JP5375227B2 - 冷凍機用エステル潤滑油の製造方法 - Google Patents

冷凍機用エステル潤滑油の製造方法 Download PDF

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本発明は、冷凍機用エステル潤滑油の製造方法に関し、詳細には冷凍空調機器において冷媒を圧縮するためのコンプレッサーを潤滑するエステル潤滑油を製造する方法に関する。特には、非塩素系フロン冷媒または自然冷媒を含有する冷凍機用作動流体組成物に使用される冷凍機用エステル潤滑油の製造方法に関する。
ルームエアコン、パッケージエアコンなどの空調機器、低温機器や産業用冷凍機、およびハイブリッドカーや電気自動車のカーエアコンなどの冷凍空調機器では、オゾン層の破壊などの問題を引き起こす、塩素を含むフロン冷媒に代えて、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)、ペンタフルオロエタン(R−125)、ジフルオロエタン(R−32)、これらの混合冷媒などの非塩素系フロン冷媒への転換が進められている。それに従い、非塩素系フロンとの相溶性が高いポリオールエステルを基油とする冷凍機用エステル潤滑油が種々提案されている。
冷凍機用エステル潤滑油には、耐熱性および非塩素系フロンとの相溶性の点から、α位またはβ位にメチル分岐鎖またはエチル分岐鎖を有するカルボン酸と、ペンタエリスリトールとからなる耐熱性に優れたヒンダードエステルが実用化されている。近年では、環境対応の観点から冷凍機の省エネルギー性に対する要求が高くなり、冷凍機用潤滑油が過酷な条件で使用されるようになった。すなわち、冷凍機用潤滑油に使用されるエステルの耐熱性向上への要求が高まっている。
例えば、特許文献1(特に実施例)には、ジフルオロメタン(R−32)を含む混合冷媒の使用に伴い、熱的に厳しい環境で運転されるコンプレッサーにおいても高い安定性を有するエステルとして、ペンタエリスリトールと2−エチルへキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸の混合モノカルボン酸とからなるエステルを主成分とした冷凍機用潤滑油が開示されている。また、特許文献2には、経時的な安定性に優れる冷凍機油組成物として、ネオペンチル構造を有するアルコールと分岐構造を有するモノカルボン酸とのエステルに対し、酸性成分反応性添加剤と、水・塩酸反応性添加剤を含有する冷凍機油組成物が開示されている。
冷凍機用エステル潤滑油の耐熱性を向上させるため、上記のように、エステルの構造を工夫する方法や、添加剤を工夫する方法があるが、エステルの耐熱性はその製造方法に大きく依存することから、高い耐熱性を有するエステルの製造方法についても多くの検討が行われている。例えば、特許文献3には、高い耐熱性を有するエステルの製造方法として、エステル化反応において、ルイス酸触媒とリン系還元剤を添加する方法が開示されている。また、特許文献4には、耐熱性を有するエステルを得るために、未反応のカルボン酸を無機系酸捕捉剤で捕捉し、その後、残存するカルボン酸塩を吸着剤で吸着することが開示されている。
特開平10−8084号公報 特開2001−226692号公報 特開2002−193882号公報 特開2007−332134号公報
本発明の目的は、高品質で高い耐熱性を有する冷凍機用エステル潤滑油を得るための製造方法を提供することにある。特には、非塩素系フロン冷媒または自然冷媒を含有する冷凍機用作動流体組成物に好適に使用される冷凍機用エステル潤滑油の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、炭素数5から10のアルコールと炭素数5から12の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族カルボン酸とからエステルを得る際に、反応系の水酸基価が5mgKOH/g以下となるまで反応させ、得られた粗生成物を、平均粒子径が8から20μmで細孔径が0.4nmから1.5nmの合成ゼオライトを用いて、60℃から120℃で処理を行うことによって、高い耐熱性を有する冷凍機用エステル潤滑油が得られることを見出した。
加えて、上記の合成ゼオライトによる処理を実施した後、(1)アルカリ水溶液による中和処理工程、及び/又は(2)吸着剤を用いた吸着処理工程をさらに実施することによって、耐熱性の更に高い高品質な冷凍機用エステル潤滑油が得られることを見出した。
