JP5378785B2 - 位置検知器を有しないブラシレス直流モータの起動駆動方法およびこれを用いた電動自転車 - Google Patents
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前記した後者の構成形態のブラシレス直流モータ、すなわち位置検知器を有しないブラシレス直流モータは位置検知器が不要なために、モータの構成が簡単化できるとともに、位置検知器自体の信頼性が低いことによって生じる問題もなく、また、位置検知器を所定の取付け位置に正確に取付けるための組立製作上の困難さもないなどの利点があり、特に小型なブラシレス直流モータを構成させる場合に有利である。
この手段として従来、回転子が停止している状態で3相巻線の各相に適切な電流を流し、その電流値の大小を相対比較することにより、回転子と3相巻線の相対的な停止位置を検出する手段が特開昭63−69489号公報に開示されている。
図1、図2、図3を用いてその動作を説明する。図1はモータの3相巻線を示しそれぞれU相、V相、W相とする。図2の(a)は測定のための各相に対する通電態様の一例で、U→(V+W)はU端からVおよびW端へ、U←(V+W)はVおよびW端からU端に電流を流すことを示す。図2の(b)も同じ目的の他の例だが、ここでは(a)の方法で説明する。図3は各通電態様で測定される電流値を示し、横軸は3相巻線に対する回転子の位置を電気角で示している。測定される電流値は回転子の磁極が各巻線に与える磁束によって影響を受け、たとえば通電1はU相が回転子に対向する面がNに励磁されるとき、回転子のS極が対向する位置にあれば通電電流は大きく、対向位置から離れると小さくなる。通電4は通電1と電流方向が反対の例でU相はSに励磁され、回転子のN極が対向する位置にあるときに電流値は大きくなる。このように通電1から通電6を実行して電流値の大小を求めれば、各回転子の電気角の位置、すなわち3相巻線と回転子の相対位置が求められる。
ブラシレスモータの駆動制御で、回転子が停止もしくは小変動している状態で、3相巻線に順方向と逆方向の全6方向への通電態様でパルス通電を行い、通電電流の大小を比較して回転子位置を検出するセンサーレスのモータ駆動装置にあって、該6方向への通電態様の測定を回転子の位置を示す電気角の順番に通電1、通電2、通電3、通電4、通電5、通電6として測定する手段を設け、測定される各通電電流の中の3方向の値より大きく、かつ残る3方向の測定値の中の1箇以上の通電電流の値が大きい値として検出される基準電流値を設け、各測定電流と該基準電流値の大小を比較する手段を備え、該基準電流値を超えて測定される最初の通電態様を検出ステップ1とし、続けて次の通電態様の測定を行って検出ステップ2とし、さらにすでに検出が済んでいる検出ステップ1の前の通電態様をステップ0とし、ただし検出ステップ1が上記の通電1の場合は通電6をステップ0として追加測定し、検出ステップ0と検出ステップ1と検出ステップ2の連続測定された通電電流値の大小から回転子の磁極の位置と3相巻線との相対位置を決定する手段とを備え、この位置情報から最大トルクを与える励磁を選択して供給するブラシレスモータの起動駆動方法である。
本発明はこの特性に着目して考案されたもので、ある一定の基準電流値を設けて、基準電流値より大きな通電電流が測定される場合、すなわち有意なデータの得られる通電態様だけが検出されるようにし、これを検出ステップ1として、この前後の通電態様の通電測定情報をそれぞれ検出ステップ0、検出ステップ2として加えるだけで回転子位置を確定するものである。
ローター位置検出器1で制御しているローター位置決定の測定フローを図8(a)に示す。通電1を▲1▼から▲4▼の順番でおこない基準電流値と比較し、基準値を超えなければ通電2で同様の測定をおこない、どれかの通電態様で基準電流値を超えたところでその通電を検出ステップ1としてループをでて、次の通電の検出ステップ2を測定してロータ停止位置判定が行われる。比較のために図8(b)に従来法の測定フローを示すが、常に6回の測定が必要なのにたいし、実施例では基準電流値をこえる通電態様の測定の時点が位置測定の開始となるから概略2回の測定で結果を出せていることがわかる。一回の通電測定を800マイクロ秒としたので、従来法で4.8ミリ秒かかるのに対して実施例では1.6ミリ秒に短縮できている。
