したF線毛を介して細菌に感染させる。エマルジョンを破壊し、細胞をLB+Camプレートで成長させて、クローナルな拡大を妨げる。プール由来のプラスミドDNAを単離する。scFv遺伝子の5’側とエピトープの3’側の間のDNA領域を、PCRを使用して増幅する。次に、PCR産物を、次世代配列決定により解析する。コンティグアセンブリ後、Abとエピトープ定常領域の両方にコードしたバーコードを使用して、特異的なクローンを同定する。特異的なエピトープに対する抗体は、エピトープ特異的プライマーを使用して増幅することができる。特異的な抗体は、バーコード相補性プライマーの固有の対を使用して増幅することができる。特異的な抗体をまた、適当な発現系にサブクローニングすることができる。1つのバーコードを、scFv遺伝子の5’末端に置き、第2のバーコードを、エピトープ遺伝子の3’に置く。
DEI研究の概要
[0237]18種のペプチドのセットを使用して、DEIをモデル化する。次世代配列決定(「NGS」)及びバーコードスキームを使用して、数百万のHiSeq配列決定読み取り値を処理した。大腸菌におけるリン酸化に焦点が絞られたライブラリーの生成において、大腸菌細胞表面に非特異的に結合するファージを除去し大きく低減させた。実験におけるノイズを低減するために単一標的Ag由来のヒットを、残りのAgの全ての組合せと比較することを含む生物情報学解析をまた、行った。単一のAgの全てについて同じライブラリーを使用して、複数のスクリーニングにより、標的Nと2つのタイプの非標的N分類配列(他の全てにおいて非特異的であり、濃縮した)の両方と結合するクローンのコンピューターでの視覚化を可能にした。
[0238]DEIと関連する細菌ディスプレイシステムの実施形態を、図17において説明する。図17において示す通り、DEIと関連する細菌ディスプレイシステムの1つの実施形態は、Lpp−OmpA細菌ディスプレイシステムである。
[0239]DEIシステムの予備観察は、成長温度が、M13による感染能力に対する直接的効果を有することを示す(図16、パネルB)。
[0240]DEIと関連する細菌ディスプレイシステムの実施形態を、図17において説明する。
[0241]結果を、大腸菌の表面での複数の18種の別々に提示したペプチドから得た。図18(パネルA及びB)において示す通り、結果は、最初の10種のペプチドについての100万を超える抗体次世代配列決定読み取り値を示す。本研究から得たデータは、この解析の群の3つの「分類」:1)濃縮した標的1特異的scFv;2)非特異的scFv;及び3)濃縮した全ての他のscFvを示した。
均等物及び範囲
[0242]当業者は、日常的な実験未満を使用して、本明細書において記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は解明することができる。本発明の範囲は、上の説明を制限することは意図しておらず、むしろ次の請求の範囲を説明するものである。
[関連出願]
[0001]本出願は、2017年8月4日に出願された、米国仮出願第62/541,530号に基づく優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (162)

  1. 翻訳後修飾(PTM)状態と無関係に翻訳後修飾(PTM)部位を認識する抗体を生成する方法であって、
    目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;
    PTMを含まない前記目的のペプチド又はタンパク質に対して前記ライブラリーをスクリーニングし、これにより、汎PTM結合抗体を同定する工程
    を含む方法。
  2. 翻訳後修飾(PTM)部位を認識する抗体を生成する方法であって、
    目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記PTMと相互作用することが決定されている前記抗体の前記PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において荷電していないアミノ酸を導入する工程;
    前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;
    PTMを含まない前記目的のペプチド又はタンパク質に対して前記ライブラリーをスクリーニングし、これにより、汎PTM結合抗体を同定する工程
    を含む方法。
  3. 前記PTM部位が、天然に存在するPTM部位である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記PTM部位が、遺伝子操作されたPTM部位である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、部位特異的変異誘発により、目的のペプチド又はタンパク質に導入される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記部位特異的な変異誘発が、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、前記目的のペプチド又はタンパク質における1個又は複数のアミノ酸置換により導入される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、1個又は複数のアミノ酸の前記目的のペプチド又はタンパク質への挿入により導入される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記目的のペプチド又はタンパク質に挿入された前記1個又は複数のアミノ酸が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抗体が、修飾状態に関わらず、PTM部位を認識する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記抗体が、修飾状態に依存して、PTM部位を認識する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記修飾状態が、PTMの欠如である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記PTM結合ポケット内の前記1個又は複数の部位が、構造上予想されたものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記PTM結合ポケット内の前記1個又は複数の部位が、実験で決定されたものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記荷電していないアミノ酸が、アラニン又はグリシンである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記荷電していないアミノ酸が、変異誘発により導入される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記変異誘発が、部位変異誘発又は無作為化変異誘発である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記PTMが、負に荷電している、正に荷電している、親水性である、及び/又は疎水性である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記PTMが、リン酸化である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記PTMが、グリコシル化である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記グリコシル化が、シアリル化、アセチル化又はメチル化である、請求項20に記載の方法。
  22. 翻訳後修飾の非存在下で、PTM部位に特異的に結合する非PTM結合抗体を生成する方法であって、
    目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;
    PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対して前記ライブラリーをスクリーニングし、これにより、非PTM結合抗体を同定する工程
    を含む方法。
  23. 翻訳後修飾の非存在下で、PTM部位に特異的に結合する非PTM結合抗体を生成する方法であって、
    目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記PTMと相互作用することが決定されている前記抗体の前記PTM結合ポケット内の1個又は複数の部位において前記PTMを寄せ付けないアミノ酸を導入する工程;
    前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補非PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;及び
    PTMを含まない目的のペプチド又はタンパク質に対して前記ライブラリーをスクリーニングし、これにより、非PTM結合抗体を同定する工程
    を含む方法。
  24. 前記PTM部位が、天然に存在するPTM部位である、請求項22又は23に記載の方法。
  25. 前記PTM部位が、遺伝子操作されたPTM部位である、請求項22又は23に記載の方法。
  26. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、部位特異的変異誘発により、目的のペプチド又はタンパク質に導入される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記部位特異的変異誘発が、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む、請求項25に記載の方法。
  28. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、前記目的のペプチド又はタンパク質において1個又は複数のアミノ酸置換により導入される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、1個又は複数のアミノ酸の前記目的のペプチド又はタンパク質への挿入により導入される、請求項27に記載の方法。
  30. 前記目的のペプチド又はタンパク質に挿入される前記1個又は複数のアミノ酸が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む、請求項31に記載の方法。
  31. 前記PTM結合ポケット内の前記1個又は複数の部位が、構造上予想されたものである、請求項22〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記PTM結合ポケット内の前記1個又は複数の部位が、実験で決定されたものである、請求項22〜30のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記PTMが、負に荷電している、請求項22〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記PTMが、リン酸化である、請求項22〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記PTMが、グリコシル化である、請求項22〜33のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記グリコシル化が、シアリル化である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、負に荷電したアミノ酸である、請求項22〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記負に荷電したアミノ酸が、アスパラギン酸又はグルタミン酸である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記PTMが、正に荷電している、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記PTMが、レチニリデンシッフ塩基形成又はアルギニル化である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、正に荷電したアミノ酸である、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記正に荷電したアミノ酸が、リジン、アルギニン、又はヒスチジンである、請求項41に記載の方法。
