JP5371236B2 - 紫外線防御剤および日焼け止め化粧料 - Google Patents
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本発明における紫外線防御剤は、14族元素からなり、具体的には、14族元素からなる粒子である。14族元素からなる粒子は、UVAまたはUVB領域の光を吸収することにより、紫外線を防御する機能を有する。粒子の平均粒子径は、2nm以上30nm以下である。
λ(nm)=1240/E
E=Eg+h2/8R2×(1/Me+1/Mh)
(上記式中、λは吸収波長(nm)である。Eは、量子効果を考慮したバンドギャップエネルギー(eV)である。Egは、バルクのバンドギャップエネルギー(eV)である。hは、プランク定数(4.136×10-15eV・s)である。Rは、粒子半径である。MeとMhは、それぞれ電子と正孔の有効質量である。例えばシリコン(Si)のEgは、室温で1.1eVである。)
なお、粒子の表面等の一部にケイ素の酸化物が存在していてもよいが、シリカ粒子のように14族元素の酸化物からなるものは、量子効果が十分に得られないことがあるため、好ましくない。
本発明における紫外線防御剤は、より広い波長領域にわたって確実に紫外光を吸収する観点から、14族元素からなる粒子として平均粒子径の異なるものを組み合わせて用いてもよく、例えば、平均粒子径2nm以上5nm以下の粒子と、平均粒子径が5nmより大きい粒子とを組み合わせて用いてもよい。
さらに、特許文献3に記載のシリコンクラスターは、クラスター分子のHOMO−LUMOエネルギーギャップに対応して特定波長の紫外光を吸収する。このため、生成されるエネルギーギャップは、HOMO−LUMOで生成される程度の大きさしかなく、エネルギーの大きさに制限があり、せいぜい吸収帯が370nmをピークとする狭い範囲に限られていた。
これに対し、本発明においては、特定の粒子径において発揮される量子効果により光の吸収が生じるため、特許文献3に記載のシリコンクラスターに比べてワイドギャップを実現できるため、より短波長側の光を吸収するように構成できる。また、一次粒子の平均粒子径を制御することにより、中〜長波長の一定の紫外光領域にわたって吸収バンドを形成することができる。
本発明において、14族元素からなり平均粒子径2nm以上30nm以下である粒子の粉体は、電解溶解法、ガスプラズマ法、化学反応を用いる方法等種々の方法で製造することができる。その一例としてシリコンの化学反応を用いた方法について説明する。具体的には、酸化物を形成した後、酸化物中の酸素を除去してシリコンの単体粒子を得る方法を説明する。
以下、本発明における紫外線防御剤を用いた日焼け止め化粧料を具体的に説明する。
本発明における日焼け止め化粧料は、紫外線防御剤として、上述した平均粒子径2nm以上30nm以下である14族元素からなる粒子、具体的にはSi粒子を含む。前述のように、平均粒子径2nm以上30nm以下である14族元素からなる粒子は、例えば中波長側の紫外線(280〜320nm)から長波長側の紫外線(320〜400nm)領域にわたる吸収帯を有し、これを含む化粧料は、日焼け止め化粧料として有効である。
また、日焼け止め化粧料中の紫外線防御剤の含有量は、日焼け止め化粧料としての配合の自由度を向上させる観点から、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下とする。
ただし、本発明における紫外線防御剤は、日焼け止め化粧料中にたとえば0.1質量%以下、さらに具体的には0.05質量%程度の低濃度で含まれる場合であっても、従来の紫外線防御剤と同等以上の紫外線防御効果が得られ、より高濃度で含まれていれば、さらに顕著な紫外線防御効果が得られる。
油溶性の紫外線吸収剤としては、安息香酸系、アントラニル酸系、サリチル酸系、桂皮酸系、ベンゾフェノン系のものが含まれる。
このうち、安息香酸系紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、グリセリルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、N−エトキシレートPABAエチルエステル、N−ジメチルPABAエチルエステル、N−ジメチルPABAブチルエステル、N−ジメチルPABAアミノエステル、オクチルジメチルPABA等が挙げられる。
アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、アミルサリチレート、メンチルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレート、フェニルサリチレート、ベンジルサリチレート、p−イソプロパノールフェニルサリチレート等が挙げられる。
桂皮酸系紫外線吸収剤としては、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイルジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4'−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。更に上記以外に、3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、3−ベンジリデン−dl−カンファー、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラシン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボニリデン)−3−ペンタン−2−オン、特開平2−212579号公報記載のベンゼン−ビス−1,3−ジケトン誘導体、特開平3−220153号公報記載のベンゾイルピナコロン誘導体等が挙げられる。
非イオン界面活性剤は、全組成中に0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%含有するのが、他の成分を安定に溶解、分散するために好ましい。
シリコーン油としては、直鎖状ポリオルガノシロキサン、環状ポリシロキサン等が挙げられる。直鎖状ポリオルガノシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を有する直鎖状アルキルポリシロキサン、炭素数が1〜5のアルキル基および炭素数が6〜10のアリール基を有する直鎖状アルキルアリールポリシロキサン等が挙げられ、具体的には、直鎖状ジメチルポリシロキサン、直鎖状メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。これら直鎖状ポリオルガノシロキサンのうち、20℃の粘度が1〜1000mPa・s、特に5〜10mPa・sが好ましい。環状ポリシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を置換基として有する4〜6員環の環状シロキサンが挙げられ、具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
ミンク油、タートル油、液状ラノリン等の動物性油;
ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル;
イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル等の高級アルコールの脂肪酸エステル;
リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル等の高級アルコールのオキシ酸エステル;
トリカプリル酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
これらのうち、シリコーン油が特に好ましい。
これらの油剤成分は、1種以上を用いることができ、全組成中に例えば0.01〜30質量%、好ましくは1〜10質量%含有する。
これらは、1種以上用いることができ、全組成中に例えば0.01〜10質量%、特に0.05〜5質量%含有するのが、良好な感触と、組成物の安定性を向上させる観点から好ましい。
モノシランガス0.16L/min、酸素ガス0.4L/minおよび希釈用の窒素ガス17.5L/minを、温度700℃、圧力90kPaに保持した石英ガラス製反応管(内径50mm、長さ1000mm)からなる反応容器に導入したところ、茶褐色の粉末が生成した。これを反応管の下流側に設けた金属製フィルターで捕集した。
また、得られたシリコン粒子は、25℃において、水、エタノールおよびデカメチルシクロペンタシロキサンに分散できることを確認した。
測定機器名:SHIMADZU 紫外可視分光光度計 UV−3100PC
図1に示したとおり、本実施例で得られたシリコン粒子は、300〜400nmの領域全体にわたって光を吸収する。このシリコン粒子は、UVBに対応する300〜320nmの光およびUVAに対応する320〜400nmの光を吸収するため紫外線防御に優れるうえ、可視光での透明性も優れた紫外線防御剤であることがわかる。更に比較のために用いた酸化亜鉛よりも極少量で十分な紫外光防御効果を有することから、日焼け止め化粧料に用いることにより、使用感においても優れる化粧料を達成できる。
表1に示す日焼け止め化粧料を製造し、紫外線防御効果および使用感を評価した。評価結果を表2に示す。
表1における成分4中に、ディスパーを用いて成分1〜3をよく分散させた。そこに成分5および6を加え攪拌し、均一にすることにより化粧料を製造した。
実施例2および比較例1〜3の化粧料を石英板上に2mg/cm2になるように塗布し、SPF(Sun Protection Factor)アナライザー(Optometrics社製)を用いて全透過光スペクトルを測定し、それぞれUVB領域での防御を300nm、UVA−II領域での防御を330nm、UVA−I領域での防御を380nmの波長における透過率の値から比較を行った。結果を表2に示す。
また、実施例2で得られた化粧料は、塗布後に不自然な白浮きがなく使用感に優れ、製品の外観上も高い透明性を有するものであった。
Claims (5)
- 平均粒子径2nm以上30nm以下である14族元素から主としてなる粒子状の紫外線防御剤を含み、
前記14族元素がSiである、日焼け止め化粧料。 - 前記粒子状の紫外線防御剤が、水、エタノールまたはデカメチルペンタシロキサンに分散された、請求項1に記載の日焼け止め化粧料。
- 前記粒子状の紫外線防御剤が、前記14族元素の酸化物を形成した後、前記酸化物中の酸素を除去して製造された、請求項1または2に記載の日焼け止め化粧料。
- 当該日焼け止め化粧料中の前記粒子状の紫外線防御剤の含量が、0.01質量%以上20質量%以下である、請求項1〜3いずれか一項に記載の日焼け止め化粧料。
- 更に、アルコール類を含有する、請求項1〜4いずれか一項に記載の日焼け止め化粧料。
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