JP5370022B2 - 低サイクル疲労特性の推定方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明は、表面性状による影響を考慮して低サイクル域での疲労強度を推定することが可能な低サイクル疲労特性の推定方法及び装置に関するものである。
機械加工や表面処理によって、機械部品の表面に形成される加工層(表面加工硬化層)は、その部位の疲労強度に著しい影響を与えることが知られている。
なお、材料に繰返し負荷を加えると、静的な破壊強度よりも十分小さい場合でも、ある繰返し数の後に材料内に割れが発生し、成長して破壊に至ることがあり、この現象を疲労という。また、材料に作用した応力またはひずみ(疲労強度S)と、破断繰返し数Nfとの間には、図3に示すような関係があり、図3の線図をS−N線図と呼ぶ。特に、低サイクル域にて、ひずみ範囲Δεtと破断繰り返し数Nfとの間に両対数で直線関係がある。
一般に、疲労試験では、このような表面性状の影響を除くために、作製した試験片の表面を研磨し、表面性状の荒れがほとんどない試験片を用いて試験を行う場合が多い。しかし、表面性状の荒れがほとんどない試験片を用いて得たS−N線図を、表面性状に荒れのある実際の機械部品にそのまま適用したとしても、当該機械部品の疲労強度を精度よく評価することはできない。
機械加工によって疲労強度に影響を与える因子(疲労強度に影響を与える表面性状の因子)としては、一般に、表面の凹凸(以下、表面粗さという)、表面加工硬化層の硬さ(以下、表面硬さという)、表面残留応力が挙げられる。
従来、これらの表面性状の因子から疲労強度を評価する方法は、いくつか提案されてきた。
例えば、非特許文献1では、表面粗さ、表面硬さ、表面残留応力等を考慮して、評価対象となる機械部品の疲労限を予測する方法が提案されている。なお、一般に、107サイクルまで繰返し負荷を加えても破壊を生じなかったときの応力を、疲労限と呼ぶ。
また、非特許文献2では、表面粗さ、表面硬さ、表面残留応力等を考慮して、割れ(き裂)がどのように進展するかを予測し、疲労強度を予測する方法が提案されている。
村上敬宜、小林幹和、牧野泰三、鳥山寿之、栗原義明、高崎惣一、江原隆一郎、「ばね鋼の疲労強度に影響を及ぼす介在物、ショットピーニング、脱炭層、微小表面ピットの総合的評価」、ばね論文集、39号、1994年、pp.7−16
高橋文雄、丹下彰、小野芳樹、安藤柱、「ばね鋼の切欠き疲労強度予測」、ばね論文集、No.5、2006年、pp.9−16
ところで、疲労強度(疲労寿命)を考慮した設計では、疲労限となる107サイクルよりも短い低サイクル域(例えば、104サイクル)での疲労強度の評価が必要となる場合がある。なお、104サイクル程度までの繰返し数で生じる疲労現象を、低サイクル疲労と呼ぶ。
しかし、非特許文献1では、疲労限(107サイクルでの疲労強度)のみを対象とした評価法であるため、このような低サイクル域での疲労強度を評価することはできない。
また、非特許文献2では、割れ(き裂)が最初からある状態での評価法であるため、低サイクル域での疲労強度を十分に評価することはできない。
このように、従来の評価法には適用限界があり、低サイクル疲労特性を十分に評価できないという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、表面性状による影響を考慮して低サイクル域での疲労強度を推定することが可能な低サイクル疲労特性の推定方法及び装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法であって、複数の異なる機械加工法を用いて、前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を作製し、前記複数の機械加工法ごとに、前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定すると共に、前記複数の試験片を用いて疲労試験を行い、該疲労試験の結果から、ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成し、作成した各S−N線図から、下式(1)
Δεt=ANf B ・・・(1)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(2),(3)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(2)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(3)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(2),(3)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(1)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法である。
Δεt=ANf B ・・・(1)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(2),(3)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(2)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(3)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(2),(3)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(1)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法である。
本発明は、機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法であって、複数の異なる機械加工法を用いて、前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を作製し、前記複数の機械加工法ごとに、前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定すると共に、
前記複数の試験片を用いて疲労試験を行い、該疲労試験の結果から、応力範囲Δσと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成し、作成した各S−N線図から、下式(4)
Δσ=ANf B ・・・(4)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(5),(6)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(5)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(6)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(5),(6)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(4)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法である。
前記複数の試験片を用いて疲労試験を行い、該疲労試験の結果から、応力範囲Δσと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成し、作成した各S−N線図から、下式(4)
Δσ=ANf B ・・・(4)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(5),(6)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(5)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(6)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(5),(6)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(4)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法である。
また、本発明は、機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定装置であって、複数の異なる機械加工法を用いて作製された前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を用い、前記複数の機械加工法ごとに測定した前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力するための表面性状入力部と、前記複数の試験片を用いて行った疲労試験の結果から、ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成するS−N線図作成部と、該S−N線図作成部で作成した各S−N線図から、下式(7)
Δεt=ANf B ・・・(7)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(8),(9)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(8)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(9)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(8),(9)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(7)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えた低サイクル疲労特性の推定装置である。
Δεt=ANf B ・・・(7)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(8),(9)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(8)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(9)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(8),(9)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(7)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えた低サイクル疲労特性の推定装置である。
本発明は、機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定装置であって、複数の異なる機械加工法を用いて作製された前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を用い、前記複数の機械加工法ごとに測定した前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力するための表面性状入力部と、前記複数の試験片を用いて行った疲労試験の結果から、応力範囲Δσと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成するS−N線図作成部と、該S−N線図作成部で作成した各S−N線図から、下式(10)
Δσ=ANf B ・・・(10)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(11),(12)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(11)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(12)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(11),(12)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(10)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えた低サイクル疲労特性の推定装置である。
Δσ=ANf B ・・・(10)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(11),(12)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(11)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(12)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(11),(12)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(10)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えた低サイクル疲労特性の推定装置である。
本発明によれば、表面性状による影響を考慮して低サイクル域での疲労強度を推定することが可能な低サイクル疲労特性の推定方法及び装置を提供できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
まず、本実施の形態に係る低サイクル疲労特性の推定方法に用いる、低サイクル疲労特性の推定装置について説明する。なお、本明細書において、低サイクル域とは、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域、すなわち、S−N線図に傾きがある領域のことをいう。
図1に示すように、低サイクル疲労特性の推定装置1は、入力部2、分析部3、評価部4、出力部5の各部を備えている。
入力部2は、表面性状入力部6と、疲労試験結果入力部7と、対象部品表面性状入力部8とからなる。
本実施の形態では、予め、複数の異なる機械加工法(あるいは表面加工法)を用いて、評価対象となる機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を作製しておき、作製した試験片の表面性状および疲労試験の結果を、機械加工法ごとに、表面性状入力部6、疲労試験結果入力部7にそれぞれ入力するようにしている。
より具体的には、表面性状入力部6には、機械加工法ごとに、試験片の表面性状を示す表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresが入力され、疲労試験結果入力部7には、機械加工法ごとに、疲労試験の結果(ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nf)が入力される。表面性状入力部6に入力する表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとしては、例えば、機械加工法ごとの平均値を入力するようにすればよい。なお、試験片を作製する際の機械加工法は、特に限定されず、任意の機械加工法(例えば、ショットピーニングや研削加工)を用いればよい。
対象部品表面性状入力部8には、評価対象となる機械部品の表面性状、すなわち、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresが入力される。
分析部3は、S−N線図作成部9と、近似式演算部10と、分析パラメータ記憶部11と、重回帰分析部12と、分析結果記憶部13とからなる。
S−N線図作成部9は、疲労試験結果入力部7で入力された疲労試験の結果(ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nf)に基づき、機械加工法ごとに、ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を作成する。
近似式演算部10は、S−N線図作成部9で作成した機械加工法ごとのS−N線図から、下式(13)
Δεt=ANf B ・・・(13)
で表される近似式を算出して、式(13)における定数A,Bを機械加工法ごとに求める。なお、定数Aは、S−N線図の切片、定数BはS−N線図の傾きを表している。
Δεt=ANf B ・・・(13)
で表される近似式を算出して、式(13)における定数A,Bを機械加工法ごとに求める。なお、定数Aは、S−N線図の切片、定数BはS−N線図の傾きを表している。
分析パラメータ記憶部11は、重回帰分析部12で用いる分析パラメータとして、近似式演算部10で求めた定数A,Bと、表面性状入力部6に入力された表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとを、機械加工法ごとに関連づけて記憶する。
重回帰分析部12は、分析パラメータ記憶部11に記憶された機械加工法ごとの分析パラメータに基づき、定数A,Bと表面性状(表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σres)との関係を、重回帰分析により算出する。
より具体的には、重回帰分析部12は、定数A,Bと表面性状(表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σres)との関係を下式(14),(15)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(14)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(15)
で表される線形関係と仮定して、分析パラメータ記憶部11に記憶された分析パラメータを用いて、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める。なお、定数A,Bはそれぞれ独立しているため、定数A,Bそれぞれについて個別に重回帰分析を行う。
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(14)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(15)
で表される線形関係と仮定して、分析パラメータ記憶部11に記憶された分析パラメータを用いて、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める。なお、定数A,Bはそれぞれ独立しているため、定数A,Bそれぞれについて個別に重回帰分析を行う。
分析結果記憶部13は、重回帰分析部12で求めた定数A1〜A4、B1〜B4を記憶する。
評価部4は、対象部品S−N線図作成部14と、疲労強度推定部15とからなる。
対象部品S−N線図作成部14は、対象部品表面性状入力部8に入力された評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、分析結果記憶部13に記憶された定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、上述の式(14),(15)を用いて定数A,Bを求めると共に、求めたA,Bを上述の式(13)に代入して、評価対象となる機械部品のS−N線図を求める。
疲労強度推定部15は、対象部品S−N線図作成部14で求めたS−N線図を用いて、評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度(例えば、104サイクルにおける疲労強度(ここではひずみ範囲Δεt))を推定する。
出力部5は、疲労強度推定部15で推定した評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を、モニターなどの表示器に出力する評価結果出力部16からなる。
次に、本実施の形態に係る低サイクル疲労特性の推定方法を、低サイクル疲労特性の推定装置1の動作と共に説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係る低サイクル疲労特性の推定方法では、まず、評価対象となる機械部品を模した試験片を作成する(ステップS1)。
本実施の形態では、異なる表面性状の試験片を作成するために、複数の異なる機械加工法を用いて、複数の試験片を作成するようにした。つまり、本実施の形態では、機械加工法ごとに、複数の試験片を作成した。
試験片を作製した後、作製した試験片の表面性状データ、すなわち、表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを取得する(ステップS2)。本実施の形態では、機械加工法ごとに、試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresの平均値をそれぞれ算出し、算出した平均値を表面性状入力部6に入力するようにした。
表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定する方法については、特に限定しないが、表面粗さRaは、例えば、触針式あるいは光学式の表面粗さ計を用いて測定することができ、表面残留応力σresは、例えば、ひずみゲージ法や、X線応力測定、バルクハウゼン法などにより測定することができる。
また、本実施の形態では、表面硬さHvとして、ビッカース硬さを用いているが、これに限定されない。ビッカース硬さは、例えば、圧子を材料に押込み、荷重を除いた後の圧痕の大きさを測定することにより求めることができる。
各試験片の表面性状データを取得した後、疲労試験を実施する(ステップS3)。本実施の形態では、疲労試験にて各試験片のひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfを測定し、機械加工法ごとにまとめて、疲労試験結果入力部7に入力するようにした。
疲労試験結果入力部7に各試験片のひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfを入力すると、S−N線図作成部9は、入力されたデータに基づき、機械加工法ごとにS−N線図を作成する(ステップS4)。
機械加工法ごとにS−N線図を作成した後、近似式演算部10は、S−N線図作成部9が作成したS−N線図に基づき、S−N線図の近似式(上述の式(7))を算出し、定数A,Bを機械加工法ごとに求める(ステップS5)。S−N線図の縦軸のひずみ範囲Δεt、および横軸の破断繰返し数Nfを、両対数のグラフ表示すると、上述の式(13)で表されるS−N線図の近似式を算出できる。
近似式演算部10が算出した定数A,Bは、表面性状入力部6に入力された表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと関連づけられ、機械加工法ごとに分析パラメータとして分析パラメータ記憶部11に記憶される。
その後、重回帰分析部12は、分析パラメータ記憶部11に記憶された分析パラメータ(定数A,B、表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σres)に基づき、上述の式(14),(15)を用いて重回帰分析を行い、定数A1〜A4、B1〜B4を求める(ステップS6)。これにより、定数A,Bと、表面性状の関係が得られる。重回帰分析部12で求めた定数A1〜A4、B1〜B4は、分析結果記憶部13に記憶される。
定数A1〜A4、B1〜B4を求めた後、対象部品S−N線図作成部14は、評価対象となる機械部品のS−N線図を推定する(ステップS7)。
具体的には、まず、評価対象となる機械部品の表面性状データ、すなわち、表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、測定した表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを対象部品表面性状入力部8に入力する。すると、対象部品S−N線図作成部14は、対象部品表面性状入力部8に入力された各入力値と、分析結果記憶部13に記憶された定数A1〜A4、B1〜B4とを、上述の式(14),(15)に代入して定数A,Bを求め、さらに、求めた定数A,Bを上述の式(13)に代入して近似式を求めることで、評価対象となる機械部品のS−N線図を推定する。
評価対象となる機械部品のS−N線図を推定することにより、任意のサイクル数(破断繰返し数)における疲労強度(ここではひずみ範囲Δεt)を推定することが可能となる。なお、式(13)の近似式は疲労限を考慮しない式であるため、本発明は、疲労強度が疲労限以上となる領域(S−N線図に傾きがある領域)、すなわち低サイクル域での疲労強度を評価する際に好適である。
疲労強度を評価する際は、疲労強度推定部15が、対象部品S−N線図作成部14で求めたS−N線図を用いて、評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度(例えば、104サイクルにおける疲労強度)を推定する。疲労強度推定部15で推定した評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度は、評価結果出力部16を介してモニターなどの表示器に出力される。
なお、ステップ6にて求めた定数A1〜A4、B1〜B4は、評価対象となる機械部品の形状・材質が同じであれば同じ値となるため、同じ形状・材質の機械部品の疲労強度を評価する際には、ステップS1〜S6を省略し、ステップS7のみ行うようにすればよい。つまり、一度定数A1〜A4、B1〜B4を求めておけば、同じ形状・材質の機械部品であれば、その機械部品の表面性状(表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σres)を測定するのみで、S−N線図を推定し、低サイクル域での疲労強度を推定することが可能になる。
以上説明したように、本実施の形態に係る低サイクル疲労特性の推定方法では、複数の異なる機械加工法を用いて表面性状の異なる複数の試験片を作製し、各試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定すると共に、疲労試験の結果からS−N線図を機械加工法ごとに作成して、作成した各S−N線図から、下式(16)
Δεt=ANf B ・・・(16)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(17),(18)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(17)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(18)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、式(17),(18)により定数A,Bを算出すると共に、式(16)で表される近似式を用いて評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定している。
Δεt=ANf B ・・・(16)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、求めた各定数A,Bと、対応する試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(17),(18)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(17)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(18)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、式(17),(18)により定数A,Bを算出すると共に、式(16)で表される近似式を用いて評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、求めたS−N線図を用いて評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定している。
つまり、本実施の形態では、機械加工によって生じた表面性状と疲労特性との関係を統計処理することで定式化している。これにより、得られた関係式を用いて、低サイクル域での疲労強度評価を行うことが可能となる。
すなわち、重回帰分析により定数A,Bと表面性状(表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σres)の関係(定数A1〜A4、B1〜B4)を求めることで、評価対象となる機械部品の表面性状からS−N線図を推定することが可能となり、表面性状による影響を考慮した低サイクル域での疲労強度を推定することが可能となる。
上記実施の形態では、機械加工法ごとに、試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresの平均値をそれぞれ算出し、算出した平均値を表面性状入力部6に入力するようにしたが、これに限らず、例えば、測定した表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresの統計処理を実施して確率分布を演算し、所定の確率における表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresの値を用いるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、下式(19)
Δεt=ANf B ・・・(19)
を用いた評価、すなわちひずみを用いた評価について説明したが、応力を用いて評価することも可能である。ひずみ範囲Δεtと応力範囲Δσとは、下式(20)
Δσ=E・Δεt ・・・(20)
但し、E:弾性係数
で表される関係があることから、式(19)は下式(21)
Δσ=ANf B ・・・(21)
のように表すこともできる。式(21)は、S−N線図の縦軸をひずみ範囲Δεtに代えて応力範囲Δσとしたときの近似式である。なお、式(21)における定数Aは、式(19)における定数Aに弾性係数Eを乗じた値となる。式(19)に代えて式(21)を用いることで、応力を用いた評価を行うことが可能になる。
Δεt=ANf B ・・・(19)
を用いた評価、すなわちひずみを用いた評価について説明したが、応力を用いて評価することも可能である。ひずみ範囲Δεtと応力範囲Δσとは、下式(20)
Δσ=E・Δεt ・・・(20)
但し、E:弾性係数
で表される関係があることから、式(19)は下式(21)
Δσ=ANf B ・・・(21)
のように表すこともできる。式(21)は、S−N線図の縦軸をひずみ範囲Δεtに代えて応力範囲Δσとしたときの近似式である。なお、式(21)における定数Aは、式(19)における定数Aに弾性係数Eを乗じた値となる。式(19)に代えて式(21)を用いることで、応力を用いた評価を行うことが可能になる。
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得ることは勿論である。
1 低サイクル疲労特性の推定装置
2 入力部
3 分析部
4 評価部
5 出力部
6 表面性状入力部
7 疲労試験結果入力部
8 対象部品表面性状入力部
9 S−N線図作成部
10 近似式演算部
11 分析パラメータ記憶部
12 重回帰分析部
13 分析結果記憶部
14 対象部品S−N線図作成部
15 疲労強度推定部
16 評価結果出力部
2 入力部
3 分析部
4 評価部
5 出力部
6 表面性状入力部
7 疲労試験結果入力部
8 対象部品表面性状入力部
9 S−N線図作成部
10 近似式演算部
11 分析パラメータ記憶部
12 重回帰分析部
13 分析結果記憶部
14 対象部品S−N線図作成部
15 疲労強度推定部
16 評価結果出力部
Claims (4)
- 機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法であって、
複数の異なる機械加工法を用いて、前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を作製し、
前記複数の機械加工法ごとに、前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定すると共に、
前記複数の試験片を用いて疲労試験を行い、該疲労試験の結果から、ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成し、
作成した各S−N線図から、下式(1)
Δεt=ANf B ・・・(1)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、
求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(2),(3)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(2)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(3)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、
他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、
測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(2),(3)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(1)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、
求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定することを特徴とする低サイクル疲労特性の推定方法。 - 機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定方法であって、
複数の異なる機械加工法を用いて、前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を作製し、
前記複数の機械加工法ごとに、前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定すると共に、
前記複数の試験片を用いて疲労試験を行い、該疲労試験の結果から、応力範囲Δσと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成し、
作成した各S−N線図から、下式(4)
Δσ=ANf B ・・・(4)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求め、
求めた各定数A,Bと、対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(5),(6)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(5)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(6)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求めておき、
他方、評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを測定し、
測定した前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析により求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(5),(6)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(4)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求め、
求めたS−N線図を用いて前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定することを特徴とする低サイクル疲労特性の推定方法。 - 機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定装置であって、
複数の異なる機械加工法を用いて作製された前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を用い、
前記複数の機械加工法ごとに測定した前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力するための表面性状入力部と、
前記複数の試験片を用いて行った疲労試験の結果から、ひずみ範囲Δεtと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成するS−N線図作成部と、
該S−N線図作成部で作成した各S−N線図から、下式(7)
Δεt=ANf B ・・・(7)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、
該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(8),(9)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(8)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(9)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、
評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、
該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(8),(9)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(7)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、
該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えたことを特徴とする低サイクル疲労特性の推定装置。 - 機械部品の表面性状から、疲労限となるサイクル数よりも低いサイクル数の領域である低サイクル域での疲労強度を推定する低サイクル疲労特性の推定装置であって、
複数の異なる機械加工法を用いて作製された前記機械部品を模した表面性状の異なる複数の試験片を用い、
前記複数の機械加工法ごとに測定した前記複数の試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力するための表面性状入力部と、
前記複数の試験片を用いて行った疲労試験の結果から、応力範囲Δσと破断繰返し数Nfとの関係であるS−N線図を前記複数の機械加工法ごとに作成するS−N線図作成部と、
該S−N線図作成部で作成した各S−N線図から、下式(10)
Δσ=ANf B ・・・(10)
で表される近似式を算出して、定数A,Bをそれぞれ求める近似式演算部と、
該近似式演算部で求めた各定数A,Bと、前記表面性状入力部に入力された対応する前記試験片の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresとの関係を、下式(11),(12)
A=A1+A2σres+A3Ra+A4Hv ・・・(11)
B=B1+B2σres+B3Ra+B4Hv ・・・(12)
で表される線形関係と仮定して、重回帰分析により定数A1〜A4、B1〜B4を求める重回帰分析部と、
評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresを入力する対象部品表面性状入力部と、
該対象部品表面性状入力部に入力された前記評価対象となる機械部品の表面粗さRa、表面硬さHv、表面残留応力σresと、前記重回帰分析部で求めた定数A1〜A4、B1〜B4とに基づき、前記式(11),(12)により定数A,Bを算出すると共に、前記式(10)で表される近似式を用いて前記評価対象となる機械部品のS−N線図を求める対象部品S−N線図作成部と、
該対象部品S−N線図作成部で求めたS−N線図を用いて、前記評価対象となる機械部品の低サイクル域での疲労強度を推定する疲労強度推定部とを備えたことを特徴とする低サイクル疲労特性の推定装置。
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