  43. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、非標準的なアミノ酸である、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記非標準的なアミノ酸が、ホスホセリン、ホスホチロシン、p−アジド−フェニルアラニン、ベンゾイル−フェニルアラニン、又はアセチル−リジンである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、サプレッサーtRNAにより導入される、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記PTMが、疎水性である、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、親水性である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記親水性アミノ酸が、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、又はスレオニンである、請求項47に記載の方法。
  49. 前記PTMが、親水性である、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、疎水性である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記疎水性アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン又はトリプトファンである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、変異誘発により導入される、請求項23〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記変異誘発が、部位変異誘発又は無作為化変異誘発である、請求項52に記載の方法。
  54. 前記コンテキスト配列が、前記PTM部位の上流又は下流の3〜15個の残基を含む、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記コンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの外側の前記1個又は複数の領域が、エラープローンローリングサークル増幅(RCA)により無作為化される、請求項1〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記コンテキスト配列に結合する前記PTM結合ポケットの外側の前記1個又は複数の領域が、前記PTM結合ポケットを変化させることなく、無作為化される、請求項1〜55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記候補汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を含むライブラリーが、ファージディスプレイライブラリーである、請求項1〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記候補汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を含むライブラリーが、少なくとも10、10、10、1010、1011、又は1012の多様性を有する、請求項1〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記ライブラリーをスクリーニングする前記工程が、ホールセルパニングである、請求項1〜58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記ホールセルパニングが、エマルジョンベースである、請求項59に記載の方法。
  61. 前記同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証する工程をさらに含む、請求項1〜60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記検証工程が、高処理である、請求項61に記載の方法。
  63. 前記PTMが、リン酸化であり、前記高処理検証工程が、ホスホ−セリン又はホスホ−チロシンを、抑制可能なアンバー(UAG)停止コドンに組み込み、これにより、汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証するためのリン酸化タンパク質を産生する細胞株の使用を含む、請求項62に記載の方法。
  64. 前記細胞株が、大腸菌である、請求項63に記載の方法。
  65. 前記細胞株が、昆虫細胞株である、請求項63に記載の方法。
  66. 前記同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体が、機能的アッセイにより検証される、請求項61に記載の方法。
  67. 前記汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体を検証する前記工程が、scFvをIgGに変換する工程を含む、請求項61〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記検証の工程が、前記同定された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体が、PTMに対する立体インヒビター抗体であるかを決定することを含む、請求項61〜66のいずれか一項に記載の方法。
  69. 酵素に対する立体阻害性抗体を生成する方法であって、
    目的の酵素上のPTMを特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記酵素の前記PTM部位に結合する前記PTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;
    前記ライブラリーを前記目的の酵素に対してスクリーニングする工程及びPTM修飾の非存在下で前記PTM部位を認識する前記抗体を選択する工程;並びに
    酵素活性アッセイを行うことにより、立体阻害性抗体を選択する工程
    を含む方法。
  70. 酵素に対する立体阻害性抗体を生成する方法であって、
    目的の酵素上のPTM部位を遺伝子操作する工程;
    前記目的の酵素の前記遺伝子操作されたPTM部位を特異的に認識する抗体を用意する工程;
    前記抗体のPTM結合ポケットを同定する工程;
    前記酵素の前記遺伝子操作されたPTM部位に結合する前記PTM結合ポケットの内側又は外側の1個又は複数の領域を無作為化することにより、候補汎PTM結合抗体を含むライブラリーを生成する工程;
