JP5379368B2 - フレキシブルフラットハーネス及びスライドドアの給電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主要には、フレキシブルフラットケーブルを備えるフレキシブルフラットハーネスの構成に関する。
近年、ワンボックスカーやワゴン車等、スライドドアを備える車両のニーズが増加している。このようなスライドドア車両において、快適さ等のニーズに応えるべく、スライドドアには様々な機器(例えば、スライドドアの自動開閉装置のモータ、パワーウインドウのモータ、半ドア検出等のための各種センサ、スピーカー等)が搭載されるようになっている。
そして、スライドドアの開閉にかかわらず当該スライドドアの各種機器に車体側から電力を供給するために、常時給電装置が提案されている。例えば、特許文献1は、丸線のワイヤハーネスに比べて許容曲げ半径を大幅に小さくできるフレキシブルフラットケーブルを用いたスライドドア用給電装置を開示する。特許文献1は、この構成により、小型で長期信頼性の高いスライドドア用給電装置を提供できるとする。
特開2006−21689号公報
フレキシブルフラットケーブルは、上述のように優れた屈曲性を有し、装置の小型化に有利であるものの、コネクタ部分の防水処理が困難であり、この点で改善の余地が残されていた。即ち、丸線を用いたワイヤハーネスであれば、シリコンゴム製のワイヤシールを備えた公知の防水コネクタを用いる等の方法で、容易に防水処理を行うことができる。一方、フレキシブルフラットケーブルは薄いリボン状の線材であるために、その鋭利な端部でシリコンゴムが損傷し易い。従って、ワイヤシールを使用した防水は防水信頼性の点で課題が多い。また、グリスを使った防水も考えられるが、これも防水信頼性、耐久性等の点で要求を満たすことが困難である。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、フレキシブルフラットハーネスにおいて、コネクタ部分の安価かつ確実な防水構造を実現することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のフレキシブルフラットハーネスが提供される。即ち、このフレキシブルフラットハーネスは、複数のフラット導線を有するフレキシブルフラットケーブルと、略円形の断面を有する複数の丸状ケーブルと、前記フラット導線と前記丸状ケーブルにそれぞれ接続される接続端子と、前記フラット導線と前記接続端子との第1接続部と、前記丸状ケーブルと前記接続端子との第2接続部と、内部に収容空間を形成したハウジングと、前記丸状ケーブルに取り付けられる防水コネクタと、を備える。前記接続端子の近傍位置において前記丸状ケーブルには曲げ部が形成される。前記接続端子の近傍位置において前記フレキシブルフラットケーブルには第2曲げ部が形成される。前記接続端子、前記第1接続部前記第2接続部、前記曲げ部、及び前記第2曲げ部が前記ハウジングの前記収容空間に収容される。前記接続端子、前記第1接続部前記第2接続部、前記曲げ部、及び前記第2曲げ部を覆うように前記収容空間にシール材が充填されている。前記ハウジングには複数の引出し凹部が形成され、それぞれの前記引出し凹部を前記丸状ケーブルが通過している。前記ハウジングには第2引出し凹部が形成され、この第2引出し凹部を前記フレキシブルフラットケーブルが通過している。前記丸状ケーブルは、前記曲げ部でほぼ垂直に曲げられるとともに、前記シール材と前記引出し凹部との間で曲げられることにより、クランク状とされている。前記フレキシブルフラットケーブルは、前記第2曲げ部でほぼ垂直に曲げられるとともに、前記シール材と前記第2引出し凹部との間で曲げられることにより、クランク状とされている。前記引出し凹部の底面と、前記ハウジングの壁の内面とを繋ぐように、傾斜面が形成されている。