本発明においては、前記エステルが、炭素数5から10のネオペンチル構造を有する多価アルコールと、炭素数5から10の分岐構造を有する脂肪族カルボン酸とからなることが好ましい。また、本発明により得られる冷凍機用エステル潤滑油は、高い耐熱性を有することから、非塩素系フロン冷媒または自然冷媒を含有する冷凍機用作動流体組成物の基油として使用することが好ましい。
なお、本発明における「冷凍機」には、電気冷蔵庫、冷凍冷蔵ショーケース、自動販売機などの密閉形冷凍機、カーエアコンなどの開放形冷凍機、ルームエアコン、パッケージエアコンなどの密閉・半密閉形冷凍機、コンデンシングユニット、冷凍冷蔵ユニットなどの一般産業用冷凍機が含まれる。
本発明の製造方法により得られた冷凍機用エステル潤滑油は、高品質で高い耐熱性を有するので、熱安定性が特に要求される冷凍空調機器のコンプレッサーに好適に用いることができる。また、本発明の製造方法により得られた冷凍機用エステル潤滑油は、非塩素系フロン冷媒や自然冷媒との相溶性が高いので、これら冷媒を含有する冷凍機用作動流体組成物に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の冷凍機用エステル潤滑油の製造方法は、炭素数5から10のアルコールと、炭素数5から12の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族カルボン酸とからエステルを得る工程を有する。
一方の反応原料である炭素数5から10のアルコールとしては、1価アルコール又は2価以上の多価アルコールが用いられる。使用できる1価のアルコールとしては、1−ペンタノール、1−デカノールのような直鎖状の構造を有するものや、2−エチル−1−ブタノール、2―エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのような分岐状の構造を有するものが用いられる。エステルの耐加水分解性や低温流動性の観点から、分岐状の構造を有するアルコールが好ましい。
使用できる2価以上の多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n―ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールノナン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが挙げられる。更に、耐熱性の観点から、水酸基のβ位の炭素に水素原子を持たないネオペンチル構造を有する多価アルコール(ネオペンチルポリオール)が好ましく用いられる。具体的にはネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n―ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールが挙げられる。
もう一方の反応原料である炭素数5から12の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族カルボン酸(以下、単にカルボン酸ともいう。)としては、炭素数5から12の直鎖、もしくは分岐鎖を有するモノカルボン酸が用いられる。このようなモノカルボン酸として、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸のような直鎖状の構造を有するモノカルボン酸や、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、ネオデカン酸のような分岐状の構造を有するモノカルボン酸が用いられる。耐熱性の観点から、炭素数5から10の分岐構造を有するモノカルボン酸を用いることが好ましい。また、場合によって、2つのカルボン酸を有する二塩基酸を使用することができる。使用できる二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、などが例示される。
