JP5375556B2 - 電子写真用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真用トナーおよびその製造方法に関する。
電子写真用トナーのバインダー樹脂としては、スチレン−アクリル共重合体、ビスフェノールA系ポリエステル樹脂、エボキシ樹脂などが一般的に用いられている。そのようなバインダー樹脂は、電子写真用トナーに求められる帯電性、熟可塑性、機械的特性、光学特性などのトナー性能に優れたものとして用いられてきた。近年では、重合法、ケミカル法などの所謂、重合トナーが主流とかつている。重合法は、基本的にラジカル重合を用いるため、重合トナーのバインダー樹脂は、主に、スチレン−アクリル共重合体に限定される。
一方、環境側面から様々な業界、製品において生分解性プラスチックが用いられてきている。生分解性プラスチックは、植物由来のプラスチックであるため、自然循環的なライフサイクルにおいてCOの発生を大幅に低減できるからである。さらに、生分解性を有していればプラスチックのCOへの分解においてエネルギーを必要としないといったメリットがある。生分解性プラスチックをトナーのバインダー樹脂に用いた技術は、例えば特許文献1〜3など多数の公開特許公報にて報告されている。これら先行例にて検討されている生分解性プラスチックは、主にポリ乳酸であるが、ポリ乳酸は一般的に脆い性質があり、トナーのバインダー樹脂に用いた場合、現像器内で機械的ストレスにより微粉が発生し、スペントや感光体へのフィルミングなどの不具合が生じる。一方、脆性を改善する目的でポリ乳酸の結晶化度を高めたり、各種添加剤などを配合したものが提案されてはいるが、これらはいずれも、熱特性(ガラス転移点、融点など)が上昇し、トナー用バインダー樹脂としては、融点が高すぎ、低温定着性において不利になるといった不具合が生じる。
特開平5−323832公報 特開平6−289644号公報 特開2001−166537号公報
分解、燃焼時における新たなCOの発生を大幅に低減するには、必ずしも生分解性を有しなくてもよく、植物由来のプラスチックを用いればその目的は達成される。そこで、本発明者は安価で熟可塑性を有する植物由来のプラスチックをバインダー樹脂として用いることに着目した。安価で熱可塑性を有するプラスチックとしては、セルロースエステル樹脂が一般的に知られているが、その構造から溶融温度が比較的高く、分解温度が比較的低く、加熱溶融時に分子量低下、着色といった劣化を起し、加熱溶融法には不向きな樹脂として知られている。また、その高い溶融温度は低温定着性において不利となる。さらに吸湿性が比較的高く、帯電性を制御する必要のある電子写真用トナーには不利に働く。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、植物由来の樹脂をバインダー樹脂として用いながらも、加熱溶融−混練粉砕法でも製造可能な耐熱性に優れた素材構成を有し、かつ良好な帯電性、機械的強度、低温定着性およびオイルレス定着性などを有する電子写真用トナーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、少なくともバインダー樹脂および色材を含有し、前記バインダー樹脂がポリ乳酸(PLA)およびセルロースエステル(CE)樹脂を含み、前記CE樹脂は炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、かつ下記式(I)を満たすセルロースエステル樹脂であり、PLAとCE樹脂との配合質量比がPLA:CE樹脂=95:5〜70:30の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナーに関する;
2.7≦Y+Z≦3.0 (I)
(Yはプロピオニル基の置換度である;Zはブチリル基の置換度である)。
本発明はまた、少なくともバインダー樹脂および色材を溶融・混練し、粉砕する粉砕法によって製造する電子写真用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂がポリ乳酸(PLA)およびセルロースエステル(CE)樹脂を含み、前記CE樹脂は炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、かつ下記式(I)を満たすセルロースエステル樹脂であり、PLAとCE樹脂との配合質量比がPLA:CE樹脂=95:5〜70:30の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法;
2.7≦Y+Z≦3.0 (I)
(Yはプロピオニル基の置換度である;Zはブチリル基の置換度である)。
に関する。
本発明に係る電子写真用トナーは、植物由来の樹脂をバインダー樹脂として用いながらも、加熱溶融−混練粉砕法でも製造可能であって、耐熱性に優れる。すなわち、本発明に係る電子写真用トナーは、製造時に分子量低下、着色といった劣化を引き起こすことなく、良好なトナー熱物性(ガラス転移温度および軟化点等)を有し得る。
また本発明に係る電子写真用トナーは、帯電性、機械的強度、低温定着性およびオイルレス定着性などにも優れている。
本発明に係る電子写真用トナーは、少なくともバインダー樹脂および色材を含有し、前記バインダー樹脂がポリ乳酸(PLA)およびセルロースエステル(CE)樹脂を含むものである。
(ポリ乳酸)
本発明に係るポリ乳酸(PLA)は、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、またはそれらの混合物が使用される。好ましいポリ乳酸はポリL−乳酸、D−乳酸とL−乳酸との共重合体またはそれらの混合物である。
ポリ乳酸はガラス転移温度(Tg)が40〜70℃、好ましくは50〜60℃であって、融点が120〜180℃、好ましくは140〜160℃のものが使用される。
本明細書中、Tg及び融点はASTM D3417及びD3418(DSC法)によって測定された値を用いている。
ポリ乳酸は、公知の方法によって製造でき、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビなど植物性の材料(バイオマス)から抽出された乳酸をラクチドにし、開環重合することによって製造される。