これにより、簡単な構成で、フレキシブルフラットケーブルの端部に丸状ケーブルを接続することができる。また、このフレキシブルフラットケーブルと丸状ケーブルとの接続部分はシール材の充填による防水処理が施されているので、当該接続部分に水が侵入することによる短絡を防止できる。更に、ハウジングの凹部に接続端子が配置され、その凹部にシール材が充填されるので、シール材の量が少なくても接続端子の周囲全体を容易に覆うことができる。従って、接続部分の防水性能を維持しながら小型化とシール材の材料コスト低減を実現できる。更に、丸状ケーブルの引出し位置及び引出し方向を引出し凹部によって案内し、丸状ケーブルの位置ズレを防止することができる。また、ハウジングの外部において丸状ケーブルに外力(特に、フレキシブルフラットケーブルの幅方向の外力)が加わったとしても、引出し凹部の内壁が当該丸状ケーブルの外周面を受け止めることで、ハウジング内部のシール材に応力が加わることを防止できる。この結果、シール材による防水構造の耐久性を向上させることができる。また、丸状ケーブルに防水コネクタを配置し、これをハーネスのコネクタとすることができる。従って、簡単な構成でコネクタ部分の防水を実現したフレキシブルフラットハーネスを提供できる。また、ハウジング内にはフレキシブルフラットケーブル及び丸状ケーブルが曲げられた状態で配置されるので、フレキシブルフラットケーブル及び丸状ケーブルに引張方向の力が加わってもハウジングから抜けにくく、耐久性に優れる。更に、フレキシブルフラットケーブルの引出し位置及び引出し方向を案内することも可能になり、フレキシブルフラットケーブルの位置ズレを防止することができる。
前記のフレキシブルフラットハーネスにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1接続部において前記接続端子は前記フラット導線にピアッシングされている。前記第2接続部において前記接続端子は前記丸状ケーブルの心線に圧着されている。
この構成により、フラット導線と丸状ケーブルの心線とを接続端子を介して確実に接続できるとともに、製造コスト及び製造工数を低減できる。
前記のフレキシブルフラットハーネスにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ハウジングは、前記収容空間としての凹部を有する保護ケースと、前記凹部を覆うカバーと、を備える。また、前記引出し凹部は前記保護ケースと前記カバーの少なくとも一方に形成され、前記カバーを前記保護ケースに取り付けたとき、前記引出し凹部の開放側が閉じられる。
この構成により、ハウジング内に収容された接続構造をカバーにより保護できるので、耐久性を一層高めることができる。また、引出し凹部が閉じられるので、丸状ケーブルが引出し凹部の開放側から抜けないように拘束でき、丸状ケーブルの位置ズレを確実に防止できる。
前記のフレキシブルフラットハーネスにおいては、前記引出し凹部は前記保護ケースと前記カバーの両方に形成されており、前記保護ケースの引出し凹部と前記カバーの引出し凹部が対向して配置されることが好ましい。
この構成により、丸状ケーブルの引出し部分を保護ケース及びカバーの両方に跨って配置することができる。従って、保護ケースとカバーの接合面の配置自由度が増すので、製造が容易になるとともに、コンパクトな防水構造を実現できる。また、カバーを保護ケースに取り付けるときに2つの引出し凹部が相互に接続される形となるので、保護ケース側の引出し凹部に丸状ケーブルを配置した状態でカバーを取り付けることで、保護ケース及びカバーに対する丸状ケーブルの位置決めを容易に行いながら組み立てることができる。
前記のフレキシブルフラットハーネスにおいては、前記カバーは前記凹部を閉鎖した状態で前記保護ケースに係合していることが好ましい。
この構成により、簡単な構成でカバーの外れを防止でき、開放側が閉じられた状態の引出し凹部によって丸状ケーブルを確実に拘束しながら案内することができる。
前記のフレキシブルフラットハーネスにおいては、前記引出し凹部は、前記丸状ケーブルの外形に沿う円弧状の部分を有していることが好ましい。
この構成により、丸状ケーブルを引出し凹部によって適切に案内できるとともに、当該丸状ケーブルが引出し凹部の壁面によって損傷することを防止できる。
本発明の第2の観点によれば、前記のフレキシブルフラットハーネスを備えるスライドドアの給電装置が提供される。
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は、フレキシブルフラットハーネスを備えるスライドドア給電装置の全体構成を示す平面図である。
