JP5377158B2 - ヒートシンクおよび冷却システム - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートシンクを用いた冷却システムに関する。
近年、半導体の消費電力が加速度的に上昇し、それに伴って発熱量が増えており、より高性能な冷却システムの需要が高まっている。高密度に集積された回路で消費される電力は増加し、発熱量と同時に発熱密度も急激に上昇している。
光半導体であるLEDにおいても、明るさの向上に伴って従来の表示用途から照明用途へと、大電力化の道を辿っている。LED素子における最大の問題点は、発光効率が向上しても未だなお、投入した電力の大部分が熱となり、自身の発する熱によって明るさが低下してしまうことである。特に大電力LEDにおいては、チップあたり数Wもの発熱を受け止められるだけのパッケージ・放熱構造が求められており、熱伝導性に優れたメタルコア基板やセラミック基板が実用化されている。
チップサイズが高々1mm角程度と非常に熱密度の高い発熱体を効率よく冷却するためには、実装基板あるいはヒートシンクのベース基板を用いた熱拡散によって熱密度を下げることと、冷却ファンの風の流れに沿うように流路構造を工夫して、なるべく発熱体の真裏付近に多くの冷媒を集中させることが肝要である。
例えば、一般的な軸流ファンとヒートシンクの組み合わせの例では、特許文献1に示されているように、中心が疎で周辺が密という軸流ファン(ファンブレード)の風の流れ・密度に合うように、ヒートシンクの形状を最適化することで冷却能力を高められる。
一方、機器の小型化に伴って薄型の冷却ブロアの需要が高まり、これを解決する手段として、例えば特許文献2に示すような圧電素子を用いたブロアが提案されている。
特開2007−005446号公報 特開2009−097393号公報
発熱体の効率的な冷却のためには、なるべくヒートシンクの全面に風が当たることが望ましい。
図1(a),(b)は軸流ファンの場合の風の流れ(風が当たっている範囲)を例示する図である。図1(a),(b)から、軸流ファンの場合には、中心部分を除いてほぼ均一な風の流れが形成される。さらに、ファンとヒートシンクの外形寸法を一致させて使用されることが多く、ヒートシンク全面に風が当たらないという問題は起こらないと言える。
しかしながら、軸流ファンの場合には、冷却システムの薄型化が困難であるという問題があった。
これに対し、特許文献2に示されているようなブロアは、冷却システムの薄型化に適している。
しかしながら、特許文献2に示されているようなブロアは、後述のように吐出口の直径が1mm程度と非常に小さいために、風の流れは狭小で突出した形状となる。図2(a),(b)は特許文献2に示されているようなブロアの場合の風の流れ(風が当たっている範囲)を例示する図である。図2(a),(b)から、特許文献2に示されているようなブロアの場合には、風の流れは狭小で突出した形状となることがわかる。したがって、薄型化を図るためにブロアの吐出口を従来のヒートシンクに近接させて配置した場合、従来のヒートシンクの全面に風を当てることは困難であり、ブロアの吐出口に対向した(正対した)従来のヒートシンクのフィン面のごく狭い局所的な範囲にしか風を当てることはできず、従来のヒートシンク全面を効率よく冷却することができないという問題があった。
図3(a),(b)は従来のヒートシンクの構成例を示す図である。なお、図3(a)は正面図(発熱源とは反対の側から見た図)、図3(b)は側面図である。図3(a),(b)を参照すると、従来のヒートシンク50は、発熱源60からの熱を受けるベース基板(受熱部)51と、該ベース基板51の前記発熱源60とは反対の側において前記ベース基板51に立設している複数のフィン52とを有し、前記複数のフィン52は、それぞれ柱状(図3(a),(b)の例では、円柱状)のものであって、同じピッチで格子状に配置されている。ここで、ベース基板(受熱部)51、フィン52は、熱伝導率の良い銅やアルミニウムなどで形成されている。
また、発熱源60は、後述の図4の例では、LED61と、LED61が配置されLED61からの熱を放熱する放熱基板(セラミック基板)62とからなっており、放熱基板(セラミック基板)62をヒートシンク50のベース基板(受熱部)51に接着することで、ヒートシンク50に取り付けられている。
図4には、特許文献2に示されているようなブロアと図3(a),(b)に示した従来のヒートシンク50とを組み合わせた冷却システムの例が示されている。
すなわち、図4の例では、ヒートシンク50の複数のフィン52に対向して(正対して)、特許文献2に示されているようなブロア70が配置されている。