ポリ乳酸は、市販品として入手可能である。例えば、三井化学からLACEAとして市販されているもの、およびCargil−Dowから“NATURE WORKS”という商品名で市販されているものが使用可能である。本発明において特に好適なポリ乳酸としては、例えば、三井化学社製のLACEA H−100、H−100J、H−100E、H−400、H−440、H−280等、Cargi1−Dow社製のNATURE WORKS PLA POLYMER 2002D、3001D、3051D、4032D、4042D、4060D、7000D、7032D等が挙げられる。
(セルロースエステル樹脂)
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、アセチル基、プロピオニル基およびブチリル基などの炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有する、セルロースの脂肪酸エステルであって、主としてプロピオニル基および/またはブチリル基などの置換基を有するものが使用される。詳しくは、例えば、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロースプロピオネートブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種類のセルロースエステル樹脂であることが好ましい。
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、具体的には、下記式(I−1)を満たすセルロースエステル樹脂である。
2.70≦Y+Z≦3.00 (I−1)
上記式中、Yはプロピオニル基の置換度であり、Zはブチリル基の置換度である。
Y+Zが小さすぎると、アセチル基の置換度が大となるか、または水酸基の数が大となり、吸湿性において劣位となる。吸湿性が劣位になると、所望の帯電量が得られず、しかも高温高湿時および低温低湿時の帯電量変動幅が顕著に大きくなる。
セルロースエステル樹脂は、帯電性の観点から好ましくは下記式(I−2)、より好ましくは式(I−3)を満たすセルロースエステル樹脂である。
2.75≦Y+Z≦2.95 (I−2)
2.80≦Y+Z≦2.90 (I−3)
セルロースエステル樹脂においてプロピオニル基の置換度Yおよびブチリル基の置換度Zは通常、それぞれ独立して0〜3.00であり、帯電性の観点から好ましくは0〜2.95、より好ましくは0〜2.90である。
セルロースエステル樹脂においてアセチル基の置換度Xは通常、0〜0.20であり、帯電性の観点から好ましくは0〜0.12である。
セルロースエステル樹脂においてアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基の総置換度(X+Y+Z)は通常、2.70〜3.00であり、帯電性の観点から好ましくは2.80〜2.98、より好ましくは2.85〜2.98である。
セルロースエステル樹脂において、アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基で置換されていない部分は通常、水酸基として存在する。
セルロースエステル樹脂の置換度は、セルロースの繰り返し単位が1つあたりに保持する3つの水酸基のうち、水素原子がアシル基で置換されている水酸基の個数であって、当該セルロースエステル樹脂における全繰り返し単位についての平均値を示す。従って、セルロースエステル樹脂の総置換度の最大値は3であり、最小値は0である。
セルロースエステルの置換度はASTM D817−96に基づき、下記のようにして求めることができる。
乾燥したセルロースエステル1.90gを精秤し、アセトン70m1とジメチルスルホキシド30m1を加え溶解した後、更にアセトン50m1を加えた。撹拌しながら1N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水100m1を加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として1N硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行なった。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、常法により有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。
TA=(B−A)×F/(1000×W)
X=(162.14×TA)/{1−42.14×TA+((1−56.06×TA)×(P/A)+(1−70.09×TA)×(Bt/A))}
Y=X×(P/A)
Z=X×(Bt/A)
DS=X+Y+Z
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:1N硫酸の力価
W:試料質量(g)
TA:全有機酸量(mol/g)
P/A:イオンクロマトグラフで測定した酢酸とプロピオン酸とのモル比
Bt/A:イオンクロマトグラフで測定した酢酸と酪酸とのモル比
X:酢酸による置換度
Y:プロピオン酸による置換度
Z:酪酸による置換度
セルロースエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000のものが好ましく、10,000〜50,000のものがより好ましく、10,000〜30,000のものがさらに好ましく用いられる。重量平均分子量(Mw)は30,000〜300,000のものが好ましく、30,000〜150,000のものがより好ましく、30,000〜100,000のものがさらに好ましく用いられる。Mnが10,000未満の場合またはMwが30,000未満の場合、機械的強度が劣位となる恐れがある。Mnが100,000を超える場合またはMwが300,000を超える楊合、溶融粘度が高すぎ溶融混練性が劣位となる恐れがある。重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比は、1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステル樹脂が好ましく用いられる。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定された値を用いている。測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(目立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1時間、窒素雰囲気下にて撹拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。pHが6未満の場合、残留有機酸が加熱溶融時にセルロースエステル樹脂の劣化を促進させる恐れがある。pHが7より高い場合、加水分解が促進する恐れがある。また、電気伝導度が100μS/cmを超える揚合、残留イオンが比較的多く存在するため、加熱溶融時にセルロースエステル樹脂を劣化させる要因になる。
セルロースエステル樹脂は、比較的吸湿性が高いため、トナー製造時における加熱溶融前に乾燥させることが好ましい。乾燥はDP−30℃以下、通常は70〜130℃にて0.02質量%以下に乾燥させることが望ましい(乾燥前の含水率は2〜3質量%)。DPとは、露点(Dew Point)のことである。
粉体状のセルロースエステル樹脂の乾燥は、例えば90℃、1時間常圧乾燥(含水率0.5質量%以下)後、DP−30℃以下にて130℃、3時間乾燥(含水率0.02質量%以下)が好ましい。錠剤及びペレット状セルロースエステル樹脂の乾燥は、例えばDP−30℃以下にて100℃、5時間乾燥(含水率0.02質量%以下)が好ましい。
含水率はカールフィッシャー水分量測定装置(ダイアインスツルメンツ社製:CA−06、VA−06)を用い電量滴定法にて測定できる。
本発明で使用されるセルロースエステル樹脂は、原料セルロースに対して、主としてプロピオン酸または/および酪酸を用いてエステル化反応することによって合成できる。
具体的には、セルロースアセテートブチレートは以下の方法で製造できる。例えば、セルロース、塩化リチウム、酢酸、酪酸を、ジメチルアセトアミドに混合した溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアミノピリジン−トシル酸塩を室温で加え、DCCが完全に消費されるまで20〜30時間攪拌し、エステル化反応を行う。反応終了後、蒸留水を加えて生成した白色沈殿を濾別する。濾別した固形物を純水で数回洗浄した後、メタノールでソックスレー抽出を行い、最後に真空乾燥することでセルロースアセテートブチレートが得られる。
また例えば、上記したセルロースアセテートブチレートの製造方法において、酪酸の代わりにプロピオン酸を用いることにより、セルロースアセテートプロピオネートが得られる。
酢酸とプロピオン酸または/および酪酸との添加量および添加比率を調整することによって、得られるセルロースエステル樹脂のアセチル基の置換度、プロピオニル基、およびブチリル基の置換度を制御できる。例えば、酪酸の添加量および添加比率を増やすと、ブチリル基の置換度は上昇する。プロピオン酸の添加量および添加比率を増やすと、プロピオニル基の置換度は上昇する。酢酸の添加量および添加比率を増やすと、アセチル基の置換度は上昇する。
酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸に溶解させたセルロースエステル樹脂を水添加等によりpHを上げて再沈する工程時前にろ過し、異物(有機酸溶液への不溶解物)を除去することが望ましい。この異物を十分に除去しないと後の溶融時、トナー中に異物として残存する恐れがある。
得られたセルロースエステル樹脂の洗浄は、水洗、アルコール洗浄等を実施し、残留酸成分は100ppm未満、低分子量体(分子量10,000以下)は5質量%未満に除去することが望ましい。残留酸成分、低分子量体が多いと劣化、着色等が著しくなる恐れがある。
セルロースエステル樹脂の製造に使用される原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
(ポリ乳酸とセルロースエステル樹脂の配合比)
本発明に係るトナー用バインダー樹脂は、前記のポリ乳酸(PLA)とセルロースエステル(CE)樹脂を適度な比率で配合することで、本発明の目的が達成される。上述したように、汎用的なトナー用バインダー樹脂と比較した場合、PLAは脆性が劣位であり、CE樹脂は吸湿性と耐熱性が劣位である。それぞれ、単独ではバインダー樹脂としての特性を満足し得ないが、適度な比率で配合することにより、互いの弱点を補完しバインダー樹脂としての特性を満足することができる。具体的な配合質量比はPLA:CE樹脂で95:5〜70:30、好ましくは90:10〜75:25である。PLAの比率が大きすぎる場合(CE樹脂の比率が小さすぎる場合)、脆性が大となり、機械的強度が低下し、スペント、感光体上へのフィルミングなどの不具合が生じる。PLAの比率が小さすぎる場合(CE樹脂の比率が大きすぎる場合)、吸湿性が大となり、帯電性能が著しく低下する。また、脆性が改善されるものの、バインダー樹脂の溶融温度が大となり、低温定着性において不利に働く。前記配合比においてのみ、比較的低い溶融温度、耐吸湿性、良好な靭性が確保され、バインダー樹脂として求められる低温定着性、帯電性、機械的強度を満足することができる。
本発明は、トナーがバインダー樹脂としてポリ乳酸およびセルロースエステル樹脂以外の他の樹脂を含有することを妨げるものではない。他の樹脂として、例えば、スチレン系樹脂(例えばポリスチレン)、(メタ)アクリレート系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、スチレン−アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。他の樹脂の含有量は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常、バインダー樹脂全量に対して5重量%以下である。
(色材)