本実施形態のスライドドア給電装置1は、図1に示すように、自動車のスライドドア側に取り付けられるドア側部材11と、車体側に取り付けられる車体側部材12と、車体側からスライドドア側に電力を供給するためのフレキシブルフラットハーネス13と、を備えている。
フレキシブルフラットハーネス13は、複数本のフレキシブルフラットケーブル(FFC)14を備えている。このフレキシブルフラットケーブル14は、幅方向に所定間隔をおいて並べて配置した複数の導線の外側に絶縁体を配置して構成されている。
フレキシブルフラットケーブル14の導線は、フラット状の薄い断面形状を有するいわゆる平角導線(フラット導線)として構成されている。この平角導線は、例えば銅、アルミニウム、又はこれらの合金材料を成形加工することによって構成することができる。フレキシブルフラットケーブル14の絶縁体は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の合成樹脂からなる。この絶縁体をフィルム状に形成して平角導線を覆うようにラミネートするか、平角導線に対して樹脂を押出被覆成形することにより、前記フレキシブルフラットケーブル14を構成することができる。
前記ドア側部材11には、フレキシブルフラットケーブル14を収容するための取付穴21が形成されている。一方、前記車体側部材12には、フレキシブルフラットケーブル14を収容するための取付溝22が形成されている。この構成で、前記フレキシブルフラットケーブル14は、複数本が厚み方向に重ねられるとともに、その幅方向を上下方向に向けた状態で、ドア側部材11及び車体側部材12に固定される。
フレキシブルフラットハーネス13は、可撓性を有する材料によってコルゲート状に形成された保護部材15を備えている。この保護部材15はドア側部材11と車体側部材12の間に配置され、複数本重ねられたフレキシブルフラットケーブル14の外側を覆って保護するように構成されている。
フレキシブルフラットケーブル14の車体側の端部には、丸状ケーブル16の一端が防水ジョイント部17を介して接続される。丸状ケーブル16は円形の断面を有する汎用のケーブルであり、単線又はより線を絶縁被覆した構成となっている。
フレキシブルフラットケーブル14のそれぞれの平角導線は、防水ジョイント部17に備えられる接続構造を介して、丸状ケーブル16に電気的に接続される。なお、防水ジョイント部17の詳細な構成は後述する。
丸状ケーブル16の他端には防水コネクタ18が配置される。この防水コネクタ18はいわゆる個室防水タイプとされており、図略のシリコンゴム製のワイヤシールによって防水処理が施されている。
以上の構成で、ドア側部材11は、図略のスライドドアの開閉に伴い、車体側部材12に対して図1の白抜き矢印方向に移動する。スライドドア給電装置1は、この移動に追随してフレキシブルフラットケーブル14を変形させることで、車体側とスライドドア側との電気的接続を維持し、これによりスライドドア側への常時給電を実現している。
次に、図2以降を参照して、防水ジョイント部17の詳細な構成を説明する。図2はフレキシブルフラットハーネスの防水ジョイント部を示す斜視図である。図3は防水ジョイント部の保護ケースにフレキシブルフラットケーブル及び丸状ケーブルを取り付ける様子を示す分解斜視図、図4はシール材で埋められた保護ケースにカバーを固定する様子を示す斜視図である。
図2に示すように、この防水ジョイント部17はハウジング30を備え、このハウジング30は、一側を開放した箱状の保護ケース31と、この保護ケース31の開放側を閉鎖するカバー32と、を備えている。
この防水ジョイント部17(ハウジング30)は、図1に示すように、複数本のフレキシブルフラットケーブル14のそれぞれに対して1つずつ備えられる。また、各防水ジョイント部17には、フレキシブルフラットケーブル14が備える前記平角導線19の数と同数の丸状ケーブル16が接続される。図2の例ではフレキシブルフラットケーブル14は4本の平角導線19を備えているので、防水ジョイント部17に接続される丸状ケーブル16の数も4本である。
前記フレキシブルフラットケーブル14の一端及び丸状ケーブル16の一端は、前記ハウジング30の内部に収容されている。
