JP5371692B2 - 共役ジオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物触媒を用いた、流動層反応方式による共役ジオレフィンの製造方法に関する。
n−ブテンやイソペンテンなどの炭素数が4以上のモノオレフィンと分子状酸素の接触酸化脱水素反応により、これらのモノオレフィンに対応する共役ジオレフィン、例えば1,3−ブタジエンやイソプレンを製造する方法はよく知られており、その酸化脱水素反応に用いられる触媒は多数提案されている。
化学工業において重要な反応は、ガス−固体といった二相が関わる不均一反応であり、アンモニア合成、エチレンオキサイド合成、石油の接触分解などが工業的に酸化物触媒を用いた不均一反応として知られている。
酸化物触媒が用いられる反応方式には、固定層、流動層及び移動層がある。これらの内、固定層反応方式は、ガスの流動状態が押し出し流れに近く、反応収率を高くできるという利点を活かし、工業的に多く採用されている。ところが、固定層反応方式は伝熱性が低く、除熱や加熱が必要な発熱反応や吸熱反応には不向きであり、特に酸化反応のような激しい発熱反応では、温度が急激に上昇し制御困難に陥り、反応が暴走する恐れがあるという問題がある。さらに、こうした急激な温度上昇によって、触媒がダメージを受け、早期に劣化してしまうという問題もある。
これに対し、流動層反応方式は、反応器内を触媒粒子が激しく流動することで(1)伝熱性が高く、大きな発熱や吸熱を伴う反応時も反応器内温度をほぼ均一に保ち、過度の反応進行を抑制できる、(2)エネルギーの局所蓄積が抑制されるため、爆発範囲内の原料ガスを反応させることが可能で、原料濃度を高めて生産性を向上させられる、という利点がある。従って、流動層反応方式は強度の発熱反応である炭化水素の酸化脱水素反応に適した反応方式である。例えば、ブテンから1,3−ブタジエンを合成する酸化脱水素反応は、約30kcal/molの発熱反応である。
以上のような流動層反応方式の有利な点が知られているにも拘らず、一般に不飽和炭化水素を不飽和アルデヒドまたはジオレフィンに転化する場合、例えば特許文献1及び2には固定床触媒の使用が好ましいと記載されている。また特許文献3には、モノオレフィンの酸化脱水素反応による共役ジエンの製造において、同文献に記載の触媒は固定床、移動床、流動床のいずれの方法においても使用可能と記載されているものの、固定床以外の反応方式について、具体的な記載は無い。
特公昭49−14392号 特公昭61−12488号 特公平3−16929号
工業的な実施を考えると、反応器内の温度制御に有利な流動層反応方式が適していることが認識されつつも、実用的には固定層反応方式が採用されている理由について、本発明者は次のように推定している。目的生成物である共役ジオレフィンは反応性が非常に高いため、反応器出口に到達するまでに反応器内で燃焼分解を受け易く、生成物である共役ジオレフィンの反応性が、原料であるモノオレフィンの反応性より高い場合すらある。高温で酸素が存在する雰囲気では、共役ジオレフィンは分解しうる上、生成物が触媒に接触してしまう流動層反応方式においては、その分解は一層促進されると想像できる。この結果、流動層反応方式では共役ジオレフィンの収率低下は不可避である。生成物の分解という問題は、生成物が触媒と接触し続けることのない固定層反応方式においては発生し得ない問題であり、流動層反応方式に特有の問題と言える。
すなわち、従来、温度制御の観点で工業的に有利であるはずの流動層反応方式によるモノオレフィンの酸化脱水素反応による共役ジオレフィン製造が実用化されず、専ら、固定層反応方式が利用されているのは、反応性が高い共役ジオレフィンの分解を防ぐ手段が無いためであると考えられる。つまり、生成物の分解を防いで必要な収率を確保するには、工業的な効率を犠牲にしても、生成物の回収に優れた固定層反応方式を採用せざるを得なかったと推察される。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、炭素数4以上のモノオレフィンから流動層反応で共役ジエンを製造する場合に、担体を有し、Mo、Bi及びFeを含む酸化物触媒を使用し、特定の反応温度とし、かつ反応器出口ガス中の酸素濃度を特定の範囲にすることで、流動層反応方式を採用した場合でも、生成物である共役ジオレフィンの分解を有効に抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
酸化物を担体に担持した触媒と、酸素とが内部に存在する流動層反応器内で、前記触媒にn−ブテンを接触させて共役ジオレフィンを製造する方法であって、下記の(1)〜(3)を満たす、共役ジエンの製造方法。
(1)1)前記酸化物が下記実験式で表される
Mo 12 Bi p Fe q a b c d e x
(式中、Aはニッケル及びコバルトから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは少なくとも1種の希土類元素、Eはクロム、インジウム及びガリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、p、q、a、b、c、d、e、及びxはそれぞれモリブデン12原子に対するビスマス、鉄、A、B、C、D、E及び酸素の原子比を表し、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8、0≦a≦10、0.02≦b≦2、0≦c≦5、0≦d≦5、0≦e≦5であり、xは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
(2)反応温度が300〜420℃の範囲である
(3)反応器出口ガス中の酸素濃度が0.05〜0.7体積%の範囲である
[2]
前記担体がシリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択された少なくとも一種である、[1]記載の共役ジオレフィンの製造方法
本発明によると、炭素数4以上のモノオレフィンを、酸素と特定の触媒を存在させた流動層反応器内で接触酸化脱水素反応させ、生成物の燃焼分解を防ぎつつ、共役ジオレフィンを高収率で得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1] 共役ジオレフィンの製造方法
(1) 原料
原料は、炭素数4以上のモノオレフィンである。モノオレフィンは、炭素―炭素二重結合を一つのみ有するもので、通常は官能基を有しない有機化合物であって、直鎖及び/又は分岐鎖の炭化水素である。炭素数の上限は厳密ではないが、反応性の観点で6以下が好ましい。炭素数4以上のモノオレフィンの例としては、n−ブテン(1−ブテン、2−ブテン)、1−ペンテン、2−ペンテン、イソペンテン(2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン)、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2,3−ジメチルブテンが挙げられる。1種のモノオレフィンを原料としても良いし、2以上のモノオレフィンを原料としても良い。常温(5〜35℃)で液状のモノオレフィンは、スチームや伝熱コイルなどの加熱部を有するガス化装置を用いてガス化した後、反応に供することが好ましい。
モノオレフィンは必ずしも高純度である必要はなく、任意の混合物や工業グレードを使用することができる。例えばn−ブテンの場合、ナフサ熱分解で副生するC4留分から1,3−ブタジエンを抽出した残留成分やさらにイソブチレンを抽出した残留成分、重油留分を触媒の作用によって分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解(FCC)で副生するC4留分、n−ブタンの脱水素反応又は酸化脱水素反応により得られるブテン留分、またエタン熱分解やバイオマスエタノールの脱水反応により得られるエチレンの接触転化反応で副生するC4留分を使用することができる。バイオマスエタノールは植物資源から得られるエタノールであり、具体的にはサトウキビやトウモロコシ等の発酵により得られるエタノールや廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源から得られるエタノールが挙げられる。
原料中のモノオレフィン濃度は、共役ジオレフィンの生産性の観点で、少なくともモノオレフィンと空気を含む原料混合ガス100体積%に対して2体積%以上が好ましく、触媒への負荷を抑える観点で30体積%以下が好ましい。より好ましくは、3〜25体積%である。濃度が高いと反応生成物の蓄積やコークの析出が増し、触媒の劣化による触媒寿命が短くなる傾向にある。濃度が低いと共役ジオレフィンの製造量が少なく、実際上の利点がない。
原料混合ガスはパラフィン、水、スチーム、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等を含んでいてもよい。パラフィンの例として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンを挙げることができる。また、反応生成物から目的生成物である1,3−ブタジエンを分離した後、未反応ブテンの少なくとも一部を、流動層反応器にリサイクルすることもできる。
(2)反応器
炭素数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応による共役ジオレフィンの製造は、流動層反応方式で行われる。
流動層反応器は、反応器内にガス分散器・内挿物・サイクロンをその主要構成要素として有し、触媒を流動させつつ、原料であるガスと接触させる構造である。流動床ハンドブック(株式会社培風館刊、1999年)等に記載の流動層反応器であれば使用可能であるが、特に気泡流動層方式の反応器が適している。発生する反応熱の除熱は反応器に内挿した冷却管を用いて行うことができる。
(3)反応条件
モノオレフィンと酸素が反応に供される。酸素源としては通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガス、又は空気とヘリウム、窒素などの不活性ガスを混合するなどして酸素濃度を低めたガスを用いることもできる。酸素とモノオレフィンのモル比は、酸素/モノオレフィン比として0.5〜2.5とするのが好ましく、より好ましくは0.6〜2.1の範囲である。
反応に供するガスが上記の比率となる限り、モノオレフィンと酸素の導入方法は限定されない。触媒を充填した反応器へ、モノオレフィンを含むガスと、空気又は酸素濃度を高めたガスを予め混合して導入しても良いし、それぞれ独立して導入してもよい。反応に供するガスは反応器に導入した後に所定の反応温度に昇温することもできるが、連続して効率的に反応させるために、通常は予熱して反応器に導入する。
反応温度は300〜420℃とする。反応温度が300℃未満ではモノオレフィンの転化率が低く、420℃を超えると生成した共役ジオレフィンの燃焼分解が高まる傾向にある。好ましい反応温度は320〜400℃、より好ましくは340〜380℃の範囲である。共役ジオレフィンの製造反応は発熱反応であるので、通常、好適な反応温度となるように除熱する。冷却管による反応熱の除熱や加熱装置による給熱によって、上記の範囲に反応温度を調節することができる。
反応圧力は微減圧〜0.8MPaの範囲で行うことができる。原料混合ガスと触媒との接触時間は0.5〜20g・sec/cc、好ましくは1〜10g・sec/ccである。
触媒と原料混合ガスとが反応器内で接触することにより、モノオレフィンに対応する共役ジオレフィンが生成する。例えばモノオレフィンがn−ブテンの場合、主生成物は1,3-ブタジエンであり、モノオレフィンがイソペンテンの場合、主生成物はイソプレンである。生成物の収率及び/又は選択率は、原料、触媒、反応温度等に依存するので、目的生成物に応じ、本発明の要件を満たす範囲で適宜設定すればよい。
生成した共役ジオレフィンを含むガスは、反応器出口から流出する。反応器出口ガス中の酸素濃度は、反応器内における目的生成物の分解や二次反応に影響するので、適切な範囲に制御することが重要である。反応器出口ガス中の酸素濃度は、反応器に供給する酸素供給源となるガス、例えば、反応器に供給する空気の量、反応温度、反応器内の圧力、触媒量、反応器に供給する全ガス量を変更することによって、調整することができる。好ましくは、反応器に供給する酸素供給源となるガス、例えば、空気の量を制御することによって制御する。例えば、Mo12Bi0.60Ce0.75Fe1.8Ni5.0Mg2.00.09Rb0.05で表される酸化物50gを触媒とし、反応温度350℃、反応圧力0.05MPa、流量654cc/min(NTP換算)で原料ガスを供給する場合、原料ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.4/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)から1−ブテン/空気//ヘリウム=1/3.8/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)に変更することによって、反応器出口ガス中の酸素濃度を0.2体積%から0.5体積%に変化させることができる。なお、「1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.8/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)」とは、1−ブテン/空気=1/3.8かつ、1−ブテン濃度が12体積%を満たすように、ヘリウムの量を決めることを示す。
反応器出口ガス中の酸素濃度を、反応器出口ガス全体に対して0.05〜0.7体積%に維持することにより、反応器内における触媒の還元及び目的生成物の分解を有効に防止できる。好ましい反応器出口ガス中の酸素濃度は0.1〜0.6体積%、より好ましくは0.2〜0.5体積%の範囲である。反応器出口ガス中の酸素濃度が0.05体積%未満では、触媒が還元を受け、モノオレフィンの転化率が低く、0.7体積%を超えると、生成した共役ジオレフィンの燃焼分解や二次反応による含酸素化合物の生成が増加し、共役ジオレフィンの収率が低下する傾向にある。通常、出口ガスの流速は充分に大きいので、サンプリングのためのラインを出口の先に分岐させて設けても、出口の付近に設けても、測定値には影響しない。反応器出口ガス中の酸素濃度は、熱伝導型検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフィーで測定することができる。
(4)精製
流動層反応で得られた反応生成物は公知の技術、例えば特公昭45−17407号、特開昭60126235号及び特公平3−48891号、PETROTECH、第二巻、第四号、(59〜65頁、1978年)に記載の方法によって精製することができる。精製後の反応生成物中の共役ジオレフィン濃度が99%以上であると、合成ゴムなどの原料として、高純度の共役ジオレフィンとして好適に用いることができる。
[2]触媒
(1)構造
酸化物を担体に担持した触媒は、担体と、Mo、Bi及びFeを含む。Mo、Bi及びFeの組成は合目的な酸化物を形成するように調節されており、この酸化物中の格子酸素によって、モノオレフィンから共役ジオレフィンの酸化脱水素反応が行われると考えられる。一般に、触媒中の格子酸素が酸化脱水素反応に消費されると、酸化物中に酸素空孔が生じる結果、反応の進行に伴って酸化物の還元も進行し、触媒活性が失活していくので、触媒活性を維持するためには、還元を受けた酸化物を速やかに再酸化することが必要である。Mo、Bi及びFeを含む酸化物は、モノオレフィンから共役ジオレフィンの酸化脱水素反応に対する反応性に加え、気相中の分子状酸素を解離吸着して酸化物内に取り込み、消費された格子酸素の再生を行う再酸化作用にも優れていると考えられる。従って、長期にわたって反応を行う場合でも、格子酸素の再酸化作用が維持され、触媒は失活することなく、モノオレフィンから共役ジオレフィンを安定に製造できるものと考えられる。
Mo、Bi及びFeを含む酸化物を担体に担持した触媒を、流動層方式による共役ジオレフィンの製造に用いると、生成物である共役ジオレフィンの燃焼分解や二次反応による含酸素化合物の生成の抑制に有利で、高い収率で共役ジオレフィンを得ることができる。詳細は不明ではあるがその理由として、(1)触媒の酸性度が好適であるため、触媒上における共役ジオレフィンの燃焼分解や二次反応が低い、(2)生成した共役ジオレフィンに対する反応活性点の吸着能が小さいため、共役ジオレフィンは生成した後、反応活性点において分解や反応を受ける前に速やかに脱離する、などが考えられる。
Mo、Bi及びFeが合目的な酸化物を形成し易いためのこれらの組成比は、Moの原子比12に対するBiの原子比p、Feの原子比qが、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8であると考えられる。
酸化物がMo、Bi及びFe以外の金属を含有する場合、実験式:
Mo12BiFe
(式中、Aはニッケル及びコバルトから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは少なくとも1種の希土類元素、Eはクロム、インジウム及びガリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、p、q、a、b、c、d、e、及びxはそれぞれモリブデン12原子に対するビスマス、鉄、A、B、C、D、E及び酸素の原子比を表し、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8、0≦a≦10、0.02≦b≦2、0≦c≦5、0≦d≦5、0≦e≦5であり、xは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
で表されるのが好ましい。本明細書中、「実験式」は、当該式に含まれる金属の原子比と、その原子比及び酸化数の総計に応じて要求される酸素とからなる組成を表す。様々な酸化数をとりうる金属を含む酸化物において、酸素の原子数を特定することは実質的に不可能であるため、酸素の数は形式的に「x」で表すこととしている。例えば、Mo化合物、Bi化合物及びFe化合物を含むスラリーを調製し、それを乾燥及び/又は焼成して酸化物を得る場合、スラリーに含まれる金属の原子比と、得られる酸化物中の金属の原子比とは実質的に同じと考えてよいので、スラリーの仕込み組成式にOを付加したものが、得られる酸化物の実験式である。なお本明細書中、上述のスラリーの仕込み組成のように、意図的にコントロールした成分とその比率を表す式を「組成式」と呼ぶので、上述の例の場合、実験式からOを除いたものが「組成式」である。
A、B、C、D及びEで表される成分の役割は限定的ではないが、Mo、Bi及びFeを必須成分とする酸化物触媒の分野では、概ね次のように推定されている。すなわち、A及びEは触媒の活性を向上させ、B及びCはMo、Bi及びFeを含む合目的な酸化物の構造の安定化させ、Dは酸化物の再酸化という影響を与えると考えられている。p、q、a、b、c、d、eが好ましい範囲であると、これらの効果が一層高いと期待できる。
上記組成式において、より好ましい組成としては、0.1≦p≦0.5、1.5≦q≦3.5、1.7≦a≦9、0.02≦b≦1、0.5≦c≦4.5、0.02≦d≦0.5、0≦e≦4.5であり、さらに好ましい組成としては、Bがルビジウム、カリウム又はセシウム、Cがマグネシウム、Dがセリウムであり、0.15≦p≦0.4、1.7≦q≦3、2≦a≦8、0.03≦b≦0.5、1≦c≦3.5、0.05≦d≦0.3、0≦e≦3.5である。Aがニッケル、Bがルビジウム、カリウム又はセシウム、Cがマグネシウム、Dがセリウムの場合、共役ジオレフィン収率がより高く、かつその燃焼分解が良好に抑制され、また触媒に対して還元劣化に対する耐性を付与することができる傾向がある。
担体は、担体と酸化物の合計に対して30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲で有効に用いることができる。Mo、Bi及びFeを含有する酸化物を含む担持触媒は、公知の方法、例えば原料スラリーを調製する第1の工程、該原料スラリーを噴霧乾燥する第2の工程、および第2の工程で得られた乾燥品を焼成する第3の工程を包含する方法によって得ることができる。担体は、シリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択された少なくとも一種が好ましく、より好適な担体はシリカである。シリカは他の担体に比べ不活性な担体であり、目的生成物に対する触媒の活性や選択性を低下させることなく、触媒と良好な結合作用を有する。加えて、酸化物を担体に担持することによって、粒子形状・大きさ・分布、流動性、機械的強度といった、流動層反応に好適な物理的特性を付与することできる。
(2)製造方法
原料スラリーを調製する第1の工程、該原料スラリーを噴霧乾燥する第2の工程、および第2の工程で得られた乾燥品を焼成する第3の工程からなる、触媒の製造法の好ましい態様について説明する。
第1の工程では、触媒原料を調製して原料スラリーを得るが、モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、コバルト、アルカリ金属元素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、マンガン、希土類元素、クロム、インジウム、ガリウムの各元素の元素源としては、水または硝酸に可溶なアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩などを挙げることができる。特にモリブデン源としてはアンモニウム塩が、ビスマス、鉄、ニッケル、アルカリ元素、マグネシウム、亜鉛、マンガン、希土類元素、各元素の元素源としては、それぞれの硝酸塩が好ましい。上述の通り、酸化物の担体としてシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物を用いることができるが、好適な担体としてはシリカが用いられ、シリカ源としてはシリカゾルが好ましい。シリカゾルの不純物に関して、好ましくは、ケイ素100原子当たり0.04原子以下のアルミニウムを含むシリカソゾルを用い、さらに好ましくは、ケイ素100原子当たり0.02原子以下のアルミニウムを含むシリカゾルを用いる。原料スラリーの調製は、水に溶解させたモリブデンのアンモニウム塩をシリカゾルに添加し、次に、ビスマス、希土類元素、鉄、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、マンガン、アルカリ元素の各元素の硝酸塩を水または硝酸水溶液に溶解させた溶液を加えることによって行うことができる。このようにして、原料スラリーを調製することができる。その際、上記の添加の順序を変えることもできる。
第2の工程では、上記の第1工程で得られた該原料スラリーを噴霧乾燥して、球状粒子を得る。原料スラリーの噴霧化は、通常工業的に実施される遠心方式、二流体ノズル方式および高圧ノズル方式等の方法によって行うことができるが、特に遠心方式で行うことが望ましい。次に、得られた粒子を乾燥するが、乾燥熱源としては、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機入口の温度は100〜400℃、好ましくは150〜300℃である。
第3の工程では、第2の工程で得られた乾燥粒子を焼成することで所望の触媒を得る。乾燥粒子の焼成は、必要に応じて150〜500℃で前焼成を行い、その後500〜700℃、好ましくは520〜700℃の温度範囲で1〜20時間行うのが好ましい。焼成は回転炉、トンネル炉、マッフル炉等の焼成炉を用いて行うことができる。触媒の粒子径は、10〜150μmの範囲に分布していることが好ましい。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。
実施例および比較例において、反応成績を表すために用いたn−ブテン転化率、1,3−ブタジエン選択率および収率は次式で定義される。
n−ブテン転化率(%)=(反応したn−ブテンのモル数)/(供給したn−ブテンのモル数)*100
1,3−ブタジエン選択率(%)=(生成した1,3−ブタジエンのモル数)/(反応したn−ブテンのモル数)*100
1,3−ブタジエン収率(%)=(生成した1,3−ブタジエンのモル数)/(供給したn−ブテンのモル数)*100
流動層反応方式の反応装置として、内径25.4mmのパイレックス(登録商標)ガラス製流動層反応管を用い、モル比組成がn−ブテン/空気/ヘリウム=1/2.4〜6.0/バランスの原料混合ガス(n−ブテン濃度=12体積%)を流量F=572〜738cc/min(NTP換算)で供給し、反応温度T-=280〜440℃、反応圧力P=0.05MPa、触媒充填重量W=50gの条件で反応を行った。接触時間は次式で定義される。
接触時間(g・sec/cc)=W/F*60*273.15/(273.15+T)*(P*1000+101.325)/101.325
式中、Wは触媒充填量(g)、Fは原料混合ガス流量(cc/min、NTP換算)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPa)を表す。
出口酸素の分析は、反応器に直結させたガスクロマトグラフィー(GC−8A(島津製作所製)、分析カラム:ZY1(信和化工製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:75℃一定、TCD設定温度:80℃)を用いて行った。
ブテン及び1,3−ブタジエンの分析は、反応器に直結させたガスクロマトグラフィー(GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(J&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃)用いて行った。
(実施例1)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi0.60Fe1.8Ni5.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル1835.4gをとり、16.6重量%の硝酸413.3gに58.7gの硝酸ビスマス〔Bi(NO・5HO〕、65.7gの硝酸セリウム〔Ce(NO・6HO〕、146.7gの硝酸鉄〔Fe(NO3)3・9H2O〕、293.4gの硝酸ニッケル〔Ni(NO・6HO〕、103.5gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO〕、1.8gの硝酸カリウム〔KNO〕および1.5gの硝酸ルビジウム〔RbNO〕を溶解させた液を加え、最後に水860.9gに427.4gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕を溶解させた液を加えた。ここに得られた原料調合液を並流式の噴霧乾燥器に送り、入口温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気炉で空気雰囲気下350℃で1時間の前焼成の後、空気雰囲気下590℃で2時間焼成して触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを、内径25.4mmのパイレックス(登録商標)ガラス製流動層反応管に入れ、この反応管にモル比組成が1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.6/バランスの原料混合ガス(1−ブテン濃度=12体積%)を流量F=655cc/min(NTP換算)で供給し、反応温度T-=350℃、反応圧力P=0.05MPaの条件で反応を行った。この時、出口酸素濃度=0.3体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)cであった。反応生成ガスの分析は、反応器に直結させたガスクロマトグラフィーで行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/2.4/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=712cc/min(NTP換算)、反応温度T-=300℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.6体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/4.4/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=589cc/min(NTP換算)、反応温度T-=420℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.1体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
原料混合ガスのモル比組成を2−ブテン/空気/ヘリウム=1/4.3/バランス(2−ブテン濃度=12体積%)、F=634cc/min(NTP換算)、反応温度T=370℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.6体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.0/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=589cc/min(NTP換算)、反応温度T-=420℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は0体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/2.4/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=738cc/min(NTP換算)、反応温度T-=280℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は1.4体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/4.8/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=572cc/min(NTP換算)、反応温度T-=440℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は2.0体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/6.0/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=712ccc/min(NTP換算)、反応温度T-=300℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は3.8体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例5)
原料混合ガスのモル比組成を2−ブテン/空気/ヘリウム=1/4.8/バランス(2−ブテン濃度=12体積%)、流量F=572cc/min(NTP換算)、反応温度T-=440℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は2.0体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例6)
原料混合ガスのモル比組成を2−ブテン/空気/ヘリウム=1/4.6/バランス(2−ブテン濃度=12体積%)、流量F=738cc/min(NTP換算)、反応温度T-=280℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は1.7体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例7)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi1.00.1Mg8.0Cr3.0で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル1848.4gをとり、16.6重量%の硝酸450.7gに97.9gの硝酸ビスマス、242.2gの硝酸クロム〔Cr(NO)・9HO〕、硝酸マグネシウム、及び2.0gの硝酸カリウムを溶解させた液を加え、最後に水860.9gに427.4gのパラモリブデン酸アンモニウムを溶解させた液を加えた。ここに得られた原料調合液を並流式の噴霧乾燥器に送り、入口温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気炉で空気雰囲気下350℃で1時間の前焼成の後、空気雰囲気下590℃で2時間焼成して触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
比較例7(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを用い、原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.2/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量F=655cc/min(NTP換算)とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.2体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例8)
(a)触媒の調製
組成がMo12FeNi0.12Rb0.1Mg2.9Ce0.05で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル1734.2gをとり、16.6重量%の硝酸413gに244.4gの硝酸鉄、4.4gの硝酸セリウム、3.0gの硝酸ルビジウム、150gの硝酸マグネシウム、及び2.4gの硝酸カリウムを溶解させた液を加え、最後に水860.9gに427.4gのパラモリブデン酸アンモニウムを溶解させた液を加えた。ここに得られた原料調合液を並流式の噴霧乾燥器に送り、入口温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気炉で空気雰囲気下350℃で1時間の前焼成の後、空気雰囲気下590℃で2時間焼成して触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
比較例8(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを用いて、比較例7を反復して反応を行った。この時、出口酸素濃度は1.2体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi0.45Fe1.8Ni2.0Co3.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.90で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル1845.5gをとり、16.6重量%の硝酸382.8gに44.0gの硝酸ビスマス、78.8gの硝酸セリウム、146.7gの硝酸鉄、117.4gの硝酸ニッケル、176.1gの硝酸コバルト〔Co(NO・6HO〕、103.5gの硝酸マグネシウム、1.8gの硝酸カリウム及び1.5gの硝酸ルビジウムを溶解させた液を加え、最後に水860.9gに427.4gのパラモリブデン酸アンモニウムを溶解させた液を加えた。ここに得られた原料調合液を並流式の噴霧乾燥器に送り、入口温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気炉で空気雰囲気下350℃で1時間の前焼成の後、空気雰囲気下580℃で2時間焼成して触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
実施例5(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを用いて、原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.8/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)とした以外は、実施例1を反復して反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.3体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi0.30Fe1.2Ni6.20.20Mg2.5Ce0.30Cr0.20In0.2で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル1773.7gをとり、16.6重量%の硝酸386.7gに29.4gの硝酸ビスマス、26.3gの硝酸セリウム、97.8gの硝酸鉄、363.8gの硝酸ニッケル、16.1gの硝酸クロム、14.3gの硝酸インジウム〔In(NO)3・3HO〕、129.3gの硝酸マグネシウム及び4.1gの硝酸カリウム溶解させた液を加え、最後に水860.9gに427.4gのパラモリブデン酸アンモニウムを溶解させた液を加えた。ここに得られた原料調合液を並流式の噴霧乾燥器に送り、入口温度約250℃、出口温度約140℃で乾燥させた。該調合液の噴霧化は、乾燥器上部中央に設置された皿型回転子を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた粉体は、電気炉で空気雰囲気下350℃で1時間の前焼成の後、空気雰囲気下560℃で2時間焼成して触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
実施例6(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを用いて、原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.3/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)とした以外は、実施例1を反復して反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.3体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)参考例
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi0.60Fe10Ni5.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル2275.8g、16.6重量%の硝酸616.4g、814.8gの硝酸鉄を用いた以外は実施例1の触媒調製を反復して、触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
実施例7(a)触媒の調製工程で得られた酸化物触媒50gを用いて、混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.4/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)、流量=644cc/min(NTP換算)、反応温度T=360℃とした以外、実施例1を反復して反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.3体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例8)
(a)触媒の調製
組成がMo12Bi6.0Fe1.8Ni5.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持して、触媒を次のようにして調製した。30重量%のSiO2を含むシリカゾル2681.6g、16.6重量%の硝酸567.7g、587.2gの硝酸ビスマスを用いた以外は実施例1の触媒調製を反復して、触媒を得た。
(b)1,3−ブタジエン製造反応
実施例8(a)触媒の調製工程で得られた触媒50gを用いて、原料混合ガスのモル比組成を1−ブテン/空気/ヘリウム=1/3.2/バランス(1−ブテン濃度=12体積%)とした以外は、実施例7を反復して反応を行った。この時、出口酸素濃度は0.2体積%、触媒と混合ガスの接触時間は3.0(g・sec/cc)であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の反応を450時間継続し、触媒の性能を評価した。評価を通して性能はきわめて安定であり、450時間経過後の1−ブテン転化率は98.1%、1,3−ブタジエン選択率は93.5%、1,3−ブタジエン収率は91.7%、出口酸素濃度は0.2体積%を与え、実施例1と実質的に同じ結果が得られた。
(比較例9)
比較例1の反応を450時間継続し、触媒の性能を評価した。性能は経時的に変化し、450時間経過後の1−ブテン転化率は10.3%、1,3−ブタジエン選択率は6.7%、1,3−ブタジエン収率は0.7%、出口酸素濃度は0体積%であった。
(比較例10)
比較例4の反応を450時間継続し、触媒の寿命を評価した。性能は経時的に変化し、450時間経過後の1−ブテン転化率は86.3%、1,3−ブタジエン選択率は82.2%、1,3−ブタジエン収率は70.9%、出口酸素濃度は3.3体積%であった。
(比較例11)
比較例7の反応を450時間継続し、触媒の寿命を評価した。性能は経時的に変化し、450時間経過後の1−ブテン転化率は63.7%、1,3−ブタジエン選択率は66.7%、1,3−ブタジエン収率は42.5%、出口酸素濃度は1.8体積%であった。
Figure 0005371692
表1の結果から明らかなように、担体に担持されたMo、Bi、及びFeを含む酸化物を本実施の形態の触媒に用い、かつ特定範囲に流動層反応器の出口酸素濃度と反応温度を設定してn−ブテンの酸化脱水素反応による1,3−ブタジエンを製造すると、流動層反応方式においても、1,3−ブタジエンを高収率で製造することが可能である。
n−ブテンやイソペンテンなどの炭素原子数4以上を有するモノオレフィンと分子状酸素とを接触酸化脱水素反応させ、これらモノオレフィンに対応する共役ジオレフィン、1,3−ブタジエンやイソプレンを製造するにあたり、本発明の流動層反応方式による製造方法では、1,3−ブタジエンやイソプレンの燃焼分解を好適に抑制することができるため、長期にわたって1,3−ブタジエンやイソプレンを収率良くかつ安定に製造することができる。

Claims (2)

  1. 酸化物を担体に担持した触媒と、酸素とが内部に存在する流動層反応器内で、前記触媒にn−ブテンを接触させて共役ジオレフィンを製造する方法であって、下記の(1)〜(3)を満たす、共役ジエンの製造方法。
    (1)前記酸化物が下記実験式で表される
    Mo 12 Bi p Fe q a b c d e x
    (式中、Aはニッケル及びコバルトから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Cはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dは少なくとも1種の希土類元素、Eはクロム、インジウム及びガリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、p、q、a、b、c、d、e、及びxはそれぞれモリブデン12原子に対するビスマス、鉄、A、B、C、D、E及び酸素の原子比を表し、0.1≦p≦5、0.5≦q≦8、0≦a≦10、0.02≦b≦2、0≦c≦5、0≦d≦5、0≦e≦5であり、xは存在する他の元素の原子価要求を満足させるのに必要な酸素の原子数である。)
    (2)反応温度が300〜420℃の範囲である
    (3)反応器出口ガス中の酸素濃度が0.05〜0.7体積%の範囲である
  2. 前記担体がシリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニアからなる群より選択された少なくとも一種である、請求項1記載の共役ジオレフィンの製造方法。
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