JP5382838B1 - 白内障簡易判定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で簡素な構成でありながら、安全に且つ専門知識を必要とすることなく白内障に関して判定を行うことができる判定システムを提供する。
【解決手段】コントラスト改善用レンズの着用前後におけるコントラスト視力の改善度合い、および/または、明環境において測定したコントラスト視力に対する暗環境において測定したコントラスト視力の悪化度合いに基づいて、白内障の可否を判定するための白内障簡易判定システムであり、コントラスト視力を計測するために用いるコントラスト視力表と、コントラスト視力の計測時に用い、コントラスト感度を向上させるためのコントラスト改善用レンズと、暗環境におけるコントラスト視力の計測時に眼球付近を斜め前方から照らすための局所照明とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、白内障であるかに関して簡易に判定を行うための判定システムに関するものであり、特に、眼鏡店においても実施可能な比較的安価で安全な白内障簡易判定システムに関する。
白内障は視覚障害の中でも加齢に伴って最も発症頻度が高い障害である。日本国内において白内障の患者数は、潜在的な患者も含めると4000万人とも推定されている。
このため、白内障を診断する数多くの方法が提案されている。白内障の原因は水晶体の白濁であり、この白濁を光学的に検知する手法が一般的である。例えば、眼球に光を投射し、眼底からの反射光で照明された瞳孔付近を観測することで、水晶体の白濁状態を検知するといった手法が用いられている。
また、上記の検査の際に生じる角膜による強い反射光の影響を軽減し、さらに精度の高い検査を可能とする眼科検査装置も提案されている。この装置においては、被検眼の眼底に光束を投影する光束投影手段と、眼底からの反射光を受光するための受光手段と、該受光手段からの信号により被検眼情報の測定を行う測定手段と、被検眼位置の検出及び被検眼の瞳孔領域を観察するための被検眼観察手段と、被検眼に対しこれらの光軸を移動し位置合わせするための可動台と、該可動台を動かすための可動台駆動手段と、前記検眼観察手段からの映像信号を表示するための表示手段とを有し、前記測定とは異なる位置から眼底に光束を投影するために前記可動台を自動的に移動し、眼底からの反射光により照明した被検眼の瞳孔領域を観察している(例えば、特許文献1)。
特開2003−199713
しかしながら、上記の検査装置においては、水晶体の白濁を正確に測定するために、複雑な光学系や撮像装置を必要とするため、装置コストは高額となり、装置を導入できる者は専門医等に限られていた。
また、眼底に直接光を当てるため、安全性等の観点から検査に習熟した医師等が使用することが必要であった。
ところで、白内障の初期段階においては、まぶしさを感じたり、コントラスト感度が低下するといった症状が表れるが、視力が低下するといった重度の症状はこの段階では顕著ではない。そのため、白内障の初期段階で、わざわざ医師の診断を受ける者は少なく、そのことが白内障の早期発見を難しくしていた。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、安価で簡易、且つ取扱いが容易な白内障を簡易に判定するための白内障簡易判定システムを提供するものである。
コントラスト改善用レンズの着用前後におけるコントラスト視力の改善度合い、および/または、明環境において測定したコントラスト視力に対する暗環境において測定したコントラスト視力の悪化度合いに基づいて、白内障の可否を判定するための本発明に係る白内障簡易判定システムは、コントラスト視力を計測するために用いるコントラスト視力表と、当該コントラスト視力の計測時に用い、コントラスト感度を向上させるための上記コントラスト改善用レンズと、暗環境におけるコントラスト視力の計測時に眼球付近を斜め前方から照らすための局所照明とを備えたことを特徴とする。
特に、上記コントラスト感度向上レンズは、短波長域の光の透過率を小さい遮光レンズと、ネッツペックコートを施したレンズとを含む複数のレンズ種からなることを特徴とする。
さらに、水晶体の収差を低減する非球面レンズとを含む複数のレンズ種からなることを特徴とする。
