JP5360328B1 - 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置 - Google Patents

廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5360328B1
JP5360328B1 JP2013118204A JP2013118204A JP5360328B1 JP 5360328 B1 JP5360328 B1 JP 5360328B1 JP 2013118204 A JP2013118204 A JP 2013118204A JP 2013118204 A JP2013118204 A JP 2013118204A JP 5360328 B1 JP5360328 B1 JP 5360328B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic solvent
electrolyte
evaporator
lithium salt
condenser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013118204A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014235945A (ja
Inventor
洋 西村
敏彦 池畠
裕美子 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JOINT ENGINEERING CO., LTD.
Original Assignee
JOINT ENGINEERING CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JOINT ENGINEERING CO., LTD. filed Critical JOINT ENGINEERING CO., LTD.
Priority to JP2013118204A priority Critical patent/JP5360328B1/ja
Priority to PCT/JP2013/082199 priority patent/WO2014097861A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5360328B1 publication Critical patent/JP5360328B1/ja
Publication of JP2014235945A publication Critical patent/JP2014235945A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】リチウム電池やリチウムイオン電池の製造工程のトラブルで発生する廃電解液や使用済み電池から回収された廃電解液から、有機溶媒に不溶性のリチウム塩の生成を抑制しながら、前記リチウム電池やリチウムイオン電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に回収する方法及びこの方法を実施することができる装置を提供すること。
【解決手段】有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御しつつ、蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム電池やリチウムイオン電池の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその回収に適した装置に関する。
近年、リチウムイオン電池市場が携帯電話、パソコン等の電子機器から車にまで急速に拡大するに伴い、使用済みのリチウム電池やリチウムイオン電池あるいはリチウム電池やリチウムイオン電池の製造工程でのトラブルで発生する不良電池が今後急激に増加してくることが予想されている。そこで資源の有効利用の観点から、これら不良電池及び/又は使用済み電池から有価物を回収し、リサイクルする方法が種々提案されているが、電池製造工程のトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済み電池から回収された廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法についての有効な提案は現在まで見当たらない。
一方、リチウムイオン電池製造工程のトラブルで発生する不良電池及び/又は使用済みリチウムイオン電池から有価物を回収リサイクルする方法として、例えば、使用済みの廃棄リチウムイオン電池を高温オーブンで焼き付け及び篩い分けによって金属及び金属酸化物を含む炭灰を生成させて金属を回収する方法がある(特許文献1)。しかし、この方法ではリチウムは炭酸塩として回収されるため電解質そのものを回収すること及び有機溶媒を回収することはできず、しかも電解質用リチウム塩としては主にリチウムのフッ素化合物が使用されているため高温オーブンで焼き付ける際に電解質の分解生成物としてフッ化水素等の有害なガスを発生させる問題が考えられる。
また、特許文献2には、リチウム電池やリチウムイオン二次電池で使用される電解質を構成するリチウム塩であるLiPF6と、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートとからなる飽和溶液を蒸発、濃縮、晶析させ、濾別した結晶を60〜90℃の温度で減圧脱気してLiPF6を精製する手法が記載されている。ここでは、LiPF6は下記式(1)の反応式に従い解離する性質があり、60〜70℃の温度範囲で2Torr(約0.26kPa)以上の蒸気圧を持つため減圧乾燥は50〜70℃の範囲で3〜10torr(約0.4〜1.3kPa)の圧力を保持しながら行うこと、さらに90℃以上では蒸気圧は6Torr(約0.8kPa)以上になると記載されている。
Figure 0005360328
特許文献3にはLiPF6とジメチルカーボネートからなる溶液より溶媒を−20℃〜150℃の範囲で蒸発、濃縮しLiPF6を晶析させるLiPF6の製造方法が記載されている。ところがこの製造方法を前記廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する手段として適用しても、前記特許文献2に記載があるようにLiPF6を含んだ有機溶媒を加熱すると少なからずLiPF6の解離が起こり60℃以上になると分解が顕著になる。このため晶析したLiPF6中に不純物である有機溶媒に対し不溶性のLiFが残存しLiPF6の純度を低下させるという問題がある。
また、LiFに限らず電池用有機溶媒に不溶性のリチウム塩は、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池用電解液の濾過工程で濾材の目詰まりを促進し電解液の製造工程に重篤な悪影響を与える。このため、これらの不純物は電解質の製造工程で厳しく管理されている。
特開2003−157913号公報 特開平11−147705号公報 特開平10−316410号公報
本発明は、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の製造工程でのトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済み電池から回収された廃電解液から有機溶媒に不溶性のリチウム塩の生成を抑制しながら、前記リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に分離して回収する方法及びこの方法を実施することができる装置を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、
[1]有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御しつつ、蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[2]前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を、廃電解液中の電解質の当初量の10質量%以下に制御する前記[1]に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[3]前記凝縮器に、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段が設けられた前記[1]または[2]に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[4]前記排気手段に、未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段がさらに設けられた前記[3]に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[5]前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器内に還流させる前記[1]〜[4]ずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[6]前記リチウム塩がLiPF6又はLiBF4であり、前記系の系外からPF5又はBF3をそれぞれ前記系内に添加する前記[1]〜[5]いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[7]前記廃電解液が、少なくとも有機溶媒と電解質用リチウム塩とを含む電解液を含有及び/又は付着した電池部材で構成される使用済みリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池を放電させた後解体し、前記電池部材に前記電解質用リチウム塩を含まない有機溶媒を加え、該有機溶媒中に前記電解液を抽出させて得られる液である前記[1]〜[6]いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[8]前記蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を添加する前記[1]〜[7]いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
[9]有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させリチウム塩を晶析させる蒸発器と、
前記蒸発器にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な一つの系を形成する連結管とを備え、
