JP5383074B2 - 塗材組成物 - Google Patents
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Description
a)下塗材 主として下地に対する主材の吸込み調整及び付着性を高める目的で使用するもの。
なお,上塗材には,基剤及び硬化剤を混合して使用するものがある。
b)主材 主として仕上がり面に立体的又は平たんな模様を形成する目的で使用するもの。
なお、主材には、基剤及び硬化剤、又は粉体及び混和液を混合して使用するものがある。
c)上塗材 仕上げ面の着色、光沢の付与、耐候性の向上、吸水防止などの目的で使用するもの。
なお.上塗材には、基剤及び硬化剤を混合して使用するものがある。
本発明は、上記 主材の性能を有し、上塗材を有しなくても、耐汚染性を有し、下地或いは下地間の動きに対してクラックを生じ難い耐久性塗膜となるエマルジョン系仕上げ塗材組成物である。
前記主材の役目として立体的又は平たんな模様を形成されるためには適度な粘性が必要であり、刷毛、鏝、ローラー等で容易に模様付けができ、壁、天井等の環境下形状を硬化するまで維持する必要があり、組成物としての安定性から、充填剤・骨材が必須な構成要素となる。反面、この充填剤・骨材の配合増は強度が維持できるものの伸び、耐久性では劣ることは一般的である。また、樹脂の汚染性の面では、架橋度が高い或いは硬い樹脂は汚染性が良く、柔軟性がある樹脂ほど汚染性が悪いのが一般である。これら相反する要因を本発明で解消することにある。
以下に本発明の概要を構成要素ごとに記す。
本発明の合成樹脂エマルジョンはコア・シェル構造を有することを特徴とする。コア・シェル重合体全体のガラス転移温度は本組成物では−10〜10℃が好ましい。このガラス転移温度(Tg)は使用するモノマー(i)のホモポリマーのガラス転移温度(Tgi)とモノマーの分率Xiとから以下の関係式で求められる。
1/Tg(コア・シェル重合体)=Σ(Xi/Tgi) Xi:モノマー(i)の分率 Tgi:モノマー(i)のTg、だたし この式の温度は絶対温度(K)
コア層のガラス転移温度は0℃以下が好ましい。シェル層のガラス転移温度は30〜70℃が好ましい。これらのガラス転移点も前記式に従う。コア層のガラス転移点で柔軟性の要素が確定され、全体のガラス転移点より、コア層・シェル層の比率も確定する。概略60重量%以上のコア比率にて、良好な弾性・耐久性が得られる。シェル層はガラス転移温度30〜70℃で、成膜性と耐汚染性が両立する。さらに汚染性においてはカルボキシル基を有するモノマーの含有率がコア層で5%以下であり、シェル層で5〜20重量%であるとさらに良好となる。前記条件で耐水性が低下せず、また、耐汚染性が良好となる。
配合モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主に、カルボキシル基を有するモノマー、その他のビニル基を有するモノマーで、構成され、重合時連鎖移動剤を用いて、塗材成膜適性、粘度、粘性等にあわせ適宜重合度を合わせる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)メタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸またはこれらジカルボン酸のモノエステル、マレイン酸モノメチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、ジカルボン酸の酸無水物、マレイン酸無水物などが挙げられる。
ビニル基を有するモノマーとしてはスチレン等が挙げられる。
また、合成樹脂エマルジョンの耐汚染性と耐水性を高めるため、シェル層の重合体成分に対して0.05重量%〜2重量%の架橋剤を反応させることができ、この範囲では架橋による耐汚染向上効果を有し、架橋し過ぎによる成膜性不良から耐水性を損なうこともない。
これらの条件を満たす市販製品として、ウルトラゾールD22(ガンツ化成(株)、商品名)が挙げられる。
前記 架橋剤として(1)重合性二重結合を2つ以上有する単量体、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレートの共重合体。(2)カルボン酸基と反応する架橋性化合物、例えば、カルボジイミド化合物。(3)分子中に少なくとも1個のアルデヒドまたはケトン基と、少なくとも1個の重合可能な不飽和二重結合とを含有するカルボニル基含有単量体例えばヒドラジン誘導体などを挙げることができる。
本発明では充填剤、骨材の配合が重要な役目を果たす。また、充填剤は体質顔料、顔料を含め、90μm以下のものとする。骨材は粒径100μmより大きく専ら仕上がり面に立体的又は平たんな模様を形成する役目を担い、中でも平均粒子径が100〜500μm程度のものが作業性、伸び物性、意匠性に優れ、形状は球形に近いものを使う事で耐汚染性に優れる。
本発明の低汚染を一層効果の高めるものに、親水化剤がある。塗材表面の親水性向上に合わせて、塗膜表面の静電気を帯電し難くする。建築仕上げ塗材組成物に配合する親水化剤は全固形分中0.5〜5.0重量%使用することが好ましく、この範囲であると十分な効果が得られ、塗膜の耐水性も劣ることがない。特に0.5〜2.0重量%の範囲にあるのが好ましい。親水化剤にはアセチレングリコール化合物、アセチレングリコールポリエチレンオキサイド化合物、ショ糖、果糖を含む糖化合物又はそれらとの界面活性剤との混合物から構成される。市販の製品として サーフィノール104シリーズ、420、440、465、SE(日信化学工業(株)、商品名)等がある。
これらの添加成分は塗材組成物の固形分換算で20重量%を上限として配合できる。
比較例1
実施例1の合成樹脂エマルジョンの代わりにヨドゾールAD199(日本NSC(株)商品名、非コアシェル構造、Tg−14℃、アクリルエステル系エマルジョン)とした以外同じに行い、比較例1とした。
H265×W150mmのフレキシブルボードに、JS−4101( アイカ工業(株)、商品名、液溶剤型塩化ゴム系シーラー)を塗布し、完全乾燥後(23℃、50% 1日静置)、下塗り材として実施例・比較例の塗材組成物を1.0kg/m2となるよう金コテで平滑に仕上げる。下塗り層が完全に乾燥した後(23℃、50% 1日静置)、上塗り材として下塗り層と同じ塗材組成物を2.0kg/m2となるよう金コテで平滑に仕上げた後、23℃、50%雰囲気下で3日乾燥させたものを試験体とする。試験体をJSTM J7601に準拠した屋外曝露台にて曝露をさせ、6ヶ月後の雨筋の付着度合いを下記5段階で評価した。
5:雨筋の付着がなく、また全体的な汚れの付着もみられない。
4:雨筋の付着が薄くあり、また全体的な汚染も僅かながら確認される。
3:雨筋の付着が薄くあり、全体的な汚染が見られる。
2:雨筋の付着が濃くあり、全体的な汚染が見られる。
1:雨筋の付着が濃くあり、全体的な汚染も濃く見られ部分的に塗膜表面が削れた状態となる。
150×170mmのフレキシブルボードを図1の様に突合せ、同様に塗装表面の4隅を養生(塗材組成物が付かない様に覆う)する。その後シーラーとして塩化ゴム系シーラーJS−410、(アイカ工業(株)、商品名)を塗布して乾燥した後、実施例・比較例の塗材組成物を下塗り材として1.0kg/m2コテ塗りで下塗り層を形成し、表面に前記塗材組成物を2.0kg/m2コテ塗りで平滑になるように仕上げ、20℃、湿度65%の雰囲気で10日静置したものを試験体とした。
上記で作成した試験体を島津サーボパルサ((株)島津製作所社、商品名、疲労試験装置)で下記表2に示すステップ順で、ステップごとに500サイクルの伸縮を繰り返しおこなった。ステップ終了後に塗膜のピンホール、亀裂の有無を確認し、無いものはそのステップに合格し、次に進むとし、最も高いステップ数をその塗材組成物の耐疲労性ステップ数とした。この耐疲労性は下地に発生したクラックの動きに対する塗膜の抵抗性を評価するものであり、従来湿式仕上げの下地として使用されているモルタルが経時でひび割れを発生させた際、塗膜表面上へひび割れが移行するまでの抵抗力を評するものである。
2 塗装部分
3 上塗り塗材組成物
4 下塗り塗材組成物
5 シーラー
6 基材
Claims (2)
- JIS A6909に規定される、上塗り材無しで耐汚染性を有し、主材の機能を有する合成樹脂エマルジョン系仕上げ塗材であり、合成樹脂エマルジョンの固形分に対して充填剤と骨材が250〜330重量%含有するエマルジョン系仕上げ塗材であって、合成樹脂エマルジョンがコア・シェル構造体を形成され、ガラス転移温度が−9℃であり、コア層のガラス転移温度が−15℃かつカルボキシル基を有するモノマーの含有率が5%以下であり、シェル層のガラス転移温度が50℃の範囲かつカルボキシル基を有するモノマーの含有率が5〜20重量%である、疲労試験でステップ7を超えることを特徴とするエマルジョン系仕上げ塗材組成物。
疲労試験は変位を0.1mm、0.15mm、0.2mmとし、それぞれの変位を20℃、60℃、−10℃で500回の伸縮を与えることを1ステップとし、前記ステップ7は0.2mmで、20℃までの伸縮履歴に亀裂なく、耐えるものとする。 - 親水化剤がエマルジョン系仕上げ塗材組成物の全固形分中に0.5〜2.0重量%含まれることを特徴とする請求項1記載のエマルジョン系仕上げ塗材組成物。
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