JP5368272B2 - 音響信号処理装置 - Google Patents

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本発明は、音響信号処理装置に関し、特に、複数の方向から到来する音波・振動波等を変位・振動・圧力等の物理量として検出した後、信号処理することにより予め決められた方向の音波等を抽出する音響信号処理装置に関する。
従来、音波を受信する検出器を2個近接して配置し、音の伝搬方向やその大きさを測定する場合、検出器間隔による音源の波形制限や音源方向の測定精度が低下する場合があった。このような測定精度の低下を防ぐために特許文献1には、2個の検出器で受信した信号をFFT処理し、位相情報を解析して、相関度の高い周波数帯域において、両信号の位相差の周波数に対する変化率から音源方向を算出する技術が開示されている。
また、音の伝搬方向やその大きさを測定する方法として、無指向性の検出器を2個近接して配置し、ダイポール指向特性を形成して音の伝搬方向やその大きさを測定する音響インテンシティ法がある。この音響インテンシティ法は、周波数軸上でアレイを構成する検出器(マイクロホン等)の入力信号の到達時間差を検出することにより、どの音源から到達した音であるのかを判定して、音響スペクトルの周波数成分を分離するものである。
特開2000−266832号公報
しかし、このような従来の音響インテンシティ法において、対象とする周波数における信号音方向と反対側の方向からの妨害雑音とが混在する場合には信号成分抽出に誤差を生じ、計測結果の精度が悪化することがあった。
そこで、本発明は、2個の検出器で形成されるダイポール指向特性を信号処理により変形させることで信号音方向と反対側の方向からの妨害雑音を低減させ、真の信号音を精度良く抽出する音響信号処理装置を提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するために、本発明に係る音響信号処理装置は、複数の方向から到来する音波を受信し、予め決められた方向の音波を抽出する音響信号処理装置において、予め決められた音波の受信方向に沿って配置された少なくとも2個の検出器と、各検出器で検出した信号のクロススペクトルから振幅情報と位相情報とを演算するクロススペクトル演算器と、クロススペクトル演算器から出力された位相情報の虚数部を抽出する第1の虚数部抽出器と、位相を遅延させる第1の位相遅延器と、予め決められた位相遅延の値によって第1の位相遅延器を制御する第1の位相制御器と、抽出された虚数部に位相遅延を加算する第1の加算器と、位相遅延が加算された虚数部に重み付けをする第1の重み付け器と、重み付けられた虚数部をクロススペクトルの振幅情報に乗算する第1の乗算器と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る音響信号処理装置において、所望の方向と反対方向の感度を低減した指向性パターンを形成するため、複数設けられた第2の位相遅延器と、第2の各位相遅延器に対して位相遅延の値をそれぞれ制御する第2の位相制御器と、第1の虚数部抽出器から出力された虚数部を予め決められた複数の位相遅延器の数だけ分岐し、分岐された虚数部に複数の位相遅延を加算する第2の加算器と、各位相遅延が加算された複数の虚数部に重み付けをする第2の重み付け器と、重ね合わされた各虚数部をクロススペクトルの振幅情報にそれぞれ乗算する第2の乗算器と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る音響信号処理装置において、第1又は第2の位相制御器は位相遅延を変更することにより指向性パターンの角度を任意に変更できることを特徴とする。指向性パターン角度は注目する信号の周波数により変化することから、信号の周波数に応じた位相遅延を設定することが好適である。
また、本発明に係る音響信号処理装置において、任意の角度方向へ各々変更した複数の指向性パターンを乗算することにより、乗算前の指向幅より狭い指向幅を形成することを特徴とする。具体的には、複数の位相遅延の組み合わせにより形成された指向性パターンを用いて、所望の方位角度に回転させた複数の指向性パターンを形成し、乗算することで方位角と指向幅とを任意に設定することができる。
また、本発明に係る音響信号処理装置において、少なくとも4個の検出器を3次元的に配置することにより、立体的な指向性の制御を可能にしたことを特徴とする。このような構成により、音響インテンシティ法で用いられる検出器でありながら、方位角と指向幅とを任意に設定することにより、従来形式よりも指向性を絞り込むことができる。
また、本発明に係る音響信号処理装置において、検出器の設置場所における媒質が空中、液体中に係わらずあらゆる媒質で適用できることを特徴とする。具体的には、水中、空気中、地中、及び機械構造物中の固体伝播にも適用することができる。
本発明に係る音響信号処理装置を用いることにより、音響インテンシティ法で通常使用されるダイポール指向特性を信号処理により変形させることが可能となり、信号音方向と反対の方向からの妨害雑音を低減させることが可能となるという効果がある。
本発明に係る音響信号処理装置の基本的な構成を示すブロック図である。 本発明を理解する上で参考となる音響信号処理装置の構成を示すブロック図である。 2つの検出器と信号到来方位との関係を示す関係図である。 2つの検出器によって形成される一般的なダイポール指向特性のパターン図である。 本発明に係る音響信号処理装置の一例を示すブロック図である。 図5の音響信号処理装置において、位相遅延を変化させた場合における指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、位相遅延を変化させた場合における指向性パターン図である。 図6の位相遅延54度付近における指向性パターンの変化を示したパターン図である。 本実施形態における位相遅延と音波の周波数との関係を示す特性図である。 図5の音響信号処理装置において、2つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、2つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、2つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、3つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、3つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 図5の音響信号処理装置において、4つの位相遅延器を用いた指向性パターン図である。 本発明に係る音響信号処理装置のその他の例を示すブロック図である。 図16の音響信号処理装置の統合処理器のブロック図である。 図16の音響信号処理装置においてビームの中心方位とビーム中心からの指向方位幅(指向幅)を変化させた場合の指向性パターン図である。 図18の3つの指向性パターンを掛け合わせて指向方位幅を狭めた場合の指向性パターン図である。 図16の音響信号処理装置において、ビームの中心方位を90度振った場合の指向性パターン図である。 図20の3つの指向性パターンを掛け合わせて指向幅を狭めた場合の指向性パターン図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
最初に、本実施形態における音響信号処理装置の一例を図1のブロック図を用いて概説する。本発明における特徴的な事項は、抽出すべき音波の周波数に合わせて2つの検出器の一方に時間遅延又は位相遅延を加えることにより、所望の指向性パターンを形成することである。このために、図1の音響信号処理装置10は位相遅延器6と、位相遅延器6の各位相遅延量を制御する位相制御器7、及び、位相遅延を加えた信号を振幅に乗算する重み付け器14と、乗算された各信号を乗算する乗算処理器4等を有している。なお、詳細は基本構成を述べたあとに説明する。
図2は本発明を理解する上で参考となる音響信号処理装置20の参考構成を示している。図2は一般的な音響インテンシティ測定に用いられる音響信号処理装置20であり、音波を受信する検出器1X,1Yと、検出器1X,1Yによって受信された2つの音響信号のクロススペクトル処理を行うクロススペクトル演算器2と、クロススペクトル演算器2で得られた位相情報の虚数部を取り出す虚数部抽出器3と、虚数部抽出器3で得られた虚数部とクロススペクトル演算器2の振幅情報とを乗算する乗算処理器4と、各種表示等の出力を行う出力器5と、を有している。なお、乗算処理器4は、検出器の設置されている計測環境(水中、空中等)における媒質密度や周波数及び2個の検出器間隔等による乗算を行う。次に、検出器の配置について述べる。
図3には2つの検出器1X,1Yと信号到来方位との関係が示されている。検出器1Xと1Yは無指向性のマイクロホンであり、検出器1Xと1Yとの間の距離はΔrである。また、測定方位は検出器1Xと1Yとを通る線を基準として設定されている。ここで、信号到来方位をφ、各検出器に到来する信号の時間差をτ、媒質の音速cとすると、時間差τによる距離はτ・cとなる。検出器1Xと1Yは無指向性の検出器ではあるが、音響信号が到達する時間関係は、φ<±90度の時は検出器1Yが1Xより先に音響信号を受信し、φ=±90度の時は検出器1Yと1Xの音響信号の受信時間は同時であり、φ>±90度の時は1Xが1Yより先に音響信号を受信する。検出器1X及び検出器1Yが信号到達方位φからの音響信号を捉える時間差τは、
(数1) τ=Δr・cos(φ)/c 式(1)
の関係で表すことができる。
また、2つの検出器(1X,1Y)によって形成される指向性パターンは図4に示すようになる。図4の円周方向は信号や雑音が到来する方位φ(度)、指向性パターンの中心部から放射状に伸びる方向は信号の強弱を示すレベル(dB)を示し、外周に行くほど感度が高くなる。図4の0度及び180度付近の方位における感度は高く、反対に90度及び270度付近の方位では2つの検出器の信号が干渉して感度が低下して0に近づくというダイポール指向特性を示している。また、指向性パターンは、紙面上で上下左右対称となる。ここで、指向性パターンを任意に変化させるためには、信号の干渉を制御するために検出器1Xと1Yとの位相差を設定する必要がある。
そこで、本発明の基本構成における信号の流れを説明する。図1の音響信号処理装置10は、検出器1X,1Yによって受信された2つの音響信号のクロススペクトル処理をクロススペクトル演算器2で行い、クロススペクトル演算器2によって得られた位相情報の虚数部を虚数部抽出部3により虚数部を抽出する。加算器8は抽出された虚数部に位相遅延器6の位相遅延θを加算して重み付け器14により重み付けを行い、位相遅延された虚数部は乗算処理器4にてクロススペクトル演算器2から出力された振幅情報に次々に乗算処理され、演算された出力が出力器5から出力される。
位相遅延器6は位相制御器7によって制御され、加算器8は抽出された虚数部に位相遅延を与えて重み付け器14に出力する。重み付け器14はダイポール指向特性を変形させることにより指向性を変化させている。乗算処理器4は、クロススペクトルの振幅情報、位相遅延が重み付けられた信号、音響信号の周波数f(Hz)、媒質密度ρ(kg/m)、検出器間距離Δr(m)等の物理量を乗算して出力器5に出力する。
ここで、位相遅延器6によって検出器1Xの音響信号に加えられた位相遅延を遅延時間tとして求めると、位相制御器から指示された遅延θ(度)、音響信号の周波数fから式(2)のように表現することができる。
(数2) t=θ/(360f) 式(2)
上式において、検出器1Xと検出器1Yの音響信号の時間関係は、それぞれ、時間=0及び、時間=τ+t、となる。実施形態のパラメータである検出器間距離Δtは、例えば、水中での音響インテンシティ理論によりf=100Hzから10kHzまでの周波数帯域幅で計測許容誤差3dB以内となるΔr=0.045mとし、音速cはc=1480m/sとした。
図6〜図7は、図5の音響信号処理装置30の位相制御器7によって位相遅延θを変化させた場合における指向性形成結果のパターン変化を示している。最初に、方位0度から到来する信号の感度を高め、反射波等の妨害音が到来する方位180度からの信号の感度を低下させる目的で位相遅延θを設定した。図6(a)は位相遅延θ=18度、(b)はθ=36度、(c)はθ=54度を与えた時の指向性パターンである。位相遅延θが付加されると、紙面上で見て上下対象性はくずれるが左右対称性は維持され、θを大きくするに従い、下方の感度が低下している。図4で示した一般的な指向性パターンと図6の指向性パターンとを比較すると、上方の感度はほとんど変化せず、0度<方位角<90度及び270度<方位角<360度ではほぼ一致する。このことから、θ=54度における指向性パターンにより、下方向の妨害音を低減できることがわかる。
次に、方位180度から到来する信号の感度を高め、反射波等の妨害音が到来する方位0度からの信号の感度を低減させる目的で位相遅延θを設定した。図7(d)は位相遅延θ=162度、(e)はθ=144度、(f)はθ=126度を与えた時の指向性パターンである。図7に示すように、紙面上で見て上下対象はくずれるが左右対称性は維持されている。同様に、図4で示した一般的な指向パターンと図7の指向性パターンとを比較すると、下方の感度はほとんど変化せず、90度<方位角<180度及び180度<方位角<270度ではほぼ一致する。このことから、位相遅延θ=126度における指向性パターンにより、上方向の妨害音を低減できることがわかる。換言すると、位相制御器7により不感度方位を任意に変更できることを意味している。しかし、位相遅延54度、126度が最適であるか不明であったことから、位相遅延54度付近における指向性パターンの変化についてシミュレーションで計算することにした。
