JP5363043B2 - 眼球運動計測装置 - Google Patents

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本発明は、眼球運動計測装置に関するものである。
人間の眼球運動には高速かつ微細な動き(固視微動)が含まれており、この固視微動は、次の三種類の動きに分類される。すなわち、低周波の小さな滑らかな動きであるドリフト、小さな跳ぶような動きであるフリック(マイクロサッカードとも呼ばれる)、非常に小さな高周波の振動であるトレモアの三種類である。固視微動の大きさは疲労や病気などに応じて変化するといわれており、例えば、ドリフトの大きさは認知症患者と健常者とで異なるとの報告があり、また、脳死直前にはトレモアが計測されないことから、トレモアと脳機能との間には密接な関係があるといわれている。
このような固視微動を計測する方式として、角膜に光を照射し、角膜反射光像を撮像してその撮像データにおける角膜反射光像の位置の時間変化を測定する方式が考えられている。例えば特許文献1には、眼球の緩やかな動きと高速運動とを共に高い精度で測定するための眼球運動計測装置が開示されている。この装置は、複数の画素を含む光検出部に入射した角膜反射光像の入射位置の移動速度に基づいて、光検出部における解像度および撮像領域を変更するものである。特許文献2には、画像処理によって視線の方向を検出するための装置が開示されている。この装置は、角膜反射光像と眼球中心との偏差に基づき、眼球回転量すなわち視線の方向を検出するものである。この装置は、二次元配列された発光素子を使用することにより、発光素子を選択的に発光させ、使用者に応じて最適な位置から投光することを企図している。
特開2005−211329号公報 特開2000−312664号公報
固視微動は極めて微細な眼球運動である為、角膜反射光像を撮像することにより固視微動を計測する際には、角膜反射光像の位置を高い精度で検出することが求められる。しかしながら、本発明者らの研究において、一定の発光輝度および照射角度でもって角膜に光を照射し、同一の光学系を使用して角膜反射光像を撮像しているにもかかわらず、計測対象者毎或いは計測毎の計測結果にばらつきが生じていた。従って、固視微動に関する共通の基準を設定することが難しく、ドリフト、フリック、及びトレモアといった各成分の大きさを精度良く算出することが困難であった。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、固視微動の成分の大きさを精度良く算出することができる眼球運動計測装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による眼球運動計測装置は、角膜に光を照射することにより生じる角膜反射光像を撮像することにより角膜の動きを計測する眼球運動計測装置であって、二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部を有し、光検出部に入射した角膜反射光像を含む撮像データを生成する撮像部と、角膜に光を照射し、角膜反射光像として複数の輝点を光検出部に結像させる照明光学系と、撮像データにおける複数の輝点それぞれの位置を算出し、該複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択し、該輝点位置の時間変化に関するデータに基づいて眼球運動に関する特徴量を算出する演算部とを備えることを特徴とする。
本発明者らは、計測対象者毎或いは計測毎の計測結果にばらつきが生じる要因として、計測毎の外部環境の違いや計測対象者毎の角膜表面の曲率の違いに着目し、また、最適な光照射条件が外部環境や角膜表面の曲率により変化することを見出した。この眼球運動計測装置においては、角膜に光を照射する照明光学系が、角膜反射光像として複数の輝点を光検出部に結像させる。なお、このような照明光学系は、例えば複数の光源からの光を角膜に照射したり、或いは一つの光源からの光を2つ以上の光路に分割して角膜に照射することにより実現される。眼球運動計測装置は、このような照明光学系によって得られた複数の輝点それぞれの位置を算出し、該複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択する。そして、この輝点位置の時間変化に関するデータに基づいて、眼球運動に関する特徴量(すなわち固視微動の成分の大きさ)を算出する。このような構成によって、計測時の外部環境や角膜表面の曲率にかかわらず、固視微動の成分の大きさを精度良く算出することができる。
また、眼球運動計測装置は、演算部が、複数の輝点位置を算出する輝点位置演算手段と、所定条件を満足する輝点位置を選択する輝点抽出手段と、特徴量を算出する特徴量算出手段とを有することを特徴としてもよい。これにより、上述した演算部を好適に実現できる。また、この場合、輝点位置演算手段は、撮像データにおいて周囲より明るい領域を抽出し、該領域が輝点に該当するか否かを判定する輝点判定処理手段と、輝点の位置を演算する位置演算処理手段とを含むと良い。これにより、複数の輝点位置を的確に算出することができる。
また、眼球運動計測装置は、被検者に注視させるための指標を提示することにより視線を一定方向に保つ指標提示部を更に備えることを特徴としてもよい。この指標提示部によって被検者の視線を一定方向に保つことで、微細な眼球運動である固視微動を更に精度良く計測できる。
また、眼球運動計測装置は、照明光学系が、複数の輝点のそれぞれに対応する複数の光源を有することを特徴としてもよい。これにより、角膜反射光像として複数の輝点を光検出部に結像させる照明光学系を好適に実現できる。また、この場合、複数の光源の光照射条件を互いに異ならせることにより、位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を好適に選択することができる。例えば、複数の光源と角膜との距離が複数の光源同士で互いに異なると良い。または、複数の光源と角膜とを結ぶ光軸の方向が複数の光源同士で互いに異なると良い。または、複数の光源の発光輝度が互いに異なると良い。
