JP2012183260A - カラー視力表 - Google Patents

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秀春 深作
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Abstract

【課題】実生活上の視機能を正しく測定することができる視力表を提供する。
【解決手段】背景21,31,41内に配置されている視力検査のための指標23,33,43が赤色、緑色および青色の3色の色相を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、従来からの白黒視力表による視機能の一部分の機能からの視力から、本来の人間の持つ、色覚全般を使った視機能検査表を提案して、本当の意味の視機能を測定できるカラー視力表に関する。
まず、人間の視機能について説明する。物からの光の電磁波を人間の眼が受ける。角膜、水晶体、硝子体を通って、網膜の視機能細胞に電磁波が到達する。この電磁波を受ける細胞として、1種類の桿細胞(Rod)と3種類の錐体細胞(Cone)とが存在する。桿細胞は、暗いところでの明暗の感度を持つ。錐体細胞は、明るいところの視機能を受け持つ。
実質的には上記3種類の錐体細胞が人間の視機能の主体となる。人間の感じる波長帯域の電磁波は可視光線と呼ばれて、約400ナノメータ(nm)から700ナノメータ(nm)の範囲にある。
錐体細胞のうち、短い波長に感受性を持つ錐体細胞をS錐体細胞もしくは青錐体細胞といい、中波長の感受性を持つ細胞をM錐体細胞もしくは緑錐体細胞といい、さらに長波長に感受性を持つ細胞をL錐体細胞もしくは赤錐体細胞と呼ぶ。この3種類の錐体細胞の光波長への感受性は一部の波長帯域でお互いに重なり合っている。
光電磁波(可視光線)により、感受性のある錐体細胞で、細胞内の蛋白が光刺激を受けて分解する。その際に電気を発生して電気信号となる。つまり光電磁波が網膜に到達すると、3種類の錐体細胞で電気信号に変換される。電気反応となった情報は3種類それぞれの電気反応の強さで、瞬時に電気が脳へ伝えられる。直接は視交叉後部の大脳の左右にある、外側膝状体(LGN,lateral geniculate nucleus)に伝えられる。このLGNにて、光刺激は三種類の反対色(補色)の組み合わせの要素に組み替えられる。つまり、緑と赤の組、黄と青の組、さらに白と黒の組に分けられる。そして、この補色の組でどちらがより刺激が強いかという情報に替えられる。
例えば橙色を見たとする。橙からの光が網膜に届く。網膜の3種類の錐体細胞で受けた光は錐体細胞からの電気信号となり、脳のLGNが受ける。LGN内では、三組の反対色の要素の反応に変えられる。まずは、緑と赤の組ならより赤が多く反応する。黄と青の組なら黄が(赤と同じくらいに)より多く反応する。白と黒の組ではより白が多く反応する。この反応要素を合わせると橙色となる。
この色の知覚は緑赤黄青白黒で総ての色を表現できるので、心理原色と呼ばれる。心理原色は一つの組の中で、一方が刺激されると他方は抑制される。つまり緑と赤の組では緑がかった赤などという色は無い。これにより、人間は、約1千万色を実際に識別できることになる。
ところで、従来の視力表として、白地に黒で、文字やランドルト環や絵文字を表したものが使われている。
従来の視力表は、一般的に、一部に切れ目が形成されたリング状のランドルト環等の図形や文字を配置したものであり、径が異なったランドルト環や大きさが異なった文字や図形を背景内に上下および左右方向に整列して配置してある。ランドルト環等は上述したように黒色となっており、この黒色のランドルト環等が上述したように白色の背景内に配置されている。視力検査に当たっては、たとえば、リングにおける切れ目の箇所が識別できなくなったランドルト環を視力の限界とし、このランドルト環の径に対応した視力を被検者の視力としている。
なお、従来の技術に関する文献としてたとえば特許文献1を掲げることができる。
特表2004−512077号公報
しかしながら、実際の街中や生活では、物や字に色が使われている。人間は白黒の世界に住んでいるわけではない。つまり、白地に黒の視力表は、視機能の一部分しか測定できない。
例えば、白内障の患者を診ると、彼らは白地の黒の視力表では良い視力を得ていても、薄い赤字やピンクの文字を良く判別できない。これは、銀行に行くと理解できる。引き出しや預金の記入用紙を見ると、黒文字の部分は良く見える。
