JP5364534B2 - 舶用ボイラ構造 - Google Patents
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さらに、燃焼調整が可能な液体燃料を燃焼する液体燃料用バーナを備えた舶用ボイラにおいては、油火炎と空気の混合調整により低NOx化を図る技術が知られている。この場合、火炉の天井(上部)には、横並びに配置した2本のバーナが設けられている。(たとえば、特許文献2参照)
一方、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備は、陸地に近い沿岸海域において稼働するので、この設備で使用するデッキボイラ等の舶用ボイラについては、陸地の排ガス規制を適用しても問題ないよう対応しておく必要がある。
このため、両バーナBa,Bbのスワラー旋回方向は、火炉内の炉内中央部(平面視)において、燃焼ガスの流れを下流方向(伝熱バンク側)で合流させるものとなる。すなわち、スワラー旋回方向の影響を受けた燃焼ガスは、図8に示す「ガス温度等高線」や「1600℃等値面」から明らかなように、紙面下方に配置されたバーナBbの下流領域で両バーナBa,Bbにより形成されたガス流が合流し、この領域に火炎が集中して燃焼ガス温度を高くする傾向にあった。なお、図8に示す「1600℃等値面」は、1600℃の燃焼ガス温度を有する火炎状況を火炉の下流側から見た図であり、火炉内に1600℃の高温の燃焼ガス領域が広範囲にわたり形成されていることが分かる。
このような背景から、舶用ボイラの火炉内においては、火炎を拡散させることにより火炉内に形成される燃焼ガス高温部を抑制し、NOx発生量を低減することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炉内のスペースを有効利用した燃焼により、火炉内に形成される燃焼ガス高温部を抑制して燃焼ガスに含まれるNOxレベルを低減できる舶用ボイラ構造を提供することにある。
本発明に係る舶用ボイラ構造は、火炉の上面部に設置された複数の垂直下向きバーナを備え、該バーナの燃焼で発生した燃焼ガスが火炉から下流側の熱交換器群を通過して流れるように構成された舶用ボイラ構造において、前記バーナのスワラー旋回方向を時計回り及び反時計回りの異なる方向に設定し、スワラー旋回方向の異なる前記バーナを組合せて、火炎が火炉全体に拡散するよう配置したことを特徴とするものである。
このような舶用ボイラ構造によれば、燃焼ガスの流れを火炉内の炉壁及び炉壁角部に向けるようにしたので、火炉内の燃焼スペース全体を広く有効利用した燃焼が可能になる。従って、火炉内の火炎拡散性が向上し、炉内に形成される燃焼ガス高温領域を抑制してサーマルNOxの発生量を低減することができる。
このような本発明は、バーナのスワラー旋回方向を変更して最適化すればよいので、新設の舶用ボイラへの適用は勿論のこと、既設の舶用ボイラについても、バーナ部の改造あるいはバーナの交換を実施する対応をすれば容易に適用可能である。
図2に示す舶用ボイラ1は、火炉2の上面部に設置された複数の垂直下向きバーナ(以下、「バーナ」と呼ぶ)3を備えている。このバーナ3は、燃焼用空気を用いて供給された燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成して下流の熱交換器に供給する。なお、図中の符号3aは風箱であり、バーナ3は風箱3aの内部に配置されている。
こうして熱交換を終えた燃焼ガスは、出口側ガスダクト7を通ってガス出口8から舶用ボイラ1の外部へ排出される。すなわち、図示の舶用ボイラ1において、バーナ3の燃焼で発生した燃焼ガスは、その主流が火炉2の内部を図中に矢印Gで示すように流れ、火炉2の下流側(伝熱部側)に設置された熱交換器の伝熱管群Htを通過することにより、各伝熱管内を流れる蒸気等の流体を加熱するように構成されている。なお、図中の符号9は水ドラム、10は蒸気ドラム、11及び12はヘッダである。
図示のバーナ3には、スワラー旋回方向を時計回り及び反時計回りの異なる方向に設定した2種類が使用されている。具体的に説明すると、スワラー旋回方向を時計回り(矢印SR)に設定したバーナ3(3R)を紙面下側に配置し、スワラー旋回方向を反時計回り(矢印SL)に設定したバーナ3(3L)を紙面上側に配置することにより、火炎が火炉2の全体に拡散するような配置にしている。ここで、紙面上側とは、火炉2の下流側から見たボイラ幅方向の左側であり、紙面下側とは、火炉2の下流側から見たボイラ幅方向の右側である。なお、2本のバーナ3はボイラ幅方向において左右対称に配置されており、以下の説明では、区別が必要な場合のみバーナ3L,3Rの符号を使用する。
なお、上述した図1の実施形態と異なるスワラー旋回方向の組合せを採用すれば、図8のガス温度分布に示すように、スワラー旋回方向を同一にした場合(従来)には、隣接するボイラ幅方向の中心部において互いに逆向きの流れとなり、炉壁2aに向かう流れが相殺される。
また、スワラー旋回方向の時計回り及び反時計回りを逆向きにした場合(逆方向A)には、隣接するボイラ幅方向の中心部においていずれも伝熱管群Htに向かう方向となり、火炉内での滞留時間が低減することで燃焼ガス温度が高温化する。
(本発明)の場合を示している。
また、「逆方向A」の「ガス温度等高線」は、隣接する2本のバーナ間及び両バーナ下流側となる領域に高温の温度等高線が存在しており、この領域が燃焼ガス高温領域となっている。このため、「1600℃等値線」を見ると、火炉2の中心部に1600℃以上の高温火炎Fが従来よりも大きく形成されている。
図3に示す第1変形例は、3本のバーナ3を火炉2の上面部に1列配置とした場合に好適なスワラー旋回方向を示している。この変形例では、紙面上部の2本にスワラー旋回方向を反時計回りとしたバーナ3Rが採用され、紙面下部の1本にスワラー旋回方向を時計回りとしたバーナ3Lが採用されている。
なお、この場合のスワラー旋回方向は、紙面上部の1本にスワラー旋回方向を反時計回りとしたバーナ3Rを採用し、紙面下部の2本にスワラー旋回方向を時計回りとしたバーナ3Lを採用してもよい。
このようなスワラー旋回方向の組合せを採用しても、各バーナ3により形成された燃焼ガスの流れは、炉壁2a及び炉壁角部へ向かうガス量の割合が増加する。従って、火炉2内の火炎拡散性が向上し、燃焼ガスは火炉2の全体に分散するようになるので、火炉2内に形成される燃焼ガス高温領域が抑制され、この結果、舶用ボイラ1のサーマルNOx発生量を低減することができる。
このようなスワラー旋回方向の組合せを採用しても、各バーナ3により形成された燃焼ガスの流れは、炉壁2a及び炉壁角部へ向かうガス量の割合が増加する。従って、火炉2内の火炎拡散性が向上し、燃焼ガスは火炉2の全体に分散するようになるので、火炉2内に形成される燃焼ガス高温領域が抑制され、この結果、舶用ボイラ1のサーマルNOx発生量を低減することができる。
一方、火炉2の上流側となる列で、かつ、下流側に配置した2本のバーナ位置から、バーナ間距離の1/2だけボイラ幅方向の紙面下側にずらして配置した2本のバーナ3については、スワラー旋回方向を時計回りとしたバーナ3Lが採用されている。なお、上流側に配置した2本のバーナ3については、下流側に配置した2本のバーナ位置から、バーナ間距離の1/2だけボイラ幅方向の紙面上側にずらして配置した場合、バーナ3のスワラー旋回方向を反時計回りとする。
また、上述した本実施形態及びその変形例は、バーナ構造による限定を受けることはないので、たとえば図9に示すようなバーナ構造にも適用可能である。図9に示すバーナ30は、油チップ31の周囲に設けられた第1スワラー32の外周に、さらに2次スワラー33が設けられた構造となっている。このバーナ30を採用した舶用ボイラ1に上述した実施形態及び各変形例のスワラー旋回方向を適用しても、同様の作用効果を得ることができる。なお、図中の符号34,35はガスノズル、36はバーナ周壁である。
なお、本発明は上述した実施形態の舶用ボイラに限定されるものではなく、たとえば蒸発管群6の下流にリヒートバーナ及びリヒートファーネスを備えた舶用ボイラ(舶用リヒートボイラ)にも適用可能であるなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 火炉
3,3L,3R バーナ
5 過熱器
6 蒸発管群
Ht 伝熱管群
F 高温火炎
Claims (2)
- 火炉の上面部に設置された複数の垂直下向きバーナを備え、該バーナの燃焼で発生した燃焼ガスが火炉から下流側の熱交換器群を通過して流れるように構成された舶用ボイラ構造において、
前記バーナのスワラー旋回方向を時計回り及び反時計回りの異なる方向に設定し、スワラー旋回方向の異なる前記バーナを組合せて、火炎が火炉全体に拡散するよう配置したことを特徴とする舶用ボイラ構造。 - 前記バーナのスワラー旋回方向は、前記燃焼ガスの流れを炉壁及び炉壁角部へ向けるような配置の組合せであることを特徴とする請求項1に記載の舶用ボイラ構造。
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JP2009247743A JP5364534B2 (ja) | 2009-10-28 | 2009-10-28 | 舶用ボイラ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009247743A JP5364534B2 (ja) | 2009-10-28 | 2009-10-28 | 舶用ボイラ構造 |
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JP5364534B2 true JP5364534B2 (ja) | 2013-12-11 |
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Family Applications (1)
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JP2009247743A Active JP5364534B2 (ja) | 2009-10-28 | 2009-10-28 | 舶用ボイラ構造 |
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2009
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