JP5374216B2 - マイクロカプセル化香料 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロカプセル化香料、詳細には、菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるマイクロカプセル化香料に関する。
一般的に、ゴマやガーリック、オニオン、ジンジャーなどの香料は、セイボリー系の代表的な香料として知られ、ゴマを例にとると、このものを素材とする風味成分は大変嗜好性が高く、その軽い香りは大変好ましいものであり、市販のドレッシングなどの液体調味料においてはゴマ風味の製品が多数発売されている。しかしながら、ゴマ香料は非常に匂いの拡散性が強く、他のものに匂い移りがしやすい性質を持っており、そのため、ゴマ香料を使用するユーザーでは、粉末のミックス工場における粉末香料同士の匂い移りが問題となっている。このような問題は、ゴマ香料だけに限らず、ガーリック、オニオン、ジンジャーなどセイボリー系香料や、コーヒーなどのビンズ系香料などを使用した粉末香料においても一般的に生じるものであり、製造現場においては粉末香料同士の匂い移り防止が急務の課題である。
酵母などの菌体内に香料を内包したマイクロカプセル化香料が種々知られている。
例えばこのようなマイクロカプセル化香料としては、菌体内に香料などの外因性物質を内包させた酵母などの表面に糖類、高甘味度甘味料、タンパク質類及び多価アルコールよりなる群から選択される少なくとも1種が付着してなるマイクロカプセル(特許文献1)や、菌体内に香料を内包した酵母表面にマンニトールが付着してなるマイクロカプセル化香料を含有するチューインガム(特許文献2)、菌体内に香料を内包した酵母マイクロカプセル化香料を添加するキャンディー類(特許文献3)、菌体内に香料を内包した酵母マイクロカプセル化香料製剤を添加する打錠製品(特許文献4)、香料を内包した微生物菌体を添加する調味食品(特許文献5)などがある。これらのマイクロカプセル化香料は、香料の香味放出の速さ、強さ、持続性などに優れているものであるが、内包される香料の匂いの拡散を抑えることは示されておらず、酵母などの表面に付着させる物質として、ガティガムも開示されていない。また、香味の持続性を改良した粉末香料を製造する際に、ガティガムを用いることも知られている(特許文献6)。
国際公開2003−41509号 特開2004−24042号公報 特開2005−137322号公報 特開2005−211024号公報 特開2008−263825号公報 特開平7−102280号公報
従来の香料を内包するマイクロカプセル化香料は、酵母の表面にラクトース、デキストリン、ゼラチン、マンニトールなどを付着させているものであるが、これらの物質を付着させることでは、酵母に内包されるゴマ香料などの揮散を十分に抑制することができず、そのため、その揮散を抑制する技術が求められている。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるマイクロカプセル化香料とすることにより、ゴマ香料などのセイボリー系香料などの揮散性の大きい香料を用いた場合でも、その揮散を十分に抑制できることを見出した。
即ち、本発明は下記に掲げるマイクロカプセル化香料に関するものである。
項1.菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるマイクロカプセル化香料。
項2.香料がセイボリー系香料である、項1記載のマイクロカプセル化香料。
項3.セイボリー系香料がゴマ香料である、項2記載のマイクロカプセル化香料。
菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるマイクロカプセル化香料とすることにより、ゴマ香料などの揮散性の大きい香料を用いた場合でも、その揮散を十分に抑制でき、他のものへの匂い移りがしにくく、一方これを水に分散、溶解して使用する場合には、本来のゴマ香料の風味を十分に発現させることができる。
本発明のマイクロカプセル化香料は、菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるものである。
ここで酵母としては、麦酒酵母菌、パン酵母菌、トルラ酵母菌、等のように人体への投与に適したものを任意に使用することができる。
具体的には、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ルーキシイ(Saccharomyces rouxii)、及びサッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)などのサッカロマイセス属に属する酵母菌;キャンディダ・ウチリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)及びキャンディダ・フラベリ(Candida flaveri)などのキャンディダ属に属する酵母を例示することができる。これらの酵母は単独で使用されてもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。なお、これらの酵母は特に制限されないが、1μm〜20μm、好ましくは1〜10μmの範囲の粒径を有していることが好ましい。
酵母は、香料や他の成分を内包させるにあたり、生菌及び死菌の別、また湿潤及び乾燥状態の別、及び内因性の菌体内成分の有無の別などを問うことなく、いずれの状態のものを使用することができる。好適には、予め、アミノ酸成分、ペプチドやタンパク質成分(酵素を含む)、糖質成分、核酸成分、並びに脂質成分などを含む内因性の菌体内成分を菌体外に溶出させた酵母を使用することが望ましい。これにより、より多くの香料などを酵母の菌体内に入れることができ、さらに内因性の菌体内成分に由来する望ましくない味や臭いの発生や内因性の菌体内成分による外因性物質の分解や変質などが防止できる。
内因性の菌体内成分を菌体外に溶出させる方法としては、特に制限されず、公知の方法を任意に使用することができる。例えば、公知の方法としては、加温処理、pH処理及び細胞壁破砕処理などの物理的処理法、溶出促進剤添加法、菌体内成分溶出酵素や細胞壁溶解酵素などの酵素を用いた酵素処理法、またはこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
ここで加温処理は、酵母懸濁液を通常30〜100℃、好ましくは30〜60℃に加温し、数分から数時間かけて攪拌することによって実施することができる。この際、菌体内成分の溶出をより効果的に効率よく行うためには、溶出促進剤を併用することもできる。
かかる溶出促進剤としては、例えばエタノールなどの低級アルコール、酢酸エチル及びアセトンなどの極性有機溶剤等を挙げることができる。細胞壁破砕処理は、ソニケーターやミル等を用いて細胞壁を破壊することによって実施できる。また、菌体内成分溶出酵素処理法には、酵母が有する自己消化酵素を利用する方法、プロテアーゼ、またはプロテアーゼとヌクレアーゼ,β−グルカナーゼ,エステラーゼまたはリパーゼのいずれか少なくとも1種の酵素と組み合わせて酵母を処理する方法などが含まれる。
細胞壁溶解酵素処理法には、細胞を構成する成分(グルカン、マンナン、これらの多糖類とタンパク質との複合体、キチンなど)を分解する酵素、例えばグルカナーゼ(β−1,3グルカナーゼ)、マンナナーゼまたはキチナーゼのいずれか少なくとも1種の酵素を用いて酵母を処理する方法が含まれる。
このようにして得られる処理物はさらに遠心分離により上清を除去し、さらに必要に応じて洗浄、加熱、pH調整処理を行うことによって、菌体内成分が除去された酵母菌体残渣を得ることができる。このような酵母として、好ましくは未処理酵母菌の絶対乾燥重量100重量%に対する溶出成分の絶対乾燥重量の割合(溶出率)が10〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%となるように、内因性の菌体内成分を溶出させた酵母を挙げることができる。
当該菌体内の内因性成分が除去された酵母(菌体残渣)は、菌体内部にできるだけ多くの香料を封入させるために、さらに酸性処理、アルカリ性処理、アルコール処理などの任意の処理を施してもよい。
酸性処理としては、酵素処理後の菌体残渣を塩酸、リン酸、硫酸、乳酸、クエン酸、酢酸、またはアスコルビン酸などの酸性水溶液(pH2以下)に懸濁し、所定時間かけて攪拌しながら加熱(50〜100℃)する方法を挙げることができる。また、アルカリ処理は、対象とする酵母をアルカリ性水溶液、好ましくはpH9〜13を有する水溶液中で数分から数時間かけて攪拌することによって実施することができる。当該水溶液の温度は特に制限されず、通常20〜100℃の範囲を用いることができる。なお、アルカリ性水溶液の調整には、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどの無機塩、又はアンモニア、モノエタノールジアミンなどの有機窒素系化合物を用いることができる。
アルコール処理としては、酵素処理後の菌体残渣に一価のアルコール類を添加する方法を挙げることができる。
かかる内因性の菌体内成分(菌体内容成分)を除去してなる酵母としては、簡便には商業的に入手可能なものを使用することもでき、キリンホールディングス株式会社、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社などから販売されている酵母細胞壁を例示することができる。さらに、内因性の菌体内成分を除去していない酵母としては、キリンホールディングス株式会社、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社、オリエンタル酵母工業株式会社などから販売されている酵母を例示することができる。
酵母の菌体内部に内包させる香料は、液状物であれば親水性、疎水性および両親媒性の別を問わないが、好ましくは疎水性の香料である。ここで香料としては、食品に適用可能なものを好適に例示することができる。具体的には、ゴマ、オニオン、ガーリック、ジンジャー、タラゴン、ローレル、ローズマリー、バジル、トウガラシ、タイム、シナモン、カッシャー、オレガノ、ウコン、クローブ、コショウ、ワサビ、コリアンダーなどのセイボリー系の香料;バニラ、コーヒー、ココア、チョコレートなどのビンズ系の香料;オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、タンジェリンなどのシトラス系香料;アップル、バナナ、チェリー、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、プラム、ラズベリー、ストロベリーなどのフルーツ系香料;;ペパーミント、スペアミントなどのミント系香料;オールスパイス、シナモン、ナツメグなどのスパイス系香料;アーモンド、ピーナッツ、ウォルナッツなどのナッツ系香料、カニ、エビ、魚介類などの水産物系香料、その他野菜、穀物、海草などの各種香料を例示することができる。好ましくは匂いの拡散性が強く、他のものに匂い移りがしやすい香料であり、ゴマ、オニオン、ガーリック、ジンジャー、タラゴン、ローレル、ローズマリー、バジル、トウガラシ、タイム、シナモン、カッシャー、オレガノ、ウコン、クローブ、コショウ、ワサビ、コリアンダーなどのセイボリー系香料、バニラ、コーヒー、ココア、チョコレートなどのビンズ系香料、バター、チーズ、ミルク、などのデイリー系香料などが挙げられる。
上記に掲げる各種の香料は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なお、本発明で用いる香料は組成物であっても単体であってもよい。
例えば単体としてはメントール類、メントン、バニリン、エチルバニリン、桂皮酸、ピペロナール、d−ボルネオール、マルトール、エチルマルトール、カンフル、アントラニル酸メチル、桂皮酸メチル、シンナミックアルコール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、リモネン、リナロール、イソチオシアン酸アリル、フルフリルメルカプタン、ジアリルジスルフィド、ブチリックアシッド、ジアセチルなどを例示することができる。本発明が対象とする香料には、これらの単体を1種または2種以上含有する組成物も包含される。本発明のマイクロカプセル化香料中のこれら香料の含有量は、香料の種類などによって異なるが、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。
さらに、酵母の菌体内部には、上記香料に加えて、着色料、甘味料、酸化防止剤、矯味剤、乳化剤、分散剤などを配合することもできる。前述する香料、並びに必要に応じて配合される上記任意成分は、前記酵母菌体と混合することによって、酵母の菌体内に内包させることができる。具体的には、前記酵母菌体の水分散液に香料などを添加し、所望によりpHや温度を調整して、所定時間撹拌することによって実施することができる。pHは特に制限されないが、通常pH5〜9の範囲で適宜選択することができ、温度も特に制限されないが、通常40〜80℃の範囲で適宜選択することができる。さらに撹拌も特に制限されないが、撹拌翼を有するブレンダー、乳化機、分散機、ホモジナイザー等の各種の撹拌装置を使用することによって、より効率的に香料などを酵母菌体内に内包させることができる。この際、撹拌速度や撹拌回転数等も特に制限されないが、通常1000〜10000rpmの範囲から適宜選択調整することができる。
本発明で用いるマイクロカプセル化香料は、このようにして得られる香料内包酵母の菌体表面に、ガティガムが付着してなるものである。本発明で用いるガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするものであり、増粘安定剤(食品添加物)として公知のガム質で、乳化香料組成物の乳化剤としても用いられている。ガティガムは、三栄源エフ・エフ・アイ(株)などから商業的に入手可能である。
ガティガムの付着方法としては、例えば、1)前述する方法で調製される香料内包酵母(以下、これを単に「マイクロカプセル」ともいう)を噴霧乾燥機などにより乾燥して、これにガティガムを水に溶解または分散した溶液を流動層造粒機などにより噴霧する方法、2)マイクロカプセルの分散液にガティガムを添加して均一に溶解させた後、凍結乾燥する方法、3)マイクロカプセルを噴霧乾燥などにより乾燥して、これに高速攪拌混合機等でガティガムを粉体混合する方法、4)マイクロカプセルの分散液にガティガム叉はガティガムの水溶液を添加して均一に溶解後、該分散液を噴霧乾燥する方法などを例示することができる。
好ましくは、4)のマイクロカプセルの分散液にガティガム又はガティガムの水溶液を添加して均一に溶解後、該分散液を噴霧乾燥する方法である。
ここで、上記マイクロカプセル(香料内包酵母)とガティガムとの割合は、乾燥固形分の重量比で、マイクロカプセル100重量部に対するガティガムの割合として0.1〜80重量部、好ましくは0.25〜40重量部、より好ましくは0.5〜20重量部の範囲を挙げることができる。
このようにして、マイクロカプセル(香料内包酵母)の表面の少なくとも一部にガティガムが付着してなる、本発明のマイクロカプセル化香料が調製される。本発明のマイクロカプセル化香料として、好ましくはマイクロカプセルの表面に部分的もしくは全面に亘って、より好ましくは全面に亘ってガティガムが被覆(コーティング)されてなるものである。
以下、本発明の内容を以下の実施例及び試験例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。表1中の数値は質量%を示す。
マイクロカプセル化香料の製造(実施例1、2 比較例1、2)
実施例1
表1の処方に従い、水(60℃)を撹拌しながら、酵母、ゴマオイル及びデキストリンを添加し、高速回転攪拌機を用いて5000rpmで2時間混合して、酵母の菌体内にゴマオイルを内包した。次いで、これにガティガム10%水溶液(60℃)を添加して混合した。得られた溶液(固形分40%)をスプレードライヤーにて、インレット150℃、アウトレット90℃で噴霧乾燥して、酵母表面にガティガムが付着されたパウダー状のマイクロカプセル化香料を得た。
実施例2
表1の処方に従い、酵母細胞壁溶液を撹拌しながら、ゴマオイル及びデキストリンを添加し、以下実施例1と同様にして、酵母表面にガティガムが付着されたパウダー状のマイクロカプセル化香料を得た(溶液中固形分32%)。
比較例1
ガティガム10%水溶液を使用しないことを除き、表1の処方に従い、実施例1と同様にして、酵母の菌体内にゴマオイルが内包されたパウダー状のマイクロカプセル化香料を得た(溶液中固形分40%)。
比較例2
表1の処方に従い、酵母細胞壁溶液を攪拌しながら、ゴマオイルを添加し、以下実施例1と同様にして、ゴマオイルを酵母細胞壁内に内包させた。
次いで、この溶液にマンニトール50%水溶液(60℃)を添加混合し、得られた溶液(固形分26%)をスプレードライヤーにて、インレット150℃、アウトレット90℃で噴霧乾燥して、酵母表面にマンニトールが付着されたパウダー状のマイクロカプセル化香料を得た。
粉末香料の製造(比較例3、4)
表1の処方に従い、水を撹拌しながら、デキストリンと、ガティガム10%水溶液又はアラビアガムを添加し、溶解させた。これにゴマオイルを添加混合後、高速回転攪拌機を用いて5000rpmで2時間混合して、乳化分散させた。得られた溶液(固形分40%)をスプレードライヤーにて、インレット150℃、アウトレット90℃で噴霧乾燥して、粉末香料を得た。
Figure 0005374216
*1:酵母の内因性の菌体内成分を除去しないもの(乾燥品)
*2:酵母の内因性の菌体内成分を除去したものの懸濁溶液(固形分9%)
試験例1
100g用アルミ袋に、上記で製造したマイクロカプセル化香料又は粉末香料各20gを入れ、封をしてアルミ袋中で振って混合した。試料を入れたアルミ袋を開封し、比較例4を標準として、パネル8名で下記の評価基準1で匂いの強さを評価した。結果はパネルの平均値をもって表2に示す。
評価基準1
評点
5 : 標準と同程度の強さの匂いを感じる
4 : 標準よりやや弱く感じる
3 : 標準よりも弱く感じる
2 : 標準よりもかなり弱く感じる
1 : 標準よりも非常に弱く感じる
Figure 0005374216
試験例2
300mlビーカーに、上記で製造したマイクロカプセル化香料又は粉末香料を各0.2g量り入れ、これにイオン交換水200gを加えて溶解または分散させた。比較例4を標準として、保存前の各試料についてパネル8名で試飲し、下記の評価基準2で香味の強さを比較した。結果はパネルの平均値をもって表3に示す。
評価基準2
評点
+3 : 標準より非常に強い
+2 : 標準よりかなり強い
+1 : 標準より少し強い
0 : 標準と同程度
−1 : 標準より少し弱い
−2 : 標準よりかなり弱い
−3 : 標準より非常に弱い
Figure 0005374216
試験例3
100g用アルミ袋に、試験例1と同様に上記で製造したマイクロカプセル化香料又は粉末香料各20gを入れ、ヒートシールして封をした後、60℃の恒温器に1週間保存した(以下、「試料1」という)。これを開封して、300mlビーカーに、マイクロカプセル化香料又は粉末香料を各0.2g量り入れ、これにイオン交換水200gを加えて溶解または分散させた。また、別途室温に1週間保存した試料についても、同様に溶解又は分散させた(以下、「試料2」という)。次の評価基準3に従って、比較例1での試料1及び試料2の香味の差を基準(Bとする)として、パネル8名で各実施例、比較例の試料1及び試料2の香味差を評価し、結果を表4に示す。
評価基準3
A : ほとんど変化していない
B : あまり変化していない
C : 少し変化している
Figure 0005374216
試験例1の結果から、本発明の菌体内に香料を内包した酵母表面にガティガムが付着されたマイクロカプセル化香料(実施例1、2)は、菌体内に香料を内包した酵母表面にマンニトールが付着されたマイクロカプセル化香料(比較例2)や、菌体内に香料を内包した酵母表面にガティガムが付着されていないマイクロカプセル化香料(比較例1)、及びガティガムやアラビアガムを用いた粉末香料(比較例3、4)に比べて、ゴマオイルの匂いの拡散が顕著に抑制されていることがわかる。また、試験例2の結果から、本発明のマイクロカプセル化香料は、水に分散溶解して使用する場合には、本来のゴマの風味を発現することがわかる。さらに、試験例3の結果から、本発明のマイクロカプセル化香料(実施例1、2)は、比較例1、2のマイクロカプセル化香料、及びガティガムやアラビアガムを用いた粉末香料(比較例3、4)に比べて、高温で保存してもゴマの香味が拡散しにくく、劣化しにくいことがわかる。
本発明により、ゴマ香料などの揮散性の大きいセイボリー系香料などの揮散を十分に抑制できるので、製造現場においての香料同士の匂い移りが防止でき、セイボリー系香料などのさらなる使用が促進し、食品工業において特に有用である。

Claims (3)

  1. 菌体内に香料を内包した酵母表面に、ガティガムが付着されてなるマイクロカプセル化香料。
  2. 香料がセイボリー系香料である、請求項1記載のマイクロカプセル化香料。
  3. セイボリー系香料がゴマ香料である、請求項2記載のマイクロカプセル化香料。
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