    前記ライブラリーを前記遺伝子操作されたPTM部位を有さない前記目的の酵素に対してスクリーニングする工程及び前記遺伝子操作されたPTM部位の非存在下で前記抗体を認識する前記抗体を選択する工程;
    並びに酵素活性アッセイを行うことにより、立体阻害性抗体を選択する工程
    を含む方法。
  71. 前記PTMが、天然に存在するPTM部位である、請求項69に記載の方法。
  72. 前記PTM部位が、遺伝子操作されたPTM部位である、請求項69に記載の方法。
  73. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、部位特異的変異誘発により、前記目的の酵素に導入される、請求項70又は72に記載の方法。
  74. 前記部位特異的変異誘発が、点変異、一連の点変異、欠損又は挿入を含む、請求項73に記載の方法。
  75. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、前記目的の酵素における1個又は複数のアミノ酸置換により導入される、請求項73に記載の方法。
  76. 前記遺伝子操作されたPTM部位が、1個又は複数のアミノ酸の前記目的の酵素への挿入により導入される、請求項75に記載の方法。
  77. 前記目的の酵素に挿入された前記1個又は複数のアミノ酸が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25個のアミノ酸を含む、請求項76に記載の方法。
  78. 請求項69〜77のいずれか一項に記載の方法に従い生成された目的の酵素の立体インヒビターである抗体。
  79. 請求項69〜78のいずれか一項に記載の抗体を使用して、目的の酵素を阻害する方法。
  80. 請求項1〜79のいずれか一項に記載の方法に従い生成された汎PTM結合抗体又は非PTM結合抗体。
  81. 目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む汎PTM結合抗体ライブラリーであって、前記複数の抗体が、PTM結合ポケット及び前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列に結合する1個又は複数の無作為化された領域を含む、汎PTM結合抗体ライブラリー。
  82. 前記PTM結合ポケットが、前記PTMと相互作用することが決定されている1個又は複数の部位において荷電していないアミノ酸を含む、請求項80又は81に記載の汎PTM結合抗体ライブラリー。
  83. 前記荷電していないアミノ酸が、アラニン又はグリシンである、請求項82に記載の汎PTM結合抗体ライブラリー。
  84. 前記PTMが、リン酸化である、請求項80〜83のいずれか一項に記載の汎PTM結合抗体ライブラリー。
  85. 前記PTMが、グリコシル化である、請求項80〜83のいずれか一項に記載の汎PTM結合抗体ライブラリー。
  86. 前記グリコシル化が、シアリル化である、請求項85に記載の汎PTM結合抗体ライブラリー。
  87. 目的のペプチド又はタンパク質上のPTMを特異的に認識する既存の抗体からもたらされる複数の抗体を含む非PTM結合抗体ライブラリーであって、前記複数の抗体が、PTM結合ポケット及び前記PTM部位に隣接するコンテキスト配列を結合する1個又は複数の無作為化された領域を含み、前記PTM結合ポケットが、前記PTMと相互作用することが決定されている1個又は複数の部位において前記PTMを寄せ付けないアミノ酸を含む、非PTM結合抗体ライブラリー。
  88. 前記PTMが、負に荷電している、請求項87に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  89. 前記PTMが、リン酸化である、請求項88に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  90. 前記PTMが、グリコシル化である、請求項88に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  91. 前記グリコシル化が、シアリル化である、請求項90に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  92. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、負に荷電したアミノ酸である、請求項87〜91のいずれか一項に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  93. 前記負に荷電したアミノ酸が、アスパラギン酸又はグルタミン酸である、請求項92に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  94. 前記PTMが、正に荷電している、請求項87に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  95. 前記PTMが、レチニリデンシッフ塩基形成又はアルギニル化である、請求項94に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  96. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、正に荷電したアミノ酸である、請求項94又は95に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  97. 前記正に荷電したアミノ酸が、リジン、アルギニン、又はヒスチジンである、請求項96に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  98. 前記PTMが、疎水性である、請求項87に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  99. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、親水性である、請求項98に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  100. 前記親水性アミノ酸が、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、又はスレオニンである、請求項99に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  101. 前記PTMが、親水性である、請求項87に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  102. 前記PTMを寄せ付けない前記アミノ酸が、疎水性である、請求項101に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  103. 前記疎水性アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン又はトリプトファンである、請求項102に記載の非PTM結合抗体ライブラリー。