図3には防水ジョイント部17を製造する工程が示されている。この図3に示すように、前記フレキシブルフラットケーブル14が備える平角導線19と、前記丸状ケーブル16の心線とは、接続端子40を介して電気的に接続されている。なお、この接続端子40は、Wire to Flexible−Flat−Cableの頭文字をとって、WF端子と称されることがある。
接続端子40は、フレキシブルフラットケーブル14が備える平角導線19のそれぞれに対応させて、前記保護ケース31内に配置される。接続端子40は、導電性金属板を適宜の形状に打ち抜くとともに細長く折曲げ加工して形成されており、その長手方向が前記平角導線19と平行となるように配置されている。
この接続端子40は、長手方向中央に配置される角筒状の基部41と、この基部41の一端から延出されるピアス部42と、前記基部41の他端から延出されるバレル部43と、を備えている。
ピアス部42は、前記フレキシブルフラットケーブル14の平角導線19及び絶縁皮膜を厚み方向に貫通することで、フレキシブルフラットケーブル14に固定されている。このピアッシングにより第1接続部46が形成され、この第1接続部46により接続端子40と平角導線19とが電気的に接続される。
バレル部43は、前記丸状ケーブル16の被覆が除去された部分(心線)にカシメて圧着される。この圧着により第2接続部47が形成され、この第2接続部47により接続端子40が丸状ケーブル16に固定されるとともに、当該丸状ケーブル16の心線と接続端子40とが電気的に接続される。
保護ケース31は絶縁性の合成樹脂からなり、一側を開放した浅い凹部(収容空間)51を有する幅広の箱状に形成されている。この保護ケース31は、フレキシブルフラットケーブル14及び丸状ケーブル16の長手方向に沿って若干細長い形状とされている。この保護ケース31の内底面には、当該保護ケース31の長手方向に沿って細長い複数の隔壁52が凸状に形成されている。この隔壁52は等間隔をあけて配置され、各接続端子40の間を隔てるように形成されている。
接続端子40の近傍位置において、前記フレキシブルフラットケーブル14はほぼ垂直に折り曲げられ、曲げ部61が形成されている。また、同様に接続端子40の近傍位置において、丸状ケーブル16はほぼ垂直に折り曲げられ、曲げ部62が形成されている。これらの曲げ部61,62は、接続端子40を保護ケース31内に配置したときに、フレキシブルフラットケーブル14及び丸状ケーブル16が前記保護ケース31の凹部51の内面に沿うように形成されている。
保護ケース31の長手方向一側の壁の端面には、複数の引出し凹部55が形成されている。この引出し凹部55は等間隔で並べて形成され、前記丸状ケーブル16の一部を挿入可能に構成されている。また、それぞれの引出し凹部55の底面と、前記保護ケース31の壁の内面とを繋ぐように、傾斜面56が形成されている。
以上の構成で、前記防水ジョイント部17を組み立てるには、最初に保護ケース31を、図3に示すように開放側が上方に向く状態とする。次に、フレキシブルフラットケーブル14を、そのそれぞれの平角導線19に接続端子40を介して丸状ケーブル16を接続した状態で、保護ケース31に上側からセットする。これにより、接続端子40及び曲げ部61,62が保護ケース31の凹部51内に収容される。
このとき、前記丸状ケーブル16のそれぞれは、保護ケース31に形成されている前記引出し凹部55に差し込まれる。これにより、後述のシール材充填工程及びカバー取付工程において、丸状ケーブル16をズレることなく所定の位置に保持することができる。また、引出し凹部55に接続して前記傾斜面56が形成されていることにより、フレキシブルフラットケーブル14に比べて屈曲性が良好でない丸状ケーブル16をコンパクトな空間内で容易に曲げて、当該保護ケース31から適切な向きで引き出すことができる。
次に、保護ケース31の前記凹部51内にシール材を充填する。充填するシール材としては様々なものが考えられるが、例えばウレタン系、シリコン系等の絶縁性を有する樹脂を用いることができる。シール材を所定量注入すると、保護ケース31に収容された接続端子40及び前記曲げ部61,62は、図4に示すように、その全体がシール材70に埋没する。なお、前述のように丸状ケーブル16は引出し凹部55に差し込まれて移動が規制されているので、シール材充填時に丸状ケーブル16が動いてズレることは防止される。
