JP5362545B2 - 自動車用等のファンインペラ - Google Patents

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Description

本発明は、ハブ、およびハブから外側に向かって半径方向に突き出ているブレードを有するファンインペラに関し、ブレードの断面は、前縁、後縁、および、それらを結ぶ翼弦を有する翼状断面形状を備えている。
このようなインペラは、特に、自動車を推進するエンジンを冷却するために用いられている。インペラは、熱交換器、すなわち、推進エンジンを冷却するために用いられるラジエータを通る空気流をつくり出す。
インペラの、「ボウル」としても知られているハブは、モータ(制御電子回路によって操作される電動モータであってよい)のシャフトに、しっかりと嵌め込むことができる。
用語「平坦化断面」は、本明細書においては、インペラの軸のまわりの回転円筒面上でブレードを切断し、さらに、この回転円筒面を平らに広げることによって得られる平らな閉曲線で囲まれる平面を表わす。この場合、翼弦は、前縁と後縁とを結ぶ線分として定義される。
このようなインペラを、自動車エンジンを冷却するために用いる場合には、インペラは、エンジンを冷却するために用いられるラジエータの前面または後面に配置される。
このようなインペラの通風性能および雑音抑制性能を改善しようとすると、現実には、インペラの設計に、多くの問題が発生する。
ファンインペラは、一般に、プラスチックを成型して製造される。製造コストを低くするために、インペラのブレードは、できるだけ厚さを薄くした翼状形状に製造されるのが普通である。
さらに、ブレードにかかる負荷を小さくし、かつそれによって、ファンによって発生するノイズを低くするために、従来知られているファンインペラの大多数は、相当に大きな軸方向の奥行きを有する。
ブレードが薄いインペラは、軸方向のサイズを小さくすることと両立するが、インペラが、冷却用ラジエータのチューブ束から、かなりの距離(通常、数cm)離して配置される場合の自動車エンジンの冷却に向いている。
自動車のエンジンルームにおいて利用可能な空間は、非常に制限されることが多いという事を考えると、軸方向に小さな空間量しか占めないだけではなく、インペラと冷却用ラジエータのチューブ束との間の距離を短くすることができるインペラを用いることが望ましい。
例えば特許文献1に開示されている、ブレードが薄いインペラは、熱交換器、例えば冷却用ラジエータのチューブ束に近接して配置されると、通風性能および雑音抑制性能が低下する。この性能の低下は、主として、熱交換器に起因する大きな乱流によって引き起こされる擾乱によるものである。「近接」とは、本明細書においては、概ね1cm程度の距離を表わす。
フランス国特許公開第2781843号公報
本発明は、これらの問題を解決することを目的とするものである。
この目的を達成するために、本発明は、ブレードが、前縁から測定して、翼弦の長さの最初の1/4内において、最大相対厚さとなる厚さを有しており、この相対厚さは、ブレードの厚さと、翼弦の長さとの比によって定められている、上に定めたタイプのファンインペラを提供するものである。
ブレードは、前縁から測定して、翼弦の最初の1/4内において、その最大相対厚さを有している。この最大相対厚さは、少なくとも12%であるのが好ましい。
これによって、前縁のすぐ後の領域(翼弦長の最初の1/4内の領域)において、より厚いブレードを有するファンインペラが得られる。
このような翼状断面形状を採用することによって、インペラが熱交換器のチューブ束にごく近接して配置されたときに、通風性能および雑音抑制性能を改善し、それによって、ファンおよびインペラアセンブリの軸方向のサイズを制限し、かつファン性能を最適化することができることが分っている。言い換えると、本発明のインペラのブレードは、前縁のすぐ後の領域において、よりふくらんだ球根状断面形を有している。
本発明の別の1つの特徴によれば、前縁は、可能な限り大きな曲率半径を有している。これにより、前縁の後の領域において、ブレードは、球根状断面形を有している。
本発明のさらに別の1つの特徴によれば、翼状断面形状は、変曲点のない中央線(中立軸)を有している。
さらに、翼状断面形状は、曲率の反転する点を有する圧力面を備えていると有利である。この特徴によると、特に、後縁によって発生する擾乱、およびノイズを抑制することができる。
好適な一実施形態においては、ブレードの半径方向の外端は、シュラウドを介して、互いに連結されている。
このように、外端が自由端であるインペラも、本発明の範囲内に含まれる。
添付図面を参照して行う以下の説明は、単に例示目的のものにすぎない。
図1〜図3に示すファンインペラ10は、「ボウル」としても知られている中央のハブ14から、概ね半径方向に突き出ており、かつインペラの周縁において、シュラウド16を介して、互いに連結されている多数のブレード12(この場合には、9個のブレード)を有している。ハブ、ブレード、およびシュラウドは、プラスチックの単一体として、成型法によって形成されている。
