JP5376802B2 - タンパク質多型と冠動脈心疾患との関係 - Google Patents

タンパク質多型と冠動脈心疾患との関係 Download PDF

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Description

本発明は、冠動脈心疾患に関する危険の増加を同定する方法、および、前記方法に適したプローブ、プライマー、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関する。
西欧諸国において、心臓血管疾患は、男女ともに主な死亡原因であって、冠動脈心疾患、特に冠動脈疾患は、心臓血管疾患の主要な原因である。アンギナ(また狭心症とも言う)とは、心筋に十分な酸素が供給されないために発症する一時的な胸部の痛みまたは圧迫感である。動脈が狭くなっていたりブロックされて、筋肉への血流を高めることができずにより多くの酸素への要求を満たすことができない場合、虚血が起こる可能性があり、それにより痛み(すなわちアンギナ)が生じる。
通常、狭心症は、冠動脈疾患が原因で発症するが、他の冠動脈心疾患によっても発症する可能性がある。虚血を起こした全ての人が狭心症を経験するとは限らない。アンギナを起こさない虚血は、無症候性虚血と呼ばれる。無症候性虚血の危険は、心臓組織が同様にダメージを受けるが、患者がそうとは気付かないということにある。従って、患者または担当医師が、最終的に心筋梗塞を引き起こすまで、心臓に受けている可能性のあるダメージを認識しないことが多い。それゆえに、早期診断、従って早期治療または予防措置を可能にする、血管の変性、特に冠動脈の変性(以下、冠動脈心疾患と称する)を認識するための診断原理が大いに必要である。
従って、本発明の目的は、冠動脈心疾患の改善された診断および治療方法を提供することである。
これは、個体中の冠動脈心疾患に関する危険の増加を同定する方法によって達成され、本方法において、Kir6.2タンパク質中の23位におけるグルタミン酸以外のアミノ酸の存在、および/または、337位におけるバリン以外のアミノ酸の存在が、サンプル中で決定される。
以下、ヌクレオチドおよびアミノ酸に関する標準的な略語(例えば、アミノ酸の3文字または1文字コード)は、省略されていない用語と同義に用いられる。
Kir6.2タンパク質中の23位でのアミノ酸置換(特に、GluからLysへの場合)、および/または、337位でのアミノ酸置換(特に、ValからIleへの場合)を含むKir6.2のタンパク質配列中の多型の同定を用いて、冠動脈心疾患、好ましくは冠動脈疾患および/または狭心症に関して、高い危険なのか、または、通常の危険なのかを予測することができる。これは、例えば、以下で用いることができる:
1)対象のタンパク質領域の配列解析に基づく方法(例えば、標準的なタンパク質分解、マススペクトロメトリーを用いたタンパク質配列フラグメントの解析);
2)対象の領域に対する抗Kir6.2抗体の使用に基づく方法(例えばELISA);
3)例えばヒト、動物、細菌または酵母細胞を用いたインビトロ分析でのKir6.2の機能的な活性の解析に基づく方法。
本発明はさらに、個体における冠動脈心疾患に関する危険の増加を同定する方法に関し、本方法において、Kir6.2タンパク質中の23位にグルタミン酸以外のアミノ酸、および/または、337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2ポリペプチド配列が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方(好ましくは両方)におけるヌクレオチド配列における差異の存在が、サンプル中で決定される。
Kir6.2タンパク質中の23位におけるアミノ酸置換(特に、GluからLysへの場合)、および/または、337位におけるアミノ酸置換(特に、ValからIleへの場合)が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方におけるヌクレオチド配列中の多型の同定を用いて、正常な個体、好ましくは糖尿病患者において、冠動脈心疾患、好ましくは冠動脈疾患、より好ましくは狭心症の危険が高いのかどうかを予測することができる。
これは、例えば、以下で用いることができる:
1)対象のヌクレオチド領域の配列解析に基づく方法(例えば、パイロシーケンシング、放射標識したヌクレオチド、または、蛍光性色素で標識したヌクレオチドを用いた配列解析方法、マススペクトロメトリーを用いた配列フラグメントの解析);
2)対象の領域へのヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに基づく方法(例えば、DNAマイクロアレイ);
3)対象のヌクレオチド領域の増幅産物の解析に基づく方法(例えば、TaqManTM解析)。
内向き整流性K+チャンネルKir6.2(KCNJ11またはBir)は、膵島のATP感受性カリウムチャンネル(IKATP)のサブユニットである。Kir6.2に関する遺伝子は、染色体11p15.1にマッピングされており、Kir6.2タンパク質は、390個のアミノ酸からなる。Kir6.2は、グルコース刺激によるインスリン分泌において主要な役割を有するため、2型糖尿病の発症に関与する遺伝的欠陥に関連する候補遺伝子と考えられている(Yamada等(2001)Diabetes Metab Res Rev 17:213〜216)。
当業界の最先端では、Kir6.2の数種のタンパク質、ゲノムおよびコードポリヌクレオチド配列は既知である。例えば、数種のヒトタンパク質/ゲノムDNA/コード配列は、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information);国立医学図書館(National Library of Medicine),ビルディング38A,ベセスダ,メリーランド州20894,米国;www.ncbi.nhm.nih.gov)データベースで、登録番号XP006398(配列番号3)、(配列番号5)(タンパク質配列)XM006398(配列番号4)、(配列番号6)(コード配列)で公共的に利用可能である。1つのゲノムのKir6.2配列は、NCBI登録番号NT_009307(ヒト第11染色体のゲノムコンティグ;サイズ:8665930bp)で公開されているゲノム連続配列から公共的に利用可能である。mRNA/コード/ゲノムのKir6.2配列のアライメントは、以下のインターネットリンク:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?SendTo=on&db=nucleotide&dispmax=1&extrafeat=-1&list_uids=NT_009307.12&showndispmax=1&view=graph&_from=5656500&_to=5659500&_sfrom=5657000&_font=default&_llen=60&_slen=4000を用いて公共的に利用可能である。
このようなアライメントからわかるように、5656500位〜5659500の配列ストレッチ(配列番号13)は、ゲノムのKir6.2遺伝子座を含む。図2および3で示されるように、それぞれのKir6.2配列は、タンパク質配列に関して23位および/または337位が異なっており、さらにそれに相当するコード配列の位置に関してそれぞれ67/68/69、および、1009/1010/1011で異なっている。コード配列はゲノムDNAの転写産物から生じるため、5657106/107/108位、および、5657478/79/80位に関してゲノム配列が異なる数種の変異体も存在するはずである。
Kir6.2という用語は、Kir6.2のタンパク質および核酸を意味する。タンパク質という用語は、ポリペプチドを含み、加えて、2以上のポリペプチド鎖からなるタンパク質も含み、例えば、既知の結合(例えばS−S架橋)によって互いに連結して1つのタンパク質単位を形成するポリペプチドである。Kir6.2タンパク質という用語は、あらゆるKir6.2タンパク質またはポリペプチド、または、それらの機能的なフラグメントを指すことができる。Kir6.2フラグメントは、例えば、配列番号1〜8または13のいずれか1つに記載の配列を有するKir6.2タンパク質または核酸より短いあらゆるKir6.2タンパク質または核酸であり得る。Kir6.2フラグメントは、好ましくはKir6.2の機能的なフラグメントである。Kir6.2タンパク質の機能的なフラグメントは、Kir6.2の機能のうち少なくとも1つを有するタンパク質フラグメントである(例えば上記を参照)。Kir6.2の機能的な核酸は、例えば、Kir6.2タンパク質、または、機能的なそれらのフラグメントをコードする、または、Kir6.2核酸に特異的にハイブリダイゼーションすることができるKir6.2核酸フラグメントである。
本願において、タンパク質配列、アミノ酸配列およびポリペプチド配列という用語は同義に用いられる。
驚くべきことに、本発明者等の研究により、Kir6.2ポリペプチドの23位において最も頻度が高い変異体は、Glu(グルタミン酸,E)であることが明らかになった。さらに、発明者等は、337位において最も頻度が高い変異体は、Val(バリン,V)であることも明らかにした。従って、本願の範囲内では、それぞれの位置においてこれらのアミノ酸は、Kir6.2の「野生型」とみなす。従って、本願に関するアミノ酸配列において置換もしくは突然変異、または、より頻度の低い変異体と言う場合、23位および/または337位のいずれかにおける野生型アミノ酸が、その「野生型」とは異なることを意味する。
配列番号1に記載の配列(NCBI登録番号D50582;図1Aを参照)、および、配列番号2に記載の配列(NCBI登録番号D50582;図1Bを参照)は、ポリペプチド配列の23位および337位(加えて、それぞれ、コード配列の67/68/69位または1009/1010/1011位、および、ゲノム配列の5657106/07/08位、および、5657478/79/80位)に関して野生型のKir6.2を示す。一方で、NCBIデータベースから得られた、配列番号3に記載の配列(NCBI登録番号XP006398;図2A)、配列番号4に記載の配列(NCBI登録番号XM006398、図2B)、および、配列番号5および配列番号6に記載の新規の配列はそれぞれ、ポリペプチド配列の23位または337位のいずれかににおいてより低い頻度で発生する1個のアミノ酸(および、それぞれの配列の、ヌクレオチド配列の67位または1009位における差異)を包含する。配列番号7(図4A)および配列番号8(図4B)に記載の新規の配列は、アミノ酸鎖の23位および337位の両方においてより低い頻度で発生する変異体:アミノ酸配列の23位のリシン(コード配列の67/68/69位におけるAAG)、および、337位のイソロイシン(コード配列の1009/1010/1011位におけるATC)を包含する。
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、単一のヌクレオチド位置に置換を包含する、所定のヌクレオチド配列の変異体を示す;SNPは当業界周知である。
Kir6.2遺伝子で、翻訳されたタンパク質にアミノ酸置換が生じるような数種の単一ヌクレオチド多型(SNP)が同定されており、例えば、E23K(タンパク質の23位におけるグルタミン酸からリシンへの置換)、L270V(270位のロイシンからバリンへの置換)、および、V377Iである。
近年の研究によれば、Kir6.2の変異体E23Kは、白色人種の個体群において2型糖尿病に関連している(Hani等(1998)Diabetologia 41:1511〜1515)。
しかしながら、心臓血管疾患に関して、ヒトにおけるKir6.2変異体の臨床的な作用に関するデータはこれまでみつかっていない。驚くべきことに、本発明者等の研究により、Kir6.2タンパク質の23位および/または337位におけるアミノ酸配列内の突然変異の存在と、冠動脈心疾患の素因との密接な相関が初めて同定された。
ヒトDNAまたはKir6.2タンパク質を解析することによる、Kir6.2遺伝子中の遺伝子多型、特にKir6.2−23−KK(Kir6.2遺伝子の両方の対立遺伝子のそれに相当する位置での多型の結果として、タンパク質中の23位にリシン(K)を有するKir6.2変異体)、および、Kir6.2−337−II(Kir6.2遺伝子の両方の対立遺伝子のそれに相当する位置での多型の結果として、タンパク質中の337位にイソロイシン(I)を有するKir6.2変異体)の検出を、例えば(a)特に糖尿病患者における、冠動脈心疾患、より具体的には冠動脈疾患、さらにより具体的には狭心症の予防的処置のための遺伝子マーカーとして、(b)薬物用量を適応させるための遺伝子マーカーとして、(c)薬物スクリーニングの設定を適応させるための遺伝子マーカーとして、および、(d)相/臨床研究において患者を選択するための遺伝子マーカーとして用いることができる。
冠動脈心疾患に関する素因の初期の同定を可能にすることによって、本発明に係る方法は、患者がアンギナまたは心臓組織のダメージのような症状を起こす前に、初期の予防的または治癒的治療を可能にする:上記のアミノ酸置換の一方または両方の同定、または、それらの基礎となるヌクレオチドのmRNAまたはゲノムレベルでの同定によって、治療する医師にとって、冠状の心臓組織または血管へのすでに存在するダメージをスクリーニングするための、または、ダメージおよび/または痛みが生じる前に予防的な医薬を処方するための明確な指標が得られる。
その上、前記アミノ酸置換と、冠動脈心疾患の発病との驚くべき相関により、前記Kir6.2のアミノ酸置換を示さない冠動脈心疾患患者と比較した場合、所定の医薬の用量がより多く必要であることを示唆すること、または、所定の/異なるタイプの薬物療法が必要であることを示すことによって、より有効な冠動脈心疾患の治療を可能にする。
従って、本発明の他の実施態様は、冠動脈心疾患を治療および/または予防するのに有用な医薬の用量を適応させる方法に関し、本方法において、
a)Kir6.2タンパク質中の23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸、および/または、337位においてバリン以外のアミノ酸、
b)Kir6.2タンパク質中の23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位においてバリン以外のアミノ酸が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方におけるヌクレオチド配列中の差異、または、
c)Kir6.2−23−KK、および/または、Kir6.2−337−II、
を有するKir6.2の存在が、個体のサンプル中で決定される。
さらに、本発明のさらにその他の実施態様は、冠動脈心疾患の医薬に応答すると予想される個体を選択する方法に関し、本方法において、
a)Kir6.2タンパク質中の23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸、および/または、337位においてバリン以外のアミノ酸、
b)Kir6.2タンパク質中の23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位においてバリン以外のアミノ酸が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方におけるヌクレオチド配列中の差異、または、
c)Kir6.2−23−KK、および/または、Kir6.2−337−II、
を有するKir6.2の存在が、個体のサンプル中で決定される。
上記個体の選択は、好ましくは、糖尿病患者を意味する;上記医薬は、好ましくは冠動脈疾患、最も好ましくは狭心症の予防薬または治療薬である。好ましくは、23位でのアミノ酸置換は、GluからLysへの置換であり、および/または、337位でのアミノ酸置換は、ValからIleへの置換である。上記サンプルは、好ましくは、単離されたタンパク質または核酸、生体サンプル、例えば組織サンプル、細胞もしくは組織抽出物、または、細胞である。
当業界の最先端では、広範囲の様々な冠動脈心疾患または狭心症の治療薬または予防薬が既知である。
本発明の研究によって初めてKir6.2が冠動脈心疾患の基礎をなすプロセス、または、冠動脈心疾患と相関するプロセスに関与することが同定されたため、本発明のさらなる形態は、冠動脈心疾患を治療および/または予防するのに有用な医薬を同定するための、Kir6.2の使用に関する。
用語「医薬」は、個体における病状の治療または予防的処置に用いることができるあらゆる物質、または、物質の組み合わせを意味する。物質は、どのような生物学的な物質または化学物質でもよいし、または、天然産物の抽出物でもよく、これは、生化学または分子生物学的な方法で精製されたもの、部分的に精製されたもの、合成されたもの、または、製造されたものが可能である。
本発明の様々な形態において、冠動脈心疾患の予防または治療において有用または活性であるとみなされる医薬は、Kir6.2の機能のいずれか1つ、または、細胞中のKir6.2(タンパク質または核酸)の量、または、Kir6.2発現に影響を与える物質または物質の組み合わせであれば、どのようなものでもよい。
この目的を達成するためには、上記物質は、Kir6.2の機能(例えば、上記で列挙したものなど)のいずれかを調節することができるものである。上記物質は、例えば、Kir6.2ポリペプチド/タンパク質またはそれらのフラグメントとの直接の相互作用および干渉によって、Kir6.2タンパク質活性を調節することができるものである。また、上記物質は、Kir6.2発現を、例えば転写(開始、伸長、プロセシングなど)、転写安定性、翻訳レベルでも調節することができるものである。その上、上記物質は、Kir6.2の翻訳後修飾、タンパク質フォールディングなどを調節することができるものである。上記物質は、上記の作用を直接的または間接的に働かせることができるものである(間接的とは、すなわち、Kir6.2の機能/タンパク質活性/発現などに影響を有する天然のシグナル伝達カスケードに干渉する(正または負に)ことを意味する)。
本発明の他の実施態様は、冠動脈心疾患を治療および/または予防するのに有用な医薬をスクリーニングする方法に関し、本方法は、以下の工程を含む:
a.Kir6.2を含む2種のサンプルを提供すること、
b.1つのサンプルと、可能性のある医薬とを接触させること、
c.可能性のある医薬の存在下および非存在下で、Kir6.2の活性またはKir6.2の構造を決定すること、
d.可能性のある医薬の存在下でのKir6.2の活性と、可能性のある医薬の非存在下での活性とを比較すること。
また、可能性のある医薬物質の存在下での活性または構造(すなわち、Kir6.2タンパク質のフォールディング)は、野生型Kir6.2タンパク質の活性または構造と比較することができる。
好ましくは、上記サンプルは、Kir6.2の単離されたタンパク質またはタンパク質フラグメント、または、Kir6.2の単離された核酸または核酸フラグメントを含むか、または、それ自身である。
本発明に関して、「単離されたタンパク質」、「単離された核酸」等のように用いられている用語「単離された」は、自然源から精製されたタンパク質/核酸、同様に、組換えタンパク質/核酸(当然ながら、これも精製してあってもよい)を意味する。
冠動脈心疾患と相関があると同定されたKir6.2中のアミノ酸置換は、冠動脈心疾患の治療および/または予防に影響を与える可能性が極めて高いため、上記の使用または方法のいずれか1つに用いられるKir6.2としては、例えば、以下が挙げられる:
a)Kir6.2タンパク質中の23位にグルタミン酸以外のアミノ酸、および/または、337位にバリン以外のアミノ酸を含む、Kir6.2タンパク質、またはそれらのフラグメント、
b)Kir6.2タンパク質中の23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位においてバリン以外のアミノ酸が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方におけるヌクレオチド配列中の差異を含むKir6.2核酸、またはそれらのフラグメント、または、
c)Kir6.2−23−KK、および/または、Kir6.2−337−II。
可能性のある医薬を、前記アミノ酸置換の一方または両方を包含するKir6.2のタンパク質の機能および/またはフォールディングを、野生型タンパク質の機能および/またはフォールディングに復元する能力に関してスクリーニングすることによって、冠動脈心疾患を治療および/または予防するための医薬活性物質を同定することができる。
当業界の最先端では、医薬のスクリーニング方法およびシステム、特に、単離されたタンパク質またはタンパク質フラグメント、前記タンパク質を発現する細胞等を用いたハイスループット様式で用いられるような上記方法およびシステムは周知である。
当業界の最先端では、適切な分析方法または分析システム、すなわち、本発明に関して規定された標的分子の活性または濃度、Kir6.2の活性またはフォールディング(すなわち大部分がタンパク質または核酸を標的とする)を、可能性のある医薬化合物の有効性のパラメーターとして測定するために用いられる分析は周知である。分析は、例えば、生化学分析方法またはシステムであってもよく、この場合、単離された、または、部分的に単離された成分を用い、これらを規定の空間と時間内で反応混合物に混合して、可能性のある医薬化合物の有効性を試験してもよい。その他の分析の例としては、標的分子の活性、および、この活性に影響を与える能力の有効性を細胞内で決定することができる生化学分析方法またはシステムが挙げられる。
分析は、生物学的なプロセスのモニターが可能ならばどのようなタイプの分析方法またはシステムでもよい。適切には、細胞または生化学の(インビトロでの)システムで、生理学的な代謝経路の一部を示すが、同時に病的状態も示す分子カスケードおよびメカニズムが再現される。従って、可能性のある医薬化合物の薬理学的な活性は、それらのカスケードまたはメカニズムに干渉する、または、それらを調節する能力に従って決定することができる。
上記分析は、新規の医薬化合物のための薬物スクリーニング、特にハイスループットスクリーニングで使用するために再現可能であることが必要であり、さらに、拡張可能で頑丈であることも好ましい。上記分析は、好ましくは、化学物質を、それらの調査中の標的分子の活性を調節する能力に関してハイスループットスクリーニングすることに適している。分析のタイプは、例えば、用いられる標的分子のタイプ(例えばポリペプチドまたはポリヌクレオチド)、および、「読み出し値」、すなわちそれに従って標的分子の活性が決定されるパラメーター(以下を参照)に依存する。
当業界の最先端では、このような分析の様々なタイプは一般的に既知であり、商業的な供給元から市販されている。
様々な目的のための適切な分析としては、放射線同位体または蛍光分析、例えば蛍光偏光分析(例えば、パンベラ(Panvera)によって市販されているもの)、または、標識された要素と標識されていない要素との相互作用(例えば、標識されたタンパク質受容体と、それらの非標識リガンドとの相互作用)を測定するためのパッカード・バイオサイエンス(Packard BioScience,HTRF;ALPHAScreenTM)が挙げられる。
さらなる例としては、細胞ベースの分析が挙げられ、この場合、細胞系は、安定して(誘導的に、または、非誘導的に;染色体またはエピソームによって)、または、一時的に、対象の組換えタンパク質を発現する。これらの分析は、例えば、レポーター遺伝子分析を含み、この場合、ある特定のプロモーター、または、シグナル伝達カスケードの要素のシグナル伝達経路の調節は、レポーター酵素の活性に従って測定され、ここにおいて、この酵素の発現は前記ある特定のプロモーターの制御下である。このタイプの分析については、それ自身調査予定であるか、または、調査中のシグナル伝達カスケードで調節されている規定のプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を含む組換え細胞系を構築しなければならない。当業界の最先端では、適切なレポーター酵素は、一般的に既知であり、例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ(例えば、パッカードの試薬の市販品)、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。適切な細胞系は、分析の目的に依存するが、ほとんどがトランスフェクションが容易であり、さらに培養が容易な細胞系であり、例えばHeLa、COS、CHO、NIH−3T3などが挙げられる。
細胞内のイオンレベルを測定するための分析としては、例えば、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー,モレキュラーデバイス(Molecular Devices)から市販されている)分析が挙げられ、ここにおいて、冷却したCCDカメラと連結されたアルゴンレーザー光源によって、384ウェルプレート中で、細胞(例えば、ニューロン性細胞、またはその他の細胞(例えば、組換えによって、または、天然に存在するある特定のイオンチャンネルを発現する細胞))内の一過性のイオンシグナル(例えば、Ca2+など)を同時に測定することが可能になる。例えば、FLIPR分析で、ある特定の蛍光色素、例えばフルオ−3(Fluo−3)、フルオ−4(Fluo−4)を用いて細胞内カルシウムをモニターすること、または、BCECFまたはBCPCFまたは特定のFLIPR分析キットを用いて細胞内pHをモニターすること、または、例えばDiBACまたは特定のFLIPR分析キットを用いて膜電位変化を検出すること、または、膜分極をモニターすることが可能である。その他の細胞内イオン、例えば亜鉛またはナトリウムをモニターするために、当業界の最先端では既知のその他の色素を用いることができる。その他のタイプの分析およびその他のタイプの読み出し値が、一般的に当業者既知である。
イオンチャンネル活性の決定、例えばKir6.2(これは、例えば細胞内イオン濃度を制御するため、細胞内イオン濃度の測定に用いることができる)のイオンチャンネル活性の決定には、例えば、膜電位感受性分析や色素を用いることができ、例えばDiBAC、または、FLIPR技術に基づくモレキュラーデバイスの膜電位分析キット;JC−1色素をFLIPR技術で測定するミトコンドリアの膜分極;イオン感受性色素などが挙げられる。細胞内カリウム濃度などの決定には、パッチ−クランピングに基づく分析、または、原子吸着による分光分析に基づくルビジウムイオン流出測定が特に適している。細胞内のある特定の変化および状態を検出するためのさらなる自動装置は当業者既知であり、例えば、アキュメン・バイオサイエンス(Acumen bioscience)製の、アキュメン検出器(蛍光ベースのレーザースキャニングリーダーであって、適切に標識された目的物の分布の3次元的な再構成が可能)が挙げられる。当業界の最先端では、その他のタイプの分析およびその他のタイプの「読み出し値」は周知である。
上記のスクリーニング方法または使用には、Kir6.2タンパク質が、配列番号3、5または7に記載の配列を含む、または、それらを有することが好ましい。また、上記の方法または使用に係るタンパク質フラグメントが、配列番号3、5または7に記載の配列を含む、または、それらを有することも好ましい。好ましくは、上記のスクリーニング方法に係る核酸は、配列番号4、6または8に記載の配列を含む、または、それらを有する。さらに、好ましくは、前記スクリーニング方法に係る核酸フラグメントは、配列番号4、6または8に記載の配列を含む、または、それらを有する。
Kir6.2の、23位における野生型の変異体Gluから、および/または、337位における野生型変異体Valからのアミノ酸置換は全て、冠動脈心疾患の素因に影響を与える可能性が極めて高い。従って、野生型からのアミノ酸置換は、基本的には、あらゆるタイプのものが可能である。好ましくは、23位および/または337位でのアミノ酸置換は、それぞれ野生型アミノ酸Glu23およびVal337の特性と異なる特性を有するアミノ酸の取り込みを意味する。従って、23位に、酸性のグルタミン酸の代わりに、非極性または塩基性アミノ酸が置かれることが好ましい。さらにより好ましくは、塩基性アミノ酸、特にリシン(Lys、K)である。野生型ポリペプチドでは非極性アミノ酸のバリン(Val、V)である337位に関しては、337位に、バリンの側鎖より嵩高な側鎖を有する非極性アミノ酸、塩基性または酸性アミノ酸が置かれることが好ましい。より好ましくは、本発明の範囲内で、337位に、バリンの側鎖より嵩高な側鎖を有する非極性アミノ酸が置かれる。上記の方法の最も好ましい実施態様は、Kir6.2の23位にリシン、および/または、Kir6.2の337位にイソロイシンを有する変異体を含む。
遺伝子コードのゆらぎのために、上記のアミノ酸置換を生じるヌクレオチド置換は数種考えられる。遺伝子コードは周知である(参考として、Alberts等,Molecular Biology of the Cell,第三版も参照)。ポリペプチド中の23位のアミノ酸に関して、グルタミン酸からその他のアミノ酸への置換は、配列番号1に記載のコード配列の67/68/69位のうち1またはそれ以上の突然変異によって引き起こすことができる。337位のアミノ酸に関して、バリンからその他のアミノ酸への置換は、配列番号1に記載のDNA配列1009位または1010位の一方または両方の突然変異によって引き起こすことができる。上述したようなある特定のタイプのアミノ酸置換が好ましいため、ヌクレオチド配列に関しても、好ましくは、前記好ましいアミノ酸置換を生じるヌクレオチド置換である。さらにより好ましくは、E23K置換(ポリペプチド配列の23位におけるグルタミン酸からリシンへの置換)、および/または、V337I置換(337位におけるバリンからイソロイシンへの置換;図7も参照)が生じるようなヌクレオチド置換である。最も好ましいSNPは、G67A(コード配列の67位におけるGからAへの置換)、および/または、G1009A(コード配列の1009位におけるGからAへの置換)である。好ましい実施態様は、Kir6.2タンパク質中の23位および/または337位でアミノ酸配列に影響を与える、ゲノム配列内のそれぞれのヌクレオチド置換も包含する。
本発明の様々な形態の好ましい実施態様によれば、上記個体は糖尿病患者であり;さらにより好ましくは、上記糖尿病は、2型糖尿病(真性糖尿病)である。また、冠動脈心疾患は、狭心症である場合も好ましい。
23位でのアミノ酸置換が、GluからLysへの置換である場合、および/または、337位でのアミノ酸置換が、ValからIleへの置換である場合が有利である。上記サンプルは、好ましくは単離されたタンパク質または核酸、組織サンプル、細胞もしくは組織抽出物、または、細胞である。また、上記サンプルは、人体から単離されることが好ましい。
本発明のその他の好ましい実施態様は、上記の方法のいずれか1つに関し、本方法において、Kir6.2−23−KK、および/または、Kir6.2−337−IIの存在が、サンプル中で決定される。上記サンプルは、例えば、生物学的な、例えば組織サンプル、細胞もしくは組織抽出物、または、細胞が可能であり、さらに上記サンプルは、好ましくは、人体から単離されたものである。
生物学的材料、および、生体サンプルは、例えば、細胞、組織もしくは臓器(例えば、脳、血液、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、血管など)の調製物またはその一部を含み、好ましくは、脊椎動物、より好ましくはヒトなどの哺乳動物から得られたものである。また、細胞培養物、好ましくは、多細胞性生物および組織(例えば、HeLa、CHO、COS、SF9または3T3細胞)のいずれかから得られた細胞などの真核細胞の培養物からの細胞、または、単細胞生物、例えば酵母(例えば、S.ポンベ(S.pombe)、または、S.セレビジエ(S.cerevisiae))、または、原核細胞の培養物、好ましくはピチア(Pichia)、または、E.コリ(E.coli)も含まれる。組織から得られた細胞およびサンプルは、血液採取、組織穿刺法または外科的技術のような周知の技術で増やすことができる。組換え分子の製造、および、天然に存在する分子(例えばDNA、または、細胞または組織由来のタンパク質)の精製、同様に、細胞または組織抽出物の製造は、当業者周知である(例えば、以下に列挙される標準的な文献も参照)。
アミノ酸置換の存在は、例えば、個体のゲノムDNAを解析することによって決定することができる。適切な技術は当業界周知であり、例えば、以下が挙げられる:様々なPCR技術、チップハイブリダイゼーション、スロット/ドットまたはサザンブロッティング。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、それらの5’および3’付近に既知の配列のヌクレオチドストレッチを有する配列ストレッチを特異的に増幅させることが可能なインビトロの技術である。所定の配列を増幅するためには、増幅する予定の配列の5’領域の配列がわかっていれば十分である。この場合、まず、増幅する予定のポリヌクレオチドのフラグメントを作製する(これは、既知の技術で行うことができ、例えば制限エンドヌクレアーゼでの消化である)。次に、既知の配列のDNA分子(「リンカー」)を、製造したポリヌクレオチドフラグメントの3’末端に、リガーゼ(例えばT4DNAリガーゼ、これは様々な供給元から市販されている)によってカップリングする。従って、得られた配列を2種の既知の配列(既知の5’配列、および、3’の既知のリンカー配列)で囲むことによって、PCR(この場合、リンカー介在PCR「lmPCR」)によって特異的な増幅を可能にする。
選択された配列を増幅するために、短い一本鎖DNA分子(「プライマー」)が用いられるが、これは、増幅する予定のポリヌクレオチド配列の両端にある配列ストレッチに相補的である。ポリヌクレオチドのテンプレートは、DNAでもRNAでもどちらでもよい。次に、プライマーを一本鎖化したテンプレートにアニールし、規定の、かつ周知の条件下で、特異的な酵素で、いわゆるポリメラーゼ(テンプレートとしてDNAを認識して相補的DNAポリヌクレオチドを生産するDNAポリメラーゼ、または、テンプレートとしてRNAを認識し、相補的DNAポリヌクレオチドを生産する逆転写酵素のいずれか)によって延長させ、それによって、テンプレート鎖の配列に相補的な配列を有する新しいDNA鎖の生成が起こる。規定された温度でのインキュベート工程の規定された順序と、定期的に繰り返される規定された時間間隔を選択することによって、最終的に対象のポリヌクレオチドの指数関数的な増幅が起こるように変性/アニーリング/重合工程の順序が決定される。ポリメラーゼを破壊しないで変性に必要な温度を与えることが可能にするために、95℃以上もの高い温度で十分な耐性を有する熱安定性の酵素、例えばTaq−DNAポリメラーゼ(サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ)、PFUなど(いずれも様々な供給元から市販されている)が用いられる。適切なポリメラーゼの選択は、使用目的に依存し(例えば、PCRによるクローニングの場合は、校正性能を有するポリメラーゼであり、例えば、好ましくはPFUが選択される)、これは当業者の技術範囲内である。
典型的なPCR反応は、ポリヌクレオチドテンプレート(例えば、0.01〜20ng)、2種の適切なプライマー(例えば、それぞれ0.2〜2μMの濃度で)、dNTP(例えば、それぞれ200μMの濃度で)、1〜2mMのMgCl2、および、1〜10単位の熱安定性のポリメラーゼ、例えばTaqを含む。典型的な成分および緩衝液は当業者周知であり、一般的に商業的な供給元から入手可能である。
適切なプライマーは、周知のプロトコールに従って化学合成によって作製することができる。また、このようなプライマーも、MWGバイオテック社(MWG Biotech)などの様々な供給元から市販されている。
DNAおよびRNAテンプレート、さらにcDNAテンプレートも、周知の標準的な手法によって作製することができ(例えば、以下の標準的な文献を参照)、また、プロメガ(Promega)やストラタジーン(Stratagene)などの商業的な供給元から購入することもできる。
ゲノムDNA(および/、または、RNA、および/または、タンパク質)を含む生体サンプルの製造方法は当業界周知である。参考として、例えば、Sambrook等のCurrent Protocols in Molecular Biology or Protein Scienceを参照。
本発明の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程からなる、または、含む方法によって決定される:
e.個体からゲノムDNAを含む生体サンプルを製造すること。
f.標的配列が、その場での方法、例えば上記のサンプル(例えば、組織サンプルまたは細胞)を直接用いたインサイチュPCR、または、直接のゲノム配列解析で直接解析することができない場合、a)に記載のサンプルからのゲノムDNAは、単離するか、または、少なくとも部分的に精製する必要がある。
g.コード配列の67/68/69位および/または1009/1010/1011位に相当する、ゲノムのKir6.2配列のヌクレオチド位置を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマーを用いたPCR反応によって、ポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること。
h.c)に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること。
配列番号13に記載のゲノムのKir6.2配列に関して、上記のゲノム配列内の「それに相当する位置」は、それぞれ5657106/5657107/5657108、および、5657978/5657979/5657980である(図8−1および図8−2を参照)。
次に、タンパク質中に上記のアミノ酸置換の1種またはそれ以上が生じるような、ゲノム配列中の1個またはそれ以上のヌクレオチド置換の存在は、既知の標準的な手法(例えば、標識された配列解析用プライマーを用いて、オートラジオグラフィまたは蛍光によるシグナル検出を行うこと)に従って同定することができる。
上記のポリヌクレオチドフラグメントを増幅するための適切なプライマーの選択および設計は、当業者の能力の範囲内である。参考として、例えば、Sambrook等のCurrent Protocols in Molecular Biologyを参照。前記プライマーの製造にも同じことが当てはまり、これはまた、商業的な供給元(例えば、メタビオン(MetaBion),マルティンスリート,ドイツ)に注文することもできる。配列解析および/または増幅には、好ましくは、配列番号9、10、11または12に記載のプライマーの少なくとも1種が用いられる(図5を参照)。
本発明のその他の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程を含む、または、それらからなる方法によって決定される:
a.染色体/ゲノムDNAを含む生体サンプルを製造すること。
b.a)に記載のサンプルから染色体DNAを単離すること。
c.それをキャリアーに固定すること。
d.ストリンジェントな条件下で、前記アミノ酸置換の一方または両方が生じるような1個またはそれ以上のヌクレオチド置換を包含するKir6.2配列に、野生型Kir6.2配列より高い親和性で結合することができる1またはそれ以上のプローブを、固定されたDNAにハイブリダイゼーションすること。
ハイブリダイゼーションは、それ相応に標識されたプローブを用いたオートラジオグラフィまたは蛍光のような標準的な方法に従って可視化することができる。
次に、Kir6.2タンパク質中の337位および/または23位においてアミノ酸置換が生じるような、ゲノムのKir6.2配列中のヌクレオチド置換の存在または非存在は、患者のサンプルから生じるハイブリダイゼーションパターンおよび/または強度と、野生型ゲノムDNAを含むコントロールサンプルのハイブリダイゼーションパターンおよび/または強度とを比較することによって同定することができる。
単離されたポリヌクレオチド、および、オリゴヌクレオチドを用いて、様々なストリンジェンシー条件でハイブリダイゼーションすることができる。
ストリンジェンシーは、2つの一本鎖化された核酸分子のハイブリダイゼーションまたはアニーリングの特異性に影響を与える反応条件を説明したものである。ストリンジェンシー、すなわち反応特異性は、特に、反応に用いられる温度および緩衝液の条件に依存する:例えば、反応温度を高めたり、および/または、反応緩衝液のイオン濃度を低くしたりすることによって、ストリンジェンシー、すなわち特異性を高めることができる。例えば、ハイブリダイゼーションが、室温で、2×SSC溶液中で行われる場合、低ストリンジェンシー条件である(すなわち反応およびハイブリダイゼーション特異性が低い)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、68℃で、0,1×SSC、および、0,1%SDS溶液中でのハイブリダイゼーション反応を含む。
本発明の様々な形態におけるストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、好ましくは、以下のように理解される:
1)標識されたプローブを解析する予定の核酸サンプルと、65℃でハイブリダイゼーションすること、または、オリゴヌクレオチドプローブの場合、オリゴヌクレオチドとサンプルとからなる二重鎖のアニーリングまたは融解温度より5℃低い温度で(アニーリングおよび融解温度は、以下で同義的に理解される)、50mMのトリス(pH7.5)、1MのNaCl、1%SDS、10%硫酸デキストラン、0.5mg/ml変性サケまたはニシン精液DNA中で、一晩ハイブリダイゼーションする。
2)室温で10分間、2×SSC中で洗浄する。
3)65℃(または、オリゴヌクレオチドの場合:アニーリング温度より5℃低い温度で)で30分間、1×SSC/0.1%SDS中で洗浄する。
4)65℃(または、オリゴヌクレオチドの場合:アニーリング温度より5℃低い温度で)で30分間、0.1×SSC/0.1%SDS中で洗浄する。
オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドであり、好ましくは、15〜30個のヌクレオチド、好ましくは20個のヌクレオチドの長さを有するDNAフラグメントである。アニーリング温度は、式:Tm(℃)=2×(A+Tの数)+4×(G+Cの数)に従って決定される。
2×SSCまたは0.1×SSC(または、その他のあらゆる種類のSSC希釈液)を製造するために、例えば、20×SSCを必要に応じて希釈する。20×SSCは、3MのNaCl/0.3Mのクエン酸Na×2H2Oからなる。
ポリヌクレオチドが、電気泳動分離を行った後に必要な場合(それに続いて:サザンブロット(DNA)またはノーザンブロット(RNA))、または、電気泳動分離を行わない場合(それに続いて:スロットまたはドットブロット)、ポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション反応を行う前に適切なメンブレン(例えばナイロンまたはニトロセルロースメンブレン)に移される。ハイブリダイゼーションは、適切に標識されたプローブを用いて行われる。適切な標識技術は、例えば、放射標識、または、蛍光色素を用いた標識である。プローブは、一本鎖化されたポリリボまたはポリデオキシリボヌクレオチドであり、これらは、自然状態で一本鎖であるが、通常は二本鎖であり、変性によって一本鎖にする。このプローブは、DNAまたはRNAサンプル(これらも一本鎖化された状態である)と塩基対を形成することによって結合する。
上記DNAは、例えば、チップのマトリックス(例えば、アフィメトリックス(Affymetrix)のチップなど)、または、適切なメンブレン(例えば、ニトロセルロース、ナイロン、または、ドットまたはスロットブロットに適したもの)に直接固定してもよいし、または、ゲルのマトリックスに移して、電気泳動で分離し、その後適切なメンブレンにブロットしてもよい(例えば、ニトロセルロース、ナイロン、または、サザンブロットに適したもの)。当業界の最先端では、適切なチップまたはメンブレン、同様にそれに相応する方法は周知である。上記の方法、例えばチップハイブリダイゼーション、ドット/スロットまたはサザンブロッティングは、当業界周知である(参考として、例えば、以下に列挙される文献を参照すること)。
適切なプローブの選択および設計は、当業界周知である(例えば、Sambrook等のCurrent Protocols in Molecular Biologyを参照)。前記プローブの製造にも同じことが当てはまり、これらもまた、商業的な供給元(例えばメタビオン,マルティンスリート,ドイツ)より入手可能である。例えば、Kir6.2タンパク質の23位および/または337位において上記のアミノ酸置換のいずれか1が生じるような、少なくとも1つのヌクレオチド置換を包含する、コード配列の67/68/69位および/または1009/1010/1011位に相当するヌクレオチド位置を含むゲノムのKir6.2配列の部分に、より高い親和性を有するプローブであればどのようなものでも適切である。適切なプローブは、例えば、図6に記載のゲノムヌクレオチドのトリプレットを包含すると予想されるものである。
また、アミノ酸置換の存在は、個体のRNAを解析することによって決定することもできる。適切な技術は当業界周知であり、例えば、RT−PCR技術、チップハイブリダイゼーション、または、ノーザンブロッティングが挙げられる。
本発明のその他の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程を含む、または、それらからなる方法によって決定される:
a.個体由来のRNAを含む生体サンプルを提供すること。
b.RNAを直接解析する必要がない場合(例えば、その場でのPCRによって)、a)に記載のサンプルからRNAを単離するか、または、少なくとも部分的に精製すること。
c.Kir6.2のcDNA配列の67位および/または1009位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマーを用いたRT−PCR反応によってポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること。
d.c)に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること。
配列解析は、標準的な手法に従って行うことができる。生成した配列ラダーの可視化は、例えば、蛍光または放射性標識したプライマーまたはヌクレオチドを用いて行うことができる。
次に、Kir6.2タンパク質中の337位および/または23位においてアミノ酸置換が生じるような、Kir6.2のコード配列中の1個またはそれ以上のヌクレオチド置換の存在または非存在は、得られた配列を解析して、それと野生型Kir6.2配列とを比較することによって決定することができる。
適切なプライマーの選択および設計は当業界周知である(例えば、Sambrook等のCurrent Protocols in Molecular Biologyを参照)。前記プライマーの製造にも同じことが当てはまり、これらもまた、商業的な供給元(例えばメタビオン,,マルティンスリート,ドイツ)より入手可能である。例えば、67位〜69位、および/または、1009位〜1011位を包含するKir6.2のコード配列の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドを増幅することができるのであればどのようなプライマー群でも適切である。好ましいプライマーは、例えば、配列番号9〜12に記載のものである。
本発明のその他の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程を含む、または、それらからなる方法によって決定される:
a.個体由来のRNAを含む生体サンプルを提供すること。
b.a)に記載のサンプルからRNAを単離すること。
c.該RNAをキャリアーに固定すること。
d.ストリンジェントな条件下で、23位にグルタミン酸および/または337位にバリンを包含するKir6.2ポリペプチドをコードするKir6.2のRNAより高い親和性で、23位にグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2ポリペプチドをコードするKir6.2のRNAに結合することができる1種またはそれ以上のプローブに、固定されたRNAをハイブリダイゼーションすること。
ハイブリダイゼーションは、それ相応に標識されたプローブを用いたオートラジオグラフィまたは蛍光イメージングのような標準的な手法に従って可視化することができる。
次に、Kir6.2タンパク質中の337位および/または23位においてアミノ酸置換が生じるような、Kir6.2のコード配列中のヌクレオチド置換の存在または非存在は、ハイブリダイゼーションパターン、および/または、シグナル強度を解析し、それと、Kir6.2野生型RNAを含むコントロールサンプルのハイブリダイゼーションパターン、および/または、シグナル強度とを比較することによって決定することができる。
RNAは、例えば、ハイブリダイゼーションの前に、チップのマトリックス、または、適切なメンブレンに直接固定することができ、または、ゲルのマトリックス上に置き、ゲル電気泳動を行った後に適切なメンブレンにブロットすることもできる(ノーザンブロッティング)。参考として、例えば、以下に列挙される文献を参照。
適切なプローブの選択および設計は、当業界周知である(例えば、Sambrook等のCurrent Protocols in Molecular Biologyを参照)。前記プローブの製造にも同じことが当てはまり、これらもまた、メタビオン(マルティンスリート,ドイツ)のような商業的な供給元より入手可能である。例えば、Kir6.2タンパク質の23位および/または337位において上記のアミノ酸置換のいずれか1つが生じるような、少なくとも1つのヌクレオチド置換を包含する、67位〜69位、および/または、1009位〜1011位を含むKir6.2のRNA配列の一部により高い親和性を有するプローブであればどのようなものでも適切である。
また、アミノ酸置換の存在は、個体のプロテオーム(すなわち、個体内で発現されるタンパク質)を解析することによっても決定することができる。適切な技術は当業界周知であり、例えば以下が挙げられる:プロテオームのチップ解析、タンパク質、細胞または組織サンプルの免疫組織学的または免疫化学的な技術、または、ウェスタンブロット解析。参考として、例えば以下に列挙される文献が参照される。
本発明のその他の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程を含む、または、それらからなる方法によって決定される:
a.個体由来のタンパク質を含む生体サンプルを提供すること。
b.該タンパク質をa)に記載のサンプルから単離すること。
c.それをキャリアーに固定すること。
d.そのポリペプチド鎖の337位にグルタミン酸および/または337位にバリンを包含するKir6.2より高い親和性で、そのポリペプチド鎖の23位にグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2に結合することができる抗体との結合反応を行うこと(野生型タンパク質に結合することができない条件下、または、かなり低い親和性の条件下で);
e.該タンパク質への該抗体の結合を可視化すること;(例えば、標識された一次抗体、または、標識された二次抗体などによって)。
上記タンパク質は、例えば、チップのマトリックス、または、適切なメンブレン上に直接固定してもよいし、または、ELISAプレートのようなその他のタイプのキャリアーに固定してもよい。また、上記タンパク質は、ゲルに置き、キャリアー(例えば適切なメンブレン)上に移し、ゲル電気泳動を行った後にキャリアー上に固定してもよい(ウェスタンブロット)。
本発明のさらにその他の好ましい実施態様によれば、アミノ酸置換の存在は、以下の工程を含む、または、それらからなる方法によって決定される:
a.個体由来の組織サンプルを提供すること。
b.そのポリペプチド鎖の337位にグルタミン酸および/または337位にバリンを包含するKir6.2より高い親和性で、そのポリペプチド鎖の23位にグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2に結合することができる抗体との結合反応を行うこと(野生型Kir6.2タンパク質に結合することができない条件下、または、かなり低い親和性の条件下で)。
c.該タンパク質への該抗体の結合を可視化すること;(例えば、標識された第一または二次抗体によって)。
次に、突然変異の存在または非存在は、標識された組織サンプルを解析して、そのシグナル強度と、コントロールサンプル(例えば、擬似的な一次抗体または抗血清(すなわち、突然変異を含むKir6.2と反応性を有さない一次抗体または抗血清、または、特異的な一次抗体または抗血清よりもかなり低い程度で、突然変異を含むKir6.2と反応する一次抗体または抗血清)、または、野生型Kir6.2タンパク質に特異的な一次抗体、および/または、野生型Kir6.2タンパク質のみを含むことが既知のコントロールサンプルで処理した同じ患者からのサンプル)のシグナル強度とを比較することによって決定することができる。
結合の検出は、好ましくは、免疫組織化学的または免疫放射線学的な(immunoradiological)方法によって行われる。
上記の方法の好ましい実施態様によれば、23位でのアミノ酸置換は、Glu(野生型)からLysへの置換である;また、337位でのアミノ酸置換が、Val(野生型)からIleへの置換である場合も好ましい。
本発明の様々な形態に関して、冠動脈心疾患は、好ましくは、冠動脈疾患であり、さらにより好ましくは、冠動脈心疾患が狭心症である場合である。
本発明の様々な形態のさらなる好ましい実施態様によれば、Kir6.2−23−KK(Kir6.2遺伝子の両方の対立遺伝子におけるヌクレオチド多型の結果として、タンパク質の23位にリシン(K)を有するKir6.2タンパク質変異体)、および/または、Kir6.2−337−II(Kir6.2遺伝子の両方の対立遺伝子におけるヌクレオチド多型の結果として、タンパク質の337位にイソロイシン(I)を有するKir6.2タンパク質変異体)の存在が、サンプル中で決定される。
上記サンプルは、それぞれの多型を包含するKir6.2を含むあらゆるサンプルが可能である。上記サンプルは、それぞれの多型を簡単に試験できるようにして製造されることが有利である。適切な例は、適用された検出方法に依存し、例えば、組織サンプル、細胞または組織抽出物、または、細胞であり、好ましくは人体から単離されたサンプルである。それぞれの多型を同定するための適切な技術、例えばPCR、核酸またはタンパク質ベースのアレイ技術、適切な抗体を用いた免疫組織学的または免疫化学的な技術は、当業者既知である。適切なプライマー群や抗体または抗血清の選択および生産にも同じことが当てはまる。このような技術に関して、例えば、以下に列挙される文献が参照される。
その他の本発明の形態は、Kir6.2タンパク質、Kir6.2−23−KK、または、Kir6.2−337−II中の、23位におけるグルタミン酸以外のアミノ酸の存在、および/または、337位におけるバリン以外のアミノ酸の存在を試験するための試験キットに関し、ここにおいて、本キットは、少なくとも、タンパク質中の前記存在を検出するための手段を含む。
本発明に関して、部品からなるキット(簡略化した形態:キット)は、本願で特定されている成分のあらゆる組み合わせが、共存する空間で一体化されて機能単位になったものと理解され、ここにおいて、本キットは、さらなる成分を含んでいてもよい。
上記手段は、例えば、23位にグルタミン酸および/または337位にバリンを包含するKir6.2と、23位にグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2タンパク質との結合特性を識別する抗体であり得る。特異的な抗体の製造は当業界周知である。参考として、例えば、以下に列挙される文献が参照される。その上、本キットに、標識された二次抗体が含まれる場合が好ましい。本キットは、結合および/または標識反応などを行うための適切な試薬、緩衝液などをさらに含んでいてもよい。また、使用説明書(例えば、好ましい反応条件、緩衝液組成物などを開示したマニュアルまたはシート)が含まれたものが適切である。
好ましい例によれば、上記手段は、抗体(すなわち、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗血清、または、組換え抗体)であって、ここにおいて、上記抗体は、野生型Kir6.2と、23位および/または337位にアミノ酸置換を包含するKir6.2との結合特性において差異がある。このような抗体は、例えば、23位および/または337位に関して野生型であるKir6.2タンパク質とより高い親和性で結合することができるか、または、23位および/または337位に関する変異がかなり低い頻度の変異体の1種またはそれ以上とより高い親和性で結合することができる。また、本試験キットに抗体群が含まれる場合も有利であり、ここにおいて、各抗体は、多型のいずれか1つを特異的に検出することができる;実質的に、野生型タンパク質のみを認識するコントロール抗体も含まれ(および、場合によっては、バックグラウンドシグナルを決定するための疑似的な抗体または抗血清も含まれる)、さらに、選択の検出技術(例えば、タンパク質ブロット、アレイ技術またはその他の免疫学的または免疫組織化学的な技術)を行うのに有用な、または必要な試薬が含まれていてもよい。適切な抗体の入手方法または製造、および、試験キットを組み立てるのに有用な、または必要な試薬の選択は当業界周知である。その上、望ましい結合特性を有する抗体の製造は、バイオトレンド(BioTrend,コローニュ,ドイツ)のような様々な供給元によって商業的に行われている。
その他の本発明の形態は、Kir6.2タンパク質中の23位にグルタミン酸以外のアミノ酸、および/または、337位にバリン以外のアミノ酸を包含するKir6.2ポリペプチド配列が生じるような、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方における、Kir6.2ヌクレオチド配列中の差異の存在を試験するための試験キットに関し、ここにおいて、該キットは、少なくとも、ヌクレオチド配列中の前記差異を検出するための手段を含む。
その他の手段は、例えば、野生型Kir6.2のDNAまたはRNAのみを特異的に増幅させるための、適切な配列解析用プライマー、または、プライマー群、および/または、23位および/または337位に突然変異を包含するKir6.2のDNAまたはRNAのみを増幅するためのプライマー群である。ある特定の配列の特異的な配列解析または増幅に用いることができる適切なプライマーの選択および入手方法は、当業者の能力の範囲内である(例えば、実施例2に記載のプライマーおよび条件を参照)。また、試験キットには、配列解析反応または増幅を行うのに有用な、および必要な試薬、例えばポリメラーゼ、緩衝液、ヌクレオチドなどもが含まれていてもよい(例えば、実施例2に記載のプライマーおよび条件を参照)。本キットが、Kir6.2中の様々なタイプの多型の存在を決定することができるように、様々なKir6.2多型に特異的な様々な配列解析用プライマーまたはPCRプライマー群の集合体を含む場合が、極めて有利である。
その他の好ましい実施態様によれば、上記手段は、野生型Kir6.2、および/または、23位および/または337位に突然変異を包含するKir6.2を認識する核酸プローブである。選択の検出技術(例えば、あらゆる種類の核酸ブロット、アレイ技術またはその他の種類のチップ技術)を行うのに有用なプローブの入手方法および選択も、当業者の能力の範囲内である。このようにして、同様に試験キットに入れることができる適切な試薬が選択される。好ましくは、本試験キットに、様々な多型を認識する様々なプローブ群が含まれる。
23位におけるアミノ酸は、好ましくはLysであり、337位におけるアミノ酸は、好ましくはIleである。
Kir6.2のヌクレオチドの配列が、コード配列の67位にを有する場合が好ましい。また、Kir6.2のヌクレオチドの配列が、コード配列の1009位にAを有する場合も好ましい。
好ましい実施態様によれば、本試験キットは、Kir6.2のコード配列の67位および/または1009位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマー群を含む。好ましいプライマーは、例えば、配列番号9〜12に記載のものである。
その他の好ましい実施態様によれば、本試験キットは、配列番号13に記載のゲノムのKir6.2配列の5657106/7/8位、および/または、5657978/79/80位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができる少なくとも1つのプライマー群を含む。好ましいプライマーは、例えば、配列番号9〜12に記載のものである。
その他の好ましい実施態様によれば、本試験キットは、ストリンジェントな条件下で、23位においてグルタミン酸以外のアミノ酸および/または337位においてバリン以外のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を有するKir6.2のゲノムDNAまたはRNAを特異的に認識する1種またはそれ以上の核酸プローブを含む。
その他の本発明の形態は、ポリペプチド配列の23位にリシン、および、337位にイソロイシンを有する単離されたKir6.2ポリペプチドまたはそれらのフラグメントに関する。本発明の好ましい実施態様は、23位および/または337位のアミノ酸を含む、配列番号7に記載の単離されたKir6.2ポリペプチド、またはそれらのフラグメントに関する。
さらにその他の本発明の形態は、上記の23位および337位を含むK23/I337−Kir6.2ポリペプチドまたはそれらのフラグメントのいずれか1つをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明の好ましい実施態様は、67位および1009位のヌクレオチド(好ましくは、さらに68位、69位、1010位および1011位)を含む配列番号8に記載の単離されたKir6.2ポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメント、または、高いストリンジェンシー条件下で上記のDNA配列またはそれらの相補鎖にハイブリダイゼーションする単離されたポリヌクレオチドに関する。
その他の本発明の形態は、ポリペプチド配列の23位にグルタミン酸、および、337位にイソロイシンを有する単離されたKir6.2ポリペプチドまたはそれらのフラグメントに関する。本発明の好ましい実施態様は、23位および/または337位のアミノ酸を含む配列番号5に記載の単離されたKir6.2ポリペプチド、またはそれらのフラグメントに関する。
さらにその他の本発明の形態は、23位および337位を含む上記のE23/I337−Kir6.2ポリペプチドまたはそれらのフラグメントのいずれか1つをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明の好ましい実施態様は、67位および1009位のヌクレオチド(好ましくは、さらに68位、69位、1010位および1011位)を含む配列番号6に記載の単離されたKir6.2ポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメント、または、高いストリンジェンシー条件下で上記のDNA配列またはそれらの相補鎖にハイブリダイゼーションする単離されたポリヌクレオチドに関する。
その他の本発明の形態は、Kir6.2コード配列の67位および/または1009位を包含する、または、ゲノムのKir6.2配列の5657106/07/08位および/または5657978/79/80位を包含するKir6.2配列の、少なくとも17個、好ましくは19〜100個の連続したヌクレオチドを含む、または、それらからなる、Kir6.2遺伝子またはRNA内のヌクレオチドの差異を検出するためのプローブに関する。
その他の本発明の形態は、Kir6.2ポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーまたはプライマー群に関し、ここにおいて、増幅されたポリヌクレオチドは、Kir6.2コード配列の少なくとも67位および/または1009位、および/または、ゲノムのKir6.2配列の5657106/07/08位および/または5657978/79/80位を含む。
以下、数々の実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲を限定する意図はない。
Kir6.2タンパク質の23位および337位におけるKir6.2多型(野生型タンパク質配列のNCBI登録番号:D50582(配列番号1;図1A);コード配列のNCBI登録番号:D05852(配列番号2;図1B))を、1型および2型糖尿病(大部分が2型、すなわち真性糖尿病)に罹った患者の同齢集団で解析した。
実施例1:研究用被検体(研究用の個体群)
335人の患者のゲノムDNAを、タンパク質変異体Kir6.2−E23K、および、Kir6.2−V337Iが生じるような、Kir6.2遺伝子中のSNP(単一ヌクレオチド多型)に関してスクリーニングした。試験対象患者基準は、以下の通り:ドイツ人家系の白色人種の個体、臨床症状、および、冠動脈造影図が安定していること。除外基準は、以下の通り:ACS、慢性の非心臓性の病気(すなわちリウマチ性関節炎)以外の急性疾患、および、過去5年以内の悪性疾患の病歴を有すること。表2に、この患者の同齢集団の基本的な特徴を概説した。全ての患者は、書面によるインフォームド・コンセントに署名した。
実施例2:配列解析および解析によるSNP検出
2.1:対象の多型を有するゲノム領域の増幅
増幅用プライマー
A:Kir6.2遺伝子配列の5657978/79/80位におけるヌクレオチド置換を検出するためのプライマー(登録番号NT_009307)。
フォワードプライマーM67:5'-AGGTGGAGGTAAGGAAGAG-3'(配列番号9)
リバースプライマーM67:5'-GGTGAAGATGAGCAATGTG-3'(配列番号10)。
B:Kir6.2遺伝子配列の5657106/07/08位におけるヌクレオチド置換を検出するためのプライマー(登録番号NT_009307)。
フォワードプライマーM1009:5'-GGGTGGCAACAGCATCTTC-3'(配列番号11)
リバースプライマーM1009:5'-TGGCTCAGGACAGGGAATC-3'(配列番号12)。
また、上記プライマーは、Kir6.2のコード配列の増幅にも適用可能である。
増幅のためのPCRプロトコール
全ての試薬は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems,フォスターシティー,米国)から得た:ゲノムDNA(20ng);TaqGoldポリメラーゼ(1単位);1×Taqポリメラーゼ緩衝液;500μMのdNTP;2.5mMのMgCl2;200nMの各増幅用プライマー対(配列は、上記の増幅用プライマー対1.Aおよび1.Bを参照);H2Oを加えて5μlにした。
PCR/遺伝子型解析のための増幅プログラム
95℃×10分×1サイクル
95℃×30秒
70℃×30秒×2サイクル;
95℃×30秒
65℃×30秒×2サイクル;
95℃×30秒
60℃×30秒×2サイクル;
95℃×30秒
56℃×30秒
72℃×30秒×40サイクル;
72℃×10分
4℃×30秒×1サイクル。
2.2:対象の多型の同定
ミニシーケンスのプロトコール、および、多型の検出
全ての試薬は、アプライド・バイオシステムズ(フォスターシティー,米国)から得た。精製したPCR産物2μl;ビッグダイ(BigDye)ターミネーターキット(1.5μl);200nMの1種の配列解析用プライマー(配列は、上記の増幅用フォワードまたはリバースプライマー1.Aおよび1.Bを参照);H2Oを加えて10μlにした。
配列解析のための増幅プログラム
96℃×2分×1サイクル;
96℃×10秒
55℃×10秒
65℃×4分×30サイクル;
72℃×7分
4℃×30秒×1サイクル;
配列解析産物の解析
まず、生データ抽出のための配列解析ソフトウェア(アプライド・バイオシステムズ,フォスターシティー,米国)で配列を解析し、Phred(ベースコーラー)、Phrap(アセンブラー)、Polyphred(SNPコーラー)、および、Consed(リザルトビューワー)を用いて加工した。Phred、Phrap、PolyphredおよびConsedは、Phil Green氏によってWashU(http://www.genome.washington.edu)で設計されたソフトウェアである。
このPCR反応により、67位におけるGからAへの置換、および、コード配列の1009位におけるAからGへの置換が同定された。
2.3:Kir6.2タンパク質中のアミノ酸置換と、冠動脈心疾患との相関
心臓血管疾患や代謝性疾患に罹った患者における臨床転帰へのKir6.2多型の影響を解析するために、本発明者等は、1型または2型糖尿病に罹った335人の個体からなる患者の同齢集団における、Kir6.2多型のE23K、L270VおよびI337Vの相関分析を行った。350種を超える臨床パラメーターのなかから、狭心症と、Kir6.2タンパク質の23位のリシン(K)および/または337位のバリン(V)に関してホモ接合型の患者とが、有意な相関を有していた。
Kir6.2−23−EE(23位が野生型)は、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の23位においてグルタミン酸(GluまたはE)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の23位における上記Kir6.2多型に関してホモ接合型である。
Kir6.2−23−EKは、Kir6.2対立遺伝子の一方が、Kir6.2タンパク質の23位においてグルタミン酸(GluまたはE)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードし、他方のKir6.2対立遺伝子が、Kir6.2タンパク質の23位においてリシン(LysまたはK)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードする個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の23位における上記Kir6.2多型に関してヘテロ接合型である。
Kir6.2−23−KKは、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の23位においてリシン(LysまたはK)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の23位における上記Kir6.2多型に関してホモ接合型である。Kir6.2−23−KKはまた、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の23位においてリシン(LysまたはK)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている患者の生体サンプルも定義する。
Kir6.2−337−IIは、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の337位においてイソロイシン(IleまたはI)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の337位における上記Kir6.2多型に関してホモ接合型である。Kir6.2−337−IIはまた、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の337位においてイソロイシン(IleまたはI)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている患者の生体サンプルも定義する。
Kir6.2−337−IVは、Kir6.2対立遺伝子の一方が、Kir6.2タンパク質の337位においてイソロイシン(IleまたはI)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードし、他方のKir6.2対立遺伝子が、Kir6.2タンパク質の337位においてバリン(ValまたはV)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードする個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の337位における上記Kir6.2多型に関してヘテロ接合型である。
Kir6.2−337−VV(337位が野生型)は、Kir6.2対立遺伝子の両方が、Kir6.2タンパク質の337位においてバリン(ValまたはV)が生じるようなKir6.2遺伝子変異体をコードしている個体群を定義しており、この群は、Kir6.2タンパク質の337位における上記Kir6.2多型に関してホモ接合型である。
遺伝子型/表現型の相関に関する統計学的なアプローチ
SAS統計パッケージ(バージョン6.12,SASインスティテュート社(SAS Institute GmbH),ハイデルベルグ/ドイツ)を用いて全ての解析を行った。遺伝子の多型と、多数の臨床的な関連パラメーターとの関連を検出するために、記述統計をコンピューターで計算し(中央値、四分位数)、ウィルコクソンの順位和検定を行った。ウィルコクソンの順位和検定は、2つの独立したサンプルを比較するために用いられた。上記検定の統計の計算結果は、プールされたサンプル中の順位に基づく。
同様の方法で、SNPと、危険因子や病気との関連に関する検索を行った。χ2乗検定を行い、データを説明するために数値とパーセンテージを計算した。χ2乗検定とは、2変数間の依存性を計算するための統計的検定である。変数の値は、2またはそれ以上のクラスに含まれる。このような変数間の関係を解析するために、分割表を用いた。この表は、第一の変数の実現の数と同数の行と、第二の変数の実現の数と同数の列で構成される。各セルには、特殊な患者の特徴を記載した。統計的検定を構築するために、計算された頻度と観察された頻度と差をコンピューターで計算した。
結果を検査した後、関連する変数を選択した。交絡する共通の変数を考察するために、ロジスティック回帰を用いて、結果を確認した。ロジスティック回帰法は、ある特定の応答変数に対する数種の説明変数の影響を解析するために用いられる。関連する統計的検定により、p値が得られた。このp値の解釈は、関連する説明変数の有意な影響があることである。
2値変数に関して、オッズ比を計算した。オッズ比は、1つの群においてある現象が起こると予想されるオッズの、他方の群でその現象が起こると予想されるオッズに対する比率である。
実施例3:解析
表2に、335人の個体におけるKir6.2変異体E23KとV337Iとの分布を示す。表3〜8で概説したように、Kir6.2−23−KKとKir6.2−337−II、Kir6.2−23−EKとKir6.2−337−VI、および、Kir6.2−23−EEとKir6.2−337−VVの強い関連が観察された。従って、例えば、Kir6.2−23−KKに関して得られた全ての統計的分析データは、Kir6.2−337−IIに関するデータに類似しているはずである。
Kir6.2−23−KK、および、Kir6.2−337−IIを有する糖尿病患者は、狭心症との関係が高いことを示す。狭心症を伴う糖尿病患者におけるKir6.2−23−KKの遺伝子型の関係に関してχ2乗検定を用いて計算された統計的有意性は、p値=0.015であり、狭心症を伴う糖尿病患者におけるKir6.2−337−IIの遺伝子型の関係に関する上記有意性は、p値=0.012であった(図2Aおよび図3A)。
交絡する因子(例えば心筋梗塞や高血圧)の影響を解析するためのロジスティック回帰によれば、狭心症を伴う糖尿病患者におけるKir6.2−23−KKの遺伝子型の関係については、p値=0.0088が得られ、および、狭心症を伴う糖尿病におけるKir6.2−337−IIの遺伝子型の関係については、p値=0.0072が得られた(図2Bおよび図3B)。
Kir6.2−23−KKの遺伝子型を有する糖尿病患者における狭心症の高い危険のオッズ比は、1.601であり、Kir6.2−337−IIの遺伝子型を有する糖尿病患者における上記オッズ比は、1.615であった(図2Cおよび図3C)。
ここで示されたデータにより、23位においてグルタミンからリシンへの置換が生じるようなKir6.2遺伝子中の突然変異、特にKir6.2−23−KK、および、337位においてバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換が生じるようなKir6.2遺伝子中の突然変異、特にKir6.2−337−IIは、糖尿病患者における狭心症に関する危険マーカーを表わすことが実証された。狭心症は冠動脈心疾患の徴候であるため、一般的に、これらのマーカーは、冠動脈心疾患の指標になると期待される。その上、Kir6.2タンパク質中の23位においてアミノ酸置換が生じるようなKir6.2遺伝子中の他の突然変異、特に酸性のグルタミンが、非極性、または好ましくは塩基性のアミノ酸で置換されるような突然変異が、同じ、または、類似の作用を有することも期待できる。337位において、バリンが、他のアミノ酸、特に酸性もしくは塩基性、または、より嵩高な脂肪族アミノ酸で置換されるようなアミノ酸置換についても同じことが期待できる。これらのアミノ酸置換が、冠動脈心疾患、特に狭心症の発病と極めて密接な相関関係を示す可能性が非常に高く、非糖尿病患者においても同様である。
文献
Yamada Y,Kuroe A,Li Q,Someya Y,Kubota A,Ihara Y,Tsuura Y,Seino Y(2001).
Genomic variation in pancreatic ion channel genes in Japanese type 2 diabetic patients.
Diabetes Metab Res Rev 17:213−216.
Hani EH,Boutin P,Durand E,Inoue H,Permutt MA,Velho G,Froguel P(1998).
Missense mutations in the pancreatic islet beta cell inwardly rectifying K+ channel gene(KIR6.2/BIR):a meta−analysis suggests a role in the polygenic basis of Type II diabetes mellitus in Caucasians.
Diabetologia 41:1511−1515.
実験方法のための標準的な文献
特に他の指定がない限り、以下の標準的な文献に従って標準的な実験方法を行った:
Sambrook等(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Second edition.Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY.545 pp;
Current Protocols in Molecular Biology;regularly updated,e.g.Volume 2000;Wiley & Sons,Inc;Editors:Fred M.Ausubel,Roger Brent,Robert Eg.Kingston,David D.Moore,J.G.Seidman,John A.Smith,Kevin Struhl.
Current Protocols in Human Genetics;regularly uptdated;Wiley & Sons,Inc;Editors:Nicholas C.Dracopoli,Honathan L.Haines,Bruce R.Korf,Cynthia C.Morton,Christine E.Seidman,J.G.Seigman,Douglas R.Smith.
Current Protocols in Protein Science;regularly updated;Wiley & Sons,Inc;Editors:John E.Coligan,Ben M.Dunn,Hidde L.Ploegh,David W.Speicher,Paul T.Wingfield.Molecular Biology of the Cell;third edition;Alberts,B.,Bray,D.,Lewis,J.,Raff,M.,Roberts,K.,Watson,J.D.;Garland Publishing,Inc.New York & London,1994;
Short Protocols in Molecular Biology,5th edition,by Frederick M.Ansubel(Editor),Roger Brent(Editor),Robert E.Kingston(Editor),David D.Moore(Editor),J.G.Seidman(Editor),John A.Smith(Editor),Kevin Struhl(Editor),October 2002,John Wiley & Sons,Inc.,New York“
図の凡例
図1
ポリペプチド鎖の23位(グルタミン酸)と337位(バリン)(コード配列の67/68/69位におけるコドンGAG、および、1009/1010/1011位におけるGTCに相当する)において最も頻度が高い変異体を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。これらの変異体は、Kir6.2−23K−337V(または、両方の対立遺伝子が、23位および/または337位に関して同様である場合、KKおよび/またはVV)と称される。このKir6.2変異体のタンパク質の登録番号(NCBIタンパク質データベース)は、D50582である。ポリペプチド配列の23位および337位、および、それに相当するヌクレオチド位置、同様に、コード配列中のATGは、下線で示す。
図2:
23位におけるリシンの変異、および、最も頻度が高い337位におけるバリンの変異(コード配列の67/68/69位におけるコドンAAG、および、1009/1010/1011位におけるGTCに相当する)を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。このKir6.2変異体のタンパク質配列の登録番号(NCBIタンパク質データベース)は、XP_006398である(図2A;配列番号2)。
ヌクレオチド配列(NCBIヌクレオチドデータベース)に関する登録番号は、XM_006398である(図2B;配列番号4)。コード配列中のポリペプチド配列の23位および337位、および、それに相当するヌクレオチド位置は、下線で示す。
図3:
最も頻度が高い23位におけるグルタミン酸の変異、および、337位におけるイソロイシンの変異(コード配列の67/68/69位におけるコドンGAG、および、1009/1010/1011位におけるATCに相当する)を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。このタンパク質配列は、配列の登録番号D50582に記載された「野生型」Kir6.2の配列に相当する(ただし、337位において、バリンの代わりにイソロイシンを有することを除く)。このコード配列は、配列の登録番号D50582に記載された「野生型」Kir6.2の配列に相当する(ただし、1009位において、グアノシンの代わりにアデノシンを有することを除く)。コード配列中のポリペプチド配列の23位および337位、および、それに相当するヌクレオチド位置は、下線で示す。
図4:
23位におけるリシンの変異、および、337位におけるイソロイシンの変異(コード配列の67/68/69位におけるコドンAAG、および、1009/1010/1011位におけるATCに相当する)を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。このタンパク質配列は、配列の登録番号D50582に記載された「野生型」Kir6.2の配列に相当する(ただし、23位において、グルタミン酸の代わりにリシンを有し、337位において、バリンの代わりにイソロイシンを有することを除く)。このコード配列は、配列の登録番号D50582に記載された「野生型」Kir6.2の配列に相当する(ただし、67位において、グアノシンの代わりにアデノシンを有し、1009位において、グアノシンの代わりにアデノシンを有することを除く)。コード配列中のポリペプチド配列の23位および337位、および、それに相当するヌクレオチド位置は、下線で示す。
図5:
Kir6.2のコード配列の67/68/69位に相当するKir6.2のゲノム配列の位置におけるヌクレオチド置換を検出するための、DNAプライマーM67フォワード(配列番号9)、および、リバース(配列番号10)であり、配列の登録番号に記載のKir6.2のコード配列の1009/1010/1011位に相当するKir6.2のゲノム配列の位置におけるヌクレオチド置換を検出するための、DNAプライマーM1009フォワード(配列番号11)、および、リバース(配列番号12)である。配列番号25に関して、上記位置は、それぞれ5657106/107/108、および、5657978/79/80である。
また、このプライマー群は、NCBI配列の登録番号D50582に記載されたKir6.2のcDNAを特異的に増幅するのにも適用することができる。プライマーM67フォワード(配列番号9)、および、リバース(配列番号10)は、RNAレベルでKir6.2遺伝子中のヌクレオチド置換を検出するために、Kir6.2のcDNAのヌクレオチド67/68/69を含む領域を増幅する。プライマーM1009フォワード(配列番号11)、および、リバース(配列番号12)は、RNAレベルでKir6.2遺伝子中のヌクレオチド置換を検出するために、Kir6.2のcDNAのヌクレオチド1009/1010/1011を含む領域を増幅する。
図6:
いくつかのKir6.2変異体のゲノムおよびコード配列の、それに相当するヌクレオチド位置の大要である。ゲノム配列中の位置の番号付けは、ヒト第11染色体のゲノムコンティグ(NCBI登録番号NT_009307)から得られたものである(また、図10の、Kir6.2のゲノムの遺伝子座を含むコンティグの一部を参照)。
図7:
ポリペプチド鎖の23位においてグルタミン酸からリシンへのアミノ酸置換、および、337位においてバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換が生じるような、Kir6.2ヌクレオチド配列の差異である。ヌクレオチド位置は、Kir6.2のコード配列を参照している。これらの位置は、配列番号25に記載のゲノムのKir6.2配列の5657106/7/8位、および、5657978/79/80位と相関がある(ここで、配列番号25は、タンパク質配列の337位においてバリンをコードする)。最も高い頻度で発生する変異体(すなわち野生型)は、通常の文字で記載され、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列中で、この野生型からの変化は、太字で示される。23位のアミノ酸に関して、単一のヌクレオチド置換G67Aにより、ポリペプチド鎖にリシンが包含されるようになるが、それに対して、置換G69Aは、単独では、アミノ酸配列の変化を起こさない。このタイプの突然変異は、一般的に、サイレント突然変異と称される。一方で、上記のヌクレオチド置換の両方が一緒に起こると、同様に23位にリシンが包含される。アミノ酸鎖の337位に関して、単一のヌクレオチド置換C1011T、C1011A、および、C1011Gはサイレントだが、それに対して、単一のヌクレオチド置換G1009Aにより、このG1009A置換と共に置換C1011TまたはC1011Aが起こったとしても、ポリペプチド鎖の337位にイソロイシンの取り込みが起こる。67/68/69位および/または1009/1010/1011位において、その他の置換が生じる可能性があり、それにより、ポリペプチド鎖に、それぞれ23位にGまたはK以外の、または、337位にVまたはI以外のアミノ酸の取り込みが生じる(これらの遺伝子コードから生じる相関は、一般的に当業界の最先端において既知である)。
図8−1および図8−2:
5657106/107/108位におけるヌクレオチドGACを包含する(コード配列の1009/1010/1011位におけるコドンGTCに相当する、従って、ポリペプチド配列の337位のアミノ酸にバリンを包含するタンパク質変異体をコードする)、および、5657978/79/80位におけるヌクレオチドCTTを包含する(コード配列の67/68/69位におけるコドンAAGに相当する、従って、ペプチド配列の23位のアミノ酸にリシンを包含するタンパク質変異体をコードする)Kir6.2(KCNJ11)遺伝子座のゲノム配列である。示されたヌクレオチドのトリプレットは、太字で記載され、下線で示される。配列番号9〜12に記載のPCRプライマーのハイブリダイゼーション位置も同様に、太字で記載され、下線で示される。このプライマー配列は、同様に、テンプレートとしてKir6.2のcDNAを用いてポリヌクレオチドが増幅されるように選択される。このKir6.2のゲノム変異体を含むヒト第11染色体のゲノム連続配列を公共的に利用可能にする配列の登録番号(NCBIヌクレオチドデータベース)は、NT_009307である(配列番号25)。
表の凡例
表1:
全ての解析を行った患者の同齢集団の基本的な特徴である。
表2:
解析された糖尿病患者の同齢集団におけるKir6.2変異体の分布である。
表3:
χ2乗検定で計算した、タンパク質の23位におけるKir6.2変異体と、糖尿病患者における狭心症との関係である。狭心症陽性群において、Kir6.2−23−KKキャリアーの頻度が高いことが観察できた。
表4:
ロジスティック回帰による、Kir6.2−23−KKと、糖尿病患者における狭心症との関係に関する統計的有意性の計算である。
表5:
Kir6.2−23−KKキャリアーの狭心症を伴う糖尿病患者の危険と、Kir6.2−23−EK、および、Kir6.2−23−EEキャリアーの危険とを比較したオッズ比の計算である。
表6:
χ2乗検定で計算された、タンパク質の337位におけるKir6.2変異体と、糖尿病患者における狭心症との関係である。狭心症陽性群において、Kir6.2−337−IIキャリアーの頻度が高いことが観察できた。
表7:
ロジスティック回帰による、Kir6.2−337−IIと、糖尿病患者における狭心症との関係に関する統計的有意性の計算である。
表8:
Kir6.2−337−IIキャリアーの狭心症を伴う糖尿病患者の危険と、Kir6.2−337−VI、および、Kir6.2−337−VVキャリアーの危険とを比較したオッズ比の計算である。
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ポリペプチド鎖の23位(グルタミン酸)と337位(バリン)において最も頻度が高い変異体を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。 23位におけるリシンの変異、および、最も頻度が高い337位におけるバリンの変異を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。 最も頻度が高い23位におけるグルタミン酸の変異、および、337位におけるイソロイシンの変異を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。 23位におけるリシンの変異、および、337位におけるイソロイシンの変異を包含するKir6.2(KCNJ11)のタンパク質配列とヌクレオチドのコード配列である。 Kir6.2のコード配列の67/68/69位に相当するKir6.2のゲノム配列の位置におけるヌクレオチド置換を検出するための、DNAプライマーM67フォワード(配列番号9)、および、リバース(配列番号10)である。 いくつかのKir6.2変異体のゲノムおよびコード配列の、それに相当するヌクレオチド位置の大要である。 ポリペプチド鎖の23位においてグルタミン酸からリシンへのアミノ酸置換、および、337位においてバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換が生じるような、Kir6.2ヌクレオチド配列の差異である。 5657106/107/108位におけるヌクレオチドGACを包含する、および、5657978/79/80位におけるヌクレオチドCTTを包含するKir6.2(KCNJ11)遺伝子座のゲノム配列である。 図8−1の続きである。

Claims (19)

  1. 個体における狭心症に関する危険の増加を同定する方法であって、Kir6.2タンパク質中の23位におけるリシンの存在、および/または、337位におけるイソロイシンの存在が、サンプル中で決定される、上記方法。
  2. 個体における狭心症に関する危険の増加を同定する方法であって、Kir6.2タンパク質中の23位にリシン、および/または、337位にイソロイシンを包含するKir6.2ポリペプチド配列が生じる、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方における、Kir6.2ヌクレオチド配列中の変異の存在が、サンプル中で決定される、上記方法。
  3. ヌクレオチド配列は、Kir6.2のコード配列の67位にAを有する、請求項2に記載の方法。
  4. ヌクレオチド配列は、Kir6.2のコード配列の1009位にを有する、請求項2または3に記載の方法。
  5. 個体は糖尿病患者である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 糖尿病は真性糖尿病である、請求項5に記載の方法。
  7. Kir6.2−23−KK、および/または、Kir6.2−337−IIの存在が、サンプル中で決定される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. サンプルは、組織サンプル、細胞もしくは組織抽出物、または、細胞である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. アミノ酸置換の存在は、
    b)サンプルから染色体DNAを単離すること、
    c)コード配列の67/68/69位および/または1009/1010/1011位に相当する、ゲノムのKir6.2配列のヌクレオチド位置を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマーを用いたPCR反応によって、ポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
    d)c)に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列決定すること、
    によって決定される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ポリヌクレオチドフラグメントの増幅は、配列番号9〜12に記載のプライマーの少なくとも1種、好ましくは2種を用いて行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 配列決定は、配列番号9〜12に記載のプライマーの1種を用いて行われる、請求項9または10に記載の方法。
  12. アミノ酸置換は、
    b)サンプルからRNAを単離すること、
    c)Kir6.2のcDNA配列の67位および/または1009位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマーを用いたRT−PCR反応によってポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
    d)c)に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列決定すること、
    によって決定される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 配列番号9〜12に記載のプライマーの少なくとも1種が用いられる、請求項12に記載の方法。
  14. Kir6.2タンパク質中の23位にリシン、および/または、337位にイソロイシンを包含するKir6.2ポリペプチド配列が生じる、Kir6.2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方における、Kir6.2ヌクレオチド配列中の変異の存在を試験するための試験キットであって、該キットは、個体における狭心症に関する危険の増加を同定するものであり、少なくとも、ヌクレオチド配列中の該変異を検出するためのプライマー群を含む、上記キット。
  15. Kir6.2のヌクレオチドの配列は、コード配列の67位にを有する、請求項14に記載の試験キット。
  16. Kir6.2のヌクレオチドの配列は、コード配列の1009位にAを有する、請求項14または15に記載の試験キット。
  17. Kir6.2のコード配列の67位および/または1009位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマー群を含む、請求項15または16に記載の試験キット。
  18. 配列番号13に記載のKir6.2のゲノム配列の5657106/107/108位および/または5657978/79/80位を含むポリヌクレオチドフラグメントを増幅することができるプライマー群を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の試験キット。
  19. 配列番号9〜12に記載のプライマーの少なくとも1種を含む、請求項17または18に記載の試験キット。
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