続いて、前記保護ケース31の凹部51を閉鎖するように、樹脂製のカバー32を当該保護ケース31に取り付ける。このカバー32は、前記保護ケース31と同様に、フレキシブルフラットケーブル14及び丸状ケーブル16に沿って若干細長く形成されている。このカバー32にはスナップフィット部81が一体形成されており、また、前記保護ケース31の側面には、前記スナップフィット部81に係合可能な係止突起54が一体形成されている。従って、スナップフィット部81を係止突起54に係合することで、カバー32を保護ケース31に固定することができる。
また、前記カバー32の長手方向一側の端部は前記保護ケース31の一側の壁に対向する位置まで延出され、この延出部分には複数の引出し凹部82が等間隔で並べて形成されている。この引出し凹部82は、保護ケース31側の引出し凹部55と対向する位置に円弧状に形成されており、前記丸状ケーブル16の一部を挿入可能に構成されている。
更に、前記カバー32の長手方向他側の端部は、前記保護ケース31の他側の壁に対向する位置まで延出され、この延出部分には浅い第2引出し凹部83が形成されている。この第2引出し凹部83は、前記フレキシブルフラットケーブル14を挿入可能に構成されている。
以上の構成で、カバー32を保護ケース31に取り付けると、カバー32の引出し凹部82が保護ケース31の引出し凹部55に接続し、図2に示すように、閉じた輪郭形状の丸状ケーブル引出し孔が形成される。また、前記第2引出し凹部83が保護ケース31の壁の端面で閉鎖されることにより、閉じた輪郭形状のフレキシブルフラットケーブル引出し孔が形成される。これらのケーブル引出し孔により、丸状ケーブル16及びフレキシブルフラットケーブル14が防水ジョイント部17から引き出される位置が定められるとともに、その引き出される向きが適切に案内される。
なお、図4に示すカバー取付時において、丸状ケーブル16は保護ケース31側の引出し凹部55に挿入されており、また、カバー32側の引出し凹部82は前記引出し凹部82に対向する位置に形成されている。従って、カバー32の取付時に保護ケース31とカバー32の間で丸状ケーブル16を噛み込み、被覆の損傷や組立効率の低下の原因となることが防止される。以上により、図2に示す防水ジョイント部17が完成する。
この防水ジョイント部17により、フレキシブルフラットケーブル14が有する平角導線19のそれぞれを、防水された構造の内部で丸状ケーブル16に接続(変換)することができる。その上で前記丸状ケーブル16を公知の防水コネクタ18に接続すれば、フレキシブルフラットケーブル14の防水コネクタ構造を安価に実現することができる。
以上に説明したように、本実施形態のフレキシブルフラットハーネス13は、複数の平角導線19を有するフレキシブルフラットケーブル14と、円形の断面を有する複数の丸状ケーブル16と、前記平角導線19と前記丸状ケーブル16にそれぞれ接続される接続端子40と、前記平角導線19と前記接続端子40との第1接続部46と、前記丸状ケーブル16と前記接続端子40との第2接続部47と、内部に凹部51を有するハウジング30と、を備える。そして、前記接続端子40、前記第1接続部46、及び前記第2接続部47が前記保護ケース31の前記凹部51に収容される。更に、前記接続端子40、前記第1接続部46、及び前記第2接続部47を覆うように前記凹部51にシール材70が充填されている。また、前記ハウジング30には複数の引出し凹部55,82が形成されており、それぞれの前記引出し凹部55,82を前記丸状ケーブル16が通過している。
この構成により、簡単な構成で、フレキシブルフラットケーブル14の端部に丸状ケーブル16を接続することができる。また、このフレキシブルフラットケーブル14と丸状ケーブル16との接続部分はシール材70の充填による防水処理が施されているので(防水ジョイント部17)、当該接続部分に水が侵入することによる短絡を防止できる。更に、ハウジング30の凹部51に接続端子40が配置され、その凹部51にシール材70が充填されるので、シール材70の量が少なくても複数の接続端子40の周囲全体を一括して容易に覆うことができる。従って、防水ジョイント部17の小型化と防水性能を両立できるとともにシール材70の材料コストも低減できる。更に、丸状ケーブル16の引出し位置及び引出し方向を引出し凹部55,82によって案内し、丸状ケーブル16の位置ズレを防止することができる。
