JP5365765B2 - チオレドキシンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チオレドキシンの製造方法に関する。より詳細には、簡便で効率的な方法で酵母から高純度のチオレドキシンを製造する、チオレドキシンの製造方法に関する。
チオレドキシンは、DNA合成に必須のリボヌクレオチドリダクターゼの補酵素として1964年に大腸菌から発見されたタンパク質チオール-ジスルフィド・オキシドレダクターゼの一つであり、あらゆる生物種に普遍的に認められる。チオレドキシンは、それを電子受容体とするペルオキシレドキシン等と共に生体内で主要な抗酸化酵素の一つとして機能して、遺伝子発現の制御、細胞増殖の制御、細胞死の制御、細胞内に活性酸素種の消去、好中球の活性化阻害、好中球の遊走阻害等の生理活性を発現することが知られている。更に、チオレドキシンは、老化、虚血障害、急性肺不全、糖尿病等の酸化ストレスに密接な関係を示す症状や疾病に対して抵抗性を示すことから、酸化ストレスに対して重要な保護作用を示すことも明らかにされている。このように、チオレドキシンには各種有用生理活性があり、機能性食品や医薬品等に有用であると考えられている。
チオレドキシンを食品や医薬品に利用する場合、ヒトに摂取又は投与されるという性質上、高度の安全性が要求される。そのため、食品又は医薬品用のチオレドキシンの製造には、パンやビールの製造等に使用されており長年の食経験がある酵母を使用することが望ましいと考えられている。しかしながら、酵母により生合成されたチオレドキシンは酵母の菌体内に蓄積されるため、従来、酵母からチオレドキシンを得るには、培養した酵母菌体をガラスビーズやフレンチプレスによる物理的手段又は細胞壁溶解酵素を用いる手段を用いて、菌体を破砕する工程が採用されている。そのため、従来のチオレドキシンの製造方法では、酵母菌体の破砕によって、チオレドキシン以外の夾雑タンパク質も多く混在してしまい、得られるチオレドキシンの純度が低くなるという問題点があった。また、酵母を使用して高純度のチオレドキシンを製造する方法として、酵母の菌体を破砕した後に所定の膜分画を行う方法も提案されているが、この方法でも、チオレドキシンの純度の点では未だ満足できるものはない。更に、クロマトグラフィー、塩析、膜分離等の公知の精製処理を組み合わせて実施することにより、チオレドキシンの純度を高めることは可能であるが、大量の菌体を出発材料とする実用レベルの生産を考慮すると、これらの精製処理のみでチオレドキシンの純度を高めるのは現実的ではない。
このように、純度の高いチオレドキシンの製造技術に関しては、産業上実用可能な方法は、未だ十分に確立されているとは言えないのが現状である。
Kondo N. et al., J Immunol 2004; 172: 442-448 Das KC. et al., Biochem Biophys Res Commun 2000; 277: 443-447 Nakamura H. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2001; 98: 15143-15148 Mitsui A. et al., Antioxide Redox Signal 2002; 4: 693-696 Takagi Y. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1999; 96:4131-4136 Hoshino T. et al., Am J Respir Crit Care Med 2003; 168: 1075-1083 Hotta M. et al., J Exp Med 1998; 188: 1445-1451 Yoon BI. Et al., Arch Environ Contam Toxicol 2001; 41: 232-236
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。詳細には、本発明は、簡便で効率的な方法で、酵母から高純度のチオレドキシンを製造できるチオレドキシンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、酵母に対してストレス負荷処理を行うことによって、チオレドキシン選択的に酵母の菌体外に放出させることができ、高純度のチオレドキシンの製造が可能になることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げるチオレドキシンの製造方法を提供する:
項1. 酵母を用いてチオレドキシンを製造する方法であって、酵母に対してストレス負荷処理を行うことにより、チオレドキシンを酵母の菌体外に放出させる工程を含むことを特徴とする、チオレドキシンの製造方法。
項2. ストレス負荷処理が、有機溶媒ストレス、pHストレス、浸透圧ストレス、熱ストレス、酸素濃度ストレス、炭素源濃度ストレス、紫外線暴露、窒素源濃度ストレス、及び電気刺激よりなる群から選択される少なくとも1種のストレス要因を負荷する処理である、項1に記載の製造方法。
項3. ストレス負荷処理が、有機溶媒ストレス、pHストレス、及び浸透圧ストレスよりなる群から選択される少なくとも1種のストレス要因を負荷する処理である、項1に記載の製造方法。
項4. ストレス負荷処理が、有機溶媒が5〜30重量%の濃度で存在する環境下に酵母を晒す有機溶媒ストレス負荷処理である、項1に記載の製造方法。
項5. 有機溶媒が、エタノール、酢酸エチル、及びアセトンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項4に記載の製造方法。
項6. ストレス負荷処理が、pHが2〜4に調整された環境下に酵母を晒すpHストレス負荷処理である、請求項1に記載の製造方法。
項7. ストレス負荷処理が、低浸透圧溶液中に酵母を添加する浸透圧ストレス負荷処理である、項1に記載の製造方法。
項8. ストレス負荷処理時の酵母の濃度が、湿菌体重量換算で15〜300mg/mLである、項1に記載の製造方法。
項9. 酵母が、サッカロマイセス属又はジゴサッカロマイセス属に属する酵母である、項1に記載の製造方法。
項10. 下記工程(1)〜(3)を含む、項1に記載の製造方法:
(1)酵母の培養を行う工程、
(2)前記工程で得られた酵母に対して、ストレス負荷処理を行い、チオレドキシンを酵母の菌体外に放出させる工程、及び
(3)菌体外に放出されたチオレドキシンを回収する工程。
項11. 酵母がアルコール発酵酵母であり、ストレス負荷処理が有機溶媒ストレス負荷処理であって、
アルコール発酵酵母を培養して培養液中にアルコールを蓄積させ、当該アルコールが蓄積した培養液中で当該アルコール発酵酵母を保持することにより、チオレドキシンを当該アルコール発酵酵母の菌体外に放出させる工程を含む、項1に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、酵母に対してストレス負荷処理を行うことによって、酵母菌体外にチオレドキシンを選択的に放出させることができるので、酵母菌体の破砕を必須としていた従来の製造方法に比べて、夾雑タンパク質の混在を大幅に低減でき、高純度のチオレドキシンを得ることが可能になる。
また、本発明の製造方法は、酵母に対してストレス負荷処理を行うという簡便な手段を採用しており、チオレドキシンの製造コストの低減をも可能ならしめるので、その産業上の有用性は極めて高いと言える。
実施例1において、パン酵母に0〜20重量%のエタノールストレスを負荷した際に、チオレドキシンの放出挙動を観察した結果である。図中、Aには、0〜20重量%のエタノールで、37℃で一晩処理した際に、菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果;Bには、0〜20%のエタノールで、4℃、30℃、又は37℃で2時間処理した際に、菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果;及びCには、20%のエタノールで、37℃、50℃、又は60℃で2時間処理した際に、菌体外に放出されたチオレドキシン(菌体外画分)及び菌体内に残存していたチオレドキシン(菌体内画分)の測定結果を示す。
なお、図1中、チオレドキシンを「α-TRX」と略記する。以下の図2〜7においても同様である。
実施例1において、パン酵母に0又は20%のエタノールストレスを負荷することにより得られた菌体外画分及び菌体内画分について、その総タンパク質をCBB染色により測定すると共に、含有しているチオレドキシンをウエスタンブロットにより測定した結果である。図2中、上段にはCBB染色結果を示し、下段にはウエスタンブロットによりチオレドキシンを検出した結果を示す。なお、20%エタノール負荷時の菌体内画分、及び0%エタノール負荷時の菌体外画分のウエスタンブロットの結果において僅かにバンドが見えるが、これらは左右のレーンのバンドの横漏れによるものである。 実施例1において、15〜300mg(湿菌体重量)/mlの濃度のパン酵母に対して、20%エタノールで37℃で2時間処理した際に、菌体外に放出されたチオレドキシン(菌体外画分)及び菌体内に残存していたチオレドキシン(菌体内画分)を測定した結果を示す。 実施例1において、パン酵母を、pH2.2〜4.0で、37℃で2時間処理することにより得られた菌体外画分について、その総タンパク質をCBB染色により測定すると共に、含有しているチオレドキシンをウエスタンブロットにより測定した結果である。図4中、上段にはCBB染色結果を示し、下段にはウエスタンブロットによりチオレドキシンを検出した結果を示す。なお、図中、DWと示すレーンは、蒸留水をサンプルとしてアプライしたものである。 実施例1において、低浸透圧ストレス、20%のエタノールストレス、又は低pH(pH2.2又は3.0)ストレスを酵母に負荷した際に、チオレドキシンの放出挙動を観察した結果である。図中、Aには、実験室酵母及びパン酵母を、20%のエタノールで37℃で2時間処理(図5A中、EtOHと表記するレーン)、蒸留水に懸濁(低浸透圧ショック)して37℃で2時間処理(図5A中、DWと表記するレーン)、又はSD培地(2重量% = 約110 mMグルコース、及び1重量%ポリペプトン含有)に懸濁して37℃で2時間処理(図5A中、SDと表記するレーン)した際に菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果を示す。また、図中、Bには、醤油酵母を蒸留水に懸濁(低浸透圧ショック)して37℃で2時間処理(図5B中、DWと表記するレーン)、20%のエタノールで37℃で2時間処理(図5B中、EtoHと表記するレーン)、又はpH2.2及び3.0で37℃で2時間処理(図5B中、それぞれpH2.2、pH3.0と表記するレーン)した際に、菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果を示す。 実施例1において、パン酵母以外の酵母に対して、20%のエタノールで37℃で2時間処理又はpH3.0で37℃で2時間処理した際に、菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果を示す。なお、図6中のレーン1〜9は、それぞれ以下の酵母を使用した:1 清酒酵母(協会9号);2 清酒酵母(協会10号);3 清酒酵母(協会11号);4 実験室酵母(S. cerevisiae YPH250);5 パン酵母;6 ワイン酵母(OC2株);7 ビール酵母(No.34);8 ビール酵母(No.68);9 ビール酵母(No.1056)。 実施例2において、アルコール発酵酵母を培養した際に、菌体外に放出されたチオレドキシンの測定結果を示す。
以下、本発明について詳述する。
本発明のチオレドキシンの製造方法は、酵母を用いてチオレドキシンを製造する方法であって、酵母に対してストレス負荷処理を行うことにより、チオレドキシンを酵母の菌体外に放出させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法に使用される酵母としては、チオレドキシン産生能を有する酵母である限り、特に制限されない。即ち、チオレドキシンは生物種に広く認められるタンパク質であり、遺伝子工学的手法又は自然変異等によりチオレドキシン産生能が欠損されていないことを限度として、あらゆる酵母を本発明に使用できる。本発明に使用される酵母は、ヒト等の他の生物由来のチオレドキシンが遺伝子工学的手法により導入されている酵母や、遺伝子工学的手法等によりチオレドキシン産生能が高められている酵母であってもよい。
本発明の製造方法に使用される酵母として、具体的には、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ジゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)、トルロプシス属(Torulopsis)、ミコトルラ属(Mycotorula)、トルラスポラ属(Torulaspora)、カンディダ属(Candida)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、ピキア属(Pichia)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ハンセヌラ属(Hansenula)等の酵母例示される。これらの中で、好ましい酵母として、サッカロマイセス属及びジゴサッカロマイセス属の酵母が挙げられる。
本発明に使用される酵母としては、パン酵母、ビール酵母、清酒酵母、ワイン酵母、醤油酵母等の食用酵母であることが望ましく、中でもパン酵母、ビール酵母、清酒酵母は好適である。このような酵母を使用することにより、安全で効率的なチオレドキシンの製造が可能になる。
本発明の製造方法においてストレス負荷処理に供される酵母は、通常の培養方法に従って増殖させたものが使用される。具体的には、酵母の培養方法としては、例えば、回分培養、流加培養、連続培養等が採用される。当該培養では、酵母のチオレドキシン含有量が増大するように、培養条件を適宜制御しておくことが望ましい。また、当該培養は、好適にはジャーファーメンターを用いて実施され、その培養条件として具体的には以下の条件が挙げられる:
培養温度:28〜33℃程度
培養時間:1〜120時間
培養液のpH:4〜7程度程度
通気量:0〜5vvm程度
撹拌速度:100〜700rpm程度。
本発明の製造方法において、酵母に対するストレス負荷処理は、上記培養により得られた酵母に対して実施される限り、該酵母の培養液からの分離回収の有無は問わない。例えば、当該ストレス負荷処理は、上記培養により得られた培養液に対して直接実施してもよい。また、上記培養により得られた培養液から公知の手段により酵母を回収し、回収した酵母を新鮮な液体培地又は各種緩衝液等に添加することにより酵母含有溶液を調製し、該酵母含有溶液に対してストレス負荷処理を実施してもよい。
本発明の製造方法においてストレス負荷処理に供される酵母は、上記培養により得られた酵母を乾燥させた乾燥酵母であってもよい。乾燥酵母は、ベルトドライヤー、ドラムドライヤー、流動床乾燥機、温風乾燥機、ガス乾燥機、電気乾燥機等を用いて公知の方法で得ることができる。
本発明において、ストレス負荷処理を行う際の酵母の濃度については、ストレス負荷処理の条件、使用する酵母の種類等によって異なるが、例えば、湿菌体重量換算で、通常0.1〜300mg/ml、好ましくは15〜300mg/ml、更に好ましくは15〜200mg/ml、特に好ましくは30〜120mg/ml程度の濃度、或いは乾燥菌体重量換算で0.1〜250mg/ml、好ましくは10〜250mg/ml程度の濃度に調整しておくことが望ましい。また、他の観点から、ストレス負荷処理の酵母の濃度については、例えば、1.0×10〜1.0×1010cells/ml、好ましくは1.5×10〜3.0×10cells/ml、更に好ましくは1.5×10〜2.0×10cells/ml、特に好ましくは3.0×10〜1.2×10cells/mlが挙げられる。
酵母に対するストレス負荷処理は、酵母に細胞刺激を与える処理のことであり、ストレス要因が存在する環境に酵母を晒すことにより行われる。ここで、「ストレス要因が存在する環境」とは、酵母に対して、情報伝達系の活性化等の細胞応答を誘発させる環境を意味する。
酵母に負荷されるストレス要因としては、具体的には、有機溶媒ストレス、pHストレス(低pHショック、高pHショック)、浸透圧ストレス(低浸透圧ショック、高浸透圧ショック)、熱ストレス(低温ショック、高温ショック)、酸素濃度ストレス(低酸素濃度ショック、高酸素濃度ショック)、炭素源濃度ストレス(低炭素源濃度ショック、高炭素源濃度ショック)、紫外線暴露、窒素源濃度ストレス(低窒素源濃度ショック、高窒素源濃度ショック)、電気刺激等が挙げられる。
これらのストレス要因の内、1つのストレス要因を単独で負荷してもよく、また2つ以上のストレス要因を任意に組み合わせて負荷してもよい。これらの中で、好ましくは、有機溶媒ストレス、pHストレス、浸透圧ストレス、熱ストレス及びこれらの組み合わせが挙げられ、更に好ましくは、有機溶媒ストレス;有機溶媒ストレスと高温ショックの組み合わせ;有機溶媒ストレスと低pHショックの組み合わせが挙げられる。
酵母に負荷させる各ストレスの具体的条件については、使用する酵母の種類等に応じて適宜設定することができる。一例として、代表的なストレス要因を挙げて、その具体的態様を以下に示す:
有機溶媒ストレス