図5乃至図8は特許文献2に示されているブロア70の図である。特許文献2に示されているブロア70は、圧電マイクロブロア(薄型ブロア)であって、ブロア本体1と、外周部がブロア本体1に対して固定されたダイヤフラムユニット2とで構成されている。ここで、ブロア本体1は、天板(第2壁部)10と、流路形成板11と、セパレータ(第1壁部)12と、ブロア枠体13と、底板14とを上方から順に積層固定したものであり、ブロア枠体13と底板14との間にダイヤフラムユニット2が固定されている。また、天板(第2壁部)10は四角形平板で形成されており、その中心部に表裏に貫通する吐出口(第2開口部)10aが形成されている。流路形成板11も天板(第2壁部)10と同一外形を有する平板であり、その中心部には吐出口(第2開口部)10aより大径な中央孔11aが形成されている。また、中央孔11aから4つのコーナ部に向かって放射方向に延びる流入通路11bが形成されている。セパレータ(第1壁部)12も天板(第2壁部)10と同一外形を有する平板であり、その中心部には吐出口(第2開口部)10aと対向する位置に、吐出口(第2開口部)10aとほぼ同一径の貫通孔12a(第1開口部)が形成されている。4つのコーナ部近傍には、流入通路11bの外側端部と対応する位置に流入孔12bが形成されている。天板(第2壁部)10と流路形成板11とセパレータ(第1壁部)12とを接着することにより、吐出口(第2開口部)10aと中央孔11aと貫通孔12aとが同一軸船上に並び、後述するダイヤフラムユニット2の中心部と対応する。ブロア枠体13も天板(第2壁部)10と同一外形を有する平板であり、その中心部には大径な空洞部13aが形成されている。4つのコーナ部近傍には、上記流入孔12bと対応する位置に流入孔13bが形成されている。ブロア枠体13を間にしてセパレータ(第1壁部)12とダイヤフラムユニット2とを接着することにより、ブロア枠体13の空洞部13aによってブロア室3が形成される。底板14も天板(第2壁部)10と同一外形を有する平板であり、その中心部にはブロア室3とほぼ同形の空洞部14aが形成されている。底板14は、圧電素子22及び中間板23の厚さとダイヤフラム21の変位量との合計により厚肉に形成されており、このブロア(マイクロブロア)を基板などに搭載した場合でも、圧電素子22が基板と接触するのを防止できる。上記空洞部14aは、後述するダイヤフラムユニット2の圧電素子22の周囲を取り囲む空洞部を形成している。底板14の4つのコーナ部近傍には、上記流入孔12b、13bと対応する位置に流入孔14bが形成されている。ダイヤフラムユニット2は、図8に示すように、金属板などからなるダイヤフラム21の中央部下面に、円形の中間板23を間にして同直径の圧電素子22を貼り付けた構造を有する。圧電素子22及び中間板23は、上述のブロア枠体13の空洞部13aより小径な円板である。例えば、圧電素子22として、表裏面に電極を持つ単板の圧電セラミックスを使用し、これを中間板23の片面に接着し、中間板23の他面をダイヤフラム21の裏面(ブロア室3と逆側の面)中央部に貼り付けてユニモルフ構造とすることができる。中間板23もダイヤフラム21と同様に金属板で構成されている。圧電素子22に交番電圧を印加することにより、圧電素子22が平面方向に伸縮するのに対し、中間板23及びダイヤフラム21は伸縮しないので、ダイヤフラムユニット2全体が板厚方向に屈曲変形する。
図9は特許文献2に示されている上述したブロア70(圧電マイクロブロア(薄型ブロア))の動作を説明するための図である。図9(a)は初期状態(非電圧印加時)であり、ダイヤフラム21は平坦状である。図9(b)は圧電素子22への最初の1/4周期を示し、ダイヤフラム21が下に凸に屈曲するので、貫通孔12a(第1開口部)とダイヤフラム21との距離が増大し、流入通路11bから貫通孔12a(第1開口部)を介してブロア室3内に流体が吸い込まれる。図9(b)において矢印は流体の流れを示す。次の1/4周期で、図9(c)のようにダイヤフラム21が平坦状に戻る時、貫通孔12a(第1開口部)とダイヤフラム21との距離が減少し、流体は開口部12a、10aを通って上方向に押し出される。この時、流入通路11bの流体を一緒に巻き込みながら上方に流れるので、吐出口(第2開口部)10aの出口側では大流量が得られる。次の1/4周期では、図9(d)のようにダイヤフラム21が上に凸に屈曲するので、貫通孔12a(第1開口部)とダイヤフラム21との距離が減少し、ブロア室3内の流体が高速で開口部12a、10aから上方向に押し出される。この高速流は、流入通路11bの流体をさらに一緒に巻き込みながら上方に流れるので、吐出口(第2開口部)10aの出口側では大流量が得られる。次の1/4周期では、図9(e)のようにダイヤフラム21が平坦状に戻る時、貫通孔12a(第1開口部)とダイヤフラム21との距離が増大し、流体は貫通孔12a(第1開口部)を通過してブロア室3内に若干吸い込まれるが、流入通路11bの流体は慣性により中心方向に流れ続ける。その後、ダイヤフラム21の動作は図9(b)に戻り、それ以後図9(b)〜図9(e)の動作を周期的に繰り返す。ダイヤフラム21を高周波で屈曲振動させることにより、流入通路11bを流れる流体の慣性が終息する前に、開口部12a、10aに次の流れを発生させることができ、流入通路11bの中に常に中心方向への流れを惹起させることができる。
本願の発明者は、実際、図4の冷却システムの構成において、ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク50との間の距離(より正確には、図10に示すように、ブロア70の吐出口10aとヒートシンク50のフィン52の先端との間の距離(間隔)d1)を変えて発熱源の温度を測定した(具体的には、距離(間隔)d1を3mm・5mm・10mm・15mm・20mmの5点について測定を行った)。
ヒートシンク50としては、具体的には、30mm角・厚さ0.5mmのベース基板(銅板)51上に直径1.2mm・長さ5mmの円柱状の銅製のフィン52が縦横3mmのピッチで格子状に計64本(縦横8本ずつ)立設しているものを用いた。なお、フィン32は、ベース基板31と例えば一体のものとして形成されている。また、ヒートシンク50の裏面には、30mm角・厚さ1.5mmの放熱基板(セラミック基板)62を熱伝導性グリスによって接着し、発熱源となるLED61(投入電力3W)が放熱基板(セラミック基板)62の中央に実装されている。なお、ヒートシンク50と放熱基板(セラミック基板)62の外形は等しく、放熱基板(セラミック基板)62の表面には実装されたLED61を点灯させるための回路パターンと、給電のためのコネクタ(図示せず)が実装されている。なお、放熱基板(セラミック基板)62へのLEDの実装は、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点からAuSn共晶ハンダが好適である。また、放熱基板(セラミック基板)62への回路パターンの実装も、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点から、活性金属を含むロウによるロウ付けが好適である。
図17には、図4の冷却システムにおける上記の実験結果(ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク50との間の距離に対する発熱源の温度上昇分)が「従来技術」として示されている。図17の実験結果から、発熱源であるLED61の温度上昇は、ブロア70とヒートシンク50との間の距離d1におよそ反比例して減少することがわかった。すなわち、ブロア70とヒートシンク50との間(より正確には、ブロア70の吐出口10aとヒートシンク50のフィン52の先端との間)に20mm程度の間隙d1を設ければ、ブロア70からの気流に周囲の空気がベルヌーイの定理によって巻き込まれ、ヒートシンク50に当たる正味の風量と、風の当たっている面積が共に増加するため、十分な冷却効果が期待できる。
しかしながら、20mmという間隙d1は厚さが約2mmというブロア(マイクロブロア(薄型ブロア))70の寸法に比べて遥かに大きく、冷却システムの薄型化を実現できない。一方、冷却システムの薄型化を実現するため、ブロア70とヒートシンク50との間の間隙d1を3mm程度まで狭めてしまうと、ヒートシンク50に当たる風量はブロア70の風量のみとなり、さらに風が当たっている面積もブロア70の吐出口程度の範囲まで狭まってしまう。したがって、ブロア70とヒートシンク50との間の間隙d1が20mmの場合と比べて冷却能力は格段に落ちてしまい、ブロア(マイクロブロア)70の特長である薄型を活かした冷却システムの構築は難しいという問題があった。
本発明は、ブロア(マイクロブロア(薄型ブロア))を用いる場合に、冷却能力を低下させることなく、小型で薄型の冷却システムを実現することの可能なヒートシンクおよび冷却システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、発熱源が取り付けられるヒートシンクと、前記ヒートシンクに風を送りヒートシンクを冷却させるためのブロアを備えた冷却システムであって、前記ヒートシンクは、発熱源からの熱を受けるベース基板と、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記ベース基板に立設している複数のフィンとを有し、前記複数のフィンは、それぞれ柱状のものであって、前記発熱源の中心部に対応した位置を中心に放射螺旋状に配置されており、前記複数のフィンの密度分布は、放射螺旋状の中心付近が高く、周辺部に行くにつれて低くなっており、前記ブロアの風の吐出口は、前記ヒートシンクの前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心部に対向させて設けられており、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心に、ピンが前記ベース基板に立設して設けられていない場合、前記ブロアの風の吐出口先端と前記フィンの先端との間の間隔は、2.5mm乃至5mmの範囲に設定されることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、発熱源が取り付けられるヒートシンクと、前記ヒートシンクに風を送りヒートシンクを冷却させるためのブロアを備えた冷却システムであって、前記ヒートシンクは、発熱源からの熱を受けるベース基板と、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記ベース基板に立設している複数のフィンとを有し、前記複数のフィンは、それぞれ柱状のものであって、前記発熱源の中心部に対応した位置を中心に放射螺旋状に配置されており、前記複数のフィンの密度分布は、放射螺旋状の中心付近が高く、周辺部に行くにつれて低くなっており、前記ブロアの風の吐出口は、前記ヒートシンクの前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心部に対向させて設けられており、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心に、さらに、ピンが前記ベース基板に立設して設けられており、前記ブロアの風の吐出口は、前記ピンに対向して配置され、前記ブロアの風の吐出口先端と前記ピンの先端との間の間隔は、2.5mm乃至5mmの範囲に設定されることを特徴としている。
請求項1記載の発明によればブロア(マイクロブロア(薄型ブロア))を用いる場合にも、冷却能力を低下させることなく、小型で薄型の冷却システムを実現することができる。
請求項2に記載の発明によればさらに、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心には、ピンが前記ベース基板に立設されて設けられているので、このピンによって、ブロア(マイクロブロア)の吐出口から一直線かつ狭い範囲に集中して吹き出される気流をある程度拡散させて、実効的な熱交換面積を大きくすることができ、より一層冷却能力を向上させ、小型で薄型の冷却システムを実現することができる。
軸流ファンの場合の風の流れ(風が当たっている範囲)を例示する図である。 ブロアの場合の風の流れ(風が当たっている範囲)を例示する図である。 従来のヒートシンクの構成例を示す図である。 特許文献2に示されているようなブロアと図3に示した従来のヒートシンクとを組み合わせた冷却システムの例を示す図である。 特許文献2に示されているブロアの図である。 特許文献2に示されているブロアの図である。 特許文献2に示されているブロアの図である。 特許文献2に示されているブロアの図である。 特許文献2に示されているブロアの動作を説明するための図である。 図4の冷却システムの構成において、ブロアの吐出口とヒートシンクのフィンの先端との間の距離(間隔)d1を示す図である。 本発明のヒートシンクの第1の構成例を示す図である。 特許文献2に示されているようなブロアと図11(a),(b)に示した第1の構成例のヒートシンクとを組み合わせた冷却システムの例を示す図である。 図12の冷却システムの構成において、ブロアの吐出口とヒートシンクのフィンの先端との間の距離(間隔)d2を示す図である。 本発明のヒートシンクの第2の構成例を示す図である。 特許文献2に示されているようなブロアと図14(a),(b)に示した第2の構成例のヒートシンクとを組み合わせた冷却システムの例を示す図である。 図15の冷却システムの構成において、ブロアの吐出口とヒートシンクのピンの先端との間の距離(間隔)d3を示す図である。 ブロアとヒートシンクとの間の距離に対する発熱源の温度上昇分の実験結果を示す図である。 第1の構成例の熱流体解析結果を示す図である。 第2の構成例の熱流体解析結果を示す図である。 フィンの種々の断面形状を示す図である。 図20(c)の断面形状をもつフィンの配置例を示す図である。 側面に螺旋状の溝が設けられているピンを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図11(a),(b)は本発明のヒートシンクの第1の構成例を示す図である。なお、図11(a)は正面図(発熱源とは反対の側から見た図)、図11(b)は側面図である。図11(a),(b)を参照すると、第1の構成例のヒートシンク30は、発熱源60からの熱を受けるベース基板(受熱部)31と、該ベース基板31の前記発熱源60とは反対の側において前記ベース基板31に立設している複数のフィン32とを有し、前記複数のフィン32は、それぞれ柱状(図11(a),(b)の例では、円柱状)のものであって、前記発熱源60の中心部に対応した位置を中心に放射螺旋状に配置されており、前記複数のフィン32の密度分布は、放射螺旋状の中心付近が高く、周辺部に行くにつれて低くなっている。
ここで、ベース基板(受熱部)31、フィン32は、熱伝導率の良い銅やアルミニウムなどで形成されている。また、フィン32は、ベース基板(受熱部)31と一体のものとして形成されている。
また、発熱源60は、後述の図12の例では、LED61と、LED61が配置されLED61からの熱を放熱する放熱基板(セラミック基板)62とからなっており、放熱基板(セラミック基板)62をヒートシンク30のベース基板(受熱部)31に接着することで、ヒートシンク30に取り付けられている。
図12には、特許文献2に示されているような(図5乃至図9に示したような)ブロア(薄型ブロア)70と図11(a),(b)に示した第1の構成例のヒートシンク30とを組み合わせた冷却システムの例が示されている。
すなわち、図12の例では、ヒートシンク30の前記複数のフィン32の放射螺旋状配置の中心部に対向させて(正対させて)、特許文献2に示されているような(図5乃至図9に示したような)ブロア(薄型ブロア)70の風の吐出口が配置されている。
本発明のヒートシンクの第1の構成例では、図12の例のように発熱源60の真裏に吹き付けているブロア(薄型ブロア)70の吐出口(直径が例えば1mm程度)からの気流を最大限に活用するために、ヒートシンク30のフィン32の配置構造が上述のように規定されている。すなわち、本発明のヒートシンクの第1の構成例では、フィン32は、ブロア(薄型ブロア)70からの気流との実効的な熱交換面積を大きくするために(すなわち、流路長を長くするために)、発熱源60の真裏を中心に放射螺旋状に配置されている。さらに、フィン32は、密度分布については、熱交換に最も寄与する中心部を高密度に、かつヒートシンク全体の流体抵抗を低減するべく周辺部に行くにつれて低密度となるように、密度に関して傾斜が設けられている。
本願の発明者は、実際、図12の冷却システムの構成において、ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク30との間の距離(より正確には、図13に示すように、ブロア70の吐出口10aとヒートシンク30のフィン32の先端との間の距離(間隔)d2)を変えて発熱源の温度を測定した(具体的には、距離(間隔)d2を3mm・5mm・10mm・15mm・20mmの5点について測定を行った)。
ヒートシンク30としては、具体的には、30mm角・厚さ0.5mmのベース基板(銅板)31上に直径1.2mm・長さ5mmの円柱状の銅製のフィン32が、発熱源60の真裏であって発熱源60の中心部に対応した位置を中心として、10条の軌跡を描きながら、1条あたり平均5.5本(計55本)、放射螺旋状に立設しているものを用いた。ここで、フィン32間のピッチは段階的に変化しており、中心部のピッチは1.5mm、外周部のピッチは2.5mmとなっている。なお、フィン32は、ベース基板31と例えば一体のものとして形成されている。そして、複数のフィン32の放射螺旋状配置の中心部が、丁度ブロア(薄型ブロア)70の吐出口(直径が例えば1mm程度)の延長線上に位置するようにしている。また、ヒートシンク30の裏面には、30mm角・厚さ1.5mmの放熱基板(セラミック基板)62を熱伝導性グリスによって接着し、発熱源となるLED61(投入電力3W)が放熱基板(セラミック基板)62の中央に実装されている。なお、ヒートシンク30と放熱基板(セラミック基板)62の外形は等しく、放熱基板(セラミック基板)62の表面には実装されたLED61を点灯させるための回路パターンと、給電のためのコネクタ(図示せず)が実装されている。なお、放熱基板(セラミック基板)62へのLEDの実装は、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点からAuSn共晶ハンダが好適である。また、放熱基板(セラミック基板)62への回路パターンの実装も、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点から、活性金属を含むロウによるロウ付けが好適である。
図17には、図12の冷却システムにおける上記の実験結果(ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク30との間の距離に対する発熱源の温度上昇分)が「第1の構成例」として示されている。図17の実験結果から、発熱源であるLEDの温度上昇は、ブロア70とヒートシンク30との間の距離d2におよそ反比例して減少することがわかった。すなわち、第1の構成例では、ブロア70とヒートシンク30との間(より正確には、ブロア70の吐出口10aとヒートシンク30のフィン32の先端との間)に5mm程度の間隙d2を設ければ、ブロア70からの気流に周囲の空気がベルヌーイの定理によって巻き込まれ、ヒートシンク30に当たる正味の風量と、風の当たっている面積が共に増加するため、十分な冷却効果が期待できる。
換言すれば、図17において、第1の構成例の実験結果と従来技術の実験結果とを比較すると、従来技術のフィン配置に対する第1の構成例のフィン配置による温度低減効果への寄与は約10℃であることがわかる。これは、図17からわかるように、同じ冷却効果を得るのに、第1の構成例では従来技術よりも、ヒートシンクとブロア70との間の距離を15mm程度短くすることができることを意味する。すなわち、同じ冷却効果を得るのに、従来技術では、ヒートシンクとブロア70との間の距離が20mm必要であったが、第1の構成例では、ヒートシンクとブロア70との間の距離を5mm以下にすることが可能となる。すなわち、第1の構成例では、ブロア70の風の吐出口先端とフィン32の先端との間の間隔d2を、2.5mm乃至5mmの範囲に設定することが可能となり、ブロア(マイクロブロア(薄型ブロア))を用いる場合にも、冷却能力を低下させることなく、小型で薄型の冷却システムを実現することができる。
図14(a),(b)は本発明のヒートシンクの第2の構成例を示す図である。なお、図14(a)は正面図(発熱源とは反対の側から見た図)、図14(b)は側面図である。なお、図14(a),(b)において、図11(a),(b)と同様の箇所には同じ符号を付している。図14(a),(b)を参照すると、第2の構成例のヒートシンク40は、第1の構成例のヒートシンク30と基本的な構成は同じであり、第1の構成例の図11(a),(b)のヒートシンク30において、さらに、ベース基板31の発熱源60とは反対の側において複数のフィン32の放射螺旋状配置の中心には、ピン43がベース基板31に立設されて設けられている。
ここで、ピン43は、熱伝導率の良い銅やアルミニウムなどで形成されている。また、ピン43は、例えば、ベース基板(受熱部)31と一体のものとして形成されている。
また、ピン43は、図14(a),(b)の例では、ピン43の先端(後述のように、ブロアの風の吐出口に対向する側のピン43の先端)が円錐形状または角錐形状となっている。
図14の例のようにピン43の先端が円錐形状または角錐形状(例えば、三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など)となっている場合、図14(b)に示すように、ピン43の高さh1は、フィン32の高さh0よりも高くなっているのが好ましい。
図15には、特許文献2に示されているような(図5乃至図9に示したような)ブロア(薄型ブロア)70と図14(a),(b)に示した第2の構成例のヒートシンク40とを組み合わせた冷却システムの例が示されている。
すなわち、図15の例では、複数のフィン32の放射螺旋状配置の中心に設けられているピン43に対向させて(正対させて)、特許文献2に示されているような(図5乃至図9に示したような)ブロア(薄型ブロア)70の風の吐出口(直径が例えば1mm程度)が配置されている。
本発明のヒートシンクの第2の構成例では、放射螺旋状のフィン32の配置構造の中央に、さらに先端が円錐形状または角錐形状のピン43を立てることによって、ブロア(薄型ブロア)70の吐出口(直径が例えば1mm程度)から吹き付けられた気流をピン43の先端の円錐形状または角錐形状に沿って周囲に拡散させるようにしている。このように、ブロア(薄型ブロア)70の吐出口(直径が例えば1mm程度)から一直線かつ狭い範囲に集中して吹き出される気流をある程度拡散させることによって、実効的な熱交換面積を大きくすることができ、第1の構成例よりもさらに一層十分な冷却効果を得ることができる。
本願の発明者は、実際、図15の冷却システムの構成において、ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク40との間の距離(より正確には、図16に示すように、ブロア70の吐出口10aとヒートシンク40のピン43の先端との間の距離(間隔)d3)を3mmにして発熱源の温度を測定した(具体的には、距離(間隔)d3を3mmの1点について測定を行った)。
ヒートシンク40としては、具体的には、30mm角・厚さ0.5mmのベース基板(銅板)31上に直径1.2mm・長さ5mmの円柱状の銅製のフィン32が、発熱源60の真裏であって発熱源60の中心部に対応した位置を中心として、10条の軌跡を描きながら、1条あたり平均5.5本(計55本)、放射螺旋状に立設しているものを用いた。ここで、フィン32間のピッチは段階的に変化しており、中心部のピッチは1.5mm、外周部のピッチは2.5mmとなっている。なお、フィン32は、ベース基板31と例えば一体のものとして形成されている。さらに、フィン32配置の中央に直径1.2mm・長さ8mm・先端が頂角60度の円錐形の円柱状の銅製のピン43が立設している。そして、この先端が円錐形のピン43が、丁度ブロア(薄型ブロア)70の吐出口の延長線上に位置するようにしている。また、ヒートシンク40の裏面には、30mm角・厚さ1.5mmの放熱基板(セラミック基板)62を熱伝導性グリスによって接着し、発熱源となるLED61(投入電力3W)が放熱基板(セラミック基板)62の中央に実装されている。なお、ヒートシンク40と放熱基板(セラミック基板)62の外形は等しく、放熱基板(セラミック基板)62の表面には実装されたLED61を点灯させるための回路パターンと、給電のためのコネクタ(図示せず)が実装されている。なお、放熱基板(セラミック基板)62へのLEDの実装は、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点からAuSn共晶ハンダが好適である。また、放熱基板(セラミック基板)62への回路パターンの実装も、種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点から、活性金属を含むロウによるロウ付けが好適である。
図17には、図15の冷却システムにおける上記の実験結果(ブロア(薄型ブロア)70とヒートシンク40との間の距離に対する発熱源の温度上昇分)が「第2の構成例」として示されている。図17の実験結果から、第2の構成例では、第1の構成例よりもさらに一層十分な冷却効果を得ることができることがわかる。
実際、図17において、第2の構成例の実験結果と第1の構成例の実験結果とを比較すると、第1の構成例のフィン配置に対する第2の構成例のフィン配置による温度低減効果への寄与は約10℃であることがわかる。これは、図17からわかるように、同じ冷却効果を得るのに、第2の構成例では第1の構成例よりも、ヒートシンクとブロア70との間の距離を2mm程度短くすることができることを意味する。すなわち、同じ冷却効果を得るのに、第1の構成例では、ヒートシンクとブロア70との間の距離が5mm必要であったが、第2の構成例では、ヒートシンクとブロア70との間の距離を3mm以下にすることが可能となる。また、第2の構成例の実験結果と従来技術の実験結果とを比較すると、従来技術のフィン配置に対する第2の構成例のフィン配置による温度低減効果への寄与は約20℃であることがわかる。これは、図17からわかるように、同じ冷却効果を得るのに、第2の構成例では従来技術よりも、ヒートシンクとブロア70との間の距離を17mm程度短くすることができることを意味する。すなわち、従来技術では、ヒートシンクとブロア70との間の距離が20mm必要であったが、第2の構成例では、ヒートシンクとブロア70との間の距離を3mm以下にすることが可能となる。すなわち、第2の構成例では、ブロア70の風の吐出口先端とピン43の先端との間の間隔d3を、2.5mm乃至5mmの範囲に設定することが可能となり、ブロア(マイクロブロア(薄型ブロア))70を用いる場合にも、冷却能力を低下させることなく、小型で薄型の冷却システムを実現することができる。
本願の発明者は、本発明における気流拡散効果を検証するため、第1の構成例と第2の構成例の2モデルについて、熱流体解析を行った。図18、図19は、それぞれ、第1の構成例、第2の構成例の熱流体解析結果を示す図である。なお、図18(a)、図19(a)は正面図(発熱源とは反対の側から見た図)、図18(b)、図19(b)は側面図である。
図19を図18を比較すると、第2の構成例においては、ヒートシンクの放射螺旋状のフィン配置の中央に立設した、先端が円錐形の円柱状のピン43に沿って、ブロア70から吹き付けられた気流が円錐形状に沿って周囲に拡散されていることがわかる。気流が拡散されることによって、熱交換に寄与する正味のフィン32の本数、ヒートシンクに風が当たる面積が増えて、ヒートシンクから気流への実効的な熱伝達率が向上したと考えられる。
一方、第1の構成例では、ブロア70からの気流を拡散させる手段が無いために、図18に示すように、ブロア70からの気流のほとんどはそのまま直進してヒートシンクのベース面に当たっており、熱交換に寄与するフィン32は中心部の5本程度と考えられる。そのため、第2の構成例と比べて、ヒートシンクに風が当たる面積は小さく、ヒートシンクから気流への実効的な熱伝達率が劣ると考えられる。
以上のことから、本発明では、従来技術に比べれば、第1の構成例ははるかに望ましいが、第2の構成例は、さらに、第1の構成例よりも好ましいことがわかる。
上述の各例では、フィン32およびピン43は、ベース基板(受熱部)31と一体のものとして形成されていたが、フィン32またはピン43は、ベース基板(受熱部)31と別体のものでもよく、この場合、フィン32またはピン43は、例えば、ベース基板(受熱部)31に螺合して取り外し可能に取り付けられている。このように、ヒートシンクの成形法については種々の方法を用いることができるが、熱伝導の観点から、ベース基板(受熱部)31とフィン32またはピン43とを別々に成型して両者を接合する手法よりは、機械加工や放電加工等によって1つの銅ブロックから削り出す手法が好適である。すなわち、フィン32またはピン43は、ベース基板(受熱部)31と一体のものとして形成されているのが好ましい。
また、上述の例では、フィン32は、円柱状のものとしたが、角柱状(三角柱、四角柱、五角柱、六角柱など)のものであっても良いし、あるいは、フィン32の形状の、断面の長軸方向を螺旋の軌跡に沿わせるように配置することで、図20(a),(b),(c)に示すような種々の断面形状(楕円形状、長方形形状、・・・など)のものにすることもできる。図21には、図20(c)の断面形状をもつフィン32の配置例が示されている。また、全てのフィン32が同じ形状のものになっていなくても良い。例えば、中心部から周辺部にかけて、フィン32の形状を徐々に変えたりすることもできる。
また、ピン43は、先端が円錐形状または角錐形状となっているとしたが、これの代わりに、図22に示すように、ピン43の側面に螺旋状の溝が設けられていても良い。この場合、ピン43の高さは、フィン32の高さと同じにすることができる。
また、上述の例では、ブロア(薄型ブロア)70は、図5乃至図9に示したような構造(圧電素子を用いた圧電マイクロブロア)のものとしたが、吐出口から所定流量、流速の風を吐出する機能を有するものであれば、図5乃至図9に示した以外の構造のものをも用いることができる。また、上述の例では、ブロア(薄型ブロア)70の吐出口は、直径が1mm程度であるとしたが、ブロア(薄型ブロア)70の吐出口の直径は0.5mm〜3mmの範囲であればよい。
また、上述の例では、発熱源60はLEDであるとしたが、LEDに限らず、発熱するものであれば、本発明のヒートシンクを適用できる。
本発明は、光源などの冷却に利用可能である。
30、40 ヒートシンク
31 ベース基板(受熱部)
32 フィン
43 ピン
60 発熱源
70 ブロア

Claims (2)

  1. 発熱源が取り付けられるヒートシンクと、前記ヒートシンクに風を送りヒートシンクを冷却させるためのブロアを備えた冷却システムであって、
    前記ヒートシンクは、発熱源からの熱を受けるベース基板と、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記ベース基板に立設している複数のフィンとを有し、
    前記複数のフィンは、それぞれ柱状のものであって、前記発熱源の中心部に対応した位置を中心に放射螺旋状に配置されており、
    前記複数のフィンの密度分布は、放射螺旋状の中心付近が高く、周辺部に行くにつれて低くなっており、
    前記ブロアの風の吐出口は、前記ヒートシンクの前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心部に対向させて設けられており、
    前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心に、ピンを前記ベース基板に立設して設けていない場合、前記ブロアの風の吐出口先端と前記フィンの先端との間の間隔は、2.5mm乃至5mmの範囲に設定されることを特徴とする冷却システム。
  2. 発熱源が取り付けられるヒートシンクと、前記ヒートシンクに風を送りヒートシンクを冷却させるためのブロアを備えた冷却システムであって、
    前記ヒートシンクは、発熱源からの熱を受けるベース基板と、前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記ベース基板に立設している複数のフィンとを有し、
    前記複数のフィンは、それぞれ柱状のものであって、前記発熱源の中心部に対応した位置を中心に放射螺旋状に配置されており、
    前記複数のフィンの密度分布は、放射螺旋状の中心付近が高く、周辺部に行くにつれて低くなっており、
    前記ブロアの風の吐出口は、前記ヒートシンクの前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心部に対向させて設けられており、
    前記ベース基板の前記発熱源とは反対の側において前記複数のフィンの放射螺旋状配置の中心に、さらに、ピンが前記ベース基板に立設して設けられており、
    前記ブロアの風の吐出口は、前記ピンに対向して配置され、前記ブロアの風の吐出口先端と前記ピンの先端との間の間隔は、2.5mm乃至5mmの範囲に設定されることを特徴とする冷却システム。
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