また、上記局所照明は、眼球の水晶体を照明し且つ水晶体を通過した光が直接に網膜に入射しない角度から照射される照明であることを特徴とする。
本発明に係る白内障簡易判定システムは上記のように構成されるため、安価なシステムであるとともに、その操作が容易で専門性が不要である。さらに、眼底に直接光を照射する必要が無いため、安全性が高く、専門的な眼科医以外の場所であってもこのシステムを設置し白内障の判定を行うことが可能である。
特に、このシステムは眼鏡店が顧客にとって最適なレンズを選定する際に行う視力等の測定と類似点が多く、眼鏡店に設置するのに最適なシステムである。
白内障の初期段階の場合、目に少し異常を感じる程度であり、日常生活に支障をきたすほどの重症ではないため、医師に診てもらうほどではないだろう、と考える人が多く、そのため、治療が遅れてしまう人も多い。そこで、より身近な眼鏡店等で白内障の簡易判定を受けることができれば、より早期の段階で白内障を発見し、早期の治療を受ける人が大幅に増加すると考えられる。
また、このようなシステムを設置することは、例えば、眼内レンズのインプラント後の矯正用眼鏡の注文を得ることができる点において、眼鏡店にとっても大きなメリットとなる。
特に、本発明に係る白内障簡易判定システムは、白内障の初期症状であるコントラスト感度の低下に着目したシステムであるため、白内障の初期段階から高い確率で判定することが可能であり、上記の目的に合致した特長を有している。
本発明の実施の形態に係る白内障簡易判定システムを用いた白内障の有無を判定する第一の手法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る白内障簡易判定システムにおいて用いるコントラスト視力表である。 本発明の実施の形態に係る白内障簡易判定システムを用いた白内障の有無を判定する第二の手法を説明するためのフローチャートである。
実施の形態.
本発明に係る白内障簡易判定システムの構成およびその使用方法等に関して、以下において、図面を用いて説明する。なお、以下の説明は本発明に関する良好な一例を開示するものであり、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る白内障簡易判定システムは、眼鏡店において用いられている近視等の屈折異常矯正のための視力等の測定を行うシステムと手法的には類似したものである。昨今の眼鏡店においては、顧客が覗き込む窓が設けられ、内部で視力表の個々の指標が、機械操作で切り換りかえることができる視力測定装置が広く用いられているが、そういった装置と同様の装置であっても良い。また、以前に広く用いられていた壁に視力表を貼り、その視力表に記載されている個々の指標を検査人が指定し、受診者がその指標を読む、あるいは指標が欠落した円である場合には、その欠落方向を答える、といったシステムであっても良い。さらに、視力表がアクリル等でできた透光板に印刷され、透光板の裏側から照明するタイプのものを使用しても良い。
本発明に係る白内障簡易判定システムを用いた白内障の有無を簡易判定する手法は、白内障のタイプに応じて2つの手法がある。まず、第一の手法(判定A)に関してフローチャートを用いて説明する。
まず、片目ずつ受診者の通常視力ESを測定する。
次に、片目ずつ受診者のコントラスト視力ESCを測定する。
これらの視力測定の際に用いるコントラスト視力表を図2に示す。
コントラスト視力表1は、高コントラストの指標が横方向に並んだ高コントラスト指標群2、低コントラストの指標が横方向に並んだ低コントラスト指標群3、縦列の各指標が視認できた際の受診者の視力を記載した視力値4、および縦列の各指標が左から何列目にあるかを示す列位置5から構成される。
高コントラスト指標群2には、右から左にいくにしたがって順次大きな指標が記載されている。そして、各指標はほぼ100%の高いコントラストで描かれている。
他方、低コントラスト指標群2も、右から左にいくにしたがって順次大きな指標が記載されている。同じ縦位置にある高コントラスト指標群2の指標と低コントラスト指標群3の指標は同じ大きさである。そして、低コントラスト指標群3の各指標は、約26%の低コントラストで描かれている。
本実施の形態においては、各指標は一部が欠落した円であるが、ひらがなやカタカナ等の文字であっても良い。また、昨今眼鏡店で用いらている視力測定装置を用いる場合には、これらの個々の指標が視力測定装置内で切り替えることができるようにすれば良い。
