JP5370646B2 - 感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法 - Google Patents
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Description
このような液晶セルにおいては、液晶分子を基板面に対し所定の方向に配向させるため、基板表面に液晶配向膜を設ける必要がある。この液晶配向膜は、通常、基板表面に形成された有機膜表面をレーヨン等の布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。しかし、液晶配向膜の形成をラビング処理により行うと、工程内でほこりや静電気が発生し易いため、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが困難となりつつある。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリイミド、アゾベンゼン誘導体等の感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現することができる(特許文献3〜13参照)。
前記光配向法は、垂直配向モードの液晶セルにおいて液晶分子の傾き方向を制御する方法としても有用であることが知られている。すなわち、光配向法により配向規制能およびプレチルト角発現性を付与した垂直配向性の液晶配向膜を用いることにより、電圧印加時の液晶分子の傾き方向を均一に制御できることが知られている(特許文献11〜12および14〜16参照)。
このように、光配向法により製造した液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に有効に適用されうるものである。しかしながら、従来の光配向膜には、大きなプレチルト角を得るのに必要な放射線照射量が多いという問題があった。例えば、アゾベンゼン誘導体を含有する薄膜に光配向法によって液晶配向能を付与する場合、十分なプレチルト角を得るためにはその光軸が基板法線から傾斜された放射線を10,000J/m2以上照射しなければならないことが報告されている(特許文献13〜14および非特許文献1参照)。また、これらの技術により形成された液晶配向膜は、形成当初は良好なプレチルト角を示したとしても、経時的にプレチルト角発現性が失われる現象が起こり、プレチルト角の経時的安定性に欠けることが指摘されている。
下記式(1)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種と、
下記式(2)
で表される基であり、R2はフッ素原子またはシアノ基であり、bは0〜4の整数であり、Zはハロゲン原子であるか、または炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルスルホネート基もしくは炭素数6〜10のアリール基を有するアリールスルホネート基であり、ただし、前記アルキルスルホネート基の有するアルキル基はフッ素原子で置換されていてもよい。)
で表される化合物と
を、パラジウム化合物またはパラジウム錯体の存在下に反応させる、感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法によって達成される。
上記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という。)とを、パラジウム化合物またはパラジウム錯体の存在下に反応させることを特徴とする。
<(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサン>
上記式(1)において、Rとしては水素原子が好ましい。式(1)中のnは、1〜6の整数であることが好ましく、特に1〜3であることが好ましい。
Y1の炭素数1〜10のアルコキシル基としては、例えばメトキシル基、エトキシル基等を;
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等を;
炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基等を、それぞれ挙げることができる。
(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、500〜100,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましく、さらに1,000〜5,000であることが好ましい。
このような(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、好ましくは(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物、あるいは(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との混合物を、好ましくは適当な有機溶媒、水および触媒の存在下において加水分解または加水分解・縮合することにより合成することができる。
上記他のシラン化合物としては、例えばテトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、トリクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−i−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリクロロシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリエトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、
本発明に用いられる(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンにおける(メタ)アクリロキシ基の含有率は、0.1〜10mmol/gであることが好ましく、1〜7.5mmol/gであることがより好ましい。従って、(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成するにあたっては、(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物と他のシラン化合物との使用割合を、得られるポリオルガノシロキサンにおける(メタ)アクリロキシ基の含有率が、上記の範囲になるように調節して設定することが好ましい。
(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成するにあたって使用することのできる有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール等を挙げることができる。
上記ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等を;
上記エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル等を;
上記エーテルとしては、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を;
上記アルコールとしては、例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち非水溶性のものが好ましい。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の使用量は、全シラン化合物100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部、より好ましくは50〜1,000重量部である。
(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを製造する際の水の使用量は、全シラン化合物に対して、好ましくは0.5〜100倍モル、より好ましくは1〜30倍モルである。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等を挙げることができる。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミン等を、それぞれ挙げることができる。これらの有機塩基のうち、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンの如き3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンが好ましい。