前記凝縮器が該凝縮器内にある不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段を有し、
前記蒸発器において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器にて凝縮させつつ、前記排気手段による系内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御する制御手段を有することを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置、
[10]前記排気手段に未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段がさらに設けられた前記[9]に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置、
[11]前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させるための還流手段、
前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段、
蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を供給する溶媒供給手段
のいずれか1つ以上を更に備える前記[10]に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置
に関する。
本発明の方法によれば、前記不溶性リチウム塩の生成を抑制することで、特段の高度で複雑な精製を行わずとも、低コストで前記廃電解液から前記電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に分離して回収できる。
中でも、本発明の方法において、前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させたり、前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加したり、蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を供給することで、不溶性リチウム塩の生成を顕著に抑制することができ、高品質のリチウム塩を効率よく回収することができる。
また、本発明の装置を用いることで、前記廃電解液からの電解質用リチウム塩と有機溶媒との回収を効率よく行うことができる。
中でも、本発明の装置が、前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させるための還流手段、前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段、蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を供給する溶媒供給手段のいずれか1つ以上を更に備えることで、不溶性リチウム塩の生成を顕著に抑制することができ、高品質のリチウム塩を効率よく回収することができる。
図1は、本発明の装置の実施形態の一例を示す概略説明図である。 図2は、本発明の装置の別の実施形態の一例を示す概略説明図である。 図3は、本発明の装置の別の実施形態の一例を示す概略説明図である。 図4は、本発明の装置の別の実施形態の一例を示す概略説明図である。 図5は、本発明の装置の別の実施形態の一例を示す概略説明図である。 図6は、本発明の装置の別の実施形態の一例を示す概略説明図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、当該説明は本発明の実施態様の一例であり本発明はこれらに制限されず任意に改変して実施することができる。
1.回収方法
本発明の方法は廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法であり、有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御しつつ蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする。
本発明でいう廃電解液とは、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の製造工程のトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済みのこれらの電池から回収された廃電解液であって、電解質用リチウム塩及び有機溶媒を含有しているものをいう。これらの廃電解液中のリチウム塩や有機溶媒の含有量については特に制限はない。
前記使用済みの電池から廃電解液を回収する方法については、少なくとも有機溶媒と電解質用リチウム塩を含む電解液を含有及び/又は付着した電池部材で構成される使用済みリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池を放電させた後解体し、前記電池部材に前記電解質用リチウム塩を含まない抽出用の有機溶媒を加え、該有機溶媒中に前記電解液を抽出させて回収する。
前記電池の解体については、少なくとも有機溶媒と電解質用リチウム塩を含む電解液を含有及び又は付着した電池部材が有機溶媒と接触できる程度に解体されていればよい。前記電池部材としては、例えば、正極、負極、セパレータ、正極缶あるいは負極缶などが挙げられる。
前記抽出にあたっては、解体された電池部材を抽出用の有機溶媒中に浸漬すればよい。また、必要に応じて前記有機溶媒を流動させてもよい。流動の方法としては、前記有機溶媒を加熱し還流させる方法、ポンプあるいは撹拌羽根等の流体機器を使用して有機溶媒を強制的に流動させる方法、振動素子を使用して有機溶媒を振動させる方法、廃電解液を含んだ部材に遠心力を与える方法等が挙げられる。これらの流動方法は、個別に、または複数の方法を組み合わせてもよいが、振動を与える方法または遠心力を与える方法は部材に含浸された電解液を抽出する方法として有効である。
抽出用の有機溶媒としては、前記廃電解液を溶解することができる溶媒であれば特段の制限はないが、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池に使用される有機溶媒を使用すると、回収した電解質及び溶媒に抽出用の有機溶媒が残留しても前記電池に悪影響を与えないため好ましく、その中でもジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはジメチルカーボネートは沸点が比較的低く、抽出用の溶媒として抽出した溶液から簡易に蒸留回収し再利用できるためさらに好ましく、これらの中で最も沸点の低いジメチルカーボネートが特に好ましい。
前記廃電解液中に含まれる電解質用のリチウム塩としては、有機溶媒に溶解して導電性を示すリチウム塩であれば特段の制限はなく、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4が挙げられるが、当該リチウム塩自体及び/又は当該リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液を加熱すると分解し、有機溶媒の蒸気中に分解により生じたガスを生成するとともに前記不溶性リチウム塩を生成する性質を持つリチウム塩が好ましい。特にLiPF6あるいはLiBF4は加熱すると少なからず解離し60℃以上になると数kPaの蒸気圧を持ち顕著に当該塩の分解が起こるためより好ましく適用できる。
前記廃電解液中に含まれる有機溶媒としては、電池の使用環境あるいは使用目的等に応じて、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等の鎖状エーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホランのような含硫黄化合物類、含フッ素カーボネート類、含フッ素エーテル類、含フッ素ラクトン類、含フッ素エステル類、含フッ素含塩素エーテル類のような含フッ素化合物よりなる群から選ばれる少なくとも2種類以上を混合した有機溶媒が用いられているが、本発明はこれらの有機溶媒に対し制限なく適用できる。
前記廃電解液に含まれる水分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下がもっとも好ましい。水分が存在すると後述の蒸発器で加熱濃縮中に電解質のリチウム塩が水分と反応し有機溶媒に目的物であるLiPF6又はLiBF4などとは異なる不溶性のリチウム塩、さらにフッ酸、リン酸、あるいはその他の酸を生成して回収した電解質用リチウム塩の純度を低下させるため好ましくない。なお、不溶性のリチウム塩としては、LiF、LiOH、Li2CO3、Li3PO4、Li2PO3F等のオキシフルオロリン酸リチウム、ヒドロキシフルオロホウ酸リチウム、ホウ酸リチウムなどが挙げられる。
このため前記廃電解液中に100ppm以上の水分を含む場合は、水分含量を低減するための精製を行った後、加熱濃縮することが好ましい。前記精製の方法としては抽出、吸着、脱水蒸留等の通常の脱水手段を単独で又は組み合わせて行うことができる。特に吸着により精製する場合はモレキュラーシーブあるいは活性炭等の吸着材が好ましく使用できる。
本発明の方法においては、廃電解液を蒸発器と凝縮器とを連通させた密閉可能な1つの系で処理する。
ここで、「密閉可能な1つの系」とは、蒸発器で生じた有機溶媒の気体が凝縮器中に供給できるように蒸発器と凝縮器とが連通された1つの系となっており、必要に応じて有機溶媒の気体、蒸発器で晶析させたリチウム塩、凝縮器で凝縮させた有機溶媒ならびに不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器及び凝縮器の外部へ排出できるように密閉可能な状態であることをいう。例えば、図1に示すように、蒸発器と凝縮器とが連通管で接続されている態様が挙げられる。また、この系には、系外からリチウム塩を溶解した有機溶媒の溶液、PF5またはBF3の供給ができるように構成されている。
本発明においては加熱濃縮の前に系内に予め不活性ガスを供給して空気などを排除し、次いで不活性ガスを減圧等で系外に排除することで電解質用のリチウム塩や有機溶媒を効率よく回収することができる。なお、不活性ガスが系内に残留すると加熱濃縮工程での蒸発温度の上昇あるいは凝縮工程での凝縮温度の低下を招き、より高温の加熱媒体あるいはより低温の冷却媒体が必要となるため好ましくない。
