JP5370740B2 - 層状希土類水酸化物、その薄膜、および、それらの製造方法 - Google Patents

層状希土類水酸化物、その薄膜、および、それらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされる層状希土類水酸化物、その薄膜、および、それらを製造する方法に関する。
ナノテクノロジーの著しい発展にともなって、機能性薄膜が、注目されている。本願発明者らは、機能性薄膜の構築ブロックとしてアニオン交換能を有する層状物質である層状希土類水酸化物の合成に成功している(例えば、非特許文献1を参照。)。さらに、本願発明者らは、上記層状希土類水酸化物を用いてその薄膜化に成功している(例えば、非特許文献2を参照。)。
非特許文献1によれば、高い対称性の結晶構造を有し、かつ、高い結晶性を有する層状希土類水酸化物を合成する方法が開示されている。詳細には、層状希土類水酸化物の合成方法は、希土類元素の塩と、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)と、水を含有する溶媒とを含む混合水溶液を調製するステップと、混合水溶液中のヘキサメチレンテトラミン(HMT)を分解し、希土類元素の塩を加水分解するステップとを包含する。このようにして得られた層状希土類水酸化物は、組成式Ln(OH)2.5Cl0.5・0.125xHO(6<x<8)(Lnは希土類元素である)で表される。Clイオンは、形状がシンプルで等方性球状であるため、層状希土類水酸化物は、高い対称性の結晶構造および高い結晶性を有する。さらに、Clイオンは、Lnに直接配位しないため、室温にてアニオン交換能を示し、アニオン交換材料となる。また、Lnに基づいて蛍光を示すので、蛍光材料としても機能し得る。
非特許文献2によれば、上記層状希土類水酸化物を水に分散させた分散液にヘキサンを添加し、ヘキサンと水との界面に層状希土類水酸化物結晶を自己組織化配列させ、自己組織化した層状希土類水酸化物を基材に移すことによって、層状希土類水酸化物薄膜を合成する。また、合成された層状希土類水酸化物薄膜が蛍光を示すことが分かっている。
しかしながら、非特許文献1および非特許文献2に記載の材料を蛍光材料および磁性材料などのさらなる用途へ展開するには、希土類元素サイトに複数の元素が固溶した系の開発が求められる。発光(蛍光)特性および磁性特性などを用途に応じて発揮させるには、固溶比を制御でき、適宜設計した固溶量を有する材料が得られることが望ましい。
以上より、本発明の目的は、材料設計が可能な層状希土類水酸化物、その薄膜、および、それらの製造方法を提供することである。
発明1は、層状希土類水酸化物を母体とし、これにM元素が固溶した層状希土類水酸化物からなる発光材料であって、前記層状希土類水酸化物は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表され、前記(R)はRE元素(REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素)であり、前記機能サイトに発光中心であるM元素(Mは、前記REとは異なる前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択される元素)が固溶していることを特徴とする。
発明2は、発明1に記載の発光材料において、正に帯電した[(R)(OH)20(HO)4+層(6<x<8)と、負に帯電した陰イオンからなる中間層Zm−との積層構造であることを特徴とする。
発明3は、発明1に記載の発光材料において、前記層状希土類水酸化物は板状結晶であることを特徴とする。
発明4は、発明1に記載の発光材料において、前記ZはClであることを特徴とする。
発明5は、発明1に記載の発光材料において、前記REおよび前記Mは、それぞれ、GdまたはY、および、Euであることを特徴とする。
発明6は、複数の層状希土類水酸化物からなる薄膜であって、前記複数の層状希土類水酸化物は、式(R)(OH) 2.5 0.5/m ・0.125xH O((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされ、前記(R)には、RE元素(以下REと記す。)と、前記REとは異なるM元素(以下Mと記す。)とが固溶されており、前記REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素であり、前記Mは、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素であり、前記複数の層状希土類水酸化物のそれぞれは、配向した板状結晶であることを特徴とする。
発明7は、発明6に記載の薄膜において、前記複数の層状希土類水酸化物のそれぞれは、c軸配向した板状結晶であるり、前記薄膜はc軸配向していることを特徴とする。
明8は、発明1〜5のいずれかに記載の層状希土類水酸化物からなる発光材料を製造する方法であって、REの塩(前記REは3価の希土類元素群から選択された1つの元素である)と、Mの塩(前記Mは、前記REと異なり、かつ、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素である)とを、pH調整剤を含有する混合水溶液に投入して、REの塩および前記Mの塩を加水分解して、水溶液中にREとMとが固溶した層状希土類水酸化物からなる発光材料を生成することを特徴とする。
明9は、発明8に記載の方法において、前記混合水溶液には、前記pH調整剤として、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)または尿素が含有されてなることを特徴とする。
明10は、発明8又は9に記載の方法において、前記混合水溶液のpHが8〜10に調整されていることを特徴とする。
発明11は、発明8から10のいずれかに記載の方法において、前記REの塩および前記Mの塩は、塩化物であることを特徴とする。
発明12は、発明8から10のいずれかに記載の方法において、前記REおよび前記Mは、それぞれ、GdまたはY、および、Euであることを特徴とする。
発明13は、発明6に記載の薄膜を製造する方法であって、式(R)(OH) 2.5 0.5/m ・0.125xH O((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされる層状希土類水酸化物であって、前記(R)には、RE元素(以下REと記す。)と前記REとは異なるM元素(以下Mと記す。)とが固溶されいて、前記REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素であり、前記Mは、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素である、層状希土類水酸化物を水に分散させた分散液に、ヘキサンまたはトルエンのいずれかである第1の溶媒を添加し、前記分散液中の水と前記第1の溶媒との界面を形成するステップと、アルコール類である第2の溶媒をさらに添加し、前記界面に前記層状希土類水酸化物をトラップさせるステップと、前記第1の溶媒を除去するステップと、前記第2の溶媒が添加され、前記第1の溶媒が除去された前記分散液に前記基材を浸漬させ、前記トラップされた層状希土類水酸化物を前記基材に移すステップとからなることを特徴とする。
本発明は、異なる二種以上の元素を(R)サイト(以下、機能サイトという。)に固溶させることが可能であるとの知見に基づき、蛍光体やその他の用途における対応性を広げるために行ったものであり、具体的には、本発明によれば、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされる層状希土類水酸化物において、機能サイトに、RE元素(以下REと記す。)とM元素(Mと記す。)(REは、3価の希土類元素群から1つ選択される元素であり、Mは、REとは異なり、かつ、3価の希土類元素群および3価の金属元素群から少なくとも1つ選択される元素である)とを固溶させることに成功した。その結果、固溶された両元素のバランスにより、その機能を調整することが可能になり、用途・特性に合わせた材料設計を可能にする。
