JP5379353B2 - 燃料電池装置における改質器の温度制御システム - Google Patents

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本発明は、燃料電池装置における改質器の温度制御システムに関するものである。
従来から、上流側から順に脱硫器、改質器、CO変成器、CO除去器を有して燃料ガスから水素を製造する燃料改質部と、燃料改質部で製造された水素に酸素を反応させて発電する燃料電池部とを備え、脱硫器に供給される燃料ガスとCO除去器から燃料電池部のアノードに送られる改質ガスとを熱交換するように構成した燃料電池装置が特許文献1などにより知られている。
上記のような従来の燃料電池装置においては、一般的に改質器の温度をある一定値に設定するようになっている。しかしながら、季節による周囲環境の温度変化や、システムの固体差や運転による経時変化により、他の低温反応器(脱硫器やCO変成器)の温度が変化し、本来の性能が出せなくなる。低温反応器の温度が最適な温度を逸脱すると、脱硫効率が低下し、また、改質ガス中のCO濃度が上がり、燃料電池の電圧低下を招く他、システムの信頼性を低下させるという問題がある。また、低温反応器の触媒温度が高い場合は、触媒自体の耐久性を損ない、システムの耐久性を低下させるという問題がある。
特開2002−25588号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、季節による周囲環境の温度変化や、システムの固体差や運転による経時変化があっても、脱硫効率が低下せず、改質ガス中のCO濃度を所定値以下に下げることができて、燃料電池の電圧低下を招くことが無く、また、システムの信頼性を向上させ、低温反応器の触媒の耐久性を向上させ、システムの耐久性を向上させることができる燃料電池装置における改質器の温度制御システムを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池装置における改質器の温度制御システムは、上流側から順に脱硫器1、改質器2、CO変成器3、CO除去器4を有して燃料ガスから水素を製造する燃料改質部5と、燃料改質部5で製造された水素に酸素を反応させて発電する燃料電池部6とを備え、脱硫器1に供給される前の燃料ガスと、CO除去器4から燃料電池部6に送られる改質ガスとの間で熱交換するように構成した燃料電池装置において、脱硫器1温度又は/及びCO変成器3温度を検出して、該検出温度に基づいて改質器2の温度を制御することを特徴とするものである。
このような構成とすることで、脱硫器1温度又は/及びCO変成器3温度があらかじめ設定された最適な温度範囲を外れた場合は、改質器2の温度を下げたり、上げたりする制御を行って、低温反応器(脱硫器1やCO変成器3)の温度を最適の温度範囲にすることができ、脱硫効率が低下せず、改質ガス中のCO濃度を所定濃度以下にすることができ、また、低温反応器の触媒温度が所定温度よりも高くなるのを防止して触媒自体の耐久性を向上できる。
本発明は、脱硫器温度又は/及びCO変成器温度を検出して、検出温度に基づいて改質器の温度を制御するので、季節による周囲環境の温度変化や、システムの固体差や運転による経時変化があっても、脱硫器やCO変成器を本来の最適の温度にすることができて、脱硫効率が低下せず、改質ガス中のCO濃度を所定値以下に下げることができて、燃料電池の電圧低下を招くことが無く、また、システムの信頼性を向上させるという効果があり、また、低温反応器の触媒温度が所定温度よりも高くなるのを防止して触媒の耐久性を向上させることができ、システムの耐久性を向上させることができるという効果がある。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本発明の燃料電池装置は、図の概略構成図に示すように、燃料改質部5と燃料電池部6とよりなる。
燃料改質部5は、都市ガスのような燃料ガス(プロセスガス)から水素を製造するためのもので、上流側から順に脱硫器1、改質器2、CO変成器3、CO除去器4を備えている。
脱硫器1は都市ガスのような燃料ガスを脱硫するためのものである。脱硫器1で脱硫した燃料ガスには改質用スチーム発生器8で発生させた水蒸気を混合するようになっており、脱硫され且つ水蒸気が混合された燃料ガスは改質器2に送られる。