また、系内の水分は完全に排除してから廃電解液を蒸発器へ供給することが好ましい。系内に水分が存在すると電解質の分解を誘発する場合があり好ましくない。そのため系内のパージあるいは析出した結晶の取り出しや濾過の工程で雰囲気ガスとして使用されるN2等の不活性ガスに含まれる水分は100ppm以下であることが好ましく、10ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
また、廃電解液はあらかじめ濾過して固体不純物を除いてから蒸発器に供給することが好ましい。濾過により固体不純物が精製され回収した電解質用リチウム塩の純度が向上する。濾過手段としては廃電解液中の固体不純物を濾別できるものであればよく、材質、篩のサイズ、濾過装置の大きさなどについては特に限定はない。
本発明では前記系において蒸発器に廃電解液を供給し、加熱濃縮する。廃電解液を加熱濃縮することで有機溶媒が気化してリチウム塩濃度が上昇して廃電解液中に晶析する。
ただし、廃電解液の温度が上昇しすぎるとリチウム塩は分解しやすくなる。例えば、LiPF6は前記式(1)に示すようにLiFとPF5に分解し、生成したPF5が有機溶媒の分解を引き起こす可能性がある。
したがって、本発明において蒸発器での加熱濃縮は、前記のようなリチウム塩の分解を抑えながら晶析させる観点から、加熱濃縮温度を−20℃〜150℃の範囲に設定することが好ましく、0℃〜120℃がさらに好ましく、20℃〜100℃が特に好ましい。
本発明に使用する蒸発器は、回分式、半回分式、連続式のいずれかの操作方式が適用できるものであればよい。回分式もしくは半回分式で行う場合には廃電解液が完全に蒸発乾固するまで濃縮を行ってもよいが、伝熱面積の縮小による加熱効率の低下や伝熱面へのリチウム塩の析出結晶の固着を来すため溶媒が残存した状態で濃縮を停止することが好ましい。
前記蒸発器は廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させる機能を持つものであれば特に制限はなく、ジャケット式熱交換器を搭載した槽型蒸発器、熱交換器を槽内部に搭載した槽型蒸発器、又は熱交換器へ廃電解液を給液して加熱濃縮を行う蒸発器等が好適に用いられる。また、当然ながら蒸発器内の廃電解液を攪拌機、気体によるバブリングあるいは送液手段を使用する等して撹拌することは蒸発器の伝熱性能を向上させたり、伝熱面へのリチウム塩の結晶の付着を軽減するうえで効果的である
蒸発器には廃電解液の蒸発濃縮により析出した結晶又は結晶を含んだ溶液を系外に取り出すための取り出し口を設けることが好ましい。当該取り出し口はバルブを介して溶液から結晶を分離するための濾過装置へ供給するシステムと連結されるとさらに好ましい。
なお、蒸発器の具体的な構成については後述する。
高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含む廃電解液に対しては本発明を通常の手段で適用しても蒸発温度が高くなるため、低温の凝縮温度下、高真空で加熱濃縮などの操作を行う必要が生じる場合がある。さらに濃縮終了後、常温では前記高融点有機溶媒が凝固しリチウム塩の結晶の濾過が困難になる場合がある。あるいは高温で凝固を阻止して濾過する等しても高沸点有機溶媒がリチウム塩の結晶に付着して残留するため、高沸点有機溶媒を除去するために後処理として乾燥をしても高い温度が必要になり、しかもこの乾燥中に前記リチウム塩の結晶の分解が起こる等の問題が発生する場合がある。
前記問題の回避のために前記高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含んだ廃電解液を加熱濃縮するに際しては回分的又は連続的にあるいはその双方を組み合わせて、系外から低沸点の溶媒を蒸発器へ供給して蒸発器内の溶媒組成を漸次、当初の組成以上に低沸点成分に富むように加熱濃縮を行うことが好ましい。なお、低沸点の有機溶媒の供給量は蒸発した溶媒量以下でかつ蒸発した有機溶媒中の低沸点溶媒成分から高沸点溶媒成分の質量を差し引いた質量以上であることが好ましい。
前記系外から供給する低沸点の有機溶媒としてはリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池に使用される有機溶媒であることが好ましく、ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネートがさらに好ましく、ジメチルカーボネートが特に好ましい。なお当然ではあるが系外から供給する低沸点の溶媒は前記操作で凝縮器に回収された有機溶媒を蒸留、抽出、吸着等あるいはこれらの操作を組み合わせて精製を行い使用してもよい。
また前記高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含んだ廃電解液に対し、少なくともその高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる成分を添加して濃縮を行ってもよい。添加する成分はリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解液に使用される有機溶媒であること、もしくは前記電池の特性に影響を与えない化合物であることが好ましい。具体的には、高
沸点溶媒成分がエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの場合、最低沸点共沸混合物を形成することができる成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
なお、最低沸点共沸混合物とは、高沸点溶媒成分と、最低沸点共沸混合物を形成することができる成分との混合物であり、混合された溶媒よりも沸点が低い混合物をいう。
本発明では、蒸発器に高沸点溶媒成分と、最低沸点共沸混合物を形成することができる成分とを供給して、最低沸点共沸混合物として高沸点溶媒成分を留去した後、さらに該蒸発器に残留する前記供給した成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる別の有機溶媒をさらに添加混合することで蒸発器内のリチウム塩を含む内容物を乾固しやすくしてもよい。
また前記廃電解液の電解質用リチウム塩がLiPF6又はLiBF4である場合、系外からPF5又はBF3をそれぞれ添加すればLiPF6又はLiBF4の分解がさらに抑えられて、前記不溶性リチウム塩の生成が低減され好ましい。
前記系外からのPF5又はBF3の添加の時期は加熱濃縮の前や途中で行うことが好ましく、蒸発器を加熱する前に行うとさらに好ましい。添加する場所は蒸発器内又は凝縮器内でもよいし、蒸発器と凝縮器を連結した連結管へPF5又はBF3の添加手段を接続して添加してもよい。添加手段としては、気体流量計等の計測機器とバルブ等の流量調節機器又は必要なら圧縮機、ブロアー等の気体流動装置を適宜組み合わせた添加装置が使用できる。
前記系外からのPF5又はBF3の添加量は廃電解液に含まれる電解質の当初量の10質量%以下が好ましい。電解質の当初量の10質量%を超えると高価なPF5又はBF3の使用量が増えコストが高くなるとともに、PF5又はBF3と有機溶媒との反応が促進され有機溶媒が劣化変質するため好ましくない。
さらには前記電解質用リチウム塩がLiPF6又はLiBF4である場合、前記蒸発器から取り出した析出結晶の濾過と、濾過後の乾燥とをそれぞれPF5又はBF3を含むガス雰囲気中で行うと前記不溶性リチウム塩の生成がいっそう低減されてより好ましい。
中でも、前記濾過と濾過後の乾燥とはそれぞれPF5又はBF3を0.1モル〜5モル%含むガス雰囲気で行うことが好ましい。PF5又はBF3が0.1モル%未満であると効果が小さく、5モル%を超えて行うと高価なPF5あるいはBF3の消費量が増えて好ましくない。
次いで、前記蒸発器で発生した有機溶媒の気体を蒸発器と連通された凝縮器に供する。
前記蒸発器と凝縮器との連通状態は、例えば、蒸発器にある気化した有機溶媒用の排出口と、凝縮器にある気化した有機溶媒用の供給口とを連結させればよい。また、この連結に用いる連結管としては有機溶媒に侵食されない材質であればよく、連結管のサイズ、形状等については特に限定はない。
前記凝縮器は有機溶媒の気体を沸点以下に冷却して液体状にするために使用される。
前記凝縮器は加熱蒸発した溶媒蒸気を冷却して有機溶媒を凝縮させる機能を持つものであれば特に制限はなく、ジャケット式熱交換器を搭載した槽型凝縮器や溶媒蒸気を導入凝縮させる熱交換器と凝縮した有機溶媒を貯留する貯留槽を連結した凝縮器等が好適に用いられる。
なお、凝縮器の具体的な構成については後述する。
前記のように凝縮器では、蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮させて回収しているが、凝縮器で凝縮されないガスとして、不凝縮ガスおよび未凝縮ガスも確認している。
本発明で、「不凝縮ガス」とは電解質の分解により生成した、−80℃において13kPa以上の蒸気圧を示すガスと定義し、後述の未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出するような特段の分離操作を行わない限り未凝縮ガスと混合した状態で存在している。また、「未凝縮ガス」とは、凝縮器において凝縮されてはいないが、より低温の凝縮環境により凝縮されるガスと定義し、その殆どは蒸発した有機溶媒の凝縮温度における蒸気圧相当を占めるガスである。
なお、不凝縮ガスおよび未凝縮ガスの種類については、電池の種類などにより一概に限定できないが、例えば、前記不凝縮ガスの例としては、PF5、BF3など、また、未凝縮ガスの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の溶媒ガスなどが挙げられる。
本発明では、系内の操作圧力及び/又は蒸発温度を所望の値に保つよう凝縮温度を制御することにより、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出及び/又は凝縮器から蒸発器への還流を行わずとも実施できるが、何らかの理由により所望の値に制御できない場合は前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出及び/又は蒸発器への還流を行うことが好ましい。凝縮器内の前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの蒸発器への還流量又は前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出量は系内の操作圧力及び/又は蒸発温度を所望の値に保つよう凝縮温度と連動させながら定常的又は変動的に決定できる。
