JP5369828B2 - 下衣 - Google Patents

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Description

本発明はヒップアップ効果のある下衣に関する。
従来、伸縮性の高い身体にフィットした下衣、例えばパンツやスカートをはく時、あるいは反対に身体から離れたルーズフィットなパンツやスカートをはくと、履き心地は楽で良いが、シルエットがあまりきれいではなかった。特に脇部や尻部を押さえないため、体型が表に出たり、下着のラインが表に映り美観を損なうことが多かった。また、パンツの下にガードルなどの補正下着を着けることにより、体型を整えることは可能であったが、それらは締め付け感が強く着用快適性に劣るものであった。これらの問題を解決するため、昨今、パンツやスカートの裏に伸縮性裏地を縫い付け、体型補整を狙ったものが多く出てきた。
一方、従来の技術として、前後身頃裏に股布を吊り下げたパンツやスカート(特許文献1参照)、裏に矯正用ガードルを縫い付けたパンツやスカート(特許文献2参照)、パワーネットや非伸縮性素材でできた裏地を筒状に表身頃の裏側に縫い付けたパンツやスカート(特許文献3、4、5参照)、表身頃の裏側のヒップ部分と内股部分にパワーネットを縫着したスラックス(特許文献6)等が提案されている。
特開平8−296103号公報 特開平9−59808号公報 実用新案登録第2031392号公報 実開平6−76319号公報 特開平9−3714号公報 特開2004−332153号公報
しかしながら、特許文献1の前後身頃裏に股布を吊り下げたパンツやスカートは、腹部に対応する箇所に伸縮性を有する素材の腹部布を表布のウエスト部分に縫着させるもので腹部を押さえる効果はあるが、ヒップを持ち上げる効果はなかった。また、特許文献2の矯正用ガードルを内側に縫いつけたパンツやスカートは、ガードルをはいているのと全く同じで窮屈感が解消されるものではなかった。
一方、特許文献3、4、5には、パワーネットや非伸縮性素材でできた裏地を筒状に表身頃の裏側に縫い付けたパンツやスカートが記載されているが、これらは身体の周長を押さえ込み体型を補正するのみで、ヒップを持ち上げる効果はなかった。さらに特許文献6には、身頃の裏側のヒップ部分と内股部分にパワーネットを縫着したスラックスが提案されており、ヒップを持ち上げる効果は期待できるが、この構造を実現するためにはポケット布を付設することが必須でデザインの制約があった。
また、市場で販売されている補整布付き下衣のうち、後身頃のみ、前身頃のみに裏地を脇で縫着しているものを着用したところ、縫着している箇所が引きつれて、美観を損なうという欠点があったし、前後全周裏地を縫着しているものは、ガードルをはいているのと変わらず窮屈で着脱しにくいものであった。
そこで、本発明の目的はかかる従来技術の欠点を改良し、見た目も通常の下衣と変わらず、ヒップアップ効果があり、着用快適性に優れた下衣を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のパンツは以下の構成からなる。
「前開きを有する下衣の前立て身返し布に、幅2.5cm〜10cmのシック布の一端が縫着され、前記シック布の他端が後身頃ウエストラインのみで縫着されたヒップ部から脇線を通り前身頃の一部を被う裏地にのみ縫着し、裏地には、後身頃のヒップライン下から前身頃に向かい斜め上方に傾斜した帯状のヒップアップ別布が付設されたことを特徴とする下衣。」

本発明により、見た目も通常の下衣と変わらず、ヒップアップ効果があり、さらに脇部もシェイプすることのできる着用快適性に優れた下衣を得ることができる。特に淡色や白色の下衣、また生地厚さの薄い下衣を着用する時、下着のラインやシルエットが表に映らず、透け防止の効果もある。
本発明の下衣の一態様を表面からみた後身頃と前身頃の図である。 本発明の下衣の一態様を表面からみた後身頃と前身頃の図である。 本発明の下衣の一態様を裏返して裏面からみた前身頃と後身頃の図である。 本発明の下衣の一態様を裏返して裏面からみた前身頃と後身頃の図である。 本発明の下衣で使用する裏地の拡大図である。 裏地3とシック布7、前開き部分の拡大図である。 裏地とシック布7の股部に付けた係止具9、10でシック布7を離接合させる部分の図である。 裏地とシック布7の股部に付けた係止具9、10でシック布7を離接合させる部分の図である。
以下、図面に示す一形態を参照しつつ、本発明の下衣を詳細に説明する。
図1、図2は、本発明の下衣の一態様を表面からみた後身頃と前身頃の図であり、図3、図4は、本発明の下衣の一態様を裏返して裏面からみた前身頃と後身頃の図、図5は本発明の下衣で使用する裏地の拡大図、図6は裏地3とシック布7、前開き部分の拡大図、図7、図8は裏地とシック布7の股部に付けた係止具9、10でシック布7を離接合させる部分の図である。
