JP5378890B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、エアバッグを展開することによって車両内の乗員を保護するエアバッグ装置に関する。特に、円盤状のインフレータを用いたエアバッグ装置の改良に関する。
エアバッグ装置としては、ステアリングホイール内部に収容されるタイプ(ドライバーエアバッグ)や、窓枠の上縁部に沿って配置されるカーテンタイプ等、種々のタイプがある。
種々のエアバッグ装置の中で助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネル(インパネ)の内部に配置され、折り畳まれたエアバッグを収容したハウジング上部に、当該エアバッグを被うようにカバー(シュート部材)が取り付けられる。車両衝突時には、インフレータが作動してエアバッグが膨張し、カバーのドアを開放させる。これにより、インストルメントパネルが開裂し、エアバッグが車両内部に向かって展開するようになっている。
特許文献1には、従来の助手席用エアバッグ装置が開示されている。
特開2002−67852号公報
エアバッグ装置に採用されるインフレータとしては、円盤状のものと筒状のものとがある。一般に、円盤状のインフレータは外周面から膨張ガスを放射状に放出する構造となっている。
円盤状のインフレータを採用したエアバッグ装置において、当該インフレータはエアバッグと共にハウジング内に収容される。円盤状のインフレータは、通常、製造工程の関係から外周にフランジが形成され、あるいは、固定のために敢えてフランジを設ける場合がある。従来のエアバッグ装置では、ハウジングの底部にインフレータのフランジより下側の部分が貫挿される開口が形成されており、フランジ部分がハウジング底部に当接するようになっている。そして、ハウジングとインフレータのフランジとを、ボルト等を用いて固定している。
ところで、円盤状のインフレータを使用した場合には、エアバッグ内部でのガスの流れを制御するために、インフレータの外側にリテーナ(ガス規制部材)を配置する場合がある。従来のエアバッグ装置では、リテーナはインフレータのフランジに対してボルト等を用いて固定される。
しかしながら、上記のような従来のエアバッグ装置では、ハウジングの下側にインフレータの一部が突出することになり、ハウジングの設置の際に大きなスペースを必要としていた。
また、インフレータが貫挿するハウジングと、エアバッグには少なくともインフレータの断面積以上の開口が形成されるため、膨張ガスが不要に漏れる恐れがある。また、開口が大きい分、強度が弱くなり、何らかの補強が必要となる場合が多く、構造及び組み立て工程の複雑化を招いていた。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、ハウジングの設置スペースの縮小化に寄与するエアバッグ装置を提供することを目的とする。
また、インフレータ周辺における不要なガス漏れを抑制可能なエアバッグ装置を提供することを他の目的とする。
更に、構造及び組み立て工程の簡素化に寄与するエアバッグ装置を提供することを他の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るエアバッグ装置は、膨張展開可能なエアバッグと;円盤状に成形され、前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;車両に対して固定され、前記エアバッグ及び前記インフレータを収容するハウジングと;前記ハウジング内部に配置され、前記インフレータから放出されたガスの流路を規制するガス規制部材と;前記インフレータ及び前記エアバッグを前記ハウジングに対して固定する固定具とを備えている。そして、前記インフレータは、周面部に設けられたフランジ状の鍔部と、当該鍔部で上下に区画された上側円盤部及び下側円盤部を有する。また、前記ガス規制部材は、前記鍔部において前記インフレータに係止される。更に、前記エアバッグは、前記インフレータの底面と前記ハウジングとの間に挟まれた状態で、前記固定具によって固定される構造である。
上記のように本発明においては、エアバッグは、インフレータの底面とハウジングとの間に挟まれた状態で固定される構造であるため、インフレータがハウジング外部に露出(突出)することがない。その結果、ハウジングの設置スペースを小さくすることが可能となる。
また、エアバッグがインフレータの底面全体に渡って面で押さえられるため、密閉度が向上し、不必要なガス漏れを防ぐことが可能となる。また、密閉性を向上するために特別な補強を施すことを回避でき、構造の簡素化及び組み立て工程の簡略化を図ることが出来る。
図1は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置の設置状態を示す模式断面図である。 図2は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置の動作状態を示す模式断面図である。 図3は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の要部(ハウジング)の構造を示す断面図であり、インフレータのみ非断面として示す。 図4は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す分解斜視図である。 図5は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す分解斜視図である。 図6は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す分解斜視図である。 図7は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す分解斜視図である。 図8は、本発明の第2他の実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す分解斜視図である。 図9は、本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す断面図であり、インフレータのみ非断面として示す。 図10は、本発明の第4実施例に係るエアバッグ装置の要部の構造を示す断面図であり、インフレータのみ非断面として示す。
