JP5365995B2 - ダイカストマシンの射出装置 - Google Patents
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Description
ダイカストマシン(鋳造装置)100は、金型装置101と、射出装置102とを具備している。金型装置101には、対向する一対の固定プラテン120と可動プラテン121との間に、固定金型118と可動金型119が取付けられている。固定金型118と可動金型119は、固定プラテン120と可動プラテン121などで構成される型締装置によって閉じられることにより、その間にキャビティ(空洞)122を形成する。型締力が負荷された状態において、キャビティ122内にアルミニウム(AL)などの溶湯(高温で溶融状態)が射出充填され、冷却固化後に金型が開かれて取り出すことにより、鋳造成形品を製造できる。アルミ溶湯を射出充填するために、射出装置102が設けられている。また、固定プラテン120には、アルミ溶湯が貯められるプランジャースリーブ117が設けられており、固定プラテン120及び固定金型118を貫通して、キャビティ122に流体連絡する。
図7の実施の形態においては、射出装置102は油圧式であるので、図示せぬ油圧装置により、作動油をシリンダー本体116のヘッド側に供給して、ピストンヘッド115及びピストンロッド114を駆動する。そして、プランジャースリーブ117に貯められたアルミ(AL)溶湯をプランジャーチップ111で押して、固定金型118、可動金型119から形成されるキャビティ(空洞)122に射出充填して鋳造成形する。
一般的な鋳造の射出速度パターンを、図8を用いて説明する。
射出充填工程が開始される前の給湯工程において、図示せぬ給湯装置により溶湯が射出スリーブ117内に注湯され、射出開始状態となる。この時のプランジャーチップ111の先端位置はAである。(図8の上の図を参照)
高速射出工程では、プランジャーチップ111等を一気に加速し、高速(Vh)でキャビティ122内に溶湯を射出充填する。これは、溶湯が低温であるキャビティ122の表面に接触すると瞬時に凝固するためであり、できるだけ短時間で凝固する前に充填することが、良品の鋳造のためには望ましい。特に、キャビティ122(鋳造品)が大型化、複雑化すると、より高速化が求められる。
そして、キャビティ122内に溶湯が完全に充填する直前なると、サージ圧によるバリの発生を防止するため射出速度は下げられる。プランジャーチップ111がC位置に達しキャビティ122内に溶湯が充満すると、射出圧力(射出シリンダーのヘッド側圧力)が上昇するので、圧力センサの測定値が設定切換え圧力になった時に、次の昇圧保持工程に切換える。(図8の上から3番目の図を参照)
昇圧保持工程では、あまり早く圧力を上昇させるとバリが発生し、また遅いと引け巣が発生するので、適切な昇圧速度で上昇させる。そして、設定された保持圧力まで達すると一定の時間溶湯圧力を保持制御し、溶湯が凝固冷却して収縮する分、プランジャーチップ111を前進させる。(図8の下の図を参照)
また、特許文献2に記載の方法では、射出充填用の機構をラチェットでロックするが、ラチェットは移動方向に並べられた複数の爪の引っ掛かりによってロックするため、ロックする位置が不連続となる。そのため、特に給湯量が一定ではないので、射出充填工程から昇圧保持工程に切換えるタイミングに遅れとバラツキが生じ、鋳造品の品質に悪影響を及ぼしていた。
モータによってプランジャーを低速及び高速で前進させる射出充填装置と、プランジャーを介して溶湯に圧力を負荷する昇圧保持装置と、プランジャーが溶湯から受ける圧力が設定圧力以上になると、溶湯から受ける圧力によって、プランジャーと昇圧保持装置の移動部の相対的な動作を抑制するロック機構とを備えるダイカストマシンの射出装置とする。
また、第2の発明では、第1の発明において、射出充填装置はサーボモータとねじによって駆動する。
第3の発明では、第1の発明において、射出充填装置はリニアモータによって駆動する。
第4の発明では、第1〜3の発明のいずれか1つの発明において、昇圧保持装置はサーボモータとねじによって駆動する。
第5の発明では、第1〜4の発明のいずれか1つの発明において、ロック機構はプランジャーが溶湯から受ける圧力により、ねじナットの回転を摩擦力によって抑制することにより、プランジャーと昇圧保持装置の移動部の相対的な動作を抑制する。
第6の発明では、第1〜5の発明のいずれか1つの発明において、設定圧力は、ばねの弾性力によって設定される。
第7の発明では、第1〜5の発明のいずれか1つの発明において、設定圧力は、作動油の圧力によって設定される。
最後に、第8の発明では、第1の発明において、低速及び高速の前進を行なう射出充填工程においては、射出充填装置は速度制御を行なうとともに昇圧保持装置は位置保持制御を行ない、プランジャーが溶湯から受ける圧力が切換え圧力に達した後の昇圧保持工程においては、射出充填装置は圧力制御または位置保持制御を行ない、昇圧保持装置は圧力制御を行なう。
(2)高速射出動作の駆動源がサーボモータであるため、大型のアキュムレータやガスボトル、油圧配管などが不要となり、装置が簡素化しメインテナンス性が向上する。また、作動油が高速で流れる時に生じる圧力損失よるエネルギーロスが無くなり、省エネ運転が図れる。
(3)サーボモータによるフィードバック制御が可能で、運転条件設定の自由度と動作制御の安定性が増す。
図1において、昇圧保持装置はサーボモータとボールねじによる機構で説明しているが、油圧シリンダーの本体部をメインフレーム11に固定し、ロッドをメイン部材14と接続しても、同様の作用効果を奏することができる。
前述したように射出充填工程では、まず低速でプランジャー10の前進動作が行なわれ、そして湯面が金型のゲート付近に達すると続いて高速射出動作が行なわれる。射出充填工程中は、射出充填用サーボモータ12は設定速度に沿った速度制御が行なわれ、また昇圧保持用サーボモータ13は位置保持制御が行なわれている。ばね22の圧縮力fは、射出充填工程中にプランジャー10が受ける射出圧力より十分大きくなるよう設計(ばね定数の選定など)されているので、隙間が確実に確保されることにより、摩擦ディスク25とメイン部材14は接触することなく、射出充填用ボールねじ軸16はスムーズに回転することができる。
このように、摩擦ディスク25、メイン部材14の接触部、ばね22および押さえ部材23などから、ロック機構は構成される。
2π・μ(F−f)・r = F・L ・・・(1)
(1)式を変形すると、(2)式となる。
F = {(2π・μ・r)/(2π・μ・r−L)}・f ・・・(2)
よって、F(設定圧力)は、摩擦ディスクの半径r、ばねの圧縮力fなどを適宜設計することにより、設定を変えることができる。
第2の実施例のばねを、第3の実施例のリング状シリンダー51と油圧装置に置き換えることは、第1の実施例および後述する第4、第5の実施例にも適用できる。
10a プランジャーチップ
10b プランジャーロッド
11 ベースフレーム
12 射出充填用サーボモータ
13 昇圧保持用サーボモータ
14 メイン部材
15 スライド部材
16 射出充填用ボールねじ軸
17 射出充填用ボールねじナット
18 軸受け保持部材
19 射出充填用軸受け
20 押さえナット
21 スプライン軸
22 ばね
23 押さえ部材
24a スライド部材用リニアガイド
24b 軸受け保持部材用リニアガイド
24c メイン部材用リニアガイド
25 摩擦ディスク
26 モータ支持部材
27 昇圧保持用ボールねじ軸
28 昇圧保持用ボールねじナット
29 カップリング
30 昇圧保持用軸受け
32 昇圧保持装置
35 プランジャー保持部材
36 キー保持部材
37 軸受け保持部材
38 キー
39 ばね
40 ねじ軸
41 ナット
42 軸受け押さえ
43 ねじ軸支持部材
44 キー
45 押さえナット
46a 軸受け保持部材用リニアガイド
46b メイン部材用リニアガイド
47 リニアモータ
48 メイン部材
49 摩擦ディスク
50 軸受け
51 リング状シリンダー
52 ボールねじ式高速射出装置
53 電気モータ
54 油圧ポンプ
55 比例電磁式圧力制御弁
56 オイルタンク
60 スライド部材
61 プランジャー保持部材
61a キー
62 ばね
63 摩擦ディスク
64 メイン部材
65 シャフト軸受け
66 シャフト
66a スペーサ
67a かさ歯車
67b かさ歯車
68 ピニオン軸
68a ピニオン軸受け
69 ピニオン
70 ラック
80 本体ボディ
81 外側くさび
82 内側くさび
83 ばね
84 ころ
85 移動部材
100 ダイカストマシン(鋳造装置)
101 金型装置
102 射出装置
103 ピストン
111 プランジャーチップ
112 プランジャーロッド
113 カップリング
114 ピストンロッド
115 ピストンヘッド
116 射出シリンダー本体
117 射出スリーブ
118 固定金型
119 可動金型
120 固定プラテン
121 可動プラテン
122 キャビティ(空洞)
Claims (8)
- プランジャーを前進させることによりスリーブ内の溶湯を金型内に射出充填するダイカストマシンの射出装置であって、
モータによって前記プランジャーを低速及び高速で前進させる射出充填装置と、
前記プランジャーを介して溶湯に圧力を負荷する昇圧保持装置と、
前記プランジャーが溶湯から受ける圧力が設定圧力以上になると、溶湯から受ける圧力によって、前記プランジャーと前記昇圧保持装置の移動部の相対的な動作を抑制するロック機構と、
を備えることを特徴とするダイカストマシンの射出装置。 - 前記射出充填装置は、サーボモータとねじによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 前記射出充填装置は、リニアモータによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 前記昇圧保持装置は、サーボモータとねじによって駆動されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 前記ロック機構は、プランジャーが溶湯から受ける圧力により、ねじナットの回転を摩擦力によって抑制することにより、前記プランジャーと前記昇圧保持装置の移動部の相対的な動作を抑制することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 前記設定圧力は、ばねの弾性力によって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 前記設定圧力は、作動油の圧力によって設定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のダイカストマシンの射出装置。
- 請求項1に記載のダイカストマシンの射出装置を動作させる制御方法であって、
低速及び高速の前進を行なう射出充填工程においては、射出充填装置は速度制御を行なうとともに昇圧保持装置は位置保持制御を行ない、
前記プランジャーが溶湯から受ける圧力が切換え圧力に達した後の昇圧保持工程においては、射出充填装置は圧力制御または位置保持制御を行ない、昇圧保持装置は圧力制御を行なう、
ことを特徴とするダイカストマシンの射出装置の制御方法。
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