本実施例では図8(a)に示すように位置検出後直ちに、検出位置に強制的に復帰させる制動駆動を与える、すなわち位置検出した以降の回転子の変動を押さえ込む、また検出後に微小変動していても検出位置に戻す駆動力を与えるフローとしている。ここではローター位置が確度よく検出されており、ローター位置は制動位置近傍にあるので慣性による振動の危険もなく強い駆動力の制動駆動を与えることができる。制動時間は目的の条件によって変えるが、実施例では50ミリ秒の通電パルスを5回与えている。
この変動を人間の歩く速度程度の約5km/時と想定すると、これは1ミリ秒あたり0.144cmの変動である。本例の電動自転車はさきに説明したように、電気角360度が6.25cmの移動に相当するから、0.144cmの変動はモータの電気角で約8度(360度*(0.144/6.25))に相当する。
本実施例では位置測定に1.6ミリ秒かかっているから測定中に電気角で±13度(=1.6*8)ずれて測定誤差になることが考えられる。一方、従来法ではこの3倍かかっているので、測定中に±40度弱の測定誤差が想定される。
モータの駆動は電気角で60度毎に転流しておこなうが、本実施例での測定誤差はこの範囲に十分入っており、さらに強制制動で変動をおさえているので転流タイミングを外す危険は非常似小さくなっている。実際に従来法では坂道でバックしている状態では適切な駆動力をあたえられないばかりかバック方向に加速される場合を防げなかったが、実施例ではこれをほぼ根絶でき、前身に強い加速駆動を与えることが可能になった。
Claims (5)
- ブラシレスモータの駆動制御で、回転子が停止もしくは小変動している状態で、3相巻線に順方向と逆方向の6方向への通電ステップでパルス通電を行い、通電電流の大小を比較して回転子位置を検出するセンサーレスのモータ駆動装置にあって、
該6方向への通電ステップの測定を回転子の位置を示す電気角の順番に通電1、通電2、通電3、通電4、通電5、通電6の通電態様として測定する手段を設け、
6方向で測定される各通電電流値の3方向の測定値より大きく、残る3方向の測定値の中の1箇以上の通電態様の通電電流が大きい値として検出される基準電流値を設けてそれぞれ測定される各通電電流を該基準電流値と大小比較する手段を備え、
該基準電流値を超えて測定される最初の通電態様を検出する検出ステップ1と、
この検出ステップ1に続けて次の通電態様の測定を行う検出ステップ2と、
すでに測定が済んでいる検出ステップ1の前の通電態様を測定する検出ステップ0とを有して、
前記検出ステップ1が通電1の場合で検出ステップ0がないときは通電6を検出ステップ0として追加測定して、検出ステップ0と検出ステップ1と検出ステップ2の連続測定された通電電流値の大小から回転子の磁極の3相巻線との相対位置を決定する手段を備え、この位置情報から最大トルクを与える励磁を選択して供給することを特徴とするブラシレス直流モータの起動駆動方法。 - 請求項1のモータ起動を行う前の工程として、あらかじめ通電1から通電6の通電測定を実行して得られる6個の電流値を参照して、該基準電流値を最適化して再設定する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレス直流モータの起動駆動方法。
- 前記検出ステップ0、検出ステップ1及び検出ステップ2の測定後、さらに検出ステップ0、検出ステップ1及び検出ステップ2の中の最大の電流値、或いは二番目に大きい電流値のステップと同じ通電態様で検出ステップ3の通電測定を行い、検出ステップ0、検出ステップ1及び検出ステップ2とその後に測定された検出ステップ3の通電電流値の時間的変化から回転子の位置の変動方向を予測する手段を備え、回転子位置情報に加えて変動方向の情報から適切な励磁態様を選択して起動を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシレス直流モータの起動駆動方法。
- 回転子位置を検出して、回転子を検出された回転子位置に制動駆動する通電態様の電力を一定期間与えてから所定の回転駆動電力を与える手段を具備していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシレス直流モータの起動駆動方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のブラシレス直流モータの起動駆動方法を適用した電動自転車。
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