JP4322693B2 - 眼球運動測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、眼球の運動を測定するための装置に関するものである。
高齢化社会の到来とともに、痴呆症患者の数は年々増加している。痴呆症は、脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆(AD)に大別され、前者は脳血管性疾患の病歴があれば診断がつきやすい。しかし、後者のAD診断では、現在のところ問診や画像診断が中心であるため、主観的であったり、ある程度症状が進まないと分かりにくいといった問題点があった。
近年、脳機能と眼球運動との関係が注目を集めている。特に、ADでは空間視に関連する頭頂部を中心とした後方連合野が病初期より障害を受けやすいとされるため(視覚認識障害等の神経心理学的症状)、眼球運動を測定して空間視の能力を分析することや、固視微動を計測することによって、ADの初期診断に有効であることが知られている。このように、医療の分野にあっては、アルツハイマー病やパーキンソン病、或いは化学物質過敏症、通常の健康診断などにおいて、眼球運動を測定することにより非接触で診断を行うことが可能となる。また、医療以外の分野でも、例えばスポーツ科学の分野など眼球運動測定の応用分野は広い。
眼球運動を測定するための装置としては、例えば特許文献1〜3に開示された装置がある。特許文献1に開示された眼球運動撮像装置は、眼球に照明をあて、その反射光をCCDなどのマトリックスカメラで撮像するとともに、撮像データから角膜反射像の重心位置を算出し、該重心位置の動きを追うことにより眼球運動を測定するものである。また、特許文献2に開示された固視微動検査装置は、発光ダイオードから眼球へ光を照射し、その反射光をフォトダイオードによって検出し、その検出結果から求められた視線移動の時間変化から固視微動成分の異常をフラクタル次元解析を用いて鑑別するものである。また、特許文献3に開示された眼球運動測定装置は、複数のターゲット発光手段(LED)を順次発光させて眼球運動を促すとともに、該ターゲット発光手段から出射されて眼球において反射した光を受光手段(受光素子アレイまたは位置検出素子(PSD))によって検出し、眼球運動を測定するものである。
特公平03−014448号公報 特開平06−154167号公報 特開2000−316811号公報
眼球運動を測定する際には、眼球の緩やかな動きと、固視微動といった高速運動との双方を可能な限り高精度に測定することが望ましい。しかしながら、上記した特許文献1に開示された装置では、マトリックスカメラの複数の画素に電気的なウィンドウをかけて有効走査面積を小さくしてはいるものの、これは重心位置を算出する際の演算時間を短縮するためであり、眼球の高速運動を精度よく撮像する技術については何ら開示されていない。また、特許文献2に開示された装置では、眼球の左前方及び右前方に配置されたフォトダイオードを用いて測定しているため、分解能が低く、眼球運動を高精度に測定することが難しい。また、特許文献3に開示された眼球運動測定装置は、受光手段として受光素子アレイまたは位置検出素子を用いている。しかし、一般的に受光素子アレイは撮像速度が比較的遅く、眼球の高速運動に対応することが困難である。また、位置検出素子は、角膜反射光の入射位置を素早く得ることができるので眼球の高速な動きも測定可能であるが、CCD等と比較して分解能が低いという特徴があり、眼球運動を高精度に測定することが難しい。このように、従来の装置はいずれも一長一短であり、眼球の緩やかな動きと高速運動との双方を高精度に測定できる装置は存在しなかった。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、眼球の緩やかな動きと高速運動とをともに移動速度に応じた高い精度で測定できる眼球運動測定装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による眼球運動測定装置は、角膜に光を照射することにより生じる角膜反射光像を撮像することにより、角膜の動きを測定する眼球運動測定装置であって、二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部を有し、光検出部に入射した角膜反射光像に関する画素毎の入射光量を示す撮像データを生成する撮像部と、撮像部からの撮像データに基づいて算出される光検出部における角膜反射光像の入射位置の移動情報に基づいて、光検出部における解像度及び撮像領域の少なくとも一方を設定する撮像方式設定手段とを備え、撮像方式設定手段が、角膜反射光像の入射位置の移動速度が増加した場合に、光検出部の低解像度化及び撮像領域の広域化の少なくとも一方を設定し、角膜反射光像の入射位置の移動速度が減少した場合に、光検出部の高解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴とする。
上記した眼球運動測定装置では、撮像方式設定手段が、光検出部における角膜反射光像の入射位置の移動情報(例えば、移動速度や移動加速度など)に基づいて、光検出部における解像度及び撮像領域の少なくとも一方を設定している。これによって、角膜反射光像の移動速度が比較的大きいときには解像度を下げ、角膜反射光像の移動速度が比較的小さいときには解像度を上げることができる。或いは、角膜反射光像の移動速度が比較的大きいときには撮像領域を広く設定し、角膜反射光像の移動速度が比較的小さいときには撮像領域を狭く設定することができる。従って、上記した眼球運動測定装置によれば、眼球の緩やかな動きと高速運動とを、ともに移動速度に応じた高い精度で測定することができる。
また、眼球運動測定装置は、撮像方式設定手段が、角膜反射光像の入射位置として、光検出部に入射した角膜反射光像の光量中心位置を算出し、該光量中心位置の移動速度が増加した場合に、光検出部の低解像度化及び撮像領域の広域化の少なくとも一方を設定し、該光量中心位置の移動速度が減少した場合に、光検出部の高解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴としてもよい。これによって、角膜反射光像の移動情報を正確に算出することができるので、光検出部における解像度、撮像領域をより適切に設定することができる。
また、眼球運動測定装置は、撮像方式設定手段が、撮像部の撮像速度が増加した場合に、光検出部の高解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴としてもよい。これによって、例えば撮像速度が比較的大きく設定された場合に、解像度を下げたり、撮像領域を狭く設定することができるので、撮像部の撮像速度を角膜反射光像の移動情報に応じて好適に設定することができる。
また、眼球運動測定装置は、角膜反射光像が入射した複数の画素のうち所定の画素に対応する撮像データの大きさが所定レベルよりも大きくなるように、撮像データの増幅率を調整する感度調整手段をさらに備えることを特徴としてもよい。これによって、角膜反射光像を明瞭に撮像することができるので、角膜反射光像の移動情報を正確に算出することができ、光検出部における解像度、撮像領域をより適切に設定することができる。
また、眼球運動測定装置は、角膜からの角膜反射光像を光検出部へ反射させる反射ミラーと、撮像部からの撮像データに基づいて反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段とをさらに備え、ミラー調整手段が、光検出部に入射する角膜反射光像が真円に近づくように反射ミラーの位置及び角度を調整することを特徴としてもよい。これによって、角膜反射光像が光検出部に入射する際の入射角調整を容易にできるので、眼球(角膜)の移動速度や移動加速度を光検出部上の角膜反射光像の移動情報に正確に反映することができる。
また、眼球運動測定装置は、左右の角膜からの角膜反射光像を光検出部へ反射させる一対の反射ミラーと、撮像部からの撮像データに基づいて一対の反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段とをさらに備え、ミラー調整手段が、一方の角膜からの角膜反射光像が光検出部における第1の領域に入射し、他方の角膜からの角膜反射光像が光検出部における第1の領域とは異なる第2の領域に入射するように、反射ミラーの位置及び角度を調整することを特徴としてもよい。
