上述のように半自動式組合せ秤では、鮮度が重要視される鶏肉等の被計量物が、上流側の解体ラインから一定量ずつ定期的に搬送されてきて、半自動式組合せ秤の天板上に蓄積される場合があり、作業者は、天板上の被計量物を掴んで供給ホッパに投入する。
この半自動式組み合わせ秤の運転中において、例えば、下流側の包装機が、包装袋の補充や交換などで一時停止する場合、あるいは、半自動式組合せ秤の作業者が交代する場合などに、一時的にしろ、被計量物が半自動式組合せ秤の天板上に山積みとなって滞留することがある。
このような滞留が発生すると、熟練していない作業者の場合では、往々にして作業を慌てて、山積みの被計量物を少しでも早く処理しようとして、半自動式組合せ秤の供給ホッパに、投入量を考慮することなく大量投入してしまうことがある。このような投入が行われると、許容重量範囲内の組合せができにくくなるから、再組合せするために計量ホッパ内の被計量物を入れ替える等の処理が必要となり、結果として、被計量物がさらに山積みになるという悪循環が繰り返され、組合せ計量精度が低下し、計量速度も低下するといった事態が生じる。
また、被計量物が滞留していない場合であっても、作業者の不慣れや疲労などにより、被計量物が複数の供給ホッパに投入されるのに要する時間が長くかかるような場合、一定の時間間隔の組み合わせ演算のタイミングで、有効計量室数が最小有効計量室数に達しなくなって、組合せ演算が行われず、計量速度が低下してしまう場合がある。
このような計量速度の低下は、作業効率等の点から経済的損失を招き、また、被計量物が、鶏肉等の場合には、重要な鮮度が低下して商品価値を損なうことになる。
本発明は、上述のような課題を解決するために為されたものであって、被計量物の滞留や作業者の不慣れや疲労などに起因して計量速度が低下するのを可及的に防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
すなわち、本発明第1の組み合わせ秤は、被計量物の投入を人手によって行うものであって、前記被計量物が供給される複数の計量部の内、組み合わせ演算に有効な計量部の数が、組み合わせ演算を開始するのに必要な最小の前記有効な計量部の数である最小有効計量部数以上であるときに、前記有効な計量部の計量値を用いて組み合わせ演算を行う半自動式の組み合わせ秤であって、
投入前の前記被計量物の滞留状態を検出する滞留状態検出手段と、
前記滞留状態検出手段によって検出される前記滞留状態に基づいて、前記最小有効計量部数を変更する変更手段と、
を具備したことを特徴とするものである。
計量部は、供給される被計量物を計量できればよく、該計量部に供給される被計量物の重量を直接計量するものであってもよいし、あるいは、複数の計量部を組とし、この組を構成する計量部全体としての重量を直接計量し、各計量部に供給される被計量物の重量を、計量部全体としての重量変化に基づいて演算算出することによって間接的に計量するものであってもよい。
組み合わせ演算に有効な計量部とは、組み合わせ演算の対象として有効な計量部である。
最小有効計量部数とは、組み合わせ演算を開始するために必要な最小の有効な計量部の数をいう。
この最小有効計量部数は、計量精度および運転能力(計量能力)などを考慮して予め当該組み合わせ秤に設定されるのが好ましい。
滞留状態検出手段は、人手によって投入される前の被計量物の滞留状態を直接的あるいは間接的に検出できるものであればよく、例えば、投入前の被計量物の重量や被計量物の堆積高さなどに基づいて、被計量物の滞留状態を直接的に検出するものであってもよいし、あるいは、被計量物の投入間隔を計測し、被計量物が滞留しているときには、投入間隔が短くなり、被計量物が滞留していないときには、投入間隔が長くなることから間接的に滞留状態を検出してもよい。
直接的に滞留状態を検出する具体例としては、例えば、投入前の被計量物が堆積される領域における被計量物の重量を検出する重量センサ、被計量物の堆積高さを検出する光電センサ、距離センサやリミットスイッチ、あるいは、滞留状態を撮像する撮像カメラなどを用いてもよい。
本発明第1の組み合わせ秤によると、滞留状態検出手段によって、投入前の被計量物の滞留を検出したときには、変更手段によって最小有効計量部数を変更してその数値を減らすことができるので、変更前に比べて、組み合わせ演算を開始するのに必要な有効な計量部の数が少なくて済み、組み合わせ演算が早く開始され、許容重量範囲内の組み合わせが早く得られることになり、計量速度の低下を防止して被計量物の滞留を解消することができる。