本発明の下衣は、図2に示すようにファスナーやボタンなどで前開き部を有するパンツやスカートの裏に、図3、図5および図6に示すように前立て身返し布6に幅2.5cm〜10cmのシック布7の一端が縫着されて前開きの下から内股に向かい垂直方向に延び、他端が後身頃1のヒップ部から脇線4を通り前身頃2の一部を被う裏地3と縫着または係止具より着脱可能とされたものである。シック布とは、ズボンの股部に縫い付ける補強のための布切れをいう(1969年発行田中千代服飾辞典365頁に記載)。シック布の種類や付け方は種種あるが、本実施形態では棒シックと呼ばれる棒状のシック布を縫着している。またシック布を縫着せずに前立て身返し布6を延長して実質的なシック布の機能を果たすものとし、裏地3と縫着する態様も有り得る。シック布7の幅11は2.5cm〜10cmが好ましい。シック布7の幅とは、図6の11に示されるように裏地3と縫着または係止具より着脱される位置での幅を示す。また、シック布の長さとは、幅と垂直の方向の長さであり、シック布が前開きの下から内股に向かい垂直方向に延びる長さである。測定は、校正されたノギス等、正確な数値を測定可能なものであれば特に限定されるものではなく、裏地と縫着または係止具により係止された状態で測定する。ただし、縫着または係止具により係止されていない状態で測定しても問題ない。シック布7の幅11が2.5cmより狭くなると、裏地との縫着箇所の耐久性が低くなったり、シック布や裏地が股部に食い込んだりして着用快適性が劣る。一方シック布の幅が10cmを超えると着用した時にシワが発生し、表地にひびいて美観を損なう。より好ましくはシック布の幅が下限として3cm以上、更にこのましくは4cm以上であり、上限として7cm以下、さらに好ましくは6cm以下であると、着用快適性、耐久性の点で好ましい。
さらに詳細に述べると、裏地3は、上記シック布を用いる本発明の態様において、ウエストライン5で表地と縫着することにより、臀部を臀溝から上方およびななめ前方に向かって持ち上げることができる。また、本発明の下衣は裏地3を後身頃1から前身頃2の一部を覆うように連続した形状で設置することにより、脇の贅肉も一部引き上げ、サイドラインの締め付け効果をも期待することができる。前身頃2の一部とは、ウエストライン5で脇線より前開き部に向かって5cmから25cmのいずれかの位置まで覆うことを示す。より好ましくは10cmから20cmのいずれかの位置まで覆い、これと後身頃の股部とを曲線で結んだ形状の裏地とすると、臀部の持ち上げ効果が高く好ましい。これは後述のスカートにおいても同様である。これに対し、裏地を下衣全周に付設すると補正下着を着用していると同様に窮屈であり、着脱しにくい下衣となるので好ましくない。また、裏地を後身頃のみに付設すると、ヒップアップ効果はあるもののサイドラインの締め付け効果は全くなく全体のシルエットの美しさに劣るものとなる。
本発明の下衣は、股部を有しないスカートとしてもヒップアップ効果を期待できる。これまでスカートに機能性を付与したものは、前述したように腹部や臀部を圧迫することにより腰回りの周長を小さくしてスタイルを良くするものが多く、これらにヒップアップの機能は全くなかった。本発明の下衣は、前立て身返し布6に幅2.5cm〜10cmのシック布の一端が縫着されて前開きの下から内股に向かい垂直方向に延び、その端部に係止具A9が設置され、後身頃1のヒップ部から脇線を通り前身頃2の一部を被う裏地3の端部にも係止具B10が設置され、係止具A9と係止具B10の着脱により股部を開閉可能にすることができる。係止具の例としては、ドットボタンや面ファスナーが挙げられ、スナップを用いてもよい。この構造は従来からボディスーツと呼ばれる上半身・下半身一体型の衣服の股部に適用されている縫製仕様で、スナップで着脱容易、排泄容易になっている。
本発明のシック布7は、表地から離れて係止されていない状態で設置されていることが、身体の動きへの追随性、着用感、特にヒップアップ効果の観点で好ましい。下衣の中でも股部を有しないスカート類では裏地を表地股部に縫着する手段がないので、裏地を固定できずにヒップアップ効果を高めることはできなかったが、本発明の態様においては裏地を表地股部に縫着することが可能となる。一方、股部を有するパンツにおいてもシック布が表地から離れて裏地の他端と縫着されていることにより裏地が臀部にフィットし、例えば身体をねじる場合でも裏地が臀部から離れないためヒップアップ効果を持続することができる。
さらに開閉可能な股部に複数の係止具を付けて着脱可能とすることにより、着用者の寸法に合わせてシック布の長さを調整することができるので好ましい。
本発明の裏地には、後身頃のヒップライン下から前身頃に向かい斜め上方に傾斜した帯状のヒップアップ別布8を付設することにより、ヒップアップおよびサイドの締め付け効果を向上させることができる。なお、付設は縫着、接着、融着など、どのような方法であってもよいが、洗濯耐久性、肌触り、作業性の点から縫着が好ましい。