また、光源として可視光源を用いた場合には光量を上げると被検者が眩しいので、上記複数の光源は赤外光源であることが好ましい。
また、眼球運動計測装置は、位置精度に関する所定条件は、輝点位置の時間的変動の度合いが所定の閾値より小さいことであることを特徴としてもよい。このような条件によって輝点位置を選択することにより、輝点位置の算出結果に含まれるノイズ等の影響を低減し、固視微動の成分の大きさをより精度良く算出することができる。
本発明による眼球運動計測装置によれば、固視微動の成分の大きさを精度良く算出することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による眼球運動計測装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明による眼球運動計測装置の一実施形態を示す概略図である。図1を参照すると、本実施形態による眼球運動計測装置1は、照明2、ハーフミラー3、集光レンズ4、撮像部5、演算部6、光源制御部7、及び指標提示部11を備えている。照明2及び集光レンズ4は本実施形態における照明光学系を構成しており、被検者の眼球100の角膜101に光La1〜La4を照射し、角膜反射光像(プルキンエ像)として複数の輝点を撮像部5の光検出部に結像させる。集光レンズ4、撮像部5、及び演算部6は、計測部(カメラ)10の内部に収容されている。
照明2は、上記複数の輝点に対応する複数の光源(図1には4つの光源を図示)21a〜21dを有しており、各光源21a〜21dは、例えば赤外光LEDといった赤外光源によって構成される。各光源21a〜21dは角膜101と光学的に結合されており、光源21a〜21dが角膜101へ赤外光La1〜La4を照射することによって、角膜101において赤外光La1〜La4が反射して角膜反射光像Lbが生じる。なお、照明2の光源としては赤外光源に限らず他の波長域の光源を用いることができるが、可視光源を用いた場合には光量を上げると被検者が眩しいため、赤外光源を用いることが好ましい。各光源21a〜21dの発光輝度や発光タイミングは、光源制御部7によって制御される。
ここで、図2(a)〜図2(c)は、照明2の構成例を示す図である。図2(a)に示す構成では、複数の光源21a〜21dと角膜101との距離が光源同士で互いに異なっている。具体的には、光源21aと角膜101との距離をDa、光源21bと角膜101との距離をDb、光源21aと角膜101との距離をDc、光源21aと角膜101との距離をDdとすると、Da<Db<Dc<Ddとなるように複数の光源21a〜21dが配置されている。なお、図2(a)には示していないが、角膜101に対する光源21a〜21dからの光La1〜La4の入射角を揃えたい場合には、ハーフミラー等の光学部品を光源21a〜21dと角膜101との間に配置してもよい。
また、図2(b)に示す構成では、複数の光源21a〜21dと角膜101とを結ぶ光軸の方向が光源同士で互いに異なっている。具体的には、角膜101から見た光源21a〜21dの設置方向と視線軸方向との成す角をそれぞれθa〜θdとすると、θa<θb<θc<θdとなるように複数の光源21a〜21dが配置されている。なお、図2(b)では複数の光源21a〜21dが水平方向に並んで配置されているが、垂直方向や斜め方向に並んで配置されてもよい。また、複数の光源21a〜21dは視線軸を跨ぐように視線軸の両側に分かれて配置されてもよく、視線軸の一方の側に偏って配置されてもよい。
また、図2(c)に示す構成では、複数の光源21a〜21dは角膜101からそれぞれ等しい距離に配置されており、光源21a〜21dの発光輝度が互いに異なっている。ここで、発光輝度が異なるとは、同一構成の赤外光源が一般に有する定格範囲内のばらつき程度の差異ではなく、赤外光源の構成の相違や赤外光源への供給電力の設定値の相違等に基づく実質的な差異を意味する。
図3(a)〜図3(c)は、照明2の別の構成例を示す図であって、照明2における複数の光源の配置例を示す図である。図3(a)に示す照明2Aは4つの光源21a〜21dを有しており、これらの光源21a〜21dは菱形の各頂点に相当する位置に配置されている。また、図3(b)に示す照明2Bは5つの光源21a〜21eを有しており、これらの光源21a〜21eのうち4つの光源21a〜21dは菱形の各頂点に相当する位置に配置されており、残りの光源21eは菱形の中心に相当する位置に配置されている。また、図3(c)に示す照明2Cは3つの光源21a〜21cを有しており、これらの光源21a〜21cは直角二等辺三角形の各頂点に相当する位置に配置されている。本実施形態の照明2において、複数の光源は図3(a)〜図3(c)に示したように配置されてもよい。
なお、複数の光源21a〜21dとしては、赤外LED以外にも、例えば半導体レーザや半導体レーザアレイ、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)、或いは2次元表示デバイス(液晶パネル)に複数の輝点画像を表示させたもの等を用いることができる。また、複数の輝点を撮像部5の光検出部に結像させるための照明光学系は、複数の光源21a〜21dにより構成される以外にも、例えば一つの光源からの光を2つ以上の光路に分割して角膜101に照射することでも好適に実現される。或いは、一つの光源と反射型又は透過型の光学素子(回折光学素子やピンホールアレイ、複数の反射部を有する光学素子など)とを組み合わせたものを用いてもよい。