本発明第2の組み合わせ秤は、被計量物の投入を人手によって行うものであって、前記被計量物が供給される複数の計量部の内、組み合わせ演算に有効な計量部の数が、組み合わせ演算を開始するのに必要な最小の前記有効な計量部の数である最小有効計量部数以上であるときに、前記有効な計量部の計量値を用いて組み合わせ演算を行う半自動式の組み合わせ秤であって、前記有効な計量部の数が、前記最小有効計量部数未満であるために、前記組み合わせ演算が行われない回数を計数する計数手段と、前記計数手段の計数値に基づいて、前記最小有効計量部数を変更する変更手段とを具備している。
本発明第2の組み合わせ秤によると、例えば、作業者の不慣れや疲労などのために、被計量物の投入に要する時間が長くかかり、被計量物が供給されて計量が完了している有効な計量部の数が少なく、最小有効計量部数未満であるために、組み合わせ演算が行われなかった場合には、その組み合わせ演算が行われなかった回数が、計数手段で計数され、この計数値に基づいて、変更手段では、最小有効計量部数を変更してその数値を減らすことができるので、組み合わせ演算を開始するのに必要な有効な計量部の数が少なくて済み、変更前に比べて、組み合わせ演算が早く開始され、許容重量範囲内の組み合わせが早く得られることになり、作業者の不慣れや疲労などによって計量速度が低下するのを防止することができる。
本発明第1の好ましい実施態様では、一定時間間隔の組み合わせ演算のタイミングで、前記有効な計量部の数が、前記最小有効計量部数以上であるときに、前記組み合わせ演算を行うものであって、前記変更手段は、前記滞留状態検出手段によって滞留状態が検出されると、前記最小有効計量部数を、該最小有効計量部数から少なくとも1を減じた数値に変更し、滞留状態が検出されなくなると、変更した数値を元の数値に戻すものである。
組み合わせ演算のタイミングは、制御の1サイクルにおける一定の時間間隔の組み合わせ演算のタイミングである。
最小有効計量部数から減じる数値は、予め当該組み合わせ秤に設定するようにしてもよい。
最小有効計量部数を、該最小有効計量部数から2以上を減じた数値に変更した場合に、元の最小有効計量部数に戻すときには、1を加算した数値にし、更に、1を加算した数値にするといったように、一気に元の最小有効計量部数に戻すのではなく、徐々に戻すようにしてもよい。
この実施態様によると、被計量物が滞留している状態では、運転の当初に予め設定されている最小有効計量部数を少ない数値に変更して組み合わせ演算を早く開始するが、最小有効計量部数を少ない数値に変更すると、計量精度が悪くなるので、被計量物の滞留が解消したときには、変更した数値を元の最小有効計量部数に戻すことによって計量精度を維持することができる。
本発明第2の好ましい実施態様では、一定時間間隔の組み合わせ演算のタイミングで、前記有効な計量部の数が、前記最小有効計量部数以上であるときに、前記組み合わせ演算を行うものであって、前記計数手段は、前記組み合わせ演算のタイミングで、前記有効な計量部の数が、前記最小有効計量部数未満であるために、前記組み合わせ演算が行われない回数を計数するものであって、 前記変更手段は、前記計数手段の計数値が、予め設定された設定値以上になったときには、前記最小有効計量部数を、該最小有効計量部数から少なくとも1を減じた数値に変更し、前記有効な計量部の数が、前記変更した最小有効計量部数以上となって組み合わせ演算が行われる回数が予め設定された回数以上になったときには、前記変更した最小有効計量部数を、元の数値に戻すものである。
最小有効計量部数から2以上減じた数値に変更した場合に、元の最小有効計量部数に戻すときには、例えば、まず、1を加算した数値にし、この数値で、組み合わせ演算が行われた回数が予め設定された回数以上になったときに、更に、1を加算した数値にし、この数値で、組み合わせ演算が行われた回数が予め設定された回数以上になったときに、更に1を加算するといったように、一気に元の最小有効計量部数に戻すのではなく、徐々に戻すようにしてもよい。
この実施態様によると、作業者の不慣れや疲労などによって被計量物の投入に要する時間が長くかかり、組み合わせ演算が行われない回数が重なると、運転当初に予め設定されている最小有効計量部数を少ない数値に変更して組み合わせ演算を早く開始するが、最小有効計量部数を少ない数値に変更すると、計量精度が悪くなるので、作業者が作業に慣れ、あるいは、疲労が回復したときには、変更した数値を元の最小有効計量部数に戻すことによって計量精度を維持することができる。