該帯状のヒップアップ別布8を後身頃1のヒップライン下から前身頃2に向かい斜め上方に傾斜させるにあたっては、直線状ではなく、図3、図4、図5に示すように曲線状に傾斜させることが好ましい。特に、後身頃部分はヒップのラインに合わせた曲線、具体的には図4、図5のように、後から見たときに丸みのあるW字状とすることが好ましい。
本発明で使用する表地、裏地、シック布、ヒップアップ別布にはタテまたは/およびヨコ方向に伸縮可能な織編物を用いることにより、着用感、運動機能性、身体へのフィット性、美観すべてにおいて顕著な効果を得ることができる。
伸縮可能な織編物としては、綿やウールなどの天然繊維やレーヨンなどの再生繊維、アクリル系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維などに弾性繊維(ポリウレタン繊維など)を混用したストレッチ織編物等が挙げられる。また、弾性繊維を使用しないで、例えば一方がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を主体としたポリエステルである2種類のポリエステル系重合体を繊維長さに沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維のマルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に用いたポリエステル系ストレッチ織編物を使用してもよい。
伸縮性を示す測定方法には伸長率、伸長回復率がある。伸長率は織編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、着用した時の身体の動きに追従し易く、着脱も容易である。一方、伸長回復率とは身体の動きで伸長した生地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、下衣を着用した時の型崩れが少なく、着用前後で形態変化を起こしにくい。
なお、かかる伸長率はJIS L 1096(1999年版)「一般織物生地試験方法」のA法(定速伸長法)のストリップ法に準じて測定、また、かかる伸長回復率はJIS L 1096(1999年版)「一般織物生地試験方法」のA法(繰り返し定速伸長法)のストリップ法に準じて測定したものである。なお、詳細な試験方法については後述する実施例に記載した。
本発明において、ヒップアップの効果を確認するには、下衣の表地の素材やサイズ、デザインを同一にし、裏地等の有無のみを変更した下衣を準備する。同一の着用者に下衣を着用させ、床面から腰の位置まで表示したメジャーのヨコに立たせ、体側面からカメラ、好ましくはデジタルカメラで写真撮影を行う。その後、パソコン上でヒップアップ効果や腹部締め付け効果を確認する。まず、ヒップアップ効果は、床面から臀部頂点の距離を測定する。裏地等の有無による臀部頂点の位置の違いを差寸で表すことができる。
また、部位別の衣服圧を後述する実施例に記載した方法で測定することにより、効果の有無を確認することができる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例および比較例において用いた下衣表地および裏地の品質評価は次の方法で実施した。
(測定方法)
(1)伸長率
表地及び裏地の伸長率はJIS L 1096(1999年版)「一般織物試験方法」のA法(定速伸長法)のストリップ法に準じて測定した。
すなわち、まず、5cm×30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。測定には自動記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、つかみ間隔を20cmとし、試験片のたるみや張力を除いて、試験片をつかみに固定した。引張速度20cm/minで14.7N(1.5kg)まで伸ばし、その時のつかみ間隔を測り、次の式により伸長率LA(%)を求め、3枚の平均で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100
L :つかみ間隔(mm)
L1:14.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
(2)伸長回復率
表地及び裏地の伸長回復率はJIS L 1096(1999年版)「一般織物試験方法」のA法(繰り返し定速伸長法)のストリップ法に準じて測定した。