また、眼球運動測定装置は、角膜へ光を照射する光源と、撮像部からの撮像データに基づいて、光源からの光が角膜へ入射するように光源の位置を調整する光源位置調整手段とをさらに備えることを特徴としてもよい。これによって、角膜反射光像を精度良く得ることができる。また、眼球運動測定装置は、角膜からの角膜反射光像を光検出部へ反射させる反射ミラーと、撮像部からの撮像データに基づいて反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段とをさらに備え、ミラー調整手段が、角膜反射光像が撮像データの中心に近づくように反射ミラーの位置を調整することを特徴としてもよい。
また、眼球運動測定装置は、角膜へ光を照射する光源と、撮像部からの撮像データに基づいて、光源からの光が角膜へ入射するように光源の位置を調整する光源位置調整手段とをさらに備えることを特徴としてもよい。これによって、角膜反射光像を精度良く得ることができる。
本発明による眼球運動測定装置によれば、眼球の緩やかな動きと高速運動とをともに移動速度に応じた高い精度で測定できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による眼球運動測定装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明による眼球運動測定装置の第1実施形態を示す概略図である。図1を参照すると、本実施形態による眼球運動測定装置1は、LED91、ダイクロイックミラー49、集光レンズ13、撮像部3、制御部5、及び演算部7を備えている。これらのうち、集光レンズ13、撮像部3、制御部5、及び演算部7は、カメラ18の内部に収容されている。
LED91は、本実施形態における光源であり、例えば赤外光LEDである。LED91は、被験者の眼球21の角膜23と光学的に結合されている。LED91が角膜23へ赤外光L1を照射することにより、角膜23において赤外光L1が反射して角膜反射光像L2が生じる。なお、光源としては赤外光LEDに限らず他の光源を用いることができるが、可視光源を用いた場合には光量を上げると被験者が眩しいため、赤外光源を用いることが好ましい。また、LED91は、図示しないXYテーブルといった移動台上に固定されており、LED91からの赤外光L1が角膜23に好適に入射するように制御部5によってLED91の位置が制御される。
ダイクロイックミラー49は、本実施形態における反射ミラーである。ダイクロイックミラー49は、角膜23からの角膜反射光像L2を反射して、該角膜反射光像L2を撮像部3の光検出部31に入射させるように配置されている。ダイクロイックミラー49は、LED91から照射される赤外光L1を反射し、他の波長の光(例えば可視光)を透過する特性を有することが好ましい。これにより、被験者に眼球の動きを促すための視標表示(後述)を被験者に提示しつつ、眼球運動を測定することができる。また、ダイクロイックミラー49は、図示しない回転台及びXYテーブルといった移動台上に固定されており、光検出部31への角膜反射光像L2の入射角が垂直に近づくように制御部5によってダイクロイックミラー49の反射面の位置及び角度が調整される。
集光レンズ13は、角膜反射光像L2を集光して撮像部3の光検出部上に結像させるためのレンズである。本実施形態では、集光レンズ13は、ダイクロイックミラー49と撮像部3との間に配置されている。
撮像部3は、角膜23からの角膜反射光像L2を撮像するための手段である。撮像部3は、二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部31を有しており、光検出部31に入射した角膜反射光像L2を各画素において電気信号に変換することにより、角膜反射光像L2に関する画素毎の入射光量を示す撮像データを生成する。撮像部3は、生成した撮像データを表示装置や映像出力端子といった出力手段へ出力するとともに、撮像データを制御部5及び演算部7に提供する。
演算部7は、撮像部3において生成された撮像データに基づいて、光検出部31における角膜反射光像L2の入射位置を求める手段である。演算部7は、角膜反射光像L2の入射位置として角膜反射光像L2の光量中心位置を算出する。そして、演算部7は、角膜反射光像L2の光量中心位置を示す光量中心位置データを、制御部5に提供する。
制御部5は、次の各手段を有している。すなわち、制御部5は、(1)撮像部3の光検出部31における解像度及び撮像領域を設定する手段(撮像方式設定手段)、(2)撮像部3における撮像データの増幅率を調整する手段(感度調整手段)、(3)ダイクロイックミラー49の反射面の位置及び角度を調整する手段(ミラー調整手段)、(4)LED91の位置を調整する手段(光源位置調整手段)、を有している。なお、これらの手段は、電気回路として実現されてもよいし、中央演算処理装置やメモリを有するコンピュータ内部でソフトウェアとして実現されてもよい。
(1)の撮像方式設定手段は、演算部7からの角膜反射光像L2の光量中心位置データに基づいて角膜反射光像L2の移動情報(例えば、移動速度や移動加速度など)を算出し、この移動情報に応じた解像度及び撮像面積で撮像部3が角膜反射光像L2を撮像するように撮像部3の解像度及び撮像領域を設定する手段である。撮像方式設定手段は、角膜反射光像L2の移動速度が比較的大きな場合には解像度を粗く設定するとともに撮像領域を広く設定し、角膜反射光像L2の移動速度が比較的小さな場合には解像度を細かく設定するとともに撮像領域を狭く設定する。
(2)の感度調整手段は、撮像部3からの撮像データに基づいて、撮像部3における撮像データの増幅率を調整することにより、光検出部31における角膜反射光像L2の入射範囲を撮像データに基づいて明瞭に識別可能とするための手段である。感度調整手段は、角膜反射光像L2が入射した複数の画素のうち所定の画素(本実施形態では、受光量が最も多い画素)に対応する撮像データの大きさが所定レベルよりも大きくなるように、撮像部3における撮像データの増幅率を制御する。
(3)のミラー調整手段は、角膜反射光像L2の光軸を調整するための手段である。換言すれば、ミラー調整手段は、撮像部3の光検出部31に角膜反射光像L2が入射する際の角膜反射光像L2の入射角を調整するための手段である。ミラー調整手段は、撮像部3からの撮像データに基づいて、ダイクロイックミラー49を固定している移動台の位置及び回転台の角度を、光検出部31に入射する角膜反射光像L2が真円に近づくように調整することにより、角膜反射光像L2の入射角を調整する。
(4)の光源位置調整手段は、LED91と被験者の角膜23との相対位置を調整するための手段である。光源位置調整手段は、撮像部3からの撮像データに基づいて、LED91を固定している移動台の位置をLED91からの光が被験者の角膜23に好適に入射するように調整する。
図2は、本実施形態による眼球運動測定装置1の全体構成を示すブロック図である。図2を参照すると、眼球運動測定装置1は、図1に示した撮像部3、制御部5、及び演算部7の他に、視標表示部8、照明部9、及び光結像部41を備えている。
視標表示部8は、被験者に対して眼球運動を促すための装置である。視標表示部8は、例えばLCDなどの表示装置を有しており、移動する視標や位置が固定された視標、さらには形状情報や色情報等に関する視標を被験者に提示することによって眼球21(図1参照)の所望の動きを実現させる。本実施形態では、視標表示部8は演算器81、ビデオメモリ82、及びメモリコントローラ83を有しており、測定者が任意の視標データを作成することが可能となっている。すなわち、測定者によって作成された視標データS20は演算器81に格納された後、演算器81から読み出されてビデオメモリ82に反映される。そして、制御部5からの駆動信号S10に基づくタイミングでメモリコントローラ83がビデオメモリ82から視標データS20を読み出し、視標データS20を表示装置(視標出力)に表示させる。