  104. 前記PTMが、リン酸化であり、前記既存の抗体が、リン酸化Ser(pSer)及び/又はリン酸化Tyr(pTyr)に結合する、請求項80〜103のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  105. 前記PTM結合ポケットが、CDR H2領域及び/又はCDR L2領域を含む、請求項80〜104のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  106. 前記1個又は複数の無作為化された領域が、前記PTM部位の上流又は下流の3〜15個の残基を含むコンテキスト配列に結合する、請求項80〜105のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  107. 前記1個又は複数の無作為化された領域が、無作為CDR H3、又はL3を含む、請求項80〜106のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  108. 前記PTM結合ポケットが、CDR H2領域を含み、前記1個又は複数の無作為化された領域が、無作為CDR H3、CDR L3、及び/又はCDR L2を含む、請求項80〜107のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  109. 前記1個又は複数の無作為化された領域が、部位特異的変異誘発により生成されている、請求項80〜108のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  110. 前記1個又は複数の無作為化された領域が、エラープローンRCAにより生成されている、請求項80〜108のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  111. 前記1個又は複数の無作為化された領域が、アラニン及び/又はヒスチジンスキャニングにより、生成されている、請求項80〜108のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  112. 前記ライブラリーが、ファージディスプレイライブラリー、細菌ディスプレイライブラリー、酵母ディスプレイライブラリー、リボソームディスプレイライブラリー、及びmRNAディスプレイライブラリーからなる群から選択される、請求項80〜111のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  113. 前記ライブラリーが、抗体フラグメントから選択される複数の抗体を含む、請求項80〜112のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  114. 前記ライブラリーが、scFv、Fab、Fab’、Fv、又はIgGから選択される複数の抗体を含む、請求項80〜113のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  115. 前記ライブラリーが、scFvライブラリーである、請求項114に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  116. 前記scFvライブラリーが、M13 scFvライブラリーである、請求項115に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  117. 前記ライブラリーが、10、10、10、1010、1011、1012より大きな多様性を有する、請求項80〜116のいずれか一項に記載の汎PTM結合又は非PTM結合抗体ライブラリー。
  118. 目的のペプチドへの抗体を産生する方法であって、
    負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、
    前記修飾されたペプチドを、前記負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対してスクリーニングする工程、
    目的の前記修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;及び
    前記1個又は複数の抗体の前記修飾を含まない前記目的のペプチドへの結合を決定し、これにより、前記目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程
    を含む方法。
  119. 目的のペプチドへの抗体を産生する方法であって、
    負に荷電したアミノ酸を含むように修飾された目的の修飾されたペプチドを用意する工程、
    前記修飾されたペプチドを前記負に荷電したアミノ酸へとバイアスをかけた抗体ライブラリーに対してスクリーニングする工程、
    目的の前記修飾されたペプチドに結合する1個又は複数の抗体を単離する工程;
    親和性成熟により、前記1個又は複数の抗体のクローン型のライブラリーを生成する工程;
    前記修飾を含まない前記目的のペプチドに対して前記クローン型の前記ライブラリーをスクリーニングし、これにより、前記目的のペプチドに結合する抗体を同定する工程
    を含む方法。
  120. 前記負に荷電したアミノ酸が、リン酸化アミノ酸である、請求項118又は119に記載の方法。
  121. 前記リン酸化アミノ酸が、ホスホセリン(SEP)又はホスホチロシンである、請求項120に記載の方法。
  122. 前記リン酸化アミノ酸が、ホスホセリン(SEP)である、請求項120又は121に記載の方法。
  123. 前記リン酸化アミノ酸が、ホスホチロシンである、請求項120又は121に記載の方法。
  124. 前記負に荷電したアミノ酸が、アスパラギン酸又はグルタミン酸である、請求項118又は119に記載の方法。