通常視力ESの測定には、高コントラスト指標群2を用いる。測定の仕方は、通常の視力測定と同様に、指示された指標のどの方向が欠落しているかを受診者が答え、正しく回答できた最も小さな指標から受診者の通常視力ESが得られる。通常視力ESの値としては、ここでは視力値4を用いずに、縦位置5を用いる。下記に述べるコントラスト視力ESCについも同様である。
なお、受診者が近視や乱視の場合には、それを矯正する眼鏡を着用して測定を行った方が良い。例えば、受診者が極度の近視の場合には、裸眼ではまったくどの指標も正しく視認できない場合があり、このような状況では、通常視力ESもコントラスト視力ESCも測定できないからである。
また、本判定においては、通常視力ESやコントラスト視力ESCの測定をする際には、部屋の照明はオフィス照明程度の比較的明るい照明下(以下、明環境下という)で行う。
コントラスト視力ESCの測定には、低コントラスト指標群3を用いる。測定の仕方は、上述した通常視力ESの測定方法と同様である。なお、低コントラストの薄い表記を視認するコントラスト視力ESCは、通常視力ESよりも悪くなるため、通常視力ESの測定で得られた視力に相当する大きさの指標と同じ縦位置の低コントラスト指標群3の指標から始めて、順次左側の大きな指標を受診者が正しく視認できるかを確認するのが、時間的に合理的である。
次に、通常視力ESとコントラスト視力ESCとを左右それぞれの眼について比較する。例えば、通常視力ESが12であり、コントラスト視力ESCが11であった場合、その差は1である。あるいは、通常視力ESが9であり、コントラスト視力ESCが5であった場合、その差は4である。この差の値、すなわち、ES−ESCの値を白内障の疑いがあるか否かの目安として用いる。
ES−ESCの値が、なぜ白内障の疑いがあるか否かの目安として用いることができるかについて説明する。白内障とは、加齢等の理由により水晶体が白濁することによって生じる視覚障害である。水晶体に入射した光はその白濁物質によって散乱される。この散乱光がコントラスト感度を低下させる。白内障において、視力の低下よりもコントラスト感度の低下が顕著であるのはこの理由によることが多い。ただし、白内障は白濁が生じる場所によって3つのタイプに分類できるが、そのタイプごとにコントラストが低減する主要因は異なる。この点に関しては後述する。
そして、この白内障の症状の特徴を勘案して、白内障の疑いがあるか否かについて大まかな判定が可能である。すなわち、白内障の人は、通常視力ESはあまり低下しないが、コントラスト視力ESCは大きく低下する。したがって、ES−ESCの値が大きい場合には、白内障の疑いがあると判断できるわけである。
視覚正常者の場合、ES−ESCの値は1あるいは2程度である。一方、白内障の人の場合、ES−ESCの値は3以上を示す場合が多い。したがって、ES−ESCの値が3以上の場合は、白内障の疑いがあるとみなし、次の判定ステップに進む。一方、ES−ESCの値が2以下の場合は、白内障の疑いは無いとみなして、判定を終了する。
なお、より慎重に判定を行う場合には、ES−ESCの値が2の場合であっても、白内障の疑いがあるとみなし、次の判定ステップに進むようにしても良い。
ここまで述べたように、コントラスト視力表1のみを用いて行うことができる極めて簡単な事前判定によって、白内障の疑いがある人と無い人とをスクリーニングする。そして、白内障の疑いがあるとされた人は、コントラスト改善用レンズを装着してコントラスト視力を測定する。
ここで、コントラスト改善用レンズとは、白内障の人だけではなく、視覚正常者に対しても見やすさを改善する効果があるレンズであり、本実施の形態では遮光レンズとネッツペックコートレンズを用いる。また、補助的に非球面レンズ等のその他のコントラスト改善効果を有するレンズを用いても良い。
遮光レンズは、短波長光の透過率を大きく低減する一種のカットオフレンズであり、まぶしさを低減する観点から一般に広く用いられているレンズである。まぶしさを低減することで、コントラスト感度の向上が期待できる。