照明部9は、図1に示した角膜23に対して赤外光L1を照射するための装置である。照明部9は、位置調整駆動回路93及び反射光像用の光源駆動回路95を有している。位置調整駆動回路93は、LED91が固定された移動台を駆動するための回路である。位置調整駆動回路93は、制御部5からの光源位置制御信号S11に応じて移動台を駆動することにより、角膜23に対するLED91の相対位置を変化させる。また、光源駆動回路95は、LED91に駆動電力を供給するための回路である。光源駆動回路95は、制御部5からの駆動信号S10に従ってLED91の点灯/消灯や、光量調節を行う。なお、制御部5が光源位置制御信号S11及び駆動信号S10をどのように生成するかについては、後述する。
また、照明部9は、照明用のLED(図示せず)を駆動するための光源駆動回路97をさらに有している。光源駆動回路97は、制御部5からの駆動信号S10に従って照明用のLEDの点灯/消灯や、光量調節を行う。ここで、照明用のLEDは、角膜反射光像L2を生成するためのLED91とは目的が異なるLEDである。すなわち、LED91が、角膜23の表面において角膜反射光像L2を生じさせることを目的とするのに対し、照明用のLEDは、眼球21を照らし出し、眼球21の様子や、瞳孔や虹彩といったものの様子などを光検出部31において撮像可能とすることを目的としている。なお、高速撮影時には、眼球21の様子などを照らし出すのに充分な光量の可視光を照明用のLEDが発光すると被験者にとって眩しいため、LED91と同様に照明用のLEDとして赤外光LEDを用いてもよい。このように、LED91と照明用LEDとが共に赤外光LEDである場合には、LED91及び照明用のLEDとして一つまたは複数の共通のLEDを用いてもよい。
光結像部41は、角膜23からの角膜反射光像L2を受ける光学部4を撮像部3と共に構成する。光結像部41は、視軸コントローラ43を有している。視軸コントローラ43は、ダイクロイックミラー49が固定されている移動台及び回転台を制御部5からの指示に基づいて駆動することにより、角膜反射光像L2の光軸(視軸)と光検出部31の光入射面とのなす角(すなわち角膜反射光像L2の光検出部31への入射角)を変更する。視軸コントローラ43は位置調整駆動回路45及び角度調整駆動回路47を含んでおり、位置調整駆動回路45及び角度調整駆動回路47はそれぞれ制御部5からミラー位置制御信号S12及びミラー角度制御信号S13を受ける。そして、位置調整駆動回路45がミラー位置制御信号S12に応じて移動台を駆動し、角度調整駆動回路47がミラー角度制御信号S13に応じて回転台を駆動することにより、ダイクロイックミラー49の位置及び角度が変更され、光検出部31に入射する角膜反射光像L2の光軸方向が変更される。なお、制御部5がミラー位置制御信号S12及びミラー角度制御信号S13をどのように生成するかについては、後述する。
撮像部3は、光検出部31、増幅部33、A/D変換部35、及びスイッチ部37を有している。本実施形態においては、光検出部31はいわゆるMOS型の撮像素子(例えばCCDやCMOS)であり、二次元状(m行×n列)に配列された複数の画素31aを有している。複数の画素31aのそれぞれは、入射した光の光量に応じた電荷Qを生成する。
増幅部33は、光検出部31の行数に対応するm個のアンプ33aを有している。m個のアンプ33aは、それぞれ光検出部31の画素31aの対応する行と電気的に接続されており、n列の画素31aから電荷Qを順次受け取る。そして、アンプ33aは、電荷Qを増幅するとともに電荷Qを電圧信号である画像信号Sに変換する。また、m個のアンプ33aは、それぞれ制御部5と電気的に接続されており、制御部5からの増幅率制御信号Sに従って、電荷Qを画像信号Sに変換する際の増幅率を変化させる。
A/D変換部35は、光検出部31の行数に対応するm個のA/D変換器35aを有している。m個のA/D変換器35aは、対応するm個のアンプ33aとそれぞれ電気的に接続されており、電圧信号(アナログ信号)である画像信号Sをアンプ33aから受けてディジタル信号である撮像データSに変換する。なお、本実施形態ではディジタル信号に変換された撮像データSを撮像部3からの撮像データとしているが、アナログ信号である画像信号Sを撮像部3からの撮像データとして用いてもよい。
スイッチ部37は、光検出部31の行数に対応するm個のスイッチ37aを有している。m個のスイッチ37aは、対応するm個のA/D変換器35aと制御部5及び演算部7との間に設けられており、A/D変換器35aと制御部5及び演算部7との接続/非接続を制御する。スイッチ37aが接続状態になると、A/D変換器35aからの撮像データSが制御部5及び演算部7へ提供される。m個のスイッチ37aは、それぞれ制御部5と電気的に接続されており、制御部5からの領域制御信号Sに従って個別に接続/非接続が制御される。
ここで、光検出部31及びその周辺回路についてさらに詳しく説明する。図3は、光検出部31と、アンプ33a、A/D変換器35a、及び制御部5との電気的接続関係を示す図である。図3を参照すると、光検出部31は、フォトダイオードといった光電変換素子により構成される複数の画素31aを有している。そして、光検出部31は、複数の画素31aに対応する複数のコンデンサ31b及び複数の読み出し用スイッチ31cを有している。画素31aの光電変換素子とコンデンサ31bとは互いに並列に接続されており、光電変換素子及びコンデンサ31bの一端に読み出し用スイッチ31cの一端が接続されている。読み出し用スイッチ31cの他端は、同一行に含まれる他の読み出し用スイッチ31cの他端と共に、アンプ33aに接続されている。読み出し用スイッチ31cは、それぞれ制御部5と電気的に接続されており、制御部5からの領域制御信号Sに従って個別に接続/非接続が制御される。
図4は、アンプ33aの構成を具体的に示す図である。図4を参照すると、アンプ33aは、オペアンプ33b、リセットスイッチ33g、キャパシタ33c及び33d、並びに切換スイッチ33e及び33fを含んでいる。オペアンプ33bは二つの入力端33h及び33i並びに一つの出力端33jを有している。一方の入力端33hは光検出部31の各画素31a(図3参照)と電気的に接続されており、他方の入力端33iは参照電圧Vrefを発生する信号源と電気的に接続されている。出力端33jは、A/D変換器35a(図3参照)と電気的に接続されている。
キャパシタ33c(容量Cf1)及び切換スイッチ33fは、互いに直列接続されている。また、キャパシタ33d(容量Cf2)及び切換スイッチ33eは、互いに直列接続されている。キャパシタ33c及び切換スイッチ33fと、キャパシタ33d及び切換スイッチ33eと、リセットスイッチ33gとは、互いに並列接続されており、これらの回路の両端がそれぞれオペアンプ33bの入力端33h及び出力端33jに電気的に接続されている。
アンプ33aの増幅率Gは、光検出部31のコンデンサ31bの容量Cdとオペアンプ33bの入力端33h及び出力端33jに接続されるキャパシタ容量Cfの値とから決定され、G=Cd/Cfの関係をもつ。つまり、キャパシタ容量Cfの値が小さいほど増幅率が大きくなる。従って、キャパシタ容量Cfの値を選択することにより増幅率Gを選択することができるので、切換スイッチ33e及び33fを切り換えることによって、増幅率GをCd/Cf1またはCd/Cf2のいずれかに切り換えることができる。また、両方の切換スイッチ33e及び33fを接続状態とすることによって、増幅率Gを、G=(Cd/(Cf1+Cf2))とすることもできる。
再び図3を参照すると、A/D変換器35aの出力端は、表示装置や映像出力端子といった出力手段15に電気的に接続されるとともに、制御部5に含まれる感度調整手段53に電気的に接続されている。感度調整手段53は、A/D変換器35aからの撮像データSに基づいて、アンプ33aにおける増幅率を制御するための(具体的には、図4に示した切換スイッチ33e及び33fを制御するための)増幅率制御信号Sを生成し、増幅率制御信号Sをアンプ33aへ出力する。
図3及び図4に示した光検出部31及びその周辺回路の動作は、次のとおりである。まず、アンプ33aのリセットスイッチ33gを接続状態とすることによりキャパシタ33c及び33dに蓄積された電荷がリセットされる。続いて、アンプ33aが所望の増幅率となるように、切換スイッチ33e及び33fのうち少なくとも一方を接続状態とする。光検出部31に角膜反射光像L2が入射すると、各画素31a毎の角膜反射光像L2の入射光量に応じた電荷がコンデンサ31bに蓄積される。制御部5からの指示に応じて読み出し用スイッチ31cが各行において順次接続されると、コンデンサ31bに蓄積された電荷Qがアンプ33aに順次送られる。電荷Qは、アンプ33aによって電圧信号に変換されるとともに増幅されて画像信号Sとなる。画像信号Sは、A/D変換器35aによってアナログ信号からディジタル信号へ変換されて撮像データSとなる。撮像データSは、出力手段15へ提供されるとともに、制御部5の感度調整手段53に提供される。
感度調整手段53は、A/D変換器35aからの撮像データSに基づいて、アンプ33aにおける増幅率を制御するための増幅率制御信号Sを生成し、増幅率制御信号Sをアンプ33aへ送る。アンプ33aでは、リセットスイッチ33gを再度接続状態とすることによりキャパシタ33c及び33dに蓄積された電荷が再びリセットされた後、増幅率制御信号Sに基づき必要に応じて切換スイッチ33e及び33fが開閉され、増幅率が変更される。
ここで、図5は、感度調整手段53における処理の流れを示すフローチャートである。図5を参照すると、感度調整手段53は、角膜反射光像L2が入射した複数の画素31aのうち入射光量が最も多い画素31aに対応する撮像データSの大きさ(最大光量値)が所定レベルよりも大きいか否かを判定する(S201)。そして、最大光量値が所定レベルよりも大きい場合には処理を終了し、最大光量値が所定レベルよりも小さい場合にはアンプ33aにおいて増幅率を上げる余地が有るか否かを判断する(S203)。アンプ33aにおいて増幅率を上げる余地がある場合には、増幅率が上がるように増幅率制御信号Sによってアンプ33aにおける切換スイッチ33e及び33fの開閉を制御し(S205)、ステップS201に戻る。アンプ33aにおいて増幅率を上げる余地がない場合、すなわちアンプ33aにおける増幅率をアンプ33aにおいて実現可能な最大増幅率に設定した場合には、最大光量値の大きさが所定の許容値よりも大きいか否かを判定する(S207)。最大光量値の大きさが所定の許容値以上である場合(すなわち、現在得られている撮像データSの明るさが眼球運動測定に必要な明るさを満たしている場合)には現在得られている撮像データSを用いる。そして、最大光量値の大きさが所定の許容値よりも小さい場合にはその旨を測定者に警告する(S209)。
また、図6(a)及び図6(b)は、制御部5の感度調整手段53による感度調整結果の一例を説明するための図である。図6(a)は、アンプ33aの増幅率を調整する前の撮像データSを示す図である。なお、図6(a)に示す撮像データSは、解像度を128ドット四方、撮像速度(フレームレート)を1000[枚/秒]、アンプ33aの増幅率を最低値(初期設定)として撮像したものである。図6(a)を参照すると、これらの撮像条件では角膜反射光像L2の入射領域を撮像データSに基づいて識別することが困難であることがわかる。そこで、感度調整手段53は、複数の画素31aのうち入射光量が最も多い画素31aに対応する撮像データSの大きさが所定レベルよりも大きくなるように、アンプ33aの増幅率を大きくする。こうして、感度調整手段53は、アンプ33aの増幅率を最適値に制御することにより、角膜反射光像L2の入射領域を明瞭に識別可能とする(図6(b))。
再び図2を参照する。制御部5は、感度調整手段53、撮像方式設定手段55、ミラー調整手段56、光源位置調整手段57、及び駆動信号生成手段58を有している。感度調整手段53は、前述したように撮像部3の増幅部33における撮像データの増幅率を調整する。撮像方式設定手段55は、撮像部3からの撮像データSに基づいて、撮像部3の光検出部31における解像度及び撮像領域を設定する。ミラー調整手段56は、ダイクロイックミラー49の反射面の位置及び角度を調整する。光源位置調整手段57は、LED91の位置を調整する。
ここで、図7は、LED91、角膜23、及びダイクロイックミラー49の理想的な相対位置関係を示す図である。図7では、LED91の位置と、角膜23の反射面23aの位置と、赤外光L1が角膜23を透過したと仮定した場合の仮想のダイクロイックミラーBの位置とが一直線上に並び、且つ、仮想のダイクロイックミラーBの反射面において反射した仮想の赤外光Aが、仮想の光検出部Cの光入射面に対して垂直に入射している。LED91、角膜23、及びダイクロイックミラー49の位置及び角度は、図7に示した仮想のダイクロイックミラーB及び光検出部Cが角膜23の反射面23aに関して対象な位置になるように設定されることが好ましい。
図7に示したような相対位置関係を実現するためのミラー調整手段56及び光源位置調整手段57の機能について、以下に詳細に説明する。ミラー調整手段56及び光源位置調整手段57は、上記した相対位置関係を実現するために、以下に説明する(a)位置調整機能及び(b)形状調整機能を有している。
(a)位置調整機能
眼窟(眼の深さ位置、『ほり』の深さ)や両眼間の幅は各個人でそれぞれ異なるため、眼球21の位置も各被験者間で異なる。そこで、測定に先立ち、被験者の眼球21と眼球運動測定装置1の光学系(LED91、ダイクロイックミラー49、及び光検出部31)との位置あわせを行う。すなわち、角膜23にLED91から赤外光L1を照射したときに、光検出部31における角膜反射光像L2の入射位置が光検出部31のほぼ中央に位置するように、ミラー調整手段56が撮像部3からの撮像データSに基づいてミラー位置制御信号S12及びミラー角度制御信号S13を生成するとともに、光源位置調整手段57が撮像部3からの撮像データSに基づいて光源位置制御信号S11を生成する。光結像部41の位置調整駆動回路45は、ミラー位置制御信号S12に応じてダイクロイックミラー49の位置を変更する。角度調整駆動回路47は、ミラー角度制御信号S13に応じてダイクロイックミラー49の反射面の角度を変更する。照明部9の位置調整駆動回路93は、光源位置制御信号S11に応じてLED91の位置を変更する。このようにして、被験者の眼球21と眼球運動測定装置1の光学系との間の位置調整がなされる。
ミラー調整手段56及び光源位置調整手段57による上記した位置調整は、撮像部3の撮像速度(フレームレート)が比較的低い状態で行われることが好ましい。フレームレートとは1秒間に何枚の画像を取得するかを表した数値であり、例えば本実施形態の撮像部3では通常状態で1024[枚/秒]である。フレームレートが高いほど、高速な角膜23の動きをより精度良く解析することができる。しかしながら、フレームレートを高くすると、画像1枚あたりの画素31aへの入射光量が少なくなってしまう為、例えばフレームレートが30[枚/秒]の画像と比べてフレームレートが1024[枚/秒]の画像は暗い画像になってしまう。
本実施形態において、上記した位置調整段階では固視微動などの角膜23の高速運動を撮像する必要がない。従って、制御部5は、上記したようなフレームレートと画像の明暗との関係を逆手にとり、フレームレートを比較的低い8[枚/秒]に設定することで画素31aへの入射光量を増し、眼球21(角膜23)と眼球周辺の皮膚との双方の画像を得られるようにする。ここで、図8は、撮像部3のフレームレートを8[枚/秒]に設定したときの、撮像データSを示す図である。図8に示すように、フレームレートを比較的低く設定すれば、眼球21及び角膜23と眼球周辺の皮膚14との双方の画像を好適に得ることができる。そして、眼球21と撮像部3(光検出部31)との相対位置をあわせる方法と、ミラー調整手段56及び光源位置調整手段57による位置調整機能とを併用すれば、簡単・効率的に位置調整ができるので、測定時間の大幅な短縮につながる。なお、撮像部3のフレームレートの変更は、制御部5の駆動信号生成手段58がフレームレートに応じた駆動信号S10を生成し、撮像部3がこの駆動信号S10を受けることによってなされる。
(b)形状調整機能
図9は、位置調整及び感度調整の後の撮像データSの一例を示す図である。図9を参照すると、角膜反射光像L2の一方向(図9では横方向)の径が、他方向(縦方向)の径と比較して短くなっている(例えると十六夜の月の形状となっている)ことがわかる。このように撮像データSにおいて角膜反射光像L2が変形するのは、角膜反射光像L2が光検出部31に入射する際の入射角が、光検出部31の光入射面に対して斜めであることに起因する。そこで、ミラー調整手段56は、撮像データSにおける角膜反射光像L2の形状を真円に近づけることにより、角膜反射光像L2の入射角を調整する。
図10は、ミラー調整手段56による形状調整の処理の流れを示すフローチャートである。図10を参照すると、まず、ミラー調整手段56は、角膜反射光像L2に関するヒストグラムを作成する(S301)。すなわち、ミラー調整手段56は、図11(a)に示す撮像データSにおいて、一定以上の入射光量を有する画素31aを抽出する。そして、一定以上の入射光量を有する画素31aの数を該画素31aのX座標及びY座標に従ってグラフ化することにより、図11(b)及び図11(c)に示すようなヒストグラムを作成する。
次に、ミラー調整手段56は、ステップS301において作成したヒストグラムのピークが撮像データSの中心に近づくように、ダイクロイックミラー49の位置を調整する(S303、図11(d)〜図11(f))。すなわち、ミラー調整手段56は、角膜反射光像L2についてのX軸及びY軸に関するヒストグラムのピークがそれぞれ撮像データSの中心に近づくように、ミラー位置制御信号S12を生成する。ミラー位置制御信号S12は光結像部41内の位置調整駆動回路45に送られ、位置調整駆動回路45がミラー位置制御信号S12に従ってダイクロイックミラー49の位置を変更する。
続いて、ミラー調整手段56は、角膜反射光像L2についてのX軸(Y軸)に関するヒストグラムがピークから両端に向かって同程度の割合でもって減少していくように(ガウシアン分布に近づくように)、ダイクロイックミラー49の反射面の角度を調整する(S305)。角膜反射光像L2の入射角が光検出部31の光入射面に対して斜めになっている場合には、図9に示したように撮像データSにおける角膜反射光像L2の径が均一ではなくなる。このような状態のとき、角膜反射光像L2に関するヒストグラムは、図12(a)や図12(b)に示すように、ピークを挟んで非対称な形状となる。ミラー調整手段56は、角膜反射光像L2に関するヒストグラムがピークから両端に向かって同程度の割合でもって減少していくように(図12(c))、ミラー角度制御信号S13を生成する。ミラー角度制御信号S13は角度調整駆動回路47に送られ、角度調整駆動回路47がミラー角度制御信号S13に従ってダイクロイックミラー49の反射面の角度を変更する。
続いて、ミラー調整手段56は、撮像データSにおける角膜反射光像L2の形状を微調整する。まず、図13(a)及び図13(b)に示すように、ミラー調整手段56は、撮像データSにおける角膜反射光像L2の内接円C1(図13(a))及び外接円C2(図13(b))を求める(S307)。そして、ミラー調整手段56は、内接円C1の径の大きさと外接円C2の径の大きさとが互いに近づくように、ミラー角度制御信号S13を生成する(S309)。このミラー角度制御信号S13に従って、角度調整駆動回路47がダイクロイックミラー49の反射面の角度を変更する。
続いて、ミラー調整手段56は、撮像データSにおける角膜反射光像L2が撮像データSの中心付近の所定領域に存在し、且つ撮像データSにおける角膜反射光像L2が真円に規定以上に近いか否かを判定する(S311)。撮像データSにおける角膜反射光像L2がこれらの条件を満たさない場合には、上記した各ステップをステップS303から繰り返し行う。また、撮像データSにおける角膜反射光像L2がこれらの条件を満たす場合には、形状調整を終了する。
以上が、ミラー調整手段56及び光源位置調整手段57の機能の詳細である。なお、上記したヒストグラムを求める際の演算を高速に行うために、例えば撮像部3が各画素31aのそれぞれに対応する並列演算回路をさらに有することが好ましい。これによって、入射位置算出に由来した情報の未消化といったことを防止できる。
続いて、撮像方式設定手段55の機能について説明する。図14(a)及び(b)は、撮像方式設定手段55における、光検出部31の解像度及び撮像領域の設定機能について説明するための図である。
ここで、一般的なMOS型撮像素子などの撮像装置においては、解像度と撮像速度とが密接に関連する。すなわち、撮像装置においては、解像度を高めるほど撮像速度が低下する。これは、解像度を高めると画素数が多くなり、読み出し時間が長くなる故である。例えば、解像度が128×128[ドット]の場合にフレームレート1000[枚/秒](駆動周波数1.0[kHz])で撮像可能であるとすると、解像度が256×256[ドット]の場合にはフレームレートが250[枚/秒](駆動周波数250kHz)となる。解像度を高めれば高精細な撮像データを取得できるので、角膜反射光像の入射位置情報を高い精度で取得することができる反面、フレームレートが低下するので角膜反射光像の高速な動きを細かく捉えることが難しい。
そこで、本実施形態の撮像方式設定手段55は、角膜反射光像L2の移動速度や移動加速度などの移動情報に応じた面積を有する撮像領域Eを光検出部31に対して設定することにより、角膜反射光像L2及びその周辺に関する撮像データSのみを高解像度を保ったまま取得できるようにする(部分読み出しモード、図14(b))。すなわち、従来の撮像装置では解像度を高める場合にフレームレートを下げる必要があるが、本実施形態の撮像部3では角膜反射光像L2及びその周辺に関するデータ以外の不要なデータを取得しない(画素31aから取り出さない)ことによって、高精細かつ高速な撮像が可能となる。なお、撮像方式設定手段55が撮像領域Eを設定する際には、例えば角膜反射光像L2のヒストグラムを用いて角膜反射光像L2の入射領域を認識するとよい。
図15は、図14(a)に示した撮像領域Eを設定するために、撮像データSにおける角膜反射光像L2の移動速度を算出する方法を説明する図である。図15に示すように、撮像方式設定手段55は、各撮像フレーム毎に角膜反射光像L2の光量中心位置(X,Y)とひとつ前のフレームの光量中心位置(X,Y)との差を求める。例えば、現在の光量中心位置の座標が(X,Y)=(Xb,Yb)であり、ひとつ前の撮像フレームの光量中心位置の座標が(X,Y)=(Xa,Ya)とすると、角膜反射光像L2の移動速度のX成分はXb−Xa、Y成分はYb−Yaとなる。なお、撮像データSにおける角膜反射光像L2の光量中心位置は、後述する演算部7において算出される。また、本実施形態では現在の撮像フレームにおける光量中心位置とひとつ前の撮像フレームにおける光量中心位置との差を角膜反射光像L2の移動速度としているが、例えば一定時間内の光量中心位置座標の平均値の差分を用いて角膜反射光像L2の移動速度を算出してもよい。
撮像方式設定手段55は、算出した角膜反射光像L2の移動情報が、解像度(例えば128×128[ドット])に応じて定められた閾値内に収まっている場合には、光検出部31の解像度を高める(例えば256×256[ドット])とともに撮像領域を狭くして角膜反射光像L2の移動情報を再度算出する。すなわち、撮像方式設定手段55は、角膜反射光像L2の移動情報が閾値内に収まっている場合には、より狭い撮像領域のみから撮像データSを取り出す(部分読み出し)ように領域制御信号Sを生成する。領域制御信号Sは撮像部3のスイッチ部37及び光検出部31に送られ、スイッチ部37の各スイッチ37a及び光検出部31の読み出し用スイッチ31c(図3参照)が領域制御信号Sに応じて個別に開閉されることによって撮像領域が狭められる。また、撮像方式設定手段55は、角膜反射光像L2の移動情報が閾値内に収まっている場合には、解像度を高めるように撮像部3を制御する。
撮像方式設定手段55によって部分読み出し設定がなされるのは、例えば眼球21が固視微動を行っているような場合である。固視微動とは、人間が無意識下に行っている眼球運動を指す。人間の眼球は1点注視時であっても、20〜40秒角(0.0056°〜0.0111°)の振幅、80Hzをピークに40〜150Hzの周波数で絶えず震えていると言われており、この運動による視神経への刺激が視界を得続けるのに必要であることが分かっている。このように、固視微動を測定する場合には、角膜反射光像L2が光検出部31上のほぼ一点にて留まるため、高解像度で部分読出しを行う設定が撮像方式設定手段55によってなされる。
以上が、制御部5における機能である。なお、以上に説明した各機能は、形状調整機能、位置調整機能、解像度及び撮像領域の設定機能の一例であり、調整すべき項目が他の項目の調整によって変動した際には、その都度調整が行われるとよい。また、調整による機構のデッドロック(処理系が何から処理すればよいか分からなくなり止ってしまうこと)を避けるために、調整値には許容幅を、調整内容には優先順位を各々つけるとよい。
再び図2を参照する。演算部7は、零次モーメント演算器71、一次モーメント演算器73、及び光量中心位置演算器75を有している。零次モーメント演算器71は、制御部5の駆動信号生成手段58からの駆動信号S10に基づくタイミングで、光検出部31の各列及び各行それぞれの撮像データSの大きさに関する零次モーメントを算出する。その一例として、第i列の零次モーメントM0(x)の算出式を数式(1)に示す。なお、以下の数式において、D(x,y)は光検出部31上の座標(x,y)における撮像データの大きさ(すなわち入射光量)を示している。
Figure 0004322693
また、一次モーメント演算器73は、制御部5の駆動信号生成手段58からの駆動信号S10に基づくタイミングで、光検出部31の各列及び各行それぞれの撮像データSの大きさに関する一次モーメントが算出される。その一例として、第i列の一次モーメントM1(x)の算出式を数式(2)に示す。
Figure 0004322693
そして、光量中心位置演算器75では、零次モーメント演算器71及び一次モーメント演算器73においてそれぞれ算出された零次モーメント及び一次モーメントに基づいて、光検出部31の各列及び各行それぞれの光量中心位置が算出される。その一例として、第i列の光量中心位置座標p(x)の算出式を数式(3)に示す。
Figure 0004322693
ここで、図16(a)及び図16(b)は、演算部7の零次モーメント演算器71及び一次モーメント演算器73の内部構成の一例を示すブロック図である。まず、図16(a)を参照すると、零次モーメント演算器71は、算術論理演算回路(ALU)71a、Aラッチ回路71b、及びBラッチ回路71cを含んで構成されている。光検出部31の各列(または各行)からの撮像データSは、Bラッチ回路71cで一旦格納される。そして、撮像データSがALU71aにおいてAラッチ回路71bに格納されているデータに逐次加算されながら加算結果がAラッチ回路71bに格納される。これにより、光検出部31の各列(または各行)毎に撮像データSが積算され、上記した数式(1)の演算が実現される。そして、算出された零次モーメントS15は、Aラッチ回路71bから光量中心位置演算器75へ送られる。
次に、図16(b)を参照すると、一次モーメント演算器73は、算術論理演算回路(ALU)73a、Aラッチ回路73b、カウンタ回路73c、Bラッチ回路73d、及び乗算回路73eを含んで構成されている。光検出部31の各列(または各行)からの撮像データSは、Bラッチ回路71cで一旦格納される。そして、撮像データSはカウンタ回路73cから出力されるカウントデータ(1,2,3,・・)と順次乗算され、乗算結果がALU71aにおいてAラッチ回路71bに格納されているデータに逐次加算されながら加算結果がAラッチ回路71bに格納される。これにより、光検出部31の各列(または各行)毎に上記した数式(2)の演算が実現される。そして、算出された一次モーメントS16は、光量中心位置演算器75へ送られる。
以上が、本実施形態による眼球運動測定装置1の構成である。続いて、眼球運動測定装置1の動作について簡単に説明する。なお、以下に示す眼球運動測定装置1の動作手順は一例であり、これに限られるものではない。
図17は、眼球運動測定装置1の動作に関するフローチャートである。図17を参照すると、まず、制御部5の駆動信号生成手段58が、撮像部3における撮像速度(フレームレート)を低速(例えば8フレーム/秒)に設定する(S101)。続いて、制御部5の光源位置調整手段57が、照明部9の位置調整駆動回路93を制御することによって眼球21(角膜23)とLED91との相対位置を調整する(位置調整、S103)。
続いて、制御部5の駆動信号生成手段58が、撮像部3における撮像速度(フレームレート)を高速(例えば1024フレーム/秒)に設定する(S105)。続いて、制御部5の感度調整手段53が、撮像データSにおいて角膜反射光像L2が明瞭に映し出されるように撮像部3の増幅部33における増幅率を調整する(感度調整、S107)。続いて、制御部5のミラー調整手段56が、撮像データSにおける角膜反射光像L2が真円に近づくように、光結像部41の位置調整駆動回路45及び角度調整駆動回路47を制御することによってダイクロイックミラー49の位置及び角度を調整する(S109)。続いて、制御部5の撮像方式設定手段55が、撮像部3における解像度及び撮像領域(部分読み出しモード)を設定する(S111)。以上の動作によって眼球運動測定装置1の初期設定が完了し、固視微動測定などの本測定に移行する(S113)。なお、角膜反射光像の焦点合わせは、制御部5のミラー調整手段56が角膜23とダイクロイックミラー49との距離を調整することによって適宜行われる。
上記した本実施形態による眼球運動測定装置1は、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態による眼球運動測定装置1では、撮像方式設定手段55が、光検出部31における角膜反射光像L2の入射位置の移動速度に基づいて、光検出部31における解像度及び撮像領域を設定している。これによって、角膜反射光像L2の移動速度が比較的大きいときには解像度を下げるとともに撮像領域を広く設定し、角膜反射光像L2の移動速度が比較的小さいときには解像度を上げるとともに撮像領域を狭く設定することができるので、眼球21の緩やかな動きと高速運動とを、ともに移動速度に応じた高い精度で測定することができる。
なお、本実施形態では、撮像方式設定手段55が光検出部31における解像度及び撮像領域の双方を設定しているが、撮像方式設定手段55が光検出部31における解像度及び撮像領域のうちいずれか一方を設定してもよい。これによって、角膜反射光像の移動速度が比較的大きいときには解像度を下げ、角膜反射光像の移動速度が比較的小さいときには解像度を上げることができる。または、角膜反射光像の移動速度が比較的大きいときには撮像領域を広く設定し、角膜反射光像の移動速度が比較的小さいときには撮像領域を狭く設定することができる。このように、解像度及び撮像領域の少なくとも一方を設定することによっても、眼球の緩やかな動きと高速運動とを、ともに移動速度に応じた高い精度で測定することができる。
また、本実施形態のように、眼球運動測定装置1では、撮像方式設定手段55が、演算部7において算出された角膜反射光像L2の光量中心位置を角膜反射光像L2の入射位置として、光検出部31における解像度及び撮像領域を設定することが好ましい。これによって、角膜反射光像L2の移動情報を正確に算出することができるので、光検出部31における解像度及び撮像領域をより適切に設定することができる。
また、本実施形態のように、眼球運動測定装置1では、感度調整手段53が、角膜反射光像L2が入射した複数の画素31aのうち所定の画素31a(本実施形態では入射光量が最も多い画素31a)に対応する撮像データSの大きさが所定レベルよりも大きくなるように、撮像データSの増幅率を調整することが好ましい。これによって、角膜反射光像L2を明瞭に撮像することができるので、角膜反射光像L2の移動情報を正確に算出することができ、光検出部31における解像度及び撮像領域を撮像方式設定手段55がより適切に設定することができる。
また、本実施形態のように、眼球運動測定装置1は、角膜23からの角膜反射光像L2を光検出部31へ反射させるダイクロイックミラー49と、撮像部3からの撮像データSに基づいてダイクロイックミラー49の位置及び角度を調整するミラー調整手段56とを備えることが好ましい。そして、ミラー調整手段56が、光検出部31に入射する角膜反射光像L2が真円に近づくようにダイクロイックミラー49の位置及び角度を調整することが好ましい。これによって、角膜反射光像L2が光検出部31に入射する際の入射角調整を容易にできるので、眼球21(角膜23)の移動速度を光検出部31上の角膜反射光像L2の移動速度に正確に反映することができる。
また、本実施形態のように、眼球運動測定装置1は、角膜23へ赤外光L1を照射するLED91と、撮像部3からの撮像データSに基づいて、LED91からの赤外光L1が角膜23へ入射するようにLED91の位置を調整する光源位置調整手段57とを備えることが好ましい。これによって、LED91からの赤外光L1を角膜23へ正確に照射して、角膜反射光像L2を精度良く得ることができる。
なお、本実施形態において、撮像方式設定手段55は、部分読み出し時に、撮像部3のフレームレートを高めるように駆動信号生成手段58を介して撮像部3を制御してもよい。これにより、光検出部31の解像度はある程度制限されるが、眼球21の高速運動を細かな時間間隔で撮像することができる。或いは、撮像方式設定手段55は、角膜反射光像L2の移動情報と撮像部3のフレームレートとに基づいて、撮像部3の撮像領域を設定してもよい。これによって、例えばフレームレートが比較的大きく設定された場合に撮像領域を狭く設定することができるので、角膜反射光像L2の移動情報に応じて撮像部3のフレームレートを好適に設定することができる。なお、このとき、撮像方式設定手段55は、撮像部3の解像度を適宜設定してもよい。
また、撮像方式設定手段55は、上記した部分読み出し設定を行わずに、角膜反射光像L2の移動情報と撮像部3のフレームレートとに基づいて、撮像部3の解像度を設定してもよい。これによって、例えば撮像速度が比較的大きく設定された場合に解像度を下げることができるので、角膜反射光像L2の移動情報に応じて撮像部3の撮像速度を好適に設定することができる。
(第2の実施の形態)
図18は、本発明による眼球運動測定装置の第2実施形態を示す構成図である。本実施形態による眼球運動測定装置2の構成は、以下の点において上記した第1実施形態の眼球運動測定装置1の構成と異なる。すなわち、本実施形態による眼球運動測定装置2は、図18に示すように、右眼球21a及び左眼球21bにそれぞれ対応する一対のLED91a及び91b並びに一対のダイクロイックミラー49a及び49bと、ダイクロイックミラー49a及び49bの間に配置されたプリズム46とをさらに備えている。
LED91aから右眼球21aの角膜23aに光が照射されると、右側角膜反射光像L3が生じる。ダイクロイックミラー49aは、右側角膜反射光像L3を撮像部3の光検出部31へ反射するように配置されている。本実施形態では、右側角膜反射光像L3は、ダイクロイックミラー49aの反射面においてプリズム46へ向けて反射した後、プリズム46の第1の反射面46aにおいて再度反射する。そして、右側角膜反射光像L3は、集光レンズ13により集光されて光検出部31上に結像する。
LED91bから左眼球21bの角膜23bに光が照射されると、左側角膜反射光像L4が生じる。ダイクロイックミラー49bは、左側角膜反射光像L4を撮像部3の光検出部31へ反射するように配置されている。本実施形態では、左側角膜反射光像L4は、ダイクロイックミラー49bの反射面においてプリズム46へ向けて反射した後、プリズム46の第1の反射面46aとは異なる(例えば、第1の反射面46aと直交する)第2の反射面46bにおいて再度反射する。そして、左側角膜反射光像L4は、集光レンズ13により集光されて光検出部31上に結像する。
視標表示部19a及び19bのそれぞれは、ダイクロイックミラー49a及び49bを挟んで角膜23a及び23bと対向するように設けられている。視標表示部19a及び19bは、被験者に視標を提示する。
また、本実施形態の眼球運動測定装置2は、次の点においても第1実施形態の眼球運動測定装置1とは異なっている。すなわち、眼球運動測定装置2の制御部5aが有するミラー調整手段56aは、第1実施形態のミラー調整手段56が有する機能に加え、さらに次の機能を有している。ミラー調整手段56aは、角膜23aからの右側角膜反射光像L3が光検出部31における第1の領域(例えば、光検出部31の半面)に入射し、角膜23bからの左側角膜反射光像L4が光検出部31における第1の領域とは異なる第2の領域(例えば、光検出部31の他の半面)に入射するように、ダイクロイックミラー49a及び49bの位置及び角度を調整する。ミラー調整手段56aは、このようにダイクロイックミラー49a及び49bの位置及び角度を調整するためのミラー位置制御信号及びミラー角度制御信号を、各ダイクロイックミラーに対応して設けられた位置調整駆動回路及び角度調整駆動回路(図示せず)へ送る。これらの回路は、各ダイクロイックミラーが固定されている移動台及び回転台をミラー位置制御信号及びミラー角度制御信号に従い制御することによって、ダイクロイックミラー49a及び49bの位置及び角度を変更する。こうして、角膜23aからの右側角膜反射光像L3が光検出部31における第1の領域に入射し、角膜23bからの左側角膜反射光像L4が光検出部31における第2の領域に入射する。
図19は、本実施形態の眼球運動測定装置2の動作を示すフローチャートである。以下、図19を参照しながら眼球運動測定装置2の動作について説明する。なお、以下の動作においては、まず右側角膜反射光像L3に関する調整を行い、続いて左側角膜反射光像L4に関する調整を行う。
眼球運動測定装置2では、まず、制御部5aの駆動信号生成手段が撮像部3における撮像速度(フレームレート)を低速(例えば8[フレーム/秒])に設定する(S401)。そして、LED91aからの光が角膜23aの中心付近を照射しているか否かを撮像データに基づいて判定し(S403)、中心付近を照射していない場合には、制御部5aの光源位置調整手段がLED91aの位置を調整する(S405)。
続いて、制御部5aの駆動信号生成手段が、撮像部3における撮像速度(フレームレート)を高速(例えば1024[フレーム/秒])に設定する(S407)。そして、制御部5aの感度調整手段が、撮像データにおいて右側角膜反射光像L3を明瞭に判別できるように撮像部3における撮像データの増幅率を調整する(S409)。
続いて、右側角膜反射光像L3が光検出部31の第1の領域に入射しているか否かを制御部5aのミラー調整手段56aが撮像データに基づいて判定する(S411)。そして、右側角膜反射光像L3が第1の領域に入射していない場合、ミラー調整手段56aは、ダイクロイックミラー49aの位置及び角度を調整することにより、右側角膜反射光像L3を光検出部31の第1の領域に入射させる(S413)。そして、ミラー調整手段56aは、撮像データにおける右側角膜反射光像L3の形状が真円に近づくように、ダイクロイックミラー49aの位置及び角度を調整する(S415)。続いて、制御部5の撮像方式設定手段が、撮像部3において右側角膜反射光像L3に対応する解像度及び撮像領域(部分読み出しモード)を設定する(S417)。なお、角膜反射光像の焦点合わせは、制御部5aのミラー調整手段56aが角膜23aとダイクロイックミラー49aとの距離を調整することによって適宜行われる。
眼球運動測定装置2は、以上の動作を左側角膜反射光像L4に関しても同様に行う(S419)。なお、左側角膜反射光像L4に関する動作においては、制御部5のミラー調整手段56aは、ステップS413においてダイクロイックミラー49bの位置及び角度を調整することによって左側角膜反射光像L4を光検出部31の第2の領域に入射させる。
以上の動作によって眼球運動測定装置2の初期設定が完了し、固視微動測定などを両目同時に測定する本測定に移行する(S421)。
本実施形態による眼球運動測定装置2では、ミラー調整手段56aによってダイクロイックミラー49a及び49bの位置及び角度を調整することにより、左右の角膜23a及び23bからの角膜反射光像L3及びL4をそれぞれ光検出部31の異なる領域に入射させている。このように、左右の角膜23aからの角膜反射光像L3及びL4を異なる領域に同時に入射させることにより、左右の角膜23a及び23bの動きを容易に測定できる。
本発明による眼球運動測定装置は、上記した各実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記した第1実施形態では、一つの眼球に対し一つの位置から角膜反射光像用の光を照射しているが、一つの眼球に対し複数の位置から角膜反射光像用の光を照射してもよい。例えば、一つの眼球に対し角膜反射光像用の光源を二箇所に配置した場合、光検出部において角膜反射光像が二つ得られる。このような場合には、第2実施形態に示したような第1の領域及び第2の領域を光検出部に設け、二つの角膜反射光像をそれぞれ第1及び第2の領域に入射させるとよい。一つの眼球に対し複数の角膜反射光像が存在する場合には、各角膜反射光像の移動を比較することによって、例えば、角膜反射光像の移動が同期していない場合には、検出系のノイズであると判断できるので、計測精度をさらに向上させることができる。