(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを製造する際の触媒としては、アルカリ金属化合物または有機塩基が好ましい。
触媒としてアルカリ金属化合物または有機塩基を用いて合成された(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを用いて製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤は、保存安定性が極めて優れるため好都合である。その理由は、非特許文献4(Chemical Reviews、95巻、p1409(1995年))に指摘されているように、加水分解、縮合反応において触媒としてアルカリ金属化合物または有機塩基を用いると、ランダム構造、はしご型構造またはかご型構造が形成され、シラノール基の含有割合が少ないポリオルガノシロキサンが得られるためではないかと推察される。シラノール基の含有割合が少ないため、シラノール基同士の縮合反応が抑えられ、さらに上記の液晶配向剤が他の重合体を含有するものである場合にはシラノール基と他の重合体との縮合反応が抑えられるため、保存安定性に優れる結果になるものと推察される。
触媒としては、特に有機塩基が好ましい。有機塩基の使用割合は、有機塩基の種類、温度等の反応条件等により異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えば全シラン化合物に対して好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
加水分解・縮合反応の際は、加熱温度を好ましくは130℃以下、より好ましくは40〜100℃として、好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜8時間加熱することが望ましい。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下に置いてもよい。
反応終了後、反応液から分取した有機溶媒層を水で洗浄することが好ましい。この洗浄に際しては、少量の塩を含む水、例えば0.2重量%程度の硝酸アンモニウム水溶液等を用いて洗浄することにより、容易に洗浄操作を行えることとなる点で好ましい。洗浄は洗浄後の水層が中性になるまで行い、その後有機溶媒層を、必要に応じて無水硫酸カルシウム、モレキュラーシーブス等の適当な乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とする(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。
本発明においては、(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンとして市販されているものを用いてもよい。このような市販品としては、例えばAC−SQ、MC−SQ(いずれも東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
本発明の感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法に用いられる化合物(2)は、上記式(2)で表される化合物である。
上記式(2)におけるR1は、上記式(R1−1)で表される基である。
上記式(R1−1)におけるRIの炭素数1〜40のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることがより好ましい。このアルキル基は直鎖のアルキル基であることが好ましく、このアルキル基が有する水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよい。このような基の例としては、例えばn−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフロロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基等を挙げることができる。
R1の脂環式基もしくは縮合環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基としては、例えばコレステニル基、コレスタニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
RIIIの2価の脂環式基としては、例えば1,4-シクロへキシレン基等を;
RIIIの2価の複素環式基としては、例えば1,4−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、1,4−フラニレン基等を;
RIIIの2価の縮合環式基としては、例えばナフチレン基等を、それぞれ挙げることができる。
aは、0または1であることが好ましい。
bは、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
Zのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を;
炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルスルホネート基、ただしこのアルキルスルホネート基の有するアルキル基はフッ素原子下置換されていてもよい、としては、例えばメチルスルホネート基、エチルスルホネート基、トリフルオロメチルスルホネート基等を;
炭素数6〜10のアリール基を有するアリールスルホネート基としては、例えばフェニル基、p−トリル基等を、それぞれ挙げることができる。上記式(2)におけるZとしては、上記のうち臭素原子、ヨウ素原子、メチルスルフォニル基、トリフルオロメチルスルフォニル基またはp−トリルスルフォニル基が好ましい。
化合物(2)の好ましい例として、例えば下記式(2−1)〜(2−9)
のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
本発明の方法における化合物(2)の使用割合は、(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンの(メタ)アクリロキシ基1モルに対して、好ましくは0.001〜1.5モルであり、より好ましくは0.01〜1モルであり、さらに好ましくは0.05〜0.9モルである。
<パラジウム化合物またはパラジウム錯体>
本発明においては、パラジウム化合物またはパラジウム錯体として、2価のパラジウム化合物または0価のパラジウム錯体を使用することが好ましく、2価のパラジウム化合物を使用することがより好ましく、特に酢酸パラジウムを使用することが好ましい。
本発明において、パラジウム化合物またはパラジウム錯体としては、2価のパラジウム化合物を使用する場合、これとともに、リン原子を有する化合物および塩基よりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることが好ましい。リン原子を有する化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等を;
塩基としては、例えばトリエチルアミン、炭酸カリウム等を、それぞれ挙げることができる。パラジウム化合物またはパラジウム錯体として、2価のパラジウム化合物を使用する場合、これとともに、リン原子を有する化合物および塩基の双方を共存させることがより好ましい。
本発明の方法におけるパラジウム化合物またはパラジウム錯体の使用割合は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.0005〜1モルであり、より好ましくは0.005〜0.1モルである。リン原子を有する化合物を併用する場合、その使用割合は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは0.001〜1モルであり、より好ましくは0.01〜0.5モルである。塩基を使用する場合、その使用割合は、化合物(2)の1モルに対して、好ましくは1モル〜100モルであり、より好ましくは2〜10モルである。
