JP5381558B2 - シリコン単結晶の引上げ方法 - Google Patents

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本発明は、CZ法(チョクラルスキー法)によりシリコン単結晶を引上げる方法に関する。更に詳しくは、るつぼに貯留されたシリコン融液に種結晶を浸漬して回転させながら、いわゆる grown-in 欠陥と呼ばれる、結晶に起因したパーティクル(Crystal Originated Particle、以下、COPという。)及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げる方法に関するものである。
近年、半導体集積回路を製造する工程において、結晶固化時に取り込まれる、grown-in欠陥と呼ばれるCOPや転位クラスタに起因する欠陥のデバイス特性への影響が挙げられている。COPは、結晶固化時に結晶に取り込まれる過剰な空孔(Vacancy)型の点欠陥の凝集体として形成され、鏡面研磨後のシリコンウェーハをアンモニアと過酸化水素の混合液で洗浄したときにウェーハ表面に出現する結晶に起因したピットである。このウェーハをパーティクルカウンタで測定すると、このピットも本来のパーティクルとともに光散乱欠陥として検出される。このCOPは電気的特性、例えば酸化膜の経時絶縁破壊特性(Time Dependent dielectric Breakdown、TDDB)、酸化膜耐圧特性(Time Zero Dielectric Breakdown、TZDB)等を劣化させる原因となる。またCOPがウェーハ表面に存在するとデバイスの配線工程において段差を生じ、断線の原因となり得る。そして素子分離部分においてもリーク等の原因となり、製品の歩留まりを低くする。転位クラスタは、過剰な格子間(Interstitial)型シリコン原子の凝集体として形成され、侵入型転位(Interstitial-type Large Dislocation)とも呼ばれたり、或いはこの欠陥を生じたシリコンウェーハをフッ酸を主成分とする選択エッチング液に浸漬するとピットを生じることから転位ピットとも呼ばれる。この転位クラスタも、電気的特性、例えばリーク特性、アイソレーション特性等を劣化させる原因となる。以上のことから、半導体集積回路を製造するために用いられるシリコンウェーハからCOP及び転位クラスタを減少させることが必要となっている。
上記COP及び転位クラスタを形成させない無欠陥のシリコン単結晶を引上げる方法として、インタースチシャル固まりを防止することができるように十分に高い引上げ速度プロファイルであって、ベーカンシー固まりをインゴットの軸方向に沿ってベーカンシー豊富領域内に制限させることができるように十分に低い引上げ速度プロファイルで、ホットゾーン炉内のシリコン融液からインゴットを軸方向に引上げる工程を含むシリコンインゴットの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このシリコンインゴットの製造方法では、引上げ工程に先行して、インゴットとシリコン融液との接触面でベーカンシー固まりを防止するために維持されなければならない、シリコン融液表面での温度勾配Gに対するインゴットの引上げ速度vの第1臨界比(v/G)1を決定する工程と、インゴットとシリコン融液との接触面でベーカンシー固まりをインゴットの中央にあるベーカンシー豊富領域内に制限するために超えない、シリコン融液表面での温度勾配Gに対するインゴットの引上げ速度vの第2臨界比(v/G)2を決定する工程と、インゴットをシリコン融液から引上げるときにシリコン融液表面での温度勾配Gに対するインゴットの引上げ速度vの比v/Gが上記第1臨界比(v/G)1以上かつ第2臨界比(v/G)2以下に維持される引上げ速度プロファイルを決定する工程とが遂行される。また引上げ工程の後に、引上げられたインゴットを複数のセミ−パーフェクトウェーハにスライスする工程が遂行される。
このスライスされたウェーハは、その中央に形成されたベーカンシー豊富領域と、ウェーハ周縁とベーカンシー豊富領域の周縁との間に形成された無欠陥領域とを有する。即ち、上記決定された引上げ速度プロファイルに基づいて、実際に所定のホットゾーン内でインゴットをシリコン融液から引上げた後に、この引上げられたインゴットを軸に直交する方向にスライスしてシリコンウェーハを作製することにより、その中央にベーカンシー豊富領域が形成されかつウェーハ周縁とベーカンシー豊富領域周縁との間に無欠陥領域が形成されたセミ−パーフェクトのシリコンウェーハが得られる。
特開平11−1393号公報(請求項1、請求項3、段落[0057]、段落[0066]、図2、図3)
しかし、上記従来の特許文献1に示されたシリコンインゴットの製造方法では、上記決定された引上げ速度プロファイルに基づいて、実際に所定のホットゾーン内でインゴットをシリコン融液から引上げると、第1臨界比(v/G)1と第2臨界比(v/G)2との差が比較的大きいため、シリコン単結晶の引上げ方向全域にわたって欠陥の少ないシリコン単結晶を引上げることができても、その欠陥のバラツキが比較的大きくなる問題点があった。
本発明の目的は、引上げ方向全域にわたって欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができる、シリコン単結晶の引上げ方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、安定した品質を保ちつつCOP及び転位クラスタの無いシリコン単結晶を順次引上げることができる、シリコン単結晶の引上げ方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、チャンバに収容されたるつぼにシリコン融液を貯留し、このシリコン融液に種結晶を浸漬して回転させながらCOP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げる方法において、COP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げるための上限引上げ速度及び下限引上げ速度をそれぞれvA及びvBとし、COP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げるための引上げ速度の速度マージンを(vA−vB)とするとき、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に速度マージンの中央値(vA+vB)/2を目標引上げ速度として実際の引上げ速度をフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げ、シリコン単結晶内で空孔が過剰な領域であってCOPが発生する領域を[V]領域とし、シリコン単結晶内で格子間シリコンが過剰な領域であって転位クラスタが発生する領域を[I]領域とし、[V]領域に隣接しOSF核を含みかつ熱酸化によりOSFが発生する領域を[OSF]領域とし、[OSF]領域に隣接しCOP及び転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い領域を[P V ]領域とし、[P V ]領域に隣接しCOP及び転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施しても酸素析出物の発生し難い領域を[P I ]領域とし、[P I ]領域と[I]領域との間に位置し酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物がはき出されて顕在化する領域を[I−P I ]領域とするとき、[OSF]領域の発生時にこの[OSF]領域の直径D OSF を測定し、[P V ]領域の発生時にこの[P V ]領域の直径D PV を測定し、[P I ]領域の発生時にこの[P I ]領域の直径D PI を測定し、[I−P I ]領域の発生時にこの[I−P I ]領域の直径D I-PI を測定し、直径D OSF 、D PV 、D PI 及びD I-PI のうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、この引上げ速度をシリコン単結晶の引上げ条件にフィードバックすることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法である。
本発明の第2の観点は、チャンバに収容されたるつぼにシリコン融液を貯留し、このシリコン融液に種結晶を浸漬して回転させながらCOP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げる方法において、シリコン単結晶内で空孔が過剰な領域であってCOPが発生する領域を[V]領域とし、シリコン単結晶内で格子間シリコンが過剰な領域であって転位クラスタが発生する領域を[I]領域とし、[V]領域に隣接しOSF核を含みかつ熱酸化によりOSFが発生する領域を[OSF]領域とし、[OSF]領域に隣接しCOP及び転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い領域を[PV]領域とし、[PV]領域に隣接しCOP及び転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施しても酸素析出物の発生し難い領域を[PI]領域とし、[PI]領域と[I]領域との間に位置し酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物がはき出されて顕在化する領域を[I−PI]領域とするとき、[OSF]領域の発生時にこの[OSF]領域の直径DOSFを測定し、[PV]領域の発生時にこの[PV]領域の直径DPVを測定し、[PI]領域の発生時にこの[PI]領域の直径DPIを測定し、[I−PI]領域の発生時にこの[I−PI]領域の直径DI-PIを測定し、直径DOSF、DPV、DPI及びDI-PIのうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、全ての領域が[PV]領域及び[PI]領域からなる引上げ速度を目標引上げ速度に設定し、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に実際の引上げ速度を目標引上げ速度となるようにフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法である。
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に[PI]領域が[PV]領域及び[PI]領域の合計領域に対して50%以上となるように目標引上げ速度が設定されることを特徴とする。
本発明の第1の観点のシリコン単結晶の引上げ方法では、シリコン単結晶の引上げ時に、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に速度マージンの中央値(vA+vB)/2を目標引上げ速度として実際の引上げ速度をフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げるので、引上げ方向全域にわたって、欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができる。
また本発明の第1の観点のシリコン単結晶の引上げ方法では、シリコン単結晶の引上げ時に、発生し得る全ての欠陥領域の発生径をシリコン単結晶の引上げ速度に換算して、この引上げ速度をフィードバックするので、COP及び転位クラスタが無い複数本のシリコン単結晶を安定した歩留まりで順次引上げることができる。換言すれば、シリコン単結晶の引上げ時に、各欠陥領域の発生径に対して、シリコン単結晶の引上げ速度を最適な時期に細かく調整することにより、順次引上げられるシリコン単結晶のバッチ間の品質を安定させることができ、量産されるシリコン単結晶の歩留まりを向上できる。
本発明の第2の観点のシリコン単結晶の引上げ方法では、全ての領域が空孔型点欠陥が優勢な[PV]領域及び格子間型シリコンが優勢な[PI]領域からなる引上げ速度を目標引上げ速度に設定し、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に実際の引上げ速度を目標引上げ速度となるようにフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げるので、酸素析出評価熱処理を施したときに発生する[OSF]領域や、酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物がはき出されて顕在化する[I−PI]領域を含まず、引上げ方向全域にわたって、より欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができるとともに、上記と同様に順次引上げられるシリコン単結晶のバッチ間の品質を安定させることができ、量産されるシリコン単結晶の歩留まりを向上できる。
本発明の第3の観点のシリコン単結晶の引上げ方法では、[PI]領域が[PV]領域及び[PI]領域の合計領域に対して50%以上となるように目標引上げ速度を設定したので、酸素析出評価熱処理を施しても酸素析出物の発生し難い[PI]領域が酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い[PV]領域と同等かそれ以上となる。この結果、引上げ方向全域にわたって、更に欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができる。
本発明実施形態のシリコン単結晶の引上げ方法に用いられる装置の縦断面構成図である。 速度変量試験後に縦割りにしたシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図である。 図2の(1)〜(7)の位置でスライスしたシリコンウェーハの点欠陥分布を示す図である。 速度変量試験時の引上げ速度の変化を示す図である。 (a)は速度変量試験後にシリコン単結晶を縦割りにしている状態を示す斜視図であり、(b)は縦割りにして得られたシリコンウェーハを示す斜視図である。 第1の実施の形態及び実施例1を示す図であり、(a)は1本の量産用のシリコン単結晶を引上げるときの目標引上げ速度及び実際の引上げ速度の変化を示す図であり、(b)は速度変量試験時の引上げ速度の変化を示す図であり、(c)は速度変量試験後に縦割りにしたシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図である。 第1実施形態及び実施例1の方法でシリコン単結晶を引上げたときの前半の動作を示すフローチャート図である。 第1実施形態及び実施例1の方法でシリコン単結晶を引上げたときの後半の動作を示すフローチャート図である。 図8の『※1』から『※2』までの具体的な動作の前半部分を示すフローチャート図である。 図8の『※1』から『※2』までの具体的な動作の後半部分を示すフローチャート図である。 本発明第2実施形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図2に対応する図である。 図11の(1)〜(6)の位置でスライスしたシリコンウェーハの点欠陥分布を示す図である。 本発明第3実施形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図2に対応する図である。 本発明第4実施形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図2に対応する図である。 本発明第5実施形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図2に対応する図である。 本発明第6実施形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布を示す図2に対応する図である。 実施例1を示す図であり、(a)は実際の引上げ速度で引上げたときに輪切りにしたウェーハの欠陥分布を示す図であり、(b)は目標引上げ速度で引上げたときに輪切りにしたウェーハの欠陥分布を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、シリコン単結晶11の引上げ装置は、内部を真空可能に構成されたメインチャンバ12と、このチャンバ12内の中央に設けられたるつぼ13とを備える。メインチャンバ12は円筒状の真空容器である。またるつぼ13は、石英により形成されシリコン融液15が貯留される有底円筒状の内層容器13aと、黒鉛により形成され上記内層容器13aの外側に嵌合された有底円筒状の外層容器13bとからなる。外層容器13bの底部にはシャフト14の上端が接続され、このシャフト14の下端にはシャフト14を介してるつぼ13を回転させかつ昇降させるるつぼ駆動手段16が設けられる。更にるつぼ13の外周面は円筒状のヒータ17によりるつぼ13の外周面から所定の間隔をあけて包囲され、このヒータ17の外周面は円筒状の保温筒18によりヒータ17の外周面から所定の間隔をあけて包囲される。
メインチャンバ12の上端には、内部が連通するようにメインチャンバ12より小径の円筒状のプルチャンバ21が接続される。このプルチャンバ21の上端には引上げ回転手段22が設けられる。この引上げ回転手段22は、下端にシードチャック23が取付けられたワイヤからなる引上げ軸24を昇降させるとともに、この引上げ軸24をその軸線を中心に回転させるように構成される。また上記シードチャック23には種結晶25が着脱可能に装着される。この種結晶25の下端をシリコン融液15中に浸漬した後、種結晶25を引上げ回転手段22により回転させかつ引上げるとともに、るつぼ13をるつぼ駆動手段16により回転させかつ上昇させることにより、種結晶25の下端からシリコン単結晶11を引上げて引上げるように構成される。更にシリコン融液15には水平磁場26を印加しながらシリコン単結晶11を引上げるように構成される。この水平磁場26は、同一のコイル直径を有する第1及び第2コイル31,32を、るつぼ13の外周面から水平方向に所定の間隔をあけた外側方に、るつぼ13を中心として互いに対向するように配設し、これらのコイル31,32にそれぞれ同一向きの電流を流すことにより発生する。
メインチャンバ12内にはアルゴンガス等の不活性ガスが流通される。プルチャンバ21の側壁にはガス供給パイプ27の一端が接続され、このガス供給パイプ27の他端は不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続される。またメインチャンバ12の下壁にはガス排出パイプ28の一端が接続され、このガス排出パイプ28の他端は真空ポンプ29の吸入口に接続される。タンク内の不活性ガスは、ガス供給パイプ27を通ってプルチャンバ21内に導入され、メインチャンバ12内を通った後、ガス排出パイプ28を通ってメインチャンバ12から排出されるように構成される。なお、ガス供給パイプ27及びガス排出パイプ28にはこれらのパイプを流れる不活性ガスの流量を調整する入口側流量調整弁33及び出口側流量調整弁34がそれぞれ設けられる。
またメインチャンバ12内には、シリコン単結晶11外周面へのヒータ17の輻射熱の照射を遮るとともに、上記不活性ガスを整流するための熱遮蔽体36が設けられる。この熱遮蔽体36は、下方に向うに従って直径が次第に小さくなりかつシリコン融液15から引上げられるシリコン単結晶11の外周面をこの外周面から所定の間隔をあけて包囲する円錐台状の筒体36aと、この筒体36aの上縁に連設され外方に略水平方向に張り出すフランジ部36bとを有する。熱遮蔽体36は、フランジ部36bを保温筒18上にリング板36cを介して載置することにより、筒体36aの下縁がシリコン融液15表面から所定のギャップをあけて上方に位置するようにメインチャンバ12内に固定される。
更にシリコン単結晶11の引上げ中において固液界面19近傍のシリコン単結晶11の直径は直径検出手段(図示せず)により所定時間毎に検出される。この直径検出手段は、シリコン単結晶11の全体の直径を撮影する2次元CCDカメラ(図示せず)と、この2次元CCDカメラの撮影した画像を処理する画像処理手段(図示せず)とを有する。2次元CCDカメラの検出出力は画像処理手段の制御入力に接続され、画像処理手段の処理出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続される。またコントローラの制御出力はるつぼ駆動手段16、ヒータ17、引上げ回転手段22、第1コイル31、第2コイル32、真空ポンプ29、入口側流量調整弁33及び出口側流量調整弁34に接続される。
一方、上記引上げ装置を用いてCOP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶11を製造するには、シリコン単結晶11の引上げ速度をvとし、シリコン融液15とシリコン単結晶11との固液界面19近傍における引上げ方向の温度勾配をGとするとき、v/Gによってシリコン単結晶11中の点欠陥の種類及び濃度等が決まる。このv/Gとシリコン単結晶11中の点欠陥分布との関係は、図2に示すように、v/Gが大きいとき、即ち引上げ速度vが大きいときには、空孔が過剰な領域であってCOPが発生する領域([V]領域)が形成される。そしてv/Gの低下に伴い、[V]領域が消滅するv/Gの臨界値以下では、[V]領域に隣接しOSF核を含みかつ熱酸化によりOSFが発生する領域([OSF]領域)が形成される。更にv/Gが低下すると、空孔の濃度と格子間シリコンの濃度とのバランスによって決まる2つの無欠陥領域、即ちCOP及び転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い領域([PV]領域)と、COP及び転位クラスタが存在せず酸素析出評価熱処理を施しても酸素析出物の発生し難い領域([PI]領域)とが形成される。上記[PV]領域は[OSF]領域に隣接し、[PI]領域は[PV]領域に隣接する。v/Gが低すぎると、格子間シリコンが過剰な領域であって転位クラスタが発生する領域([I]領域)が形成される。また[PI]領域と[I]領域との境界には、酸素析出評価熱処理を施したときに、酸素析出物がはき出されて顕在化する領域([I−PI]領域)が形成される。この[I−PI]領域は本来[PI]領域の一部であるけれども、本明細書では[PI]領域と[I−PI]領域とはそれぞれ別の領域として説明している。
なお、酸素析出評価熱処理は、速度変量試験を行って引上げられたシリコン単結晶を縦割りにし、この縦割りにしたシリコン単結晶に施される熱処理である。具体的には、速度変量試験は、図1に示す引上げ装置を用いて、シリコン融液からシリコン単結晶を引上げるときに、シリコン単結晶の引上げ速度を図4に示すように次第に速くした後に次第に遅くする操作を繰返して、大きくジグザグに変化させる試験である。また酸素析出評価熱処理は、縦割りにしたシリコンウェーハ(図5(a)及び(b))を、不活性ガス雰囲気中又は酸素ガス雰囲気中で600〜1200℃の温度に5〜25時間保持する熱処理である。更に[V]領域、[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域、[I−PI]領域及び[I]領域は、一般的に知られているミラーエッチング法、SC−1洗浄法、選択エッチング法、酸化熱処理法、銅デコレーション法などを組合せることによりそれぞれ特定できる。具体的には、[V]領域は、縦割りにしたシリコンウェーハ(図5(a)及び(b))及び輪切りにスライスしたシリコンウェーハ(図3)に対して、ミラーエッチング、SC−1洗浄及び選択エッチングをこの順に行った後に、集光灯を照射して目視又は顕微鏡により観察することにより検出できる。[OSF]領域は、縦割りにしたシリコンウェーハ(図5(a)及び(b))及び輪切りにスライスしたシリコンウェーハ(図3)に対して、ミラーエッチング、酸化熱処理及び選択エッチングをこの順に行った後に、目視によりパターンを検出できる。[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域は、縦割りにしたシリコンウェーハ(図5(a)及び(b))及び輪切りにスライスしたシリコンウェーハ(図3)に対して、ミラーエッチング、酸化熱処理、銅デコレーション及び選択エッチングをこの順に行った後に、目視によりパターンを検出できる。[I]領域は、縦割りにしたシリコンウェーハ(図5(a)及び(b))及び輪切りにスライスしたシリコンウェーハ(図3)に対して、ミラーエッチング、銅デコレーション及び選択エッチングをこの順に行った後に、目視によりパターンを検出できる。
ここで、ミラーエッチング法とは、フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)と純水(H2O)との混合液にウェーハを浸漬して鏡面エッチングする方法である。この混合液は、例えば、質量比で、HF:HNO3=1:5の割合に調製される。SC−1洗浄法とは、アンモニア水(NH4OH)と過酸化水素(H22)と純水(H2O)との混合液(SC−1洗浄液)にウェーハを洗浄する方法である。このSC−1洗浄液は、例えば、質量比で、NH4OH:H22:H2O=1:1:14の割合に調製される。選択エッチング法とは、セコ液、混酸液等にウェーハを浸漬することにより、ニッケル等の汚染金属に起因する欠陥が存在する[PI]領域や[OSF]領域で欠陥を顕在化させる方法である。即ち、[PI]領域はシャローピットの顕在化により白濁化し、[OSF]領域は集光灯下でOSFの存在とその領域を確認することができる。上記セコ液は、例えば、質量比で、HF:K2Cr27(0.15モル/リットル)=2:1の割合で調製される。また上記混酸液は、例えば、質量比で、HF:CH3COOH=1:4の割合で調製される。酸化熱処理法とは、ウェーハを酸化性雰囲気中(例えば、酸素ガス100%の雰囲気中)で600〜1200℃に5〜25時間保持することにより、拡散した金属に起因する[PI]領域で欠陥を析出させたり、或いは集光灯下でOSFの存在とその領域を確認する方法である。銅デコレーション法とは、ウェーハの表面に銅を付着させ、このウェーハを加熱してウェーハ内部に銅を拡散させた後に、このウェーハを急冷して、銅をウェーハ表面及び成長時導入欠陥に析出させ、更にウェーハ表面に析出した銅化合物を除去して各種欠陥領域のみを顕在化する方法である。
このように構成された引上げ装置を用いてシリコン単結晶を引上げる方法を図7〜図10のフローチャート図に基づいて説明する。先ず速度変量試験時のシリコン単結晶の引上げ速度の変化を示す図4と、縦割りにしたシリコン単結晶内の欠陥分布を示す図6(c)から、[V]領域が消滅する速度(上限引上げ速度)vAと、[I]領域が形成される速度(下限引上げ速度)vBとのマージン幅(vA−vB)を計測する(図2及び図6(c))。このマージン幅内の速度でシリコン単結晶を引上げることにより、COP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶、即ち[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域からなる群より選ばれた1種又は2種以上の領域で構成される単結晶を育成できる。そして、上記速度マージン幅の中央値(vA+vB)/2を目標引上げ速度として算出することにより、シリコン単結晶の引上げ方向全域にわたって結晶欠陥の少ないシリコン単結晶を育成できる。
次いで[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域のシリコン単結晶内での各引上げ速度の分割速度マージンをそれぞれ計測する。具体的には、[OSF]領域の分割速度マージンは、図6(c)に示すように、[V]領域の最下端と[OSF]領域の最下端との速度差『a』であり、[PV]領域の分割速度マージンは、図6(c)に示すように、[OSF]領域の最下端と[PV]領域の中央最下端との速度差『b』である。また[PI]領域の分割速度マージンは、図6(c)に示すように、[PV]領域の中央最下端と[I−PI]領域の最上端との速度差『c』であり、[I−PI]領域の分割速度マージンは、図6(c)に示すように、[I−PI]領域の最上端と[I]領域の最上端との速度差『d』である。次に上記[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域の各分割速度マージンと、[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域の各発生直径とに基づいて、各領域の発生直径1mmの変化に相当する速度量(引上げ速度の変化量)を算出する。更に縦割りにしたシリコン単結晶の各部位における速度マージンの中央値の点を結んで、図6(a)の実線で示すように、目標引上げ速度を設定する。これらのデータはコントローラに設けられたメモリ(図示せず)にマップとして記憶される。なお、図6(c)は各分割速度マージンを説明し易くするために図2を縦方向に引き延ばした図である。
実際の引上げ速度を目標引上げ速度に一致させるように、1本目の量産用のシリコン単結晶を引上げる。実際には複数台の同一の引上げ装置を用いて同一条件でシリコン単結晶をそれぞれ引上げる。この1本目の量産用のシリコン単結晶の引上げが完了すると、このシリコン単結晶を輪切り形状でサンプリングしてシリコン単結晶内の欠陥分布を調べ、この欠陥分布情報に基づいて2本目の量産用のシリコン単結晶を引上げる。この2本目の量産用のシリコン単結晶の引上げ中に、1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布が分かれば、この1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布データを2本目の量産用のシリコン単結晶の引上げに反映させる。具体的には、1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布において、[V]領域が発生していれば、[V]領域の直径を測定し、この直径を引上げ速度に換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。また1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布において、[I]領域が発生していれば、[I]領域の直径を測定し、この直径を引上げ速度に換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。
一方、1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布において、[V]領域及び[I]領域のいずれも発生していない場合には、実際の引上げ速度が目標引上げ速度と同一であるか否かを調べる。実際の引上げ速度が目標引上げ速度と同一でなく、[OSF]領域が発生した場合には、[OSF]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算するとともに、[PV]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算し、[PI]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算する。そしてこれらの分割速度マージンに基づいて実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。
実際の引上げ速度が目標引上げ速度と同一であり、[OSF]領域が発生した場合には、[OSF]領域の直径の実測値と目標値が同一か否かを調べる。[OSF]領域の直径の実測値と目標値が同一でない場合には、[OSF]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。[OSF]領域の直径の実測値と目標値が同一である場合には、[OSF]領域の直径の実測値と目標値の差に基づく分割速度マージンを速度変量試験時に算出された値にした後に、[PV]領域の直径の実測値と目標値が同一か否かを調べる。[PV]領域の直径の実測値と目標値が同一でない場合には、[PV]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。[PV]領域の直径の実測値と目標値が同一である場合には、[PV]領域の直径の実測値と目標値の差に基づく分割速度マージンを速度変量試験時に算出された値にした後に、[PI]領域の直径の実測値と目標値が同一か否かを調べる。[PI]領域の直径の実測値と目標値が同一でない場合には、[PI]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。[PI]領域の直径の実測値と目標値が同一である場合には、[PI]領域の直径の実測値と目標値の差に基づく分割速度マージンを速度変量試験時に算出された値にする。そして[I−PI]領域が発生した場合には、[I−PI]領域の直径の実測値と目標値が同一か否かを調べる。[I−PI]領域の直径の実測値と目標値が同一でない場合には、[I−PI]領域の直径の実測値と目標値との差を分割速度マージンに換算して、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。[I−PI]領域の直径の実測値と目標値が同一である場合には、[I−PI]領域の直径の実測値と目標値の差に基づく分割速度マージンを速度変量試験時に算出された値にして、実際のシリコン単結晶の引上げ速度を調整する。
2本目の量産用のシリコン単結晶の引上げが完了すると、このシリコン単結晶を輪切り形状でサンプリングしてシリコン単結晶内の欠陥分布を調べ、この欠陥分布情報に基づいて3本目の量産用のシリコン単結晶を引上げる。この3本目の量産用のシリコン単結晶の引上げ中に、2本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布が分かれば、この2本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布データを3本目の量産用のシリコン単結晶の引上げに反映させる。このようにシリコン単結晶の引上げ時に、発生し得る全ての欠陥領域の発生径をシリコン単結晶の引上げ速度に換算して、この引上げ速度をフィードバックするので、COP及び転位クラスタが無い複数本のシリコン単結晶を安定した歩留まりで順次引上げることができる。換言すれば、シリコン単結晶の引上げ時に、各欠陥領域の発生径に対して、シリコン単結晶の引上げ速度を最適な時期に細かく調整することにより、順次引上げられるシリコン単結晶のバッチ間の品質を安定させることができ、量産されるシリコン単結晶の歩留まりを向上できる。
なお、実際の引上げ速度が目標引上げ速度に一致していても、[OSF]領域の直径の実測値と目標値が同一にならない場合、[PV]領域の直径の実測値と目標値が同一にならない場合、[PI]領域の直径の実測値と目標値が同一にならない場合、[I−PI]領域の直径の実測値と目標値が同一にならない場合が生じるのは、引上げ装置の各部品の劣化に伴う経時変化や、引上げパラメータの変動などによるものである。ここで、引上げパラメータの変動とは、熱遮蔽体36の下縁とシリコン融液15表面との間隔(ギャップ)の制御や、磁場位置の制御などによる変動である。また、上記第1の実施の形態では、(n−1)本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布データをn本目の量産用のシリコン単結晶の引上げに反映させたけれども、(n−1)本目の量産用のシリコン単結晶内の欠陥分布の調査が間に合わなければ、(n−2)本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布データをn本目の量産用のシリコン単結晶の引上げに反映させてもよい。
<第2の実施の形態>
この実施の形態では、図2及び図3に示すように、[OSF]領域の発生時にこの[OSF]領域の直径DOSFを測定し、[PV]領域の発生時にこの[PV]領域の直径DPVを測定し、[PI]領域の発生時にこの[PI]領域の直径DPIを測定し、[I−PI]領域の発生時にこの[I−PI]領域の直径DI-PIを測定し、直径DOSF、DPV、DPI及びDI-PIのうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、全ての領域が[PV]領域及び[PI]領域からなる引上げ速度を目標引上げ速度に設定する。そして、[PI]領域が[PV]領域及び[PI]領域の合計領域に対して50%以上、好ましくは60%以上となるように目標引上げ速度を設定する。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成されたシリコン単結晶の引上げ方法では、全ての領域が[PV]領域及び[PI]領域からなる引上げ速度を目標引上げ速度に設定し、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に実際の引上げ速度を目標引上げ速度となるようにフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げるので、酸素析出評価熱処理を施したときに発生する[OSF]領域や、酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物がはき出されて顕在化する[I−PI]領域を含まず、引上げ方向全域にわたって、より欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができる。また[PI]領域が[PV]領域及び[PI]領域の合計領域に対して50%以上となるように目標引上げ速度を設定したので、酸素析出評価熱処理を施しても酸素析出物の発生し難い[PI]領域が酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い[PV]領域と同等かそれ以上となる。この結果、引上げ方向全域にわたって、更に欠陥が少なくかつこの欠陥のバラツキが少ないシリコン単結晶を引上げることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第3の実施の形態>
図11及び図12は本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、図11に示すように、速度変量試験時のシリコン単結晶中の点欠陥分布が第1の実施の形態のシリコン単結晶中の点欠陥分布と異なる。このような点欠陥分布を有するシリコン単結晶についても、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法を適用することができる。また速度変量試験時におけるシリコン単結晶中の点欠陥分布(第4〜第7の実施の形態)は、CZ法の引上げ条件によって図13〜図16に示すように、種々存在するけれども、これらのシリコン単結晶についても、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法を適用することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず図1に示す引上げ装置を用いて、図4に示す速度変量試験を行った。このときに引上げたシリコン単結晶の直径は308mmであった。上記シリコン単結晶を縦割りにしたり或いは輪切りにスライスして、シリコン単結晶中の欠陥分布を調べ(図2及び図3)、[V]領域が消滅する速度(上限引上げ速度)vAと、[I]領域が形成される速度(下限引上げ速度)vBとのマージン幅(vA−vB)を計測した(図2及び図6(c))。次いで[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域のシリコン単結晶内での各引上げ速度の分割速度マージンをそれぞれ計測した。次に上記[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域の各分割速度マージンと、[OSF]領域、[PV]領域、[PI]領域及び[I−PI]領域の各発生直径とに基づいて、各領域の発生直径1mmの変化に相当する速度量(引上げ速度の変化量)を算出した。更に縦割りにしたシリコン単結晶の各部位における速度マージンの中央値の点を結んで、図6(a)の実線で示すように、目標引上げ速度を設定した。
実際の引上げ速度を目標引上げ速度に一致させるように、1本目の量産用のシリコン単結晶を引上げた。この1本目の量産用のシリコン単結晶の引上げが完了したときに、このシリコン単結晶を一定長さ置きに輪切りサンプルを採取してシリコン単結晶内の欠陥分布を調べ、この欠陥分布情報に基づいて2本目の量産用のシリコン単結晶を引上げた。この2本目の量産用のシリコン単結晶の引上げ中に、1本目の量産用のシリコン単結晶の欠陥分布データを2本目の量産用のシリコン単結晶の引上げに反映させた。具体的には、シリコン単結晶の引上げバッチ毎に速度マージンの中央値(vA+vB)/2を目標引上げ速度として実際の引上げ速度をフィードバックしながらシリコン単結晶を順次引上げた。但し、[OSF]領域の直径DOSF、[PV]領域の直径DPV、[PI]領域の直径DPI、及び[I−PI]領域の直径DI-PIのうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、この引上げ速度をシリコン単結晶の引上げ条件にフィードバックした。
そして、図6(a)の輪切りサンプリング位置における速度マージンの中央値は(vA+vB)/2であり(図6(c))、この位置で[PV]領域の直径は80mmであった(図17(b))。また図6(c)における[PV]領域の分割速度マージンbは(b1−b2)=0.020mm/分であった。これにより引上げ速度がb1からb2に変化すると、[PV]領域の直径は80mmから0mmに変化する。この結果、[PV]領域の直径が1mm変化すると、引上げ速度は0.020/(80−0)=0.00025mm/分変化することになる。図6(a)の輪切りサンプリング位置における目標引上げ速度は0.500mm/分であったのに対し、図6(a)の輪切りサンプリング位置における実際の引上げ速度は0.495mm/分であった。このため、目標引上げ速度と実際の引上げ速度との差は0.005mm/分となり、これを[PV]領域の直径に換算すると、20mmに相当する。一方、実際の[PV]領域の直径が65mmであったため(図17(a))、目標の[PV]領域の直径との差は15mmとなった。そこで、目標引上げ速度と実際の引上げ速度との差を[PV]領域の直径に換算した値(20mm)と、実際の[PV]領域の直径と目標の[PV]領域の直径との差(15mm)とが一致しなかったため、引上げ速度の設定値を速度マージンの中央に持っていくように引上げ速度を調整した。具体的には、5×0.00025=0.00125mm/分だけ引上げ速度を小さくして、シリコン単結晶を引上げた。このようにしてシリコン単結晶を引上げたので、順次引上げられるシリコン単結晶のバッチ間の品質を安定させることができ、量産されるシリコン単結晶の歩留まりを向上させることができた。
11 シリコン単結晶
12 メインチャンバ(チャンバ)
13 るつぼ
15 シリコン融液
25 種結晶

Claims (3)

  1. チャンバに収容されたるつぼにシリコン融液を貯留し、このシリコン融液に種結晶を浸漬して回転させながらCOP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げる方法において、
    前記COP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げるための上限引上げ速度及び下限引上げ速度をそれぞれvA及びvBとし、前記COP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げるための引上げ速度の速度マージンを(vA−vB)とするとき、前記シリコン単結晶の引上げバッチ毎に前記速度マージンの中央値(vA+vB)/2を目標引上げ速度として実際の引上げ速度をフィードバックしながら前記シリコン単結晶を順次引上げ
    前記シリコン単結晶内で空孔が過剰な領域であって前記COPが発生する領域を[V]領域とし、前記シリコン単結晶内で格子間シリコンが過剰な領域であって前記転位クラスタが発生する領域を[I]領域とし、前記[V]領域に隣接しOSF核を含みかつ熱酸化によりOSFが発生する領域を[OSF]領域とし、前記[OSF]領域に隣接し前記COP及び前記転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い領域を[P V ]領域とし、前記[P V ]領域に隣接し前記COP及び前記転位クラスタが存在せずかつ前記酸素析出評価熱処理を施しても前記酸素析出物の発生し難い領域を[P I ]領域とし、前記[P I ]領域と前記[I]領域との間に位置し前記酸素析出評価熱処理を施したときに前記酸素析出物がはき出されて顕在化する領域を[I−P I ]領域とするとき、
    前記[OSF]領域の発生時にこの[OSF]領域の直径D OSF を測定し、前記[P V ]領域の発生時にこの[P V ]領域の直径D PV を測定し、前記[P I ]領域の発生時にこの[P I ]領域の直径D PI を測定し、前記[I−P I ]領域の発生時にこの[I−P I ]領域の直径D I-PI を測定し、
    前記直径D OSF 、D PV 、D PI 及びD I-PI のうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、
    この引上げ速度をシリコン単結晶の引上げ条件にフィードバックすることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
  2. チャンバに収容されたるつぼにシリコン融液を貯留し、このシリコン融液に種結晶を浸漬して回転させながらCOP及び転位クラスタを形成させないシリコン単結晶を引上げる方法において、
    前記シリコン単結晶内で空孔が過剰な領域であって前記COPが発生する領域を[V]領域とし、前記シリコン単結晶内で格子間シリコンが過剰な領域であって前記転位クラスタが発生する領域を[I]領域とし、前記[V]領域に隣接しOSF核を含みかつ熱酸化によりOSFが発生する領域を[OSF]領域とし、前記[OSF]領域に隣接し前記COP及び前記転位クラスタが存在せずかつ酸素析出評価熱処理を施したときに酸素析出物の発生し易い領域を[PV]領域とし、前記[PV]領域に隣接し前記COP及び前記転位クラスタが存在せずかつ前記酸素析出評価熱処理を施しても前記酸素析出物の発生し難い領域を[PI]領域とし、前記[PI]領域と前記[I]領域との間に位置し前記酸素析出評価熱処理を施したときに前記酸素析出物がはき出されて顕在化する領域を[I−PI]領域とするとき、
    前記[OSF]領域の発生時にこの[OSF]領域の直径DOSFを測定し、前記[PV]領域の発生時にこの[PV]領域の直径DPVを測定し、前記[PI]領域の発生時にこの[PI]領域の直径DPIを測定し、前記[I−PI]領域の発生時にこの[I−PI]領域の直径DI-PIを測定し、
    前記直径DOSF、DPV、DPI及びDI-PIのうち発生した領域の直径を引上げ速度に換算し、
    全ての領域が前記[PV]領域及び前記[PI]領域からなる引上げ速度を目標引上げ速度に設定し、
    前記シリコン単結晶の引上げバッチ毎に実際の引上げ速度を前記目標引上げ速度となるようにフィードバックしながら前記シリコン単結晶を順次引上げる
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
  3. [PI]領域が[PV]領域及び[PI]領域の合計領域に対して50%以上となるように目標引上げ速度が設定される請求項記載のシリコン単結晶の引上げ方法。
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