改質器2は改質器バーナ9を有しており、改質器バーナ9を燃焼させることで、改質触媒を加熱しながら前述のように都市ガスに水蒸気を混合した燃料ガスを水蒸気改質反応により改質するようになっており、改質器2で改質されたガスはCO変成器3でCO変成を行い、CO変成器3でCO変成を行ったCO変成ガスはCO除去器4に送られ、CO除去器4でCO選択酸化を行って一酸化炭素を除去してCO濃度の低い水素リッチの改質ガスを製造するようになっている。
燃料電池部6は、アノード(燃料極)12、電解質13、カソード(空気極)14が層となったセルを一単位とし、このセルをセパレータ(図示せず)を介して多数積層して構成してある。ここで、アノード12、カソード14は気体を通す構造をしており、図2に示すように上記燃料改質部5で製造した水素リッチの改質ガス、つまり水素をアノード12に供給し、カソード14にブロアから空気を供給することで、水素はアノード12中の触媒の働きで電子を切り離して水素イオンになり、電解質13はイオンしか通さないという性質を持っているため、切り離された電子は外に出て行き、電解質の中を移動した水素イオンは、反対側のカソード14に送られた酸素と、外部から電線(外部回路)を通して戻ってきた電子と反応して水となる。このようにして発電した電気は直流なので、直流交流変換装置10により交流に変換するようになっている。
燃料電池部6のアノード12から排気されるアノードオフガスは残水素を含んでいるため、アノードオフガス管路16を介して改質器2の改質器バーナ9に送られて燃料ガスとして利用されるようになっており、またこの改質器バーナ9には前記の都市ガス、空気も供給され、残水素を含むアノードオフガスと都市ガスと空気とを混合して改質器バーナ9で燃焼させることで、前述のように改質触媒を加熱しながら都市ガスに水蒸気を混合した燃料ガスを改質するようになっている。改質器バーナ9の燃焼排ガスは燃焼排ガス排気管路17を介して排出される。
燃料電池部6のカソード14から排出されるカソードオフガスはカソードオフガス管路18を介して排出される。
また、燃料電池部6は電池冷却水循環管路19を循環する電池冷却水により冷却するようになっている。
ここで、本発明においては脱硫器1に供給される前の燃料ガスと、改質器2よりも下流側の改質ガスとの間で熱交換部21で熱交換して、脱硫器1に供給される燃料ガスを脱硫器1においては脱硫触媒により付臭剤中の硫黄化合物を除去するための脱硫反応に適した温度となるようにしている。
に示す実施形態では改質器2よりも下流側のCO除去器4から燃料電池部6のアノード12に送られる改質ガスと、脱硫器1に供給される前の燃料ガスとを熱交換部21で熱交換し、燃料ガスを加熱するようになっている。
脱硫器1やCO変成器3は改質器2よりも低温で反応させる低温反応器であり、この低温反応器である脱硫器1やCO変成器3には温度センサ23が設けてある。温度センサ23としては脱硫器1内の温度を検出する温度センサ23a、CO変成器3内の温度(例としてはCO変成器3の出口温度)を検出する温度センサ23bがあり、図1に示す実施形態では、脱硫器1及びCO変成器3にそれぞれ温度センサ23a、23bを設けた例が示してあるが、脱硫器1のみに温度センサ23aを設ける場合、あるいは、CO変成器3のみに温度センサ23bを設ける場合であってもよい。
この温度センサ23による脱硫器1内の検出温度又は/及びCO変成器3内の検出温度の情報に基づいて制御部24により改質器バーナ9を制御して、改質器2の温度を制御するようになっている。
すなわち、制御部24には、脱硫器1における脱硫触媒による脱硫反応に適した温度範囲、CO変成器3におけるCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲があらかじめ登録してあり、上記温度センサ23により検出した脱硫器1内の温度又は/及びCO変成器3内の温度が、上記あらかじめ登録された脱硫反応に適した温度範囲又は/及びCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲を外れないように改質器バーナ9に供給される都市ガスの流量を調整することにより行う。実施形態では改質器バーナ9に都市ガスを供給するガス供給管26に設けた調整弁27を調整することで都市ガスの流量を調整し、改質器2の温度を制御するようになっている。
