JP5372620B2 - メッキ装置及びメッキ方法 - Google Patents

メッキ装置及びメッキ方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5372620B2
JP5372620B2 JP2009155557A JP2009155557A JP5372620B2 JP 5372620 B2 JP5372620 B2 JP 5372620B2 JP 2009155557 A JP2009155557 A JP 2009155557A JP 2009155557 A JP2009155557 A JP 2009155557A JP 5372620 B2 JP5372620 B2 JP 5372620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
plating solution
plating
heating
control means
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009155557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011012292A (ja
Inventor
富士夫 吾郷
敬一 澤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2009155557A priority Critical patent/JP5372620B2/ja
Publication of JP2011012292A publication Critical patent/JP2011012292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5372620B2 publication Critical patent/JP5372620B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)

Description

本発明は、被メッキ物のメッキ処理を行うためのメッキ装置及びメッキ方法に関する。
メッキ分野においては、メッキ液の温度制御は、良好なメッキ技術を実現させるために重要である。メッキ技術は、幅広い産業分野で利用されている。特に、電気・電子産業分野においては、メッキ皮膜を再現性よく形成させるメッキ技術が要求される。
メッキ皮膜を安定して形成させるには、メッキ液の組成、pH、温度等、及びメッキを行う時間、メッキ液の撹拌等を制御及び管理する必要がある。これらの項目のうち、メッキ液の温度以外の項目については、比較的変動が緩やかであるか、又は一定制御が容易である。これに対し、メッキ液の温度は急激に変動し易い。例えば、メッキ槽に被メッキ物を浸漬した際には、被メッキ物の周囲におけるメッキ液の温度が大きく上下変動する。このような温度の急峻な変動を外乱ともいう。
従来の温度制御方法としては、PID制御が知られている。PID制御とは、フィードバック型の制御方法であり、温度、速度等を目標値に保つために広く用いられる方法である。PID制御は、制御対象の出力値と目標値との偏差量を用い、比例制御(P(Proportional)制御)、積分制御(I(Integral)制御)、および微分制御(D(Derivative/Differential)制御)の3つの制御を組み合わせることにより、出力値が短時間で目標値に到達するように調整する方法である。
図5は、従来の方法を用いて温度制御を行い、メッキ液(対象物)に被メッキ物を浸漬した場合における対象物の温度変動の例を示すグラフである。ここでは、従来の方法としてPID制御を用いる場合について説明する。
図5に示すように、PID制御下では、メッキ液に被メッキ物を浸漬することによって、対象物の温度が大きく低下する(外乱発生)。その後、PID制御によりメッキ液の温度の回復が図られ、メッキ液の温度は上昇して一旦目標温度を通り越し、いわゆるオーバーシュートを引き起こした後、目標温度に回復する。
無電解メッキの場合には、化学メッキであるためメッキ皮膜の膜厚のばらつきへの影響が大きいので、このような温度変動が特にメッキ皮膜の膜厚にばらつきを生じさせる大きな要因となりうる。
そこで、外乱発生後の温度変動を抑制、又は回復させる方法がいくつか開示されている。特許文献1には、熱冷源が発生した温熱または冷熱を、金属等の熱伝導体を介して、温度を制御する対象物に与える間接型温度調節器による温度制御方法が記載されている。また、特許文献2には、熱処理盤に半導体ウエハーが載置され、熱処理が開始された後の熱処理盤における温度のばらつきを抑制するために、半導体ウエハーが載置される前に予備加熱を行う温度制御方法が記載されている。
特開平6−188462号公報(1994年7月8日公開) 特開2005−085075号公報(2005年3月31日公開)
上述したように、メッキ液の温度変動はメッキ膜厚にばらつきが生じる大きな要因となるため、メッキ液中に被メッキ物を浸漬することにより生じる温度変動、すなわち外乱を、できるだけ短時間で収束させるように温度制御を行う必要がある。しかしながら、上述した従来技術による方法では、外乱発生後に温度変動を短時間で収束させることができない。
上述した従来の温度制御方法を用いた場合における、外乱発生後におけるメッキ液の温度変動の例を、図6のグラフに示す。図6に点線で示すグラフL2は、上記特許文献1に記載された方法により制御する場合の温度変化の例である。この方法は、外乱発生を検知した後、温度制御部を最大出力で運転する方法であるが、温度調節器が間接型であるため熱伝達効率が小さいので、温度の回復に時間がかかってしまう。
また、図6に実線で示すグラフL1は、上記特許文献2に記載された方法により制御する場合の温度変化の例である。この方法は、図6に示すように、外乱発生の前に予備加熱を行うものである。しかしながら、予備加熱を行うだけでは外乱発生を完全に抑制することができず、また、温度変動を回復させる方法については記載されていないので、温度の回復に時間がかかってしまうという問題を解決できない。
また、メッキ液には、所望のメッキ皮膜を得るために様々な有機化合物等が添加されている。したがって、メッキ液が局所的に加熱された場合には、有機化合物等が変質、分解等するおそれがある。そこで、メッキ液を局所的に加熱しない方法として、間接的にメッキ液を加熱する方法(間接加熱方式)が有効であるが、外乱発生後の温度の回復に時間がかかってしまう。