再び図1を参照して、眼球運動計測装置1の構成を説明する。ハーフミラー3は、角膜反射光像Lbを透過して、該角膜反射光像Lbを撮像部5のセンサ部(光検出部)51に入射させるように配置されている。また、ハーフミラー3は、角膜101と撮像部5とを結ぶ光軸の脇に設置された指標提示部11を被検者が視認可能なように、指標提示部11と角膜101とを光学的に結合している。指標提示部11は、被検者に注視させるための指標を提示することにより視線を一定方向に保つための手段である。指標提示部11は、例えば可視光を発生する複数のLEDとピンホールマスクとを組み合わせて、互いに位置が異なる複数の輝点パターンを指標として発生するように構成されるとよい。この複数の輝点パターンは、図示しない制御装置によって何れか一つが選択され、当該輝点パターンに対応するLEDが選択的に発光制御される。なお、指標提示部11は、このような構成以外にも、例えば液晶パネルのような画像表示装置や回転板等によって構成されてもよい。ハーフミラー3は、指標提示部11から出射された可視光Lcを眼球100へ向けて反射する。これにより、指標提示部11を被検者に提示して被検者の視線すなわち角膜101の角度位置を安定させつつ、角膜101を撮像することができる。なお、指標提示部11とハーフミラー3との間に、視力調整用のレンズ11aが設けられると尚良い。
集光レンズ4は、光像Lbを集光して撮像部5のセンサ部51上に結像させるためのレンズである。集光レンズ4は、ハーフミラー3と撮像部5との間に配置されている。
撮像部5は、所定のフレームレートでもって角膜反射光像Lbを撮像するための手段である。撮像部5は、二次元状に配列された複数の画素を含むセンサ部51を有しており、センサ部51に入射した角膜反射光像Lbを各画素において電気信号に変換することにより、角膜反射光像Lbに関する画素毎の入射光量を示す撮像データを生成する。撮像部5は、生成した撮像データを表示装置や映像出力端子といった出力手段へ出力するとともに、撮像データを演算部6に提供する。
演算部6は、撮像部5から提供された撮像データ(角膜反射光像Lb)に含まれる複数の輝点の位置を各フレーム毎に算出し、複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択する。そして、選択した輝点位置の時間変化に関するデータに基づいて、眼球運動に関する特徴量、すなわちドリフト、フリック、又はトレモアといった固視微動の大きさを算出する。なお、演算部6は、電気回路として実現されてもよいし、中央演算処理装置やメモリを有するコンピュータ内部でソフトウェアとして実現されてもよい。
図4は、本実施形態における撮像部5の内部構成を示すブロック図である。撮像部5は、前述したセンサ部51に加え、センサ部51から読み出された電荷Qを処理して撮像データSbを生成するセンサ信号読出回路52と、センサ部51及びセンサ信号読出回路52を駆動するセンサ駆動回路53とを有している。
図5は、撮像部5の詳細な内部構成を示す図である。本実施形態の撮像部5は、例えば数百Hz〜1kHzといった高速なフレームレートを有する撮像装置であり、このような撮像装置としては、例えば浜松ホトニクス製のインテリジェントビジョンシステム(IVS)カメラが挙げられる。このような撮像装置を用いることで、100[Hz]程度の振動数を持つといわれる角膜101の固視微動を精度よく計測することができる。センサ部51はいわゆるMOS型の撮像素子であり、二次元状(m行×n列)に配列された複数の画素51aを有している。複数の画素51aのそれぞれは、入射した光の光量に応じた電荷Qを生成する。電荷Qは、センサ駆動回路53からの駆動信号Scに従って順次送り出される。
センサ信号読出回路52は、増幅部54、A/D変換部55、及びスイッチ部56を含んで構成されている。増幅部54は、センサ部51の行数に対応するm個のアンプ54aを有している。m個のアンプ54aは、それぞれセンサ部51の画素51aの対応する行と電気的に接続されており、n列の画素51aから電荷Qを順次受け取る。そして、アンプ54aは、電荷Qを増幅するとともに電荷Qを電圧信号である画像信号Saに変換する。
A/D変換部55は、センサ部51の行数に対応するm個のA/D変換器55aを有している。m個のA/D変換器55aは、対応するm個のアンプ54aとそれぞれ電気的に接続されており、電圧信号(アナログ信号)である画像信号Saをアンプ54aから受けてディジタル信号である撮像データSbに変換する。なお、本実施形態ではディジタル信号に変換された撮像データSbを撮像部5からの撮像データとしているが、アナログ信号である画像信号Saを撮像部5からの撮像データとして用いてもよい。
スイッチ部56は、センサ部51の行数に対応するm個のスイッチ56aを有している。m個のスイッチ56aは、対応するm個のA/D変換器55aと演算部6との間に設けられており、A/D変換器55aと演算部6との接続/非接続を、センサ駆動回路53(図2参照)からの制御信号に基づいて制御する。スイッチ56aが接続状態になると、A/D変換器55aからの撮像データSbが演算部6へ提供される。m個のスイッチ56aはそれぞれ演算部6と電気的に接続されており、個別に接続/非接続が制御される。
センサ部51及びセンサ信号読出回路52についてさらに詳しく説明する。図6は、センサ部51と、アンプ54a、A/D変換器55a、及び演算部6との電気的接続関係を示す図である。図6を参照すると、センサ部51は、フォトダイオードといった光電変換素子により構成される複数の画素51aを有している。そして、センサ部51は、複数の画素51aに対応する複数のコンデンサ51b及び複数の読み出し用スイッチ51cを有している。画素51aの光電変換素子とコンデンサ51bとは互いに並列に接続されており、光電変換素子及びコンデンサ51bの一端に読み出し用スイッチ51cの一端が接続されている。読み出し用スイッチ51cの他端は、同一行に含まれる他の読み出し用スイッチ51cの他端と共に、アンプ54aの入力端に接続されている。読み出し用スイッチ51cは、センサ駆動回路53(図4参照)と電気的に接続されており、センサ駆動回路53からの駆動信号Scに従って個別に接続/非接続が制御される。アンプ54aの出力端はA/D変換器55aの入力端と電気的に接続されており、A/D変換器55aの出力端は演算部6と電気的に接続されている。
図6に示したセンサ部51及びセンサ信号読出回路52の動作は、次のとおりである。センサ部51に角膜反射光像Lbが入射すると、各画素51a毎の角膜反射光像Lbの入射光量に応じた電荷がコンデンサ51bに蓄積される。センサ駆動回路53からの指示に応じて読み出し用スイッチ51cが各行において順次接続されると、コンデンサ51bに蓄積された電荷Qがアンプ54aに順次送られる。電荷Qは、アンプ54aによって電圧信号に変換されるとともに増幅されて画像信号Saとなる。画像信号Saは、A/D変換器55aによってアナログ信号からディジタル信号へ変換されて撮像データSbとなる。撮像データSbは、演算部6へ出力される。図7は、撮像データSbの一例を示す図である。図7に示されるように、撮像データSbには、複数の光源21a〜21dに対応する複数の輝点A1〜A4が含まれている。
なお、演算部6における演算を高速に行うために、撮像部5は、各画素51aのそれぞれに対応する並列演算回路をさらに有することが好ましい。このような並列演算回路は、例えばA/D変換器55aの後段に接続される。
図8は、本実施形態における演算部6の内部構成を示すブロック図である。図8に示すように、演算部6は、輝点位置演算手段61と、輝点抽出手段62と、特徴量算出手段63とを有している。輝点位置演算手段61は、図7に示した複数の輝点A1〜A4それぞれの位置に関する輝点位置情報Sfを算出する。輝点抽出手段62は、輝点位置演算手段61から輝点位置情報Sfを受けて、複数の輝点A1〜A4の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択する。輝点抽出手段62は、選択した輝点位置に関する選択情報Sgを特徴量算出手段63へ提供する。特徴量算出手段63は、輝点抽出手段62からの選択情報Sgに基づき、選択された輝点位置に関する輝点位置情報Sfを輝点位置演算手段61から受けて、固視微動の大きさといった特徴量を算出する。なお、輝点位置演算手段61、輝点抽出手段62、及び特徴量算出手段63は、それぞれ独立した電気回路として実現されてもよいし、コンピュータ内部でそれぞれソフトウェアの一部分として実現されてもよい。
図9は、輝点位置演算手段61の内部構成を示すブロック図である。輝点位置演算手段61は、図9に示すように、雑音処理手段611、輝点判定処理手段612、及び位置演算処理手段613を有している。雑音処理手段611は、撮像データSbを撮像部5から受け、画像平滑化処理およびモフォロジー処理を行うことにより、撮像データSbに含まれる雑音を除去する。輝点判定処理手段612は、雑音処理手段611によって雑音が除去された撮像データSdにおいて、周囲より明るい領域を抽出し、該領域が輝点に該当するか否かを判定する。輝点判定処理手段612は、判定した輝点に関する輝点情報Seを位置演算処理手段613へ提供する。位置演算処理手段613は、輝点情報Seに基づき、輝点判定処理手段612によって判定された輝点の位置を演算し、輝点位置情報Sfを出力する。
ここで、図10は、輝点位置演算手段61及び輝点抽出手段62の動作(処理内容)に関するフローチャートである。図10を参照しつつ、輝点位置演算手段61及び輝点抽出手段62の詳細な動作について以下に説明する。
<雑音除去処理(画像平滑化、モフォロジー処理)>
撮像データSbに含まれる雑音(ノイズ)を軽減するため、雑音処理手段611において、下記の雑音除去処理を行う(図10のステップS1)。なお、平滑化処理は、撮像データSbの幅広い領域に含まれるノイズを軽減し、モフォロジー処理は、撮像データSbの局所的な領域に含まれるノイズを除去する。
まず、画素位置(x、y)(但し、xは1からnまでの整数、yは1からmまでの整数とする)の明るさをD(x、y)とする。
次に、以下の演算式により、撮像データ全体にわたって平滑化処理(4近傍演算による平滑化)を行う。
D’(x、y)={D(x−1,y)+D(x,y−1)+D(x+1,y)+D(x,y+1)+4×D(x,y)}/8
そして、モフォロジー処理(単独輝点の除去)として、まず、所定のノイズ評価レベルを示す閾値thよりD(x、y)が大きい場合には変数M(x,y)=1とし、それ以外の場合には変数M(x,y)=0とする。そして、M(x−1,y)、M(x+1,y)、M(x,y−1)、及びM(x,y+1)の論理積をM’(x,y)とし、M’(x−1,y)、M’(x+1,y)、M’(x,y−1)、及びM’(x,y+1)の論理和をM’’(x,y)とする。なお、このM’(x,y)及びM’’(x,y)の算出を、それぞれ同じ回数だけ所定回繰り返すとよい。そして、M’’(x,y)の値が1である場合にはD’(x、y)にD(x、y)の値を代入し、そうでない場合にはD’(x、y)を0とする。こうして、図9に示した撮像データSdが生成される。
なお、上述した平滑化処理およびモフォロジー処理は、撮像データSbにおける最も外側の行、及び最も外側の列に対しては行わない。
<極大点抽出処理(近傍の値との比較により極大値を判定する)>
輝点判定処理手段612は、雑音処理手段611から提供された撮像データSd中の各画素の明るさD’(x、y)と、その周辺画素の明るさD’(x−1,y)、D’(x,y−1)、D’(x+1,y)、及びD’(x,y+1)とを比較し、当該画素の明るさD’(x、y)の値が大きい場合に、当該画素を極大点として検出する(図10のステップS2)。なお、比較対象となる周辺画素としては、行方向及び列方向に隣接する4画素に限らず、斜め方向に隣接する画素も含めた8画素としてもよい。
<輝点判定処理(合計輝度値、対象面積および境界領域輝度値などによる輝点判定)>
続いて、輝点判定処理手段612は、極大点抽出処理によって求められた極大点に対し、その極大画素を中心とする所定領域(例えば3×3画素や5×5画素)に対して、下記の輝点判定値を算出する。そして、輝点判定処理手段612は、所定領域内に含まれる全ての画素の判定値が所定の閾値を越えた場合に、当該所定領域を、複数の光源21a〜21d(図1を参照)のいずれかに対応する輝点であると判定する(図10のステップS3)。なお、この所定領域は、照明光学系により決定されるセンサ部51の受光面上の輝点サイズに基づいて、当該輝点を含む適切な大きさに設定されるとよい。
輝点判定値としては、例えば以下に示す輝点合計輝度、輝点面積、境界領域輝度値、円形度値、1次モーメント/0次モーメントの比率などが好適に用いられる。
(ア)輝点合計輝度値
輝点の全体の輝度値を示す輝点判定値である。具体的には、極大点を中心とする所定領域の各画素の明るさD’を合計した数値である。
(イ)輝点面積
輝点の面積を示す輝点判定値である。具体的には、極大点を中心とする所定領域において、明るさD’が所定の閾値より大きい画素数をカウントして求める。ここで、所定の閾値は、センサ部51の受光面上におけるノイズレベルより大きな値であることが望ましい。例えば、センサ部51のダークレベルの最大値を所定の閾値としても良いし、或いはセンサ部51のダークレベルの平均値をA、標準偏差をSとして(A+3S)の値を所定の閾値としても良い。
(ウ)境界領域輝度値
輝点の演算対象領域の境界付近の輝度値から、単独の輝点か否かを判定するための輝点判定値である。具体的には、極大点を中心とする所定領域において、下記で表される周辺部輝度値を中央部輝度値で除した値を輝点判定値とする。
周辺部輝度値:極大点を中心とする所定領域において、最も外側(すなわち境界部分)に位置する画素の明るさD’の合計
中央部輝度値:極大点を中心とする所定領域において、最も外側(境界部分)に位置する画素を除く全ての画素の明るさD’の合計
(エ)円形度値
輝点の演算対象領域において、水平方向の半値幅Wxおよび垂直方向の半値幅Wyを求め、これらの半値幅の比(Wx/Wy)の比を円形度値とする。ここで、半値幅Wx,Wyは、極大点を含む行(x方向)及び列(y方向)において、明るさD’が極大点の明るさD’の1/2を超えた画素の数である。
(オ)1次モーメント/0次モーメントの比率
輝点の演算対象領域において、1次モーメントと0次モーメントとの比(以下、モーメント比という)を求めて輝点のひずみ形状を示す値を得、これを輝点判定値とする。このモーメント比は、極大点の位置を(x,y)とすると、下記の演算により求められる。
0次モーメント:Σ{D(x,y)}
x方向1次モーメント:Σ{i×D(x+i,y)} (但し、i=−m〜+m;mは所定のx方向演算範囲を示す整数)
y方向1次モーメント:Σ{j×D(x,y+j)} (但し、j=−n〜+n;nは所定のy方向演算範囲を示す整数)
x方向モーメント比(Mx):(x方向1次モーメント)/(0次モーメント)
y方向モーメント比(My):(y方向1次モーメント)/(0次モーメント)
輝点判定処理手段612は、極大点抽出処理によって抽出した極大点を中心とする所定領域に関し、以上に示した輝点判定値を算出して、次の条件(1)〜(5)のうち少なくとも一つの条件に該当する領域を、輝点として十分な情報量を持っていないとして演算対象から排除する。すなわち、輝点判定処理手段612は、条件(1)〜(5)の全てに該当しない領域を、複数の光源21a〜21d(図1を参照)のいずれかに対応する輝点であると判定する。
(1)輝点合計輝度値が、所定の値より小さい場合
(2)輝点面積が、所定の最小輝点面積より小さい場合、又は所定の最大輝点面積より大きい場合
(3)境界領域輝度値が、所定の最小比より小さい場合
(4)円形度値が、所定の円形度許容値(例えば0.5)より小さい場合
(5)モーメント比の絶対値が、(0.5+許容度)を超える場合(許容度は予め定めた値、例えば0.1)
なお、輝点判定処理手段612は、上記条件(1)〜(5)のうち一部の条件に基づいて、当該領域が輝点であるか否かを判定してもよい。輝点判定処理手段612は、こうして判定した輝点に関する輝点情報Seを位置演算処理手段613へ提供する。
<極大点を中心とする所定領域の重心演算>
位置演算処理手段613は、輝点情報Seに示された輝点の極大点を中心とする所定領域(例えば3×3画素や5×5画素)の重心位置を演算する(図10に示すステップS4)。輝点の重心位置は、当該輝点における極大点の位置を(x,y)、明るさをD(x,y)として、下記の演算から求められる。
0次モーメント:Σ{D(x,y)}
x方向1次モーメント:Σ{i×D(x+i,y)} (但し、i=−m〜+m;mは所定のx方向演算範囲を示す整数)
y方向1次モーメント:Σ{j×D(x,y+j)} (但し、j=−n〜+n;nは所定のy方向演算範囲を示す整数)
x方向重心位置(Px):x+{(x方向1次モーメント)/(0次モーメント)}
y方向重心位置(Py):y+{(y方向1次モーメント)/(0次モーメント)}
位置演算処理手段613は、こうして得られた輝点の重心位置に関する情報を、輝点位置情報Sfとして出力する。
<重心位置から眼球運動位置への換算>
輝点抽出手段62は、位置演算処理手段613から提供された輝点位置情報Sfの時間変化を、下記の変換式により実際の眼球運動へ変換する(図10に示すステップS5)。
Qx=f(Px)≒(Ax)×(Px)+(Bx)
Qy=f(Py)≒(Ay)×(Py)+(By)
ここで、(Px,Py)は撮像データにおける輝点位置であり、(Qx,Qy)は実際の眼球運動位置である。また、(Ax,Bx)及び(Ay,By)は線形近似の係数である。これらの係数(Ax,Bx)及び(Ay,By)は、例えば模擬眼球を用いて予め求めた眼球の回転角と輝点移動距離との関係に基づいて算出しておくか、或いは提示位置の異なる二つの指標を被検者に提示した場合の輝点の移動距離に基づいて算出しておくとよい。
<所定条件を満たす輝点位置の抽出>
続いて、輝点抽出手段62は、複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択(抽出)する(図10に示すステップS6)。本実施形態では、輝点抽出手段62は、複数の輝点位置の時間的変動の度合いに基づいて計測精度の評価を行い、ノイズが小さいと推測される輝点位置を選択する。なお、前述した雑音除去処理、極大点抽出処理、及び輝点判定処理によって1フレーム毎の輝点としての条件(明るさ、形状など)を判定しているので、この輝点抽出処理では、或る一定の時間内に連続して得られた撮像データに関する時系列データに対して、評価を行う。具体的な計測精度の評価方法としては、眼球は滑らかに移動するという前提が成り立つことから、一定期間において、各フレームにおける輝点位置とその直前のフレームにおける輝点位置との差分の標準偏差を求める。そして、標準偏差が所定の閾値より小さい輝点位置について、ランダムなノイズが十分に小さいと判断し、測定結果として選択する。輝点抽出手段62は、選択した輝点位置に関する情報を選択情報Sgとして特徴量算出手段63へ提供する。
特徴量算出手段63は、こうして選択された輝点位置に関する情報に基づいて下記の演算を行い、眼球運動に関する時系列データを求める。なお、下記の演算において、Qx(t=T,n=i)及びQy(t=T,n=i)は、選択された輝点(輝点番号i)の時刻Tにおける実際の眼球運動位置である。
各フレームのx方向位置の差分:ΔQx(t=T,n=i)=Qx(t=T,n=i)−Qx(t=T−1,n=i)
各フレームのy方向位置の差分:ΔQy(t=T,n=i)=Qy(t=T,n=i)−Qy(t=T−1,n=i)
差分ΔQxの輝点平均:ΔQ’x(t=T)=Σ(ΔQx(t=T,n=1〜N))/N (但し、Nは選択された輝点の個数)
差分ΔQyの輝点平均:ΔQ’y(t=T)=Σ(ΔQy(t=T,n=1〜N))/N (但し、Nは選択された輝点の個数)
続いて、上記演算により得られたΔQ’x(t=T)及びΔQ’y(t=T)より、眼球運動に関する時系列データQ’x(t)及びQ’y(t)を下記の演算により求める。
Q’x(t=T)=Q’x(t=T−1)+ΔQ’x(t=T) (但し、初期値Q’x(t=0)は任意の位置に設定する)
Q’y(t=T)=Q’y(t=T−1)+ΔQ’x(t=T) (但し、初期値Q’y(t=0)は任意の位置に設定する)
そして、特徴量算出手段63は、この時系列データに基づいて、ドリフト、フリック、又はトレモアといった固視微動の大きさに関する特徴量を算出する。
以上に説明した本実施形態による眼球運動計測装置1によれば、以下の効果が得られる。前述したように、固視微動は極めて微細な眼球運動である為、角膜反射光像を撮像することにより固視微動を計測する際には、角膜反射光像に含まれる輝点位置を高い精度で検出することが求められる。しかしながら、一定の発光輝度および照射角度でもって角膜に光を照射し、同一の光学系を使用して角膜反射光像を撮像しているにもかかわらず、計測対象者毎或いは計測毎の計測結果にばらつきが生じていた。本発明者らは、計測対象者毎或いは計測毎の計測結果にばらつきが生じる要因として、計測毎の外部環境の違いや計測対象者毎の角膜表面の曲率の違いに着目した。そして、外部環境や角膜表面の曲率に応じて、固視微動計測に最適な光照射条件が変化することを見出した。
図11は、光照射条件が互いに異なる4つの光源を用いた場合の角膜反射光像の例を示す模式図である。この場合、理想的には図11(a)に示すように複数の輝点A1〜A4が明確に結像されるが、実際には、図11(b)に示すように、光照射条件によって複数の輝点A1〜A4の形態に相違が生じる。すなわち、外部環境や角膜表面の曲率が影響して、例えば図11(b)の輝点A2のように輪郭がぼやけたり、輝点A3のように直径が過小となったり、或いは輝点A4のように輪郭が楕円形状となる。
本実施形態の眼球運動計測装置1においては、角膜101に光を照射する照明2が、角膜反射光像として複数の輝点をセンサ部51に結像させる。そして、このような照明2によって得られた複数の輝点位置を、演算部6の輝点位置演算手段61がそれぞれ算出し、輝点抽出手段62が複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置(例えば図11(b)に示す輝点A1の位置)を選択する。そして、特徴量算出手段63は、この輝点位置の時系列データに基づいて、眼球運動に関する特徴量(すなわち固視微動の成分の大きさ)を算出する。したがって、計測時の外部環境や角膜表面の曲率にかかわらず、固視微動の成分の大きさを精度良く算出することができる。
輝点位置を選択するための位置精度に関する所定条件は、輝点位置の時間的変動の度合いが所定の閾値より小さいことであることが好ましい。このような条件によって輝点位置を選択することにより、輝点位置の算出結果に含まれるノイズ等の影響を低減し、固視微動の成分の大きさをより精度良く算出することができる。
また、本実施形態のように、眼球運動計測装置1は、被検者に注視させるための指標を提示することにより視線を一定方向に保つ指標提示部11を備えることが好ましい。この指標提示部11によって被検者の視線を一定方向に保つことで、微細な眼球運動である固視微動を更に精度良く計測できる。