エタノール、酢酸エチル、アセトン等の有機溶媒、好ましくはエタノールを使用して、該有機溶媒の濃度が5〜30重量%、好ましくは15〜20重量%となる環境下に酵母を晒し、1〜16時間、好ましくは2〜4時間処理する。
また、アルコール(エタノール)発酵酵母を培養すると、当該酵母の培養時間の経過と共に培養液中にアルコールが蓄積し、このアルコール自体が当該酵母に対して有機溶媒ストレスを与えることになる。従って、アルコール発酵酵母を使用する場合には、当該酵母の培養を行うだけで有機溶媒ストレスを負荷することもできる。即ち、アルコール発酵酵母を使用する場合には、培養条件を適宜制御してアルコール発酵酵母の培養を行って、培養液中に上記濃度のアルコールを蓄積させた後、培養を上記時間継続させればよい。より具体的には、アルコール発酵酵母にアルコール負荷を行う方法として、清酒やビール等の製造時に採用される培養と同条件で、アルコール発酵酵母を培養する方法が例示される。
低pHショック
有機酸又は無機酸を添加することにより、pHが2〜4、好ましくは2.6〜3.6に調整された環境下に酵母を晒し、1〜16時間、好ましくは2〜4時間処理する。
低浸透圧ショック
高浸透圧の培地又は通常の培地で培養した酵母を、蒸留水等の低浸透圧溶液中に添加し、例えば0.1〜48時間、好ましくは1〜16時間、好ましくは2〜4時間処理する。
高温ショック
37〜60℃、好ましくは37〜50℃の温度環境下に酵母を晒し、0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間処理する。
斯くしてストレス負荷処理することによって、酵母の菌体内に蓄積されているチオレドキシンが選択的に菌体外に放出される。従って、菌体外に放出されたタンパク質を回収することにより、チオレドキシンを得ることができる。具体的には、ストレス負荷処理後に、遠心分離等の公知の固液分離手段により、酵母菌体を含む固体画分とチオレドキシンを含む液体画分に分離し、該液体画分からタンパク質を公知の手段により回収する。このようにして回収されたタンパク質中にはチオレドキシンが高い割合で含有しており、チオレドキシン高含有タンパク質として、食品や医薬品の分野で使用することができる。更に、回収されたチオレドキシン高含有タンパク質を、必要に応じて、塩析、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、膜分離、高速液体クロマトグラフィー等の公知の精製処理に供することにより、チオレドキシンの純度を更に高めることもできる。
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
1.実験材料及び実験方法
<使用菌株>
実験室酵母S. cerevisiaeYPH250(MATa trp1-Δ1 his3-Δ200 leu2-Δ1 lys2-801 ade2-101 ura3-52)株はYeast Genetic Stock Centerより取り寄せた株で、京都大学農学研究科で植え継いでいたものを使用した。パン酵母(S. cerevisiae)はオリエンタル酵母工業株式会社から分与されたものを用いた。ビール酵母(S. cerevisiae)(No.34、68、及び1056)は中越酵母工業株式会社から取り寄せたものを用いた。清酒酵母(S. cerevisiae)(協会7、10、11号)は日本醸造協会から取り寄せたものを用いた。ワイン酵母(OC2)は山梨大学ワイン研究センターから、また醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)はマルキン忠勇株式会社からそれぞれ恵与を受けた。
<酵母の培養>
醤油酵母以外の酵母は、5mlのYPD培地(2重量%グルコース、1重量%酵母エキス、2重量%ペプトン含有)を含む試験管で1〜2日間28℃で培養した菌体(種培養)の一部を新しいYPD培地に移し、28℃で対数期又は定常期(3日以上)になるまで培養を行なった。また、醤油酵母の培養は、5重量% NaCl、2重量%グルコース、0.5重量%酵母エキス、0.5重量%ペプトンからなる液体培地を用いて、上記と同条件で行った。更に、高浸透圧培地を用いた培養は、1Mソルビトールを含むYPD培地を用いて、上記と同条件で行った。
<チオレドキシンのウエスタンブロッティング>
測定サンプルを常法に従いSDS-PAGE(ゲル濃度15%)に供した。各レーンには20μgのタンパク質がロードされるようにアプライ量を調整した。SDS-PAGEによって分離したタンパク質をPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜にブロットし、次いで、大腸菌で発現・精製したチオレドキシン2を用いて免疫したウサギの抗血清を1次抗体として反応させた。次いで、Horseradish peroxidase(HRP)をコンジュゲートした抗ウサギIgG抗体を2次抗体として反応させた後、4-クロロ-1-ナフトール及びH2O2を加えてチオレドキシンのバンドを発色させた。なお、用いた1次抗体はチオレドキシン1とチオレドキシン2を区別することはできないことを確認している。
<エタノールストレス負荷処理方法>
エタノールストレス負荷処理は、以下に示す方法をベースとして、適宜その条件を変更して実施した。
YPD培地で対数期中期まで培養した酵母を集菌、洗浄し、30 OD unit分(λ=610 nm)(湿菌体として約30 mg)ずつマイクロチューブに分注した。これに、0〜20%の濃度のエタノールを含む蒸留水1mlを加えて菌体をよく懸濁し、37℃にて2時間静置することにより、エタノールストレス負荷処理を行った。その後、遠心(14000rpm、3分)により菌体を沈殿させ、上清を別のマイクロチューブに移し、50μlの100%トリクロロ酢酸(TCA)溶液を加えて氷中又は4℃で静置して、タンパク質を沈殿させた(菌体外放出画分)。別途、エタノールストレス負荷処理した後の菌体を150μlの蒸留水に懸濁し、ガラスビーズを加えFast Prepを用いて破砕した。菌体破砕物を遠心(14000rpm、4℃、10分)した後、得られた上清を菌体内別のマイクロチューブに移し、20μlの100% TCA溶液を加えて氷中又は4℃で静置して、タンパク質を沈殿させた(菌体内残存画分)。TCAにより沈殿させたサンプル(菌体外放出画分、及び菌体内残存画分)をそれぞれ遠心(14000rpm、4℃、10分)し、回収された沈殿を300〜500μlのアセトンで洗浄した。次いで、この沈殿を風乾させた後、12μlの蒸留水、4μlの1 M Tris-HCl緩衝液(pH 8)、及び4μlの5×サンプルバッファー(62.5 mM Tris-HCl buffer (pH 6.8);10重量% グルセロール、2重量% SDS、3.55mM 2-メルカプトエタノール、0.0025重量% ブロモフェノールブルー含有)を添加して懸濁し、SDS-PAGE及びウエスタンブロッティングを行なった。
<pHストレス(低pHショック)負荷処理方法>
pHストレス(低pHショック)負荷処理は、以下に示す方法をベースとして、適宜その条件を変更して実施した。
YPD培地で対数期中期まで培養した酵母を集菌、洗浄し、30 OD unit分(λ=610 nm)(湿菌体として約30 mg)ずつマイクロチューブに分注した。これに、50mMクエン酸緩衝液(pH 2.2〜4.0)1mlを加えて菌体をよく懸濁し、37℃にて2時間静置した。以後の操作は上記エタノールストレス負荷の場合と同様である。
<浸透圧ストレス(低浸透圧ショック)負荷処理方法>
浸透圧ストレス(低浸透圧ショック)負荷処理は、以下に示す方法をベースとして、適宜その条件を変更して実施した。
1Mソルビトールを含むYPD培地で対数期中期まで培養した酵母を集菌し、1Mソルビトール溶液で洗浄した。30 OD unit分(λ=610 nm)(湿菌体として約30 mg)ずつマイクロチューブに分注し、1mlの蒸留水を加えて菌体をよく懸濁し、37℃にて2時間静置することによって、低浸透圧ショックを与えた。以後の操作は上記エタノールストレス負荷の場合と同じである。また、比較のため、蒸留水の代わりに、SD培地(2重量% = 約110 mMグルコース、及び1重量%ポリペプトン含有)を用いて、同様に試験を行った。
また、醤油酵母の場合は、5重量% NaClを含む高浸透圧培地で培養した酵母を集菌した後に5重量% NaCl溶液で菌体を洗浄し、次いで菌体を蒸留水に懸濁して37℃にて2時間静置することによって、低浸透圧ショックを与えた。以後の操作は上記エタノールストレス負荷の場合と同じである。
2.実験結果
<エタノールストレス負荷の検討結果>
30mgの菌体(湿重量、パン酵母)を0〜20重量%エタノール存在下で、37℃で一晩静置した後、その上清をTCA沈殿させて菌体外放出画分を得、その全量をSDS-PAGEに供し抗チオレドキシン抗体にてウエスタンブロッティングを行なった。その結果、10〜20重量%エタノールにより菌体内のチオレドキシンは菌体外に放出されることが明らかになった(図1A参照)。
更に、より温和なチオレドキシン放出条件を検討することを目的として、パン酵母を用いて、4℃、30℃、及び37℃で0〜20重量%のエタノール存在下で2時間静置したのち、菌体外へ放出されたチオレドキシンの検出を行なった。その結果、37℃、2時間でチオレドキシンの菌体外への放出が確認された(図1B参照)。
次に、パン酵母を用い、エタノール濃度を20重量%に固定し、抽出温度を37℃、50℃、及び60℃に設定し、菌体外へ放出されるチオレドキシン、及び菌体内に残存するチオレドキシンの測定を行なった。その結果、37℃、2時間の処理で、菌体内のチオレドキシンはほぼ菌体外に抽出されることが分かった(図1C参照)。また、50℃や60℃では30分間のエタノール負荷処理で、ほぼ全てのチオレドキシンを放出させ得ることも確認された(図1C参照)。
次に、パン酵母を用いて、20重量%エタノールでover night(約16時間)、及び2時間処理した際に菌体外に放出されるタンパク質をCBB ( Coomassie Brilliant Blue )染色すると共に、ウエスタンブロッティングによるチオレドキシンの検出を行なった。即ち、エタノールストレス負荷した後に回収した菌体外画分及び菌体内画分のそれぞれ全量をSDS-PAGEに供した後、CBB染色及びウエスタンブロッティングによるチオレドキシンの検出を行なった。得られた結果を図2に示す。この結果、20重量%エタノールで37℃、over night処理することにより、菌体内のタンパク質の一部が菌体外に放出されることが分かった。一方、2時間の処理では菌体内のタンパク質は殆ど菌体外に放出されておらず、僅かに低分子量のタンパク質の放出を認めるだけであった。一方、ウエスタンブロッティングの結果からは、菌体内のチオレドキシンはほぼ全て菌体外に放出されているのが確認された。
<エタノールストレス負荷における菌体濃度の検討結果>
20重量%エタノールによるストレス負荷処理における菌体濃度の影響を検討するために、菌体の濃度を変化させてエタノールストレス負荷処理を行なった。即ち、パン酵母を用いて、15〜300mg(湿菌体重量)/mlの各菌体濃度として20重量%エタノールで37℃で2時間処理を行なった。得られた結果を図3に示す。この結果、120mg/ml以上の菌体濃度では菌体内にチオレドキシンが一部残存していたが、菌体外に放出されたチオレドキシン量と比べると、ほとんどのチオレドキシンは菌体外に放出されていると考えられ、高密度の菌体懸濁液を用いてもエタノールによるストレス負荷が有効であることが確認できた。
<pHストレス(低pHショック)負荷の検討結果>
低pHショック(50mMクエン酸緩衝液)によるチオレドキシンの菌体外への放出についてパン酵母を用いて検討を行なった。この結果、エタノールストレス負荷の場合と同様に主として低分子量のタンパク質成分が細胞外に放出され、pHの低下に伴ってその量も増加したが、チオレドキシが最も抽出されたのはpH 3.2の場合であった(図4参照)。
<浸透圧ストレス(低浸透圧ショック)負荷の検討結果>
物理的な刺激として、浸透圧ストレス負荷によるチオレドキシンの菌体外への放出を試みた。低浸透圧ストレスとして、1Mソルビトールを含むYPD培地でパン酵母又は実験室酵母を培養した後に、1Mソルビトールで菌体を洗浄した後、蒸留水に懸濁(低浸透圧ショック)して37℃で2時間インキュベートした。その結果、実験室株ではエタノールストレス負荷に匹敵するレベルのチオレドキシンの放出が観察された。パン酵母でもチオレドキシンの放出が認められたが、その放出効率はエタノールストレス負荷の場合を下回った(図5A参照)。また、1Mソルビトールで洗浄後、SD培地(2重量% = 約110 mMグルコース、及び1重量%ポリペプトン含有)に懸濁した場合にはチオレドキシンの放出は観察されなかった(図5A参照)。
5%のNaCl(856 mM)を含む培地で培養した醤油酵母を5% NaCl水溶液で洗浄した後、蒸留水に懸濁(低浸透圧ショック)して37℃で2時間インキュベートしたが、チオレドキシンの放出は認められなかった(図5B参照)。一方、20%エタノールストレス負荷では醤油酵母菌体からのチオレドキシンの放出が観察された(図5B参照)。更に、5% NaClを含むpH 2.2及びpH 3.0の50mMクエン酸緩衝液に醤油酵母菌体を懸濁してチオレドキシンの放出を行なったところ、いずれのpHでもチオレドキシンの放出が認められたが、チオレドキシンの放出量はpH 3.0の場合の方が高かった(図5B参照)。
<パン酵母以外の酵母に対するエタノールストレス負荷及びpHストレス(低pHショック)負荷の検討結果>
パン酵母以外の酵母についても、上記と同様にして、エタノールストレス負荷又は低pHショックを与えることによって、チオレドキシンの放出に与える影響を検討した。得られた結果を図6に示す。この結果から、20%エタノールの処理により、清酒酵母(協会7,10, 11号;図6のA)、実験室酵母(S. cerevisiaeYPH250;図6のB)、ワイン酵母(OC2株;図6のC)、及びビール酵母(No. 34, 68, 1056 ;図6のC)からも、チオレドキシンが菌体外に放出されることが確認された。また、低pHショック(pH 3.0)を与えた場合、清酒酵母においても、チオレドキシの放出は同様に観察されたが、放出量はエタノールストレス負荷の場合よりも若干少なめであった(図6A参照)。更に、低pHショックによるチオレドキシの放出は、実験室酵母やビール酵母(No. 34, 68, 1056)でも観察された。
<総合考察>
以上の結果から、使用する酵母の特性に応じて、適用なストレス負荷条件を適宜設定することにより、酵母の菌体外にチオレドキシンを選択的に放出させることが可能になることが明らかになった。
実施例2
清酒の製造における醪工程に準じて、アルコール発酵酵母(清酒酵母;S. cerevisiae)を培養した。清酒醸造における醪工程では、「添(first addition)」、「仲(second addition)」、「留(third addition)」という3段階に分けて酵母、米、コウジ(糖化酵素)、及び水を仕込んで、アルコール発酵が行われている。本試験では、一般的な手法で、清酒の製造における醪工程を行った。なお、本醪工程では、留後に、米:コウジ:水(重量比)がおよそ1:0.24:2.2となるように原料を混合して、発酵温度は10〜12.6℃程度にした。留の操作の後の4、7、11、14、18、21、及び25日目に培養液のサンプリングを行なった。サンプリングした培養液を遠心分離して、上清を回収し、当該上清1mLに対して50μl の100% TCA溶液を添加して、4℃で静置することによりタンパク質を沈殿させた。次いで、この沈殿を遠心(14000rpm、4℃、10分)し、回収された沈殿を300〜500μlのアセトンで洗浄した。次いで、この沈殿を風乾させた後、12μlの蒸留水、4μlの1 M Tris-HCl緩衝液(pH 8)、及び4μlの5×サンプルバッファー(62.5 mM Tris-HCl buffer (pH 6.8);10重量% グルセロール、2重量% SDS、3.55mM 2-メルカプトエタノール、0.0025重量% ブロモフェノールブルー含有)を添加して懸濁し、SDS-PAGE及びウエスタンブロッティングを行なった。
結果を図7に示す。図7から明らかなように、発酵後期において、培養液中のTRX漏出量が増大していることが確認された。なお、留後21〜25日目の培養液には、エタノールが17.1〜17.5%の濃度で蓄積していた。即ち、本結果は、発酵後期にアルコール発酵酵母が産生したアルコールが培地に蓄積し、この蓄積されたアルコールがストレス要因となって、酵母の菌体外にチオレドキシンを選択的に放出されたことを示している。

Claims (3)

  1. 下記工程(1)〜(3)を含む、チオレドキシンの製造方法:
    (1)酵母の培養を行う工程、
    (2)前記工程で得られた酵母に対して、酵母菌体の破砕を伴わずに、10〜30%濃度のエタノール存在下で、かつ37〜50℃の環境下でエタノールストレス負荷処理を行い、チオレドキシンを酵母の菌体外に放出させる工程、及び
    (3)菌体外に放出されたチオレドキシンを回収する工程。
  2. エタノールストレス負荷処理時の酵母の濃度が、湿菌体重量換算で15〜300mg/mLである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 酵母が、サッカロマイセス属又はジゴサッカロマイセス属に属する酵母である、請求項1または2に記載の製造方法。
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