エステルの製造に際しては、上記のアルコールと脂肪族カルボン酸を適切な反応器に仕込んで反応を行う。この際のアルコールと脂肪族カルボン酸の比率は、アルコールの水酸基に対し、カルボン酸基が1.0から1.5のmol当量になるように仕込むことができる。反応温度は、エステル化反応の進行に伴って生成する水を効率的に除去するために、150℃から250℃の範囲であり、好適には窒素気流下で実施される。更に、反応時の圧力については、水の留去を効率よく行うために、減圧下で実施することもできる。また、耐熱性の観点から、エステル化反応を十分に進める方が好ましく、反応系、すなわち反応粗生成物の水酸基価が5mgKOH/g以下になるまで反応を行うことが好ましい。なお、上記のアルコールと脂肪族カルボン酸は、それぞれ1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、反応を効率良く十分に進めるために、触媒を使用することもできる。使用する触媒は、エステル化反応に対し触媒効果があるものであれば特に制限は無く、そのような触媒として、ブレンステッド酸やルイス酸触媒を使用するのが一般的である。ブレンステッド酸としては、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸が例示される。また、ルイス酸触媒としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどのルイス酸性を有する触媒が例示される。
反応粗生成物の水酸基価が5mgKOH/g以下に達したら、残存するアルコールやカルボン酸を減圧下で留去することができる。温度や減圧度は、残存するアルコールやカルボン酸の量と種類によるが、150℃から250℃の温度範囲において、100Torr以下の減圧度で実施することが好ましい。また、エステルの酸化劣化をできるだけ防ぐために、窒素気流下で行うのが好ましい。
本発明の冷凍機用エステル潤滑油の製造方法は、得られた粗生成物を合成ゼオライトにて処理する工程を有する。合成ゼオライトとしては、ケイ酸ソーダとアルミン酸ソーダを主原料とし、必要に応じて苛性ソーダなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属を混合・成型して得られたものを使用できる。
合成ゼオライトは、マイクロトラック法などのレーザー回折・散乱法で測定される平均粒子径が8から20μmのものを使用する。平均粒子径が8μm未満の合成ゼオライトを使用した場合、エステルの耐熱性の向上効果が見られず、場合によっては、エステルの耐熱性を減ずる可能性がある。また、平均粒子径が大きいほどエステルの耐熱性が向上する傾向にあるが、平均粒子径が20μmを超えても粒子径の大きさに見合うエステルの耐熱性の向上効果が得られない。
合成ゼオライトの細孔径は0.4nm以上、1.5nm以下のものが良い。細孔径が0.4nm未満の場合、処理される分子が細孔よりも大きいので、分子が合成ゼオライトに取り込まれないため処理効果が低い。また、細孔径が1.5nmを超える場合、処理される分子のみならず、分子サイズが比較的大きいエステルも処理され、劣化の原因となる可能性があるため使用できない。
合成ゼオライトを用いた処理は窒素気流下において、60℃以上、120℃以下で行う。60℃未満の場合、合成ゼオライトの活性が不十分で処理の効果が得られない。また、120℃を超える場合、合成ゼオライトの吸着効果が低いため、十分な処理の効果が得られない。合成ゼオライトによる処理は、80℃以上、100℃以下の温度で実施することがより好ましい。また、合成ゼオライトによる処理の効果を促進させるため、減圧下で実施することも効果的である。減圧度は低いほど良いが、100Torr以下で実施することが好ましい。処理時間は上記の条件において1時間から6時間程度である。
合成ゼオライトによる処理の方法に特に制限はなく、粗生成物であるエステルの入った反応器に直接所定量の合成ゼオライトを加えて処理する方法や、合成ゼオライトを充填して所定の温度に制御した筒状のカラムにエステルを通過する方法が挙げられる。反応器に直接所定量の合成ゼオライトを加えて処理する場合、合成ゼオライトの添加量は、エステルに対して0.1質量%以上で10質量%以下が良い。0.1質量%未満の場合、合成ゼオライトの量が不足して処理効果が発現されない可能性があり、10質量%を超えて添加しても、添加量に見合った効果が得られない。
合成ゼオライトの形状については特に制限はなく、上記の粉状の合成ゼオライトや、バインダー成分を加えて成型加工したペレット、フレーク、ビーズ状などのものも使用できる。