図8は周波数10kHzにおける音響信号の指向性をθ=50度からθ=57度まで、1度刻みで指向性パターンをシミュレーションで計算した結果である。好ましい指向性パターンの条件としては、方位角0度に対して反対方向の方位角180度における感度が最も小さくなるパターンを良好なパターンとすることにした。図8中、θ=50度から1度刻みに位相遅延を大きくするに従い、方位角180度における感度(−26dB)が徐々に低下し、θ=54度で0となった。さらに位相遅延を大きくするに従い、θ=55度にて方位角180度における感度が増加し、θ=57度では感度は−26dBとなることがわかった。また、θ=124度においても同様の結果となった。このことから、位相遅延54度と126度は周波数10kHzにおいて好ましいことがわかった。
また、指向性パターンは音響信号の周波数にも影響を受けることから、周波数に対する最適な位相遅延をシミュレーションで計算することにした。図9は音波の周波数を1kHzから10kHzまで変化させた場合における位相遅延度の関係を示している。図9中、周波数を1kHzから1kHz刻みに増加させると位相遅延も増加するものの、周波数5kHzを超える当たりから増加率が低下し、周波数8kHzで位相遅延が57度となる。このことから、周波数が10kHzの場合は、位相遅延θ=54度が好ましく、例えば、周波数5kHzでは位相遅延θ=47度が好ましいことがわかった。
上述したシミュレーションから音響信号の周波数(例えば、10kHz)と位相遅延(例えば、θ=54度)の関係を適切に設定することにより、1つの位相遅延を加えるだけでも好ましい指向性パターンが得られた。しかし、例えば、θ=54度の場合でも、方位角=150度、210度付近では感度差20dBは確保できるものの、多少の感度を有している。そこで、2つから4つの位相遅延の組み合わせについても調査することのできる音響信号制御装置を製作した。
図5の音響信号処理装置30は、複数の位相遅延器による指向性形成を容易にするため、位相制御器7によって複数の位相遅延の組み合わせを設定することが可能である。音響信号処理装置30はクロススペクトル演算器2によって得られた位相情報φ(12)から虚数部抽出器3のsin(φ)演算により虚数部を抽出した後、位相遅延器6をn個分だけ分岐させて虚数部に対して複数の位相遅延を加算器8によって加算する。さらに音響信号処理装置30は、加算された虚数部に対し、複数の重み付け器14にてsin(sin(φ)+θ)の重み付け演算を行った後に、乗算処理器4がクロススペクトルの振幅情報(11)に重み付けられた虚数部を乗算する構成とした。
最初に、図5の音響信号処理装置30を用いて、2つ(2系列)の位相遅延器を用いて指向性パターンの変化を調査した。図10〜図12は図5の音響信号処理装置30において、2つの位相遅延器(6a,6b)を用いた指向性パターンを示している。このような2系列の位相遅延器により、図10(a1)では位相遅延を0度と36度とした。図10(b1)の指向性パターンでは、方位角90度と270度の感度が低下するものの、方位角180度の感度は低下せず、好ましい特性を得ることができなかった。
図11(a2)では位相遅延を0度と54度とした。図11(b2)の指向性パターンでは、図10の指向性パターンより紙面の下方からの感度はさらに低下し、方位角180度では感度0となるが、方位角105度、145度、215度及び255度付近では感度が低下しない。そこで、図12(a3)に示すように位相遅延を36度と54度とした。図12(b3)の指向パターンでは、紙面上の下方の感度は大幅に低下し、方位角120度、150度、210度及び240度付近でも感度差30dBが確保できた。このことから、2系列の位相遅延器では位相遅延は36度と54度が好ましいことがわかった。
次に、図5の音響信号装置30を用いて、3つ(3系列)の位相遅延器を用いて指向性パターンの変化を調査した。図13〜図14は図5の音響信号処理装置30において、3つの位相遅延器を用いた指向性を示している。このような3系列の位相遅延器により、図13(a1)では位相遅延を0度、18度及び36度とした。図13(b1)の指向性パターンは、紙面上の下方からの感度は低下するものの、好ましい特性を得ることができなかった。そこで、図14(a2)では位相遅延を18度、36度及び54度とした。図14(b2)の指向パターンでは、紙面上の下方の感度は大幅に低下し、150度、210度付近でも感度が低下し、感度差35dBが確保できた。このことから、3系列の位相遅延器では位相遅延は18度、36度及び54度が好ましいことがわかった。
図15は図5の音響信号処理装置30において、4つの位相遅延器を用いた指向性パターンを示している。このような4系列の位相遅延器により、図15(a)では位相遅延を0度、18度、36度及び54度に設定したところ、図14(b2)の3系列の指向性とほぼ同じ特性が得られたが、図15(b)の指向パターンでは、位相遅延が0度の信号を用いたことから、方位角90度と270度の感度が0となり、図14(b2)と比較して更に指向性を絞り込んだ好適な特性が得られた。このことから、乗算する系列数は多いほど精細にパターンを作り出すことができるが、反面、機器量の増加・演算処理の増加など効率的ではない。調査の結果、系列nの値はn=2から4の範囲内が好適であった。
上述した一連の調査により、所望の方向と反対方向の感度を低減した指向性パターンを形成することが可能となったが、指向幅(指向方位幅)を絞ったビーム状の指向性を形成できるかどうかをさらに調査することにした。
図16,17は、ビーム状の指向性を形成することが可能な音響信号処理装置40を示している。図16の音響信号処理装置40は、検出器1X,1Yと、3つの統合処理器17と、3つのビーム制御器16と、乗算処理器4と、出力器5と、を有している。また、統合処理器17の詳細を図17に示している。統合処理器17は図5の構成とほぼ同一であるが、位相制御器7がビーム入力端子を有しているため、位相遅延器固有の位相遅延にオフセットを加えることができる。ビーム制御器16は、3系列の位相遅延器を有している統合処理器17に対して、さらに、ビームの中心方位φcとビームの指向方位幅φwを入力することができる。
具体的には、ビーム制御器16aはφ−φc+φwを出力し、ビーム制御器16bはφ−φcを出力し、ビーム制御器16cはφ−φc−φwを各統合処理機に出力する。さらに、φc及びφwを変化させることで、指向性パターンは相似形のまま回転することになる。
図18は、図5の音響信号処理装置30において、ビームの中心方位とビーム中心からの隔たり方位角を変化させた場合の指向性パターンを示し、図18(a)の位相制御はφc=0度、φw=60度であり、図18(b)の位相制御はφc=0度、φw=0度であり、図18(c)の位相制御はφc=0度、φw=−60度である。図19は図18の3つの指向性パターンを乗算して指向幅を狭めた場合の指向性パターンを示している。乗算することにより、3つの指向性パターンうちいずれか1つ感度が低い方位があれば、乗算処理によりその方位は感度が低下し、結果としてビーム幅が狭まることになる。図19に示すように、単独の指向性パターンに比べて乗算した指向性パターンのビーム幅は減少し、方位角0度近傍60度幅の指向性を持つパターンを形成することが可能となる。
次に、ビームの中心方位角φcを方位角90度に回転した指向性パターンの形成について示す。図5の位相制御器7を用いて3系列の位相遅延器6を3組制御することで、ビームの中心方位φcを90度、ビームの指向方位幅φwを60度幅としたパターンを形成した。
図20は図5の音響信号処理装置30において、ビームの中心方位とビーム中心からの隔たり方位を変化させた場合の指向性パターンを示している。図20(a)の位相制御はφc=−90度、φw=60度であり、図20(b)の位相制御はφc=−90度、φw=0度であり、図20(c)の位相制御はφc=−90度、φw=−60度である。また、図21は図20の3つの指向性パターンを掛け合わせて指向幅を狭めた場合の指向性パターンを示している。図19に示すように、ビーム幅が減少し、方位角60度近傍60度幅の指向性を持つパターンを形成することが可能となる。
一方、従来の技術では、図21のような指向性パターンを得ようとすると、多数の検出器を波長/2(波長=音速/周波数)の間隔に直線的に並べて加算効果により指向性を狭める必要があり、多くの検出器を必要としていたが、本発明に係る音響信号処理装置を用いることにより、少なくとも2個の検出器を用いて信号処理を行うことにより指向性幅を狭めることが可能となり、信号音源の方位特性を容易に、かつ、ビーム方位以外からの妨害音を排除することが可能となる。
さらに、本発明に係る音響信号処理装置を用いることにより、3次元測定においても、中心部とXYZ軸にそれぞれ検出器を配置して、合計4個の検出器で測定することが可能となる。
以上、上述したように、本実施形態に係る音響信号処理装置を用いることにより、音響インテンシティ法で通常使用されるダイポール指向特性を信号処理により変形させることが可能となり、信号音方向と反対の方向からの妨害雑音を低減させることが可能となる。なお、本実施形態では、位相遅延器により遅延角を制御したが、これに限るものではなく、時間遅延と位相遅延との変換演算を考慮した場合には、時間遅延により制御する方が少ない演算ですむ場合もあり時間遅延器による遅延時間の制御を行っても良い。さらに、本実施形態で説明した数値は、あくまでも一例であり、例えば、検出器自体の指向性パターンにより影響されることから、指向性パターンの補正手段を別途追加しても好適であることはいうまでもない。
1X,1Y 検出器、2 クロススペクトル演算器、3,13 虚数部抽出器、4 乗算処理器、5 出力器、6 位相遅延器、7 位相制御器、8 加算器、10,20,30,40 音響信号処理装置、11 振幅情報、12 位相情報、14 重み付け器、16 ビーム制御器、17 統合処理器。

Claims (6)

  1. 複数の方向から到来する音波を受信し、予め決められた方向の音波を抽出する音響信号処理装置において、
    予め決められた音波の受信方向に沿って配置された少なくとも2個の検出器と、
    各検出器で検出した信号のクロススペクトルから振幅情報と位相情報とを演算するクロススペクトル演算器と、
    クロススペクトル演算器から出力された位相情報の虚数部を抽出する第1の虚数部抽出器と、
    位相を遅延させる第1の位相遅延器と、
    予め決められた位相遅延の値によって第1の位相遅延器を制御する第1の位相制御器と、
    抽出された虚数部に位相遅延を加算する第1の加算器と、
    位相遅延が加算された虚数部に重み付けをする第1の重み付け器と、
    重み付けられた虚数部をクロススペクトルの振幅情報に乗算する第1の乗算器と、
    を有することを特徴とする音響信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の音響信号処理装置において、
    所望の方向と反対方向の感度を低減した指向性パターンを形成するため、
    複数設けられた第2の位相遅延器と、
    第2の各位相遅延器に対して位相遅延の値をそれぞれ制御する第2の位相制御器と、
    第1の虚数部抽出器から出力された虚数部を予め決められた複数の位相遅延器の数だけ分岐し、分岐された虚数部に複数の位相遅延を加算する第2の加算器と、
    各位相遅延が加算された複数の虚数部に重み付けをする第2の重み付け器と、
    重ね合わされた各虚数部をクロススペクトルの振幅情報にそれぞれ乗算する第2の乗算器と、
    を有することを特徴とする音響信号処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音響信号処理装置において、
    第1又は第2の位相制御器は位相遅延を変更することにより指向性パターンの角度を任意に変更できることを特徴とする音響信号処理装置。
  4. 請求項3に記載の音響信号処理装置において、
    任意の角度方向へ各々変更した複数の指向性パターンを乗算することにより、乗算前の指向幅より狭い指向幅を形成することを特徴とする音響信号処理装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の音響信号処理装置において、
    少なくとも4個の検出器を3次元的に配置することにより、立体的な指向性の制御を可能にしたことを特徴とする音響信号処理装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の音響信号処理装置において、
    検出器の設置場所における媒質が空中、液体中に係わらずあらゆる媒質で適用できることを特徴とする音響信号処理装置。
JP2009265102A 2009-11-20 2009-11-20 音響信号処理装置 Active JP5368272B2 (ja)

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