以下、本発明について、助手席用エアバッグ装置を例にとって、詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置の設置状態を示す模式断面図であり、作動前(待機)の状態及び作動時(エアバッグ展開時)の状態を各々示す。図3は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置に採用されるハウジング内部の構造を示す断面図である。
図3に示すように、本実施例に係るエアバッグ装置10は、膨張展開可能なエアバッグ22(図2参照)と;円盤状に成形され、エアバッグ22に膨張ガスを供給するインフレータ(ガス発生器)30と;車両に対して固定され、エアバッグ22及びインフレータ30を収容するハウジングと16;ハウジング16内部に配置され、インフレータ30から放出されたガスの流路を規制するガス規制部材34と;インフレータ30及びエアバッグ22をハウジング16に対して固定する固定具(38,40)とを備えている。
インフレータ30は、周面部に設けられたフランジ状の鍔部32と、当該鍔部32で上下に区画された上側円盤部33U及び下側円盤部33Lを有する。ガス規制部材34は、例えば樹脂から成形され、インフレータ30の鍔部32において当該インフレータに対して係止される。エアバッグ22は、インフレータ30の底面とハウジング16との間に挟まれた状態で、固定具(38,40)によって固定される。インフレータ30の外周面には、ガス放出穴31が複数設けられている。ハウジング16は直接又は間接的に車両本体に固定される。なお、ハウジング16内部の構造の詳細については後述する。
図1及び図2において、エアバッグ装置10は、更に、ハウジング16の上部及び側面を覆うカバー部材(シュート部材)14を備えている。カバー部材14は、作動時に開放される天板部14tと;天板部14tから略垂直下方に延びる側面部14sとを有し、当該側面部14sには複数の開口23が形成されている。更に、ハウジング16の側壁部には、略水平方向に延びて開口23内で移動可能な複数の係止用フック17が形成されている。
カバー部材14の天板部14tは、インストルメントパネル12の裏面に対して、例えば超音波溶着される。天板部14tには、H字状のスリット18と、スリット18に沿って天板部14tを開くべく当該天板部に設けられた2つのヒンジ部20が設けられている。スリット18とヒンジ20とによって所謂「エアバッグドア」が構成される。スリット18に対応する箇所のインストルメントパネル12には、レーザ加工によってティアライン12aが形成されている。
エアバッグ22は、合成繊維織物などを用いて袋状に成形され、折り畳まれた状態でハウジング16の内部に収容される。ハウジング16の上部は開放され、エアバッグ22が露出した状態となっているが、エアバッグ22の良好な膨張展開を妨げない何らかの弱い規制部材を配置することもできる。なお、本実施例においては、インストルメントパネル12とカバー部材14とを別部材としたが、一体的に成形することもできる。
カバー部材14は樹脂によって一体成形される。ハウジング16は、金属によって断面コの字状に成形され、カバー部材14の側面14sに対応して側壁部が形成されている。ハウジング16に設けられたフック17は、ハウジング16の側壁上縁部から外側に向かって(側壁に対して略垂直に)延びている。
図4は、ハウジング16周辺の構造を示す。図5は、インフレータ30とガス規制部材34の構造の詳細を示す。図4に示すように、ハウジング16の底部にはインフレータ30の底部に連結された2本のスタッドボルト38が貫通するボルト穴16aが形成されている。なお、図4においてはフック17を省略して示す。
ハウジング16と同様に、エアバッグ22にも2本のスタッドボルト38が貫通する穴22aが形成されている。穴22aの大きさはスタッドボルト38が貫通可能な最小限とすることが好ましい。スタッドボルト38の下端にはナット40(図3)が締め付けられる。
ガス規制部材34は、リング状(円形枠状)に成形され、インフレータ30の周面部の外側において当該インフレータ30を包囲するように配置される。ガス規制部材34には、また、インフレータ30の下側円盤部33L(図5)が収まる開口部47と、鍔部32が載る段差部46とが形成されている。ガス規制部材34は、更に、インフレータ30の鍔部32に係合して、当該インフレータ30を保持する突起部(タブ)42が複数形成されている。突起部42は、インフレータ30の鍔部32によって上から押さえつけられると、弾性変形し、鍔部32が突起部42より下まで降りると、再び上昇しないように鍔部32を保持する。これによって、インフレータ30が保持され、がたつきを生じないようになっている。
ガス規制部材34は、また、段差部46の下側に、インフレータの下側円盤部33Lと概ね同じ高さの2個の脚部(リブ)44を備えている。これら脚部44により、インフレータ30が作動した時に、膨張ガスの圧力によってガス規制部材34が下方に脱落するのを防止している。
本実施例においては、図6の破線で示す範囲50にシール部材を設けることが出来る。すなわち、エアバッグ22とハウジング16との間に、シール部材50を設けることによって、密閉性を向上させることが出来る。シール部材50としては、シリコン系の樹脂(RTV又は熱硬化性樹脂)を使用することができる。シール部材50の形成(塗布)範囲は、概ねインフレータ30の底面に対応する範囲とすることができ、スタッドボルト38が貫通する穴(16a、22a)を包囲する無端環状とする。
本実施例においては、図6に示すシール部材50に代えて又は加えて、図7に示すシール部材52を設けることが出来る。図6の場合には、インフレータ30とエアバッグ22との間に、シール部材52を設けることによって、密閉性を向上させている。シール部材52としては、シール部材50と同様に、シリコン系の樹脂(RTV又は熱硬化性)を使用することができる。また、シール部材52の形成(塗布)範囲は、インフレータ30の底面からはみ出さない範囲とし、スタッドボルト38が貫通する穴(22a)を包囲する無端環状とする。