色材としては、以下に示すような有機ないしは無機の各種各色の顔料が挙げられる。
すなわち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイト、フラーレン、カーボンナノチューブなどがある。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。
本発明においては、耐熱性、帯電性のさらなる向上と、着色性の向上との観点から、フラーレン(黒色)、水素化フラーレンなどの化学修飾フラーレン、カーボンナノチューブ(黒色)などを色材として使用することができる。
色材の配合量はバインダー樹脂100質量部に対して0.01〜50質量部、好ましくは0.1〜20質量部が望ましい。色材は、単独あるいは複数組合せて用いることができ、複数組み合わせて用いる場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
色材は、予めバインダー樹脂中に均一に溶解及び/又は分散されてなるマスターバッチとして用いることができる。バインダー樹脂中に色材を均一に溶解及び/又は分散させてマスターバッチを得るためには、乾式及び湿式方法がある。乾式方法としては、2本ロール、二軸押出し混練機などの一般的な混練・分散機を用いることができる。湿式方法としては、溶剤中にバインダー樹脂及び色材などの添加剤を溶解及び/又は分散させた後、溶剤を除去する方法が挙げられる。溶剤中でバインダー樹脂及び色材を溶解及び/又は分散させるには、ウルトラターラックス(IKA社製)、アイガーモータミル(アイガージャパン社製)、T.Kオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、ボールミル、サンドグラインダー、超音波ホモシナイザーなどの湿式分散装置を用いることができる。溶剤にバインダー樹脂を溶解させるために、加熱及び/又は加圧雰囲気下で処理してもよい。このようにして得られた着色樹脂固形物をフェザーミルなどの粉砕機によって粗粉砕を行い、1〜2cmのマスターバッチ粗粉砕物を得ることができる。
(可塑剤)
本発明のトナーには可塑剤が含有されることが好ましい。本発明のトナーに可塑剤を添加することにより、帯電性、機械的強度、低温定着性、オイルレス定着性がより一層向上する。特に耐熱性およびオイルレス定着性が著しく向上する。トナーを乾式粉砕法で製造するに際し、可塑剤を添加することにより、溶融温度を有効に低減できるため、耐熱性が著しく向上する。定着時において、可塑剤が有効にしみだして、定着ローラ表面に被膜を形成し、トナー成分の定着ローラ表面への付着を防止するため、オイルレス定着性が著しく向上する。
可塑剤としては分子量300〜3000のエステル系化合物が用いられ、好ましい分子量は300〜1000、特に400〜600である。可塑剤の好ましい融点は60〜110℃、特に70〜90℃である。
可塑剤として、例えば、リン酸エステル化合物、アルコールエステル化合物およびカルボン酸エステル化合物が好ましく用いられる。アルコールエステル化合物として、例えば、アルキレングリコールエステル化合物、多価アルコールエステル化合物が挙げられる。カルボン酸エステル化合物として、例えば、ジカルボン酸エステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。好ましい可塑剤は多価アルコールエステル化合物である。可塑剤は常温常圧において液体であっても固体であってもよく、組成物の制約上無色であることが好ましい。熱的にはより高温において安定であることが好ましく、分解開始温度が150℃以上、さらに200℃以上が好ましい。
可塑剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され、バインダー樹脂100質量部に対して好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部である。特に10〜20質量部が好ましい。可塑剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、2種以上を組み合わせて用いる場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
以下、可塑剤の具体例についてさらに説明する。具体例はこれらに限定されるものではない。
リン酸エステル化合物:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクデルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルトービフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。また、エチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等の多価リン酸エステル化合物が挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
アルキレングリコールエステル化合物は、モノアルキレングリコールエステル化合物、ポリアルキレングリコールエステル化合物が挙げられる。
モノアルキレングリコールエステル化合物として、例えば、エチレングリコールエステル化合物が使用できる。
エチレングリコールエステル化合物:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステルが挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
ポリアルキレングリコールエステル化合物として、例えば、ポリエチレングリコールエステル化合物およびポリプロピレングリコールエステル化合物が使用できる。
ポリエチレングリコールエステル化合物およびポリプロピレングリコールエステル化合物の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005375556