また、第2実施形態のように左右の眼球からの角膜反射光像を測定する場合においても、一つの角膜に対して複数の位置から角膜反射光像用の光を照射してもよい。このような場合には、制御部の駆動信号生成手段によって、左右の眼球に対応して設けられた光源をそれぞれ交互に点灯させるように制御するとよい。そして、一方の眼球からの複数の角膜反射光像を光検出部において対応する複数の領域に入射させることによって、光検出部の全領域を片眼の測定に割り当てることが可能になり、両眼球運動多重点同時測定を行うことができる。
また、光検出部に複数の角膜反射光像を入射させる際には、演算部における光量中心位置の算出の際に、画像データに対し平滑化処理を行ってもよい。これによって、複数の角膜反射光像の光量中心を高い精度で判別し、それぞれの光量中心位置座標を精度良く算出することができる。
図1は、本発明による眼球運動測定装置の第1実施形態を示す概略図である。 図2は、第1実施形態による眼球運動測定装置の全体構成を示すブロック図である。 図3は、光検出部と、アンプ、A/D変換器、及び制御部との電気的接続関係を示す図である。 図4は、アンプの構成を具体的に示す図である。 図5は、感度調整手段における処理の流れを示すフローチャートである。 図6(a)及び図6(b)は、制御部の感度調整手段による感度調整結果の一例を説明するための図である。 図7は、LED、角膜、及びダイクロイックミラーの理想的な相対位置関係を示す図である。 図8は、撮像部のフレームレートを8[枚/秒]に設定したときの、撮像データを示す図である。 図9は、位置調整及び感度調整の後の撮像データの一例を示す図である。 図10は、ミラー調整手段による形状調整の処理の流れを示すフローチャートである。 図11(a)〜図11(f)は、角膜反射光像に関するヒストグラムを撮像データから求め、このヒストグラムに基づいて光源の位置を調整する様子を示す図である。 図12(a)〜図12(c)は、角膜反射光像に関するヒストグラムを撮像データから求め、このヒストグラムに基づいて角膜反射光像の形状を調整する様子を示す図である。 図13(a)及び図13(b)は、角膜反射光像の内接円及び外接円を求め、これらの円の径を近づけることによって角膜反射光像の形状を調整する様子を示す図である。 図14(a)及び(b)は、撮像方式設定手段における、光検出部の解像度及び撮像領域の設定機能について説明するための図である。 図15は、図14(a)に示した撮像領域を設定するために、撮像データにおける角膜反射光像の移動速度を算出する方法を説明する図である。 図16(a)及び図16(b)は、演算部の零次モーメント演算器及び一次モーメント演算器の内部構成の一例を示すブロック図である。 図17は、眼球運動測定装置の動作に関するフローチャートである。 図18は、本発明による眼球運動測定装置の第2実施形態を示す構成図である。 図19は、第2実施形態の眼球運動測定装置の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1、2…眼球運動測定装置、3…撮像部、4…光学部、5…制御部、7…演算部、8…視標表示部、9…照明部、13…集光レンズ、15…出力手段、18…カメラ、21…眼球、23…角膜、31…光検出部、31a…画素、33…増幅部、35…A/D変換部、37…スイッチ部、41…光結像部、43…視軸コントローラ、45…位置調整駆動回路、47…角度調整駆動回路、49…ダイクロイックミラー、53…感度調整手段、55…撮像方式設定手段、56…ミラー調整手段、57…光源位置調整手段、58…駆動信号生成手段、71…零次モーメント演算器、73…一次モーメント演算器、75…光量中心位置演算器、81…演算器、82…ビデオメモリ、83…メモリコントローラ、93…位置調整駆動回路、95、97…光源駆動回路。

Claims (8)

  1. 角膜に光を照射することにより生じる角膜反射光像を撮像することにより、前記角膜の動きを測定する眼球運動測定装置であって、
    二次元状に配列された複数の画素を含む光検出部を有し、前記光検出部に入射した前記角膜反射光像に関する前記画素毎の入射光量を示す撮像データを生成する撮像部と、
    前記撮像部からの前記撮像データに基づいて算出される前記光検出部における前記角膜反射光像の入射位置の移動情報に基づいて、前記光検出部における解像度及び撮像領域の少なくとも一方を設定する撮像方式設定手段と
    を備え
    前記撮像方式設定手段は、前記角膜反射光像の前記入射位置の移動速度が増加した場合に、前記光検出部の低解像度化及び撮像領域の広域化の少なくとも一方を設定し、前記角膜反射光像の前記入射位置の移動速度が減少した場合に、前記光検出部の高解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴とする、眼球運動測定装置。
  2. 前記撮像方式設定手段が、前記角膜反射光像の前記入射位置として、前記光検出部に入射した前記角膜反射光像の光量中心位置を算出し、該光量中心位置の移動速度が増加した場合に、前記光検出部の低解像度化及び撮像領域の広域化の少なくとも一方を設定し、該光量中心位置の移動速度が減少した場合に、前記光検出部の高解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴とする、請求項1に記載の眼球運動測定装置。
  3. 前記撮像方式設定手段が、前記撮像部の撮像速度が増加した場合に、前記光検出部の低解像度化及び撮像領域の狭域化の少なくとも一方を設定することを特徴とする、請求項1または2に記載の眼球運動測定装置。
  4. 前記角膜反射光像が入射した前記複数の画素のうち所定の前記画素に対応する前記撮像データの大きさが所定レベルよりも大きくなるように、前記撮像データの増幅率を調整する感度調整手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の眼球運動測定装置。
  5. 前記角膜からの前記角膜反射光像を前記光検出部へ反射させる反射ミラーと、
    前記撮像部からの前記撮像データに基づいて前記反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段と
    をさらに備え、
    前記ミラー調整手段が、前記光検出部に入射する前記角膜反射光像が真円に近づくように前記反射ミラーの位置及び角度を調整することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼球運動測定装置。
  6. 左右の前記角膜からの前記角膜反射光像を前記光検出部へ反射させる一対の反射ミラーと、
    前記撮像部からの前記撮像データに基づいて前記一対の反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段と
    をさらに備え、
    前記ミラー調整手段が、一方の前記角膜からの前記角膜反射光像が前記光検出部における第1の領域に入射し、他方の前記角膜からの前記角膜反射光像が前記光検出部における前記第1の領域とは異なる第2の領域に入射するように、前記反射ミラーの位置及び角度を調整することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼球運動測定装置。
  7. 前記角膜からの前記角膜反射光像を前記光検出部へ反射させる反射ミラーと、
    前記撮像部からの前記撮像データに基づいて前記反射ミラーの位置及び角度を調整するミラー調整手段と
    をさらに備え、
    前記ミラー調整手段が、前記角膜反射光像が前記撮像データの中心に近づくように前記反射ミラーの位置を調整することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼球運動測定装置。
  8. 前記角膜へ前記光を照射する光源と、
    前記撮像部からの前記撮像データに基づいて、前記光源からの前記光が前記角膜へ入射するように前記光源の位置を調整する光源位置調整手段と
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の眼球運動測定装置。
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