ハブ14は、ブレード12の根元が連結されている回転円筒形状の壁18、および、インペラの回転によって生じる空気流の方向において上流の方向に面した平坦な前面壁20を有している。インペラの回転方向は、図1および図3に、矢印Fによって示されている。
インペラを、電動モータ(図示せず)に連結された駆動シャフト(図示せず)にしっかりと固定することができるように、前面壁20に孔22が設けられている。
ブレード12は、全て、概ね同一であり、ハブ14の壁18からシュラウド16まで、概ね湾曲した形状を有している。
ここで、インペラのブレード12の構成を説明するために、図3および図4を、より詳細に参照する。図3には、ブレード12の、展開されていない円筒面で切断された断面を示してある。図4には、ブレード12の平坦化断面を示してある。用語「平坦化断面」は、本明細書においては、インペラの軸のまわりの回転円筒面上でブレードを切断し(図3を参照のこと)、さらに、この回転円筒面を平らに広げる(図4を参照のこと)ことによって得られる平らな閉曲線で囲まれる平面を表わしている。
図3および図4に示すように、ブレードの断面は、前縁24および後縁26を有する、概ね翼状の断面形状を備えている。表現「翼状断面形状」は、本明細書において、突き出た角部がなく、または、厚さが滑らかに変化する輪郭を有する、丸みを帯びた前縁、および丸みを帯びた後縁を有する流線断面形状を表わすために用いられている。
図4の断面に示すように、翼弦28、すなわち、前縁24と後縁26とを結ぶ線分は、半径方向面Pに対して、すなわち、インペラの軸に垂直な平面に対して、鋭角αだけ傾いている。この鋭角αは、ハブに固定されているブレード根元からシュラウドに固定されているブレード先端まで、ブレードの長さ方向に沿って変化している。
翼弦28は、図4に示すように、前縁24と後縁26との間で測定される長さLを有している。
以下の説明の理解を、より容易にするために、ここで、本発明によるものではないブレード断面形状を一般的に示している図5を参照する。図5は、翼状断面形状を有するブレードの、上記の定義による平坦化断面を示している。この断面形状の翼弦Cは、前縁BAと後縁BFとを結ぶ線分であり、長さLを有する。翼は、上面すなわち負圧面Ext、および下面すなわち圧力面Intを有する。この断面形状は、実質的に圧力面と負圧面との間の中央に延びる、「中立軸」としても知られている中央線LMを有している。
ブレードの厚さEは、中央線(中立軸)上に中心を有し、かつ、圧力面および負圧面に接する円に関連付けて定義される。負圧面および圧力面と円とのそれぞれの接点P1およびP2は、問題としている点における厚さEを定める線分の両端である。図5は、中央線に沿った各点における、このタイプのいくつかの円を示している。厚さEに等しい、円の直径は、中央線に沿った中心の位置によって変化することが示されている。このことから、さらに、この断面形状の厚さEと翼弦の長さLとの比として、相対厚さErelを定義することができる。
ここで視点を戻して、再度、図4を参照する。翼タイプの断面形状は、概ね、従来技術の同様の断面形状(特に、特許文献1を参照されたい)よりも大きな厚さを有している。本発明において、ブレードは、前縁24から測定して、翼弦長の最初の1/4内で、その最大値すなわち最大相対厚さEmaxに達する相対厚さErelを有する。この最大相対厚さEmaxの大きさは、少なくとも12%である。本発明によれば、最大相対厚さEmaxは、20%までの値を有してもよく、通常は、約15%程度である。このことは、この断面形状が、前縁側で、特徴的な球根状断面形状、すなわち、従来技術のブレードよりもふくらんだ形状を有するということを意味している。この球根状形状の形成を容易にするために、前縁24は、可能な限り大きな曲率半径を有している。
さらに、後縁26は、可能な限り小さな厚さを有している。このことは、最大厚さの領域の後で、負圧面30と圧力面32とは、互いに対して、次第に収束していくということを意味している。この例においては、圧力面32は、曲率の反転する点を有しており、したがって、後縁26に近づくにつれて、ブレードの厚さは小さくなっていく。
図3および図4は、前縁から観察していって、厚さが、最大相対厚さEmaxまで、なめらかに増加していき、その後、後縁まで、なめらかに減少していくことを示している。
最大厚さが、前縁24から測定して、翼弦長の最初の1/4内にあるということは、インペラが、熱交換器にごく近接して配置されているとき、すなわち、インペラが、ラジエータ(自動車エンジンの標準的な冷却用ラジエータの場合の)から概ね1cm程度の距離に配置されているとき、乱流によって発生するノイズを小さくすることができるということを意味している。