多価アルコールエステル化合物は、3価以上の多価アルコールのエステル化合物であり、例えば、グリセリンエステル化合物、トリメチロールプロパンエステル化合物、他の多価アルコールエステル化合物が挙げられる。好ましい多価アルコールエステル化合物はグリセリンエステル化合物、トリメチロールプロパンエステル化合物である。
グリセリンエステル化合物:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートブロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。さらに以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005375556
好ましいグリセリンエステル化合物はグリセリンアリールエステルである。
グリセリンエステル化合物のアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
トリメチロールプロパンエステル化合物の具体例として以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005375556
トリメチロールプロパンエステル化合物のアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
他の多価アルコールエステル化合物の具体例として以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005375556
他の多価アルコールエステル化合物のアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
ジカルボン酸エステル化合物:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブクンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステルが挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基、アリールオキシ基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。
多価カルボン酸エステル化合物は、3価以上の多価カルボン酸のエステル化合物である。
多価カルボン酸エステル化合物:具体的には、トリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステルが挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基、アリールオキシ基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーヘペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
(酸化防止剤)
本発明のトナーには酸化防止剤が含有されることが好ましい。酸化防止剤を添加することにより、加熱溶融混練時の熱酸化劣化を低減でき、耐ストレス性がより一層向上する。
本発明に用いられる酸化防止剤は、市販の酸化防止剤を使用しても構わない。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、アミン系化合物、イオウ系化合物およびアクリレート系化合物が挙げられる。酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、バインダー樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、2種以上を組み合わせて用いる場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
酸化防止剤は、耐ストレス性の観点から、ヒンダードフェノール系化合物と、リン系化合物と、アミン系化合物またはアクリレート系化合物とを組み合わせて使用することが好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているもの等の、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が合まれる。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオードデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオベンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
リン系化合物としては、具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。リン系化合物は、例えば、住友化学から”SumilizerGP”という商品名で市販されている。
アミン系化合物としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(ma1einate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピベリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトテメチルビペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルビペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル等が含まれる。アミン系化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemica1sから、“Tinuvin144”という商品名で市販されている。
イオウ系化合物としては、具体的には、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、“Sumili
zer TPL−R”及び“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されて
いる。
アクリレート系化合物としては、具体的には、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ベンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。アクリレート系化合物は、例えば、住友化学から“SumilizerGS”あるいは“SumilizerGM”という商品名で市販されている。
(荷電制御剤)
本発明のトナーには正または負の荷電制御剤が含有されてよい。
正荷電制御剤としては、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージPX VP435(クラリアント社製)などの第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物等が挙げられる。
負荷電制御剤としては、ボントロンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジゴ系顔料、コピーチャージNXVP434(クラリアント社製)などの第4級アンモニウム塩、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられる。負荷電制御剤となる金属錯体は、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金具錯体、アミノ酸金具錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものであってもよい。
荷電制御剤の配合量は、帯電性のさらなる向上の観点から、バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部使用することが好ましい。
(磁性粉)
本発明のトナーには磁性粉が含有されてよい。
磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、あるいは各種フェライト等が挙げられる。
(離型剤)
本発明のトナーには離型剤が含有されてよい。本発明においては離型剤を含有させなくても、本発明のトナーをオイルレス定着用トナーとして使用することができる。
離型剤としては、各種のワックスを用いることができ、例えば、低分子量ポリプロピレンや低分子量ポリエチレン、あるいは、酸化型のポリプロピレンや酸化型のポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス、カルナバワックス、エステルワックス、フィッシャートロプシュワックス、水添ホホバ油、パラフィンワックス等が挙げられる。
離型剤の配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは2〜10質量部が望ましい。
(流動化剤)
本発明のトナーには、流動化剤が外添されていることが好ましい。
流動化剤としてはトナーの分野で公知の無機微粒子が使用可能である。
好ましい流動化剤としては、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ微粒子を用いることができる。具体的には、日本アエロジル社製のR976、R976S、R974、R972、NX90、NAX50など、ワッカーケミー社製のHDK H3004、H2050、H2000、H1018など、キャボット社製CAB−0−SIL TG−811Fなどが挙げられる。
流動化剤の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%が好適である。
(トナーの製造方法)
本発明に係る電子写真用トナーは、粉砕法によって製造できる。詳しくは、まず、少なくともバインダー樹脂および色材、ならびに所望により、可塑剤、酸化防止剤、荷電制御剤、磁性粉、離型剤などの添加剤を溶融・混練し、冷却後、粉砕し、トナー母粒子を得る。次いで、トナー母粒子に対して流動化剤を添加し、混合してトナーを得ることができる。
溶融・混練時において、加熱温度は、180〜220℃、滞留時間は、30秒〜90秒の範囲が好ましい。
本発明のトナーは耐熱性に優れているので、ガラス転移温度が45〜70℃、好ましくは47〜65℃であり、溶融温度が120〜145℃、好ましくは123〜140℃である。
(現像剤)
本発明に係る電子写真用トナーは、現像ローラと規制ブレードとの間隙でトナーの帯電を行う一成分現像剤として使用してもよいし、またはキャリアとの摩擦によりトナーの帯電を行う二成分現像剤として使用してもよい。
[セルロースエステル樹脂の製造]
Polymers for Advanced Technologies, vol.14(2003), p478 を参考にして、各種のセルロースエステルを合成した。
<セルロースエステル樹脂CE1>
セルロースを100質量部と、塩化リチウム420質量部と、酢酸3質量部、酪酸を200質量部とを、ジメチルアセトアミド1000質量部(体積で10倍)に混合した溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を380質量部、ジメチルアミノピリジン130 質量部、ジメチルアミノピリジン−トシル酸塩130質量部を室温で加え、DCCが完全に消費されるまで24時間攪拌した。反応終了後、5000質量部の蒸留水を加えて生成した白色沈殿を濾別した。濾別した固形物を純水で数回洗浄した後、メタノールで24時間ソックスレー抽出を行い、最後に65〜70℃で真空乾燥することでセルロースエステルCE1を得た。
<セルロースエステル樹脂CE2>
酢酸3質量部を5質量部、酪酸200質量部を180質量部に変更した以外は、セルロースエステル樹脂CE1と同様にして合成を行い、セルロースエステル樹脂CE2を得た。
<セルロースエステル樹脂CE3>
酢酸3質量部を4質量部、酪酸200質量部をプロピオン酸150質量部に変更した以外は、セルロースエステル樹脂CE1と同様にして合成を行い、セルロースエステル樹脂CE3を得た。
<セルロースエステル樹脂CE4>
イーストマンケミカル社製セルロースアセテートブチレート、CAB553−0.4を使用した。
<セルロースエステル樹脂CE5>