したがって、上述した従来技術では、被メッキ物を浸漬することにより発生するメッキ液の温度変動を短時間で回復させることができないので、メッキ液の温度を一定に維持することができないという問題が生じる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、メッキ液の急な温度変動を短時間で回復させ、メッキ液の温度を一定に維持することができるメッキ装置及びメッキ方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るメッキ装置は、メッキ液を用いて被処理物をメッキ処理するメッキ装置であって、上記メッキ液が導入された第1の槽と、当該第1の槽を内部に保持する第2の槽との間に導入された熱媒体に接触する第1の加熱部による当該熱媒体の加熱を制御する第1の温度制御手段と、上記メッキ液に接触する第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を制御する第2の温度制御手段と、上記第1の温度制御手段及び上記第2の温度制御手段を制御することによって上記メッキ液の温度を制御する制御手段とを備えており、上記制御手段は、予め設定された、上記被処理物が上記メッキ液中に浸漬される所定時間前から上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬されるまでの予備加熱時間に、上記第1の加熱部によって、上記熱媒体を、上記メッキ液の温度を所定の第1の温度に維持するために予め設定された第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、上記第2の加熱部によって、上記メッキ液を、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したときに喪失する熱量を補うための第3の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御し、上記予備加熱時間の後に上記第1の加熱部によって上記熱媒体を上記第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、上記第2の加熱部によって上記メッキ液を上記第1の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御することを特徴とする。
また、本発明に係るメッキ方法は、メッキ液を用いて被処理物をメッキ処理するメッキ方法であって、予め設定された、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬する所定時間前から上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬するまでの予備加熱時間に、上記メッキ液が導入された第1の槽と、当該第1の槽を内部に保持する第2の槽との間に導入された熱媒体に接触する第1の加熱部によって、当該熱媒体を、上記メッキ液の温度を所定の第1の温度に維持するために予め設定された第2の温度に加熱し、上記メッキ液に接触する第2の加熱部によって、上記メッキ液を、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したときに喪失する熱量を補うための第3の温度に加熱する、予備加熱工程と、上記予備加熱工程の後に上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したとき、上記第1の加熱部によって上記熱媒体を上記第2の温度に加熱し、上記第2の加熱部によって上記メッキ液を上記第1の温度に加熱する本加熱工程とを有することを特徴とする。
上記の構成であれば、第1の温度制御手段は、熱媒体を介して間接的にメッキ液を加熱するので、メッキ液を局所的に加熱することがない。したがって、メッキ液の劣化を防止できる。また、第1の温度制御手段は、被処理物をメッキ液中に浸漬する前の予備加熱時間と、被処理物をメッキ液中に浸漬したときとに、熱媒体を第2の温度に加熱するので、被処理物を浸漬することによって生じるメッキ液の急な温度変動に影響されることなく熱媒体の温度を一定に保つことができる。これにより、メッキ液をより安定して第1の温度に維持させることができる。
また、第2の温度制御手段は、第2の加熱部によってメッキ液を直接的に加熱するので、メッキ液に対し、第1の温度制御手段よりも大きい熱伝達効率を有する。したがって、予備加熱時間に、メッキ液の温度を第3の温度に効率よく加熱することができる。さらに、メッキ液を第3の温度に加熱することにより、被処理物をメッキ液中に浸漬したときにメッキ液が喪失する熱量を補うことができるので、被処理物をメッキ液中に浸漬したあとのメッキ液の温度を、第1の温度により近くすることができる。さらに、第2の温度制御手段がメッキ液を第1の温度に加熱することにより、外乱を短時間で回復させることができる。
したがって、被処理物をメッキ液中に浸漬した後のメッキ液の温度を一定に維持することができるので、被メッキ物にメッキ皮膜を再現性よく形成することができる。
また、本発明に係るメッキ装置では、上記制御手段は、第2の加熱部の表面温度が予め設定された上限温度を超えた場合に、第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を停止させるように第2の温度制御手段を制御することが好ましい。
上記の構成であれば、第2の加熱部の表面の温度が上限温度を越えた場合には、第2の加熱部によるメッキ液の加熱が停止するので、第2の加熱部の周辺におけるメッキ液が過剰に加熱されることを防止することができる。したがって、メッキ液の劣化をより確実に防止できる。
また、本発明に係るメッキ装置では、上記制御手段は、上記被処理物が上記メッキ液中に浸漬された後、上記メッキ液の温度が第1の温度になるために予め設定された所定時間が経過した後に、上記メッキ液の温度を第1の温度に維持するように、上記第1の加熱部により上記熱媒体を加熱させるように第1の温度制御手段を制御し、上記第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を停止させるように第2の温度制御手段を制御することが好ましい。
上記の構成であれば、第1の温度制御手段は、被処理物をメッキ液に浸漬することにより生じた温度変動が回復したあとのメッキ液を、局所的に加熱することなく、第1の温度に一定に維持することができる。また、第2の温度制御手段がメッキ液を加熱しないので、さらにメッキ液を局所的に加熱するおそれを防止できる。したがって、メッキ液の劣化を防止できるとともに、被メッキ物にメッキ皮膜をより再現性よく形成することができる。
本発明に係る温度制御装置は、以上のように、メッキ液を用いて被処理物をメッキ処理するメッキ装置であって、上記メッキ液が導入された第1の槽と、当該第1の槽を内部に保持する第2の槽との間に導入された熱媒体に接触する第1の加熱部による当該熱媒体の加熱を制御する第1の温度制御手段と、上記メッキ液に接触する第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を制御する第2の温度制御手段と、上記第1の温度制御手段及び上記第2の温度制御手段を制御することによって上記メッキ液の温度を制御する制御手段とを備えており、上記制御手段は、予め設定された、上記被処理物が上記メッキ液中に浸漬される所定時間前から上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬されるまでの予備加熱時間に、上記第1の加熱部によって、上記熱媒体を、上記メッキ液の温度を所定の第1の温度に維持するために予め設定された第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、上記第2の加熱部によって、上記メッキ液を、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したときに喪失する熱量を補うための第3の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御し、上記予備加熱時間の後に、上記第1の加熱部によって上記熱媒体を上記第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、上記第2の加熱部によって上記メッキ液を上記第1の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御するので、メッキ液の急な温度変動を短時間で回復させ、メッキ液の温度を一定に維持することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態におけるメッキ装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態における統合制御部の構成を示すブロック図である。 本発明に係るメッキ方法の一実施形態を示すタイミングチャートである。 実施例、比較例1及び比較例2において、被メッキ物浸漬後の経過時間に対するメッキ液の温度を示すグラフである。 従来の方法を用いて温度制御を行い、メッキ液(対象物)に被メッキ物を浸漬した場合における対象物の温度変動の例を示すグラフである。 従来の温度制御方法を用いた場合における、外乱発生後におけるメッキ液の温度変動の例を示すグラフである。
以下、本発明に係るメッキ装置の一実施形態について、図1〜3を参照して詳細に説明する。
本実施形態のメッキ装置10は、メッキ液21を用いて被メッキ物(被処理物)23をメッキ処理する装置である。メッキ液21は、被メッキ物23をメッキ処理する処理液であり、メッキに用いられる金属、添加物としての有機化合物等を含んでいてもよい。被メッキ物23としては、メッキ処理されるものであればよく、例えばウエハー等が挙げられる。
〔メッキ装置10の主な構成〕
まず、メッキ装置10の主な構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるメッキ装置10の構成を示す図である。
メッキ装置10は、外側の槽である外槽(第2の槽)17と、内側の槽である内槽(第1の槽)16との2重構造となっている。また、温度制御機構として、外槽ヒーター(第1の加熱部)11、内槽ヒーター(第2の加熱部)12、外槽温度センサー14、内槽温度センサー13、内槽ヒーター表面温度センサー15、統合制御部(制御手段)31、外槽温調器(第1の温度制御手段)32、及び内槽温調器(第2の温度制御手段)33を備えている。
外槽17は、内側に内槽16を保持する槽である。外槽17には、水(熱媒体)22が導入されており、内槽16には、メッキ液21が導入されている。水22は、内槽16の外側からメッキ液21に熱を伝達する熱媒体である。なお、本実施形態においては熱媒体として水を用いているが、特にこれに限定されず、例えばシリコン油などの不燃性オイルなどを用いることができる。
また、外槽17内には、外槽ヒーター11、及び水22の温度を検出する外槽温度センサー14が設けられている。外槽ヒーター11は、水22に接触して水22を加熱するヒーターである。これにより、外槽ヒーター11は、水22及び内槽16の壁を介して、内槽16内のメッキ液21に間接的に熱量を与える。これにより、外槽ヒーター11は、メッキ液21を局所的に加熱することがない。外槽温度センサー14は、水22に接触しており、水22の温度を検出するセンサーである。
内槽16は、被メッキ物23をメッキ処理するための処理槽である。内槽16内には、内槽ヒーター12、内槽温度センサー13、及び内槽ヒーター表面温度センサー15が設けられている。内槽ヒーター12は、メッキ液21に接触してメッキ液21を加熱するヒーターである。これにより、内槽ヒーター12は、メッキ液21に直接的に熱量を与えるので、メッキ液21に対して外槽ヒーター11よりも大きい熱伝達効率を有する。したがって、メッキ液21の温度の急な変動に迅速に対応できる。例えば、メッキ液21の温度が急に低下した場合には、内槽ヒーター12がメッキ液21を直接加熱することにより、短時間で温度を回復させることができる。
なお、本明細書において「熱伝達効率」とは、ヒーターが最大出力で動作したときの、メッキ液の温度の単位時間における上昇量(℃/分)と定義する。
内槽温度センサー13は、メッキ液21に接触しており、メッキ液21の温度を検出するセンサーである。
内槽ヒーター表面温度センサー15は、内槽ヒーター12の表面に接触して設けられており、内槽ヒーター12の表面の温度を検出するセンサーである。
外槽温調器32は、外槽ヒーター11にヒーター制御回路34を介して接続しており、外槽ヒーター11の動作を制御する。なお、外槽温調器32及び外槽ヒーター11は、内槽16内のメッキ液21に間接的に熱量を与えることによりメッキ液21の温度を制御する、間接型温度調節機構をなしている。これにより、メッキ液21を局所的に加熱せずに温度を一定に制御することができるので、メッキ液21の劣化を防止できる。
内槽温調器33は、内槽ヒーター12にヒーター制御回路35を介して接続しており、内槽ヒーター12の動作を制御する。なお、内槽温調器33及び内槽ヒーター12は、メッキ液21に直接的に熱量を与えることによりメッキ液21の温度を制御する、直接型温度調節機構をなしている。これにより、間接型温度調節機構よりも大きい熱伝達効率を有しているので、メッキ液21の急な温度変動を短時間で回復させることができる。
ヒーター制御回路34及び35は、それぞれ外槽温調器32または内槽温調器33からの指示に基づいて、外槽ヒーター11または内槽ヒーター12の動作を制御する回路である。
統合制御部31は、外槽温調器32及び内槽温調器33に接続しており、これらを連携して制御することにより、メッキ液21の温度を制御する制御部である。特に、メッキ液21に被メッキ物23を浸漬することにより生じるメッキ液21の急峻な温度変動(外乱)を抑制するとともに、外乱を短時間で回復させるように温度制御を行う。これにより、メッキ処理中のメッキ液21の温度を一定に維持することができるので、被メッキ物23にメッキ皮膜を再現性よく形成することができる。なお、統合制御部31の構成については後述する。
以下に、メッキ装置10を用いたメッキ方法において統合制御部31が行う温度制御について説明するとともに、本発明に係るメッキ方法について説明する。
〔メッキ方法〕
図3は、本発明に係るメッキ方法の一実施形態を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、本実施形態におけるメッキ方法は、定常制御工程と、予備加熱工程(予備加熱工程)と、外乱回復制御工程(本加熱工程)とを有している。
(定常制御工程)
定常制御工程とは、メッキ液21の温度が第1目標温度(第1の温度)に一定に維持されるように制御する工程である。本実施形態では、予備加熱工程及び外乱回復制御工程を行う期間以外の期間に行う。
定常制御工程では、外槽温調器32は、外槽ヒーター11が内槽制御を行うように制御する。内槽制御とは、内槽温度センサー13が検出する検出値に基づいて、メッキ液21の温度が第1目標温度に維持されるようにPID制御を行うものである。一方、内槽温調器33は、内槽ヒーター12を制御OFF状態、すなわち加熱動作を停止している状態に制御する。
第1目標温度とは、メッキ処理におけるメッキ液21についての好ましい温度であり、予め設定される。
(予備加熱工程)
予備加熱工程とは、外乱が発生する前において、メッキ液21の温度を一時的に加熱する工程である。本実施形態では、メッキ液21に被メッキ物23を浸漬する時刻、すなわち外乱が発生する時刻(以下、「外乱発生時刻」ともいう。)よりも前の予備加熱時間に行う。
予備加熱工程では、外槽温調器32は、外槽ヒーター11が外槽制御を行うように制御する。外槽制御とは、外槽温度センサー14が検出する検出値に基づいて、水22の温度が第2目標温度(第2の温度)に維持されるようにPID制御を行うものである。一方、内槽温調器33は、内槽ヒーター12が最大出力加熱制御を行うように制御する。最大出力加熱制御とは、メッキ液21の温度が第3目標温度(第3の温度)になるまで、最大出力によりメッキ液21を加熱するものである。
なお、ここでは内槽ヒーター12が最大出力により加熱する場合について説明したが、特にこれに限定されず、例えば内槽ヒーター12が一定の発熱量によりメッキ液21を加熱してもよい。
第2目標温度とは、メッキ液を第1目標温度に維持するための水22の温度であり、予め設定される。例えば、第2目標温度は、メッキ液21を第1目標温度に一定に維持することができる水22の温度を、外槽17から内槽16に伝わる熱量と、内槽16から放出される放熱量、つまり内槽16の壁、メッキ液21などからの放熱量等とに基づいて、予測することにより設定することができる。
また、第3目標温度とは、被メッキ物23を上記メッキ液21中に浸漬したときに、メッキ液21が喪失する熱量を補うための温度として予め設定される温度である。例えば、第3目標温度は、被メッキ物23の熱容量等に基づいて被メッキ物23がメッキ液21から受け取る熱量を算出し、当該熱量と、内槽ヒーター12の熱伝達効率との関係に基づいて設定することができる。また、第3目標温度は、被メッキ物23をメッキ液21に浸漬した後のメッキ液21の温度が第1目標温度となるように、予め設定されてもよい。
また、予備加熱時間とは、被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬する所定時間前から被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬するまでの予め設定される時間である。例えば、被メッキ物23の熱容量等に基づいて被メッキ物23がメッキ液21から受け取る熱量を算出し、当該熱量と、内槽ヒーター12の熱伝達効率との関係に基づき、メッキ液21が第3目標温度に到達するために要する時間を算出することにより、設定することができる。
本工程により、メッキ液21を第3目標温度に加熱することにより、被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬したときにメッキ液21が喪失する熱量を補うことができるので、被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬したあとのメッキ液21の温度を、第1目標温度により近くすることができる。
(外乱回復制御工程)
外乱回復制御工程とは、被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬した後において、被メッキ物23の浸漬により生じたメッキ液21の温度変動を回復させ、メッキ液21の温度が第1目標温度となるように制御する工程である。本実施形態では、メッキ液21に被メッキ物23を浸漬した後の外乱回復制御時間において行う。
外乱回復制御工程では、外槽温調器32は、予備加熱制御工程と同様に外槽ヒーター11が外槽制御を行うように制御する。一方、内槽温調器33は、内槽ヒーター12が、内槽温度センサー13が検出する検出値に基づいて、メッキ液21の温度が第1目標温度に維持されるようにPID制御するよう制御する。
外乱回復制御時間とは、被メッキ物23がメッキ液21中に浸漬された後、メッキ液21の温度が第1目標温度になるために予め設定された時間である。例えば、メッキ液21の温度が第1目標温度からずれた場合に、メッキ液21が第1目標温度に十分到達するために要する時間に設定することができる。当該時間は、被メッキ物23及びメッキ液21の熱容量、内槽ヒーター12の熱伝達効率などに基づいて決定することができる。
本工程により、短時間で外乱を収束することができる。すなわち、メッキ液21と第1目標温度とのズレを短時間で一定値以内に収めることができる。
また、本実施形態においては、外乱回復制御工程後に定常制御工程を行う。外乱回復制御工程と、その後の定常制御工程の一部とにおいて、被メッキ物23にメッキ処理が施されることとなる。外乱回復制御工程後、少なくともメッキ処理が完了するまで、定常制御工程を行うことが好ましい。
これにより、被メッキ物23をメッキ液21に浸漬することにより生じたメッキ液21の温度変動が回復したあとのメッキ液21を、局所的に加熱することなく、第1目標温度に一定に維持することができる。また、内槽ヒーター12がメッキ液21を加熱しないので、さらにメッキ液21を局所的に加熱するおそれを防止できる。したがって、メッキ液21の劣化を防止できるとともに、被メッキ物23にメッキ皮膜をより再現性よく形成することができる。
〔統合制御部31の構成〕
次に、統合制御部31の構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態における統合制御部31の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、統合制御部31は、切換部41、42及び43、リミット検出部44、タイマー45、46及び47、内槽温調定数送信部48、外槽温調定数送信部49、OFF信号送信部50、最大出力加熱制御信号送信部51、PID制御信号送信部52、及び図示しない記憶部を備えている。また、統合制御部31は、内槽温度センサー13、外槽温度センサー14、及び内槽ヒーター表面温度センサー15に接続しており、これらのセンサーから検出値を受信する。また、統合制御部31は、外部にある外乱事前信号送信部53に接続している。
切換部41、42及び43は、それぞれ外槽温調器32または内槽温調器33が接続する相手となる部材を切り換えるスイッチである。切換部41、42、及び43の切り換えによって、定常制御工程、予備加熱工程、または外乱回復制御工程のいずれかに切り換わる。
定常制御工程では、切換部41は、内槽温調定数送信部48と外槽温調器32とを接続させており、切換部42は、内槽温度センサー13と外槽温調器32とを接続させている。また、切換部43は、OFF信号送信部50と内槽温調器33とを接続させている。
内槽温調定数送信部48は、メッキ液21の温度が第1目標温度に維持されるようにPID制御するための内槽温調定数を記憶部から受信し、外槽温調器32に送信する。
したがって定常制御工程では、外槽温調器32は、内槽温調定数を受信するとともに、内槽温度センサー13から検出値、すなわちメッキ液21の測定温度を受信する。これにより、受信した内槽温調定数とメッキ液21の測定温度とに基づいて、内槽制御を行うように外槽ヒーター11を制御する。
OFF信号送信部50は、内槽ヒーター12を制御OFF状態、すなわち動作を停止している状態に制御するためのOFF信号を、内槽温調器33に送信する。内槽温調器33は、受信したOFF信号に基づいて、内槽ヒーター12の動作を停止させる。
予備加熱工程が開始される時刻には、外乱事前信号送信部53が、タイマー45及び46に外乱事前信号を送信する。
外乱事前信号とは、予備加熱工程を開始する時刻であることを示す信号である。すなわち、外乱発生時刻よりも、予備加熱時間前であることを示す信号である。
外乱事前信号送信部53は、例えば図示しない入力部から外乱事前信号を生成するための外乱事前信号生成信号を受信し、これに基づいて、外乱事前信号を生成して送信する。なお、当該外乱事前信号生成信号は、例えば入力部にユーザーが入力したものであってもよい。
タイマー45は、受信した外乱事前信号に基づいて、予備加熱開始信号を生成し、切換部41及び42に送信する。また、記憶部から予備加熱時間及び外乱回復制御時間を受信する。そして、外乱事前信号を受信してから予備加熱時間及び外乱回復制御時間が経過した後、定常制御信号を生成し、切換部41及び42に送信する。
タイマー46は、受信した外乱事前信号に基づいて、予備加熱開始信号を生成し、切換部43に送信する。また、記憶部から予備加熱時間を受信する。そして、外乱事前信号を受信してから予備加熱時間が経過した後、外乱回復制御信号を生成し、切換部43に送信するとともに、タイマー47を起動するための起動信号を生成し、タイマー47に送信する。
タイマー47は、記憶部から外乱回復制御時間を受信する。そして、起動信号を受信してから外乱回復制御時間が経過した後に定常制御信号を生成し、切換部43に送信する。
予備加熱開始信号とは、予備加熱工程を開始させるための信号である。また、外乱回復制御信号とは、外乱回復制御工程を開始させるための信号である。また、定常制御信号とは、定常制御工程を開始させるための信号である。
予備加熱工程では、切換部41は、受信した予備加熱開始信号に基づいて、外槽温調定数送信部49と外槽温調器32との接続に切り換える。また、切換部42は、受信した予備加熱開始信号に基づいて、外槽温度センサー14と外槽温調器32との接続に切り換える。また、切換部43は、受信した予備加熱開始信号に基づいて、最大出力加熱制御信号送信部51と内槽温調器33との接続に切り換える。
外槽温調定数送信部49は、水22の温度が第2目標温度に維持されるようにPID制御するための外槽温調定数を記憶部から受信し、外槽温調器32に送信する。
したがって予備加熱工程では、外槽温調器32は、外槽温度センサー14から検出値、すなわち水22の測定温度を受信するとともに、外槽温調定数を受信する。これにより、外槽温調器32は、受信した外槽温調定数と水22の測定温度とに基づいて、外槽制御を行うように外槽ヒーター11を制御する。
最大出力加熱制御信号送信部51は、内槽ヒーター12に最大出力加熱制御を行わせるための最大出力加熱制御信号を、内槽温調器33に送信する。
したがって予備加熱工程では、内槽温調器33は、受信した最大出力加熱制御信号に基づいて、最大出力加熱制御を行うように内槽ヒーター12を制御する。
なお、内槽温調器33は、リミット検出部44と接続している。
リミット検出部44は、内槽ヒーター表面温度センサー15に接続しており、定期的に検出値を受信する。また、内槽ヒーター12の表面の温度について予め設定された上限温度(以下、「リミット」ともいう。)を記憶部から受信する。リミット検出部44は、受信した検出値が当該リミットを超えた場合に、オーバーリミット信号を生成し、内槽温調器33に送信する。また、受信した検出値が当該リミット以下である場合には、アンダーリミット信号を生成し、内槽温調器33に送信する。
内槽温調器33は、最大出力加熱制御信号を受信しているとき、さらにアンダーリミット信号を受信したときには内槽ヒーター12を動作させ、一方オーバーリミット信号を受信したときには内槽ヒーター12を停止させる。したがって、内槽ヒーター12の表面の温度が上限温度を超えないように制御することができる。これにより、内槽ヒーター12の周辺におけるメッキ液21が過剰に加熱されることを防止することができ、メッキ液21の劣化を防止することができる。
なお、上限温度は、例えばメッキ液21の沸点、メッキ液21が劣化するおそれが低い温度領域の上限温度等であることが好ましい。
外乱回復制御工程では、切換部43は、受信した外乱回復制御信号に基づいて、PID制御信号送信部52と内槽温調器33との接続に切り換える。なお、切換部41及び42は、外乱回復制御信号を受信しないので、接続の切り換えを行わない。
PID制御信号送信部52は、記憶部から第1目標温度を受信し、メッキ液21の温度が第1目標温度に維持されるようにPID制御を行うためのPID制御信号を、内槽温調器33に送信する。
また、内槽温調器33は、内槽温度センサー13に接続しており、内槽温度センサー13から検出値を受信する。
したがって外乱回復制御工程では、内槽温調器33は、受信した検出値、すなわちメッキ液21の測定温度と、PID制御信号とに基づいて、メッキ液21の温度が第1目標温度に維持されるようにPID制御するように内槽ヒーター12を制御する。
一方、外槽温調器32は、予備加熱工程から続けて外槽制御を行うように外槽ヒーター11を制御する。
外乱回復制御時間が経過した後、切換部41は、受信した定常制御信号に基づいて、内槽温調定数送信部48と外槽温調器32との接続に切り換える。また、切換部42は、受信した定常制御信号に基づいて、内槽温度センサー13と外槽温調器32との接続に切り換える。また、切換部43は、受信した定常制御信号に基づいて、OFF信号送信部50と内槽温調器33との接続に切り換える。これにより、定常制御工程が開始される。
記憶部には、内槽温調定数、外槽温調定数、リミット、第1目標温度、第2目標温度、第3目標温度、予備加熱時間、外乱回復制御時間等が記憶されている。これらは、予め設定され、当該記憶部に入力される。
なお、予備加熱時間及び外乱回復制御時間は、被メッキ物23の熱容量に応じて設定されることが好ましい。これにより、被メッキ物23に適応するタイミングにおいて予備加熱工程及び外乱回復制御工程を行うことができるので、メッキ液21の温度変動をより小さくすることができる。したがってメッキ皮膜の膜厚のばらつきを防止し、再現性よくメッキ処理することができる。
被メッキ物23のメッキ液21中への浸漬は、例えばユーザーが行ってもよい。例えば、メッキ装置10に接続された表示部が、例えば統合制御部31からの指示に基づいて予備加熱時間が経過したことを示す表示画面を表示し、ユーザーが、当該表示画面を見て、被メッキ物23をメッキ液21中に浸漬してもよい。また、これに限らず、被メッキ物23のメッキ液21中への浸漬は、例えば自動で行ってもよい。
本実施形態においては、統合制御部31が外槽温調器32及び内槽温調器33を上述したように連携して制御することにより、メッキ方法における各工程を実現させることができる。
また、本実施形態であれば、メッキ処理において、内槽16内のメッキ液21の温度を一定に維持することができるので、被メッキ物23が内槽16内のどの場所に位置しても、被メッキ物23の周囲の温度変化を小さくすることができ、メッキ膜厚にばらつきが生じることを防止できるという効果を得られる。
また、メッキ装置10は、内槽温度センサー13、外槽温度センサー14、及び内槽ヒーター表面温度センサー15を備えており、これらの検出値に基づいて外槽ヒーター11及び内槽ヒーター12の制御を行うことにより、メッキ液21、水22、及び内槽ヒーター12の表面の温度を全体的に調節する。このような制御によって、被メッキ物23の周囲の温度変化を非常に小さくできるので、形成するメッキ膜厚のばらつきを、従来のメッキ装置、メッキ方法に比べて改善することができるものである。
また、一般に、膜厚のばらつきは、被メッキ物の熱容量が大きいほど拡大するが、本実施形態では、被メッキ物23の熱容量に応じて、メッキ処理におけるメッキ液21の温度変動が小さくなるように種々の条件を調整できるため、メッキ皮膜の膜厚のばらつきを少なくでき、再現性よくメッキ皮膜を形成することができる。
なお、メッキ装置10によりメッキ処理する被メッキ物23は、例えば、メッキ槽となる内槽16全体の熱容量の1/200以上1/50以下の熱容量を有するものであることが好ましい。これにより、被メッキ物23の浸漬によるメッキ液21の温度変動をより短い時間で収束することができる。
また、内槽ヒーター12の熱伝達効率は、外槽ヒーター11の熱伝達効率より少なくとも3倍以上10倍以下であることが好ましい。これにより、内槽ヒーター12によってメッキ液21をより効率よく加熱することができるので、予備加熱時間を短くすることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
図1に示すメッキ装置10と同じ構成のメッキ装置を作製した。内槽16及び外槽17は、SUS製とした。また、内槽16に導入するメッキ液には、市販の無電解ニッケルメッキ液を使用した。
メッキ液、外槽17に導入する水22、内槽16、外槽17それぞれの重量、比熱及び熱容量を表1に示す。
Figure 0005372620
外槽ヒーター11には6kWのヒーターを用い、内槽ヒーター12には2kWのヒーターを用いた。
このメッキ装置を用いて、以下の実施例、比較例1及び比較例2の条件にてメッキ処理を行った。なお、被メッキ物23としては、PFAカセットにウエハー25枚を入れたものを用いた。これらの重量、比熱及び熱容量を表2に示す。
Figure 0005372620
〔実施例〕
本実施例では、本発明の実施形態に記載したメッキ方法を用いてメッキ処理を行った。なお、予備加熱時間を7分とし、外乱回復制御時間を3.5分とした。これらの時間は、被メッキ物の熱容量等に応じて以下のように設定した。
まず、メッキ液に浸漬された被メッキ物が常温(25℃)から第1目標温度(85℃)になるまでに吸収する熱量から、メッキ液の温度の低下量ΔT(℃)を算出した。ΔT(℃)は、次式により求めた。
ΔT=被メッキ物の吸収熱量÷(メッキ液の熱容量+被メッキ物の熱容量)
=3.1(kJ/℃)×(85−25(℃))÷(264.6+3.1(kJ/℃))
=0.7(℃)
次に、内槽ヒーター12を100%で出力させたときの、メッキ液の時間依存的な温度上昇の特性について予め測定しておき、この特性に基づいて、メッキ液の温度をΔT(℃)上昇させるために必要な時間を算出し、予備加熱時間として設定した。
また、被メッキ物の熱容量を変化させてメッキ液に浸漬させたときのメッキ液の温度が安定するまでの時間を予め測定し、グラフを作成した。このグラフに基づいて、用いる被メッキ物の熱容量から予想されるメッキ液の温度が安定するまでの時間に1.5を乗じた時間を算出し、外乱回復制御時間として設定した。なお、ここで用いた1.5とは安全率であり、メッキ液の温度が確実に安定することを見込んで設定したものである。
メッキ処理は、以下のように行った。まず、定常制御工程において、外槽ヒーター11を内槽制御させ、メッキ液を85℃に維持した。
次に、被メッキ物を浸漬する7分前(−7分)に、予備加熱工程に切り換えた。すなわち、外槽ヒーター11を外槽制御させ、内槽ヒーター12を100%の出力である2kWにて発熱させた。
次に、予備加熱工程の開始7分後(0分)に、被メッキ物をメッキ液に浸漬させるとともに、外乱回復制御工程に切り換えた。すなわち、内槽ヒーター12を、メッキ液21に対するPID制御に切り換えた。
外乱回復制御工程の開始3.5分後(3.5分)に、定常制御工程に切り換えた。すなわち、内槽ヒーター12を停止させ、外槽ヒーター11を内槽制御させた。
〔比較例1〕
比較例1では、外槽ヒーター11のみを用いて、メッキ液21の温度が85℃に維持されるようにPID制御を行った。
〔比較例2〕
比較例2では、外槽ヒーター11のみを用いて、被メッキ物をメッキ液に浸漬させる21分前から予備加熱を行った。また、被メッキ物をメッキ液に浸漬させた後は、メッキ液21の温度が85℃に維持されるようにPID制御を行った。
図4は、実施例、比較例1及び比較例2において、被メッキ物を浸漬した後の経過時間に対するメッキ液の温度を示すグラフである。
図4の実線に示すように、実施例では、比較例1に比べて、被メッキ物を浸漬させたとき(0分)以降の温度の回復に要する時間が大幅に短縮した。したがって、メッキ処理におけるメッキ液の温度変動を著しく改善することができた。
また、実施例では、比較例2に比べて、予備加熱工程に要する時間を約1/3に短縮でき、メッキ処理のための準備に要する時間を削減できた。
実施例、比較例1及び比較例2の条件により、16分間メッキ処理を行った後のメッキ皮膜の膜厚は、実施例では5.01μm、比較例1では4.83μm、比較例2では4.93μmであった。また、実施例では、比較例1、2に比べ、形成されたメッキ皮膜の膜厚のばらつきが少なかった。
以上のように、実施例では、被メッキ物の熱容量に応じて予備加熱時間及び外乱回復制御時間を調整したため、メッキ液の急峻な温度変動を短時間で回復させ、メッキ液を一定に維持することができ、したがってメッキ皮膜の膜厚のばらつきを少なくできた。したがって、メッキ皮膜を良好に形成できた。
本発明は、メッキ液の急な温度変動を短時間で回復させ、メッキ液の温度を一定に維持することができるので、半導体装置製造等における微細な突起電極(バンプ)、配線等の形成に好適に利用できる。
10 メッキ装置
11 外槽ヒーター(第1の加熱部)
12 内槽ヒーター(第2の加熱部)
16 内槽(第1の槽)
17 外槽(第2の槽)
21 メッキ液(メッキ液)
22 水(熱媒体)
23 被メッキ物(被処理物)
31 統合制御部(制御手段)
32 外槽温調器(第1の温度制御手段)
33 内槽温調器(第2の温度制御手段)
44 リミット検出部

Claims (4)

  1. メッキ液を用いて被処理物をメッキ処理するメッキ装置であって、
    上記メッキ液が導入された第1の槽と、当該第1の槽を内部に保持する第2の槽との間に導入された熱媒体に接触する第1の加熱部による当該熱媒体の加熱を制御する第1の温度制御手段と、
    上記メッキ液に接触する第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を制御する第2の温度制御手段と、
    上記第1の温度制御手段及び上記第2の温度制御手段を制御することによって上記メッキ液の温度を制御する制御手段とを備えており、
    上記制御手段は、
    予め設定された、上記被処理物が上記メッキ液中に浸漬される所定時間前から上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬されるまでの予備加熱時間に、
    上記第1の加熱部によって、上記熱媒体を、上記メッキ液の温度を所定の第1の温度に維持するために予め設定された第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、
    上記第2の加熱部によって、上記メッキ液を、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したときに喪失する熱量を補うための第3の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御し、
    上記予備加熱時間の後に、
    上記第1の加熱部によって上記熱媒体を上記第2の温度に加熱させるように上記第1の温度制御手段を制御し、
    上記第2の加熱部によって上記メッキ液を上記第1の温度に加熱させるように上記第2の温度制御手段を制御することを特徴とするメッキ装置。
  2. 上記制御手段は、第2の加熱部の表面温度が予め設定された上限温度を超えた場合に、第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を停止させるように第2の温度制御手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のメッキ装置。
  3. 上記制御手段は、
    上記被処理物が上記メッキ液中に浸漬された後、上記メッキ液の温度が第1の温度になるために予め設定された所定時間が経過した後に、
    上記メッキ液の温度を第1の温度に維持するように、上記第1の加熱部により上記熱媒体を加熱させるように第1の温度制御手段を制御し、
    上記第2の加熱部による上記メッキ液の加熱を停止させるように第2の温度制御手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のメッキ装置。
  4. メッキ液を用いて被処理物をメッキ処理するメッキ方法であって、
    予め設定された、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬する所定時間前から上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬するまでの予備加熱時間に、
    上記メッキ液が導入された第1の槽と、当該第1の槽を内部に保持する第2の槽との間に導入された熱媒体に接触する第1の加熱部によって、当該熱媒体を、上記メッキ液の温度を所定の第1の温度に維持するために予め設定された第2の温度に加熱し、
    上記メッキ液に接触する第2の加熱部によって、上記メッキ液を、上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したときに喪失する熱量を補うための第3の温度に加熱する、予備加熱工程と、
    上記予備加熱工程の後に上記被処理物を上記メッキ液中に浸漬したとき、
    上記第1の加熱部によって上記熱媒体を上記第2の温度に加熱し、上記第2の加熱部によって上記メッキ液を上記第1の温度に加熱する本加熱工程とを有することを特徴とするメッキ方法。
JP2009155557A 2009-06-30 2009-06-30 メッキ装置及びメッキ方法 Expired - Fee Related JP5372620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009155557A JP5372620B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 メッキ装置及びメッキ方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009155557A JP5372620B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 メッキ装置及びメッキ方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011012292A JP2011012292A (ja) 2011-01-20
JP5372620B2 true JP5372620B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=43591477

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009155557A Expired - Fee Related JP5372620B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 メッキ装置及びメッキ方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5372620B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101667291B1 (ko) * 2015-06-30 2016-10-18 주식회사 포스코 전착도장 장치 및 방법

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07101714A (ja) * 1993-10-06 1995-04-18 Ebara Corp 二酸化ケイ素被膜の製造方法および装置
JP2008274384A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Seiko Epson Corp 無電解めっき装置
JP2009102693A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Seiko Epson Corp 導電膜パターンの形成方法、無電解めっき装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011012292A (ja) 2011-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102186538B1 (ko) 어닐링 시스템 및 방법
JP5835533B2 (ja) はんだ付け装置及び真空はんだ付け方法
JP2015511403A (ja) 基板の選択性酸化のための方法および装置
JP6276922B2 (ja) レジストバッチ剥離プロセスのための順次段階的混合法
JP2008537322A (ja) チャックシステムにおける温度制御のための装置および方法
JP5372620B2 (ja) メッキ装置及びメッキ方法
JP2004221540A (ja) 基板処理装置
JPH04115530A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2016183815A (ja) 熱処理装置および熱処理方法
TW200308025A (en) Heat treatment apparatus for preventing an initial temperature drop when consecutively processing a plurality of objects
JP4975710B2 (ja) 加熱ユニット、基板処理装置および流体の加熱方法
JP2000181549A (ja) 熱処理炉の温度制御方法
JP4987793B2 (ja) 基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記録媒体
JPH07230981A (ja) エッチング装置と濃燐酸溶液の処理方法
JP2013219312A (ja) 基板処理方法および基板処理装置
JP4625394B2 (ja) 製膜装置、製膜方法
JP2014029620A (ja) 制御装置および制御方法
JP2011256408A (ja) 形状記憶合金の製造方法
JP2012117089A (ja) 薄膜製造装置および薄膜太陽電池の製造方法
JP4463633B2 (ja) 基板処理装置及び基板の製造方法
JP2020169737A (ja) 気相式加熱装置
JPH0536670A (ja) 湿式エツチング装置
JPH0969508A (ja) 基板処理装置
JP2023004297A (ja) プラズマ処理装置
JP2020145216A (ja) 熱処理装置および熱処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees