JP5361662B2 - 液体吐出ヘッドの使用方法および記録装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドの使用方法および記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電体を用いて液滴を吐出させて画像を印刷する液体吐出ヘッドの使用方法および記録装置に関するものである。
近年、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどの、インクジェット記録方式を利用した印刷装置が、一般消費者向けのプリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも広く利用されている。
このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒータを備え、ヒータによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より、液滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔より液滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
また、このような液体吐出ヘッドには、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に液体吐出ヘッドを移動させつつ記録を行なうシリアル式、および記録媒体より主走査方向に長い液体吐出ヘッドを固定した状態で、副走査方向に搬送されてくる記録媒体に記録を行なうライン式がある。ライン式は、シリアル式のように液体吐出ヘッドを移動させる必要がないので、高速記録が可能であるという利点を有する。
シリアル式、ライン式のいずれの方式の液体吐出ヘッドであっても、液滴を高い密度で印刷するには、液体吐出ヘッドに形成されている、液滴を吐出する液体吐出孔の密度を高くする必要がある。
そこで液体吐出ヘッドを、マニホールドおよびマニホールドから複数の液体加圧室をそれぞれ介して繋がる液体吐出孔を有した流路部材と、前記液体加圧室をそれぞれ覆うように設けられた複数の変位素子を有するアクチュエータユニットとを積層して構成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この液体吐出ヘッドでは、複数の液体吐出孔にそれぞれ繋がった液体加圧室がマトリックス状に配置され、それを覆うように設けられたアクチュエータユニットの変位素子を圧電体の変形により変位させることで、各液体吐出孔からインクを吐出させ、主走査方向に600dpiの解像度で印刷が可能とされている。
特開2003−305852号公報
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドにおいて液体の吐出を行なうために変位素子を駆動すると、変位素子の周囲の圧電体に応力が加わり、吐出を繰り返すと、変位素子の周囲の圧電体の形状が初期の形状とは異なった形状になってしまい、その結果、変位素子に初期の状態とは異なる圧力が加わって、変位が少なくなる駆動劣化が起きるという問題があった。
したがって、本発明の目的は、駆動劣化の生じた液体吐出ヘッドの駆動劣化の程度を小さくする液体吐出ヘッドの使用方法および記録装置を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることを特徴とする。
前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜+0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜100Hzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことが好ましい。
前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が1kHz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことが好ましい。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することを特徴とする。
前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることが好ましい。
前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことが好ましい。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることを特徴とする。
前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることが好ましい。
前記バイポーラ信号の周波数が5Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことが好ましい。
前前記加圧信号の周波数が5Hz〜100Hzであり、前記第2信号の低い方の電圧の印加時間が高い方の電圧よりも長いことであることが好ましい。
また、本発明の記録装置は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることを特徴とする。
また、本発明の記録装置は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することを特徴とする。
また、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドの使用方法によれば、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることにより、吐出動作によって、積層方向と直交する方向に引き伸ばされるように変形していた前記複数の駆動電極の周囲の圧電体(以下で非駆動部と言うことがある)に対して、圧縮・引張りの応力を繰り返し加えることにより、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くし、駆動劣化の程度を小さくすることができる。
前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜+0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜100Hzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長い場合、圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、また、周波数が低いことにより比較的ドメインスイッチングが起き難いドメインに対しても、ドメインスイッチングを起こさせることができるので、このような信号を長時間加えることにより、駆動劣化の程度をより小さくできる。
前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が1kHz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長い場合、圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、また、周波数が高いことによりドメインスイッチングを起こさせる、単位時間当たりの圧縮・引張りの回数が多くなり、ドメインスイッチングを早く起こさせることができるので、このような信号を加えることにより、比較的短時間で、駆動劣化の程度をある程度小さくできる。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法によれば、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することにより、非駆動部に対して、圧縮・引張りの応力を繰り返し加えて、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くした後、非駆動部に圧縮応力を加えることにより、ドメインスイッチングがより起こり、非駆動部を圧縮し、駆動劣化の程度を小さくできる。
前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることにより、バイポーラ信号により非駆動部に生じさせる圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、非駆動部が圧縮されるドメインスイッチングを起こし易くできるので駆動劣化の程度をより小さくできる。
前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長い場合、バイポーラ信号により非駆動部に生じさせる圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、非駆動部が圧縮されるドメインスイッチングを起こし易くできるので駆動劣化の程度をより小さくできる。
また、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法は、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることにより、圧縮・引張りの応力を繰り返し加えて、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くした後、非駆動部に圧縮応力を変動させながら加えることにより、ドメインスイッチングがより起こり、非駆動部を圧縮し、駆動劣化の程度を小さくできる。
前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることにより、バイポーラ信号により非駆動部に生じさせる圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、非駆動部が圧縮されるドメインスイッチングを起こし易くできるので駆動劣化の程度をより小さくできる。
前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長い場合、バイポーラ信号により非駆動部に生じさせる圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の影響を大きくすることができ、非駆動部が圧縮されるドメインスイッチングを起こし易くできるので駆動劣化の程度をより小さくできる。
前記加圧信号の周波数が5Hz〜100Hzであり、前記第2信号の低い方の電圧の印加時間が高い方の電圧よりも長い場合、加圧信号を低い周波数で、かつ、圧縮・引張りの応力のうちで圧縮の時間を長くして圧縮の影響を大きくすることにより、非駆動部が圧縮されるドメインスイッチングを起こし易くできるので駆動劣化の程度をより小さくできる。
また、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることにより、非駆動部に圧縮・引張りの応力を繰り返し加えることにより、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くし、駆動劣化の程度を小さくすることができる。
また、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することにより、非駆動部に対して、圧縮・引張りの応力を繰り返し加えて、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くした後、非駆動部に圧縮応力を加えることにより、ドメインスイッチングがより起こり、非駆動部を圧縮し、駆動劣化の程度を小さくできる。
また、複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることにより、圧縮・引張りの応力を繰り返し加えて、非駆動部にドメインスイッチングを起こし易くした後、非駆動部に圧縮応力を変動させながら加えることにより、ドメインスイッチングがより起こり、非駆動部を圧縮し、駆動劣化の程度を小さくできる。
本発明の一実施形態に係る記録装置であるプリンタの概略構成図である。 図1の液体吐出ヘッドを構成するヘッド本体を示す平面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図であり、説明のため一部の流路を省略した図である。 図3のV−V線に沿った縦断面図である。 (a)〜(e)は変位素子の動作を示す部分断面図である。 (a)液体を吐出する駆動波形の一例を示す図であり、(b)は(a)の駆動波形を加えた際の変位素子の変位を示す図である。 (a)本発明の液体吐出ヘッドの使用方法において、駆動劣化を少なくさせる再生波形の一例を示す図であり、(b)は(a)の再生波形を加えた際の変位素子の変位を示す図である。 本発明の液体吐出ヘッドの使用方法において、駆動劣化を少なくさせる再生波形の他の例を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態である記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。このカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1とする)は、4つの液体吐出ヘッド2を有している。これらの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って並べられ、プリンタ1に固定されている。液体吐出ヘッド2は、図1の手前から奥へ向かう方向に細長い形状を有している。
プリンタ1には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120および紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、液体吐出ヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の印刷用紙Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された印刷用紙Pのうち、最も上にある印刷用紙Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118aおよび118b、ならびに、119aおよび119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された印刷用紙Pは、これらの送りローラによってガイドされて、さらに搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106および107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106および107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラに巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラの共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。これら2つの平面のうち、液体吐出ヘッド2に近い方の平面が、印刷用紙Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174は、ベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させることができる。また、ベルトローラ107は、搬送ベルト111に連動して回転することができる。したがって、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、ニップローラ138とニップ受けローラ139とが、搬送ベルト111を挟むように配置されている。ニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。ニップローラ138の下方のニップ受けローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。2つのニップローラは回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された印刷用紙Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の回転に従って、液体吐出ヘッド2が設置されている方向へと搬送される。なお、搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよい。これにより、印刷用紙Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
4つの液体吐出ヘッド2は、搬送ベルト111による搬送方向に沿って互いに近接して配置されている。各液体吐出ヘッド2は、下端にヘッド本体13を有している。ヘッド本体13の下面には、液体を吐出する多数の液体吐出孔8が設けられている(図3参照)。
1つの液体吐出ヘッド2に設けられた液体吐出孔8からは、同じ色の液滴(インク)が吐出されるようになっている。各液体吐出ヘッド2の液体吐出孔8は一方方向(印刷用紙Pと平行で印刷用紙P搬送方向に直交する方向であり、液体吐出ヘッド2の長手方向)に等間隔で配置されているため、一方方向に隙間なく印刷することができる。各液体吐出ヘッド2から吐出される液体の色は、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。各液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体13の下面と搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2と搬送ベルト111との間の隙間を通過する。その際に、液体吐出ヘッド2を構成するヘッド本体13から印刷用紙Pの上面に向けて液滴が吐出される。これによって、印刷用紙Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121aおよび121bならびに122aおよび122bとが配置されている。カラー画像が印刷された印刷用紙Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき、印刷用紙Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして、印刷用紙Pは、送りローラ121a〜122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの印刷用紙Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116に重ねられる。
なお、印刷用紙Pの搬送方向について最も上流側にある液体吐出ヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子および受光素子によって構成され、搬送経路上の印刷用紙Pの先端位置を検出することができる。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、印刷用紙Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、液体吐出ヘッド2や搬送モータ174等を制御することができる。
次に本発明の液体吐出ヘッドを構成するヘッド本体13について説明する。図2は、図1に示されたヘッド本体13を示す上面図である。図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大上面図であり、ヘッド本体13の一部である。図4は、図3と同じ位置の拡大透視図で、液体吐出孔8の位置が分かりやすいように、一部の流路を省略して描いている。なお、図3および図4において、図面を分かり易くするために、圧電アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき液体加圧室10(液体加圧室群9)、しぼり12および液体吐出孔8を実線で描いている。図5は図3のV−V線に沿った縦断面図である。
ヘッド本体13は、平板状の流路部材4と、流路部材4上に、アクチュエータユニットである圧電アクチュエータユニット21とを有している。圧電アクチュエータユニット21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路部材4の長手方向に平行になるように流路部材4の上面に配置されている。また、流路部材4の長手方向に平行な2本の仮想直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つの圧電アクチュエータユニット21が、全体として千鳥状に流路部材4上に配列されている。流路部材4上で隣接し合う圧電アクチュエータユニット21の斜辺同士は、流路部材4の短手方向について部分的にオーバーラップしている。このオーバーラップしている部分の圧電アクチェータユニット21を駆動することにより印刷される領域では、2つの圧電アクチュエータユニット21により吐出された液滴が混在して着弾することになる、
流路部材4の内部には液体流路の一部であるマニホールド5が形成されている。マニホールド5は流路部材4の長手方向に沿って延び細長い形状を有しており、流路部材4の上面にはマニホールド5の開口5bが形成されている。開口5bは、流路部材4の長手方向に平行な2本の直線(仮想線)のそれぞれに沿って5個ずつ、合計10個形成されている。開口5bは、4つの圧電アクチュエータユニット21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド5には開口5bを通じて図示されていない液体タンクから液体が供給されるようになっている。
流路部材4内に形成されたマニホールド5は、複数本に分岐している(分岐した部分のマニホールド5を副マニホールド5aということがある)。開口5bに繋がるマニホールド5は、圧電アクチュエータユニット21の斜辺に沿うように延在しており、流路部材4の長手方向と交差して配置されている。2つの圧電アクチュエータユニット21に挟まれた領域では、1つのマニホールド5が、隣接する圧電アクチュエータユニット21に共有されており、副マニホールド5aがマニホールド5の両側から分岐している。これらの副マニホールド5aは、流路部材4の内部の各圧電アクチュエータユニット21に対向する領域に互いに隣接してヘッド本体13の長手方向に延在している。
流路部材4は、複数の液体加圧室10がマトリクス状(すなわち、2次元的かつ規則的)に形成されている4つの液体加圧室群9を有している。液体加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。液体加圧室10は流路部材4の上面に開口するように形成されている。これらの液体加圧室10は、流路部材4の上面における圧電アクチュエータユニット21に対向する領域のほぼ全面にわたって配列されている。したがって、これらの液体加圧室10によって形成された各液体加圧室群9は圧電アクチュエータユニット21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有している。また、各液体加圧室10の開口は、流路部材4の上面に圧電アクチュエータユニット21が接着されることで閉塞されている。
本実施形態では、図3に示されているように、マニホールド5は、流路部材4の短手方向に互いに平行に並んだ4列のE1〜E4の副マニホールド5aに分岐し、各副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に4列配列されている。副マニホールド5aに繋がった液体加圧室10の並ぶ列は副マニホールド5aの両側に2列ずつ配列されている。
全体では、マニホールド5から繋がる液体加圧室10は、等間隔に流路部材4の長手方向に並ぶ液体加圧室10の列を構成し、その列は、短手方向に互いに平行に16列配列されている。各液体加圧室列に含まれる液体加圧室10の数は、アクチュエータである変位素子50の外形形状に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。液体吐出孔8もこれと同様に配置されている。これによって、全体として長手方向に600dpiの解像度で画像形成が可能となっている。すなわち、各副マニホールド5aには平均すれば150dpiに相当する間隔で個別流路32が接続されている。これは、600dpi分の液体吐出孔8を4つ列の副マニホールド5aに分けて繋ぐ設計をする際に、各副マニホールド5aに繋がる個別流路32が等しい間隔で繋がるとは限らないため、マニホールド5aの延在方向、すなわち主走査方向に平均170μm(150dpiならば25.4mm/150=169μm間隔である)以下の間隔で個別流路32が形成されているということである。
圧電アクチュエータユニット21の上面における各液体加圧室10に対向する位置には後述する駆動電極35がそれぞれ形成されている。駆動電極35は液体加圧室10より一回り小さく、液体加圧室10とほぼ相似な形状を有しており、圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路部材4の下面の液体吐出面には多数の液体吐出孔8が形成されている。これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側に配置された副マニホールド5aと対向する領域を避けた位置に配置されている。また、これらの液体吐出孔8は、流路部材4の下面側における圧電アクチュエータユニット21と対向する領域内に配置されている。これらの液体吐出孔群7は圧電アクチュエータユニット21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータユニット21の変位素子50を変位させることにより液体吐出孔8から液滴が吐出できる。液体吐出孔8の配置については後で詳述する。そして、それぞれの領域内の液体吐出孔8は、流路部材4の長手方向に平行な複数の直線に沿って等間隔に配列されている。
ヘッド本体13に含まれる流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材4の上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャ(しぼり)プレート24、サプライプレート25、26、マニホールドプレート27、28、29、カバープレート30およびノズルプレート31である。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路32および副マニホールド5aを構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体13は、図5に示されているように、液体加圧室10は流路部材4の上面に、副マニホールド5aは内部の下面側に、液体吐出孔8は下面にと、個別流路32を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、液体加圧室10を介して副マニホールド5aと液体吐出孔8とが繋がる構成を有している。
各プレートに形成された孔について説明する。これらの孔には、次のようなものがある。第1に、キャビティプレート22に形成された液体加圧室10である。第2に、液体加圧室10の一端から副マニホールド5aへと繋がる流路を構成する連通孔である。この連通孔は、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の入り口)からサプライプレート25(詳細には副マニホールド5aの出口)までの各プレートに形成されている。なお、この連通孔には、アパーチャプレート24に形成されたしぼり12と、サプライプレート25、26に形成された個別供給流路6とが含まれている。
第3に、液体加圧室10の他端から液体吐出孔8へと連通する流路を構成する連通孔であり、この連通孔は、以下の記載においてディセンダ(部分流路)と呼称される。ディセンダは、ベースプレート23(詳細には液体加圧室10の出口)からノズルプレート31(詳細には液体吐出孔8)までの各プレートに形成されている。第4に、副マニホールド5aを構成する連通孔である。この連通孔は、マニホールドプレート27〜30に形成されている。
このような連通孔が相互に繋がり、副マニホールド5aからの液体の流入口(副マニホールド5aの出口)から液体吐出孔8に至る個別流路32を構成している。副マニホールド5aに供給された液体は、以下の経路で液体吐出孔8から吐出される。まず、副マニホールド5aから上方向に向かって、個別供給流路6を通り、しぼり12の一端部に至る。次に、しぼり12の延在方向に沿って水平に進み、しぼり12の他端部に至る。そこから上方に向かって、液体加圧室10の一端部に至る。さらに、液体加圧室10の延在方向に沿って水平に進み、液体加圧室10の他端部に至る。そこから少しずつ水平方向に移動しながら、主に下方に向かい、下面に開口した液体吐出孔8へと進む。
圧電アクチュエータユニット21は、図5に示されるように、2枚の圧電セラミック層21a、21bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電アクチュエータユニット21全体の厚さは40μm程度である。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の液体加圧室10を跨ぐように延在している(図3参照)。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
圧電アクチュエータユニット21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる共通電極34、Au系などの金属材料からなる駆動電極35を有している。駆動電極35は上述のように圧電アクチュエータユニット21の上面における液体加圧室10と対向する位置に配置されている。駆動電極35の一端は、液体加圧室10と対向する領域外に引き出されて接続電極36が形成されている。接続電極36は例えばガラスフリットを含む金からなり、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極36は、図示されていないFPC(Flexible Printed Circuit)に設けられた電極と電気的に接合されている。詳細は後述するが、駆動電極35には、制御部100からFPCを通じて駆動信号(駆動電圧)が供給される。駆動信号は、印刷媒体Pの搬送速度と同期して一定の周期で供給される。
共通電極34は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極34は、圧電アクチュエータユニット21に対向する領域内の全ての液体加圧室10を覆うように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、グランド電位に保持されている。本実施形態では、圧電セラミック層21b上において、駆動電極35からなる電極群を避ける位置に駆動電極35とは異なる表面電極(不図示)が形成されている。表面電極は、圧電セラミック層21bの内部に形成されたスルーホールを介して共通電極34と電気的に接続されているとともに、多数の駆動電極35と同様に、FPC上の別の電極と接続されている。
図5に示されるように、共通電極34と駆動電極35とは、最上層の圧電セラミック層21bのみを挟むように配置されている。圧電セラミック層21bにおける駆動電極35と共通電極34とに挟まれた領域は活性部と呼称され、その部分の圧電セラミックスには厚み方向に分極が施されている。本実施形態の圧電アクチュエータユニット21においては、最上層の圧電セラミック層21bのみが活性部を含んでおり、圧電セラミック21aは活性部を含んでおらず、振動板として働く。この圧電アクチュエータユニット21はいわゆるユニモルフタイプの構成を有している。
なお、後述のように、駆動電極35に選択的に所定の駆動信号が供給されることにより、この駆動電極35に対応する液体加圧室10内の液体に圧力が加えられる。これによって、個別流路32を通じて、対応する液体吐出口8から液滴が吐出される。すなわち、圧電アクチュエータユニット21における各液体加圧室10に対向する部分は、各液体加圧室10および液体吐出口8に対応する個別の変位素子50(アクチュエータ)に相当する。つまり、2枚の圧電セラミック層からなる積層体中には、図5に示されているような構造を単位構造とする変位素子50が液体加圧室10毎に、液体加圧室10の直上に位置する振動板21a、共通電極34、圧電セラミック層21b、駆動電極35により作り込まれており、圧電アクチュエータユニット21には変位素子50が複数含まれている。なお、本実施形態において1回の吐出動作によって液体吐出口8から吐出される液体の量は5〜7pL(ピコリットル)程度である。
多数の駆動電極35は、個別に電位を制御することができるように、それぞれがFPC上のコンタクトおよび配線を介して、個別にアクチュエータ制御手段に電気的に接続されている。
本実施形態における圧電アクチュエータユニット21の液体吐出時の駆動方法の一例を、駆動電極35に供給される駆動電圧(駆動信号)に関して説明する。駆動電極35を共通電極34と異なる電位にして圧電セラミック層21bに対してその分極方向に電界を印加したとき、この電界が印加された部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。この時圧電セラミック層21bは、その厚み方向すなわち積層方向に伸長または収縮し、圧電横効果により積層方向と垂直な方向すなわち面方向には収縮または伸長しようとする。一方、残りの圧電セラミック層21aは、駆動電極35と共通電極34とに挟まれた領域を持たない非活性層であるので、自発的に変形しない。つまり、圧電アクチュエータユニット21は、上側(つまり、液体加圧室10とは離れた側)の圧電セラミック層21bを、活性部を含む層とし、かつ下側(つまり、液体加圧室10に近い側)の圧電セラミック層21aを非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。
この構成において、電界と分極とが同方向となるように、アクチュエータ制御部により駆動電極35を共通電極34に対して正または負の所定電位とすると、圧電セラミック層21bの電極に挟まれた部分(活性部)が、面方向に収縮する。一方、非活性層の圧電セラミック層21aは電界の影響を受けないため、自発的には縮むことがなく活性部の変形を規制しようとする。この結果、圧電セラミック層21bと圧電セラミック層21aとの間で分極方向への歪みに差が生じて、圧電セラミック層21bは液体加圧室10側へ凸となるように変形(ユニモルフ変形)する。
本実施の形態における液体吐出時の駆動は引き打ちと呼ばれるものであり、その駆動を、図7と、図6を用いて説明する。図6(a)は図5に示した変位素子50付近の部分断面図である。ただし、接続電極36につながる駆動電極34の引出し部分のない断面である。
圧電セラミック層21bのうちの、共通電極34と駆動電極35とに挟まれた圧電体は、共通電極34と駆動電極35との間に電圧を加えた場合、その電圧によって直接的に変形する圧電体であり、以下でこの部分の圧電体を駆動部51と呼ぶ。圧電セラミック層21aの駆動部51以外の圧電体は、共通電極34と駆動電極35との間に電圧を加えても、直接的には変形しない圧電体で、以下で非駆動部52と呼ぶ。
非駆動部52の分極の状態は、特に分極処理をしていなければ分極されていない状態、すなわちドメインの方向はランダムになっている。また、非駆動部52が駆動部51を分極処理する際に、駆動部51と同じ方向に分極されていれば、ドメインのC軸が厚み方向にそろうように分極されていることになる。
図7(b)における変位は、図5あるいは図6において変位素子50が上に変位する変位であり、液体加圧室10の体積を大きくする変位である。
分極方向は図6の上から下への方向(駆動電極34から共通電極34に向かう方向)であり、加える電圧は、生じる電界の方向が図6の上から下への方向であるものを正としている。なお、正の電圧を加えると変位素子50が図6の下に向かって変位する。
まず、予め電圧V1V(以下で単位Vを省略することがある)の駆動電圧を与えた状態で待機をする。電圧V1により駆動部51は圧電アクチュエータユニット21の平面方向に縮み、積層されている圧電セラミック層21aよりも短くなるため変位素子50の断面は図6(c)のように下側に凸に変形する。つまり、変位d1m(以下で単位mを省略することがある)は負で、液体加圧室10は、電圧が加わっていない状態よりも体積が小さくなる。次に、電圧V2の駆動電圧を与えると、変位はd2になり、液体加圧室10の体積は大きくなって、図6(b)の状態となる。これにより、流路内の液体には液体吐出孔8からしぼり12に向かう方向の圧力波が生じる。次にこの圧力波がしぼり12で反射して帰ってくるタイミングに合うように、電圧V3の駆動電圧が加えられる。これにより、変位はd3になり、液体加圧室10は、体積が小さくなって図6(c)の状態となる。この変形により生じた圧力波が前述の反射してきた圧力波と合わさって液体吐出孔8に向かい、液滴が吐出される。
図7(a)の駆動波形は単純にするため、V1=V3、V2=0であるものを示したが、吐出動作の駆動波形はこれに限られるものでない。一般的に言えば、吐出動作の駆動波形は、共通電極34と駆動電極35との間に第1の電圧を加えて、液体加圧室10の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さい第1の状態で待機して、液体加圧室10の体積を第1の状態よりも大きくする第2の電圧を加えて第2の状態にした後、液体加圧室10の体積を前記第2の状態よりも小さくする第3の電圧を加えてものである。またさらに、このような駆動波形でなくとも、後述する非駆動部52に引張り応力が加わり駆動劣化が生じる駆動波形で駆動した場合に効果的である。
図6(c)の状態では変位素子50が変位することにより、非駆動部52には、積層方向に直交する方向で変位素子50に向かう方向に引張り応力が加わっている。上述のような駆動波形を加え続けると、図6(b)と図6(c)の状態を繰り返すことになり、繰り返し加わる引張り応力により、非駆動部52のドメインのC軸が駆動部51の方向に向かう強弾性ドメインスイッチングが起き、非駆動部52はしだいに引き伸ばされた状態に変形していく。
なお、強弾性ドメインスイッチング(省略してドメインスイッチングと言うことがある)とは、圧電体が外部からの応力印加によりその応力を緩和するようにドメインがスイッチングする現象である。ここで取り上げている強弾性ドメインスイッチングは、ドメインの形状変化をともなうドメインスイッチングである90°ドメインスイッチングである。
図6(d)は非駆動部52が変形して引き伸ばされた状態の変位素子50であり、電圧が加わっていない状態である。電圧が加わっていないにもかかわらず、非駆動部52が変形して伸びているため、変位素子が下側に変形してしまっている。このような状態になると、電圧が加わらない状態にしても図6(b)に示したような変位が0の状態にはならなくなり、駆動波形の電圧V1から電圧V2への変化時の変位の量(d2−d1)が小さくなる。その結果、同じ駆動波形を加えても、液滴の吐出速度が遅くなったり、液適量が少なくなったりする。これが駆動劣化である。
次に、このような駆動劣化が生じた液体吐出素子50に対して、再生波形を加えて、駆動劣化の程度が低い状態に戻す、本発明の液体吐出ヘッドの使用方法について説明する。再生波形による駆動を、図8、図6を用いて説明する。図8(b)における変位は、図5あるいは図6において変位素子が上に変位する変位であり、液体加圧室10の体積を大きくする変位である。
第1の再生波形は、圧電セラミック層21bに分域回転歪が生じる抗電界をEcV/m(で単位V/mを省略することがある)以下とし、液体加圧室10の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、共通電極34と駆動電極35との間に、共通電極34と駆動電極35との間の圧電セラミック層21bに生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる電圧VR1と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧VR2とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号である。なお、図8(a)などにおいて(Ec)などの電界に括弧をつけた表記は、電界の値がEcとなる電圧、あるいは電界の変化量がEcとなる電圧という意味である。
非駆動部52のドメインを再度強弾性ドメインスイッチングさせて初期状態に近づけるには、例えば、動部51に分極方向と逆向きの電界を印加することで駆動部51を周囲に向かって広がる方向に変形させることが考えられる。このとき、変位素子50は上側に変位し、図6(e)のような状態なる。これにより駆動部51は周辺の非駆動部に圧縮応力をかけることになりこの応力によって周囲の非駆動部52に強弾性ドメインスイッチングを発生させる。つまり、駆動劣化によって伸びて変形していた非駆動部52が駆動部51からの圧縮応力により、縮む変形をすることになる。しかし、駆動部51に一定の電圧を加えて非駆動部52を圧縮するだけでは、圧縮応力は十分な大きさとはならない。なお、駆動部51にEcを超えるような大きな電界を加えることは駆動部51の圧電体を脱分極させることになりので、加える電界は最大でもEcである。そのため、単に逆バイアスを加えるだけでは駆動劣化した非駆動部52に強弾性ドメインスイッチングを効果的には起こせなかった。
そこで、第1の再生波形では、駆動部51にバイポーラ信号を印加することで周囲の非駆動部52に圧縮・引張りの応力を繰り返し加える。この際、単純に圧縮応力を加えるのではなく、駆動部51にプラス側の電界を加えて引張り応力を加えることが重要である。非駆動部52に圧縮・引張りを繰り返し加わるため、強弾性ドメインスイッチングが起き易くなる。これにより、非駆動部52で強弾性ドメインスイッチングが誘発され、非駆動部52のドメインの方向の分布がランダムに近づいていき、非駆動部52が伸びた状態になっている駆動劣化が解消されていく。
このときのバイポーラ信号は、強弾性ドメインスイッチングを誘発するために、プラス側からマイナス側への変化、およびマイナス側からプラス側への変化が急激に起こる矩形派で与える。ここでいう矩形波とは矩形状のパルス信号のことであり電圧の立ち上がり立下りの時間(Tr、Tf)が10μsec以下のものであり、強弾性ドメインスイッチングをより誘発させ易くするため、Tr、Tfは1μsec以下であることが好ましい。
バイポーラ波形の電圧は、プラス側の電圧VR2を+0.4Ecとなる電圧以上、マイナス側の電圧VR1を−0.4Ecとなる電圧以下としていることにより、非駆動部52に十分な圧縮応力から引張応力への変化および引張応力から圧縮応力への変化を与えることにより強弾性ドメインスイッチングを起き易くしてなる。
また、バイポーラ波形の電圧のプラス側を+0.9Ecとなる電圧以下であることにより非駆動部分が縮む方向に変形する強弾性ドメインスイッチングを誘発させることができるのでプラス側の電圧は0.9Ecとなる電圧以下とするのが好ましい。バイポーラ波形の電圧のマイナス側を−0.9Ecとなる電圧以上であることにより駆動部の分極反転を起きないようにし、効果的に非駆動部に圧縮応力を印加することができる。
電圧VR2をプラス側を大きくすると、引張り応力が強くなるので、より好ましくは、プラス側の電圧VR2は+0.4Ec〜+0.5Ecとなる電圧、マイナス側の電圧VR1は−0.9Ec〜−0.7Ecとなる電圧にする。これにより、バイポーラ信号を印加する際に単純にプラス側マイナス側を等価な電界にする必要はなく、よりマイナス側に偏らせることでより効率的に強弾性ドメインスイッチングを誘発させることができる。
また、印加するバイポーラ波形の矩形波のデューティは50%を超えることが好ましい。これは、第1の電圧VR1が印加されている時間を第2の電圧VR2が印加されている時間よりも長くするということであり、圧縮応力が生じる時間を長くすることにより、強弾性ドメインスイッチングを効果的に起こす。信号のデューティは、より好ましいのは70%以上、特に90%以上が好ましい。なお、99.99%などVR2の加わる時間が非常に短いと速い電界変化にドメインが追随できない部分が増加し変位回復効果が低下するおそれがある。
バイポーラ信号の周波数は、信号に対してドメインを追随させて動かす必要があり、あまり高い周波数では効果が少ないため5Hz〜5kHzであるのか好ましい。周波数が1kHz〜5kHzと高いと、短時間に圧縮・引張りの応力が加わり、短時間である程度復帰するのでより好ましい。
しかい、1kHz〜5kHzの周波数のバイポーラ信号を加え続けても、駆動劣化が復帰する割合は少なくなっていき、元の状態までは戻らないか、戻ったとしても非常に時間がかかる。これは、強弾性ドメインスイッチングが起きる際には、次のような現象が生じているからだと考えられる。
大局的なドメインスイッチングは、ドメインとドメインの境界で、境界部の結晶のドメインがスイッチングし、ドメインの境界が移動していくことに起きる。この際、酸素空孔があるとドメインの移動を阻害する。高周波でバイポーラ信号を与えると比較的ドメインスイッチングが生じやすい部分ではドメインスイッチングが起きるものの、酸素空孔に阻害されるため、バイポーラ信号を加え続けてもドメインスイッチングは緩慢にしか生じなくなる。酸素空孔によりピニングされているドメインをドメンインスイッチングさせるには、酸素空孔を拡散させるように、10Hz〜100Hzの低い周波数のバイポーラ信号を与えてドメインを揺らすことが効果的である。ただし、周波数が低いと単位時間当たりの圧縮・引張りの回数が減るので、初期における復帰率は高周波の場合よりも悪くなる。
10Hz〜100Hzの低い周波数でバイポーラ信号を十分加え続ければ、駆動劣化のない元の状態に戻すことも可能である。なお、さらに信号を加え続けると、非駆動部52は元の状態よりも圧縮されていき、逆に変位は大きくなっていく。
以上のことをより、最初に高い周波数である程度復帰させ、そのご低い周波数で元の状態に近づけるようにしても良い。
また、電圧VR1は、生じる電界がEcを超える電圧に近づくと、圧電セラミック層21bに分極反転が起こり始めることがあるが、非駆動部52に圧縮応力が加われば、特に問題ない。バイポーラ信号を繰り返し加えることで、圧電セラミック層21bに分極反転がより進んだ状態になると、圧縮応力が小さくなるが、そのような場合、駆動部51を再分極してもよい。また、バイポーラ信号により非駆動部52の伸びが初期状態とほぼ同じ状態になったとしても、圧電セラミック層21bの一部に分極反転が生じていて分極が弱くなるなどのために、変位素子50の変位が初期状態に戻っていない場合にも駆動部51を再分極してもよい。
再生波形を加えるのは、液体吐出の一の駆動波形と次の駆動波形との間であればいつでもかまわない。例えば、液体吐出ヘッド2を使い続けて、印刷される画像の精度が低くなったり、吐出特性の評価により駆動劣化が生じていることが分かったり、使用している時間の合計が所定の時間より長くなったりした際に、再生波形を加えて、駆動劣化を少なくしたり、事実上なくすことができる。また、記録媒体を切り替える際に行なったり、自動で一定周期毎に行うようにしてもよい。
なお、再生波形を加える時間は、低周波の場合であれば、再生の途中で吐出動作を行わせて、駆動劣化の状態を確認して、時間調整しながら行なえば、ほほ初期の吐出特性にすることができる。吐出動作をさせる以外に、あらかじめ初期の共通電極34と駆動電極35の間の容量を測っておき、容量が初期値と同じになるまで再生波形を加えてもよい。これは駆動部51の容量が非駆動部52から受ける応力により変化することを利用したもので、容量が初期値と同じであれば、駆動部51が非駆動部52から受ける応力もほぼ同じで、変位素子50の変位特性もほぼ同じになる。