ところで、夏場、あるいは雰囲気温度が高い場所で燃料電池装置を運転すると、低温反応器である脱硫器1やCO変成器3の温度が本来の脱硫器1やCO変成器3における性能を引き出すための温度より高くなる(つまり、あらかじめ登録してある脱硫反応に適した温度範囲やCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲を外れる)。このような場合は、調整弁27を調整して都市ガスの流量が少なくなるように制御して改質器2の温度を下げ、これにより、脱硫器1やCO変成器3の温度をあらかじめ登録してある脱硫反応に適した温度範囲やCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲とするのである。また、逆に冬場、あるいは雰囲気温度が低い場所で燃料電池装置を運転すると、低温反応器である脱硫器1やCO変成器3の温度が本来の脱硫器1やCO変成器3における性能を引き出すための温度より低くなる(つまり、あらかじめ登録してある脱硫反応に適した温度範囲やCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲を外れる)。このような場合は、調整弁27を調整して都市ガスの流量が多くなるように制御して改質器2の温度を上げ、これにより、脱硫器1やCO変成器3の温度をあらかじめ登録してある脱硫反応に適した温度範囲やCO変成のためのシフト反応に適した温度範囲とするのである。
このようにして簡易な方法で、低温反応器である脱硫器1やCO変成器3の温度をそれぞれ適温に保ち、設置場所の雰囲気温度や季節変動によらず、反応器である脱硫器1やCO変成器3における本来の性能を確実に引き出すことができ、システムの信頼性、耐久性を高めることができる。
上記例では改質器バーナ9に供給する都市ガスの量を制御して改質器2の温度制御を行う例で説明したが、プロセスガス量を制御することで改質器2の温度制御を行うようにしてもよく、また、改質器バーナ9に供給する都市ガスの量及びプロセスガス量の双方を制御することで改質器2の温度制御を行うようにしてもよい。
以下、本発明の一例を具体的に説明する。
燃料電池装置において、従来から脱硫器1やCO変成器3の温度は、改質器2の出口温度(出口における改質ガスの温度)によりなりゆきの温度となるように設計されており、このような従来の制御ではシステムの外気温が40℃変化した場合、低温反応器である脱硫器1やCO変成器3の温度の温度は約30℃変化していた。例えば、改質器2の出口温度は通常650℃前後に設定してあり、この改質器2の設定温度以下では冬場の脱硫器1温度は280℃、CO変成器3の出口温度は180℃程度であり、良好な温度分布でシステム運転を行うことが可能である。
しかしながら、この改質器2の出口温度のまま夏場の運転を実施すると、脱硫器1温度は310℃CO変成器3の出口温度は210℃程度となり、脱硫器1の触媒は耐久性を担保するための温度(200℃)を越え、また、CO変成器3はCO変成器3の出口のCO濃度0.5%以下を担保するための温度(200℃)を越える結果となる。
そこで、本発明においては、脱硫器1温度が300℃、もしくはCO変成器3の出口温度が200℃を越えた場合は、改質器2の出口温度設定を10℃下げる制御をするものである。
また、逆に、脱硫器1の温度が260℃、もしくはCO変成器3の出口温度が160℃を下回る場合は改質器2の出口温度設定を10℃上げる制御をするものである。
本発明の燃料電池装置の概略構成図である。 同上の概略説明図である。
符号の説明
1 脱硫器
2 改質器
3 CO変成器
4 CO除去器
5 燃料改質部
6 燃料電池部

Claims (1)

  1. 上流側から順に脱硫器、改質器、CO変成器、CO除去器を有して燃料ガスから水素を製造する燃料改質部と、燃料改質部で製造された水素に酸素を反応させて発電する燃料電池部とを備え、脱硫器に供給される前の燃料ガスと、CO除去器から燃料電池部に送られる改質ガスとの間で熱交換するように構成した燃料電池装置において、脱硫器温度又は/及びCO変成器温度を検出して、該検出温度に基づいて改質器の温度を制御することを特徴とする燃料電池装置における改質器の温度制御システム。
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