本発明の方法では、前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御する点に一つの特徴がある。このように不凝縮ガスの系外への排出量を調整することで前記不溶性リチウム塩の生成を抑制するという利点がある。この不凝縮ガスの排出量の調整は、前記凝縮器に設けた前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記系外へ排出可能な排気手段により行う。排気手段としては、後述する。
不凝縮ガスの系外への排出量としては、前記廃電解液中の電解質の当初量の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、0質量%が最も好ましい。前記排出量が前記電解質の当初量の10質量%を超えると、晶析した電解質用リチウム塩の収量が低下するとともに当該電解質中に不溶性リチウム塩が多く混入するようになり、電解質として使用するに当たっては高度の精製操作が必要になり好ましくなく、蒸発器に残留する有機溶媒も顕著に変質し、着色あるいは粘度の上昇を来し、晶析した結晶が着色する、あるいは濾過が困難になるなどの問題も誘発する。
なお、前記電解質の当初量とは、蒸発器に供給される廃電解液中の電解質の量をいう。この前記電解質の当初量は廃電解液中の濃度を重量法や、リチウム塩の含有量を質量分析や発光分析等の手法で測定して決定できる。不凝縮ガスの系外への排出量は気体の状態で測定されるが、質量流量計を使用すると直接的に排出量を質量で計測できるので好ましい。体積流量計を使用する場合は密度と体積流量から排出量を質量に換算することができる。また、各配管をフレキシブル継手を使用して連結し、秤を使って直接的に蒸発器、凝縮器及び未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する装置の重量を量ることなどで溶媒の蒸発量と不凝縮ガスの系外への排出量を測定することもできる。
不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出量又は還流量は、質量流量計、熱式流量計、差圧式流量計等一般的に使用される流量計を介して流量を計測しながら手動又は自動で回分的又は連続的に所望の量に制御することができる。
凝縮器が備える前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出する排気手段としては、凝縮器に接続されたバルブ及び/又は系外への排気管に接続された送気手段等が好適に使用できる。バルブは前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、気体用流量計と組み合わせて常用のグローブバルブ等が好適に用いられるが、特に精密に排出を制御する必要がある場合はニードルバルブ等の流量調整機能の優れたバルブの使用が好ましい。送気手段は前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置が運転圧力あるいは排気量等、使用環境に応じて適宜使用できる。
送気手段を用いた前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの還流量あるいは系外への排出量の制御方法の1例として、蒸発量と蒸発温度を所望の値になるよう蒸発器へ供給する加熱媒体の温度と供給量を制御し同時に凝縮器へ供給する冷却媒体の温度と供給量を制御し、かつ還流管及び/又は排気管に設置された流量計で流量を計測しながら送気手段の吐出側に設置した流量調整用バルブで行う方法、又は送気手段の吐出側と吸入側を連結したバイパス管に設置された流量調整バルブで行う方法あるいはその双方を組み合わせて行う方法等がある。
また、前記凝縮器内において、不凝縮ガスは未凝縮ガスとの混合ガスの状態で存在しているが、未凝縮ガスの量の割合の方が多い場合、未凝縮ガスを分離せずに混合ガスを排出すると未凝縮ガスのロスが多くなる分だけ、回収効率が低いといえる。そこで、よりロスの少ない不凝縮ガスの排気手段として、未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段を用いて前記混合ガスを処理し、混合ガスから未凝縮ガスを回収することにより、残った不凝縮ガスだけを系外に排出することが挙げられる。
前記未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段としては、例えば、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排出口側に設けた未凝縮ガストラップで不凝縮ガスを分離抽出して不凝縮ガスだけを下流側に配置した流量計へ導入し不凝縮ガスの流量を計測しながら、前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排出口に設けたバルブを開閉することで調整することが挙げられる。未凝縮ガストラップの一例として−80℃以下の冷却器を設けてもよいし、−80℃以下と、−80℃以上の運転温度で運転する少なくとも2系列の凝縮器を直列に接続して、後段の−80℃以下の凝縮器に前記排気手段を設けてもよい。また、未凝縮ガスと混合している不凝縮ガスの量をガスクロマトグラフあるいはフーリエ変換型赤外分光計(FT−IR)などのガス分析装置でモニターしながら、不凝縮ガスの排出量を所望の量になるように未凝縮ガスの系外への排出量をバルブ等の流量調節装置で調整して行うこともできる。
前記のように凝縮器で凝縮された有機溶媒、さらには未凝縮ガスを捕捉する手段により捕捉された未凝縮ガス由来の有機溶媒は、そのまま有機合成の溶媒又は原料として使用してもよいしボイラー燃料として使用してもよいが精製して再度リチウムイオン電池用溶媒として使用することが好ましい。
回収した有機溶媒の精製法としては、それぞれの有機溶媒に適合した精製方法、例えば、吸着、ろ過、抽出、晶析、蒸留等の一般的な精製方法が単独でもしくは複数組み合わせて適用できる。
また、本発明の方法では前記のように不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出するのとは別に、前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器内に還流させてもよい。このような還流手段としては、前記未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段を用いて、凝縮器内の不凝縮ガスを未凝縮ガスから分離して還流させてもよいが、分離せずに不凝縮ガスと未凝縮ガスとを含む混合ガスをそのまま還流させてもよい。このように凝縮器で凝縮されない不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器へ還流させることで、系の圧力と蒸発温度の上昇及び凝縮温度の低下を抑制するという利点がある。具体的な還流手段としては、前記凝縮器に設けた前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排出口と前記蒸発器に廃電解液を供給するための管状物とを還流管を介して連結させて、蒸発器内に前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを供給できるようにすればよい。また、蒸発器が大型であれば前記還流管を蒸発器に設けた前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガス用の供給口に接続してもよい。
前記還流手段では、送気手段を用いてもよい。送気手段としては、特段の制限はないが、凝縮器から前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器へ還流させる還流管へ真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置を運転圧力あるいは還流量等、使用環境に応じて適宜選択して設置するとよい。なお当然のことながら前記還流用の気体流動装置の吐出側にベントバルブを設置し還流用送気手段と排気手段とを兼用してもよい。
なお、前記還流管は蒸発器内に連通されていればよい。また還流効果を高める観点から蒸発器内の廃電解液中へ還流管の端部を挿入してバブリングしながら加熱濃縮を行ってもよいが、還流管の閉塞又は管内への濃縮液の逆流に注意する必要がある。また、前記還流管にはPF5又はBF3の添加手段を接続してもよい。
また、本発明の方法における、蒸発器内及び凝縮器内の運転時の圧力は大気圧未満、大気圧以上のいずれでも可能であるが、0.1〜500kPaの範囲に調整することが好ましく、1〜100kPaの範囲がさらに好ましい。0.1kPa未満に調整すると減圧度が大きいため高価な減圧対応の設備が必要になり設備コストの増大を招くおそれがあり、さらに、蒸発した有機溶媒の凝縮温度が低くなり凝縮器へ供給する冷媒媒体の温度を、冷凍機等を用いて下げないと凝縮が効率よく起こらなくなる等の問題が発生し好ましくない。
また、前記圧力を500kPaを超えて調整すると加圧度が高いため高価な高圧対応の設備が必要になり設備コストの増大を招来したり、さらに有機溶媒の蒸発温度が上昇して加熱源として高温の加熱媒体が必要になる等の問題が発生し好ましくない。
また、廃電解液の加熱濃縮は当該廃電解液に含まれる電解質の熱による分解生成物の分圧が0.0001kPa〜27kPaの圧力を示す温度範囲で行うことが好ましい。0.0001kPa未満で加熱濃縮を行うと溶媒の蒸気圧も小さくなり操作圧力が前記適正操作圧力の0.1kPaを下回る場合があり好ましくない。27kPaを超えて加熱濃縮を行うと有機溶媒の蒸気圧も大きくなり操作圧力が前記適正操作圧力範囲の500kPaを上回る場合があり好ましくない。前記の圧力は凝縮器に設ける圧力計で測定することができる。
2.装置
次に、本発明の装置の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の装置1の全体構成の概略を示す図である。
前記装置1は本発明の方法を効率よく実施することで廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収することができる装置の一例である。
前記装置1は、蒸発器2、凝縮器3、蒸発器2と凝縮器3とを連通させる連結管4とを備える。前記蒸発器2は、この蒸発器2で生じた有機溶媒の気体が連結管4を通じて凝縮器3に供給されるように凝縮器3に連通されており、密閉可能な一つの系を形成している。
前記蒸発器2では、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の廃電解液を加熱濃縮することで有機溶媒を蒸発させて、電解質であるリチウム塩を晶析させる。