すなわち、まず、5cm×30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。測定には自動記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、つかみ間隔を20cmとし、試験片のたるみや張力を除いて、試験片をつかみに固定した。引張速度20cm/minで別に求めた伸長率(前項LA)の値の80%まで伸ばして、1分放置した後、同じ速度で元の位置まで戻し、3分間放置する。この操作を10回繰り返した後、再び同じ速度で初荷重以上の荷重まで引き伸ばす。記録した荷重−伸長曲線から残留伸びを測り次式により伸長回復率LB(%)を求め、3枚の平均で表した。
伸長回復率LB(%)=[(Lb1−Lb)/Lb]×100
Lb :伸長率LAの80%の伸びに相当するチャート上の長さ(mm)
Lb1:10回繰り返し伸長後の残留伸びに相当するチャートの長さ(mm)
(3)臀部頂点の位置
本文中に述べたように、パンツの表地の素材やサイズ、デザインを同一にし、裏地等の有無のみを変更したパンツを準備する。同一の着用者にパンツを着用させ、床面から腰の位置まで表示したメジャーのヨコに立たせ、体側面からカメラ、好ましくはデジタルカメラで写真撮影を行いう。着用中の写真を体側面からカメラで撮影し、パソコン上で床面から臀部頂点までの距離を測定する。3回の着用−撮影−測定の平均値を求めた。
なお、臀部頂点については、体側面の画像に頭部から床面に垂直に補助線を入れ、臀部で交わる点を臀部頂点とした。
(4)衣服圧の測定
(株)エイエムアイ社製の接触圧測定器のエアパックセンサーを着用者の臀部頂点、臀溝(臀部と大腿部との境界)、脇部の合計3箇所に貼り付ける。その上にパンツを着用して静止状態30秒、前屈運動30秒時の衣服圧の変化を計測し、3回の衣服圧計測結果の平均値を求めた。パンツの素材やデザインにより変化する値であるので、全く同じ素材、サイズ、デザインのパンツを同一人物が着用し、裏地の有無による衣服圧(kPa)の差寸を求め、各箇所について表1に従い3段階評価した。
(5)審美性、着心地、肌触りの状態評価
出来上がったパンツの審美性および着用感、運動機能性および(3)のヒップアップ効果についてモニターに着用してもらい、官能評価を実施した。その評価基準を表1に示す。
モニターは年齢が20代から50代の女性10名で、着用した結果の平均点を各評価点数として示す。各評価点数の合計点数を総合評価とし、総合評価が大きいものほど優れていることを示す。
Figure 0005369828
(実施例1)
タテ糸に綿50番手双糸をヨコ糸に44デシテックスの弾性糸に綿50番手をカバーリングした糸を用い、平織物に製織、染色仕上げした。こうして得られた織物の伸度はタテ12%ヨコ28%、伸長回復率はタテ85%ヨコ65%であった。この表地を使い婦人用パンツを次の工程で縫製した。パンツの前身頃は左右の一部をファスナーで開閉できる前開き構造とし、前開きの裏には前身返し布を有し、前身返し布に幅5cm長さ10cmのシック布を縫着した。さらにポリウレタン繊維にナイロンをカバーリングした糸をラッセル編み機で編成した6コースサテンネットを裏地として、後身頃ヒップ部から脇線を通り前身頃ウエストラインに向かい斜め上方に傾斜した形状に裁断した。裏地の伸長率はタテ147%ヨコ41%、伸長回復率はタテ96%ヨコ85%であった。さらに裏地の内側に、後中心線で5cm幅、前身頃のウエストラインで8cm幅となるように漸増させ、ヒップ形状に合わせた曲線帯状のヒップアップ別布を、伸びを止めないように下糸にナイロンウーリー糸を用いて千鳥縫いミシンで縫着した。ヒップアップ別布は、伸度がタテ156%ヨコ53%、伸長回復率はタテ96%ヨコ94%のパワーネットを用いる。該ヒップアップ別布を縫着した裏地を後身頃ウエストラインと前記シック布の他端に縫着した。
この婦人用パンツの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示す。表3に示すように、該パンツはほどよい締め付け効果でヒップアップ効果があり、表から見た審美性も優れるものであった。
(実施例2)
実施例1と同様の表地を使い、次の工程で縫着して婦人用スカートを得た。スカートの前身頃は左右の一部をファスナーで開閉できる前開き構造とし、前開きの裏には前身返し布を有し、前身返し布に幅7cm長さ15cmのシック布を縫着し、シック布の他端にはスナップを4個付けた。さらに実施例1で使用したサテンネットを用いて裏地として、後身頃ヒップ部から脇線を通り前身頃ウエストラインに向かい斜め上方に傾斜した形状に裁断した。さらにヒップアップ別布として実施例1で使用したパワーネットを裏地に縫着し、該裏地を後身頃ウエストラインに縫着し、他端にスナップを2個付けた。こうして得られた婦人用スカートの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示す。表3に示すように、該スカートは締め付け効果でヒップアップ効果があり、表から見た審美性も優れるものであった。さらに、内股部分のスナップで着脱できるため、着脱容易で排泄容易であった。
