JP5372559B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
この樹脂組成物は、OA機器・情報通信機器・家庭電化機器分野などに利用が可能である。
一方、脂肪族ポリエステル樹脂は生分解性を有するものも多く、利用後の環境への負荷が小さいという点で非常に注目を集めている。
特に、トウモロコシやサトウキビといった植物由来の原料から作られるポリ乳酸樹脂は、最終的には水と二酸化炭素に分解される(カーボンニュートラル)という点から環境負荷を低減できるため、環境対応型樹脂として開発が進んでいる。
更に、植物性プラスチックとしては高い融点を持ち、溶融成形が可能であることから実用上優れた植物性・生分解性樹脂としての利用が期待されている(例えば、特許文献1等)。また、石油由来の脂肪族ポリエステル樹脂(例えば、特許文献2等)の中にも将来的に原料の一部から全てを植物由来に切り替えるとされているものもあり注目が集まっている。
しかしながら、ポリ乳酸をはじめとした脂肪族ポリエステル樹脂は、耐熱性を中心とした機械的物性が低いため、単体を成形品として機械的強度が要求される部材に利用することは困難である。
そこで、脂肪族ポリエステル樹脂を芳香族ポリカーボネートとアロイ化することにより本問題を解決しようとする試みがなされてきた(例えば、特許文献3、4等)。
一方、脂肪族ポリエステル樹脂の機械特性や耐熱性を改良するための方法の一つとして、ガラス繊維などの無機充填剤を使用する方法が検討されているが、大量に加える必要があるため、成形品の比重が増大したり、焼却または廃棄時にゴミとなる残留物が増加して環境に負荷がかかるなどの問題がある。
これらの方法を解決するために、無機充填剤と比較して比重が軽く、環境に負荷の小さい天然由来の有機充填剤を配合する方法が検討されている。
このため代替として有機充填剤の利用が検討されてきた。例えば、特許文献5にはポリ乳酸をはじめとするポリエステル樹脂に対して天然由来の有機充填剤を配合する内容の記述があるが、流動性、剛性の改善に関しては記述が見られない。
また、芳香族ポリカーボネート/脂肪族ポリエステルに対し天然由来の繊維を含浸して繊維強化ペレット化した有機充填剤を配合した組成物及びその複合材の難燃性向上に関する特許文献は知られていない。
1.(A)芳香族ポリカーボネート97.5〜1質量%、(B)脂肪族ポリエステル1〜97.5質量%、(C)天然由来の有機充填剤1〜80質量%(D)ハロゲン非含有リン系難燃剤0.5〜20質量%及び(E)無機充填剤0〜20質量%を、合計量が100質量%になるように含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
2.(A)成分から(E)成分の合計量100質量部に対して、(F)ポリフルオロオレフィン0.05〜2質量部を含む、上記1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
3.(A)成分が80〜30質量%、(B)成分が18.5〜68.5質量%である、上記1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
4.(D)成分が5〜15質量%である、上記1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
5.(B)成分が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート及びポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも1種である、上記1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
6.(C)成分が、繊維強化ペレット化されたものである、上記1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
7.(C)成分が、ジュート繊維、レーヨン繊維、竹繊維、ケナフ繊維及びヘンプ繊維から選ばれる少なくとも一種を繊維強化ペレット化したものである、上記6に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
8.(A)成分から(E)成分の合計量100質量部に対して、更に、(G)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種を0.01〜10質量部含む、請求項1〜7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、
9.上記1〜8のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品
を提供するものである。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、(A)成分の芳香族ポリカーボネート(PC)としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。
通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、2価フエノールとホスゲンの反応、2価フエノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換反応により製造されたものを使用することができる。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。
この他、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
また、種々の芳香族ポリカーボネートの混合物を用いることもできる。
本発明において用いられる芳香族ポリカーボネートは、構造中に実質的にハロゲンを含まないものが好ましい。
また、機械的強度および成形性の点から、その粘度平均分子量は、10,000〜100,000、好ましくは、11,000〜40,000、特に12,000〜25,000のものが好適である。
(A)芳香族ポリカーボネートの配合割合が1質量%未満であると、耐衝撃性、難燃性などの著しい低下を招き、(A)芳香族ポリカーボネート成分の総量が97.5質量%を超えると、剛性の著しい低下を招く。
また、異なる脂肪族ポリエステル同士の共重合体であってもよい。
また、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸の共重合体は、通常ラクタイドとヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体から開環重合により合成され、その製造方法は、米国特許第3,635,956号明細書、米国特許第3,797,499号明細書等に開示されている。
開環重合によらず、直接脱水重縮合により乳酸系樹脂を製造する場合には、乳酸類と必要に応じて、他のヒドロキシカルボン酸を、好ましくは有機溶媒、特に、フェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは、共沸により留出した溶媒から水を除き、実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した重合度の乳酸系樹脂が得られる。
また、乳酸類と併用できる他のヒドロキシカルボン酸類としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などがあり、更にヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の二量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを使用することもできる。
乳酸系樹脂の製造に際し、適当な分子量調節剤、分岐剤、その他の改質剤などを添加することもできる。
また、乳酸類及び共重合体成分としてのヒドロキシカルボン酸類は、いずれも単独又は2種以上を使用することができ、更に得られた乳酸系樹脂を2種以上混合し使用してもよい。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、およびこれらのジメチルエステル体などが挙げられ、これらも1種または2種以上で用いることができる。
脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸を原料としたポリエステルの具体例としては、ポリブチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリネオペンチルグリコールオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられ、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートが特に好ましい。
脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
特に、高剛性の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るためには、ポリ乳酸が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の(B)脂肪族ポリエステルの配合割合は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分の合計量に基づき、1〜97.5質量%であり、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜50質量%である。
(B)脂肪族ポリエステルが上記範囲内であると、海島構造において、(B)芳香族ポリカーボネートが海となることにより耐熱性が向上する。
(B)脂肪族ポリエステルの配合割合が1質量%未満であると、剛性が大幅に低下する。
また、97.5質量%を超えると、熱変形温度が著しく低下する。
本発明においては、剛性と難燃性の観点から(A)成分が80〜30質量%で(B)成分が18.5〜68.5質量%であることが好ましい。
天然由来有機充填剤の具体例としては、籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材などのチップ状のもの、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維もしくはこれらの植物繊維から加工されたパルプやレーヨンなどのセルロース繊維および絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダなどの動物繊維などの繊維状のもの、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉などの粉末状のものが挙げられ、耐熱性の観点から、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質粉末、澱粉などの粉末状のもの、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、レーヨン繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維が好ましく、紙粉、木粉、竹粉、竹繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、レーヨン繊維がより好ましく、竹繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、レーヨン繊維が更に好ましい。
また、これらの天然由来有機充填剤は、天然物から直接採取したものを用いてもよいが、地球環境の保護や資源保全の観点から、古紙、廃木材および古衣などの廃材をリサイクルして用いてもよい。
古紙とは、新聞紙、雑誌、コピー用紙などのOA用紙、その他の再生パルプ、もしくは、段ボール、ボール紙、紙管などの板紙であり、植物繊維を原料として加工されたものであれば、いずれを用いてもよいが、耐熱性の観点から、新聞紙および段ボール、ボール紙、紙管などの板紙の粉砕品が好ましい。
また、木材の具体例としては、松、杉、檜、もみ等の針葉樹材、ブナ、シイ、ユーカリなどの広葉樹材などがあり、その種類は問わない。
微粒子とは、特に限定されるものではなく、有機物もしくは無機物のいずれでもよく、前記した各種薬品が付着したことで生じる微粒子であってもよい。微粒子の形状は、針状、板状、球状のいずれでもよい。
微粒子のサイズは、特に限定されるものではないが、0.1〜5000nmの範囲に分布していることが好ましく、0.3〜1000nmの範囲に分布していることがより好ましく、0.5〜500nmの範囲に分布していることが更に好ましく、1〜100nmの範囲に分布していることが特に好ましく、1〜80nmの範囲に分布していることが最も好ましい。
なお、ここで特定の範囲に「分布している」とは、微粒子総数の80%以上が特定の範囲に含まれることを意味する。
微粒子の付着形態は、凝集状態もしくは分散状態のいずれでもよいが、分散状態で付着していることがより好ましい。
上記微粒子のサイズは、本発明の樹脂組成物から得られる成形品を透過型電子顕微鏡により8万倍の倍率で観察することができる。
天然由来有機充填剤が含浸する脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ポリエステルと同様のものを用いることができ、ポリ乳酸を用いることが好ましい。
上記繊維強化ペレット化とは、少なくとも溶融成形可能な脂肪族ポリエステルと、天然由来有機充填剤とを主原料として行われる。
この場合、製造工程は特に限定されず、例えば、通常の2軸混練機等を使用した溶融混練方法、天然由来有機充填剤と溶融状態の樹脂とを混練する方法)、天然由来有機充填剤に溶融した脂肪族ポリエステルを含浸させた後、冷却し切断する方法、樹脂粉末をドライ法又はウェット法により天然由来有機充填剤に付着させ、この付着樹脂を溶融した後、冷却し切断する方法、繊維強化ペレット製造装置(例えば、株式会社神戸製鋼所製のもの)を用いる方法等を適用すればよく、好ましくは繊維強化ペレット製造装置を用いて製造する。
本発明において脂肪族ポリエステルを溶融成形可能としているのは、かかる必要性を充たすためである。
尚、繊維強化ペレット化に用いられる脂肪族ポリエステルと、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に用いられる(B)脂肪族ポリエステルとは、同一であっても異なっていてもよい。
従って、天然由来有機充填剤の繊維長は長い程よく、また、加工性の観点から、上記繊維強化ペレット化された天然由来有機充填剤の平均繊維長は3〜12mmであることが好ましい。
上記平均繊維長とは本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物における天然由来有機充填剤を繊維強化ペレット化したものの平均繊維長をいう。
尚、かかる平均繊維長は繊維強化ペレットの長さ(切断面間の距離)と等しくなるためペレットの長さをノギスなどを用いることで測定することができる。
(C)天然由来有機充填剤の配合割合が上記範囲内であると、剛性を中心とした諸物性と難燃性のバランスが良好である。
有機リン系難燃剤としては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば特に制限なく用いることができる。
中でも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステル化合物が好ましく用いられる。
有機リン系化合物以外のハロゲン非含有難燃剤としては、赤リン、有機化合物、無機化合物等による各種表面処理赤リンが挙げられる。
これらのハロゲン非含有リン系難燃剤としては、リン酸エステル化合物、有機化合物、無機化合物等による各種表面処理赤リンが好ましく用いられる。
で表わされるリン酸エステル化合物が挙げられる。
式(1)において、有機基とは、置換されていても、いなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等である。
また、置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等がある。
さらに、これらの置換基を組み合わせた基であるアリールアルコキシアルキル基等、またはこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等により結合して組合せたアリールスルホニルアリール基等を置換基としたものなどがある。
例えば、アルキレン基、(置換)フェニレン基、多核フェノール類であるビスフェノール類から誘導されるものである。
好ましいものとしては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフエニルメタン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン等から誘導されるものである。
(D)の配合割合が0.5質量%未満であると、難燃性の向上が見られず、また、20質量%を超えると、熱変形温度を中心とした物性低下を引き起こす場合がある。
無機充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などを挙げることができる。
中でも、板状であるタルク、マイカなどや、繊維状の充填剤が好ましく、タルクが好ましい。
タルクとしては、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。
タルクには、主成分であるケイ酸と酸化マグネシウムの他に、微量の酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化鉄を含むことがあるが、本発明の樹脂組成物を製造するには、これらを含んでいてもかまわない。
また、タルクなどの無機充填剤の平均粒径は通常、0.1〜50μm、好ましくは0.2〜20μmである。
これらの無機充填剤、特にタルクを含有させることにより、剛性が向上する。
(E)無機充填剤の配合割合が20質量%を超えると、耐衝撃性の著しい低下などの物性不良を招く。
ポリフルオロオレフィンは、難燃性試験等における燃焼時の溶融滴下防止を目的に使用される。
ポリフルオロオレフィンとしては、通常、フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体である。
好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られている全ての種類のものを用いることができる。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えば、テフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業社製)、CD076(旭硝子フロロポリマーズ社製)等を挙げることができる。
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。
上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、6.9〜689.5kPaの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
(F)ポリフルオロオレフィンの配合割合が2質量部を超えると、難燃性向上において、添加量に見合った溶融滴下防止効果は得られず、耐衝撃性、成形品外観に悪影響を与える場合がある。
カルボジイミド化合物の製造方法としては、例えば、触媒として、例えば、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート等の有機リン系化合物、又は、例えばロジウム錯体、チタン錯体、タングステン錯体、パラジウム錯体等の有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネート化合物を約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒(例えば、ヘキサン、ベンゼン、ジオキサン、クロロホルム等)中で脱炭酸重縮合させることにより製造する方法を挙げることができる。
キシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中でも、特に工業的に入手が容易であるジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、エポキシブチルステアレート、エポキシオクチルステアレート、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、ネオヘキセンオキシド、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン系共重合体、エポキシ化水素化スチレン−ブタジエン系共重合体、ビスフェノール−A型エポキシ化合物、ビスフェノール−S型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、3,4−エポキシシクロヘキサメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルグリシジルエーテルなどの脂環式エポキシ化合物などを例示することができる。
本発明においては、特に、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物が好ましく、これらから選ばれる化合物を2種類以上組み合わせて添加してもよい。
(G)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも一種の配合割合が上記範囲内であると、各成分の反応相溶化を促進し、(B)成分を安定化することが可能である。
添加剤成分としては、例えば、可塑剤、安定剤、無機充填剤、難燃剤、シリコーン系化合物、フッ素樹脂等が挙げられる。
添加剤成分の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
配合および混練は、例えば、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー(商品名)、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ、二軸スクリュー混練機等を用いる方法で行うことができる。
溶融混練の際の加熱温度は、通常200〜320℃であり、好ましくは220〜280℃の範囲で適宜選択される。
また、2軸スクリュー押出機などを用いて混練し得られる溶融樹脂を、ひも状の天然由来有機充填剤に含浸させ引抜成形などで繊維強化ペレットとして得ることも可能である。
本発明はまた、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品をも提供する。
なんら限定されるものではない。
性能評価は、下記の測定方法に従って行なった。
(1)難燃性
UL94燃焼試験に準拠して評価した。試験片の厚みは1.5mmである。
(2)剛性試験
曲げ弾性率:ASTM D790に準拠して測定した(単位:MPa)。
引張弾性率:JIS K 7161に準拠して測定した(単位:MPa)。
(3)成形外観
目視により評価した。
○:良好な外観を示す。×:ヒケ、焼けを中心とした外観不良が見られる。
各配合原料をそれぞれ乾燥した後、表1及び2に示す配合割合(質量部)にて、タンブラーを用いて均一にブレンドした後、二軸スクリュー混練機で混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、射出成形機を用いて成形し、所望の試験片を得た。この試験片を
用いて性能評価を行った結果を表1及び2に示す。
(A)芳香族ポリカーボネート:「タフロン」(登録商標) A1900(出光興産株式会社製)
(B)脂肪族ポリエステル1:ポリ乳酸「LACEA」(登録商標) H−100(三井化学株式会社製)
脂肪族ポリエステル2:ポリブチレンサクシネート「GSPla」(登録商標) AZ81T(三菱化学株式会社製Tg:−32℃)
(C)天然由来有機充填剤1:繊維強化ペレット製造装置(株式会社 神戸製鋼所製)を用い、裸状態のジュートの連続繊維に溶融状態のポリ乳酸を含浸させ、冷却した後、切断する方法により、ペレット長と同様長さの繊維を有する繊維強化ペレットを作製した。尚、上述のようにして測定したこのペレットの平均繊維長は6mmであった。
天然由来有機充填剤2:繊維強化ペレット製造装置(株式会社 神戸製鋼所製)を用い、裸状態のレーヨンの連続繊維に溶融状態のポリ乳酸を含浸させ、冷却した後、切断する方法により、ペレット長と同様長さの繊維を有する繊維強化ペレットを作製した。尚、上述のようにして測定したこのペレットの平均繊維長は6mmであった。
(D)ハロゲン非含有リン系難燃剤1:芳香族リン酸エステル系難燃剤(商品名:PX−200、大八化学社製)
ハロゲン非含有リン系難燃剤1:フェノール系樹脂安定化処理赤リン(商品名:ノーバレッドエクセル140、燐化学工業社製)
(E)無機充填剤1:タルク(TP−A25) (富士タルク社製)
(G)エポキシ化合物:ビスフェノールAエポキシ樹脂「エピクロン」(登録商標) AM−040−P(大日本インキ社製)
カルボジイミド化合物:ジシクロヘキシルカルボジイミド「カルボジライト」(登録商標) LA−1(日清紡績社製)
イソシアネート化合物:1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン「タケネート」(登録商標) 600(三井化学ポリウレタン社製)
オキサゾリン化合物:オキサゾリン基含有反応性ポリスチレン「エポクロス」(登録商標) RPS−1005(日本触媒社製)
(1)実施例1、4及び7、比較例1及び2から、各種リン系難燃剤を配合することにより、高い弾性率を維持しつつ、難燃性を付与することが可能である。
(2)実施例2、3、5、6、8及び9から、無機充填剤を配合するとにより難燃性が向上する。
(3)比較例3から、脂肪族ポリエステルを配合しない場合、難燃性は付与できるが、剛性が低下する。
(4)実施例4及び比較例7から、ポリフルオロオレフィンを添加しないと難燃性が低下する。
従って、OA機器、情報・通信機器、家庭電化機器分野などに利用可能である。
Claims (8)
- (A)芳香族ポリカーボネート97.5〜1質量%、(B)脂肪族ポリエステル1〜97.5質量%、(C)天然由来の有機充填剤1〜80質量%(D)ハロゲン非含有リン系難燃剤0.5〜20質量%及び(E)無機充填剤0〜20質量%を、合計量が100質量%になるように含み、(A)成分から(E)成分の合計量100質量部に対して、(F)ポリフルオロオレフィン0.02〜2質量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、
(C)成分が、脂肪族ポリエステルを含浸させて繊維強化ペレット化した天然由来の有機充填剤である、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 - (A)成分から(E)成分の合計量100質量部に対して、(F)ポリフルオロオレフィン0.05〜2質量部を含む、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)成分が80〜30質量%、(B)成分が18.5〜68.5質量%である、請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (D)成分が5〜15質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (B)成分が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート及びポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (C)成分が、ジュート繊維、レーヨン繊維、竹繊維、ケナフ繊維及びヘンプ繊維から選ばれる少なくとも一種を繊維強化ペレット化したものである、請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)成分から(E)成分の合計量100質量部に対して、更に、(G)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種を0.01〜10質量部含む、請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
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