以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下では、第1比較例の送信装置1Aの構成と対比しつつ第1実施形態の送信装置1の構成を説明し、また、第2比較例の送信装置2Aの構成と対比しつつ第2実施形態の送信装置2の構成を説明する。
(第1比較例)
図1は、第1比較例の送信装置1Aの概略構成図である。第1比較例の送信装置1Aは、データ変換回路11,駆動回路20A,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を備える。
データ変換回路11は、パラレルのデジタル信号Dparaを入力し、これをシリアルのデジタル信号(DIN信号)に変換して、このシリアルのDIN信号をビット順に駆動回路20Aへ出力する。このDIN信号は、入力されたパラレルのデジタル信号Dparaがシリアルのデジタル信号に変換されたビットだけでなく、これらの間にダミーのビットを含む。また、データ変換回路11は、1つのパラレルのデジタル信号に対応するDIN信号を出力している期間に周期的にEN信号を有意値として出力する。本例においては、1つのパラレルのデジタル信号に対応するDIN信号を出力している期間にEN信号は1回または2回有意値となる。
EN信号が有意値として出力される時間は、DIN信号の各ビットが出力される時間と等しい。EN信号が有意値として出力されている期間では、その直前の期間に出力されているDIN信号と同じ値がDIN信号として出力される。EN信号が有意値として出力されている期間の直後の期間ではDIN信号は同じ値を出力する場合と反転の値を出力する場合の両方があり得る。このEN信号がクロック信号を表す。
駆動回路20Aは、データ変換回路11から出力されるDIN信号およびEN信号を受けて、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を駆動するための信号を出力する。主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32は、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを共有し、駆動回路20Aから出力される信号を受けて、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから抵抗終端された一対の差動伝送線路へ電流信号を出力する。主出力バッファ回路31を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRLp信号およびCTRLn信号が含まれる。また、副出力バッファ回路32を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRLp信号,CTRLn信号,EN信号およびENb信号が含まれる。
図2は、第1比較例の送信装置1Aの要部構成図である。この図には、駆動回路20A,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの回路図が示されている。
主出力バッファ回路31は、スイッチSW10〜SW13およびスイッチSW20〜SW23を含む。これらのスイッチは、トランジスタにより構成されるのが好適であり、特にMOSトランジスタにより構成されるのが好適である。スイッチがMOSトランジスタにより構成される場合には、該MOSトランジスタのゲート端子に入力される信号の値に応じて、該トランジスタがオン状態(開状態)およびオフ状態(閉状態)の何れかに設定される。
スイッチSW11は、第1ノードN1と第1出力端子OUTPとの間に設けられている。スイッチSW12は、第1ノードN1と第2出力端子OUTNとの間に設けられている。スイッチSW10およびスイッチSW13は、互いに直列的に接続されて第1ノードN1と第1基準電位(電源電位)との間に設けられている。
スイッチSW21は、第2ノードN2と第1出力端子OUTPとの間に設けられている。スイッチSW22は、第2ノードN2と第2出力端子OUTNとの間に設けられている。スイッチSW20およびスイッチSW23は、互いに直列的に接続されて第2ノードN2と第2基準電位(接地電位)との間に設けられている。
スイッチSW11及びSW22は、CTRLp信号の値に応じてオン状態およびオフ状態の何れかに設定される。スイッチSW12及びSW21は、CTRLn信号の値に応じてオン状態およびオフ状態の何れかに設定される。スイッチSW10及びSW20は、動作時には常にオン状態に設定される。スイッチSW13は、動作時にはBIASp信号により常にオン状態に設定される。また、スイッチSW23は、動作時にはBIASn信号により常にオン状態に設定される。なお、主出力バッファ回路31では、このBIASp信号及びBIASn信号の電圧を調整することにより第1出力端子OUTP及び第2出力端子OUTNの間に流れる電流量を調整することができる。
副出力バッファ回路32は、スイッチSW30〜SW33およびスイッチSW40〜SW43を含む。これらのスイッチは、トランジスタにより構成されるのが好適であり、特にMOSトランジスタにより構成されるのが好適である。スイッチがMOSトランジスタにより構成される場合には、該MOSトランジスタのゲート端子に入力される信号の値に応じて、該トランジスタがオン状態(開状態)およびオフ状態(閉状態)の何れかに設定される。副出力バッファ回路32に含まれるスイッチSW30〜SW33およびスイッチSW40〜SW43は、主出力バッファ回路31に含まれるスイッチSW10〜SW13およびスイッチSW20〜SW23と比べてゲート幅が大きいMOSトランジスタにより構成される。
スイッチSW31は、第3ノードN3と第1出力端子OUTPとの間に設けられている。スイッチSW32は、第3ノードN3と第2出力端子OUTNとの間に設けられている。スイッチSW30およびスイッチSW33は、互いに直列的に接続されて第3ノードN3と第1基準電位(電源電位)との間に設けられている。
スイッチSW41は、第4ノードN4と第1出力端子OUTPとの間に設けられている。スイッチSW42は、第4ノードN4と第2出力端子OUTNとの間に設けられている。スイッチSW40およびスイッチSW43は、互いに直列的に接続されて第4ノードN4と第2基準電位(接地電位)との間に設けられている。
スイッチSW31及びSW42は、CTRLp信号の値に応じてオン状態およびオフ状態の何れかに設定される。スイッチSW32及びSW41は、CTRLn信号の値に応じてオン状態およびオフ状態の何れかに設定される。スイッチSW30及びSW40は、EN信号の値に応じてオン状態およびオフ状態の何れかに設定される。スイッチSW33は、動作時にはBIASp信号により常にオン状態に設定される。また、スイッチSW43は、動作時にはBIASn信号により常にオン状態に設定される。また、主出力バッファ回路31と同様に、副出力バッファ回路32では、このBIASp信号及びBIASn信号の電圧を調整することにより第1出力端子OUTP及び第2出力端子OUTNの間に流れる電流量を調整することができる。
駆動回路20Aは、バッファBUFpおよびバッファBUFnを含む。バッファBUFpは、入力されるDIN信号のレベルと同じレベルのCTRLp信号を出力する。バッファBUFnは、入力されるDIN信号のレベルに対して論理反転したレベルのCTRLn信号を出力する。駆動回路20Aは、DIN信号がHレベルであるときに、CTRLp信号をHレベルとしてスイッチSW11,SW22,SW31及びSW42をオン状態とするとともに、CTRLn信号をLレベルとしてスイッチSW12,SW21,SW32及びSW41をオフ状態とする。駆動回路20Aは、DIN信号がLレベルであるときに、CTRLp信号をLレベルとしてスイッチSW11,SW22,SW31及びSW42をオフ状態とするとともに、CTRLn信号をHレベルとしてスイッチSW12,SW21,SW32及びSW41をオン状態とする。また、駆動回路20Aは、EN信号が非有意値であるときにスイッチSW30及びSW40をオフ状態とし、EN信号が有意値であるときにスイッチSW30及びSW40をオン状態とする。
主出力バッファ回路31では、DIN信号がHレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオン状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW11を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW22を介して第2ノードN2と接続される。一方、DIN信号がLレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオフ状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW12を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW21を介して第2ノードN2と接続される。したがって、主出力バッファ回路31から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ出力される電流信号の流れる方向は、DIN信号のレベルによって異なる。
副出力バッファ回路32では、DIN信号がHレベルであるとき、スイッチSW31及びSW42がオン状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW31を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW42を介して第4ノードN4と接続される。一方、DIN信号がLレベルであるとき、スイッチSW31及びSW42がオフ状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW32を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW41を介して第4ノードN4と接続される。
また、副出力バッファ回路32では、EN信号が非有意値であるとき、第3ノードN3は第1基準電位と接続されず、第4ノードN4は第2基準電位と接続されない。一方、EN信号が有意値であるとき、第3ノードN3は、スイッチSW30とスイッチSW33とを介して第1基準電位と接続されるとともに、第4ノードN4は、スイッチSW40とスイッチSW43とを介して第2基準電位と接続される。
したがって、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されない。一方、EN信号が有意値であるとき、副出力バッファ回路32から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ電流信号が出力され、その電流信号の流れる方向はDIN信号のレベルによって異なる。
図3は、第1比較例の送信装置1Aにおける各信号のタイミングチャートである。第1比較例の送信装置1Aでは、EN信号が非有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は主出力バッファ回路31から出力される電流信号のみであり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。一方、EN信号が有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれから出力される電流信号が加算されたものとなり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。したがって、EN信号が有意値であるときに出力される電流信号は大きい。
このような第1比較例の送信装置1Aでは、主出力バッファ回路31に含まれるスイッチSW10〜SW13およびスイッチSW20〜SW23に流れる電流が小さいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が小さいMOSトランジスタが用いられ得る。しかし、副出力バッファ回路32に含まれるスイッチSW30〜SW33およびスイッチSW40〜SW43に流れる電流が大きいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が大きいMOSトランジスタが用いられ、また、これらのスイッチを駆動するための駆動回路20Aに含まれるバッファBUFp及びBUFnもサイズが大きいものが用いられる。
ところで、図2中に示されるように、第3ノードN3には寄生容量Cp3が存在し、第4ノードN4には寄生容量Cp4が存在する。また、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されないものの、スイッチSW31及びSW32のうち何れか一方のスイッチがオン状態にあり、スイッチSW41及びSW42のうち何れか一方のスイッチがオン状態にある。
したがって、EN信号が非有意値であって主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、スイッチSW31及びSW32のうちオン状態となっている一方のスイッチを構成するMOSトランジスタのドレイン・ゲート間の容量、スイッチSW41及びSW42のうちオン状態となっている一方のスイッチを構成するMOSトランジスタのドレイン・ゲート間の容量、これらのスイッチの先にある寄生容量Cp3及び寄生容量Cp4が、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNに付加されていることになる。そして、これらの容量は無視し得ないほど大きい場合がある。このことから、第1比較例の送信装置1Aでは、EN信号が非有意値であって主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから出力される電流信号の遷移の際のスルーレートが悪い場合がある。
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態の送信装置1の概略構成図である。第1実施形態の送信装置1は、データ変換回路11,駆動回路20,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を備える。第1実施形態の送信装置1に含まれるデータ変換回路11,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32は、第1比較例の送信装置1Aに含まれるものと同様の構成を有する。第1比較例の送信装置1Aの構成と比較すると、第1実施形態の送信装置1は、駆動回路20Aに替えて駆動回路20を備える点で相違する。
駆動回路20は、データ変換回路11から出力されるDIN信号およびEN信号を受けて、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を駆動するための信号を出力する。主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32は、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを共有し、駆動回路20から出力される信号を受けて、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから抵抗終端された一対の差動伝送線路へ電流信号を出力する。主出力バッファ回路31を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRL1p信号およびCTRL1n信号が含まれる。また、副出力バッファ回路32を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRL2p信号,CTRL2n信号,EN信号およびENb信号が含まれる。
図5は、第1実施形態の送信装置1の要部構成図である。この図には、駆動回路20,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの回路図が示されている。主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの構成は、第1比較例の場合と同じである。
駆動回路20は、バッファBUFpおよびバッファBUFnに加えて、論理積ゲートANDpおよび論理積ゲートANDnを含む。バッファBUFpは、入力されるDIN信号のレベルと同じレベルのCTRL1p信号を出力する。バッファBUFnは、入力されるDIN信号のレベルに対して論理反転したレベルのCTRL2n信号を出力する。論理積ゲートANDpは、CTRL1p信号レベルとEN信号レベルとの論理積をCTRL2p信号として出力する。論理積ゲートANDnは、CTRL1n信号レベルとEN信号レベルとの論理積をCTRL2n信号として出力する。
駆動回路20は、DIN信号がHレベルであるときに、CTRL1p信号をHレベルとしてスイッチSW11及びSW22をオン状態とするとともに、CTRL1n信号をLレベルとしてスイッチSW12及びSW21をオフ状態とする。駆動回路20は、DIN信号がLレベルであるときに、CTRL1p信号をLレベルとしてスイッチSW11及びSW22をオフ状態とするとともに、CTRL1n信号をHレベルとしてスイッチSW12及びSW21をオン状態とする。
駆動回路20は、EN信号が非有意値であるときに、CTRL2p信号およびCTRL2n信号をLレベルとして、スイッチSW31,SW32,SW41,SW42,SW30及びSW40をオフ状態とする。駆動回路20は、EN信号が有意値であるときに、スイッチSW30およびスイッチSW40をオン状態とする。
また、駆動回路20は、DIN信号がHレベルであってEN信号が有意値であるときに、CTRL2p信号をHレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオン状態とするとともに、CTRL2n信号をLレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオフ状態とする。駆動回路20は、DIN信号がLレベルであってEN信号が有意値であるときに、CTRL2p信号をLレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオフ状態とするとともに、CTRL2n信号をHレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオン状態とする。
主出力バッファ回路31では、DIN信号がHレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオン状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW11を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW22を介して第2ノードN2と接続される。一方、DIN信号がLレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオフ状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW12を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW21を介して第2ノードN2と接続される。したがって、主出力バッファ回路31から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ出力される電流信号の流れる方向は、DIN信号のレベルによって異なる。
副出力バッファ回路32では、DIN信号がHレベルであってEN信号が有意値であるとき、スイッチSW31及びSW42がオン状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW31を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW42を介して第4ノードN4と接続される。一方、DIN信号がLレベルであってEN信号が有意値であるとき、スイッチSW31及びSW42がオフ状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW32を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW41を介して第4ノードN4と接続される。
また、副出力バッファ回路32では、EN信号が非有意値であるとき、第3ノードN3は第1基準電位と接続されず、第4ノードN4は第2基準電位と接続されない。また、EN信号が非有意値であるとき、スイッチSW31,SW32,SW41及びSW42はオフ状態となる。
したがって、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されない。一方、EN信号が有意値であるとき、副出力バッファ回路32から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ電流信号が出力され、その電流信号の流れる方向はDIN信号のレベルによって異なる。
図6は、第1実施形態の送信装置1における各信号のタイミングチャートである。第1実施形態の送信装置1では、EN信号が非有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は主出力バッファ回路31から出力される電流信号のみであり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。一方、EN信号が有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれから出力される電流信号が加算されたものとなり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。したがって、EN信号が有意値であるときに出力される電流信号は大きい。
特に、第1実施形態の送信装置1では、EN信号が非有意値であるときに、CTRL2p信号及びCTRL2n信号の何れもLレベルであり、スイッチSW31,SW32,SW41及びSW42がオフ状態となっている。このことから、これらのスイッチのドレイン・ゲート間の容量や寄生容量Cp3,Cp4が無視し得ないほど大きい場合であっても、主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから出力される電流信号の遷移の際のスルーレートが良好なものとなる。
(第1実施形態の変形例)
図7は、第1実施形態の変形例の送信装置1aの概略構成図である。第1実施形態の変形例の送信装置1aは、データ変換回路11,駆動回路20,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32aを備える。前の第1実施形態の送信装置1の構成と比較すると、この変形例の送信装置1aは、副出力バッファ回路32に替えて副出力バッファ回路32aを備える点で相違する。
図8は、第1実施形態の変形例の送信装置1aの要部構成図である。この図には、駆動回路20,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32aそれぞれの回路図が示されている。副出力バッファ回路32aは、図5中の副出力バッファ回路32の構成に加えて、第3ノードN3に接続された容量素子C3と、第4ノードN4に接続された容量素子C4とを更に含む。
容量素子C3,C4は、MOSトランジスタのソース端子とドレイン端子とが短絡されて構成されるものであってもよい。この場合、容量素子C3を構成するMOSトランジスタのゲート端子は第3ノードN3に接続され、該MOSトランジスタのソース端子およびドレイン端子は第2基準電位に接続される。また、容量素子C4を構成するMOSトランジスタのゲート端子は第4ノードN4に接続され、該MOSトランジスタのソース端子およびドレイン端子は第1基準電位に接続される。
第1実施形態の変形例の送信装置1aにおける各信号のタイミングチャートは図6と同様である。ただし、この変形例の送信装置1aは、容量素子C3,C4が設けられていることにより、図5の構成のものと比べて以下のような動作上の特徴を有する。
容量素子C3,C4が設けられていない図5の構成のものでは、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNの負荷容量が寄生容量Cp3,Cp4と比べて非常に大きいことから、DIN信号がHレベルである場合にEN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるとき、第3ノードN3の電位はスイッチSW31がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第1出力端子OUTPの電位に大きく引っ張られる。また、第4ノードN4の電位はスイッチSW42がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第2出力端子OUTNの電位に大きく引っ張られる。これにより、オン状態となっているスイッチSW31、SW42のドレイン・ソース間の電位差が小さくなり、スイッチSW31、SW42を流れる電流量が小さくなることで、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが悪化する。さらに、DIN信号がLレベルである場合にEN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるとき、第3ノードN3の電位はスイッチSW32がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第2出力端子OUTNの電位に大きく引っ張られる。また、第4ノードN4の電位はスイッチSW41がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第1出力端子OUTPの電位に大きく引っ張られる。これにより、オン状態となっているスイッチSW32、SW41のドレイン・ソース間の電位差が小さくなり、スイッチSW32、SW41を流れる電流量が小さくなることで、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが悪化する。
これに対して、この変形例の送信装置1aは、容量素子C3,C4が設けられていることにより、EN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるときの第3ノードN3および第4ノードN4それぞれの電位が安定するので、副出力バッファ回路32aに含まれるスイッチSW31,SW32,SW41及びSW42のうちオン状態にあるスイッチのドレイン・ソース間の電位差が安定的に維持され、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが良好なものとなる。
(第2比較例)
図9は、第2比較例の送信装置2Aの概略構成図である。第2比較例の送信装置2Aは、データ変換回路12,主駆動回路21,副駆動回路22A,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を備える。第2比較例の送信装置2Aに含まれる主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32は、第1比較例の送信装置1Aに含まれるものと同様の構成を有する。第1比較例の送信装置1Aの構成と比較すると、第2比較例の送信装置2Aは、データ変換回路11に替えてデータ変換回路12を備える点で相違し、駆動回路20Aに替えて主駆動回路21および副駆動回路22Aを備える点で相違する。
データ変換回路12は、パラレルのデジタル信号Dparaを入力し、これをシリアルのデジタル信号(DIN信号)に変換して、このシリアルのDIN信号をビット順に主駆動回路21へ出力する。このDIN信号は、入力されたパラレルのデジタル信号Dparaがシリアルのデジタル信号に変換されたビットだけでなく、これらの間にダミーのビットを含む。また、データ変換回路12は、1つのパラレルのデジタル信号に対応するDIN信号を出力している期間に周期的にEN信号を有意値として出力する。本例においては、1つのパラレルのデジタル信号に対応するDIN信号を出力している期間にEN信号は1回または2回有意値となる。
EN信号が有意値として出力される時間は、DIN信号の各ビットが出力される時間と等しい。EN信号が有意値として出力されている期間では、その直前の期間に出力されているDIN信号と同じ値がDIN信号として出力される。EN信号が有意値として出力されている期間の直後の期間ではDIN信号は同じ値を出力する場合と反転の値を出力する場合の両方があり得る。このEN信号がクロック信号を表す。
また、データ変換回路12は、入力されるパラレルのデジタル信号Dparaを受けてPOL信号を副駆動回路22Aへ出力する。このPOL信号は、EN信号が有意値である期間までに既にレベルが確定されている。そのレベルは、EN信号が有意値である期間に出力されるDIN信号のレベルと等しい。
主駆動回路21は、データ変換回路12から出力されるDIN信号を受けて、主出力バッファ回路31を駆動するための信号を出力する。主出力バッファ回路31を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRL1p信号およびCTRL1n信号が含まれる。
副駆動回路22Aは、データ変換回路12から出力されるEN信号およびPOL信号を受けて、副出力バッファ回路32を駆動するための信号を出力する。副出力バッファ回路32を駆動するための信号には、BIASp信号,BIASn信号,CTRL2p信号,CTRL2n信号,EN信号およびENb信号が含まれる。
図10は、第2比較例の送信装置2Aの要部構成図である。この図には、主駆動回路21,副駆動回路22A,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの回路図が示されている。主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの構成は、第1比較例の場合と同じである。
主駆動回路21は、バッファBUF1pおよびバッファBUF1nを含む。バッファBUF1pは、入力されるDIN信号のレベルと同じレベルのCTRL1p信号を出力する。バッファBUF1nは、入力されるDIN信号のレベルに対して論理反転したレベルのCTRL1n信号を出力する。主駆動回路21は、DIN信号がHレベルであるときに、CTRL1p信号をHレベルとしてスイッチSW11及びSW22をオン状態とするとともに、CTRL1n信号をLレベルとしてスイッチSW12及びSW21をオフ状態とする。主駆動回路21は、DIN信号がLレベルであるときに、CTRL1p信号をLレベルとしてスイッチSW11及びSW22をオフ状態とするとともに、CTRL1n信号をHレベルとしてスイッチSW12及びSW21をオン状態とする。
副駆動回路22Aは、バッファBUF2pおよびバッファBUF2nを含む。バッファBUF2pは、入力されるPOL信号のレベルと同じレベルのCTRL2p信号を出力する。バッファBUF2nは、入力されるPOL信号のレベルに対して論理反転したレベルのCTRL2n信号を出力する。副駆動回路22Aは、POL信号がHレベルであるときに、CTRL2p信号をHレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオン状態とするとともに、CTRL2n信号をLレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオフ状態とする。副駆動回路22Aは、POL信号がLレベルであるときに、CTRL2p信号をLレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオフ状態とするとともに、CTRL2n信号をHレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオン状態とする。また、副駆動回路22Aは、EN信号が非有意値であるときにスイッチSW30及びSW40をオフ状態とし、EN信号が有意値であるときにスイッチSW30及びSW40をオン状態とする。
主出力バッファ回路31では、DIN信号がHレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオン状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW11を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW22を介して第2ノードN2と接続される。一方、DIN信号がLレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオフ状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW12を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW21を介して第2ノードN2と接続される。したがって、主出力バッファ回路31から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ出力される電流信号の流れる方向は、DIN信号のレベルによって異なる。
副出力バッファ回路32では、POL信号がHレベルであるとき、スイッチSW31及びSW42がオン状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW31を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW42を介して第4ノードN4と接続される。一方、POL信号がLレベルであるとき、スイッチSW31及びSW42がオフ状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW32を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW41を介して第4ノードN4と接続される。
また、副出力バッファ回路32では、EN信号が非有意値であるとき、第3ノードN3は第1基準電位と接続されず、第4ノードN4は第2基準電位と接続されない。一方、EN信号が有意値であるとき、第3ノードN3は、スイッチSW30とスイッチSW33とを介して第1基準電位と接続されるとともに、第4ノードN4は、スイッチSW40とスイッチSW43とを介して第2基準電位と接続される。
したがって、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されない。一方、EN信号が有意値であるとき、副出力バッファ回路32から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ電流信号が出力され、その電流信号の流れる方向はPOL信号のレベルによって異なる。
図11は、第2比較例の送信装置2Aにおける各信号のタイミングチャートである。第2比較例の送信装置2Aでは、EN信号が非有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は主出力バッファ回路31から出力される電流信号のみであり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。一方、EN信号が有意値であるときには、POL信号のレベルがDIN信号のレベルに等しく、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれから出力される電流信号が加算されたものとなり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。したがって、EN信号が有意値であるときに出力される電流信号は大きい。
この第2比較例の送信装置2Aでは、主出力バッファ回路31を駆動する主駆動回路21とは別に、副出力バッファ回路32を駆動する副駆動回路22Aが設けられている。主出力バッファ回路31に含まれるスイッチSW10〜SW13およびスイッチSW20〜SW23に流れる電流が小さいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が小さいMOSトランジスタが用いられ得る。したがって、主出力バッファ回路31を駆動する主駆動回路21に含まれるバッファBUF1p及びBUF1nは、サイズが小さいもので充分であるから、消費電力が低減される。
一方、副出力バッファ回路32に含まれるスイッチSW30〜SW33およびスイッチSW40〜SW43に流れる電流が大きいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が大きいMOSトランジスタが用いられる。
しかし、副出力バッファ回路32では、EN信号が有意値となる前にPOL信号のレベルが確定することでスイッチSW31,SW32,SW41およびSW42の状態も確定していて、EN信号が有意値となってスイッチSW30およびSW40がオン状態となることで電流信号が出力される。
したがって、副出力バッファ回路32を駆動する副駆動回路22Aに含まれるバッファBUF2p及びBUF2nは、CTRL2p信号及びCTRL2n信号の出力レベルを高速に遷移させる必要がないので、サイズが小さいもので充分である。また、バッファBUF2p及びBUF2nは、出力レベルを遷移させる回数が少なくてよい。したがって、バッファBUF2p及びBUF2nの消費電力が低減される。
しかし、第1比較例の場合と同様に、この第2比較例の送信装置2Aにおいても、図10中に示されるように、第3ノードN3には寄生容量Cp3が存在し、第4ノードN4には寄生容量Cp4が存在する。また、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されないものの、スイッチSW31及びSW32のうち何れか一方のスイッチがオン状態にあり、スイッチSW41及びSW42のうち何れか一方のスイッチがオン状態にある。
したがって、EN信号が非有意値であって主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、スイッチSW31及びSW32のうちオン状態となっている一方のスイッチを構成するMOSトランジスタのドレイン・ゲート間の容量、スイッチSW41及びSW42のうちオン状態となっている一方のスイッチを構成するMOSトランジスタのドレイン・ゲート間の容量、これらのスイッチの先にある寄生容量Cp3及び寄生容量Cp4が、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNに付加されていることになる。そして、これらの容量は無視し得ないほど大きい場合がある。このことから、第2比較例の送信装置2Aでも、EN信号が非有意値であって主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから出力される電流信号の遷移の際のスルーレートが悪い場合がある。
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態の送信装置2の概略構成図である。第2実施形態の送信装置2は、データ変換回路12,主駆動回路21,副駆動回路22,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32を備える。第2実施形態の送信装置2に含まれるデータ変換回路12,主駆動回路21,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32は、第2比較例の送信装置2Aに含まれるものと同様の構成を有する。第2比較例の送信装置2Aの構成と比較すると、第2実施形態の送信装置2は、副駆動回路22Aに替えて副駆動回路22を備える点で相違する。
図13は、第2実施形態の送信装置2の要部構成図である。この図には、主駆動回路21,副駆動回路22,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの回路図が示されている。主駆動回路21,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれの構成は、第1比較例の場合と同じである。
副駆動回路22は、バッファBUF2pおよびバッファBUF2nに加えて、論理積ゲートANDpおよび論理積ゲートANDnを含む。バッファBUF2pは、入力されるPOL信号のレベルと同じレベルの信号を出力する。バッファBUF2nは、入力されるPOL信号のレベルに対して論理反転したレベルの信号を出力する。論理積ゲートANDpは、バッファBUF2pから出力された信号レベルとEN信号レベルとの論理積をCTRL2p信号として出力する。論理積ゲートANDnは、バッファBUF2nから出力された信号レベルとEN信号レベルとの論理積をCTRL2n信号として出力する。
副駆動回路22は、EN信号が非有意値であるときに、CTRL2p信号およびCTRL2n信号をLレベルとして、スイッチSW31,SW32,SW41,SW42,SW30及びSW40をオフ状態とする。副駆動回路22は、EN信号が有意値であるときに、スイッチSW30およびスイッチSW40をオン状態とする。
また、副駆動回路22は、POL信号がHレベルであってEN信号が有意値であるときに、CTRL2p信号をHレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオン状態とするとともに、CTRL2n信号をLレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオフ状態とする。副駆動回路22は、POL信号がLレベルであってEN信号が有意値であるときに、CTRL2p信号をLレベルとしてスイッチSW31及びSW42をオフ状態とするとともに、CTRL2n信号をHレベルとしてスイッチSW32及びSW41をオン状態とする。
主出力バッファ回路31では、DIN信号がHレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオン状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW11を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW22を介して第2ノードN2と接続される。一方、DIN信号がLレベルであるとき、スイッチSW11及びSW22がオフ状態となるとともに、スイッチSW12及びSW21がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW12を介して第1ノードN1と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW21を介して第2ノードN2と接続される。したがって、主出力バッファ回路31から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ出力される電流信号の流れる方向は、DIN信号のレベルによって異なる。
副出力バッファ回路32では、POL信号がHレベルであってEN信号が有意値であるとき、スイッチSW31及びSW42がオン状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオフ状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW31を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW42を介して第4ノードN4と接続される。一方、POL信号がLレベルであってEN信号が有意値であるとき、スイッチSW31及びSW42がオフ状態となるとともに、スイッチSW32及びSW41がオン状態となって、第1出力端子OUTPがスイッチSW32を介して第3ノードN3と接続されるとともに、第2出力端子OUTNがスイッチSW41を介して第4ノードN4と接続される。
また、副出力バッファ回路32では、EN信号が非有意値であるとき、第3ノードN3は第1基準電位と接続されず、第4ノードN4は第2基準電位と接続されない。また、EN信号が非有意値であるとき、スイッチSW31,SW32,SW41及びSW42はオフ状態となる。
したがって、EN信号が非有意値であるとき、副出力バッファ回路32からは電流信号が出力されない。一方、EN信号が有意値であるとき、副出力バッファ回路32から第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNを経て差動伝送線路へ電流信号が出力され、その電流信号の流れる方向はDIN信号のレベルによって異なる。
図14は、第2実施形態の送信装置2における各信号のタイミングチャートである。第2実施形態の送信装置2では、EN信号が非有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は主出力バッファ回路31から出力される電流信号のみであり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。一方、EN信号が有意値であるときには、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから差動伝送線路へ出力される電流信号は、主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32それぞれから出力される電流信号が加算されたものとなり、その電流信号が流れる方向はDIN信号のレベルに応じて決定される。したがって、EN信号が有意値であるときに出力される電流信号は大きい。
特に、第2実施形態の送信装置2では、EN信号が非有意値であるときに、CTRL2p信号及びCTRL2n信号の何れもLレベルであり、スイッチSW31,SW32,SW41及びSW42がオフ状態となっている。このことから、これらのスイッチのドレイン・ゲート間の容量や寄生容量Cp3,Cp4が無視し得ないほど大きい場合であっても、主出力バッファ回路31のみから電流信号が出力されているとき、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNから出力される電流信号の遷移の際のスルーレートが良好なものとなる。
また、第2実施形態の送信装置2では、主出力バッファ回路31を駆動する主駆動回路21とは別に、副出力バッファ回路32を駆動する副駆動回路22が設けられている。主出力バッファ回路31に含まれるスイッチSW10〜SW13およびスイッチSW20〜SW23に流れる電流が小さいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が小さいMOSトランジスタが用いられ得る。したがって、主出力バッファ回路31を駆動する主駆動回路21に含まれるバッファBUF1p及びBUF1nは、サイズが小さいもので充分であるから、消費電力が低減される。
一方、副出力バッファ回路32に含まれるスイッチSW30〜SW33およびスイッチSW40〜SW43に流れる電流が大きいことから、これらのスイッチとしてゲート幅が大きいMOSトランジスタが用いられる。
しかし、副出力バッファ回路32では、EN信号が有意値となる前にPOL信号のレベルが確定することでスイッチSW31,SW32,SW41およびSW42の状態も確定していて、EN信号が有意値となってスイッチSW30およびSW40がオン状態となることで電流信号が出力される。
したがって、副出力バッファ回路32を駆動する副駆動回路22に含まれるバッファBUF2p及びBUF2nは、CTRL2p信号及びCTRL2n信号の出力レベルを高速に遷移させる必要がないので、サイズが小さいもので充分である。また、バッファBUF2p及びBUF2nは、出力レベルを遷移させる回数が少なくてよい。したがって、バッファBUF2p及びBUF2nの消費電力が低減される。
(第2実施形態の変形例)
図15は、第2実施形態の変形例の送信装置2aの概略構成図である。第2実施形態の送信装置2aは、データ変換回路12,主駆動回路21,副駆動回路22,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32aを備える。前の第2実施形態の送信装置2の構成と比較すると、この変形例の送信装置2aは、副出力バッファ回路32に替えて副出力バッファ回路32aを備える点で相違する。
図16は、第2実施形態の変形例の送信装置2aの要部構成図である。この図には、主駆動回路21,副駆動回路22,主出力バッファ回路31および副出力バッファ回路32aそれぞれの回路図が示されている。副出力バッファ回路32aは、図13中の副出力バッファ回路32の構成に加えて、第3ノードN3に接続された容量素子C3と、第4ノードN4に接続された容量素子C4とを更に含む。
容量素子C3,C4は、MOSトランジスタのソース端子とドレイン端子とが短絡されて構成されるものであってもよい。この場合、容量素子C3を構成するMOSトランジスタのゲート端子は第3ノードN3に接続され、該MOSトランジスタのソース端子およびドレイン端子は第2基準電位に接続される。また、容量素子C4を構成するMOSトランジスタのゲート端子は第4ノードN4に接続され、該MOSトランジスタのソース端子およびドレイン端子は第1基準電位に接続される。
第2実施形態の変形例の送信装置2aにおける各信号のタイミングチャートは図14と同様である。ただし、この変形例の送信装置2aは、容量素子C3,C4が設けられていることにより、図13の構成のものと比べて以下のような動作上の特徴を有する。
容量素子C3,C4が設けられていない図13の構成のものでは、第1出力端子OUTPおよび第2出力端子OUTNの負荷容量が寄生容量Cp3,Cp4と比べて非常に大きいことから、DIN信号がHレベルである場合にEN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるとき、第3ノードN3の電位はスイッチSW31がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第1出力端子OUTPの電位に大きく引っ張られる。また、第4ノードN4の電位はスイッチSW42がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第2出力端子OUTNの電位に大きく引っ張られる。これにより、オン状態となっているスイッチSW31、SW42のドレイン・ソース間の電位差が小さくなり、スイッチSW31、SW42を流れる電流量が小さくなることで、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが悪化する。さらに、DIN信号がLレベルである場合にEN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるとき、第3ノードN3の電位はスイッチSW32がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第2出力端子OUTNの電位に大きく引っ張られる。また、第4ノードN4の電位はスイッチSW41がオン状態となることで、EN信号が非有意値となっている時の第1出力端子OUTPの電位に大きく引っ張られる。これにより、オン状態となっているスイッチSW32、SW41のドレイン・ソース間の電位差が小さくなり、スイッチSW32、SW41を流れる電流量が小さくなることで、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが悪化する。
これに対して、この変形例の送信装置2aは、容量素子C3,C4が設けられていることにより、EN信号が有意値となって副出力バッファ回路32から電流信号が出力されるときの第3ノードN3および第4ノードN4それぞれの電位が安定するので、副出力バッファ回路32aに含まれるスイッチSW31,SW32,SW41及びSW42のうちオン状態にあるスイッチのドレイン・ソース間の電位差が安定的に維持され、副出力バッファ回路32から電流信号が出力される際のスルーレートが良好なものとなる。
1,1A,1a,2,2A,2a…送信装置、11,12…データ変換回路、20,20A…駆動回路、21…主駆動回路、22,22A…副駆動回路、31…主出力バッファ回路、32,32a…副出力バッファ回路。