前記蒸発器2としては、廃電解液を収容できる容積と気化した有機溶媒の加圧もしくは減圧に耐えられる強度を有し、廃電解液を供給するための供給口5、蒸発器内部の廃電解液を所定の温度に加熱する加熱手段6、晶析させたリチウム塩を取り出す取り出し口7及び気化した有機溶媒を排出する排出口8を備えている。これらの各部の位置、サイズ、形状等については、特に限定はなくそれぞれの目的に応じた常識的な位置、サイズ、形状等であればよい。
なお、蒸発器2に設けた供給口5、取り出し口7にはそれぞれバルブ9a、9bを設けることで前記系を密閉状態とすることができる。気化した有機溶媒を排出する排出口8は前記連結管4と接続されている。
前記加熱手段6は加熱媒体によって蒸発器2を加熱することができる手段であればよい。また、加熱媒体の種類については蒸発器2に供給された廃電解液を所望の温度に加熱できればよく、特に限定はない。また、図1に示すように加熱媒体の供給量を調整するバルブ9dを設けることで加熱温度を調整してもよい。
前記蒸発器2に供給された廃電解液の温度は、温度計10で測定することができる。温度計10は廃電解液の温度を効率よく測定できるように設置されていればよく、例えば、廃電解液に接触できる位置に配置すればよい。
また、前記蒸発器2にはN2等の不活性ガスを供給するための供給口24を設けていてもよい。この場合、不活性ガスを効率よく蒸発器2から排出するために排出口11を設け、ここから外部に排出してもよい。
なお、前記加熱濃縮時の有機溶媒の漏出を防ぐために排出口11に接続した管にはバルブ9fを設ける必要がある。
前記蒸発器2で加熱濃縮することで晶析させたリチウム塩は蒸発器2の廃電解液中に沈殿しているため、蒸発器2の下部に設置されている取り出し口7からバルブ9bを開けることで取り出すことができる。取り出したリチウム塩については濾過を行うことで廃電解液と分離することができる。
前記蒸発器2で気化した有機溶媒は排出口8から連結管4を通って凝縮器3に供給される。
前記凝縮器3では、前記蒸発器2にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する。
前記凝縮器3としては、前記気化した有機溶媒を収容できる容積を有しかつ気化した有機溶媒を供給する供給口12、凝縮器3内部の気化した有機溶媒を液化する冷却手段13、液化した有機溶媒を排出する排出口14、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを排出する排出口15及び前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段16を備えている。各部の位置、サイズ、形状等については特に限定はなくそれぞれの目的に応じた常識的な位置、サイズ、形状等であればよい。なお、凝縮器3に設けた排出口14、15にはそれぞれ接続した管にバルブ9g、9hを設けることで前記系を密閉状態とすることができる。なお、前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを排出する排出口15は前記排気手段16に接続されている。
前記冷却手段13は、冷却媒体によって凝縮器3内の気化した有機溶媒を冷却することができるものであればよい。また、冷却媒体の種類については凝縮器3に供給された気化した有機溶媒を所望の温度に冷却できればよく特に限定はない。また、図1に示すように冷却媒体の供給量を調整するためのバルブ9iを設けることで冷却温度を調整してもよい。
前記凝縮器3内の圧力は圧力計17で測定することができる。圧力計17はバルブ9jを開けることで凝縮器3内に連通して圧力測定ができる。
また、前記凝縮器3には前記蒸発器2から供給された不活性ガスを効率よく排出するために排出口18を設け、ここから不活性ガスを外部に排出してもよい。なお、凝縮時の有機溶媒や不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの漏出を防ぐために排出口18に接続した管にはバルブ9kを設ける必要がある。
前記凝縮器3で凝縮することで液化した有機溶媒は凝縮器3の底部に集まるため、凝縮器3の下部に設置されている排出口14からバルブ9gを開けることで取り出すことができる。
前記凝縮器3で凝縮されない前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスは、排出口15から管を通って前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段16に供される。この場合、管に設けたバルブ9hとその他関連するバルブにより前記系を密閉可能にすることができる。
前記排気手段16としては送気手段が好適に使用できる。前記送気手段は、前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、例えば、真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置が運転圧力又は排気量等、使用環境に応じて適宜使用できる。
また、前記排気手段16では排気管20からバルブ9lを用いて系外への不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排気量を調整する。この排気量はバルブ9lの下流に設けた未凝縮ガストラップ25の下流側に配置した流量計19aにより正確に測定することができる。あるいは、未凝縮ガストラップを使用せず未凝縮ガスとともに不凝縮ガスを系外へ排出する場合には、排出口15に接続された管にバルブ9uを介して設けられたガス分析装置27で未凝縮ガスと不凝縮ガスとを含む混合ガスをサンプリングし未凝縮ガスと混合される不凝縮ガスの濃度を計測、モニターしつつ未凝縮ガストラップ25の入口と出口に設けたバルブ9tと9rを閉止し、未凝縮ガストラップ25をバイパスするバイパス管26に設けたバルブ9sを開けると上述のごとくバルブ9lを用いて系外への不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排気量を調整することもできる。バルブ9lはグローブバルブ等が好適に用いられるが、特に精密に排出を制御する必要がある場合はニードルバルブ等の流量調整機能の優れたバルブの使用が好ましい。
本発明においては、前記蒸発器2において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器3にて凝縮させつつ、前記排気手段16により系内の不凝縮ガスの系外への排出量を前記廃電解液中の電解質の当初量の10質量%以下に制御することが好ましい。
前記電解質の当初量は前記蒸発器2にバルブ9aを介して供給された廃電解液中の電解質の含有量をいい、前記凝縮器3内の不凝縮ガスの系外への排出量は排気手段16に接続された流量計19aで測定する量が相当する。
なお、既述のごとく前記電解質の当初量は廃電解液中の濃度を重量法や、リチウム含有量を質量分析や発光分析等の手法で測定するなどして決定できる。不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出量は流量計19aにおいて気体の状態で測定されるが、質量流量計を使用すると直接的に排出量を質量で計測できるので好ましい。体積流量計を使用する場合は密度と体積流量から排出量を質量に換算することができる。また、図示しないがフレキシブル継手を使用して各配管を連結し、秤を使って直接的に蒸発器2、凝縮器3及び前記未凝縮ガストラップ25の重量を量ることで蒸発量と不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの系外への排出量を測定することもできる。
図1に示す装置において、不凝縮ガスの系外への排出量を制御する制御手段は、排気手段16、前記排気手段16の下流にある排出管20に設けたバルブ9l、未凝縮ガストラップ25及び流量計19aで構成され、前記流量計19aで前記不凝縮ガスの流量を確認しながらバルブ9lを開閉することで調整すればよい。
言うまでもないが、未凝縮ガストラップ25を介して不凝縮ガスを系外へ排出する場合は直接的に不凝縮ガスの系外への排出量を制御することが可能である。
また、別の制御手段として、前記排気手段16から前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記蒸発器2に還流させる還流手段が挙げられる。具体的には、図1に示すように、排気手段16と蒸留器2とを連結する還流管21aを設ければよい。前記還流管21aにはバルブ9mを設けることで流量を調整することができる。この流量はバルブ9mの下流に設けた流量計19bにより正確に測定することができる。さらに前記還流管21aや接続する蒸発器2の入口部付近にバルブ9qを設けることで前記系を密閉状態にできる。また還流管21aの端部を、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの供給口28として蒸発器2に設ければよい。
また、別の制御手段として、前記未凝縮ガストラップ25の下流側に別の還流管21bの一方端を接続し、他方端を前記流量計19bに接続することで、不凝縮ガスのみを還流させる構成としてもよい。この場合、前記流量計19bで不凝縮ガスの流量を確認しながら還流管21bに設置したバルブ9vを開閉することで調整すればよい。
前記の前記装置1において排気手段16を用いた前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの前記還流量及び/又は系外への排出量の制御方法としては、蒸発量と蒸発温度を所望の値になるよう蒸発器2へ供給する加熱媒体の温度と供給量を制御し、同時に凝縮器3へ供給する冷却媒体の温度と供給量を制御し、かつ還流管21aに設置された流量計19b及び/又は排気管20に設置された流量計19aでそれぞれの流量を計測しながら排気手段16の吐出側に設置した流量調整用のバルブ9mと9lで行う方法、あるいは排気手段16の吐出側と吸入側を連結したバイパス管22に設置された流量調整用のバルブ9nで行う方法、あるいはその双方を組み合わせて行う方法等が挙げられる。
また、凝縮器3の排出口15に接続された管にバルブ9uを介して設けられたガス分析装置27をさらに設けることで、不凝縮ガスの排出量をより正確に調整することができる。
具体的には、不凝縮ガスのみを系外へ排出する場合、前記ガス分析装置27で未凝縮ガスと混合している不凝縮ガスの濃度を測定しつつ、前記流量計19aで不凝縮ガスの流量を確認しながらバルブ9lを開閉することでより正確に不凝縮ガスの系外への排出量を制御することができる。