再生波形は、記録装置の制御部100が加えるようにしてもよいし、記録装置以外に再生波形を加える再生装置を準備し、液体吐出ヘッド2を記録装置から外して、再生装置を用いて再生してもよい。
続いて、駆動劣化の再生効率をよりよくする第2の再生波形について説明する。図9(b)は、本発明の使用方法における再生波形の一例で、生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧VR1と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧VR2とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる第3の電圧VR3を加圧電圧として加えて保持するものである。
この加圧電圧を加えると、非駆動部52に圧縮応力が加わる。上述のバイポーラ信号を加えた続けたことにより、強弾性ドメインスイッチングが起き易くなっている非駆動部52に圧縮応力を加えることにより、単に圧縮応力を加える場合と異なり、効率よく強弾性ドメインスイッチングを起こすことができる。
加圧電圧は、非駆動部の強弾性ドメインスイッチングを効率的に生じさせるため圧縮応力を強く印加する方が好ましいがあまり−Ecに使い電界では分極反転が発生するため、−0.8Ec以上となる電圧か好ましい。また、非駆動部に印加される圧縮応力小さいと効果が少ないため−0.4Ec以下であるのか好ましい。より好ましいのは―0.8Ec〜―0.7Ecである。
加圧電圧は0.001秒以上保持することにより効率よく強弾性ドメインスイッチングを起こさせることができる。保持時間を長くすれば、より強弾性ドメインスイッチングが起きるが、しだいにバイポーラ信号により活性化されていた効果がなくなっていくので、保持時間を1秒以上にするよりは、再度バイポーラ信号および加圧電圧を加える方が再生効率がよくなる。これは、バイポーラ信号の印加によりドメインを動かしてドメインスイッチングを起こし易くなっている状態が時間とともに軽減していくものと推察しており、1秒以上の電圧印加より再度バイポーラ信号を印加した方が強弾性ドメインスイッチングの効率が良いためである。バイポーラ信号を印加する長さは非駆動部のドメインを動き易くするため数万サイクルは揺らす必要がある。
この再生信号において、バイポーラ信号は、圧縮応力を与えることを主な目的としていないため、第1の電圧VR1の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上である必要はない。ただし、第1の電圧VR1の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることにより圧縮・引張りの応力のうち、圧縮の影響がおおきくなるのでより好ましい。
バイポーラ信号の周波数が10Hz〜5kHzであることにより、ドメインスイッチングが起き易い状態にすることが可能であり、前記第1の電圧の印加時間t1秒を前記第2の電圧の印加時間t2秒よりも長くすることで、圧縮・引張りの応力のうち、圧縮の影響がおおきくなるのでより好ましい。
続いて、駆動劣化の再生効率をよりよくする第3の再生波形について説明する。図9(c)は、本発明の使用方法における再生波形の一例で、生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧VR1と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧VR2とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧VR4とVR4とを矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えるもののである。
図9(b)では低い電圧VR4での保持時間をt1(秒、以下で単位を省略することがある)、高い電圧VR5での保持時間をt2としてある。
この加圧信号を加えると、非駆動部52に、圧縮応力が変動しながら圧縮応力が加わった状態となる。上述のバイポーラ信号を加えた続けたことにより、強弾性ドメインスイッチングが起き易くなっている非駆動部52に圧縮応力を断続的に加えることにより、単純に直流電界を印加するより短時間にドメインスイッチングを起こし易くして、さらに効率よく強弾性ドメインスイッチングを起こすことができる。
加圧信号の低い側の電圧VR4は非駆動部への圧縮応力を大きくするためには、できるだけ低い電圧が良いが−Ecに近づけすぎると駆動部の脱分極を発生させるため−0.8Ec以上となる電圧か好ましい、より好ましいのは−0.8〜―0.7Ecである。また、加圧信号の高い側の電圧VR5は、プラス側の電界を印加すると非駆動部分に引っ張り応力が印加されるため非駆動部の強弾性ドメインスイッチングの発生を阻害してしまう。このため、0以下であるのか好ましい、より好ましいのはドメインを揺らす幅を大きくするため−0.1Ec〜0であり、特に0である。さらに、これらの電位の差の絶対値|VR4−VR5|は前述同様にドメインを揺らす幅を大きくするため0.4Ec以上となる電圧の差であることが好ましい。
加圧信号を加える周波数は5Hz〜100Hzとすることにより効率よく強弾性ドメインスイッチングを起こさせることができる。加圧信号を加えている時間を長くすれば、より強弾性ドメインスイッチングが起きるが、しだいにバイポーラ信号により活性化されていた効果がなくなっていくので、保持時間を15分以上にするよりは、再度バイポーラ信号および加圧電圧を加える方が、再生効率がよくなる。
まず、再生波形による駆動劣化改善の試験を行う評価用の液体吐出ヘッドを作製した。評価用の液体吐出ヘッドの基本的な構造は図2〜5に示したものと同じであるが、液体加圧室10がプレート31まで開口しており、実際に液体を吐出することはできないが、プレート31側からレーザードップラー変位計により、変位素子50の変位が測定できるようにしたものである。
圧電セラミック層に用いる圧電材料をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)とし、PZTを用いたスラリーを作成し、このスラリーから、成形方法としてロールコーター法を採用して、グリーンシートを作製した。
次いで、金型打ち抜きによって、100μm径の貫通孔をグリーンシートに形成した。
その後、Ag−Pd合金を含む導体ペーストを用いたスクリーン印刷法により、各グリーンシートの表面に、共通電極となる電極パターンを形成した。
また、Ag−Pd合金に対して、圧電体粉末をフィラー剤として30体積%添加してビア導体ペーストを作製し、これをスクリーン印刷にて、グリーンシートに形成した貫通孔の内部に充填し、ビア電極を形成した。
次いで、このグリーンシートを2層積層して、内部に共通電極及びビア電極を備えた積層成形体を作製した。その後、この積層成形体を1020℃の温度で焼成して圧電焼結体を作製した。得られた圧電焼結体は1層あたり約20μmであった。
この圧電焼結体の表面に、変位素子を構成する部分の共通電極に相対するように主成分Auを含む導体ペーストを用いたスクリーン印刷により、マトリックス状に駆動電極を形成し、しかる後に、800℃の熱処理によって駆動電極を形成して圧電アクチュエータユニットを作製した。
流路部材の上に、圧電アクチュエータユニットを、開口部にそれぞれの変位素子が位置するように接着し、電圧を加えて駆動部を厚み方向に分極して、評価用の液体吐出ヘッド作製した。なお、この際、非駆動部は分極しておらず、非駆動部のドメインはランダムな方向になっている。さらに、液体吐出ヘッドの動作を制御するドライバーICを含む制御部を接続し、記録装置に相当する試験装置を作製した。
なお、用いた圧電体の抗電界は1.34×10−6V/mであり、この電界が生じる共通電極と駆動電極との電位差は26.8Vであった。
得られた試験装置を用いて、まず駆動劣化を生じさせ、その再生の試験を行なった。まず、駆動波形を与えて、グラフテック社製のレーザードップラー変計を用いて、初期変位量A(nm)を測定した。次に、周波数20kHzで駆動波形を200億サイクル加えて、駆動劣化は生じさせた。駆動劣化後の変位量B(nm)を測定すると、劣化率(A−B)/Aは、約27%であった。
次に、駆動劣化の生じた液体吐出ヘッドに表1〜3に示した再生波形(一定電圧を印荷するものも含む)を与えて、再生処理を行なった。表1において、電圧VR1、VR2、VR3、VR4、VR5は、抗電界Ecを生じさせる電圧(26.8V)の何倍であるかを示した。VRの1デューティは、1周期分の再生波形の中で電圧VR1を保持した時間の割合である。
なお、評価不能とされているものは、再生処理中に分極反転が生じたことにより変位量の大幅な低下し、異常な値を示したものである。
Figure 0005361662
Figure 0005361662
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本発明の使用方法である第1の再生波形を加えたテストNo.6〜10、13〜17、21、24、25、28〜40、42、43、45〜53、55、56および58〜60においては、駆動劣化した液体吐出ヘッドの変位を初期状態に近づけることができた。
また、本発明の使用方法でない再生波形を加えたテストNo.1〜3、および13では、再生処理前後で変位量の改善はまったくなかった。これは前述したように、単に一定電圧を加えて非駆動部を圧縮しても、圧縮する応力が小さいため、駆動劣化から再生する効果が事実上生じないこと、また矩形波でないと駆動劣化から再生する効果が事実上生じないことを意味する。
また、本発明の使用方法である第2の再生波形を加えたテストNo.63〜67、71、72、74、75、79〜81、83〜86および88〜106ではより短時間で駆動劣化の再生ができた。
さらに、本発明の使用方法である第3の再生波形を加えたテストNo.110〜114、118、119、121、122、126〜130、134〜137および139〜169ではより短時間で駆動劣化の再生ができた。
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
4・・・流路部材
5・・・マニホールド
5a・・・副マニホールド
5b・・・開口
6・・・個別供給流路
8・・・液体吐出孔
9・・・液体加圧室群
10・・・液体加圧室
11a、b、c、d・・・液体加圧室列
12・・・しぼり
15a、b、c、d・・・液体吐出孔列
21・・・圧電アクチュエータユニット
21a・・・圧電セラミック層(振動板)
21b・・・圧電セラミック層
22〜31・・・プレート
32・・・個別流路
34・・・共通電極
35・・・駆動電極
36・・・接続電極
50・・・変位素子
51・・・駆動部
52・・・非駆動部
P・・・分極方向
E・・・電界の正の方向

Claims (13)

  1. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることを特徴とする液体吐出ヘッドの使用方法。
  2. 前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜+0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜100Hzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  3. 前記第1の電圧が−0.9Ec〜−0.7Ecであり、前記第2の電圧が+0.4Ec〜0.5Ecであり、前記バイポーラ信号の周波数が1kHz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  4. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することを特徴とする液体吐出ヘッドの使用方法。
  5. 前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることを特徴とする請求項4記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  6. 前記バイポーラ信号の周波数が10Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  7. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドの使用方法であって、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出動作を複数回繰り返す際の一の吐出動作と次の吐出動作との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることを特徴とする液体吐出ヘッドの使用方法。
  8. 前記第1の電圧の絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上であることを特徴とする請求項7記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  9. 前記バイポーラ信号の周波数が5Hz〜5kHzであり、前記第1の電圧の印加時間が前記第2の電圧の印加時間よりも長いことを特徴とする請求項7または8に記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  10. 前記加圧信号の周波数が5Hz〜100Hzであり、前記第2信号の低い方の電圧の印加時間が高い方の電圧よりも長いことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの使用方法。
  11. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec以上となる電圧であって、絶対値が前記第1の電圧の絶対値以下の第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えることを特徴とする記録装置。
  12. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜−0.4Ecとなる電圧を加えて保持することを特徴とする記録装置。
  13. 複数の液体加圧室および該複数の液体加圧室にそれぞれ繋がった複数の液体吐出孔を有する平板状の流路部材上に、前記複数の液体加圧室を覆うように圧電アクチュエータを積層してなり、該圧電アクチュエータは、前記流路部材側から振動板、共通電極、圧電体および複数の駆動電極が順に積層されており、前記流路部材と前記圧電アクチュエータとの積層方向から見たとき、前記複数の駆動電極がそれぞれ前記複数の液体加圧室と重なるように配置されているとともに、前記圧電体の前記共通電極と前記駆動電極とで挟まれた部位が厚み方向に分極されている液体吐出ヘッドと、記録媒体を前記液体吐出ヘッドに対して搬送する搬送部と、前記液体吐出ヘッドの駆動を制御する制御部とを備えている記録装置であって、前記制御部は、前記液体吐出孔から液体を吐出する吐出制御を複数回繰り返す際の一の吐出制御と次の吐出制御との間に、前記圧電体に分域回転歪が生じる抗電界をEc(V/m)とし、前記液体加圧室の体積が電圧を加えられていない状態の体積よりも小さくなる方向の電界をプラスとしたときに、前記共通電極と前記駆動電極との間に、前記共通電極と前記駆動電極との間の前記圧電体に生じる電界が−0.9Ec〜−0.4Ecとなる第1の電圧と、+0.4Ec〜+0.9Ecとなる第2の電圧とを矩形波で交互に加えるバイポーラ信号を与えた後に、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界が−0.8Ec〜0の範囲内で、前記共通電極と前記駆動電極との間の圧電体に生じる電界の変化が+0.4Ec以上となる電圧を矩形波で交互に複数回加える加圧信号を与えることを特徴とする記録装置。
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