(実施例3)
タテ糸に綿60番手双糸をヨコ糸に165デシテックスのPTTを用い、2/1のツイル(綾織)に製織、染色仕上げした。こうして得られた織物の伸度はタテ8%ヨコ25%、伸長回復率はタテ92%ヨコ85%であった。この表地を使い婦人用パンツを次の工程で縫製した。パンツの前身頃は左右の一部をファスナーで開閉できる前開き構造とし、前開きの裏には前身返し布を有し、前身返し布は幅3cmで内股部まで延長した。この表地の裏にポリビニルピロリドンを練り込んだポリアミド繊維とポリウレタン繊維で編成したサテンネットを裏地として、またヒップアップ別布としてパワーネットを用いて婦人用パンツを得た。サテンネットの伸度はタテ180%ヨコ104%、伸長回復率はタテ92%ヨコ94%であった。パワーネットの伸長率はタテ109%ヨコ85%、伸長回復率はタテ97%ヨコ89%であった。ヒップアップ別布は、後中心線で5cm幅、左右前端で8cm幅となるように漸増させた曲線帯状とする。該ヒップアップ別布を伸びを止めないように下糸にナイロンウーリー糸を用いて千鳥縫いミシンで裏地に縫着した。縫着した裏地を、ウエストラインに縫着し、端部を表地の前身返し布と縫着した。
こうして得られた婦人用パンツの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示した。表3に示すように、該パンツはほどよい締め付け効果でヒップアップ効果があり、表から見た審美性も優れるものであった。
(比較例1)
実施例1で用いた織物を表地に使用して婦人用パンツを縫製した。裏地およびシック布は付設しなかった。
こうして得られた婦人用パンツの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示した。表3に示すように、該パンツは締め付け効果がなく着用感、運動機能性に優れるが、身体や下着のラインが表に露出して審美性に劣る、ヒップアップ効果もないものであった。
(比較例2)
実施例1で用いた織物を表地に使用して婦人用パンツを縫製した。パンツの前身頃は左右の一部をファスナーで開閉できる前開き構造とし、前開きの裏には前身返し布を有し、前身返し布に幅2cm長さ10cmのシック布を縫着した。実施例1で用いた裏地用素材を臀部のみを覆う形状に裁断し、後身頃のウエストラインと前記シック布の他端に縫着し、さらにシック布をパンツ表地内股縫い目に縫着した。
こうして得られた婦人用パンツの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示した。表3に示すように、該パンツは臀部の締め付け効果はあるが、脇部の締め付け効果はなかった。また、シック布が表地に縫着されているため、着用時の動きに追随しにくく、着心地の悪いものであった。
(比較例3)
56デシテックスのポリエチレンテレフタレート糸100%の長繊維糸を使用して22Gの両面丸編機で編成し、通常の染色加工仕上げをして編地を得た。こうして得られた編物の伸度はタテ60%、ヨコ105%、伸長回復率はタテ85%、ヨコ81%であった。一方裏地として、伸度がタテ156%ヨコ53%、伸長回復率はタテ96%ヨコ94%のパワーネットを用い、内股を有するガードル形状に縫製し、その大きさはスカートのウエスト周長、腰部周長より5%狭くして裁断した。該ガードルと表地をウエスト部分で縫着し、ウエスト部全周に3cm巾の平ゴムを挿入して前開きのない婦人用スカートを縫製した。こうして得られた婦人用スカートの縫製仕様を表2に、縫製品を着用した時の審美性、着用感、運動機能性、ヒップアップ効果について評価をした結果を表3に示した。表3に示すように、該スカートはとても強い締め付け効果で表からの審美性は良いが、窮屈で着用感は著しく悪いものであった。また、股部に開閉機能が付いていないため、着脱しづらく、排泄時には不便なものであった。
Figure 0005369828
Figure 0005369828
本発明は、見た目が通常のパンツと変わらず、ヒップアップ効果があり、着用快適性に優れた下衣を提供することができる。
1 :後身頃表地
2 :前身頃表地
3 :裏地
4 :脇線
5 :ウエストライン
6 :前立て身返し布
7 :シック布
8 :ヒップアップ別布
9 :係止具A
10 :係止具B
11 :シック布の幅

Claims (1)

  1. 前開きを有する下衣の前立て身返し布に、幅2.5cm〜10cmのシック布の一端が縫着され、前記シック布の他端が後身頃ウエストラインのみで縫着されたヒップ部から脇線を通り前身頃の一部を被う裏地にのみ縫着し、裏地には、後身頃のヒップライン下から前身頃に向かい斜め上方に傾斜した帯状のヒップアップ別布が付設されたことを特徴とする下衣。
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