また、図1に示すようにバルブ9t、9rを閉じて未凝縮ガストラップ25を通さずに、バイパス管26を用いて混合ガスを直接系外に排出する場合でも、前記ガス分析装置27で未凝縮ガスと混合している不凝縮ガスの濃度を測定しつつ、前記流量計19aで混合ガスの流量を確認しながらバルブ9lを開閉することで混合ガス中に含まれる不凝縮ガスの系外への排出量を制御することができる。
さらに、凝縮器3内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器2内へ還流させる場合については、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排出口15から管を介して吸い込み側が排気手段16に接続される一方、吐出側は還流管21aに接続された系を使用して前記還流管21aに配置された流量計19bで前記不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの流量を計測しつつ流量調整用のバルブ9mを開閉するか、排気手段16の吐出側と吸入側を連結したバイパス管22に設置された流量調整用のバルブ9nを開閉して排気手段16の吐出ガスを再度吸い込み側にバイパスさせる、あるいはその双方を行うことで還流量を制御できる。
また、前記還流管21aには系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段23を接続してもよい。
この添加手段23は供給側から順にPF5又はBF3の流量を調節するバルブ9o、流量計19c及びPF5又はBF3の供給用のバルブ9pとなるように構成される。
なお、この添加手段23の別の態様としては、前記蒸発器2、凝縮器3、連結管4のいずれかに接続してもよい。
また、前記蒸発器2へ廃電解液とは別に低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を供給する溶媒供給手段を備えていてもよい。この溶媒供給手段としては、廃電解液とは別に低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を貯留した容器(図示せず)と前記蒸発器2の供給口5とを接続すればよいし、別の態様としては、これらの溶媒用の新たな供給口を前記蒸発器2に設けてもよい。
以上のような装置1を構成する各部の材料としては特段の制限はなく、鉄鋼、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ハステロイ等の高合金鋼、あるいはこれらにフッ素樹脂等のライニングを施した複合材料等が適宜、環境に応じて使用できる。
また、前記装置1の各部を操作する条件としては本発明の方法に準じて調整すればよい。
また、図1に示す装置1であれば、本発明の方法をすべて実施することが可能であるが、凝縮器3内の不凝縮ガスの系外への排出量の制御方法に応じて、装置の構成を適宜選択してもよい。
例えば、前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを装置の外へ排出する場合であれば、図2に示す装置1a、図3に示す装置1bでもよい。図1に示す装置1との構成を比較すると、装置1aは還流手段および系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段がない装置、装置1bは還流手段がない装置である。また、不凝縮ガスと未凝縮ガスとを含む混合ガスを排出するのであれば、図4に示す構成の装置1cのように図2に示す装置1aからさらに未凝縮ガストラップ25を取り外してもよい。
また、不凝縮ガス及び未凝縮ガスを還流させる場合には、図5に示す装置1dでもよい。図1に示す装置1の構成と比較すると、装置1dはバイパス管22、不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを装置の外へ排出する手段である未凝縮ガストラップ25、流量計19aなどがない装置である。
また、不凝縮ガスのみを還流させる場合には、図6に示す装置1eでもよい。図1に示す装置1の構成と比較すると、装置1eは流量計19a、バイパス管22、26がない装置である。
前記装置1a〜1e以外にも必要な処理に応じて、適宜構成を組み合わせることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、この実施例に記載されている装置、材料あるいは温度などは説明例であり適宜変更することができる。
実施例1〜4
本発明の有効性を検証するために模擬廃電解液AとしてDMC(ジメチルカーボネート)26.8kg(25リットル)とDEC(ジエチルカーボネート)24.4kg(25リットル)からなる混合溶媒にLiPF6を8.2kg溶解した溶液(13.8%)を調製した。当該模擬廃電解液Aの含有水分濃度並びに不溶性リチウム塩の濃度は10ppm以下であった。
図1に示す装置1内をN2でパージした後、真空ポンプで系内を0.13kPaの真空度になるまで排気し、模擬廃電解液Aから10kgずつを分取しそれぞれ実施例1〜4に供するため0.5μmの目開きのフィルターを介し蒸発器2にそれぞれ仕込んだ。
なお、蒸発器2はフレキシブル継手により配管と接続し該蒸発器2の重量を秤により計量できる仕組みとした。
次に凝縮器3へ10℃の冷却媒体を供給し、同時に蒸発器2へ120℃の加熱媒体を供給し蒸発器2の温度が30℃〜100℃になるように冷却媒体と加熱媒体の流量を調節しながら加熱濃縮を行う一方、留出してきた溶媒蒸気を凝縮器3で凝縮させた。合わせて排気手段16の排気装置を起動し排出量調節バルブ9lを開けて未凝縮ガストラップ25(−80℃の冷却媒体を供給した熱交換器)を介して質量流量計19aで質量を計測しながら不凝縮ガスの系外への排出を行った。
蒸発器2での模擬廃電解液Aの蒸発量が7.5kgに到達した時点で加熱媒体の供給を停止し系を室温まで冷却した後、冷却媒体の供給を停止した。この間の不凝縮ガスの系外への排出量は実施例1においては85g、実施例2においては60gであった。また、実施例3として、上記の操作に加えてPF5添加手段23を介して蒸発器2へ連続的にPF5を添加しながら加熱濃縮を行った。PF5の添加量は50gであり、不凝縮ガスの系外への排出量は実施例2と同様60g、模擬廃電解液の蒸発量は7.5kgである。
さらに実施例1、実施例2及び実施例3の操作に替えて、実施例4においては排気手段16の排気装置を起動し、バルブ9mを開けて質量流量計19bで不凝縮ガスと未凝縮ガスとを含む混合ガスの流量を計測しながら蒸発器2へ混合ガスを100g/時の速度で還流させ、系外への不凝縮ガスの排出並びに、系外から蒸発器2へのPF5の添加は行わなかった。
続いて、N2でシールしながら系内を大気圧にした後、濾過板の上方に雰囲気ガスの入口を、下方に出口を備えた濾過器を取り出し口7に接続し雰囲気ガスとしてN2を5リットル/分の速度で流しながら析出したLiPF6を含んだスラリーを30分間室温で濾過した。次に、N2雰囲気下で濾別したLiPF6を容器に移し替え、容器内にN2を1リットル/分の速度で流通させながら、100℃で5時間乾燥したところLiPF6の結晶が得られた。なお、前記の一連の操作では水分含有量が10ppm以下のN2を使用した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005360328
表1に示す結果より、実施例1〜4のいずれにおいても不凝縮ガスの系外への排出量を調整することで、不溶性のリチウム塩の発生を抑えながら、LiPF6を効率よく回収することができることがわかる。
続いて実施例1〜4にて得られたLiPF6の結晶300gを採取しそれぞれ900gの無水HFに溶解し当該溶液を−20℃まで冷却し、再結晶により精製を行った。再結晶にて析出した結晶を含んだスラリーを濾過板の上方に雰囲気ガスの入口を、下方に出口を備えた濾過器に移し雰囲気ガスとしてN2を500ミリリットル/分の速度で流しながら析出したLiPF6を含んだスラリーを10分間室温で濾過した。次に、N2雰囲気下で、濾別したLiPF6を容器に移し替え、容器内にN2を500ミリリットル/分の速度で流通させながら、60℃で5時間乾燥した。その結果を表2に示す。
Figure 0005360328
表2に示す結果より、実施例1〜4では、再結晶という簡便な方法を用いて、不溶性のリチウム塩の含有量が顕著に低減されたLiPF6を得ることできることがわかる。
なお、実施例1〜4は図1に示す装置1を用いて処理を行ったが、他の構成の装置でも可能である。例えば、実施例1、2は図2に示す装置1aを用いてもよいし、実施例3は図3に示す装置1bを用いてもよいし、実施例4は図5に示す装置1dを用いてもよい。
実施例5、比較例1
図1に示す装置内をN2でパージした後、真空ポンプで系内を0.13kPaの真空度になるまで排気し、前記実施例1〜4において調製した模擬廃電解液Aから5kgずつを分取しそれぞれ実施例5、比較例1に供するため0.5μmの目開きのフィルターを介し蒸発器2に仕込んだ。
なお、蒸発器2はフレキシブル継手により配管と接続し該蒸発器2の重量を秤により計量できる仕組みとした。
次に凝縮器3へ10℃の冷却媒体を供給し、同時に蒸発器2へ120℃の加熱媒体を供給し蒸発器2の温度が30℃〜100℃になるように冷却媒体と加熱媒体の流量を調節しながら加熱濃縮を行う一方、留出してきた溶媒蒸気を凝縮器3で凝縮させた。合わせて排気手段16の排気装置を起動しガス分析装置27と質量流量計19aを使用して未凝縮ガスと混合している不凝縮ガスの濃度と排気される混合ガスの質量を計測しつつ排出量調節バルブ9lを開閉してバイパス管26を介して不凝縮ガスを含む混合ガスの系外への排出を行った。
模擬廃電解液Aの蒸発量が3.75kgに到達した時点で加熱媒体の供給を停止し系を室温まで冷却した後、冷却媒体の供給を停止した。この間の不凝縮ガスの系外への排出量は実施例5においては55g、比較例1においては105gであった。
続いて、N2でシールしながら系内を大気圧にした後、濾過板の上方に雰囲気ガスの入口を、下方に出口を備えた濾過器を取り出し口7に接続し雰囲気ガスとしてN2を2.5リットル/分の速度で流しながら析出したLiPF6を含んだスラリーを30分間室温で濾過した。次に、N2雰囲気下で濾別したLiPF6を容器に移し替え、容器内にN2を0.5リットル/分の速度で流通させながら100℃で5時間乾燥したところLiPF6の結晶が得られた。なお、これら一連の操作では水分含有量が10ppm以下のN2を使用した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005360328