イーストマンケミカル社製セルロースアセテートプロピオネート、CAP504を使用した。
セルロースエステル樹脂のTg,融点,Mn,Mw,Mw/Mnをそれぞれ前記した方法により測定した。
Figure 0005375556
[トナーの製造]
(トナーNo.1A)
・ポリ乳酸(バインダー樹脂;NatureWorks PLA Po1ymer 7000D;Cargil−Dow社製;ガラス転移温度Tg55℃、融点145℃)
80質量部
・セルロースエステル樹脂CE1(バインダー樹脂) 20質量部
・グリセリントリベンゾエート(可塑剤、分子量404、融点75℃) 15質量部
・C.I.Pigment Blue 15−3 6.0質量部
・AO1(酸化防止剤の混合物)
Irganoxl0l0(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5質量部
SumilizerGP(住友化学社製) 0.25質量部
SumilizerGS(住友化学社製) 0.25質量部
・LR−147(荷電制御剤;日本カーリット社製) 0.1質量部
上記バインダー樹脂の乾燥は除湿機付乾燥機(乾燥機PO、除湿機DMZ2/松井製作所社製)にてDP<−30℃の条件にて実施した。ポリ乳酸は50℃、5時間の条件で乾燥した。セルロースエステル樹脂は130℃、5時間の条件で乾燥した。乾燥後のポリ乳酸及びセルロースエステル樹脂の含水率をカールフィッシャー水分量測定装置(ダイアインスツルメンツ社製:CA−06、VA−06)を用い電量滴定法にて求めたところ、いずれの樹脂も0.02%(200ppm)未満であった。
上記乾燥後バインダー樹脂と上記添加剤をDP<−30℃に管理されたタンブラーミキサーに投入し、攪拌、混合した。得られた混合物を2軸式押出し機PCM−30(池貝社製)にて以下の設定条件にて溶融混練し、冷却後、カッターミルで粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕させた。この微粉砕物を風力分級機で分級し、体積平均粒径6.0μmのトナー母粒子1を得た。
PCM−30の設定条件;
Feed量;20kg/hr。
バレル温度;(バレル1−2)20℃;(バレル3)150℃;(バレル4−9)200℃;(アダプター/ダイス)200℃。
スクリュー回転数;200rpm。
滞留時間;30秒。
得られたトナー母粒子に対しジメチルジクロロシランで疎水化処理した負帯電性シリカR976S(日本アエロジル社製)1.0重量%を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)を用い20m/sの速度で1分間表面処理をおこなった後、90μmメッシュでフルイを行いトナーNo.1Aを得た。
(トナーNo.2A〜10A)/1B〜6B)
表2に記載の組成に変更した以外は、トナーNo.1Aの製造方法と同様の方法によりトナーNo.2A〜10A/1B〜6Bを得た。トナーNo.7Aに用いたポリ乳酸は、LACEA H−280(三井化学社製;ガラス転移温度Tg53℃、融点143℃)である。
[トナーの評価]
<粒径、粒径分布の測定>
コールターカウンター(コールター社製)により体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpを測定した。また、粒径分布は体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dpで表わすことができ、Dv/Dpが1に近いほど粒径分布はシャープである。
<帯電性>
(キャリアの製造例)
スチレン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなるスチレン−アクリル系共重合体(モル比 1.5:7:1.0:0.5)80質量部と、ブチル化メラミン樹脂20質量部とをトルエンで希釈することにより、固形分比2重量%のスチレン−アクリル樹脂溶液を調製した。芯材として焼成フェライト粉(F−300:平均粒径50μm、嵩密度2.53g/cm3;パウダーテック社製)を用い、上記スチレン−アクリル樹脂溶液をスピラーコーター(岡田精工社製)により塗布し、乾燥した。得られたキャリアを熱風循環式オーブン中にて140℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き210μmと90μmのスクリーンメッシュを取り付けたフルイ振とう器を用いて解砕し、樹脂コートされたフェライト粉に対して、塗布、焼成、解砕の各処理をさらに3回繰り返して樹脂被覆キャリアを得た。こうして得られたキャリアの平均粒径は52μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
(帯電量)
得られたトナーと上記のキャリアとを5:95の重量比率で混合し、評価用現像剤を調製した。この現像剤30gを容量50ccのポリエチレン瓶に入れ、1200rpmで90分回転混合した。そして、所定の帯電量に帯電させたフィルムに接触させ、フィルムに付着するトナー重量とフィルム帯電量の変化量を測定することによりトナーの帯電量Qを求めた。上記測定は常温常湿環境(25℃、湿度60%)で行った。
◎;25μC/g≦Q<30μC/g(最良);
○;20μC/g≦Q<25μC/g、30μC/g≦Q<35μC/g(良);
△;15μC/g≦Q<20μC/g、35μC/g≦Q<40μC/g(可;実用上問題なし);
×;Q<15μC/g、Q≧40μC/g(不可;実用上問題あり)。
(環境による帯電量変動幅)
評価用現像剤を回転混合前に24時間高温高湿下(30℃、湿度85%)および低温低湿下(10℃、湿度15%)で保管し、上記の方法により、帯電量測定を高温高湿および低温低湿環境で行った。
帯電量変動幅(Q;μC/g)=|高温高湿下での帯電量−低温低湿下での帯電量|
◎;Q≦10μC/g(最良);
○;10μC/g<Q≦15μC/g(良);
△;15μC/g<Q≦20μC/g(可;実用上問題なし);
×;20μC/g<Q(不可;実用上問題あり)。
<耐ストレス性>
Bizhub C350の現像器に上述の評価用現像剤400gを入れ、外部攪拌装置により60分、現像器を連続攪拌させて耐ストレス性試験を実施した。試験前後のトナーの粒径測定を行い、その個数平均粒径の変化の度合いより耐ストレス性を評価した。
耐ストレス性試験前の個数平均粒径Dp
耐ストレス性試験後の個数平均粒径afrDp
耐ストレス性 Dp/afrDp(1に近いほど耐ストレス性が良好。数値が大となると耐ストレス性劣位)
◎;Dp/afrDp≦1.05(最良);
○;1.05<Dp/afrDp≦1.10(良);
△;1.10<Dp/afrDp≦1.20(可;実用上問題なし);
×;1.20<Dp/afrDp(不可;実用上問題あり)。
<定着性>
Bizhub C350を用い、付着量が0.6〜0.7mg/cmとなるよう調整して末定着画像を作製した。実機(Bizhub C350)と同じ素材の定着ローラーを具備した外部定着機を用いて、定着温度100〜240℃、システムスピード(CS)120〜210mm/sの範囲で定着性を評価した。外部定着機の定着温度は上部定着ローラー中央部表面から5cmの位置に具備された非接触式温度計により制御されている。オイルレス性能も評価するため、シリコンオイルなどの離型剤は塗布していない。オフセットが発生した場合、評価終了後にシリコンオイルでローラーを清掃し、入念に乾拭きを行いオイルを除去した。
・評価基準
定着可能温度領域とは、オフセット及び定着不良が発生しない定着可能な温度領域である。定着不良とは、BEMCOTで5回程度、定着画像を擦った時にトナーがBEMCOTに付着する現象を言う。表中の表記において、例えば、150−200は、定着可能な下限温度が150℃、上限温度が200℃であることを示している。定着可能な下限温度は低温定着性の指標であり、上限温度−下限温度は非オフセット温度領域と呼ばれオイルレス性能の指標である。定着可能な下限温度は低いほど優位であり、オイルレス性能は温度幅が広いほど優位となる。
◎;最良;
○;良;
△;可(実用上問題なし);
×;不可(実用上問題あり)。
<ガラス転移温度Tg及び溶融温度Tmの測定>
ASTM D3417及びD3418(DSC法)に従って、Tg及びTmの測定を実施した。なお、測定は2回行い、2回目のチャートからTg及びTmを求めた。
試料重量;10−20mg
試料容器;アルミパン
昇温速度;10℃/mim
測定温度;30℃−200℃
実施例1〜10(トナーNo.1A〜10A)は、粒径分布(Dv/Dp<1.5)、帯電性(帯電量20〜35μC/g、帯電量変動幅5〜10μC/g)、耐ストレス性(Dp/afrDp<1.15)、低温定着性(CS120mm/s時の定着可能下限温度≦150℃)、オイルレス性能(CS120mm/s〜210mm/sの定着可能温度領域>70℃)とも比較的良好な結果となった。
比較例1、2(トナーNo.1B、2B)は、PLAとCE樹脂との配合比が規定範囲外のサンプルである。トナーNo.1BはPLAの増量に伴い脆性が顕著となり、耐ストレス性が劣位となり、トナーNo.2Bは、CE樹脂の増量に伴い吸湿性が顕著となり、帯電量及び帯電量変動幅が劣位となった。
比較例3、4(トナーNo.3B、4B)は、CE樹脂の置換度が規定範囲外のサンプルである。トナーNo.3B、4Bは、プロピオニル基置換度およびブチリル基置換度の総置換度が低いため、吸湿性及びTg、融点が高くなり、帯電量及び帯電量変動幅、低温定着性が劣位となった。
Figure 0005375556
表2中、AO1およびAO2は以下の酸化防止剤からなる混合物である。
AO1;
Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5質量部
SumilizerGP(住友化学社製) 0.25質量部
SumilizerGS(住友化学社製) 0.25質量部
AO2;
Tinuvinl44 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
Figure 0005375556

Claims (4)

  1. 少なくともバインダー樹脂および色材を含有し、前記バインダー樹脂がポリ乳酸(PLA)およびセルロースエステル(CE)樹脂を含み、前記CE樹脂は炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、かつ下記式(I)を満たすセルロースエステル樹脂であり、PLAとCE樹脂との配合質量比がPLA:CE樹脂=95:5〜70:30の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナー;
    2.7≦Y+Z≦3.0 (I)
    (Yはプロピオニル基の置換度である;Zはブチリル基の置換度である)。
  2. 可塑剤をさらに含有し、該可塑剤としてエステル系化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 酸化防止剤をさらに含有し、該酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、アミン系化合物、イオウ系化合物およびアクリレート系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  4. 少なくともバインダー樹脂および色材を溶融・混練し、粉砕する粉砕法によって製造する電子写真用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂がポリ乳酸(PLA)およびセルロースエステル(CE)樹脂を含み、前記CE樹脂は炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、かつ下記式(I)を満たすセルロースエステル樹脂であり、PLAとCE樹脂との配合質量比がPLA:CE樹脂=95:5〜70:30の範囲内であることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法;
    2.7≦Y+Z≦3.0 (I)
    (Yはプロピオニル基の置換度である;Zはブチリル基の置換度である)。
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