  125. 前記負に荷電したアミノ酸が、前記目的のペプチド内の天然に存在するアミノ酸を置換する、請求項118〜124のいずれか一項に記載の方法。
  126. 前記抗体ライブラリーが、ホスホバイアス抗体ライブラリーである、請求項118〜125のいずれか一項に記載の方法。
  127. 前記ホスホバイアス抗体ライブラリーが、ファージディスプレイライブラリー、細菌ディスプレイライブラリー、酵母ディスプレイライブラリー、リボソームディスプレイライブラリー、又はmRNAディスプレイライブラリーから選択される、請求項126に記載の方法。
  128. 前記抗体ライブラリーが、ファージディスプレイライブラリーである、請求項127に記載の方法。
  129. 前記抗体ライブラリーが、抗体フラグメントから選択される複数の抗体を含む、請求項118〜128のいずれか一項に記載の方法。
  130. 前記抗体ライブラリーが、scFv、Fab、Fab’、Fv、又はIgGから選択される複数の抗体を含む、請求項118〜129のいずれか一項に記載の方法。
  131. 前記抗体ライブラリーが、scFvライブラリーである、請求項118〜130のいずれか一項に記載の方法。
  132. 前記scFvライブラリーが、M13 scFvライブラリーである、請求項131に記載の方法。
  133. 前記抗体ライブラリーが、約10、10、10、1010、1011、若しくは1012又は10、10、10、1010、1011、若しくは10より大きな多様性を有する、請求項118〜132のいずれか一項に記載の方法。
  134. 前記抗体ライブラリーが、約1013、1012、1011、若しくは1010又は1013、1012、1011、若しくは1010未満の多様性を有する、請求項118〜133のいずれか一項に記載の方法。
  135. 前記目的のペプチドに結合する前記抗体の親和性成熟をさらに含む、請求項118〜134のいずれか一項に記載の方法。
  136. 前記親和性成熟が、指向進化により行われる、請求項119〜135のいずれか一項に記載の方法。
  137. 前記親和性成熟が、前記修飾されたペプチドに結合する前記1個又は複数の抗体のCDR−H2及び/又はCDR−L2領域の外側の配列を無作為化する工程を含む、請求項119〜136のいずれか一項に記載の方法。
  138. 前記親和性成熟が、エラープローンPCR変異誘発を含む、請求項119〜137のいずれか一項に記載の方法。
  139. 前記スクリーニング工程のそれぞれが、ホールセル、細胞フラグメント、又は単離されたタンパク質で行われる、請求項118〜138のいずれか一項に記載の方法。
  140. 前記スクリーニング工程のそれぞれが、ホールセルパニングを含む、請求項118〜139のいずれか一項に記載の方法。
  141. 前記ホールセルパニングが、エマルジョンベースである、請求項140に記載の方法。
  142. 前記エマルジョンベースのスクリーニングが、遅延エマルジョン感染性(DEI)である、請求項141に記載の方法。
  143. 前記目的のペプチドが、目的のタンパク質のエピトープに基づく、請求項118〜142のいずれか一項に記載の方法。
  144. 前記エピトープが、前記目的のタンパク質の外部ドメインである、請求項143に記載の方法。
  145. 前記エピトープが、直線性エピトープである、請求項143又は144に記載の方法。
  146. 前記エピトープが、立体構造又は不連続エピトープである、請求項143又は144に記載の方法。
  147. 前記目的のペプチドが、約5〜30個のアミノ酸を含み、請求項118〜146のいずれか一項に記載の方法。
  148. 前記目的のペプチドが、約10〜20個のアミノ酸を含む、請求項118〜147のいずれか一項に記載の方法。
  149. 前記目的のペプチドが、前記目的のタンパク質の外部ドメインにおける3個毎、4個毎、5個毎、6個毎、7個毎、8個毎、9個毎、又は10個毎のアミノ酸の周囲の配列を含む、請求項118〜148のいずれか一項に記載の方法。
  150. 前記目的のペプチドが、前記目的のタンパク質の外部ドメインにおける5個毎のアミノ酸の周囲の配列を含む、請求項118〜149のいずれか一項に記載の方法。
  151. 前記目的のペプチドが、グリコシル化部位を含まない、請求項118〜150のいずれか一項に記載の方法。
  152. 前記目的のタンパク質が、細胞表面受容体である、請求項143〜151のいずれか一項に記載の方法。
  153. 前記細胞受容体が、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、酵素結合受容体、又はリガンド開口型イオンチャンネル受容体である、請求項152に記載の方法。
  154. 前記細胞受容体が、レプチン受容体、グルカゴン受容体、インスリン受容体、CXCR4、NTSR1、NTSR2又は受容体チロシンキナーゼである、請求項152に記載の方法。
  155. 前記抗体が前記目的のタンパク質に結合するかを試験する工程をさらに含む、請求項143〜154のいずれか一項に記載の方法。
  156. 前記抗体が前記目的のタンパク質の機能を阻害するかを試験する工程をさらに含む、請求項143〜155のいずれか一項に記載の方法。
  157. 前記目的のタンパク質の前記機能が、競合的阻害により前記抗体よって阻害される、請求項156に記載の方法。
  158. 前記目的のタンパク質の前記機能が、非競合的阻害により前記抗体によって阻害される、請求項157に記載の方法。
  159. 前記非競合的阻害が、アロステリック阻害である、請求項158に記載の方法。
  160. 前記目的のタンパク質の機能が前記抗体により増大されるかを試験する工程をさらに含む、請求項143〜155のいずれか一項に記載の方法。
  161. 目的のタンパク質を阻害する抗体を産生する方法であって、
    目的のタンパク質由来の配列に基づきペプチドを合成する工程であって、前記配列が、負に荷電したアミノ酸を含むように修飾される、工程
    請求項1〜160のいずれか一項に記載の方法に従い、前記ペプチドに結合する抗体を同定する工程;及び
    前記抗体が、前記目的のタンパク質の機能を阻害するかを試験する工程
    を含む方法。
  162. 前記抗体が、前記目的のタンパク質を立体的に阻害するかを決定する工程をさらに含む、請求項161に記載の方法。
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