本発明第1または第2の別の好ましい実施態様では、前記変更手段は、運転中に各計量部で得られる被計量物の重量値の分布データに基づいて、組み合わせ演算の成立率のシミュレーションを行って、その結果に基づいて、前記最小有効計量部数から減じる数値を決定するようにしている。
この実施態様によると、計量部で計量される被計量物の実際の重量値の分布に基づいて、組み合わせ演算の成立率を確保できるように、最小有効計量部数から減じる適切な数値を決定することができる。
本発明によると、投入前の被計量物が滞留したり、作業者の不慣れなどの要因で被計量物の投入に要する時間が長くなっても、組み合わせ演算を開始するのに必要な最小の有効な計量部の数である最小有効計量部数を少なくし、組み合わせ演算を早く開始して許容重量範囲内の組み合わせを早く得られるようにするので、計量速度が低下するのを防止することができ、被計量物の滞留を解消し、あるいは、不慣れな作業者でも作業が容易になり、また、被計量物が鶏肉や魚介類等の場合に、その鮮度の低下を防ぐことができる。
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る半自動式の組合せ秤の平面図であり、図2はその正面図であり、図3はその側面図である。
この実施形態の半自動式組合せ秤1は、被計量物の組合せ計量を行う本体2と、当該秤1の運転制御用パラメータ、例えば、組み合わせ演算を開始するのに必要な最小有効計量室数、目標組み合わせ重量、許容上限値などの設定や作動状況の表示を行う操作設定表示部3と、本体2から排出される被計量物を搬送する搬送コンベア4とを備えている。
本体2は、図3に示すように、側面視において略コの字状の基台5を備えており、この基台5の上部には、略矩形状の天板6が構成されている。
この天板6の上面には、作業者が被計量物を掴んで投入するための複数の9個の投入口121〜129が、中央部に一列に並ぶように形成されている。
各投入口121〜129の下方には、それぞれに個別に対応して複数の供給ホッパ71〜79が配設され、基台5の側部には、図3に示すように、各供給ホッパ71〜79のそれぞれに個別に連結されるロードセルからなる複数の供給ホッパ用計量センサ81〜89が格納されている。
各供給ホッパ71〜79の下方には、それぞれに個別に対応して基台5に支持された複数の計量ホッパ91〜99が配設され、基台5の側部には、各計量ホッパ91〜99のそれぞれに個別に連結されるロードセルからなる複数の計量ホッパ用計量センサ101〜109が格納されている。
各計量ホッパ91〜99は、各供給ホッパ71〜79から供給される被計量物をそれぞれ収容して計量するための2個の独立した計量部としての計量室111a〜119a,111b〜119bをそれぞれ備えている。基台5には、後述する制御回路(図示せず)が収納されている。
各供給ホッパ71〜79は、不図示のエアシリンダによって開閉駆動される2個の排出用のゲート131a〜139a,131b〜139bをそれぞれ有している。これら2個のゲート131a〜139a,131b〜139bはそれぞれ独立して開閉が可能であり、どちらか一方のゲート131a〜139a(131b〜139b)を開くことで、被計量物を計量ホッパ91〜99の一方の計量室111a〜119a(111b〜119b)に選択的に供給できるように構成されている。
計量ホッパ91〜99は、それぞれの計量室111a〜119a,111b〜119bに、不図示のエアシリンダによって開閉駆動される2個の排出用のゲート231a〜239a,231b〜239bを有している。
これら2個のゲート231a〜239a,231b〜239はそれぞれ独立して開閉が可能であり、どちらか一方のゲート231a〜239a(231b〜239)を開くことで、対応する一方の計量室111a〜119a(111b〜119b)から被計量物を選択的に排出できるように構成されている。
なお、両方のゲート231a〜239a,231b〜239bを開けば、両側の計量室111a〜119a,111b〜119bから被計量物が排出される。
この組合せ秤1が計量する被計量物は特に限定されないが、鶏肉(ブロイラー)等の生肉、イカやカツオ等の魚介類等、粘着性があり単重(1個あたりの重さ)が比較的大きい被計量物の計量に特に適している。