ネッツペックコートレンズは、レンズ内面に赤外線吸収皮膜等からなる六角形状のドットが多数コーティングされたレンズである。いわば、無数の微小なピンホールが設けられたレンズである。この無数の微小なピンホールを通して見ることで光のにじみが軽減され、コントラスト感度が向上する。また、回折効果により、青白い光を低減する効果もある。
非球面レンズは水晶体が持つ収差を低減することで、コントラスト改善効果がある。
これらのコントラスト改善用レンズは、仮枠等を用いて受診者の眼前に装着する。受診者が近視等の場合は、近視等を矯正するレンズとコントラスト改善用レンズを2枚重ねて装着すれば良い。
まず、受診者に遮光レンズを装着し、コントラスト視力を測定する。次に、遮光レンズをネッツペックコートレンズに代えて、コントラスト視力を測定する。補助的に非球面レンズを用いる場合には、さらにネッツペックコートレンズを非球面レンズに代えて、コントラスト視力を測定する。このうち、最も良かったコントラスト視力を最良改善コントラスト視力ESCIと呼ぶことにする。そして、最良改善コントラスト視力ESCIとコントラスト視力ESCとを比較する。これらの値の差、すなわちESCI−ESCの値は、受診者にとって最も適切な種類のコントラスト改善用レンズによって改善したコントラスト視力を表す数値となる。
この数値は、視覚正常者の場合には1程度である。一方、白内障の人の場合には、視覚正常者の場合よりも大きな値になり、4や5といった値になることもある。
なぜ白内障の人の場合には、この値が正常な人よりも大きくなるのか、また、白内障の人によってもこの値に差が出るのか、という理由について、以下に説明する。
白内障は水晶体の濁る部分によって、次の3つのタイプに分けることができる。水晶体の周辺部が濁る「皮質白内障」、水晶体の中央が濁る「核白内障」、および水晶体の後ろ側の皮質が濁る「後嚢下白内障」である。
皮質白内障は加齢による症状として一般的であり、強いまぶしさを感じることが多い。
核白内障は物が赤茶けて見えたり、夜に物が見えにくくなるといった症状がみられる。また、片目で見た際には、影が付いたように物が2重に見えるといった症状もある。
後嚢下白内障は初期段階からまぶしさを感じる。
これら3つのタイプの白内障の人に対して、本判定を行った際に見られる傾向について以下に述べる。
まず、皮質白内障の人の場合には、まぶしさを感じることがコントラスト低下の原因であり、まぶしさは短波長光の散乱によるので、短波長光を強くカットする遮光レンズを装着した場合に、コントラスト視力が最も向上することが多い。視覚正常者であっても遮光レンズを装着することでコントラスト視力は改善するが、皮質白内障の人の場合の方が、上述の理由により大きくコントラスト視力は改善する。
ただし、皮質白内障の初期段階においては、水晶体の周囲のみしか白濁がないため、本判定においては、あまりコントラスト視力の改善が見られない場合もある。本判定においては、コントラスト視力の測定は明環境下で行うため、瞳は4mm程度まで閉じた状態になっている。そのため、白濁している水晶体の周囲には、ほとんど光が入射しない。すなわち、光が入射する水晶体の中央部に白濁がほとんどない場合には、そもそもコントラスト視力の低下が小さいことがある。
このように、本判定においては皮質白内障の初期段階の判定精度が悪い場合もあるので、他の判定方法が必要となる。この他の判定方法については後述する。
次に、核白内障の人の場合には、まぶしさはあまり感じないため、遮光レンズによるコントラスト視力の改善は顕著でない場合が多い。他方、ネッツペックコートレンズを着用した場合には、特に顕著なコントラスト視力の改善が得られる。核白内障は水晶体の中央部が白濁しているので、それが邪魔をしてコントラスト感度が低下する。この場合のコントラスト感度の低下は、ピンホール効果による改善度合いが顕著であり、そのため、ネッツペックコートレンズの着用により大きくコントラスト視力が改善する。例えば、物が2重に見えるといった症状は、ネッツペックコートレンズの着用により改善され、かなり鮮明に物が見えるようになるため、コントラスト視力が改善する。
また、核白内障の人の場合、水晶体の中心部である核が硬くなるという症状もあり、それが水晶体の収差を大きくするため、非球面レンズによってもコントラスト視力が大きく改善することがある。
最後に、後嚢下白内障の場合には、まぶしさを感じるとともに、後嚢の中心部に濁りを生じ、物が見えにくくなるので、遮光レンズでもネッツペックコートレンズでも、いずれを着用した場合にも大きなコントラスト視力の改善が得られる場合が多い。
このように、白内障のタイプによって最も良好なコントラスト視力が得られるレンズ種が異なり、また、改善度合いも異なる。
視覚正常者がコントラスト改善用レンズを着用した場合のコントラスト視力の改善度合い、すなわちESCI−ESCの値は1かせいぜい2程度であるので、この値が3以上である場合には、白内障と判定する。
そして、最も良好なコントラスト視力が得られたレンズ種によって、どのタイプの白内障であるを推定する。
例えば、遮光レンズが最適なレンズであった場合には皮質白内障の可能性が高い。
また、ネッツペックコートレンズで極めて大きな改善がある場合には、核白内障と推定する。さらに、非球面レンズを補助的に使用する場合には、ネッツペックコートレンズで極めて大きな改善があると同時に、非球面レンズでも大きな改善効果が確認できれば、より高い確率で核白内障と推定できる。
あるいは、遮光レンズやネッツペックコートレンズでかなり大きな改善が得られた場合には、後嚢下白内障の可能性が高いと推定できる。
これまで述べてきたように、この第一の手法である判定Aによって、白内障の当否だけではなく、白内障のタイプも推定することができる。ただし、皮質白内障の場合、特に初期段階の場合には、この判定Aでは明確に判断できないケースもある。そこで、第二の手法(判定B)も併用することで、この問題を補うことができる。
図3は、この第二の手法である判定Bについてのフローチャートである。
まず、この判定においては、部屋の照明を暗くし(暗環境下にし)、コントラスト視力表1のみを照明する。そしてコントラスト視力を測定する。ここで、得られたコントラスト視力を暗環境コントラスト視力(ESCD)と呼ぶことにする。
次に、受診者の測定を行う眼の斜め前方から、測定を行う眼に局所照明を当てる。ここで局所照明とは、ペンライトや小型の懐中電灯等と同様の照明である。眼に当てる角度としては、40度から50度が望ましい。この角度は、受診者の網膜に直接光が入らない角度であり、且つ水晶体にのみ光が当たる角度である。
このように、暗環境下で且つ受診者の眼を局所照明で照らしながら、コントラスト視力を測定する。ここで、得られたコントラスト視力をグレア暗環境コントラスト視力(ESCDG)と呼ぶことにする。この測定においては、局所照明の光が水晶体で散乱され網膜に入るため、コントラスト視力は低下する。この低下の度合い、すなわち、ESCD−ESCDGの値により白内障の当否を判定する。
この判定Bにおいて、暗環境下でコントラスト視力の測定を行う理由を説明する。暗環境下では、瞳は7mm程度まで大きく開く。そのため、水晶体の周辺にも光は入射する状態になる。したがい、水晶体の周囲のみしか白濁がない皮質白内障の初期段階の人であっても、まぶしさを感じることになる。ただし、暗環境であるのでまぶしさはあまり感じない。
そこで、まぶしさを与えるために局所照明を用いる。この際に、受診者の水晶体にのみ光が当たり、水晶体を通過した光が網膜には直接入らない角度から局所照明を当てているのは、瞳を大きく開いた状態に保つためである。そして、皮質白内障の人の場合には、水晶体の白濁部分によって局所照明の光が散乱されるため、著しくコントラスト視力が低下する。したがって、この低下の度合いであるESCD−ESCDGの値が大きい場合には白内障であるとの推定が可能となる。例えば、ESCD−ESCDGの値が3以上の場合には白内障であると判定する。
なお、2つの手法である判定Aと判定Bを行う順序については、どちらを先に行っても良い。あるいは、受診者の年齢から、どちらを先に行うかを判断することもできる。例えば、受診者が老齢である場合には、加齢による白内障である皮質白内障である可能性が高いため、判定Bを最初に行っても良い。
また、受診者に症状を尋ね、その症状からどちらを先に行うかを決めても良い。例えば、核白内障の場合には、暗くなると物が見えにくくなるといった典型的な症状がみられ、後嚢下白内障の症状では、逆に、昼はひどくまぶしく感じるため夜の方が見えやすいといったものがあるので、そういった症状に該当する場合には判定Aを先に行えば良い。
ただし、どちらかの判定だけで、明確にどのタイプの白内障であると判断できる場合もあるが、2つの判定を行い、それらの結果から総合的に判断した方が、正しい結論を得られる場合も多いため、両方の判定を常に行うこととしても良い。
以下において、本発明に係る白内障簡易判定システムの特長についてまとめる。
まず、従来の白内障診断方法等と大きく異なる点は、眼球の観察を行う必要が無いことである。本システムでは、白内障の諸症状、特にコントラスト感度が劣化するという点に着目し、その症状を積極的に利用して、白内障の判定を行っている。そのため、目の撮像装置やデータ解析装置が不要であり、システム構成が簡素になり、安価である。
また、本システムの使用方法は極めて簡単であり、本システムを用いて白内障の判定を行う際には、特別な専門知識や技術、あるいは習熟度は不要である。
さらに、眼底に直接光を照射するといったことは行わないため、安全に判定を行うことができる。
本システムは上記のような特長を有するため、医療機関に限らず、多くの場所に導入することが可能である。したがって、見え方等にわずかな異常を感じる程度の白内障の初期段階の人であり、医療機関に行くほどのことはないだろう、と考えている人に対しても、手軽に検査を受診できる環境を提供することができる。
特に、検査の場所としては眼鏡店が最も適切である。本システムを用いた判定手法は、眼鏡店で広く用いらている視力検査と同様の問診を行う方法であるため、眼鏡店に受け入れられやすい。また、現在、眼鏡店において広く用いらている視力検査装置にも本システムを組み込むことは容易であり、視力検査装置のオプションとして本システムを搭載することも可能である。
受診者の観点からは、眼鏡店に行くことは、医療機関に行くよりも極めて敷居が低く、待ち時間も短いことから受診しやすいため、早期に白内障であることを知る人が増え、白内障の早期治療を受ける人が増えることが期待できる。また、本システムの特徴の一つは、初期段階の白内障についても良好に判定できることであり、この点からも、早期治療を受ける人の増加が期待できる。
一方、眼鏡店のビジネスという観点からも、本システムの導入はメリットが大きい。初期段階の白内障であれば、眼鏡の使用でかなり見え方を改善できるため、眼鏡の売上増加が期待できる。また、手術が必要な重度の白内障の場合には、手術後に眼鏡が必要となるため、やはり売上改善が期待できる。
もちろん、眼科等の医療機関も、潜在的な白内障患者の掘り起こしになるため、眼鏡店と積極的にネットワークを構築して、ビジネスを進めることが考えられる。
1.コントラスト視力表
2.高コントラスト指標群
3.低コントラスト指標群
4.視力値
5.列位置

Claims (4)

  1. コントラスト改善用レンズの着用前後におけるコントラスト視力の差、および/または、暗環境において測定した局所照明照射の有無によるコントラスト視力の差に基づいて、白内障の可否を判定するための白内障簡易判定システムであって、
    コントラスト視力を計測するために用いるコントラスト視力表と、
    当該コントラスト視力の計測時に用い、コントラスト視力を向上させるための上記コントラスト改善用レンズと、
    暗環境におけるコントラスト視力の計測時に眼球付近を斜め前方から照らすための上記局所照明と、
    を備えた白内障簡易判定システム。
  2. 上記コントラスト改善用レンズは、
    短波長域の光の透過率が小さい遮光レンズと、
    ネッツペックコートを施したレンズと、
    を含む複数のレンズ種からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の白内障簡易判定システム。
  3. 上記コントラスト改善用レンズは、
    短波長域の光の透過率が小さい遮光レンズと、
    ネッツペックコートを施したレンズと、
    水晶体の収差を低減する非球面レンズと、
    を含む複数のレンズ種からなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の白内障簡易判定システム。
  4. 上記局所照明は、眼球の水晶体を照明し且つ水晶体を通過した光が直接に網膜に入射しない角度から照射する照明である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の白内障簡易判定システム。

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