図8は、本発明の第2実施例に係るエアバッグ装置の要部(インフレータ130とガス規制部材134)の構造を示す断面図である。インフレータ130は、周面部に設けられた矩形フランジ状の鍔部132と、当該鍔部132で上下に区画された上側円盤部132U及び下側円盤部132Lを有する。ガス規制部材134は、例えば樹脂から成形され、インフレータ130の鍔部132において当該インフレータに対して係止される。インフレータ130の外周面には、ガス放出穴が複数設けられている。
ガス規制部材134は、矩形枠状に成形され、インフレータ130の周面部の外側において当該インフレータ130を包囲するように配置される。ガス規制部材134には、また、インフレータ130の下側円盤部132Lが収まる開口部147と、鍔部132が載る段差部146とが形成されている。ガス規制部材134は、更に、インフレータ130の鍔部132に係合して、当該インフレータ130を保持する突起部(タブ)142が4カ所に形成されている。突起部142は、インフレータ130の鍔部132によって上から押さえつけられると、弾性変形し、鍔部132が突起部142より下まで降りると、再び上昇しないように鍔部132を保持する。これによって、インフレータ130が保持され、がたつきを生じないようになっている。
ガス規制部材134は、第1実施例の場合と同様に、段差部146の下側に、インフレータの下側円盤部132Lと概ね同じ高さの脚部(44)を備えることができる。なお、他の構造については上述した第1実施例と同様であるため、重複した説明は省略する。
図9は、本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置の要部(インフレータとガス規制部材)の構造を示す断面図である。本実施例においては、上述した実施例と異なり、ガス規制部材234を貫通する少なくとも2本のボルト240によってインフレータ230を保持する構造を採用している。ボルト240の内側先端と段差部によってインフレータ230の鍔部232を上下で押さえる格好となる。先の実施例のように樹脂の弾性力を利用した突起(42)に比べて、インフレータの保持が強固になる。
図10は、本発明の第4実施例に係るエアバッグ装置の要部(インフレータとガス規制部材)の構造を示す断面図である。本実施例においては、上述した実施例と異なり、ガス規制部材334をインフレータ330の鍔部332に対して「かしめる」ことによって保持する構造(340)を採用している。本実施例によれば、樹脂の弾性力を利用した突起(42)に比べてインフレータの保持が強固になる他、ボルト等の別部材を必要とせず、部品点数の増加を防止できるという効果がある。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
10:エアバッグ装置
12:インストルメントパネル
14:カバー部材(シュート部材)
16:ハウジング
22:エアバッグ
30,130,230:インフレータ
32、132:鍔部
34、134:ガス規制部材
38:スタッドボルト
40:ナット
42:保持突起
44:脚部
46、146:段差部
47:開口
50,52:シール部材
240:固定ボルト

Claims (9)

  1. 車両内の乗員を保護するエアバッグ装置において、
    膨張展開可能なエアバッグと;
    円盤状に成形され、前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;
    車両に対して固定され、前記エアバッグ及び前記インフレータを収容するハウジングと;
    前記ハウジング内部に配置され、前記インフレータから放出されたガスの流路を規制するガス規制部材と;
    前記インフレータ及び前記エアバッグを前記ハウジングに対して固定する固定具とを備え、
    前記インフレータは、周面部に設けられたフランジ状の鍔部と、当該鍔部で上下に区画された上側円盤部及び下側円盤部を有し、
    前記ガス規制部材は、前記鍔部において前記インフレータに係止され、
    前記エアバッグは、前記インフレータの底面と前記ハウジングとの間に挟まれた状態で、前記固定具によって固定される構造であることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記固定具は、一端が前記インフレータ底面に固定され、他端が前記ハウジングの底部を貫通するスタッドボルトを含むことを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記ガス規制部材は、前記インフレータの周面部の外側において当該インフレータを包囲するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記ガス規制部材は、前記インフレータの下側円盤部が収まる開口部と、前記鍔部が載る段差部とを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のエアバッグ装置。
  5. 前記ガス規制部材は、更に、前記インフレータの鍔部に係合して、当該インフレータを保持する突起部を有することを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記ガス規制部材は、更に、前記インフレータの鍔部に係合して、当該インフレータを保持する固定ボルトを有することを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
  7. 前記ガス規制部材は、前記段差部の下側に、前記インフレータの下側円盤部と概ね同じ高さの脚部を有し、当該ガス規制部材の下方への脱落を防止する構造を採ることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載のエアバッグ装置。
  8. 前記インフレータの底面と前記ハウジングとの間において、前記ハウジングと前記エアバッグとの間にシール材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のエアバッグ装置。
  9. 前記インフレータの底面と前記ハウジングとの間において、前記インフレータと前記エアバッグとの間にシール材を設けたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のエアバッグ装置。
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