特に、本実施形態の構成では、ハウジング30に形成される引出し凹部55,82の内壁が、丸状ケーブル16に加わった外力がハウジング30内に伝達しないように阻止する機能を果たしている。即ち、例えばフレキシブルフラットハーネス13の組立作業時において外力(特に、フレキシブルフラットケーブル14の幅方向の外力)が丸状ケーブル16に加わったとしても、引出し凹部55,82の内壁によって丸状ケーブル16の外周面を受け止めることで、ハウジング30内部のシール材70に応力が掛かるのを防止できる。従って、シール材70による防水機能が外力の作用によって劣化するのを防止し、耐久性が高いハウジング30の防水構造を実現できる。
また、前記フレキシブルフラットハーネス13は、丸状ケーブル16に取り付けられる防水コネクタ18を備えている。
この構成により、丸状ケーブル16に防水コネクタ18を配置し、これをハーネスのコネクタとすることができる。従って、簡単な構成でコネクタ部分の防水を実現したフレキシブルフラットハーネス13を提供できる。
また、本実施形態では、前記接続端子40の近傍位置において前記フレキシブルフラットケーブル14と前記丸状ケーブル16には曲げ部61,62が形成され、前記曲げ部61,62が前記ハウジング30の凹部51に収容される。この曲げ部61,62を覆うように前記凹部51にシール材70が充填されている。
この構成により、ハウジング30内にはフレキシブルフラットケーブル14及び丸状ケーブル16が曲げられた状態で配置されるので、フレキシブルフラットケーブル14及び丸状ケーブル16に引張方向の力が加わってもハウジング30から抜けにくく、耐久性に優れる。
また、前記第1接続部46において前記接続端子40は前記平角導線19にピアッシングされており、第2接続部47において前記接続端子40は前記丸状ケーブル16の心線に圧着されている。
この構成により、平角導線19と丸状ケーブル16の心線とを接続端子40を介して確実に接続できるとともに、製造コスト及び製造工数を低減できる。
また、前記ハウジング30は、凹部51を有する保護ケース31と、前記凹部51を覆うカバー32と、を備える。そして、前記カバー32を前記保護ケース31に取り付けたとき、それぞれの前記引出し凹部55,82の開放側が閉じられるように構成している。
この構成により、ハウジング30内に収容された接続構造をカバー32により保護できるので、耐久性を一層高めることができる。また、引出し凹部55,82が閉じられるので、丸状ケーブル16が引出し凹部55,82の開放側から抜けないように拘束でき、丸状ケーブル16の位置ズレを確実に防止できる。
また、前記ハウジング30において、前記保護ケース31に引出し凹部55が、カバー32に引出し凹部82がそれぞれ形成されるとともに、前記保護ケース31の引出し凹部55と前記カバー32の引出し凹部82が対向して配置されている。
この構成により、丸状ケーブル16の引出し部分を、保護ケース31及びカバー32の両方に跨って配置することができる。従って、保護ケース31とカバー32の接合面の配置自由度が増すので、製造が容易になるとともに、コンパクトな防水構造を実現できる。また、カバー32を保護ケース31に取り付けるときに2つの引出し凹部55,82が相互に接続される形となるので、保護ケース31側の引出し凹部55に丸状ケーブル16を配置した状態でカバー32を取り付ければ、保護ケース31及びカバー32に対する丸状ケーブル16の位置決めを容易に行いながら組み立てることができる。
また、前記カバー32は、前記凹部51を閉鎖した状態で前記保護ケース31に係合している。
この構成により、簡単な構成でカバー32の外れを防止でき、開放側が閉じられた状態の引出し凹部55,82によって丸状ケーブル16を確実に拘束しながら案内することができる。
また、前記カバー32に形成されている引出し凹部82は、前記丸状ケーブル16の外形に沿う円弧状の凹部として構成されている。
この構成により、丸状ケーブル16を引出し凹部82によって適切に案内できるとともに、当該丸状ケーブル16が引出し凹部55の壁面によって損傷することを防止できる。
また、前記カバー32には第2引出し凹部83が形成され、この第2引出し凹部83を前記フレキシブルフラットケーブル14が通過している。