本発明の感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法は、上記の如き(メタ)アクリロキシ基を有するポリオルガノシロキサンと化合物(2)とを、上記の如きパラジウム化合物またはパラジウム錯体の存在下に、好ましくは適当な有機溶媒中で反応させることを特徴とする。この反応は、一般に「Heck反応」と呼ばれる反応を応用したものである。
本発明の方法に使用することのできる有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル等を挙げることができる。溶媒の使用割合は、化合物(2)の100重量部に対して、5,000重量部以下であることが好ましく、200〜2,000重量部であることがより好ましい。
反応温度は、好ましくは20〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜48時間であり、より好ましくは0.5〜12時間である。
<感放射線性ポリオルガノシロキサン>
本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)
で表される構造を有する。この構造は、放射線を照射することにより、放射線の偏光方向に応じて容易に異性化するため、該感放射線性ポリオルガノシロキサンは、光配向法に用いられる液晶配向剤の成分として、好適に使用することができる。
以下、本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンを用いて製造される液晶配向剤の好ましい態様について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<液晶配向剤>
本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤は、該感放射線性ポリオルガノシロキサンを主成分として含有するものであるが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
かかるその他の成分としては、例えば本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサン以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤、界面活性剤等を挙げることができる。
[他の重合体]
上記他の重合体としては、例えば例えばポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、下記式(4)
で表されるポリシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「他のポリシロキサン」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
他の重合体としては、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、または他のポリシロキサンが好ましい。
−ポリアミック酸−
上記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
上記テトラカルボン酸としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができ、これらの具体例として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等を挙げることができる。
ポリアミック酸の合成反応(上記の如きテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応)は、好ましくは適当な有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜10時間行われる。
上記ポリイミドは、上記の如くして得られたポリアミック酸の有するアミック酸構造を脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行うことができる。
上記(i)の方法は、例えば50〜200℃の温度において、例えば0.5〜48時間加熱することにより行うことができる。
上記(ii)の方法における脱水剤の例としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を;
脱水閉環触媒の例としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミン等を、それぞれ挙げることができる。この脱水閉環反応は、例えば0〜180℃の温度において、例えば0.5〜20時間行われる。
上記他のポリシロキサンは、例えばアルコキシシラン化合物およびハロゲン化シラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(以下、「原料シラン化合物」ともいう。)を、好ましくは適当な有機溶媒中で、水および触媒の存在下において加水分解または加水分解・縮合することにより製造することができる。
ここで使用される原料シラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等を挙げることができる。
他のポリシロキサンの合成に際して使用できる触媒としては、例えば金属キレート化合物、有機酸、無機酸等を挙げることができる。
他のポリシロキサンの製造は、例えば0〜100℃の温度において、例えば0.5〜24時間行われる。
上記エポキシ化合物としては、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン等を、好ましいものとして挙げることができる。
[液晶配向剤]
本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤は、感放射線性ポリオルガノシロキサンおよび必要に応じて使用される他の成分を含有するものであるが、好ましくは各成分が有機溶媒に溶解された溶液状の組成物として調製される。液晶配向剤の固形分濃度、すなわち液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の重量が液晶配向剤の全重量に占める割合は、粘性、揮発性等を考慮して、採用する塗布方法に応じて適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
次に、上記の如き液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する方法いついて述べる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えばパターン状の透明導電膜が設けられた透明基板上に上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する方法を挙げることができる。
塗布は、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法等の適宜の塗布方法により行う。塗布後、塗布面を予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより塗膜を形成することができる。プレベーク条件は、例えば40〜120℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、例えば120〜300℃において5〜200分である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
次いで、前記塗膜に直線偏光もしくは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する。ここで、放射線としては、例えば150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300nm〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m2以上10,000J/m2未満であり、より好ましくは10〜3,000J/m2である。なお、本発明の方法により製造された感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤は、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m2以下、さらに1,000J/m2以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する利点を有する。
上記のようにして形成された液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に好適に適用することができる。液晶表示素子の製造は、上記のようにして形成された液晶配向膜を有する基板を用いて、公知の方法により行うことができる。
以下の実施例において重量平均分子量は、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
なお、以下の実施例においては、原料化合物および重合体の合成を下記の合成スケールで必要に応じて繰り返すことにより、以降の実施例における必要量を確保した。
<化合物(2)の合成例>
合成例1(化合物(2−4−1)の合成)
下記スキーム1
1Lのナス型フラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸メチル91.3g、炭酸カリウム182.4gおよびN−メチル−2−ピロリドン320mLを仕込み、室温で1時間撹拌を行った後、4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタン99.7gを加え100℃で5時間撹拌した。反応終了後、水により再沈殿を行った。得られた沈殿に、水酸化ナトリウム48gおよび水400mLを加え、3時間還流して加水分解反応を行った。反応終了後、反応混合物に塩酸を加えて中和し、生じた沈殿をエタノールから再結晶することにより、化合物(2−4−1A)の白色結晶を102g得た。
この化合物(2−4−1A)のうちの23gを反応容器中にとり、これに塩化チオニル200mLおよびN,N−ジメチルホルムアミド144μLを加えて80℃で1時間撹拌した。次に、減圧下で塩化チオニルを留去し、塩化メチレンを加えて得た有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した後、テトラヒドロフランを加えて溶液とした。
次に、上記とは別の500mL三口フラスコに4−ブロモフェノール19g、トリエチルアミン11gおよびテトラヒドロフラン100mLを仕込んだ。この溶液を氷冷し、上記テトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下し、さらに室温で2時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層に対して水で3回分液洗浄を行った。続いて有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮、乾固した後、エタノールから再結晶することにより、化合物(2−4−1)を28g得た。
<感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造>
実施例S−1
窒素導入管、温度計および還流管を備えた500mLの三口フラスコにAC−SQ(東亞合成(株)製)16.5g、下記式(2−9−1)
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−1)につき1H−NMR分析を行ったところ、原料であるAC−SQが有していたアクリロキシ基のうち38mol%が反応し、化合物(2−9−1)に由来する基に変換されていることを確認した。
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−1)の重量平均分子量Mwは6,200であった。
実施例S−1において、化合物(2−9−1)の代わりに上記合成例1で得た化合物(2−4−1)を16.5g用いた以外は実施例S−1と同様の操作を行うことにより、感放射性ポリオルガノシロキサン(S−2)を16g得た。
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−2)につき1H−NMR分析を行ったところ、原料であるAC−SQが有していたアクリロキシ基のうち33mol%が反応し、化合物(2−4−1)に由来する基に変換されていることを確認した。
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−2)の重量平均分子量Mwは6,600であった。
実施例S−3
実施例S−1において、化合物(2−9−1)の代わりに上記合成例1で得た化合物(2−4−1)を33g用いた以外は実施例S−1と同様の操作を行うことにより、感放射性ポリオルガノシロキサン(S−3)を18g得た。
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−3)につき1H−NMR分析を行ったところ、原料であるAC−SQが有していたアクリロキシ基のうち48mol%が反応し、化合物(2−4−1)に由来する基に変換されていることを確認した。
この感放射性ポリオルガノシロキサン(S−3)の重量平均分子量Mwは7,500であった。
[ポリアミック酸の合成]
合成例PA−1
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物109g(0.50モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)ならびにジアミンとして4,4−ジアミノジフェニルエーテル200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,290gに溶解し、40℃で3時間反応させた後、N−メチル−2−ピロリドン1,350gを追加することにより、ポリアミック酸(PA−1)を10重量%含有する溶液約4,000gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は210mPa・sであった。
合成例PA−2
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4g(0.1モル)およびジアミンとしてシクロヘキサンビス(メチルアミン)14.23g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン329.3gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥することにより、ポリアミック酸(PA−2)を32g得た。
合成例PA−3
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,050gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PA−3)を10重量%含有する溶液約3,700gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は170mPa・sであった。
合成例PI−1
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン95g(0.88モル)、2,2−ジトリフルオロメチルー4,4−ジアミノビフェニル32g(0.10モル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン6.4g(0.010モル)およびオクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン4.0g(0.015モル)をN−メチル−2−ピロリドン960gに溶解し、60℃で9時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は58mPa・sであった。
得られたポリアミック酸溶液に、N−メチル−2−ピロリドン2,740g、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加し、110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作により、脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約95%のポリイミド(PI−1)を15重量%含有する溶液約2,500gを得た。
このポリイミド溶液を少量分取し、減圧にて溶媒を除去した後γ−ブチロラクトンに溶解して重合体濃度8.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は33mPa・sであった。
合成例PI−2
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20.9g(0.093モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン9.2g(0.085モル)および下記式(D−6)
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン7.4gおよび無水酢酸9.5gを添加し110℃で4時間脱水閉環を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約54%のポリイミド(PI−2)を16.1重量%含有する溶液約220gを得た。
このポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は75mPa・sであった。
合成例PS−1
冷却管を備えた200mLの三口フラスコに、テトラエトキシシラン20.8gおよび1−エトキシ−2−プロパノール28.2gを仕込み、60℃に加熱し攪拌した。ここに、容量20mLの別のフラスコに調製した、無水マレイン酸0.26gを水10.8gに溶解した無水マレイン酸水溶液を加え、60℃でさらに4時間加熱、攪拌して反応を行った。得られた反応混合物から溶剤を留去し、1−エトキシ−2−プロパノールを加えて、再度濃縮することにより、ポリオルガノシロキサン(PS−1)を10重量%含有する重合体溶液を得た。PS−1の重量平均分子量Mwは5,100であった。
<液晶配向剤の調製>
他の重合体として上記合成例PA−1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液を、これに含有されるポリアミック酸(PA−1)に換算して1,000重量部に相当する量をとり、ここに上記実施例S−1で得た感放射線性ポリオルガノシロキサン(S−1)100重量部を加え、さらにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加えて、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(A−1)を調製した。
この液晶配向剤(A−1)を−15℃で6か月間保管した。保管の前および後に25℃においてE型粘度計により粘度を測定した。溶液粘度の保管前後の変化率が10%未満のものを保存安定性「良」、10%以上のものを保存安定性「不良」として評価したところ、液晶配向剤(A−1)の保存安定性は「良」であった。
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、上記で調製した液晶配向剤(A−1)をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で200℃で1時間加熱(ポストベーク)して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いでこの塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/m2を、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向膜とした。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を1対(2枚)作成した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、1対の基板の液晶配向膜面を対向させ、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の光軸の基板面への射影方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより液晶表示素子を製造した。
この液晶表示素子につき、以下の方法により評価した。評価結果は表2に示した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を光学顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合を「良」とした。
(2)プレチルト角の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vol. 19, p2013(1980)に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によりプレチルト角を測定した。
(3)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
(4)プレチルト角の安定性の評価
上記で製造した液晶表示素子を23℃にて30日間保管した後、再度プレチルト角を測定した。初期からの変化量が1°未満であった場合、プレチルト角安定性が「良」であるとした。
上記実施例S−1で得た感放射線性ポリオルガノシロキサン(S−1)の100重量部と、他の重合体として上記合成例PA−2で得たポリアミック酸(PA−2)の1,000重量部とを合わせ、これにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(A−2)を調製した。
この液晶配向剤につき、実施例A−1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1および表2に示した。
実施例A−3〜A−6、A−8〜A−10、A−12およびA−14〜A−16
実施例A−1において、他の重合体を含有する溶液として表1に示した種類および量の重合体を含有する溶液を使用し、感放射線性ポリオルガノシロキサンとして表1に示した種類のものを各100重量部使用したほかは、それぞれ上記実施例A−1と同様にして液晶配向剤を調製し、各種の評価を行った。評価結果は表1および表2に示した。
実施例A−7およびA−13
実施例A−2において、感放射線性ポリオルガノシロキサンとして表1に示した種類のものを各100重量部使用したほかは、それぞれ上記実施例A−2と同様にして液晶配向剤を調製した。これらの液晶配向剤をそれぞれ用いて上記実施例A−1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1および表2に示した。
実施例A−11
他の重合体として、上記合成例PS−1で得た他のポリシロキサン(PS−1)を含有する溶液を、これに含有されるポリシロキサン(PS−1)に換算して2,000重量部に相当する量をとり、ここに上記実施例S−1で得た感放射線性ポリオルガノシロキサン(S−1)の100重量部を加え、さらに1−エトキシ−2−プロパノールを加えて固形分濃度4.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤(A−7)を調製した。
この液晶配向剤につき、実施例A−1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1および表2に示した。
Claims (3)
- 下記式(1)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種と、
下記式(2)
で表される基であり、R2はフッ素原子またはシアノ基であり、bは0〜4の整数であり、Zはハロゲン原子であるか、または炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルスルホネート基もしくは炭素数6〜10のアリール基を有するアリールスルホネート基であり、ただし、前記アルキルスルホネート基の有するアルキル基はフッ素原子で置換されていてもよい。)
で表される化合物と
を、パラジウム化合物またはパラジウム錯体の存在下に反応させることを特徴とする、感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記感放射線性ポリオルガノシロキサンが、液晶配向剤に用いられるものである、請求項1または2に記載の感放射線性ポリオルガノシロキサンの製造方法。
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