本発明による薄膜は、上述の層状希土類水酸化物が配向した板状結晶からなるため、高い結晶性および高い配向性を有する。これにより、層状希土類水酸化物の物性(発光特性、磁気特性等)をより効果的に発現させることができる。
本発明による層状希土類水酸化物の製造方法は、REとMとを固溶させるために、REの塩とMの塩とを含む混合水溶液を調製するだけでよいので、既存の装置を使うことができるので、簡便かつ安価に層状希土類水酸化物が提供され得る。
本発明による薄膜の製造方法は、溶媒の界面に層状希土類水酸化物をトラップさせるだけで、層状希土類水酸化物が上述の板状結晶面を界面に平行になるようにして配向する。このような界面にトラップされた層状希土類水酸化物を基材に移すので、極めて簡便に薄膜が製造できるとともに、大面積化も容易である。
本発明の層状希土類水酸化物の模式図(A)および結晶構造(B)を示す図 本発明の層状希土類水酸化物を製造するステップを示すフローチャート 本発明の薄膜を模式的に示す図 図3の薄膜の詳細を模式的に示す図 図4の薄膜における層状希土類水酸化物410の結晶構造を模式的に示す図 本発明の別の薄膜の詳細を模式的に示す図 本発明の薄膜を製造するステップを示すフローチャート 本発明の薄膜を製造するステップを模式的に示す図 実施例1〜12および比較例1〜2の層状希土類水酸化物のXRDパターンを示すグラフ a軸長の固溶比依存性を示すグラフ b軸長の固溶比依存性を示すグラフ 実施例6の層状希土類水酸化物のSEM像を示す写真 実施例11の層状希土類水酸化物のSEM像を示す写真 実施例2の層状希土類水酸化物のXRDパターンa、および、それを薄膜化した薄膜のXRDパターンbを示すグラフ 比較例1の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例2の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例2の層状希土類水酸化物からなる薄膜の別のSEM像を示す写真 実施例4の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例5の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例6の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例7の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例8の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例9の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例10の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例11の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例12の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例1、2、4、5、7、9、11、および、比較例1〜2の励起スペクトルを示すグラフ 図27の発光スペクトルを示すグラフ 実施例13の層状希土類水酸化物のXRDパターンを示すグラフ 実施例13の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例14の積層構造の層状希土類水酸化物からなる薄膜のXRDパターンを示すグラフ 実施例14の2層の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真 実施例14の3層の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、同様の構成要素には同様の参照番号を付し、その説明を省略する。
本発明による層状希土類水酸化物およびその製造方法について具体的に説明する。
(層状希土類水酸化物)
図1は、本発明の層状希土類水酸化物の模式図(A)および結晶構造(B)を示す図である。
本発明による層状希土類水酸化物100は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO(ここで、(R)は機能サイトであり、Zは陰イオンであり、6<x<8、mはZの価数である)で表される。(R)には、RE元素(単にREと称する)と、M元素(単にMと称する)とが固溶している。REは、3価の希土類元素群から1つ選択される元素であり、Mは、REと異なり、かつ、3価の希土類元素群および3価の金属元素群から少なくとも1つ選択される元素である。例えば、REがGdであり、MがEuであり、ZがClであり、xが7である場合には、(Eu,Gd)(OH)2.5Cl0.5・0.9HOと表記してもよい。
なお、Mは、1つの元素に限らず、異なる2以上の元素を選択することを阻むものではない。例えば、実施例1とMであるGdと実施例13のREであるYとをMとして固溶することは、下記実施例より容易に遂行できるものである。
REとなる、または、Mとなる3価の希土類元素群は、原子番号57番のランタン(La)から原子番号71番のルテチウム(Lu)までのランタノイドと、原子番号21番のスカンジウム(Sc)と、原子番号39番のイットリウム(Y)とからなる群である。中でも、非特許文献1において記載されるように、製造容易性の観点から、3価の希土類元素群は、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、ErおよびYからなる群であることが好ましい。
Mとなる3価の金属元素群は、Bi、GaおよびInからなる群である。これらは、3価の希土類元素群のイオン半径と比較的類似のイオン半径を有するため、固溶しやすい。また、これらは、固溶によって、層状希土類水酸化物100に発光特性および/または磁気特性などの機能を発現させ、REによる機能を調整することができる。
本発明者は、上述のREとMとの組み合わせであれば、第二相が生じることなく固溶することを見出した。好ましい組み合わせは、REとMとがGdとEuである。この場合、REがGdである層状希土類水酸化物にMとして固溶したEuが発光中心として機能するので、発光材料となる。同様に、REとMとがYとEuの場合も発光材料となる。別の好ましい組み合わせは、REとMとがGdとBiである。この場合、Biは機能性制御に重要な役割を果たし、GdとBiとが固溶することによって磁気異方性の制御が期待される。
このように、本発明の層状希土類水酸化物100は、1種のREと、少なくとも1種のMとが固溶する。Mは、REと異なり、かつ、3価の希土類元素群および上記3価の金属元素群から少なくとも1つ選択されるが、2種以上であってもよい。多元系が固溶した層状希土類水酸化物100は、非特許文献1とは異なる新規な機能の発現が期待できるとともに、材料設計の自由度を拡大するに有効である。
なお、REとMとが固溶しているか否かは、X線回折パターンに第二相が存在するか否かによって確認できる。また、X線回折パターンから求めた格子定数がVegard則にしたがっているか否かを調べれば、固溶状態およびその固溶比を知ることができる。これにより、本発明の層状希土類水酸化物100の固溶比が制御された、固溶量が設計された材料を得ることができる。
陰イオンであるZは、陰イオンになるものであれば任意であるが、製造の容易性の観点から、硫酸イオン、硝酸イオン、およびハロゲンイオンが好ましい。特に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン元素のイオンは、その形状がシンプルで等方性球状である。このことは、層状希土類水酸化物100の結晶構造の対称性および結晶性の向上に寄与し得る。より好ましくは、陰イオンZは塩素イオンまたはヨウ素イオンであり、最も好ましくは塩素イオンである。これらのZは、結晶性が高く、良質な層状希土類水酸化物100が得られるため好ましい。
xが6<x<8の範囲を有するのは、湿度によって水分子の数がわずかに変化するためである。完全な状態ではx=7である。
層状希土類水酸化物100は、より詳細には、図1に示されるように、正に帯電した[(R)(OH)20(HO)4+(6<x<8)層(またはホスト層とも呼ぶ)110と、負に帯電した中間層Zm−120(mはZの価数)との積層構造を有する。ただしいずれにおいても実際には空気中から一部炭酸イオンが取り込まれる。ここでもやはり、(R)は機能サイトであり、上述のREとMとが固溶している。
図1(B)に示されるように、負に帯電した中間層Zm−120が、直接REおよびMに配位していないため、中間層Zm−120は異なるアニオンと容易に交換可能である(すなわち、層状希土類水酸化物100はアニオン交換能を有する)。例えば、層状希土類水酸化物100の[(R)(OH)20(HO)4+層110においてREがGdであり、MがEuであり、中間層Zm−120がClである場合、硫酸イオン(アルカリ金属の硫酸塩を含んでもよい)を含む溶液と層状希土類水酸化物100とを室温において接触させるだけで、層状希土類水酸化物100の積層構造を維持しつつ上述のアニオン交換が生じる。
また、本発明による層状希土類水酸化物100は、上述の層状構造を反映した板状結晶の形態となり得る。後述するように、この板状結晶により層状希土類水酸化物100からなる配向膜を容易に得ることができる。さらに、本発明による層状希土類水酸化物100の結晶系は、上述のZの種類に依存して異なる。例えば、ZがClおよびSO 2−である場合には、層状希土類水酸化物100の結晶系は、斜方晶系、より詳細には単純斜方格子に属する。例えば、ZがBrおよびNO である場合には、層状希土類水酸化物100の結晶系は、単斜晶系に属する。以上の板状結晶のモルフォロジおよび結晶構造より、得られた生成物が、層状希土類水酸化物であるか否かは、簡易的には電子顕微鏡による表面観察により小板が確認されるか否か、詳細には、生成物のX線回折パターンの指数付けより判定できる。
REとMとが固溶した本発明の層状希土類水酸化物100の意義は、固溶した元素Mに応じて、発光特性および磁気特性等の機能を調整できるにある。このような機能を好適に発現させるためには、固溶状態を維持すること、および、固溶比を制御することが重要であるが、本発明の層状希土類水酸化物100はこれらを達成できるので、材料設計に有利である。
例えば、本発明の層状希土類水酸化物100が発光材料として機能する場合、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHOにおいて、RE(OH)2.50.5/m・0.125xHOがホスト(または母体とも呼ぶ)として機能し、機能サイト(R)に固溶したMがゲスト(または発光中心とも呼ぶ)として機能する。特に、発光機能を重要視する場合は、REとMとの固溶比により発光効率が変化するので、所望の発光特性に合わせて両者の固溶比する必要がある。この現象は、両者の固溶比によって濃度消光現象の発現程度が変化することによる。具体的には、REがGdまたはYであり、MがEuの場合の層状希土類水酸化物100が発光材料として好ましい。ここでEuは発光中心として機能する。この場合、濃度消光および輝度を考慮すれば、好ましいEuの固溶量は、20mol%以下である。
当然のことながら、すべての材料がホストおよびゲストの関係を満たすものではなく、本発明では、非特許文献1に記載の層状希土類水酸化物の機能サイトに着目し、上述の特定のREとMとが固溶し、かつ、固溶比を制御できる本発明の層状希土類水酸化物100となることを見出したことに留意されたい。
(層状希土類水酸化物の製造方法)
次に、前記層状希土類水酸化物100の製造方法は、均一沈殿法によるものであり、以下に具体的に説明する。
図2は、本発明の層状希土類水酸化物を製造するステップを示すフローチャートである。
ステップS210:REの塩とMの塩とを、pH調整剤を含有する混合水溶液中に投入して、HMTまたは尿素を分解し、REの塩およびMの塩を加水分解する。詳細には、REの塩と、Mの塩と、ヘキサメチレンテトラミン(以降では単にHMTと称する)または尿素と、水を含有する溶媒とを含む混合水溶液中の、HMTまたは尿素を分解し、REの塩およびMの塩を加水分解する。
REの塩は、一例として、REのハロゲン化物、REの硫酸塩、REの硝酸塩、REの酢酸塩、REの蟻酸塩などがあるが、製造の容易性を考慮すれば、REのハロゲン化物、REの硫酸塩およびREの硝酸塩が好ましい。最終的に得られる層状希土類水酸化物の結晶性を考慮すれば、REのハロゲン化物、なかでもREの塩化物が好ましい。
同様に、Mの塩は、一例として、Mのハロゲン化物、Mの硫酸塩、Mの硝酸塩、Mの酢酸塩、Mの蟻酸塩などがあるが、製造の容易性を考慮すれば、Mのハロゲン化物、Mの硫酸塩およびMの硝酸塩が好ましい。最終的に得られる層状希土類水酸化物の結晶性を考慮すれば、Mのハロゲン化物、なかでもMの塩化物が好ましい。Rの塩とMの塩との種類は同一の塩である。なお、REおよびMは、それぞれ、図1を参照して説明した元素であるため、説明を省略する。
水を含有する溶媒は、水(例えば、超純水)単独の溶媒であってもよいし、水とエタノール等の非水溶媒との混合溶媒であってもよいが、少なくとも水があればよい。これは、REイオンおよび/またはMイオンが水と水和することにより、反応が促進されるためである。なお、少なくとも水があればよいため、水を含有する溶媒とともに、REの塩および/またはMの塩の水和物を用いてもよい。
HMTまたは尿素は、いずれも、混合水溶液中で分解後に水溶液のpHを上昇するようpH調整剤として機能する。好ましくは、REの塩およびMの塩とHMTまたは尿素とのモル比は、1である。
混合水溶液のpHは、選択されたREおよびMに応じて異なるが、4.5以上6.5の範囲が好ましい。この範囲であれば、HMTまたは尿素が分解された際に、混合水溶液のpHが8〜10まで上昇し、REの塩およびMの塩の加水分解を促進できるので、層状希土類水酸化物を確実に得ることができる。
また、上述の混合水溶液にアルカリ金属の塩をさらに混合してもよい。アルカリ金属の塩は、例えば、NaCl、KCl等であるが、これらに限定されない。これにより、REの塩およびMの塩の濃度が低い条件においても、合成が促進されるが、適切な塩濃度で合成を行うことにより、得られる層状希土類水酸化物のモルフォロジまたは結晶性が向上し得る。
ステップS210において、上述の混合水溶液中でHMTおよび尿素は、分解されて、アンモニアを生成する。これにより混合水溶液のpHが上昇し、アルカリ性となる。その結果、REの塩およびMの塩が加水分解され、層状希土類水酸化物の沈殿が生じる。なお、HMTおよび尿素により、(好ましくは加熱により)いずれも制御された速度でゆっくりとアンモニアを生成するため、核生成および結晶化に偏りがなく、粒径のそろった結晶性の高い良質な層状希土類水酸化物が得られる。
HMTおよび尿素の分解は、例えば、混合水溶液を室温にて長時間攪拌して行われるが、効率の観点から、70℃以上の温度で攪拌しながら加熱することが好ましい。これにより、HMTおよび尿素の分解が促進されるため、合成が効率的に進行する。30分〜1時間の加熱により結晶の生成が目視にて確認できるが、典型的には、加熱は、6時間〜10時間の間行われる。特に、7時間以上加熱すると、層状希土類水酸化物の結晶性が向上するため好ましい。また、加熱温度の上限は、用いる溶媒によって異なるが、100℃を超えない温度である。
ステップS210に続いて、得られた層状希土類水酸化物を洗浄し、室温にて乾燥させてもよい。これにより取扱の簡便な粉末状の層状希土類水酸化物を得ることができる。洗浄は、水およびエタノールで数回繰返し行われる。
以上のS210を経て本発明の層状希土類水酸化物100が得られる。なお、本発明の層状希土類水酸化物の製造方法は、図2を参照して説明した均一沈殿法に限定されないが、均一沈殿法であれば、オートクレーブ等の専用高圧装置は不要であり、簡便、安価かつ大量に層状希土類水酸化物を提供できるため有利である。
このように、本発明の層状希土類水酸化物100は、REとMとを固溶させるために、REの塩とMの塩とを含む混合水溶液を調製するだけでよいので、既存の装置を使うことができるので、簡便かつ安価に層状希土類水酸化物が提供され得る。
次に、本発明による層状希土類水酸化物からなる薄膜およびその製造方法について具体的に説明する。
(薄膜)
本発明の薄膜について具体的に説明する。
図3は、本発明の薄膜を模式的に示す図である。
図3では、薄膜300が基材310上に位置する様子を示す。このように基材310上に薄膜300があれば、取扱が簡便であるため有利である。基材310は、Si、GaAs等の半導体基板、石英基板、ガラス基板、金属基板、プラスチック等の有機基板など任意の基材であり得る。基材310は、平板である必要はなく、表面に曲率あるいは凹凸を有していてもよい。本発明の薄膜300について、図4〜図6を参照して、詳述する。
図4は、図3の薄膜の詳細を模式的に示す図である。
図5は、図4の薄膜における層状希土類水酸化物410の結晶構造を模式的に示す図である。
図4は、薄膜400が基材310上に位置しており、薄膜400が本発明の層状希土類水酸化物410の単層から構成されている様子を模式的に示す。層状希土類水酸化物410は、前記層状希土類水酸化物100と同様である。薄膜400は、互いに重なることなく、一様に配向した板状結晶様の層状希土類水酸化物410からなる。
さらに層状希土類水酸化物410は、図5に示すように、基材310に対して垂直であるc軸配向([001])している。このような薄膜400は、層状希土類水酸化物410の板状結晶の厚さを反映しており、厚さが100ナノメートル前後の単層膜として得られる。また、薄膜400は、配向した層状希土類水酸化物410により、高い結晶性および高い配向性を有する。
図6は、本発明の別の薄膜の詳細を模式的に示す図である。
図6は、図4の薄膜400と同様に、薄膜600が基材310上に位置する様子を示すが、薄膜600は、図4の薄膜400と、薄膜400上のさらなる薄膜610とからなる点で、薄膜400とは異なる。
薄膜600は、図4の薄膜400と、その上に、互いに重なることなく、一様に配向した板状結晶様の層状希土類水酸化物620からなる薄膜610とからなる。ここで、層状希土類水酸化物620は、前記層状希土類水酸化物100と同様である。ここでもやはり、層状希土類水酸化物620は、薄膜400に対して垂直であるc軸配向([001])している。
したがって、薄膜600は、全体として基材310に対してc軸配向した膜であり、高い結晶性および高い配向性を有する。このように、本発明の薄膜600は、層状希土類水酸化物が多層(410、620)になっていてもよい。また、層状希土類水酸化物410と層状希土類水酸化物620とは、同一の材料であってもよいし、異なっていてもよい。また、多層の層数は2層に限定されるものではなく、用途に応じた膜厚を達成できれば、何層であってもよい。
このように、c軸配向した層状希土類水酸化物410、620が一様に配列した薄膜は、配向膜であり、かつ、高い結晶性を有するため、ランダム配向な粉体状の層状希土類水酸化物100に比べて、光学特性および磁気特性等をより効率的に発現させることができる。
(薄膜の製造方法)
次に、本発明による薄膜300、400、600の製造方法を説明する。
図7は、本発明の薄膜を製造するステップを示すフローチャートである。
図8は、本発明の薄膜を製造するステップを模式的に示す図である。
ステップS710:層状希土類水酸化物100を水に分散させた分散液に第1の溶媒を添加し、これにより、分散液中の水と第1の溶媒との界面を形成する。第1の溶媒は、ヘキサンまたはトルエンのいずれかである。これらの第1の溶媒の比重は、水のそれよりも軽いため、下層部に水、および、上層部に第1の溶媒となるように分液される。層状希土類水酸化物100は、実施の形態1で説明した層状希土類水酸化物と同様であるため説明を省略する。
ステップS710は、図8の状態(A)から開始する。状態(A)は、容器内に層状希土類水酸化物100を水に分散させた分散液の様子を示す。状態(A)にステップS710を行うと、状態(B)となる。状態(B)は、下層部800に水、および、上層部810に第1の溶媒が分液されており、界面820が形成されている様子を示す。層状希土類水酸化物100は、下層部800に位置する。
ステップS720:第2の溶媒830をさらに添加する(図8の状態(B))。これにより、層状希土類水酸化物100が、ステップS710で形成した界面820にトラップされる(図8の状態(C))。第2の溶媒830は、アルコール類であれば任意であるが、汎用性および取扱の容易性の観点から、エタノール、プロパノール、ブタノールが好ましい。本発明者は、層状希土類水酸化物100が、界面820に対してランダムに配向するのではなく、c軸配向するようにトラップされることを見出した。これは、層状希土類水酸化物100の板状結晶がその2次元異方性ゆえに、板状結晶面を界面に平行に配列することがもっとも安定した配向であるからである。また表面張力、結晶表面の電荷反発などの関係から板状結晶同士が重なりあうことがなく、自己組織化的にモノレイヤーとして配列する。
ステップS730:第1の溶媒を除去する。図8の状態(C)において上層部810の第1の溶媒を除去すると、状態(D)となる。
ステップS740:ステップS730で得られた分散液に基材310(図1)を浸漬させ、界面820にトラップされた層状希土類水酸化物100を基材310に移す(図8の状態(E))。トラップされた層状希土類水酸化物100は、界面820に対してc軸配向しているが、基材310を引上げる際も、層状希土類水酸化物100は、基材310に対してc軸配向を維持したまま基材310に移される。このようにして基材310上に、c軸配向し、一様に配列した層状希土類水酸化物100からなる薄膜300(図3)、400(図4)が得られる。
なお、ステップS740を2回繰り返すことによって、層状希土類水酸化物100が積層された薄膜600(図6)が得られるが、ステップS740の回数は、所望の膜厚に応じて、任意である。
以上説明したように、本発明による薄膜の製造方法は、溶媒の界面に層状希土類水酸化物をトラップさせるだけで、界面に板状結晶の層状希土類水酸化物がc軸配向する。このような界面にトラップされた層状希土類水酸化物を基材に移すので、極めて簡便に薄膜が製造できるとともに、大面積化も容易である。製造条件は極めてマイルドであるため、安価に製造できる。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
実施例1〜12および14は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHOにおいて、REがGdであり、MがEuであり、ZがClであり、mが1である場合に、REとMとの各種固溶比を有する層状希土類水酸化物に関する。比較例1および2は、それぞれ、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHOにおいて、REがEuおよびGdであり、ZがClであり、mが1であり、Mを含有しない層状希土類水酸化物に関する。また、実施例13は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHOにおいて、REがYであり、MがEuであり、ZがClであり、mが1である場合に、REとMとの各種固溶比を有する層状希土類水酸化物に関する。これらの実施例および比較例を簡単のため表1にまとめる。
REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、4.85mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、0.15mM)と、HMT(5mM)と、NaCl(65mM)とを1000mlの超純水に溶解させ、最終濃度を75mMの混合水溶液を調製した(図2のステップS210)。なお、ここで、REの塩およびMの塩が6つの水分子を有するが、これらは吸湿性であるため、環境によって6〜7の間で変動することが分かっている。以降の実施例においても同様に取り扱う。このようにして得られた混合水溶液のpHは、約6であった。次いで、混合水溶液をマグネチックスターラで攪拌し、窒素ガス中において還流温度(約100℃)で7時間、加熱した。これにより、HMTを分解させた(図2のステップS210)。このとき混合水溶液のpHは、約8まで上昇していた。これらの操作は、窒素フロー下にて、還流冷却器を備えた二口フラスコを用いて行った。
7時間後、混合溶液中に白い流線が観察された。これは、異方性形状の結晶が形成されたことを示唆する。次いで、生成物をろ過し、水とエタノールとで数回洗浄した後、大気中、湿度70%、室温にて乾燥させた。
X線回折により生成物の構造評価を行い、生成物が目的とする層状希土類水酸化物であることを確認した。X線回折は、Cu対陰極(Cu−Kα線)(λ=1.5405Å)を備えたRigaku Rint−2000回折計で測定した。結果を図9に示す。
次に、このようにして得られた層状希土類水酸化物を薄膜化した。実施例1の層状希土類水酸化物(20mg)を超純水(ミリQ水)(40mL)に分散させ、分散液を調整した。この分散液に第1の溶媒としてヘキサン(10mL)を添加し、ヘキサンと水との界面を生成した(図7のステップS710)。
次いで、第2の溶媒として2−プロパノール(1.5mL)を、0.6mL/分の速度でさらに添加した(図7のステップS720)。これにより、実施例1の層状希土類水酸化物は、界面にトラップされた。
シリンジを用いて、第1の溶媒のヘキサンを除去した(図7のステップS730)。基材として石英基板およびSi基板を分散液に浸漬させ、それらにトラップされた層状希土類水酸化物を移した(図7のステップS740)。なお、石英基板およびSi基板を、予め、1/1 HCl/CHOH溶液、次いで、濃HSOにそれぞれ30分間浸漬させ、洗浄した。
得られた薄膜を、エタノール中で、数秒間超音波(42kHz、90W)処理し、板状結晶が重なって累積された部分から重なった結晶を除去し、モノレイヤー化した。その後、大気中、湿度70%、室温にて3〜5時間乾燥させた。
実施例1の薄膜の発光特性について調べた。室温における励起スペクトルおよび発光スペクトルを、蛍光分光光度計(Hitachi F−7000)を用いてフォトルミネッセンス(PL)法により測定した。測定は、700Vにおいて、モニタリング波長615nmおよび励起波長273nmで行った。測定結果を図27および図28に示し、詳述する。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、4.75mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、0.25mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例1と同様にXRDを測定した。結果を図9に示す。
また、実施例2の生成物について化学分析を行った。GdおよびEuの含量を、ICP(誘導結合プラズマ)原子発光分析(Seiko SPS1700 HVR)により測定した。測定用の試料として、秤量後の生成物を溶解させた塩酸水溶液を用いた。秤量後の生成物中のOHの含量を、0.1Mの標準NaCOを用いて逆滴定により求めた。測定用の試料として、秤量後の生成物を溶解させた0.1Mの標準HSOを用いた。さらに、生成物中のClの含量を、LC−8020イオンクロマトグラフィシステムによって測定した。生成物中の炭素および水の質量を、LECO RC−412C, HOアナライザによって測定した。これらの結果を表2に示す。
次いで、実施例2で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。実施例2の薄膜について、XRD回折を行った。結果を図14に示す。実施例2の薄膜の表面のモルフォロジを、走査型電子顕微鏡SEM(Keyence、VE8800)を用いて観察した。観察は、加速度10kVで行った。結果を図16および図17に示す。さらに、実施例2の薄膜について、実施例1と同様にPLスペクトルを測定した。結果を図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、4.65mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、0.35mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例1と同様に、XRDを測定した。結果を図9に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、4.5mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、0.5mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例1と同様に、XRDを測定し、化学分析を行った。結果を図9および表2に示す。図9のXRDパターンに見られる回折ピークから、図5に模式的に示される結晶構造のa軸長およびb軸長をそれぞれ算出した。結果を図10および図11に示す。
次いで、実施例4で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図18、図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、4.0mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、1.0mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。
次いで、実施例5で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図19、図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、3.5mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、1.5mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。さらに生成物の化学分析およびSEMによる観察を行った。結果を表2および図12に示す。
次いで、実施例6で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてSEMによる観察を行った。それらの結果を図20に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、3.0mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、2.0mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。
次いで、実施例7で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図21、図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、2.5mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、2.5mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。さらに、得られた生成物について化学分析を行った。結果を表2に示す。
次いで、実施例8で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてSEMによる観察を行った。それらの結果を図22に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、2.0mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、3.0mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。
次いで、実施例9で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図23、図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、1.5mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、3.5mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。さらに、得られた生成物について化学分析を行った。結果を表2に示す。
次いで、実施例10で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてSEMによる観察を行った。それらの結果を図24に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、1.0mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、4.0mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。さらに生成物のモルフォロジをSEMにより観察した。結果を図13に示す。
次いで、実施例11で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図25、図27および図28に示す。
実施例1において、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、0.5mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、4.5mM)とを用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。さらに、得られた生成物について化学分析を行った。結果を表2に示す。
次いで、実施例12で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてSEMによる観察を行った。結果を図26に示す。
比較例1
実施例1において、Mの塩を用いることなく、REの塩としてGdCl・6HO(>99.99%、5.0mM)を用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。
次いで、比較例1で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜について、SEMによる観察、および、PLスペクトル測定を行った。それらの結果を図15、図27および図28に示す。
比較例2
実施例1において、Mの塩を用いることなく、REの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、5.0mM)を用いた以外は、実施例1と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例4と同様に、XRDを測定し、格子定数(a軸長およびb軸長)を求めた。結果を図9〜11に示す。
次いで、比較例2で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてPLスペクトル測定を行った。結果を図27および図28に示す。
実施例2において、REの塩としてYCl・6HO(>99.99%、4.75mM)と、Mの塩としてEuCl・6HO(>99.99%、0.25mM)とを用いた以外は、実施例2と同様の手順によって目的とする層状希土類水酸化物を得た。得られた生成物について、実施例1と同様にXRDを測定した。結果を図29に示す。
次いで、実施例13で得られた層状希土類水酸化物を、実施例1と同様の手順によって、薄膜化した。得られた薄膜についてSEMによる観察を行った。結果を図30に示す。
以上の実施例1、2〜13および比較例1〜2では、図7のステップS740を1回行った単層構造の層状希土類水酸化物からなる薄膜について説明してきた。次に、実施例2で得られた層状希土類水酸化物を用いて、積層構造の層状希土類水酸化物からなる薄膜を作製した。具体的には、実施例2において、図7のステップS740を2回および3回行った。2層の層状希土類水酸化物からなる薄膜(2層の薄膜と称する)と3層の層状希土類水酸化物からなる薄膜(3層の薄膜と称する)とについて、XRD回折およびSEMによる観察を行った。結果を図31〜図33に示す。
以上、実施例1〜14および比較例1〜2の結果を説明する。
表2に実施例2、4、6、8、10および12の化学分析の結果を示す。
表2には、各元素の化学分析の結果、および、その値から算出される各実施例の層状希土類水酸化物の組成式を示す。表2に示されるように、RE(ここではGd)およびM(ここではEu)の固溶比は、仕込み組成に一致し、目的の固溶比が達成されたことを確認した。なお、組成式において炭酸イオンが示されるが、これは、均一沈殿法において発生した二酸化炭素がZである塩素イオンの一部と置換したためである。このことは、本発明の層状希土類水酸化物がアニオン交換能を有することに起因する。また、水酸基の数が、いずれも2.38〜2.40の範囲となり、目的の水酸基のそれ(2.5)とはわずかなずれを示したが、これも、炭酸イオンの影響に起因するため、無視できる。水分子の個数から、上式におけるxの値は、6〜8を満たすことを確認した。
図9は、実施例1〜12および比較例1〜2の層状希土類水酸化物のXRDパターンを示すグラフである。
図9から、すべての実施例の回折ピークは、比較例1および2の回折ピークに一致した。このことから、実施例1〜12で得られた層状希土類水酸化物は、比較例1および2と同様に単純斜方格子であることが分かった。さらに、実施例1〜12のいずれの回折パターンも、第二相の異相を示すピークを示さなかった。このことは、REがGdであり、MがEuである層状希土類水酸化物において、すべての固溶比において固溶していることが示唆される。また、比較例1、実施例1〜12、次いで、比較例2へ、すなわち、層状希土類水酸化物の機能サイトがGd単体から、GdとEuとの固溶体、次いで、Eu単体へと変化するにつれて、回折ピークが低角度側にシフトした(例えば、001ピーク参照)。これは、層状希土類水酸化物の機能サイトが固溶状態になることによって、格子定数が変化したことを示唆する。
図10は、a軸長の固溶比依存性を示すグラフである。
図11は、b軸長の固溶比依存性を示すグラフである。
図9の回折ピークに基づいて、a軸長およびb軸長の精密化を行った。図10および図11において、Gd/(Gd+Eu)=1.0が比較例1に相当し、Gd/(Gd+Eu)=0.0が比較例2に相当する。Gd/(Gd+Eu)=0.9〜0.1は、それぞれ、実施例4〜12に相当する。
図10および図11から、a軸長およびb軸長もいずれも、層状希土類水酸化物の機能サイトがGd単体から、GdとEuとの固溶体、Eu単体へと変化するにつれて、線形に増大することが分かった。このことは、図9の回折ピークが低角度側へシフトすることに一致する。このような格子定数の線形の変化は、Vegard則が成り立つことを示しており、Gd単体の層状希土類水酸化物と、Eu単体の層状希土類水酸化物との間において、GdとEuとは完全固溶することを示す。
図12は、実施例6の層状希土類水酸化物のSEM像を示す写真である。
図13は、実施例11の層状希土類水酸化物のSEM像を示す写真である。
図12および図13より、本発明の層状希土類水酸化物は、板状結晶であることを確認した。その大きさは、数マイクロメートルの大きさであった。固溶比にかかわらず、本発明の層状希土類水酸化物は、板状結晶の様態を維持することが分かった。
表2および図9〜図13より、図2を参照して説明した方法によって、本発明のREとMとが固溶し、板状結晶様の層状希土類水酸化物が得られることが示された。
図14は、実施例2の層状希土類水酸化物のXRDパターンa、および、それを薄膜化した薄膜のXRDパターンbを示すグラフである。
図14のXRDパターンaは、図9の実施例2のXRDパターンと同一である。XRDパターンbによれば、XRDパターンaとは異なり、00l(l=1、2、3、4、5、6)の回折ピークのみを示し、薄膜が良好にc軸配向していることを確認した。このことから、図7および図8を参照して説明した方法によって、本発明の層状希土類水酸化物がc軸配向した薄膜が得られることが示された。
図15は、比較例1の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図16は、実施例2の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図17は、実施例2の層状希土類水酸化物からなる薄膜の別のSEM像を示す写真である。
図18は、実施例4の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図19は、実施例5の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図20は、実施例6の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図21は、実施例7の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図22は、実施例8の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図23は、実施例9の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図24は、実施例10の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図25は、実施例11の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図26は、実施例12の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図15〜図26によれば、薄膜は、いずれも、板状結晶の層状希土類水酸化物がほぼ重なることなく、均一に配列して構成されている様子が分かる。図15と図16〜図26とを比較すると、Gd単体であっても、GdとEuとの固溶体であっても、モルフォロジに大きな変化がないことが分かった。このことは、材料設計時にモルフォロジの影響を考慮する必要がないので、有利である。また、図16の挿入図に示すように、本発明の薄膜は白濁することなく透明であった。さらに、石英基板全体にわたって均一に薄膜が形成されており、大面積化も可能であることが示唆される。
図27は、実施例1、2、4、5、7、9、11、および、比較例1〜2の励起スペクトルを示すグラフである。
図28は、図27の発光スペクトルを示すグラフである。
図27には、発光モニタリング波長が615nmにおける励起スペクトルを示す。図27によれば、励起スペクトルが、GdとEuとの固溶比に依存していることが示される。比較例1の励起スペクトルによれば、波長273nmにブロードなピークをわずかながら示すものの、非常に強度が低いことが分かった。また、実施例1〜11へとEuの固溶量が増大する(Gdの固溶量が減少する)につれ、波長273nmにおけるシャープなピークは、その強度が低減するとともに、ブロードになった。一方、実施例1〜11へとEuの固溶量が増大する(Gdの固溶量が減少する)につれ、波長393nmにおけるピークは、その強度が増大するとともに、シャープになった。比較例2の励起スペクトルによれば、波長273nmにおけるピークは消失し、波長393nmにおおけるピークが主ピークとなった。これら実施例1〜11および比較例2の励起スペクトルに見られる一連のピークは、Eu3+の4fの電子配置内における殻内遷移4fに起因する。
GdとEuとの固溶量に依存した、励起波長の主ピーク(波長273nmおよび波長393nm)の変化から、実施例1〜11では、直接励起および間接励起が混在していることが示される。すなわち、比較例2の励起スペクトルを参照すれば、波長393nmのピークは、Euの直接励起を示す。一方、実施例1〜11の励起スペクトルを参照すれば、波長273nmのピークは、ホストに吸収された励起エネルギーがEuへと伝わる間接励起を示す。これより、励起波長を273nmとして発光スペクトルを測定した。
図28によれば、図27と同様に、発光スペクトルが、GdとEuとの固溶比に依存していることが示される。比較例1および2では、波長700nmおよび615nm近傍にわずかながら発光ピークを示すものの、顕著な発光ピークは観察されず、波長273nmの励起では発光特性を有さないことを確認した。実施例1〜11の発光スペクトルは、いずれも、波長579.8nm、595.2nm、615.4nm、651.2nmおよび701.1nmに発光ピークを有する。このことから、励起波長273nmの間接励起により、実施例1〜11の層状希土類水酸化物におけるEuの発光が確認された。
実施例1〜5の発光スペクトルは、いずれも同様の発光スペクトルを示した。特に、波長701.0nmにおける発光ピークの強度が高く、実施例1〜5の薄膜は、紫外線励起により赤色発光する発光材料として機能することが分かった。すなわち、機能サイトがGdである層状希土類水酸化物をホストとして、機能サイトに固溶したEuは発光中心として機能することが分かった。
なお、実施例7〜11へとさらにEuの固溶量が増大する(Gdの固溶量が減少する)につれ、発光ピークの強度は低減した。これは、Euの固溶量が高く、濃度消光しているためである。これより、REがGdであり、MがEuである層状希土類水酸化物を蛍光材料として使用する場合には、発光強度および輝度からEuの固溶量は20mol%以下が好ましいことが分かった。
なお、図28では、波長273nmの間接励起による発光スペクトルが示されるが、波長393nmの直接励起によって同様の発光スペクトルを示す。すなわち、GdとEuとが固溶した本発明の層状希土類水酸化物は、励起波長の選択性があり、励起源の自由度が高い。また、直接励起および間接励起を同時に発生させ、高輝度発光を実現してもよい。
図29は、実施例13の層状希土類水酸化物のXRDパターンを示すグラフである。
図29のXRDパターンは、図9のそれらと同様のXRDパターンであった。このことから、実施例13で得られた層状希土類水酸化物は、単純斜方格子であることが分かった。さらに、実施例13の回折パターンも、第二相の異相を示すピークを示さなかった。このことは、REがYであり、MがEuである層状希土類水酸化物において、YとEuとが完全に固溶していることが示唆される。
図30は、実施例13の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図30は、実施例13の薄膜が、図15〜図26と同様に、板状結晶の層状希土類水酸化物がほぼ重なることなく、均一に配列して構成されている様子を示す。板状結晶の大きさは、長手方向に約4μm、短手方向に約2μmの矩形であり、実施例1〜12と同様であった。実施例1〜12のGdとEuとの固溶体であっても、実施例13のYとEuとの固溶体であっても、モルフォロジに大きな変化がないことが分かった。このようにモルフォロジの固溶元素依存性を有しないことは、材料設計時にモルフォロジの影響を考慮する必要がないので有利である。また、実施例13の薄膜について、PLスペクトルを測定したところ、紫外線励起により、波長600nm〜720nmの範囲に発光(赤色発光)が確認された。
図31は、実施例14の積層構造の層状希土類水酸化物からなる薄膜のXRDパターンを示すグラフである。
図31には、参考のため、図14で示した実施例2の層状希土類水酸化物の単層薄膜のXRDパターンも併せて示す。図31に示されるように、2層の薄膜のXRDパターンも、3層の薄膜のXRDパターンも、単層構造の薄膜のそれに一致し、c軸配向していることが分かった。
図32は、実施例14の2層の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図33は、実施例14の3層の層状希土類水酸化物からなる薄膜のSEM像を示す写真である。
図32および図33によれば、2層の薄膜および3層の薄膜は、いずれも、板状結晶の層状希土類水酸化物が積層されて、均一に配列して構成されている様子が分かる。また、そのモルフォロジに大きな変化はなかった。以上の結果から、図7のステップS740を複数回行っても、層状希土類水酸化物がc軸配向した薄膜が得られ、特性に影響がないことが確認された。このことは、膜厚制御を容易に達成できるので、材料設計に有利である。さらに、多層化することにより発光特性および磁気特性を増大できる。
本発明による層状希土類水酸化物は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO(6<x<8)で表される。機能サイト(R)には、REとMとが固溶するので、用途・特性に合わせた材料設計を可能にする。本発明の層状希土類水酸化物は、カウンターアニオンを有する層状物質に基づくアニオン交換材料、REまたはMに基づく発光材料・磁性材料、および、これらを組み合わせた材料に、さらにはそれら材料を利用したデバイスに利用可能である。
100、410、620 層状希土類水酸化物
110 [(R)(OH)20(HO)4+
120 中間層Zm−
300、400、600、610 薄膜
310 基材
800 下層部
810 上層部
820 界面
830 第2の溶媒
F. Gengら, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130(48), 16344−16350 L. Huら, Chem. Commun., 2008, 4897−4899

Claims (13)

  1. 層状希土類水酸化物を母体とし、これにM元素が固溶した層状希土類水酸化物からなる発光材料であって、
    前記層状希土類水酸化物は、式(R)(OH)2.50.5/m・0.125xHO((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表され、前記(R)はRE元素(REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素)であり、
    前記機能サイトに発光中心であるM元素(Mは、前記REとは異なる前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択される元素)が固溶している、発光材料。
  2. 請求項1に記載の発光材料において、前記層状希土類水酸化物は、正に帯電した[(R)(OH)20(HO)4+層(6<x<8)と、負に帯電した陰イオンからなる中間層Zm−との積層構造であることを特徴とする、発光材料
  3. 請求項1に記載の発光材料において、前記層状希土類水酸化物は板状結晶であることを特徴とする、発光材料
  4. 請求項1に記載の発光材料において、前記ZはClであることを特徴とする、発光材料
  5. 請求項1に記載の発光材料において、前記REおよび前記Mは、それぞれ、GdまたはY、および、Euであることを特徴とする、発光材料
  6. 複数の層状希土類水酸化物からなる薄膜であって、
    前記複数の層状希土類水酸化物は、式(R)(OH) 2.5 0.5/m ・0.125xH O((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされ、前記(R)には、RE元素(以下REと記す。)と、前記REとは異なるM元素(以下Mと記す。)とが固溶されており、前記REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素であり、前記Mは、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素であり、
    前記複数の層状希土類水酸化物のそれぞれは、配向した板状結晶であることを特徴とする、薄膜。
  7. 前記複数の層状希土類水酸化物のそれぞれは、c軸配向した板状結晶であるり、前記薄膜はc軸配向している、請求項6に記載の薄膜。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の層状希土類水酸化物からなる発光材料を製造する方法であって、
    REの塩(前記REは3価の希土類元素群から選択された1つの元素である)と、Mの塩(前記Mは、前記REと異なり、かつ、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素である)とを、pH調整剤を含有する混合水溶液に投入して、REの塩および前記Mの塩を加水分解して、水溶液中にREとMとが固溶した層状希土類水酸化物からなる発光材料を生成することを特徴とする、方法。
  9. 請求項8に記載の方法において、前記混合水溶液には、前記pH調整剤として、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)または尿素が含有されてなることを特徴とする方法。
  10. 請求項8又は9に記載の方法において、前記混合水溶液のpHが8〜10に調整されていることを特徴とする方法。
  11. 請求項8から10のいずれかに記載の方法において、前記REの塩および前記Mの塩は、塩化物であることを特徴とする、方法。
  12. 請求項8から10のいずれかに記載の方法において、前記REおよび前記Mは、それぞれ、GdまたはY、および、Euであることを特徴とする、方法。
  13. 請求項6に記載の薄膜を製造する方法であって、
    式(R)(OH) 2.5 0.5/m ・0.125xH O((R)は機能サイト、Zは陰イオン、mはZの価数、6<x<8)で表わされる層状希土類水酸化物であって、前記(R)には、RE元素(以下REと記す。)と前記REとは異なるM元素(以下Mと記す。)とが固溶されいて、前記REは、3価の希土類元素群から選択された1つの元素であり、前記Mは、前記3価の希土類元素群および3価の金属元素群から選択された元素である、層状希土類水酸化物を水に分散させた分散液に、ヘキサンまたはトルエンのいずれかである第1の溶媒を添加し、前記分散液中の水と前記第1の溶媒との界面を形成するステップと、
    アルコール類である第2の溶媒をさらに添加し、前記界面に前記層状希土類水酸化物をトラップさせるステップと、
    前記第1の溶媒を除去するステップと、
    前記第2の溶媒が添加され、前記第1の溶媒が除去された前記分散液に前記基材を浸漬させ、前記トラップされた層状希土類水酸化物を前記基材に移すステップと
    からなることを特徴とする、方法。
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