表3の結果より、不凝縮ガスの系外への排出量を10%未満に抑えた実施例5においては、前記排出量を10%を超えるように調整した比較例1と比べると、得られるLiPF6の量が約1.5倍多く回収できており、しかもLiPF6に含まれる不溶性のリチウム塩の濃度が約3分の1に抑えられていることから、高品質のLiPF6がより多く回収されているといえる。
また、比較例1では、前記のように晶析した電解質用リチウム塩の収量が低下するとともに当該電解質中に不溶性リチウム塩が多く混入するようになり、しかも、蒸発器に残留する有機溶媒も顕著に変質し、晶析した結晶が着色していた。
なお、実施例5は図1に示す装置1を用いて処理を行ったが、例えば、図4に示す装置1cを用いても実施可能である。
実施例6
実施例1において凝縮器3に回収された有機溶媒と、未凝縮ガストラップ25に回収された有機溶媒を合わせた7.5kgを蒸留したところ、99.9%以上の純度のDMCが4.0kg同じく99.9%以上のDECが2.5kg得られた。
したがって、回収された有機溶媒は、高品質のものであり、そのまま電池作製の原料として使用できることがわかる。
実施例7
模擬廃電解液BとしてDMC10.7kg、DEC9.8kg、EC(エチレンカーボネート)13.2kgからなる混合溶媒にLiPF6を4.9kg溶解した溶液(12.7%)を調製した。当該模擬廃電解液Bの含有水分濃度並びに不溶性リチウム塩の濃度は10ppm以下であった。
図1に示す装置1内をN2でパージした後、真空ポンプで系内を0.13kPaの真空度になるまで排気し模擬廃電解液Bから10kgを分取し0.5μmの目開きのフィルターを介し蒸発器2に仕込んだ。
なお、蒸発器2はフレキシブル継手により配管と接続し該蒸発器2の重量を秤により計量できる仕組みとした。
次に凝縮器3へ20℃の冷却媒体を供給し、同時に蒸発器2へ140℃の加熱媒体を供給し蒸発器2の温度が60℃〜120℃になるように冷却媒体と加熱媒体の流量を調節しながら加熱濃縮を行う一方、留出してきた溶媒蒸気を凝縮器3で凝縮させた。合わせて排気手段16の排気装置を起動し排出量調節バルブ9lを開けて未凝縮ガストラップ25を介して質量流量計19aで質量を計測しながら不凝縮ガスの系外への排出を行った。
さらに、模擬廃電解液Bの蒸発量が5kgに到達する時点から蒸発器2の温度を120℃に調節しても蒸発が認められなくなったため、一旦、蒸発濃縮を停止し、凝縮器3内に回収された有機溶媒を系外へ排出した後、廃電解液の供給口5からバルブ9aを介してECと低沸点共沸混合物を形成することができるエチレングリコール70kgを連続的に蒸発器2へ供給しながら80℃〜120℃の蒸発温度で再度蒸発濃縮を開始した。
蒸発量の総計が77.5kgに到達した時点でエチレングリコールの供給を停止し、引き続いて廃電解液の供給口5からバルブ9aを介してトルエン60kgを連続的に蒸発器2へ供給し60℃〜100℃の蒸発温度で蒸発濃縮を継続した。トルエンの供給停止後、蒸発器2の内容物を乾固するため重量の減少が認められなくなるまでさらに加熱を行った後、加熱媒体の供給を停止し、系を室温まで冷却した後、冷却媒体の供給を停止した。この間の不凝縮ガスの系外への排出量の合計は60gであった。
蒸発器2内の乾固した結晶1.2kgを取り出し分析したところ、若干褐色に着色していたがLiPF6と同定され有機溶媒に不溶性のリチウム塩の濃度は1.2重量%であった。続いて回収したLiPF6結晶から300gを分取し900gの無水HFに溶解し再結晶を行った。析出した結晶を濾過してN2雰囲気下、60℃で乾燥して135gの結晶を得た。得られたLiPF6結晶中の電解質用有機溶媒に不溶性のリチウム塩の濃度は600ppmであり、結晶の着色は認められなかった。したがって、得られたLiPF6は、不溶性のリチウム塩の濃度が低く抑えられた高品質のものであるといえる。なお、上記精製操作は前記実施例1〜4と同様に行った。
また、実施例7は図1に示す装置1を用いて処理を行ったが、例えば、図2に示す装置1aを用いても実施可能である。
参考例
縦60mm、横100mm、厚さ20μmのアルミニウム集電体の表裏にコバルト酸リチウムをポリフッ化ビニリデンをバインダーとして片面80μmずつ塗工した正極と縦60mm、横100mm、厚さ15μmの銅集電体の表裏にポリフッ化ビニリデンをバインダーとして片面92.5μmずつ塗工した負極をそれぞれ乾燥した後にEC30容量%、DMC10容量%、EMC(エチルメチルカーボネート)40容量%、DEC20容量%、からなる混合溶媒1リットルにLiPF6を1モル溶解した電解液を正極と負極合わせて1.33g含浸した。前記電解液を含浸した正極と負極を容器に移し新たに20gのDMCを加え容器に37kHzの超音波を10分間印加した。印加後、正極と負極を取り出し容器に残った溶液を分析した。その分析結果と含浸量に対して溶液中に抽出された各成分の回収率を表4に示す。
Figure 0005360328
表4の結果より、解体した電池部材を適当な有機溶媒に浸漬させることで、前記電池部材に含浸された有機溶媒およびリチウム塩を効率よく抽出することができることがわかる。
1 1a 1b 1c 1d 1e 回収装置
2 蒸発器
3 凝縮器
4 連結管
5 廃電解液の供給口
6 廃電解液の加熱手段
7 晶析させたリチウム塩の取り出し口
8 気化した有機溶媒の排出口
9 バルブ
10 温度計
11 排出口
12 気化した有機溶媒の供給口
13 気化した有機溶媒の冷却手段
14 液化した有機溶媒の排出口
15 不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排出口
16 不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの排気手段
17 圧力計
18 排出口
19 流量計
20 排気管
21a 還流管
21b 還流管
22 バイパス管
23 PF5又はBF3の添加手段
24 不活性ガスの供給口
25 未凝縮ガストラップ
26 バイパス管
27 ガス分析装置
28 不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスの供給口

Claims (11)

  1. 有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
    前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御しつつ、蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  2. 前記凝縮器内の不凝縮ガスの系外への排出量を、廃電解液中の電解質の当初量の10質量%以下に制御する請求項1に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  3. 前記凝縮器に不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段が設けられた請求項1または2に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  4. 前記排気手段に未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段がさらに設けられた請求項3に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  5. 前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを蒸発器内に還流させる請求項1〜4いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  6. 前記リチウム塩がLiPF6又はLiBF4であり、前記系の系外からPF5又はBF3をそれぞれ前記系内に添加する請求項1〜5いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  7. 前記廃電解液が少なくとも有機溶媒と電解質用リチウム塩とを含む電解液を含有及び/又は付着した電池部材で構成される使用済みリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池を放電させた後解体し、前記電池部材に前記電解質用リチウム塩を含まない有機溶媒を加え、該有機溶媒中に前記電解液を抽出させて得られる液である請求項1〜6いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  8. 前記蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を添加する請求項1〜7いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  9. 有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させリチウム塩を晶析させる蒸発器と、
    前記蒸発器にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な一つの系を形成する連結管とを備え、
    前記凝縮器が該凝縮器内にある不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段を有し、
    前記蒸発器において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器にて凝縮させつつ、前記排気手段による系内の不凝縮ガスの系外への排出量を制御する制御手段を有することを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置。
  10. 前記排気手段に未凝縮ガスを捕捉して不凝縮ガスを抽出する手段がさらに設けられた請求項9に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置。
  11. 前記凝縮器内の不凝縮ガス及び/又は未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させるための還流手段、
    前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段、
    蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点溶媒成分と最低沸点共沸混合物を形成することができる有機溶媒を供給する溶媒供給手段
    のいずれか1つ以上を更に備える請求項10に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置。
JP2013118204A 2012-12-20 2013-06-04 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置 Expired - Fee Related JP5360328B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013118204A JP5360328B1 (ja) 2013-06-04 2013-06-04 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置
PCT/JP2013/082199 WO2014097861A1 (ja) 2012-12-20 2013-11-29 リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質用リチウム塩の製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013118204A JP5360328B1 (ja) 2013-06-04 2013-06-04 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5360328B1 true JP5360328B1 (ja) 2013-12-04
JP2014235945A JP2014235945A (ja) 2014-12-15

Family

ID=49850298

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013118204A Expired - Fee Related JP5360328B1 (ja) 2012-12-20 2013-06-04 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5360328B1 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015193261A1 (en) * 2014-06-18 2015-12-23 Rhodia Operations Process for recovering an electrolyte salt
CN108905261A (zh) * 2018-09-18 2018-11-30 迪茗(上海)智能科技有限公司 一种有机溶剂气体真空回收系统及方法
CN109509931A (zh) * 2018-12-25 2019-03-22 哈尔滨巴特瑞资源再生科技有限公司 一种锂电池电解液去除设备及方法
CN111816947A (zh) * 2020-07-08 2020-10-23 山东电亮亮信息科技有限公司 废锂电池电解液无害化脱除工艺、脱除装置及使用方法
CN113471515A (zh) * 2021-06-30 2021-10-01 广州市浩立生物科技有限公司 超临界萃取精馏和分子蒸馏联用回收锂电池电解液的方法
CN115498305A (zh) * 2022-11-18 2022-12-20 广东正德工业科技股份有限公司 一种基于绿色膜分离技术的锂电池溶剂回收装置
CN118213658A (zh) * 2024-04-08 2024-06-18 浙江天能新材料有限公司 一种锂电池电解液处理设备
CN118299712A (zh) * 2024-06-06 2024-07-05 山东海容电源材料有限公司 一种锂离子电池电解液回收装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101812378B1 (ko) * 2014-12-23 2017-12-26 주식회사 엘지화학 이차전지 전해액 주입 장치
CN105390765A (zh) * 2015-12-07 2016-03-09 深圳市沃特玛电池有限公司 一种锂离子电池电解液回收方法
CN109473747A (zh) * 2018-09-11 2019-03-15 天能电池集团有限公司 一种废旧锂离子电池拆解回收方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11310414A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Mitsui Chem Inc 高純度炭酸リチウムの製造法
TW511306B (en) * 2001-08-20 2002-11-21 Ind Tech Res Inst Clean process of recovering metals from waste lithium ion batteries
JP4333234B2 (ja) * 2003-07-02 2009-09-16 トヨタ自動車株式会社 リチウム塩の製造方法および製造装置
JP2010202552A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族カルボン酸の晶析装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015193261A1 (en) * 2014-06-18 2015-12-23 Rhodia Operations Process for recovering an electrolyte salt
FR3022695A1 (fr) * 2014-06-18 2015-12-25 Rhodia Operations Procede de recuperation d'un sel d'electrolyte
JP2017525552A (ja) * 2014-06-18 2017-09-07 ローディア オペレーションズ 電解質塩を回収するための方法
US10511068B2 (en) 2014-06-18 2019-12-17 Rhodia Operations Process for recovering an electrolyte salt
CN108905261A (zh) * 2018-09-18 2018-11-30 迪茗(上海)智能科技有限公司 一种有机溶剂气体真空回收系统及方法
CN109509931A (zh) * 2018-12-25 2019-03-22 哈尔滨巴特瑞资源再生科技有限公司 一种锂电池电解液去除设备及方法
CN111816947A (zh) * 2020-07-08 2020-10-23 山东电亮亮信息科技有限公司 废锂电池电解液无害化脱除工艺、脱除装置及使用方法
CN111816947B (zh) * 2020-07-08 2024-02-27 山东电亮亮信息科技有限公司 废锂电池电解液无害化脱除工艺、脱除装置及使用方法
CN113471515A (zh) * 2021-06-30 2021-10-01 广州市浩立生物科技有限公司 超临界萃取精馏和分子蒸馏联用回收锂电池电解液的方法
CN115498305A (zh) * 2022-11-18 2022-12-20 广东正德工业科技股份有限公司 一种基于绿色膜分离技术的锂电池溶剂回收装置
CN115498305B (zh) * 2022-11-18 2023-02-28 广东正德工业科技股份有限公司 一种基于绿色膜分离技术的锂电池溶剂回收装置
CN118213658A (zh) * 2024-04-08 2024-06-18 浙江天能新材料有限公司 一种锂电池电解液处理设备
CN118299712A (zh) * 2024-06-06 2024-07-05 山东海容电源材料有限公司 一种锂离子电池电解液回收装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014235945A (ja) 2014-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5360328B1 (ja) 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置
JP2014123460A (ja) 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置
WO2014097861A1 (ja) リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質用リチウム塩の製造方法及び製造装置
CN104495767B (zh) 一种双氟磺酰亚胺锂盐的制备方法
US10720664B2 (en) Lithium ion secondary battery and nonaqueous electrolyte for lithium ion secondary battery
WO2014155784A1 (ja) フッ素含有電解液の処理方法
JP5845955B2 (ja) ヘキサフルオロリン酸リチウム濃縮液の製造方法
JP6124001B2 (ja) フッ素含有電解液の処理方法
JP5862094B2 (ja) ヘキサフルオロリン酸リチウム濃縮液の製造方法
WO2010146710A1 (ja) 四フッ化ホウ酸塩の製造方法
JP2005026089A (ja) リチウム電池、その製造方法ならびに処理方法
JP2005197149A (ja) リチウム電池処理方法
CN113636533B (zh) 一种二氟磷酸锂的制备方法
CN115196654B (zh) 一种液态六氟磷酸锂的合成装置及其应用
CN106829908B (zh) 一种二氟磷酸锂的制备方法及含有二氟磷酸锂的锂离子电池非水电解液
JP2006004884A (ja) リチウム電池処理方法
JP5532181B1 (ja) リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質用リチウム塩の製造方法及び製造装置
JP2010269947A (ja) リチウム含有複合酸化物の製造装置および製造方法
JP5609283B2 (ja) リチウムイオン電池用電解液の製造方法およびそれを用いたリチウムイオン電池
JP4333234B2 (ja) リチウム塩の製造方法および製造装置
CN216777931U (zh) 一种甲基吡咯烷酮废液的真空提纯装置
CN115557872A (zh) 一种nmp废液回收处理方法
WO2024169010A1 (zh) 一种废旧锂电池电解液回收资源化利用的方法
CN111153917A (zh) 一种双草酸硼酸锂的纯化工艺
WO2015046218A1 (ja) フッ素含有電解液の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5360328

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees