JP5368071B2 - 抄紙用フェルト - Google Patents
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なお、プレス加圧部は、一対のプレスロールにより構成されるものや、プレスロールとプレスロールの周面に対応した形状を有するシューとにより構成されるものが一般的である。
なお、基体20は、フェルト全体10の強度を発現させるために必要不可欠である。そして、基体20としては、経糸と緯糸とを製織することにより構成される無端状の基布が、通常、使用されている。
まず、完成されるフェルトの性能に対応して選択された糸材等により、ストリップ23を形成する。ストリップ23の好ましい幅は0.5m〜1.5mである。
次に、一対のガイドロールGR同士の間隔を、完成されるフェルトの長さに合わせて調整する。
そして、一対のガイドロールGRを駆動することにより、ストリップ23が両ガイドロールGR上へ繰出される。この際、ストリップ23は、螺旋状に周回されストリップ23の側面同士が隣接して配置されるように、ガイドロールGR上に対する繰出し角度が調整される。
なお、この周回作業は、隣接するストリップ23同士により構成される幅寸法が、所望のフェルトとほぼ同寸法になるまで継続される。
そして、螺旋状のストリップ23の側面同士を接合し、フェルトの基体20を製造した後、この基体20にバット繊維層を形成し、抄紙用フェルトを完成させている。
本発明は、上述の問題に鑑み、製造が容易、且つ、製造工程が簡略化でき製造コストを低減することができる抄紙用フェルトを提供することを目的とする。
前記基体が、前記フェルトの幅よりも狭い幅であって、5cm〜10cmの幅の糸列を螺旋状に周回し無端状に形成されてなる螺旋糸列層を少なくとも1層含み、
前記糸列の糸材、及び糸列同士の側面が、前記糸列の表裏の少なくとも一方に、前記糸列の幅よりも広い幅の接着性シートがその端部同士が重なるように配置されていることにより連結されていることを特徴とする抄紙用フェルトによって前記課題を解決した。
製織工程には、まず、製織準備(段取り)が必要である。最初に外段取りがある。外段取りは、織機の経糸(フェルト基布としてはCMD方向糸)が巻かれたボビンの多数本を準備し、クリールへ仕掛ける。そしてクリールに仕掛けられたボビンから糸を引き出し、ワープビーム(整経ロール)に糸を引き揃えて巻きつけるビーミング作業がある。そして、織機の緯糸(フェルト基布としてはMD方向糸)は木管に巻装する管巻き作業がある。これらのビーミング作業と管巻き作業の外段取りが終了した後、引き続き内段取りに移る。
内段取りは、ワープビームを織機に設置し、ワープビームから整経糸(織機の経糸)を引き出し、綾通しと筬通しして織機に整経糸を装着する。以上の内段取りが終了してから製織が開始される。製織では、管巻きした木管をシャトルボックス内に装着し、シャトルを往復飛走させて経糸と緯糸とで織成する。
通常の製織は無端状の袋織りで織成される。従って、織機の経糸はフェルト基布としてはCMD方向糸となり、また織機の緯糸はフェルト基布としてはMD方向糸となる。
本発明では、上記のような外段取りと内段取りを簡略化した無製織(不織布)の螺旋糸列層を少なくとも1層含む基体に特徴があり、以下、実施形態を説明する。
そして、一対の平行なロール50付近に配置される熱処理装置56によって螺旋状の糸列の糸材と、糸列21の側面同士を接合する。又は、筬53を通した後の糸列21の表側又は裏側に、接着性シート供給装置55から接着性シート54を接着して、螺旋状の糸列21を保持し、且つ、糸列21の幅より若干大きく供給された接着性シート54の幅方向の端部同士を重ならせて接合する。このようにして螺旋糸列層を製造した後、前記螺旋糸列層を少なくとも1層含む基体にバット繊維層を形成し、抄紙用フェルトを完成する。図4は、このようにして完成したフェルトの斜視図である。
基体20は、糸列21と糸列側面41とを連結することにより製造される螺旋糸列層を含んでいる。
なお、図中、矢印MDは、抄紙用フェルトが抄紙機に使用された際の進行方向を示し、矢印CMDは、MD方向に対する直交する方向を示す。
フェルト40は、カバードヤーンを揃えてなる糸列が平行に接合された螺旋糸列層の1層が基体42となっているが、他の簡易な製織布を積層して基体を構成してもよい。このような基体に湿紙側バット繊維層43とマシン側バット繊維層44とを積層一体化させている。なお、図では好ましい例示としてバット繊維層を基体の両面に配置しているが、少なくとも湿紙側に配置していればよい。
なお、糸列に接着性シートを隣接して配置するには、糸材を揃えて螺旋状に周回した後に、前記糸列の表又は裏側に隣接して、螺旋状に周回後の糸列に沿うように、フェルトの幅より狭い幅の接着性シートを螺旋状に周回させ、糸列に接着させるようにしてもよい。
本発明では、接着性シートの幅は、市販の幅である0.5m〜3.0mのものをそのまま使うか、又は糸列21の幅より若干大きく切断して使う。
・フェルト寸法:全長30m×全幅5m
・接着性シート:商品名 スパンファブ(熱接着性シート)。材質:低融点共重合ナイロン、日東紡社製、PA1001、目付24g/m2
・簡易な製織布:ナイロン6(330dtexのモノフィラメント単糸)を経糸と緯糸として、1/1平織りで製織した。
製織布の目付:200g/m2
織物メッシュ:経糸50本/5cm × 緯糸50本/5cm
・バット繊維:ナイロン6の短繊維(ステープルファイバー)で繊度17dtex
・湿紙側バット繊維の量:450g/m2
・マシン側バット繊維の量:150g/m2
(1)カバードヤーンの芯糸
ナイロン6のモノフィラメント(330dtex)を2本撚ってなる撚糸を2本と、750dtexのスパン糸(ナイロン6の短繊維からなる)とを撚り合わせて、合計繊度が2250dtexとした。
(2)カバードヤーンの作製
共重合ナイロン6/12で融点が115℃、繊度が360dtexのモノフィラメントからなる熱接着性糸を前記芯糸に対して500回/m巻きつけて、カバードヤーンを作製した。
(3)上記カバードヤーンを50本/5cmとし、図3で示した製造方法により糸列の幅が、それぞれ3cm、5cm、10cm、15cmになるように糸列を平行に配置し、一対の平行なロール間に仕掛けて、ロール速度10m/minで糸列を繰出しながら、一方のロール付近に配置される熱処理装置で熱処理を施し、螺旋状の糸と糸列の側面同士を接合して200g/m2の螺旋糸列層を作製した。
(4)上記螺旋糸列層を基体とし、その湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層とを配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け800g/m2、密度0.35g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
(1)糸材
ナイロン6のモノフィラメント(330dtex)を2本撚り合わせた片撚り糸を、3本束ねてさらに諸撚りした撚糸を使用した。
(2)上記糸材を50本/5cmとし、図3で示した方法により糸列の幅が、それぞれ3cm、5cm、10cm、15cmになるように糸列を平行に配置し、一対の平行なロール間に仕掛けて、ロール速度7m/minで糸列を繰出しながら、糸列の裏面に接着性シート供給装置から所定幅(糸列幅+1cm)の接着性シートを配置し、参考例1と同様にして熱処理して糸列を保持し、且つ、接着性シートの端部同士を接合した。なお、接着性シート自体が接着性を有する素材である場合、熱処理は必要ではない。
このようにして、螺旋状の糸列が接着性シートで保持され、且つ、接着性シートの端部同士で接合して、224g/m2の基体を作製した。
(3)上記基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層を配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け824g/m2、密度0.35g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
(1)参考例1と同じ螺旋糸列層(糸列の幅が10cmのもの)を2枚(螺旋糸列層Aと螺旋糸列層B)用意した。
(2)螺旋糸列層Aについて、MD方向の長さが、フェルト幅と一致する長さでCMD方向に切断し、切断片を作製した。
(3)螺旋糸列層Bの湿紙側の面に前記切断片を90°転回したもの(切断片のMD方向をCMD方向にして使用する)を、螺旋糸列層BのMD方向に並べて配置して、目付け400g/m2の螺旋糸列層を作製した。
(4)(3)で作製した螺旋糸列層を基体とし、前記基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層を配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け1000g/m2、密度0.36g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
(1)参考例1と同じ螺旋糸列層(糸列の幅が10cmのもの)を1枚用意した。
(2)簡易な製織布の湿紙側の面に前記螺旋糸列層を配置した。前記螺旋糸列層の糸列の方向は、フェルトのMD方向に配置した。このようにして目付け500g/m2の基体を作製した。
(3)(2)で作製した基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層を配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け1100g/m2、密度0.35g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
(1)実施例1と同じ螺旋糸列層(糸列の幅が10cmのもの)を1枚用意した。
(2)この螺旋糸列層の湿紙側の面に接着性シート(幅58cm)を周回して配置した。前記螺旋糸列層の糸列の方向はフェルトのMD方向に配置した。このようにして螺旋状の糸列が接着性シートで保持され、且つ、接着性シートの端部同士を接合して、目付け224g/m2の基体を作製した。
(3)上記基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層を配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け824g/m2、密度0.35/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
(1)図2で示した製造方法により、接着性シート(幅98cm)を一対の平行なロール間に仕掛けて、ロール速度5m/minで接着性シートを繰出しながらロール間で6周、周回して配置した。
(2)このようにして無端状に形成された接着シートの上面に、実施例1と同じ螺旋糸列層(糸列の幅が10cm以上のもの)を形成して、螺旋状の糸列が接着性シートで保持され、且つ、接着性シートの端部同士を接合して、224g/m2の基体を作製した。
(3)上記基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層を配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け824g/m2、密度0.35g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
基体(製織布):ナイロン6のモノフィラメント(330dtex)を2本撚り合わせた片撚り糸を、3本束ねて更に諸撚りした撚糸を経糸とし、330dtexのモノフィラメントを3本撚り合わせた片撚り糸を緯糸として、3/1 1/3の経二重織りで製織した。
製織布の目付:450g/m2
織物メッシュ:経糸50本/5cm × 緯糸30本/5cm
前記基体に湿紙側バット繊維層とマシン側バット繊維層とを配置し、ニードルパンチにより交絡一体化して、目付け1050g/m2、密度0.38g/cm3の抄紙用フェルトを作製した。
実施例1乃至3、参考例1乃至3及び比較例で作製した基体を、ニードルパンチ機械でバット繊維層を形成するときの基体の安定性について観察し評価した結果を表1に示した。
実施例1乃至3、参考例1乃至3及び比較例で作製した基体の作製時間について測定し評価した結果を表1に示した。なお、基体の作製時間は相対比較した。相対比率の計算式は、次式のとおりである。
相対比率 = D/d×100
D:各基体の作製時間
d:比較例における基体の作製時間
実施例1でも、糸列の幅が5cm〜15cmのものについて、所望の寸法の抄紙用フェルトの基体を短い時間と工数で製造することができる。なお、糸列の幅が3cmのものについては、所望の幅の基体を形成するまでに糸列を螺旋状に周回する回数が多く、かつ糸列の裏面に接着性シートを配置するための手間が掛かることが分かった。
参考例2では、糸列の幅が10cmのものについて2枚の螺旋糸列層を製造することになるが、所望の寸法の抄紙用フェルトの基体を短い時間と工数で製造することができる。
参考例3では、簡易な製織布を作製することになるが、所望の寸法の抄紙用フェルトの基体を、短い時間と工数で製造することができる。
実施例2、3では、製織布を作製しないで済むため、所望の寸法の抄紙用フェルトの基体を、さらに短い時間と工数で製造することができる。
以上のように、本発明では、糸列の糸材と、糸列の側面同士を連結一体化して螺旋糸列層を構成すること、また、糸列を従来の工法と異なり、最適の糸列幅で螺旋状に周回することにより、所望の寸法の抄紙用フェルトを、短い時間と工数で製造することができるという効果を奏する。
20,42,61:基体
21:糸列
23:織物ストリップ
30:バット繊維層
31,43,64:湿紙側バット繊維層
32,44,65:マシン側バット繊維層
41:糸列側面
54:接着性シート
55:接着性シート供給装置
56:熱処理装置
62:螺旋糸列層
Claims (6)
- 基体と、該基体に一体化されたバット繊維層とからなる抄紙用フェルトにおいて、
前記基体が、前記フェルトの幅よりも狭い幅であって、5cm〜10cmの幅の糸列を螺旋状に周回し無端状に形成されてなる螺旋糸列層を少なくとも1層含み、
前記糸列の糸材、及び糸列同士の側面が、前記糸列の表裏の少なくとも一方に、前記糸列の幅よりも広い幅の接着性シートがその端部同士が重なるように配置されていることにより連結されていることを特徴とする、
抄紙用フェルト。 - 前記螺旋糸列層の糸列同士が90°転回して積層している、請求項1の抄紙用フェルト。
- 基体と、該基体に一体化されたバット繊維層とからなる抄紙用フェルトの製造方法において、
前記基体を、前記フェルトの幅よりも狭い幅であって、5cm〜10cmの幅の糸列を螺旋状に周回させ無端状に形成するときに、前記糸列の表裏の少なくとも一方に、前記糸列の幅よりも広い幅の接着性シートを配置し、該接着性シートの端部同士が重なるように周回させ、前記糸列の糸材、及び糸列同士の側面を連結した螺旋糸列層を少なくとも1層含むように形成することを特徴とする、
抄紙用フェルトの製造方法。 - 基体と、該基体に一体化されたバット繊維層とからなる抄紙用フェルトの製造方法において、
前記基体を、前記フェルトの幅よりも狭い幅であって、5cm〜10cmの幅の糸列を螺旋状に周回させ無端状に形成した螺旋糸列層を少なくとも1層含むように形成し、
前記糸列の糸材、及び糸列同士の側面を、前記糸列の表裏の少なくとも一方に、前記糸列の幅よりも広い幅の接着性シートをその端部同士が重なるように配置して連結することを特徴とする、
抄紙用フェルトの製造方法。 - 基体と、該基体に一体化されたバット繊維層とからなる抄紙用フェルトの製造方法において、
前記基体を構成する糸列の糸材、及び糸列同士の側面を連結する接着性シートをその端部同士が重なるように螺旋状に周回させて配置し、
前記基体を、前記フェルト及び接着性シートの幅よりも狭い幅であって、5cm〜10cmの幅の糸列を螺旋状に周回させ無端状に形成した螺旋糸列層を少なくとも1層含むように形成することを特徴とする、
抄紙用フェルトの製造方法。 - さらに前記螺旋糸列層をCMD方向に切断し、該螺旋糸列層の糸列同士を90°転回させて積層する、請求項3から5のいずれかの抄紙用フェルトの製造方法。
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