本発明では、合成ゼオライトによる処理の後に、以下のような精製処理工程を実施することによって、より高い耐熱性を有する冷凍機用エステル潤滑油を得ることができる。
(1)アルカリ水溶液による中和処理工程
得られたエステルに規定量のアルカリ水溶液を加えて撹拌し、静置分層してアルカリ水溶液を排出する。アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムの1種又は2種以上を用いることができる。また、アルカリ水溶液の濃度は、処理効率やアルカリ水溶液によるエステルの加水分解を考慮して、5質量%から30質量%が好ましい。エステルに加えるアルカリ水溶液の量は、アルカリ成分がエステルの酸価に対し1から2倍当量が良い。処理温度は60℃から90℃の範囲が好ましい。
以上の条件において撹拌し、その後、撹拌を止めて静置・分層して、下層のアルカリ水溶液を除去する。エステルに対してアルカリ成分が残存するとエステルの耐熱性が低下するので、アルカリ成分を十分に除去するために水洗いを実施する。例えば、エステルに対して5質量%から30質量%の水を加えて撹拌し、撹拌を停止して静置・分層して下層の水を除去する。この一連の操作を処理後の水のpHが7から9になるまで繰り返すことが好ましい。最後に、エステル中の水分を除去するために脱水を行う。脱水の方法に特に制限はないが、60℃から150℃で減圧下で撹拌することにより、十分にエステル中の水分を低減することができる。
(2)吸着剤を用いた吸着処理工程
エステルに対して吸着剤を加えて吸着処理を行う。吸着剤としては、活性白土、酸性白土、活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、珪藻土、二酸化珪素、酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられ、これらの各種吸着剤を組み合わせて使用しても良い。使用する吸着剤の量は、得られるエステルに対し0.1から5質量%であることが好ましい。また、吸着処理は、60℃から120℃の温度範囲で、100Torr以下の減圧条件において窒素気流下で行うことができる。吸着処理後は、ろ過により吸着剤を除去する。
以上のように、合成ゼオライトを用いた処理の後に、上記の(1)アルカリ水溶液による中和処理工程および(2)吸着剤を用いた吸着処理工程のうち少なくとも一方の精製処理を行うことによって、耐熱性の更に高い冷凍機用エステル潤滑油を得ることができる。好ましくは、合成ゼオライトを用いた処理を実施した後に、上記2つの精製処理を行うことによって、耐熱性の更に高い冷凍機用エステル潤滑油を得ることができる。なお、上記2つの精製処理を行う場合には、(1)アルカリ水溶液による中和処理工程を行なった後に、(2)吸着剤を用いた吸着処理工程を行なうのが好ましい。
本発明の製造方法により得られた冷凍機用エステル潤滑油には、公知の添加剤、例えば、フェノール系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾ−ル、チアジアゾールまたはジチオカーバメートなどの金属不活性化剤、エポキシ化合物またはカルボジイミドなどの酸捕捉剤、リン系の極圧剤などの添加剤を目的に応じて適宜配合することができる。
本発明の製造方法により得られた冷凍機用エステル潤滑油は、高い耐熱性を有するので、冷凍機油における基油として利用することができる。特に、非塩素系フロン冷媒を用いた冷凍空調機器において、冷媒を圧縮するためのロータリー型コンプレッサーやスクロール型コンプレッサーを潤滑するための冷凍機用作動流体組成物の基油として、本発明による冷凍機用エステル潤滑油が好適に使用される。
冷凍機用作動流体組成物は、本発明の製造方法により得られた冷凍機用エステル潤滑油と、非塩素系フロン冷媒または自然冷媒とを含有する。非塩素系フロン冷媒としては、具体的には、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)、ペンタフルオロエタン(R−125)、ジフルオロエタン(R−32)、トリフルオロメタン(R−23)、1,1,2,2−テトラロフルオロエタン(R−134)、1,1,1−トリフルオロエタン(R−143a)、1,1−ジフルオロエタン(R−152a)等、またはこれらの二種以上からなる混合冷媒が用いられる。
上記混合冷媒としては、具体的には、例えばR−407C(R−134a/R−125/R−32=52/25/23質量%)、R−410R(R−125/R−32=50/50質量%)、R−404A(R−125/R−143/R−134a=44/52/4質量%)、R−407E(R−134a/R−125/R−32=60/15/25質量%)、R−410B(R−32/R−125=45/55質量%)などが挙げられる。これらの中でも、特にR−134a及びR−32の少なくとも一種を含む冷媒が好ましく挙げられる。
また、自然冷媒としては、炭化水素冷媒や二酸化炭素冷媒などが挙げられ、炭化水素冷媒としては、炭素数1から5のアルカン、シクロアルカン、アルケンまたはこれらの混合物が挙げられる。
冷凍機用作動流体組成物は、通常、本発明による冷凍機用エステル潤滑油と非塩素系フロン冷媒もしくは上記自然冷媒との質量比が、10:90から90:10である。冷媒の質量比がこの範囲にあれば、作動流体組成物が適度な粘性を有するので、潤滑性に優れ、かつ冷凍効率も高いものとなり好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(実施例1〜15および比較例1〜12)
表1に示すアルコールとカルボン酸を用いて下記工程によりエステル粗生成物(表1に示すエステルA〜H)を得た。得られたエステル粗生成物に対して、表3及び表4に示す処理(下記に示す合成ゼオライトによる処理、アルカリ水溶液による処理、吸着剤による処理)を行なって、冷凍機用エステル潤滑油を得た。得られた冷凍機用エステル潤滑油の色相は、全てガードナー色数で1以下であり、酸価は0.01mgKOH/g以下、水酸基価は0.5mgKOH/g以下であった。なお、表3,4中、実施の有無の欄における○は「実施有り」を、×は「実施無し」を表す。
冷凍機用エステル潤滑油の各測定は以下の方法で行った。
色相:基準油脂分析試験法(日本油脂化学会編「基準油脂分析試験法」1996年)2.2.1.3に準拠して測定した。
酸価:JIS C−2101に準拠して測定した。
水酸基価:JIS K−0070に準拠して測定した。
〔エステル粗生成物A〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、冷却管及び油水分離管を取り付けた3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール500g、n−ペンタン酸283.4g、3,5,5−トリメチルヘキサン酸1650gを仕込み、窒素気流下、160℃で6時間保持した後、220℃で反応水を留去しつつ常圧で反応させた。反応系の水酸基価が5.0mgKOH/g以下であることを確認し、50Torrの減圧下で未反応のカルボン酸を1時間かけて除去した。得られたエステルを室温まで冷却し、水酸基価が0.3mgKOH/gのエステル粗生成物1980gを得た。
〔エステル粗生成物B〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、冷却管及び油水分離管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール850g、2−メチルヘキサン酸965.2g、2−エチルヘキサン酸2171gを仕込み、窒素気流下、160℃で6時間保持した後、240℃で反応水を留去しつつ常圧で反応させた。反応系の水酸基価が5.0mgKOH/g以下であることを確認し、50Torrの減圧下で未反応のカルボン酸を1時間かけて除去した。得られたエステルを室温まで冷却し、水酸基価が0.7mgKOH/gのエステル粗生成物3070gを得た。
〔エステル粗生成物C〜H〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、冷却管及び油水分離管を取り付けた3Lの4つ口フラスコに、表1に示すアルコールを仕込んだ後、アルコールの水酸基に対し、カルボン酸基が1.2mol当量となるように表1に示すカルボン酸を仕込み、留出する水を除去しながら窒素気流下において160℃まで昇温して6時間保持した。その後、240℃まで昇温して表1に示す所定の水酸基価になるまで反応を行った。最後に50Torrの減圧下で未反応のカルボン酸を1時間かけて除去することでエステル粗生成物C〜Hを得た。
〔合成ゼオライト(ゼオライト1〜5)〕
表2に示すゼオライト1〜5は、和光純薬工業株式会社製の製品名:合成ゼオライトA−3、合成ゼオライトA−4、合成ゼオライトA−5、合成ゼオライトF−9の粉末品を用いた。合成ゼオライトの平均粒子径は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置MT3000を用いて測定した。エタノールが循環している上記測定器にDV値が0.6〜0.8になるように合成ゼオライトを加えていき、その状態における合成ゼオライトの平均粒子径を測定した。また、合成ゼオライトの細孔径は、水銀注入法〔Halenda P.P.,
J. Am. Chem. Soc.,vol.73, 373(1951) 〕に準拠して測定した。用いた合成ゼオライトの細孔径と平均粒子径を表2にまとめた。
〔合成ゼオライトによる処理〕
上記の方法にて得られたエステル粗生成物200gに各種合成ゼオライトを2g加え、30Torrの減圧下、表3,4に示した温度条件で1時間撹拌した後、ろ過により合成ゼオライトを除去した。
〔アルカリ水溶液による処理〕
処理前のエステル粗生成物の酸価から算出される水酸化カリウム量の1.5当量をイオン交換水で希釈して10質量%の水溶液を作成し、それをエステル粗生成物に加え、85℃で1時間撹拌することにより行った。その後、撹拌を止め、30分静置して下層に分離した水層を除去した。次に、エステル粗生成物に対して20質量%のイオン交換水を加えて85℃で10分撹拌し、15分静置した後、分離した水層を除去する操作を5回繰り返した。最後に100℃、30Torrで撹拌することで脱水した。
〔吸着剤による処理〕
エステル粗生成物に対し2質量%の活性白土を加えて80℃で30Torrの減圧下で1時間撹拌し、最後に1ミクロンのフィルターを用いてろ過することにより吸着剤を除去した。
〔冷凍機用エステル潤滑油の加熱試験〕
上記の冷凍機用エステル潤滑油について加熱試験を実施することで、冷凍機用エステル潤滑油の耐熱性を評価した。加熱試験は空気雰囲気下、180℃の恒温槽内で300時間加熱し、加熱後の冷凍機用エステル潤滑油の色相(ガードナー色数:上記の基準油脂分析試験法2.2.1.3に準拠)及び重量減少率(%)を測定した。以上の結果を表3,4にまとめる。
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実施例1〜10と比較例1〜7の結果対比から、本発明で規定する平均粒子径及び細孔径を有する合成ゼオライトを用いて、本発明で規定する温度条件で処理を行うことによって、耐熱性に優れる冷凍機用エステル潤滑油を得られることが示された。
また、実施例11〜15と比較例8,9,11,12の結果対比から、合成ゼオライトによる処理が冷凍機用エステル潤滑油の耐熱性を向上させることが示された。本発明に示された合成ゼオライトによる処理は、本発明に示される様々な冷凍機用エステル潤滑油に対し、その耐熱性を向上させることが示された。

Claims (4)

  1. 炭素数5から10のアルコールと炭素数5から12の直鎖又は分岐構造を有する脂肪族カルボン酸とからエステルを得る際に反応系の水酸基価が5mgKOH/g以下となるまで反応させ、得られた粗生成物を、平均粒子径が8から20μmで細孔径が0.4nmから1.5nmの合成ゼオライトを用いて、60℃から120℃で処理することを特徴とする冷凍機用エステル潤滑油の製造方法。
  2. 前記合成ゼオライトを用いて処理を行った後、(1)アルカリ水溶液による中和処理工程、及び/又は(2)吸着剤を用いた吸着処理工程、をさらに実施することを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用エステル潤滑油の製造方法。
  3. 前記エステルが、炭素数5から10のネオペンチル構造を有する多価アルコールと、炭素数5から10の分岐構造を有する脂肪族カルボン酸とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍機用エステル潤滑油の製造方法。
  4. 前記冷凍機用エステル潤滑油が、非塩素系フロン冷媒または自然冷媒を含有する冷凍機用作動流体組成物に使用されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の冷凍機用エステル潤滑油の製造方法。
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