しかし、重要な部分が薄い赤やピンクで書かれている。これが白内障患者は全く見えない。つまり、大切な部分を理解できないまま書類を書かなくてはならない。
また、白内障患者は紺色と黒色の区別ができない。白内障では水晶体が濃いオレンジ色となり、濃いオレンジ色の補色が紺色だからである。そして、白内障になった水晶体を光が通ると、紺色の波長は吸収され黒としか見えなくなるからである。白内障の患者は、靴下を紺と黒と左右違う色の靴下を履いたりする。紺色のズボンをずっと黒と思って履いたりする。濃い緑も黒く見えるので同様の誤りを冒す。
これらの現象を伴う実生活上の視機能を、白色の背景に黒色のランドルト環等の指標を配置した従来の視力表では、正しく測定することができないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、人の目の実生活上の視機能を正しく測定することができるカラー視力表を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、背景内に配置されている視力検査のための指標が色相を有しているカラー視力表である。
請求項2に記載の発明は、前記指標は赤色、緑色および青色の3色の色相を有し、この3色の色相の指標が前記背景内にそれぞれ配置された3つの組み合わせによって形成されている請求項1記載のカラー視力表である。
請求項3に記載の発明は、前記背景が前記指標の色相に対する補色となっていることを特徴とする請求項1または2記載のカラー視力表である。
請求項4に記載の発明は、グレー色の背景内に配置されている視力検査のための指標が、紫色、青色、緑色、黄色、橙色および赤色の6原色になっており、この6原色の色相の指標が前記背景内にそれぞれ配置された6つの組み合わせによって形成されているカラー視力表である。
請求項5に記載の発明は、グレー色の背景内に配置されている視力検査のための指標として、前記6原色のものに加えて、白色、黒色、桃色のものが使用されており、これらの9色の指標が前記背景内にそれぞれ配置された9つの組み合わせによって形成されている請求項4記載のカラー視力表である。
本発明によれば、人の目の実生活上の視機能を正しく測定することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るカラー視力表を示す図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るカラー視力表(視力検査表)は、背景内に配置されている視力検査のための指標(マーク;たとえばランドルト環)が色相を有している。この場合、前記指標は、たとえば、赤色、緑色および青色の3色の色相を有し、この3色の色相の指標が前記背景内にそれぞれ配置された3つの組み合わせによって形成されている。なお、上述した3色に代えてもしくは加えて他の色の指標を描いてあってもよい。たとえば、前記指標として、黄色や他の色相の指標を加えてもよい。また、前記背景は、たとえば、白色になっているが、前記指標の色相に対する補色となっていてもよいし、白色以外の他の色になっていてもよい。背景が補色になっている場合、前記補色が、うすくなっている(たとえば彩度が低く明度が高くなっている)ことが望ましい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る視力表(視力検査表セット)1を示している。視力表1は、第1の視力表(第1の視力検査部)2、第2の視力表(第2の視力検査部)3および第3の視力表(第3の視力検査部)4の3つの表(部位)の組み合わせによって形成されている。
第1の視力表2は、背景21と背景21内に設けられた複数の指標23とによって形成されている。同様にして、第2の視力表3は、背景31と背景31内に設けられた複数の指標33とによって形成されており、第3の視力表4は、背景41と背景41内に設けられた複数の指標43とによって形成されている。各視力表2,3,4の本体は、紙シートや印刷可能な樹脂シート等によって形成されている。
第1の視力表2の指標23が背景21内に配置されており、第1の視力表2の本体のうちで、指標23が配置されていない部位が、第1の視力表2における背景21になっている。同様にして、第2の視力表3の指標33が背景31内に配置されており、第2の視力表3の本体のうちで、指標33が配置されていない部位が、第2の視力表3における背景31になっており、第3の視力表4の本体のうちで、指標43が配置されていない部位が、第3の視力表4における背景41になっている。
第1の視力表2の指標23は、上下方向および左右方向に沿って整列されて配置されている。また、第1の視力表2では、指標23は上方側が大きく且つ線太となっており、下方に向かうにつれて小さく且つ線細となっている。例えば、第1の視力表2における最上段の指標23aが最も径が大きく且つ最も線が太くなっており、2段目の指標23bが次に径が大きく且つ線が太く、3段目の指標23cがその次に径が大きく且つ線が太くなっており、以下、下方に向かって順次、径が小さく且つ線細となるように形成されている。
第2の視力表3や第3の視力表4においても、第1の視力表2と同様にして、指標33,43が上下方向および左右方向に沿って整列されて配置されているとともに、指標33,43は上方側が大きく且つ線太となっており、下方に向かうにつれて小さく且つ線細となっている。例えば、最上段の指標33a,43aが最も径が大きく且つ最も線が太くなっており、2段目の指標33b,43bが次に径が大きく且つ線が太く、3段目の指標33c,43cがその次に径が大きく且つ線が太くなっており、以下、下方に向かって順次、径が小さく且つ線細となるように形成されている。
以上の大きさからなる指標23を白色の背景21内に配置してあることにより、第1の視力表2が、従来から使用されている一般の視力表のようになる。同様にして、第2の視力表3、第3の視力表4も従来から使用されている一般の視力表のようになる。
ところで、第1の視力表2の指標23と第2の視力表3の指標33と第3の視力表4の指標43とは、前述したように色相を有するものであり(有彩色で描かれており)、指標23,23,43が黒色ではなく、色味を帯びている。この場合、一つの視力表内の総ての指標は同一の色相となっている。
この色相はたとえばインキを背景21,31,41に対して印刷することによりあらわれている。図1に示すものでは、たとえば、第1の視力表2における総ての指標23の色相は赤色、第2の視力表3における総ての指標33の色相は緑色、第3の視力表4における総ての指標43の色相は青色になっている。また、それぞれの視力表2,3,4の指標23,33,43は、たとえば、総て同じ濃さの色相となっている(彩度と明度がお互いに等しくなっている)。
図1の視力表1を用いて被検者の眼の検査を行う場合を説明する。
まず、第1の視力表2,第2の視力表3および第3の視力表4を並べ、これらの視力表2,3,4と5mの距離で被検者が対峙して検査を行う。
そして、被検者に対し第1の視力表2により視力検査を行い、次に第2の視力表3により視力検査を行い、続けて第3の視力表4により視力検査を行う。第1の視力表2の視力検査により赤色に対する視力が「1.0」、第2の視力表3の視力検査により緑色に対する視力が「1.0」、第3の視力表4の視力検査により青色に対する視力が「1.0」の場合、被検者の錐体細胞は赤色、緑色および青色の全ての色に対する認識力が平均化しており、正常な眼と判断することができる。
これに対し、第1の視力表2の視力検査により赤色に対する視力が「1.0」、第2の視力表3の視力検査により緑色に対する視力が「1.0」、第3の視力表4の視力検査により青色に対する視力が「0.3」の場合には、被検者の錐体細胞(S錐体、M錐体、L錐体)のうちのS錐体の感度が低く(青色の認識力が弱く)、異常3色覚の一種である3型3色覚もしくは角膜の黄変や水晶体の黄変を疑うことができる。
また、前回の視力検査では、赤色、緑色、青色に対する視力が「1.0」で同じになっていたが、その後(たとえば数年後)に視力検査を行うことにより第1の視力表2の視力検査により赤色に対する視力が「1.0」、第2の視力表3の視力検査により緑色に対する視力が「1.0」、第3の視力表4の視力検査により青色に対する視力が「0.5」になった場合(時を経ることで視力が低下した場合)、角膜や水晶体の黄変を疑うことができる。なお、角膜や水晶体の黄変について検査する場合には、指標として黄色を使用した視力表を用いることが望ましい。
この第1の実施形態では、たとえば原色の赤色、緑色および青色(黄色を含む場合もある)の色相を有する指標23,33,43のそれぞれを用いて視力検査を行い、被検者の識別限界の指標を被検者の眼の錐体細胞の波長認識値(色相認識値)とする。すなわち、赤色、緑色、青色(前述しように黄色等の場合もある)の指標23,33,43の識別によってそれぞれの色に対する識別力を検知する。この色相の識別力の検知によって、眼の視機能を色の面から測定でき、3種類のコーン細胞(L錐体細胞、M錐体細胞、S錐体細胞)とロッド細胞(桿体細胞)の機能も測定できる。つまり、従来視機能の代表的な値として黒白の視力表のみが使われていた。このような従来の白黒の視力表では真の眼の機能、つまり真の視力は測れない。しかし、この実施形態では本質的な色の感覚を測定することで、真の視機能(実生活上の視機能)を測定できる。つまり、生理的な原色の感受性を測定することで眼の真の機能がわかる。
また、色相の識別力の検知によって、前述したように、色覚特性や角膜の黄色変色等の被検者の眼の疾患を発見することが可能となる。
なお、指標の色として、赤色、緑色、青色、黄色以外に数々の色味を使ってもよい。
すなわち、視機能を測定する目的で、様々な色のついた指標としてもよい。たとえば、色として原色と対比色で12色原色や、さらに彩度を落とした中間色を使い、網膜の視細胞である3種類の錐体細胞である、L錐体細胞(赤錐体ともいう)M錐体細胞(緑錐体細胞)S錐体細胞(青錐体細胞)の刺激閾値を間接的に測定できヘルムホルツの3原色理論の測定をしてもよい。そして、錐体(コーン)細胞からの電気刺激が外側膝状体の細胞に伝わり、対比関係の青−黄システム、赤−緑システム、白黒の明暗システムを、被験者が感じるようにし、外側膝状体にて明暗情報と赤みか緑みか、青みか黄味かかの判断がされてリングの対比4原色の現象がおきるようにしてもよい。
第1の実施形態においては、前述したように、それぞれの視力表2,3,4における背景21,31,41をその視力表2,3,4における指標23,33,43の色相に対する補色の色相とすることができる。例えば、指標23が赤色となっている第1の視力表2においては、その背景21を青緑色とし、指標33が緑色となっている第2の視力表3においては、その背景31を赤紫色とし、指標43が青色となっている第3の視力表4においては、その背景43を黄色とするものである。
このようにそれぞれの視力表2,3,4の背景21,31,41を、その視力表2,3,4の指標23,33,43の色相の補色とすることによりコントラストが明確となる。これにより、指標23,33,43を明瞭に識別することができ、指標23,33,43の各色相に対する識別値の相違が明確となり、色覚特性や白内障等の眼の疾患をさらに明確に判断することが可能となる。
なお、図1に示すものは、赤色、緑色、青色の3色の指標23,33,43を有した3つの視力表2,3,4を並行して用いているが、これに限らず、赤色、緑色、青色のいずれかの色相の指標を有した一の視力表としてもよい。この場合には、その色相に対する色覚特性を検査することができる。
ところで、上記説明では、各視力表2,3,4において指標23,33,43の色を変えているとともに、背景21,31,41を指標23,33,43の補色にして、指標23,33,43と背景21,31,41との間のコントラストを高めているが、逆に、指標と背景との間のコントラストが低い視力表を採用してもよい。
たとえば、第1の視力表2Aとして、背景21を白色にし指標23を黒色にしたことで、背景21と指標23との間のコントラストが高いものを採用し、第2の視力表3Aとして、背景31を明るい灰色とし、指標33として中位の灰色としたことで、背景31と指標33との間のコントラストが低いものを採用してもよい。
そして、第1の視力表2Aの視力検査による視力が「1.0」で、第2の視力表3Aの視力検査による視力が「0.5」であった場合には、たとえば、白内障による水晶体の白濁を疑うことができる。
なお、第1の視力表2Aでは背景21と指標23との間のコントラストが高く、第2の視力表3Aでは背景31と指標33との間のコントラストが低いが、第3の視力表4Aとして、背景41と指標43との間のコントラストが中くらいのものを採用してもよい。たとえば、背景41をうすい灰色とし指標43を中位の灰色としてもよい。
さらに、上記各視力表2A,3A,4Aでは、無彩色の明度のみによって、背景と指標との間のコントラストを変えているが、これに代えてもしくは加えて、有彩色の色相や彩度を変えることで、背景と指標との間のコントラストを変えてもよい。
たとえば、第1の視力表2Aにおいて、指標23を所定の色相の色(たとえば赤色)にし、背景21を上記所定の色相の色の捕色(たとえば緑色)にし、第2の視力表3Aにおいて、指標33を所定の色相の色(たとえば赤色)にし、背景31を上記所定の色相に近い色相の色(たとえば、赤紫もしくは黄赤、または、紫みの赤もしくは黄みの赤)にしてもよい。この場合、各背景21,31と各指標23,33の明度および彩度は、お互いがほぼ同じになっていることが望ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るカラー視力表では、第1の視力表〜第6の視力表までの6つの視力表が用いられている点が、図1で示す第1の実施形態に係るカラー視力表とは異なり、その他の部分は、図1で示す視力表とほぼ同様に構成されており、ほぼ同様に変形可能になっているものとする。
第2の実施形態に係るカラー視力表を構成している第1の視力表〜第6の視力表について説明する。第2の実施形態に係る各視力表では、背景がグレー色で同じ色になっている。
また、第1の視力表では指標の色が紫色(波長400nmの光を発する色;Violet)になっており、第2の視力表では指標の色が青色(波長455nmの光を発する色;Blue)になっており、第3の視力表では指標の色が緑色(波長510nmの光を発する色;Green)になっており、第4の視力表では指標の色が黄色(波長570nmの光を発する色;Yellow)になっており、第5の視力表では指標の色が橙色(波長590nmの光を発する色;Orange)になっており、第6の視力表では指標の色が赤色(波長650nmの光を発する色;Red)になっている。
したがって、第2の実施形態に係るカラー視力表では、視力検査のための指標が6原色になっており、この6原色の色相の指標がグレー色の背景内にそれぞれ配置された6つの組み合わせによって形成されていることになる。
なお、上述した指標の各色は可視光線の波長帯域である400nmから700nmを波長ごとに分けて人間が感じる原色を分類したものである。
ところで、上述した第1の視力表〜第6の視力表に、次に示す第7の視力表と第8の視力表と第9の視力表とを加えて、第2の実施形態に係るカラー視力表としてもよい。
第7の視力表〜第9の視力表の背景は、第1の視力表〜第6の視力表と同様にグレー色になっている。
第7の視力表では指標の色が白色になっており、第8の視力表では指標の色が黒色になっており、第9の視力表では指標の色が桃色(Pink)になっている。指標として白色と黒色と採用した理由は、白色と黒色も心理原色だからである。また、指標として桃色を採用した理由は、白内障では薄い赤のような淡い色の見えにくさが顕著であり、白内障の診断に有効だからである。
なお、第1の視力表〜第6の視力表に第7の視力表〜第9の視力表を加えた第2の実施形態に係る視力表では、視力検査のための指標が6原色のものに3色を加えたものになっており、これらの9色の指標が前記背景内にそれぞれ配置された9つの組み合わせによって形成されていることになる。
さらに、第2の実施形態に係るカラー視力表として、上述した第1の視力表〜第9の視力表に、第10の視力表を加えてもよい。第10の視力表は、白色の背景に黒色の指標を配置した従来の視力表である。
ここで、第2の実施形態に係るカラー視力表(たとえば、第1の視力表〜第10の視力表)を用いた視力検査に結果について説明する。
従来からの白地に黒の標準的視力表(第10の視力表)を使用して被検者全員の視力をはかり、また、第1の視力表〜第9の視力表(色視力表)を使用して上記被検者全員の視力をはかった。すなわち、計10種類の視力表で視力を測定した。特に、白内障手術前と白内障手術後の患者(被検者全員)の視機能を測定した。
この結果、白内障の患者では、カラー視力表(第1の視力表〜第9の視力表)の総てで、白黒の従来からの視力よりも視力が低下しているのが分かった。特に、桃色の指標では低下が著しかった。よく、眼科では、白地で黒の標準視力表で視力がまだ良いので、白内障手術は必要ないとされることが多い。しかし、実際は、患者は色視力表(カラー視力表)で判るように、実生活での見え方の困難さを自覚しているのである。この色視力表を使うことで実生活の視機能を把握できる。
また、白内障手術後に総ての色視力表の視力が劇的に良くなった。患者の喜びは白黒視力表のみでは理解できないが、見え方が難しかった青色や桃色の視機能が向上したことがわかれば、白内障手術後の患者の感覚が理解できる。
近年、老眼も治す、多焦点眼内レンズ移植術を世界的に多く施行されるようになった。しかし、多焦点レンズ移植での白内障手術後に、白黒の標準視力表ではとてもよい視力であるにもかかわらず、見えにくいと訴える患者がある。これについては医師側も理解できないでいた。
しかし、色視力表を使うと理解できる。従来の白黒視力表にくらべ、色視力表では視力が低く出る。白内障の症状が軽くても、老眼を治したいので多焦点レンズ手術を受けた患者は、手術前より色視力が低くなるおそれがある。
多焦点レンズは遠方と近方への、二つの焦点距離に光電磁波を2つに分ける。しかもプリズム効果を使うので約10%は機械的に光が減衰する。よって、ひとつ焦点の光量は、(100−10)÷2の計算で、45%になる。
つまり、光電磁波の電気刺激も45%になり、多くの要素に分ける実際の色の世界では光量が減って感度が下がるので、色視力が低下して問題となることがある。白黒では総ての要素が重なって強く見えていたのが、実際の色がある生活では見えにくいことはありうる。この実態を測定できるのは、上記実施形態に係る色視力表のみである。
もしも、白内障手術以前に色視力が落ちていれば、白内障手術後に多焦点レンズを入れても、色視力も向上するので不満は無い。しかし、軽い白内障で色視力が低下していないときは、多焦点レンズ移植後に色視力が低下して、不満を感じることもありうるので、充分術前に説明するか、もしくは白内障手術を後に延期することを考えることができる。
なお、今回の10枚の色視力表(第2の実施形態における第1〜第10の視力表)は指標をランドルト環から文字指標や絵文字など必要に応じて替えるので広くカバーをする。
また、今回の10枚の色視力表で基本的にカバーしているが、より適した色に変更したりさらに追加する必要もあるので、具体的な色や波長に限定するものではない。要は、人間の持つ3錐体細胞への光刺激とそこからの電気刺激を脳の外側膝状体細胞に伝わり、心理原色での反対色説による脳の色みの識別、およびその色の識別を他の脳の部位で理解する過程など、これらを新しい色視力表でより深く検査しようとしているのが本質的な意味合いである。
また、上記の実施形態において、指標として、上述したように、アルファベット、片仮名、ひらがな等の文字、数字、図形、絵柄等、視力検査で識別可能なものを適宜用いることができる。
さらに、第1の実施形態に係る第1の視力表2(2A)、第2の視力表3(3A)、第3の視力表4(4A)、第2の実施形態に係る第1の視力表〜第10の視力表として、紙シート、樹脂シート等を用い、これらのシート材料に印刷したものとしているが、液晶パネルやプラズマディスクレイ等の視覚表示装置(画像表示装置)を用いて背景や指標を表してもよい。また、ステンドグラスにように光が透過する材料を組み合わせて用い背景や指標を表してもよい。
なお、デザイン的に色を一部使った視力表はあるが、これらは色の意味も、色によって何を測定できるかの考察も全く無いし、理解もされていない。つまり、仮に赤の色が使われていても、偶然にデザイン上使われただけで、この実施形態に係るカラー視力表とは全く似て非なるものである。この実施形態に係るカラー視力表は、視細胞と脳の充分な考察と、視機能の本質的考察を通して、この本質的な視機能検査を行う目的で開発したものである。したがって、独自性を備えた今までに存在しないものである。
1 カラー視力表
2、2A 第1の視力表
3、3A 第2の視力表
4、4A 第3の視力表
21,31,41 背景
23,33,43 指標

Claims (5)

  1. 背景内に配置されている視力検査のための指標が色相を有していることを特徴とするカラー視力表。
  2. 前記指標は赤色、緑色および青色の3色の色相を有し、この3色の色相の指標が前記背景内にそれぞれ配置された3つの組み合わせによって形成されていることを特徴とする請求項1記載のカラー視力表。
  3. 前記背景が前記指標の色相に対する補色となっていることを特徴とする請求項1または2記載のカラー視力表。
  4. グレー色の背景内に配置されている視力検査のための指標が、紫色、青色、緑色、黄色、橙色および赤色の6原色になっており、この6原色の色相の指標が前記背景内にそれぞれ配置された6つの組み合わせによって形成されていることを特徴とするカラー視力表。
  5. グレー色の背景内に配置されている視力検査のための指標として、前記6原色のものに加えて、白色、黒色、桃色のものが使用されており、これらの9色の指標が前記背景内にそれぞれ配置された9つの組み合わせによって形成されていることを特徴とする請求項4記載のカラー視力表。
JP2011050122A 2011-03-08 2011-03-08 カラー視力表 Withdrawn JP2012183260A (ja)

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