この実施形態では、鶏肉(ブロイラー)を解体して、各部位の肉片を許容重量範囲に真空包装する、図4に示される解体・計量・包装生産ラインに適用して説明する。図4において、図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
上流側(図4の左側)の解体ラインから供給コンベア14によって搬送されてきた鶏肉の肉片は、桟付きベルトで構成された供給コンベア15によって上方へ搬送され、連結部材16を経由して、この実施形態の半自動式の組合せ秤1の天板6上に搬送される。
搬送されて天板6上に堆積した肉片の量は、被計量物を検出する検出センサ17によって検出される。この検出センサ17は、例えば、天板6上に堆積した肉片との距離を検出する固定位置に設置されたセンサであり、堆積した肉片が山積みとなって、検出センサ17との距離が一定以下になったときに、滞留しているとして検出出力を与えるものであって、被計量物の滞留状態を検出するものである。
天板6上の肉片は、作業者によって供給ホッパ71〜79に投入され、後述のようにして許容重量範囲内になるように計量された肉片の塊は、搬送コンベア4を介して払い出しコンベヤ18に移送され、この払い出しコンベア18によって、上方へ搬送され、ファンネル19を経由して包装機20に投入されて真空包装され、鮮度を保つため冷蔵庫に収納される。
図5は、この実施形態の制御系統を示すブロック図であり、上述の図1〜図4に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この実施形態の組み合わせ秤1は、制御回路22を備えており、この制御回路22は、各部を制御するとともに、後述のように最小有効計量部数としての最小有効計量室数を変更するCPU部24と、制御プログラムが格納されているとともに、計量値などが格納されるメモリ部25と、供給ホッパ71〜79の各ゲート131a〜139a,131b〜139bを開閉する供給ホッパ用ゲート駆動回路部26と、計量ホッパ91〜99の各ゲート231a〜239a,231b〜239bを開閉する計量ホッパ用ゲート駆動回路部27と、各供給ホッパ用計量センサ81〜89からのアナログ信号をデジタル信号に変換する第1A/D変換回路部28と、各計量ホッパ用計量センサ101〜109からのアナログ信号をデジタル信号に変換する第2A/D変換部29と、検出センサ17からのアナログ信号をデジタル信号に変換する第3A/D変換回路部30と、搬送コンベア4を駆動するコンベア駆動回路部31と、包装機20に接続されたI/O回路部32と、を有している。
第1,第2A/D変換部28,29からのデジタル信号は、CPU部24において、計量値に変換される。
CPU部24は、前記計量値により計量ホッパ91〜99に被計量物が入っているかどうか検知し、被計量物が入っていなければ、供給ホッパ71〜79の左右どちらかの供給ホッパ用のゲート131a〜139a,131b〜139bを開いて、被計量物を供給ホッパ71〜79から計量ホッパ91〜99に落下させる。計量ホッパ91〜99に落下した被計量物の重量は、CPU部24によりメモリ部25に記憶される。
例えば、供給ホッパ71の右側のゲート131b〜139bを開いて被計量物を落下させて計量すると、計量ホッパ91の右側の計量室111b〜119bの重量値としてメモリ部25に記憶される。計量ホッパ91の右側の計量室111b〜119bの重量値が記憶されると、次のサイクルで、供給ホッパ71の左側のゲート131a〜139aを開いて被計量物を落下させて計量した場合、得られた計量値から記憶されている計量ホッパ91の右側の計量室111b〜119bの重量値を減算すると、計量ホッパ91の左側の計量室111a〜119aの重量値が得られる。
2分割された計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bに対応して左右に計量ホッパ用のゲート231a〜239a,231b〜239bがあるため、別個に独立して組合せ演算に参加することができる。つまり、計量ホッパの数が9個の場合、倍である18連の組合せ演算を行うことができる。
CPU部24は、一定の時間間隔の組み合わせ演算のタイミング時に、被計量物が供給されて計量が完了した組み合わせ演算に有効な計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、予め操作設定表示部3に設定されている組み合わせ演算を開始するのに必要な最小の有効な計量室の数である最小有効計量室数以上であるときには、組み合わせ演算を行う。
この組み合わせ演算では、計量された重量を種々に組み合わせ、組み合わせ合計重量が、目標重量に等しい、あるいは、目標重量に最も近い許容重量範囲内にある組み合わせを探し、組み合わせ合計重量が許容重量範囲にある組み合わせがあると、操作設定表示部3にその組合せ結果を表示する。
包装機20からの排出命令信号は、I/O回路部32より入力され、上記の組み合わせ演算によって、許容重量範囲内の組合せがあると、この排出命令信号の入力を待って、前記組合せ演算に参加している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bに対応するゲート231a〜239a,231b〜239bを、計量ホッパ用ゲート駆動回路部27により駆動して、被計量物を搬送コンベヤ4に落下させる。
搬送コンベヤ4はコンベヤ駆動回路部31により駆動され、被計量物は搬送コンベヤ4によって移送されて半自動式組合せ秤1の後段に設置されている払い出しコンベア18等によって包装機20に移送される。
そして本実施の形態においては、半自動式組み合わせ秤1の運転中において、例えば、包装機20が包装袋の補充や交換などで一時停止する場合、あるいは、作業者が交代する場合などに、一時的に、被計量物が半自動式組合せ秤1の天板6上に山積みになって滞留する場合の課題を解消する制御を行う。
すなわち、上記のごとく被計量物が山積みになった滞留が発生すると、作業に熟練していない作業者では、場合によっては、供給ホッパ71〜79に、投入量を考慮することなく被計量物を投入してしまい、目標重量に等しいあるいは許容重量範囲内の組合せができにくくなり、結果として、再組合せするために計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119b内の被計量物を入れ替える等の処理が必要となる。このような状況では、更に、被計量物が山積みされてしまうという悪循環が繰り返されてしまう。
そこで本実施の形態では、このような事態の発生を解消すべく、図6以下を参照して説明する制御が行われるようにしている。
図6は、この実施形態の制御処理を示すフローチャートである。半自動式組合せ秤1では、作業者が被計量物を供給ホッパ71〜79に投入する。
ステップS1において供給ホッパ71〜79は、その下方の計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの内、被計量物が未供給状態の計量室111a〜119a,111b〜119bに被計量物が供給されるように制御される。
次に、ステップS2において被計量物が供給された計量ホッパ91〜99に対応する計量ホッパ用計量センサ101〜109によって計量が行われる。
次いでステップS3において組み合わせ演算を開始するのに必要な最小有効計量室数の制御が行われる。この制御に関しての詳細は後述する。
ステップS4においては、組み合わせ演算のタイミングで、被計量物が供給されて計量が完了している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、最小有効計量室数以上であるかどうかの判断が行われる。ステップS4において、最小有効計量室数未満であるときには、前記ステップS1に戻り、有効計量室数が、最小有効計量室数以上であるときには、ステップS5に移行する。
ステップS5において、許容重量範囲内の組合せを探す組合せ演算が行われる。ステップS6においてはステップS5での組合せ演算の結果、許容重量範囲内の組合せがあると判断されると、ステップS7に移行する。ステップS7において包装機20からの排出命令信号があると判断されるとステップS8に移行して排出制御が行われる。この排出制御は、組合せ演算で選択された計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bから被計量物を搬送コンベア4上に排出し、ステップS1に戻る。搬送コンベア4上に排出された被計量物は、包装機20へ搬送されて包装される。
ステップS6において、許容重量範囲内の組合せがないと判断されると、ステップS9に移行する。ステップS9においては被計量物の入れ替えのための排出制御が行われる。この排出制御においては、被計量物を入れ替える計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111bが選択され、選択された計量室から被計量物が排出されてステップS1に戻り運転が継続される。排出された被計量物は、包装機20とは逆方向に回転する搬送コンベア4によって強制排出される。
図7は、図6のフローチャートのステップS3の詳細を示す。ステップS301においては、被計量物が半自動式組合せ秤1で滞留しているかどうかの判断が行われる。この判断は、上述の図4および図5に示される検出センサ17の出力に基づいて行われる。すなわち、検出センサ17は、天板6上に搬送されて堆積される鶏肉の肉片の堆積高さを、固定位置に設置した検出ンサ17との距離として検出することにより行われるものであり、肉片の堆積高さが予め定めた高さ以上になると、滞留しているとして、検出出力を与えるように構成されている。
この検出センサ14の出力に基づいて、滞留していると判断されると、ステップS303に移る。ステップS303においては、滞留処理中であることを示す滞留処理中フラグがONになっているか否かの判断が行われる。ステップS303で滞留処理中フラグがONになっていると判断されると、滞留処理が行われているとして終了し、滞留処理中フラグがONになっていないと判断されると、ステップS304に処理が移行する。
ステップS304においては、実計量速度と目標計量速度とが略等しいかどうかの判断が行われる。略等しいと判断されると、ステップS305で第1の警報処理が行われる。ここで実計量速度とは、実際の計量の速度であり、例えば、許容重量範囲内の被計量物が搬送コンベア4上に排出される時間間隔の平均値である。目標計量速度とは、操作設定表示部3に設定される目標の計量速度であり、例えば、許容重量範囲内の被計量物が搬送コンベア4上に排出される時間間隔の目標値として設定することができる。
実計量速度が、目標計量速度に略等しいにも拘らず、被計量物が滞留しているということは、被計量物の半自動式組合せ秤1への供給が多すぎるためであり、かかる場合には、この実施形態による制御処理である最小有効計量室数を少なくしても、滞留を解消することはできない。したがって、この場合には、第1の警報処理として、半自動式組合せ秤1への被計量物の供給が多すぎる旨のメッセージを操作設定表示部3に表示する。これによって、作業者は、上流側の解体ラインから搬送されてくる被計量物の供給量を少なくするといった適宜の措置を取ることができる。
また、包装機20からの排出命令信号が入力されていないと、搬送コンベア4上に、被計量物を排出できず、被計量物が滞留するので、ステップS306では、包装機20からの排出命令信号の入力の有無が判断され、排出命令信号が入力されていないと判断されたときは、ステップS307で第2の警報処理が行われる。第2の警報処理として、包装機20の状態をチェックすべきである旨のメッセージを、操作設定表示部3に表示する。これによって、作業者は、下流側の包装機20の状態をチェックするといった適宜の措置を取ることができる。
また、被計量物の単重値範囲によっては、単重値が揃いすぎているために、許容重量範囲内の組合せができない場合がある。そこで、許容重量範囲内の組合せができやすいかどうかを、組合せ成立率として把握し、ステップS308において、組合せ成立率が所定の成立率より小さい場合は、ステップS309で第3の警報処理が行われる。
組み合わせ成立率とは、組み合わせ演算を行った総数の内、許容重量範囲内の組み合わせが得られた割合をいい、具体的には、組み合わせが成立した回数を、組み合わせが成立した回数と組み合わせが成立しなかった回数との和で除した値である。第3の警報処理として、被計量物の単重値範囲によって許容重量範囲内の組合せができにくい状態である旨のメッセージを、操作設定表示部3に表示する。これによって、作業者は、被計量物である鶏肉の肉片を切断して単重値にばらつきを持たせたり、許容上限値を高く設定し直して許容重量範囲を広くするといった適宜の措置を取ることができる。
ステップS310の以下では、組み合わせ演算を開始するのに必要な被計量物の計量が完了している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数の最小数である最小有効計量室数を減らす処理が行われる。まずステップS310では、予め設定されている最小有効計量室数から1個減らして、ステップS311で組合せシミュレーションが行われる。
組合せシミュレーションでは、運転中に得られた計量ホッパ91〜99の各計量室111a〜119a,111b〜119bの計量値である単重値を元に、その平均値と分散値とを求め、被計量物の単重値が正規分布していることから、正規乱数によって模擬計量値を発生させて、最小有効計量室数を1個減らしたとしたときのシミュレーション上の組合せ演算を行い、組み合わせ成立率を求めるものであり、かかる組合せシミュレーションの手法は、公知である。
ステップS312において、組み合わせシミュレーションによって得られた組合せ成立率が、所定率以上であると判断されると、ステップS310に処理が戻って、更に、最小有効計量室数を1個減らして組合せシミュレーションが行われる。
ステップS312において組合せ成立率が、所定率より少なくなると判断されると、ステップS313で最小有効計量室数が1個増やされて、最小有効計量室数の変更処理が終了される。したがって、所定率以上の組み合わせ成立率が得られるという条件の下で、最小有効計量室数を減らすことができる。
そしてステップS314においては、滞留処理中であることを示す滞留処理中フラグがONにされることで処理が終了し、上述の図6のステップS4に処理が移行する。
したがって、被計量物が滞留している場合には、図6のステップ4では、被計量物が供給されて計量が完了している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、ステップS310において、予め設定されていた最小有効計量室数から減らされた変更後の最小有効計量室数以上であるか否かの判断が行われ、有効計量室数が、変更後の最小有効計量室数以上であると判断されたときに、組み合わせ演算が行われることになる。
これによって、被計量物が供給されて計量が完了している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、予め設定されていた最小有効計量室数より少なくても組み合わせ演算が行われることになって、最小有効計量室数の変更前に比べて、許容重量範囲内の組み合わせが早く得られることになり、計量速度が低下するのを防止することが可能となる。
なお、被計量物の滞留が解消し、ステップS301において、滞留していないと判断されると、ステップS302で、滞留処理中フラグがOFFにされて、最小有効計量室数は、予め設定されていた元の最小有効計量室数に戻されて処理が終了する。
被計量物が滞留している場合に、最小有効計量室数が、予め設定されている最小有効計量室数よりも少なくされると、早く組み合わせ演算が行われるので、計量速度が低下するのを防止することができるけれども、計量精度が悪くなる。そこで、ステップS302においては、被計量物の滞留が解消されたときには、変更した最小有効計量室数を元の最小有効計量室数に戻し、計量精度を元の精度に戻すようにしている。
以上のように、半自動式組み合わせ秤1の運転中において、被計量物が半自動式組合せ秤1の天板6上に山積みになって滞留したような場合には、最小有効計量室数を、予め設定されている最小有効計量室数から減らして、許容重量範囲内の組み合わせが早く得られるようにして計量速度が低下するのを防止できるので、熟練していない作業者であっても、被計量物の計量処理を早くして滞留を解消することが可能となり、鶏肉等の被計量物の鮮度の低下を防ぐことができる。
なお、本発明の他の実施形態として、上述の第1〜第3の警報処理を行なうためのステップS304からS309は、省略してもよい。
(実施形態2)
上述の実施形態では、被計量物が滞留している場合には、最小有効計量室数を減らしたけれども、この実施形態では、滞留の有無に関わらず、有効計量室数が、最小有効計量室数未満となる回数が、予め設定した「排出待ち回数」以上継続したとき、すなわち、作業者の不慣れや疲労などに起因して、被計量物の投入に要する時間が長くなって、一定時間間隔の組合せ演算のタイミングで組み合わせ演算が行えない回数が重なって排出待ち回数に達したときには、最小有効計量室数を、予め設定した「制御値」だけ減らすものである。
そして、有効計量室数が、この減らした最小有効計量室数以上となって組み合わせ演算を行った回数が、予め設定した「制御回数」になったときには、変更した最小有効計量室数を、予め設定されていた元の最小有効計量室数に戻すものである。
図8は、この実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS21では、有効計量室数が、運転当初に予め設定されている最小有効計量室数以上存在しないために、組合せ演算が行えない回数が「排出待ち回数」として設定され、更に、当初設定されている最小有効計量室数から減じる数値が、「制御値」として設定され、この制御値を減じた変更後の最小有効計量室数で制御を行う回数が、「制御回数」として設定される。
作業者によって被計量物が供給ホッパ71〜79に投入され、ステップS22では、供給ホッパ71〜79は、その下方の計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの内、空の計量室111a〜119a,111b〜119bに被計量物が供給されるように制御され、被計量物が供給された計量ホッパ91〜99に対応する計量ホッパ用計量センサ101〜109によって計量される(ステップS23)。
そして、ステップS24で組合せ演算を行うタイミングであるか否かが判断され、組み合わせ演算のタイミングであると判断されると、ステップS25に進む。ステップS25では、被計量物の計量が完了した計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、予め設定されている最小有効計量室数以上であるか否かが判断され、最小有効計量室数未満であると判断されたきには、ステップS32に進み、最小有効計量室数の制御中であることを示す最小有効計量室数制御フラグがONになっているかどうかが判断され、該フラグがONになっていないと判断されたきには、ステップS33に移る。
ステップS33では、有効計量室数が、最小有効計量室数未満であるために組み合わせ演算が行われなかった回数、すなわち、組合せ演算不成立回数を1つ増加させる。被計量物の投入が不十分であり、ステップS21で設定した排出待ち回数の間、連続して有効計量室数が最小有効計量室数以上でないと、ステップS22に戻る。
以上の処理が繰り返され、ステップS34において、排出待ち回数と不成立回数とが等しくなると、例えば、作業者の不慣れや疲労などに起因して被計量物の投入に要する時間が長くかかり、有効計量室数が最小有効計量室数未満となって組み合わせ演算が行われなかった回数が重なったとして、最小有効計量室数からステップS21で設定した制御値を減算したものが、変更後の最小有効計量室数としてセットされる(ステップS35)。
更に、ステップS21で設定した制御回数が制御カウンタにセットされ(ステップS36)、最小有効計量室数制御フラグがONされ(ステップS37)、不成立回数がクリアされる(ステップS38)。
上記ステップS35において、最小有効計量室数を制御値だけ少なくした後には、ステップS25では、被計量物が供給されて計量が完了している計量ホッパ91〜99の計量室111a〜119a,111b〜119bの数である有効計量室数が、当初の最小有効計量室数よりも少ない変更後の最小有効計量室数と比較されることになり、このステップS25で有効計量室数が変更後の最小有効計量室数以上であると判断されると、最小有効計量室数制御フラグがONしているか否かが判断され(ステップS26)、ONしていると判断されたきには、ステップS27で制御カウンタを1つ減らす処理が繰り返されて制御カウンタが0になるまで、すなわち、制御回数の数だけ変更後の最小有効計量室数で組合せ演算(ステップS39)が行われる。制御カウンタが0になると、ステップS29で最小有効計量室数制御フラグがOFFにされて、変更した最小有効計量室数は、予め設定されていた元の最小有効計量室数に戻される。なお、ステップS25で、有効計量室数が最小有効計量室数以上になり、ステップS26において、最小有効計量室数制御フラグがONしていないときには、ステップS31で不成立回数はクリアされ、不成立回数フラグはリセットされる。
以上のように、作業者の不慣れや疲労などに起因して被計量物の投入に要する時間が長くかかり、有効計量室数が、運転当初に予め設定されていた最小有効計量室数未満となって組み合わせ演算が行われなかった回数が重なったときには、最小有効計量室数を変更して制御値だけ減らすので、最小有効計量室数の変更前に比べて、有効計量室数が少なくても組み合わせ演算が行われることになって、許容重量範囲内の組み合わせが早く得られることになり、計量速度が低下するのを防止することが可能となるので、不慣れな作業者でも作業が容易になる。
また、変更後の最小有効計量室数で組み合わせ演算が行われる回数が、制御回数に達すると、変更した最小有効計量室数を、当初設定されていた元の最小有効計量室数に戻すので、計量精度を維持することができる。
この実施形態では、当初の最小有効計量室数から減じる数値を、「制御値」として設定したけれども、本発明の他の実施形態として、上述の実施の形態1と同様に、組み合わせシミュレーションを行って減じる数値を決定してもよい。