さらに、この断面形状の厚さが、後縁26で小さくなっているということも、この断面形状の後縁によって発生する擾乱およびノイズが制限されることを可能にしている。
中央線すなわち中立軸は、変曲点を有しない。このことは、既に引用した特許文献1に開示されている多項式によって定められている。
ここで、翼弦長に対する最大相対厚さEmaxの位置の関数として、音圧レベルNPA(デシベル表示の)の変化、および、効率すなわち能率R(パーセンテージ表示の)の変化を示している図6を参照する。横軸には、それぞれ、翼弦の長さLの4/1、1/2、3/4、および1倍に対応する点がマークされている。効率すなわち能率に対応する曲線(破線で示されている)は、ほぼL/4に対応する領域内に頂点を有することが示されている。音圧レベルに対応する曲線(実線で示されている)は、L/2以降において漸近値に近づいていく増加曲線である。L/4の点で、効率は、既に顕著なレベルに達している。
したがって、翼弦長の最初の4/1内、すなわち、実質的にL/4に対応する領域内に最大厚さを定めることによって、最大効率と、十分に許容可能な騒音レベルとを、同時に達成することができる。
図7は、横軸が最大相対厚さの大きさであること以外には、図6と同様の図である。効率すなわち能率(破線で描かれている曲線)は、ほぼ12%に対応する最大相対厚さで最大になることが示されている。さらに、音圧レベルは、減少関数であり、12〜20%の最大相対厚さで、許容可能な値に達している。このことは、12〜20%の範囲の最大相対厚さEmax値において、音圧レベルが十分に低いことを示している。それに対して、効率は、12%のマーク付近で最大になる。その後、効率は、20%のマークに近づくにつれて減少する。
前述の図6と図7とを比較することによって、前縁から測定して、翼弦長の最初の1/4内の位置において、最大値に達する相対厚さを用いることが有利であることが分かる。
本発明は、特に、自動車エンジンの冷却用ファンのインペラとしての応用に好適である。
本発明によるファンインペラの正面図である。 図1のファンインペラの側面図である。 インペラの軸のまわりの回転円筒面上でブレードを切断することによって得られる、ブレードの展開されていない断面形状を示す、図1および図2のファンインペラの部分断面斜視図である。 図3の展開されていない断面形状から得られる、ブレードの平坦化断面形状の拡大図である。 一般的にブレード断面形状を説明する断面図である。 翼弦長に対する、断面形状の最大相対厚さの位置の関数として、本発明によるインペラの音圧レベルおよび効率を示すグラフである。 最大相対厚さの関数として、本発明によるインペラの音圧レベルおよび効率を示すグラフである。
符号の説明
10 ファンインペラ
12 ブレード
14 ハブ
16 シュラウド
18 壁
20 前面壁
22 孔
24、BA 前縁
26、BF 後縁
28 翼弦
30、Ext 負圧面
32、Int 圧力面
E 厚さ
max 最大相対厚さ
F 矢印
L 長さ
LM 中央線
P 半径方向面
P1、P2 接点
α 鋭角

Claims (5)

  1. 自動車を推進するエンジンを冷却するために、ハブ(14)、および、このハブから、外側に向かって半径方向に突き出ている複数のブレード(12)を有するファンインペラであって、前記ブレードの平坦化された断面は、前縁(24)、後縁(26)、および、前縁(24)と後縁(26)とを結ぶ翼弦(28)とを有する翼状断面形状を備えているファンインペラであって、
    インペラは、ラジエータから概ね1cm程度の距離に配置され、
    前記ブレード(12)は、前記前縁(24)から測定して、前記翼弦(28)の長さの前から1/4内において、最大相対厚さ(Emax)に達する相対厚さ(Erel)を有しており、この相対厚さは、前記ブレードの厚さ(E)と、翼弦(28)の長さ(L)との比によって定められ、
    前記最大相対厚さ(Emax)は、12〜20%であることを特徴とするファンインペラ。
  2. 前記最大相対厚さ(Emax)は、約15%であることを特徴とする、請求項1に記載のファンインペラ。
  3. 前記翼状断面形状は、変曲点のない中央線(LM)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のファンインペラ。
  4. 前記翼状断面形状は、曲率の反転する点を有する圧力面(32)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載のファンインペラ。
  5. 前記ブレード(12)の半径方向の外端は、シュラウド(16)を介して互いに連結されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載のファンインペラ。
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