この構成により、フレキシブルフラットケーブル14の引出し位置及び引出し方向を案内することも可能になり、フレキシブルフラットケーブル14の位置ズレを防止することができる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態においてフレキシブルフラットケーブル14は、図3に示すように、防水ジョイント部17の内部で前記曲げ部61ともう1箇所の計2箇所でクランク状に曲げられている。しかしながら、これに代えて、例えば前記曲げ部61の1箇所だけで折り曲げる構成に変更することができる。同様に、丸状ケーブル16も、前記曲げ部62の1箇所だけで折り曲げる構成に変更することができる。
上記実施形態では、凹部51にシール材70を充填した後に、カバー32を保護ケース31に取り付けている。しかしながらこれに代えて、凹部51を閉鎖するようにして保護ケース31にカバー32を取り付けてから、その閉鎖された凹部51内にシール材70を充填するように変更することもできる。この場合、防水ジョイント部17の内部に隙間なくシール材70を充填することができる。
保護ケース31にのみ引出し凹部55を形成し、カバー32に引出し凹部を設けない構成に変更することができる。また逆に、カバー32にのみ引出し凹部82を形成し、保護ケース31に引出し凹部を設けない構成に変更することができる。
第2引出し凹部83を、カバー32側にではなく保護ケース31側に設けるように変更することができる。また、保護ケース31とカバー32の両方に第2引出し凹部を相互に対向させて配置する構成に変更することができる。また、保護ケース31とカバー32との間に適宜の隙間を確保できる等の場合、第2引出し凹部を形成せずに当該隙間からフレキシブルフラットケーブル14を引き出すように変更することができる。
カバー32を保護ケース31と一体的に形成するように変更することができる。例えば、カバー32と保護ケース31とを薄肉状のヒンジで連結した形状に一体成形し、カバー32を閉じることで保護ケース31に固定する構成が考えられる。
また、カバー32を省略し、カバーなしのハウジングに変更することができる。この場合、丸状ケーブル16の一部又は全部を差込可能な引出し凹部を保護ケース31側に設ければ良い。
フレキシブルフラットケーブル14を例えば幅方向に並べて複数本配置し、1つの共通の保護ケース31に接続するように変更することができる。
フレキシブルフラットケーブル14の有する平角導線19の数は、スライドドア給電装置の構成及び用途に応じて適宜変更することができる。また、防水コネクタ18の形状についても、スライドドアを有する車両の仕様等に応じて様々に変更することができる。更に、防水コネクタ18に備えられる防水構造も、例えば一括防水タイプ等の様々な防水構造を採用することができる。
防水ジョイント部17及び防水コネクタ18は、フレキシブルフラットハーネス13の一側(スライドドア給電装置1における車体側)に備えることに代えて、他側(ドア側)に備えるように変更することができる。また、フレキシブルフラットハーネス13の両端側(車体側とドア側の両方)に防水ジョイント部及び防水コネクタを備えるように変更することができる。
本発明のフレキシブルフラットハーネスは、車両のスライドドア給電装置1以外の給電装置に用いることができる。また、車両以外の製品に使用することもできる。ただし、本発明のフレキシブルフラットハーネスは、例えば車両のドアやエンジンルームに位置するモジュール等、防水が要求される部分で使用する場合に特に好適である。また、給電に限らず、信号の伝送を行うためのハーネスに使用することもできる。
本発明の一実施形態に係るフレキシブルフラットハーネスを備えるスライドドア給電装置の全体構成を示す平面図。 フレキシブルフラットハーネスの防水ジョイント部を示す斜視図。 防水ジョイント部の保護ケースにフレキシブルフラットケーブル及び丸状ケーブルを取り付ける様子を示す分解斜視図。 シール材で埋められた保護ケースにカバーを固定する様子を示す斜視図。
符号の説明
1 スライドドア給電装置
11 ドア側部材
12 車体側部材
13 フレキシブルフラットハーネス
14 フレキシブルフラットケーブル
16 丸状ケーブル
17 防水ジョイント部
18 防水コネクタ
19 平角導線(フラット導線)
30 ハウジング
31 保護ケース
32 カバー
40 接続端子
45 位置決め穴
46 第1接続部
47 第2接続部
51 保護ケースの凹部(収容空間)
52 隔壁
55 引出し凹部
61,62 曲げ部
70 シール材
82 引出し凹部
83 第2引出し凹部

Claims (7)

  1. 複数のフラット導線を有するフレキシブルフラットケーブルと、
    略円形の断面を有する複数の丸状ケーブルと、
    前記フラット導線と前記丸状ケーブルにそれぞれ接続される接続端子と、
    前記フラット導線と前記接続端子との第1接続部と、
    前記丸状ケーブルと前記接続端子との第2接続部と、
    内部に収容空間を形成したハウジングと、
    前記丸状ケーブルに取り付けられる防水コネクタと、
    を備え、
    前記接続端子の近傍位置において前記丸状ケーブルには曲げ部が形成され、
    前記接続端子の近傍位置において前記フレキシブルフラットケーブルには第2曲げ部が形成され、
    前記接続端子、前記第1接続部前記第2接続部、前記曲げ部、及び前記第2曲げ部が前記ハウジングの前記収容空間に収容され、
    前記接続端子、前記第1接続部前記第2接続部、前記曲げ部、及び前記第2曲げ部を覆うように前記収容空間にシール材が充填されており、
    前記ハウジングには複数の引出し凹部が形成され、それぞれの前記引出し凹部を前記丸状ケーブルが通過しており、
    前記ハウジングには第2引出し凹部が形成され、この第2引出し凹部を前記フレキシブルフラットケーブルが通過しており、
    前記丸状ケーブルは、前記曲げ部でほぼ垂直に曲げられるとともに、前記シール材と前記引出し凹部との間で曲げられることにより、クランク状とされ、
    前記フレキシブルフラットケーブルは、前記第2曲げ部でほぼ垂直に曲げられるとともに、前記シール材と前記第2引出し凹部との間で曲げられることにより、クランク状とされ、
    前記引出し凹部の底面と、前記ハウジングの壁の内面とを繋ぐように、傾斜面が形成されていることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  2. 請求項1記載のフレキシブルフラットハーネスであって、
    前記第1接続部において前記接続端子は前記フラット導線にピアッシングされており、
    前記第2接続部において前記接続端子は前記丸状ケーブルの心線に圧着されていることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  3. 請求項1又は2に記載のフレキシブルフラットハーネスであって、
    前記ハウジングは、前記収容空間としての凹部を有する保護ケースと、前記凹部を覆うカバーと、を備え、
    前記引出し凹部は前記保護ケースと前記カバーの少なくとも一方に形成され、前記カバーを前記保護ケースに取り付けたとき、前記引出し凹部の開放側が閉じられることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  4. 請求項に記載のフレキシブルフラットハーネスであって、
    前記引出し凹部は前記保護ケースと前記カバーの両方に形成されており、前記保護ケースの引出し凹部と前記カバーの引出し凹部が対向して配置されることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  5. 請求項又はに記載のフレキシブルフラットハーネスであって、
    前記カバーは前記凹部を閉鎖した状態で前記保護ケースに係合していることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  6. 請求項1からまでの何れか一項に記載のフレキシブルフラットハーネスであって、
    前記引出し凹部は、前記丸状ケーブルの外形に沿う円弧状の部分を有していることを特徴とするフレキシブルフラットハーネス。
  7. 請求項1からまでの何れか一項に記載のフレキシブルフラットハーネスを備えることを特徴とするスライドドアの給電装置。
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