また、本実施形態のように、照明2は、複数の輝点のそれぞれに対応する複数の光源21a〜21dを有することが好ましい。これにより、角膜反射光像として複数の輝点をセンサ部51に結像させる照明光学系を好適に実現できる。また、この場合、複数の光源21a〜21dの光照射条件を互いに異ならせることにより、位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を好適に選択することができる(図2(a)〜(c)を参照)。
なお、センサ部51上の輝点の大きさは、センサ部51の画素ピッチ、センサ部51へ角膜反射光像を結像させる光学レンズ系の結像倍率、計測対象となる眼球の曲率、光源と角膜101の距離などに応じて定まる。十分な計測精度を得る為には、適度な大きさ(3×3画素〜10×10画素程度)の輝点を発生させることが重要である。大き過ぎる輝点ではサブピクセル精度の確保が困難だからである。したがって、センサ部51の面上において大きさの異なる輝点を複数発生させることで、様々な計測条件(眼球曲率の違いや、差動距離などの光学系の違い)において計測精度を保つことができる。例えば、図2(a)に示したように、角膜101に対する複数の光源21a〜21dの距離をそれぞれ異ならせることにより、センサ部51の面上において様々な大きさの輝点を生じさせるとよい。
或いは、センサ部51上の輝点の大きさは、角膜101に対する光の入射角に応じて変化する。したがって、図2(b)に示したように複数の光源21a〜21dを角膜101に対して異なる角度位置に配置することで、センサ部51の面上において様々な大きさの輝点を生じさせるとよい。そして、重心位置の精度が十分に安定している輝点を選択して特徴量の演算に使用することにより、安定した計測結果を得ることができる。
また、センサ部51上の輝点の明るさは、眼球表面の反射率に応じて変化する。したがって、図2(c)に示したように、複数の光源21a〜21dの発光輝度を互いに異なるものとすることで、センサ部51の面上において様々な明るさの輝点を生じさせるとよい。そして、重心位置の精度が十分に安定している輝点を選択して特徴量の演算に使用することにより、安定した計測結果を得ることができる。
また、輝点が歪んでいたり或いは大き過ぎる場合には、「計測に使用する輝点として十分な精度を持っていない」と判断し、該輝点を特徴量の算出に用いないことにより、特徴量の算出精度を高めることができる。
撮像部5としては、IVSカメラ以外に、高速且つ小型の二次元半導体位置検出素子(いわゆる二次元PSD:Position Sensitive Detector)や、プロファイルセンサ(例えば浜松ホトニクス製のS9132)などを用いてもよい。図12は、プロファイルセンサの構成の一例を示す図である。図12に示すプロファイルセンサ70は、2次元に配列された画素のそれぞれを2つの受光領域71a及び71bに分割し、各画素の受光領域71aを水平方向配線に接続し、各画素の受光領域71bを垂直方向配線に接続することで、受光領域71aを水平方向用受光領域、受光領域71bを垂直方向用受光領域としてそれぞれ使用するものである。このような構成においては、受光領域71aを水平方向を長手方向とする受光領域とみなすことができ、また受光領域71bを垂直方向を長手方向とする受光領域とみなすことができるので、水平方向配線からの出力は垂直方向における輝点明度の射影を示し、垂直方向配線からの出力は水平方向における輝点明度の射影を示す。なお、各水平方向配線には垂直シフトレジスタ72aが、各垂直方向配線には水平シフトレジスタ72bがそれぞれ接続されている。このようなプロファイルセンサ70においては、水平方向及び垂直方向のチャンネル数を共にm個とすると、出力データ数は(2×m)個で済む。したがって、撮像部5としてこのようなプロファイルセンサ70を使用することにより、出力データ数が(m×m)個となる通常の撮像素子と比較してデータ量の大幅な軽減が可能となる。また、データの読み出しが高速になり、且つ飽和電荷量を大きくすることができるといった利点もある。
このようなプロファイルセンサ70を撮像部5として用いる場合、輝点位置演算手段61における輝点位置演算は、以下の点で前述した演算と異なる。すなわち、プロファイルセンサ70からの垂直方向出力データをDx(i)とし、水平方向出力データをDy(j)とすると(i=1〜I,j=1〜J;Iは垂直方向の画素数、Jは水平方向の画素数)、雑音除去処理においては、上記したD(x,y)をDx(i)、Dy(j)として演算する。極大点抽出処理においては、垂直方向出力データDx(i)については垂直方向の隣接画素との比較、水平方向出力データDy(j)については水平方向の隣接画素との比較によって極大値を判定する。輝点判定処理においては、極大点を中心とする所定領域を水平方向及び垂直方向のそれぞれ1次元で設定し、輝点を判定する。極大点を中心とする所定領域の重心演算においては、水平方向及び垂直方向の所定領域に関する重心演算を行う。なお、重心位置から眼球運動位置への換算、及び所定条件を満たす輝点位置の抽出に関しては、前述した通りである。
図13は、プロファイルセンサ70に3つの輝点P1〜P3が結像された場合における、垂直方向及び水平方向それぞれの出力を示す図である。撮像部5としてプロファイルセンサ70を用いる場合、受光面に複数の輝点P1〜P3が存在すると、垂直方向出力及び水平方向出力にそれぞれ出現する各輝点のピークを相互に対応させる必要がある。このような場合、図13に示すように、例えば3つの輝点P1〜P3の明るさを相互に異ならせることによって、出力の大きさに基づいて垂直方向及び水平方向の各輝点のピークを相互に対応させることが容易にできる。また、例えば輝点P1〜P3の大きさを相互に異ならせたり、或いは輝点P1〜P3を順に発生/消滅させることでも、垂直方向及び水平方向の各輝点のピークを相互に対応させることができる。
本発明による眼球運動計測装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては3個〜5個の輝点を光検出部に結像させる場合について説明したが、輝点の数は2つ以上であれば良く、この実施形態に限られない。また、演算部において輝点位置を選択するための所定条件は、上記実施形態において例示した条件に限られるものではなく、輝点の位置精度に関する条件であれば他の様々な条件を適用できる。
本発明による眼球運動計測装置の一実施形態を示す概略図である。 照明の構成例を示す図である。(a)複数の光源と角膜との距離が光源同士で互いに異なる構成を示している。(b)複数の光源と角膜とを結ぶ光軸の方向が光源同士で互いに異なる構成を示している。(c)複数の光源が角膜からそれぞれ等しい距離に配置されており、光源の発光輝度が互いに異なる構成を示している。 (a)〜(c)照明の別の構成例を示す図であって、照明における複数の光源の配置例を示す図である。 撮像部の内部構成を示すブロック図である。 撮像部の詳細な内部構成を示す図である。 センサ部と、アンプ、A/D変換器、及び演算部との電気的接続関係を示す図である。 撮像データの一例を示す図である。 演算部の内部構成を示すブロック図である。 輝点位置演算手段の内部構成を示すブロック図である。 輝点位置演算手段及び輝点抽出手段の動作(処理内容)に関するフローチャートである。 (a),(b)光照射条件が互いに異なる4つの光源を用いた場合の角膜反射光像の例を示す模式図である。 プロファイルセンサの構成の一例を示す図である。 プロファイルセンサに3つの輝点が結像された場合における、垂直方向及び水平方向それぞれの出力を示す図である。
符号の説明
1…眼球運動計測装置、2,2A〜2C…照明、3…ハーフミラー、4…集光レンズ、5…撮像部、6…演算部、7…光源制御部、11…指標提示部、21a〜21e…光源、51…センサ部、52…センサ信号読出回路、53…センサ駆動回路、54…増幅部、55…変換部、56…スイッチ部、61…輝点位置演算手段、62…輝点抽出手段、63…特徴量算出手段、70…プロファイルセンサ、71a,71b…受光領域、72a…垂直シフトレジスタ、72b…水平シフトレジスタ、100…眼球、101…角膜、611…雑音処理手段、612…輝点判定処理手段、613…位置演算処理手段、La1〜La4…赤外光、Lb…角膜反射光像、Lc…可視光、Sa…画像信号、Sb,Sd…撮像データ、Sc…駆動信号、Se…輝点情報、Sf…輝点位置情報、Sg…選択情報。

Claims (8)

  1. 角膜に光を照射することにより生じる角膜反射光像を撮像することにより前記角膜の動きを計測する眼球運動計測装置であって、
    二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部を有し、前記光検出部に入射した前記角膜反射光像を含む撮像データを生成する撮像部と、
    前記角膜に光を照射し、前記角膜反射光像として複数の輝点を前記光検出部に結像させる照明光学系と、
    演算部と
    を備え、
    前記演算部は、前記撮像データにおける前記複数の輝点それぞれの位置を算出する輝点位置演算手段と、該複数の輝点位置のうち位置精度に関する所定条件を満足する輝点位置を選択する輝点抽出手段と、該輝点位置の時間変化に関するデータに基づいて眼球運動に関する特徴量を算出する特徴量算出手段とを有し、
    前記輝点位置演算手段は、前記撮像データにおいて周囲より明るい領域を抽出し、該領域が前記輝点に該当するか否かを判定する輝点判定処理手段と、前記輝点の位置を演算する位置演算処理手段とを含むことを特徴とする、眼球運動計測装置。
  2. 角膜に光を照射することにより生じる角膜反射光像を撮像することにより前記角膜の動きを計測する眼球運動計測装置であって、
    二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部を有し、前記光検出部に入射した前記角膜反射光像を含む撮像データを生成する撮像部と、
    前記角膜に光を照射し、前記角膜反射光像として複数の輝点を前記光検出部に結像させる照明光学系と、
    前記撮像データにおける前記複数の輝点それぞれの位置を算出し、該複数の輝点位置のうち時間的変動の度合いが所定の閾値より小さい輝点位置を選択し、該輝点位置の時間変化に関するデータに基づいて眼球運動に関する特徴量を算出する演算部とを備えることを特徴とする、眼球運動計測装置。
  3. 被検者に注視させるための指標を提示することにより視線を一定方向に保つ指標提示部を更に備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の眼球運動計測装置。
  4. 前記照明光学系は、前記複数の輝点のそれぞれに対応する複数の光源を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の眼球運動計測装置。
  5. 前記複数の光源と前記角膜との距離が前記複数の光源同士で互いに異なることを特徴とする、請求項に記載の眼球運動計測装置。
  6. 前記複数の光源と前記角膜とを結ぶ光軸の方向が前記複数の光源同士で互いに異なることを特徴とする、請求項に記載の眼球運動計測装置。
  7. 前記複数の光源の発光輝度が互いに異なることを特徴とする、請求項に記載の眼球運動計測装置。
  8. 前記複数の光源のそれぞれは赤外光源であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の眼球運動計測装置。

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