JP2014123460A - 廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置 - Google Patents

廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に回収する方法及びこの方法を実施することができる装置を提供する。
【解決手段】有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器2にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器3にて蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、蒸発器と凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、凝縮器に設けられた未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段16により凝縮器内の未凝縮ガスの系外91への排出量を廃電解液の当初量の5質量%以下に制御しつつ蒸発器2において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器3において蒸発器2にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム電池やリチウムイオン電池の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法及びその回収に適した装置に関する。
近年、リチウムイオン電池市場が携帯電話、パソコン等の電子機器から車にまで急速に拡大するに伴い、使用済みのリチウム電池やリチウムイオン電池あるいはリチウム電池やリチウムイオン電池製造工程のトラブルで発生する不良電池が、今後急激に増加してくることが予想されている。そこで、資源の有効利用の観点から、これら不良電池及び/又は使用済み電池から有価物を回収リサイクルする方法が種々提案されているが、電池製造工程のトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済み電池から回収された廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法についての有効な提案は現在まで見当たらない。
一方、リチウムイオン電池製造工程のトラブルで発生する不良電池及び/又は使用済みリチウムイオン電池から有価物を回収リサイクルする方法として、例えば、使用済みの廃棄リチウムイオン電池を高温オーブンで焼き付け及び篩い分けによって金属及び金属酸化物を含む炭灰を生成させて金属を回収する方法がある(特許文献1)。しかし、この方法ではリチウムは炭酸塩として回収されるため電解質そのものを回収すること及び有機溶媒を回収することはできず、しかも電解質用リチウム塩としては主にリチウムのフッ素化合物が使用されているため高温オーブンで焼き付ける際に電解質の分解生成物としてフッ化水素等の有害なガスを発生させる問題が考えられる。
また、特許文献2には、リチウム電池やリチウムイオン二次電池で使用される電解質を構成するリチウム塩であるLiPF6と、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートとからなる飽和溶液を蒸発、濃縮、晶析させ、濾別した結晶を60〜90℃の温度で減圧脱気してLiPF6を精製する手法が記載されている。ここでは、LiPF6は下記式(1)の反応式に従い解離する性質があり、60〜70℃の温度範囲で2Torr以上の蒸気圧を持つため減圧乾燥は50〜70℃の範囲で3〜10torrの圧力を保持しながら行うこと、さらに90℃以上では蒸気圧は6Torr以上になると記載されている。
Figure 2014123460
特許文献3にはLiPF6とジメチルカーボネートからなる溶液より溶媒を−20℃から150℃の範囲で蒸発、濃縮しLiPF6を晶析させるLiPF6の製造方法が記載されている。ところがこの製造方法を前記廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する手段として適用しても前記特許文献2に記載があるようにLiPF6を含んだ有機溶媒を加熱すると少なからずLiPF6の解離が起こり60℃以上になると分解が顕著になる。このため晶析したLiPF6中に不純物である有機溶媒に対し不溶性のLiFが残存しLiPF6の純度を低下させるという問題がある。
また、LiFに限らず電池用有機溶媒に不溶性のリチウム塩は、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池用電解液の濾過工程で濾材の目詰まりを促進し電解液の製造工程に重篤な悪影響を与える。このため、これらの不純物は電解質の製造工程で厳しく管理されている。
特開2003−157913号公報 特開平11−147705号公報 特開平10−316410号公報
本発明は、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池製造工程のトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済み電池から回収された廃電解液から、有機溶媒に不溶性のリチウム塩の生成を抑制しながら、前記リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に分離して回収する方法及びこの方法を実施することができる装置を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、
(1)有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
凝縮器に設けられた未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段により凝縮器内の未凝縮ガスの系外への排出量を廃電解液の当初量の5質量%以下に制御しつつ蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
(2)前記凝縮器内の未凝縮ガスを蒸発器内に還流させる前記(1)に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
(3)前記電解質用リチウム塩がLiPF6又はLiBF4であり、前記系の系外からPF5又はBF3をそれぞれ前記系内に添加する前記(1)又は(2)に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
(4)前記蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点成分と最低沸点共沸混合物を形成する有機溶媒を添加する前記(1)〜(3)いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法、
(5)少なくとも、有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させリチウム塩を晶析させる蒸発器と、
該蒸発器にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な一つの系を形成する連結管とを備え、
前記凝縮器が未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段を有し、
前記蒸発器において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器にて凝縮させつつ、前記排気手段による系内の未凝縮ガスの系外への排出量を前記廃電解液の当初量の5質量%以下に制御する制御手段を有することを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置、
(6)前記凝縮器内の未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させるための還流管及び未凝縮ガスの送気手段と前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段及び/又は蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点成分と最低沸点共沸混合物を形成する有機溶媒を供給する溶媒供給管とを更に備える前記(5)に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置
に関する。
本発明の方法によれば、前記不溶性リチウム塩の生成を抑制することで、特段の高度で複雑な精製を行わずとも、低コストで、前記廃電解液から前記電池用として好適に再利用できる電解質用リチウム塩と有機溶媒とを同時に分離して回収できる。
また、本発明の装置を用いることで、前記廃電解液からの電解質用リチウム塩と有機溶媒との回収を効率よく行うことができる。
図1は、本発明の装置の実施形態の一例を示す概略説明図である。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、当該説明は本発明の実施態様の一例であり本発明はこれらに制限されず任意に改変して実施することができる。
1.回収方法
本発明の方法は、廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法であり、有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
凝縮器に設けられた未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段により凝縮器内の未凝縮ガスの系外への排出量を廃電解液の当初量の5質量%以下に制御しつつ蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする。
本発明でいう廃電解液とは、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の製造工程のトラブルで発生する廃電解液及び/又は使用済みのこれらの電池から回収された廃電解液であって、電解質用リチウム塩及び有機溶媒を含有しているものをいう。これらの廃電解液中のリチウム塩や有機溶媒の含有量については特に制限はない。
前記廃電解液中に含まれる電解質用のリチウム塩としては、有機溶媒に溶解して導電性を示すリチウム塩であれば特段の制限はなく、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4が挙げられるが、当該リチウム塩自体及び/又は当該リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液を加熱すると分解し有機溶媒の蒸気中に分解により生じたガスを生成するとともに前記不溶性リチウム塩を生成する性質を持つリチウム塩が好ましい。特にLiPF6あるいはLiBF4は加熱すると少なからず解離し60℃以上になると数Torrの蒸気圧を持ち顕著に当該塩の分解が起こるためより好ましく適用できる。
前記廃電解液中に含まれる有機溶媒としては、電池の使用環境あるいは使用目的等に応じて、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等の鎖状エーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホランのような含硫黄化合物類、含フッ素カーボネート類、含フッ素エーテル類、含フッ素ラクトン類、含フッ素エステル類、含フッ素含塩素エーテル類のような含フッ素化合物よりなる群から選ばれる1種類もしくは数種類を混合した有機溶媒が少なくとも用いられているが、本発明はこれらの有機溶媒に対し制限なく適用できる。
前記廃電解液に含まれる水分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下がもっとも好ましい。水分が存在すると後述の蒸発器で加熱濃縮中に電解質のリチウム塩が水分と反応し有機溶媒に目的物とは異なる不溶性のリチウム塩、さらにフッ酸、リン酸、あるいはその他の酸を生成して、回収した電解質用リチウム塩の純度を低下させるため好ましくない。
このため前記廃電解液中に100ppm以上の水分を含む場合は、水分含量を低減するための精製を行った後、加熱濃縮することが好ましい。前記精製の方法としては抽出、吸着、脱水蒸留等の通常の脱水手段を単独で又は組み合わせて行うことができる。特に吸着により精製する場合はモレキュラーシーブあるいは活性炭等の吸着材が好ましく使用できる。
本発明の方法においては、前記廃電解液を、前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させた密閉可能な1つの系で処理する。
なお、「密閉可能な1つの系」とは、蒸発器と凝縮器とが、蒸発器で生じた有機溶媒の気体が凝縮器中に供給できるように連通された1つの系となっており、必要に応じて有機溶媒の気体、蒸発器で晶析させたリチウム塩、凝縮器で凝縮させた有機溶媒及び未凝縮ガスを蒸発器及び凝縮器の外部へ排出できるように密閉可能な状態をいう。この系には、系外から、リチウム塩を溶解した有機溶媒の溶液、PF5またはBF3の供給ができるように構成されている。例えば、図1に示すように、蒸発器と凝縮器とが連通管で接続されている態様が挙げられる。
また、本発明においては加熱濃縮の前に、系内に予め不活性ガスを供給して空気などを排除し、次いで不活性ガスを減圧等で系外に排除することで、電解質用のリチウム塩や有機溶媒を効率よく回収することができる。なお、不活性ガスが系内に残留すると加熱濃縮工程での蒸発温度の上昇あるいは凝縮工程での凝縮温度の低下を招き、より高温の加熱媒体あるいはより低温の冷却媒体が必要となるため好ましくない。
さらに系内の水分は完全に排除してから廃電解液を蒸発器へ供給することが好ましい。系内に水分が存在すると電解質の分解を誘発する場合があり好ましくない。
また、廃電解液はあらかじめ濾過して固体不純物を除いてから蒸発器に供給することが好ましい。濾過により固体不純物が精製され回収した電解質用リチウム塩の純度が向上する。濾過手段としては、廃電解液中の固体不純物を濾別できるものであればよく、材質、篩のサイズ、濾過装置の大きさについては特に限定はない。
前記系において、蒸発器に廃電解液を供給し、加熱濃縮する。廃電解液を加熱濃縮することで、有機溶媒が気化してリチウム塩濃度が上昇して廃電解液中に晶析する。
ただし、廃電解液の温度が上昇しすぎるとリチウム塩は分解しやすくなる。例えば、LiPF6は前記式(1)に示すように、LiFとPF5に分解し、生成したPF5が有機溶媒の分解を引き起こす可能性がある。
したがって、本発明では、前記加熱濃縮は、前記のようなリチウム塩の分解を抑えながら、晶析させる観点から、加熱濃縮温度を20℃〜150℃の範囲に設定することが好ましい。
本発明に使用する蒸発器は、回分式、半回分式、連続式のいずれの操作方式にも適用できるものであればよい。回分式もしくは半回分式で行う場合には、廃電解液が完全に蒸発乾固するまで濃縮を行ってもよいが、伝熱面積の縮小による加熱効率の低下や伝熱面への析出結晶の固着を来すため溶媒が残存した状態で濃縮を停止することが好ましい。
前記蒸発器は、廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させる機能を持つものであれば特に制限はなくジャケット式熱交換器を搭載した槽型蒸発器、熱交換器を槽内部に搭載した槽型蒸発器、又は熱交換器へ廃電解液を給液して加熱濃縮を行う蒸発器等が好適に用いられる。また、当然ながら蒸発器内の廃電解液を攪拌機、気体によるバブリングあるいは送液手段を使用する等して撹拌することは、蒸発器の伝熱性能を向上させたり伝熱面へのリチウム塩の結晶の付着を軽減するうえで効果的である
蒸発器には前記溶液の蒸発濃縮により析出した結晶又は結晶を含んだ溶液を系外に取り出すための取り出し口を設けることが好ましく、当該取り出し口は、バルブを介して溶液から結晶を分離するためのろ過装置へ供給するシステムと連結されるとさらに好ましい。
ことは言うまでもない。
なお、蒸発器の具体的な構成については後述する。
高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含む廃電解液に対しては本発明を通常の手段で適用しても蒸発温度が高くなるため低温の凝縮温度下、高真空で操作を行う必要が生じる場合がある。さらに濃縮終了後、常温では前記高融点溶媒が凝固し結晶の濾過が困難になる場合がある。あるいは高温で凝固を阻止して濾過する等しても高沸点溶媒が結晶に付着して残留するため後の乾燥に高い温度が必要になり乾燥中に前記結晶の分解が起こる等の問題が発生する場合がある。
前記問題の回避のために前記高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含んだ廃電解液を加熱濃縮するに際しては回分的又は連続的にあるいはその双方を組み合わせて、系外から低沸点の溶媒を蒸発器へ供給して蒸発器内の溶媒組成を漸次、当初の組成以上に低沸点成分に富むように加熱濃縮を行うことが好ましい。なお低沸点の溶媒の供給量は蒸発した溶媒量以下でかつ蒸発した溶媒中の低沸点成分から高沸点成分の質量を差し引いた質量以上であることが好ましい。
前記系外から供給する低沸点溶媒としてはリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池に使用される有機溶媒であることが好ましくジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネートがさらに好ましくジメチルカーボネートが特に好ましい。なお当然ではあるが系外から供給する低沸点の溶媒は前記操作で凝縮器に回収された溶媒を蒸留、抽出、吸着等あるいはこれらの操作を組み合わせて精製を行い使用してもよい。
また前記高沸点及び/又は高融点の有機溶媒を含んだ廃電解液に対し、少なくともその高沸点成分と最低沸点共沸混合物を作る成分を添加して濃縮を行ってもよい。添加する成分はリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解液に使用される有機溶媒であること、もしくは前記電池の特性に影響を与えない化合物であることが好ましい。
また前記廃電解液の電解質用リチウム塩がLiPF6又はLiBF4である場合、系外からPF5と又はBF3をそれぞれ添加すればさらにLiPF6又はLiBF4の分解が抑えられて、前記不溶性リチウム塩の生成が低減され好ましい。
前記系外からのPF5又はBF3の添加の時期は、加熱濃縮の途中で行うことが好ましく、蒸発器を加熱する前に行うとさらに好ましい。添加する場所は蒸発器内又は凝縮器内でもよいし、蒸発器と凝縮器を連結した連結管へPF5又はBF3の添加手段を接続して添加してもよい。添加手段は、気体流量計等の計測機器とバルブ等の流量調節機器又は必要なら圧縮機、ブロアー等の気体流動装置を適宜組み合わせた添加装置が使用できる。
前記系外からのPF5又はBF3の添加量は、廃電解液に含まれる電解質の当初量の5質量%以下が好ましい。5質量%を超えると高価なPF5又はBF3の使用量が増えコストが高くなるとともに、PF5又はBF3と有機溶媒との反応が促進され有機溶媒が劣化変質するため好ましくない。
さらには前記電解質用リチウム塩がLiPF6又はLiBF4である場合、前記蒸発器から取り出した、析出した結晶の濾過と、濾過後の乾燥とをそれぞれPF5又はBF3を含むガス雰囲気中で行うと前記不溶性リチウム塩の生成が低減されてより好ましい。
前記濾過と濾過後の乾燥はそれぞれPF5又はBF3を0.1モル〜5モル%含むガス雰囲気で行うことが好ましいが、0.1モル%未満であると効果が小さく、5モル%を超えて行うと高価なPF5あるいはBF3の消費量が増えて好ましくない。
次いで、前記蒸発器で発生した有機溶媒の気体を、蒸発器と連通された凝縮器に供する。
前記蒸発器と凝縮器との連通状態は、例えば、蒸発器にある、気化した有機溶媒用の排出口と、凝縮器にある、気化した有機溶媒用の供給口とを連結させればよい。また、この連結に用いる連結管としては、有機溶媒に侵食されない材質であればよく、連結管のサイズ、形状等については特に限定はない。
前記凝縮器は、有機溶媒の気体を沸点以下に冷却して液体状にするために使用される。
前記凝縮器は、加熱蒸発した溶媒蒸気を冷却して有機溶媒を凝縮させる機能を持つものであれば特に制限はなく、ジャケット式熱交換器を搭載した槽型凝縮器や溶媒蒸気を導入凝縮させる熱交換器と凝縮した有機溶媒を貯留する貯槽を連結した凝縮器等が好適に用いられる。
なお、凝縮器の具体的な構成については後述する。
本発明は、系内の操作圧力及び/又は蒸発温度を所望の値に保つよう凝縮温度を制御することにより、未凝縮ガスの系外への排出及び/又は凝縮器から蒸発器への還流を行わずとも実施できるが、何らかの理由により所望の値に制御できない場合は、未凝縮ガスの系外への排出及び/又は蒸発器への還流を行うことが好ましい。凝縮器内の未凝縮ガスの蒸発器への還流量又は未凝縮ガスの系外への排出量は系内の操作圧力及び/又は蒸発温度を所望の値に保つよう凝縮温度と連動させながら定常的又は変動的に決定できる。
本発明の方法では、前記凝縮器に設けた、未凝縮ガスを前記系外へ排出可能な排出手段により、未凝縮ガスの系外への排出量を廃電解液の当初量の5質量%以下に制御する点に一つの特徴がある。このように未凝縮ガスの系外への排出量を調整することで前記不溶性リチウム塩の生成を抑制するという利点がある。この未凝縮ガスの排出量の調製は、例えば、未凝縮ガスの排出口付近に設けた流量計で流量を確認しながら、前記未凝縮ガスの排出口に設けたバルブを開閉することで調整すればよい。
また未凝縮ガスの系外への排出量は、前記廃電解液の当初量の5質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0質量%が最も好ましい。前記排出量が前記廃電解液の当初量の5質量%を超えると晶析した電解質に不溶性リチウム塩が多く混入するようになり電解質として使用するに当たっては高度の精製操作が必要になり好ましくない。
なお、有機溶媒の当初量は液体の状態で測定され、未凝縮ガスの系外への排出量は気体の状態で測定されるが、質量流量計を使用すると直接的に当初量又は排出量を質量で計測できるので好ましい。体積流量計を使用する場合は、密度と体積流量から当初量あるいは排出量を質量に換算することができる。また、各配管を、フレキシブル継手を使用して連結し、秤を使って直接的に蒸発器あるいは凝縮器の重量を量ることで前記非水溶媒の当初量と未凝縮ガスの系外への排出量を測定することもできる。
未凝縮ガスの系外への排出量又は還流量は、質量流量計、熱式流量計、差圧式流量計等一般的に使用される流量計を介して流量を計測しながら手動又は自動で回分的又は連続的に所望の量を制御して行うことができる。
凝縮器が備える未凝縮ガスを系外へ排出する排気手段としては、凝縮器に接続されたバルブ及び/又は系外への排気管に接続された送気手段等が好適に使用できる。バルブは未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、気体用流量計と組み合わせて常用のグローブバルブ等が好適に用いられるが、特に精密に排出を制御する必要がある場合はニードルバルブ等の流量調整機能の優れたバルブの使用が好ましい。送気手段は未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置が運転圧力あるいは排気量等、使用環境に応じて適宜使用できる。
送気手段を用いた前記未凝縮ガスの還流量あるいは未凝縮ガスの系外への排出量の制御方法の1例として蒸発量と蒸発温度を所望の値になるよう、蒸発器へ供給する加熱媒体の温度と供給量を制御し同時に凝縮器への冷却媒体の温度と供給量を制御し、かつ還流管及び/又は排気管に設置された流量計で流量を計測しながら送気手段の吐出側に設置した流量調整用バルブで行う方法又は送気手段の吐出側と吸入側を連結したバイパス管に設置された流量調整バルブで行う方法あるいはその双方を組み合わせて行う方法等がある。
前記のように凝縮器で凝縮された有機溶媒は、そのまま有機合成の溶媒又は原料として使用してもよいしボイラー燃料として使用してもよいが精製して再度リチウムイオン電池用溶媒として使用することが好ましい。
回収した有機溶媒の精製法としては、それぞれの有機溶媒に適合した精製方法、例えば、吸着、ろ過、抽出、晶析、蒸留等の一般的な精製方法が単独でもしくは複数組み合わせて適用できる。
また、本発明の方法では、前記のように系外へ排出するのとは別に、未凝縮ガスを蒸発器内に還流させてもよい。このように凝縮器で凝縮されない未凝縮ガスを蒸発器へ還流させることで、系の圧力と蒸発温度の上昇及び凝縮温度の低下を抑制するという利点がある。具体的には、前記凝縮器に設けた未凝縮ガスの排出口と、前記蒸発器に廃電解液を供給するための管状物とを還流管を介して連結させて、蒸発器内に未凝縮ガスを供給できるようにすればよい。また、蒸発器が大型であれば、前記還流管を、蒸発器に設けた未凝縮ガス用の供給口に接続してもよい。
前記凝縮器内の未凝縮ガスを蒸発器へ還流させる送気手段としては、特段の制限はないが、凝縮器から未凝縮ガスを蒸発器へ還流させる還流管へ真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置を運転圧力あるいは還流量等、使用環境に応じて設置するとよい。なお当然のことながら前記還流用気体流動装置の吐出側に前記ベントバルブを設置し還流用送気手段と排気手段とを兼用してもよい。
また、還流管は蒸発器内に連通されていればよく、還流効果を高める観点から蒸発器内の廃電解液中へ挿入してバブリングしながら加熱濃縮を行ってもよいが、還流管の閉塞又は管内への濃縮液の逆流に注意する必要がある。
また、前記還流管には、PF5又はBF3の添加手段を接続してもよい。
また、本発明の方法における、蒸発器内及び凝縮器内の運転時の圧力は、大気圧以下、大気圧、大気圧以上のいずれでも可能であるが、0.001MPa〜0.5MPaの範囲に調整することが好ましく、0.01MPa〜0.1MPaの範囲がさらに好ましい。0.001MPa未満に調整すると減圧度が高いため高価な減圧対応の設備が必要になり設備コストの増大を招くおそれがあり、さらに、蒸発した有機溶媒の凝縮温度が低くなり凝縮器へ供給する冷媒媒体の温度を、冷凍機等を用いて下げないと凝縮が効率よく起こらなくなる等の問題が発生し好ましくない。
また、前記圧力を0.5MPaを超えて調整すると加圧度が高いため高価な高圧対応の設備が必要になり設備コストの増大を招来したり、さらに有機溶媒の蒸発温度が上昇し、加熱源として高温の加熱媒体が必要になる等の問題が発生し好ましくない。
また、廃電解液の加熱濃縮は、当該廃電解液に含まれる電解質の熱による分解生成物の分圧が0.001Torr〜200Torrの圧力を示す温度範囲で行うことが好ましい。0.001Torr未満で加熱濃縮を行うと溶媒の蒸気圧も小さくなり操作圧力が前記適正操作圧力の0.001MPaを下回る場合があり好ましくない。200Torrを超えて加熱濃縮を行うと有機溶媒の蒸気圧も大きくなり操作圧力が前記適正操作圧力範囲の0.5MPaを上回る場合があり好ましくない。
前記の圧力は、凝縮器に設ける圧力計で測定することができる。
2.装置
次に、本発明の装置の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の装置1の全体構成の概略を示す図である。
前記装置1は、本発明の方法を効率よく実施することで、廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収することができる装置の一例である。
前記装置1は、蒸発器2、凝縮器3、蒸発器2と凝縮器3とを連通させる連結管4とを備える。前記蒸発器2は、この蒸発器2で生じた有機溶媒の気体が連結管4を通じて凝縮器3に供給されるように凝縮器3に連通されており、密閉可能な一つの系を形成している。
前記蒸発器2では、リチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の廃電解液を加熱濃縮することで、有機溶媒を蒸発させ、電解質であるリチウム塩を晶析させる。
前記蒸発器2としては、廃電解液を収容できる容積と、気化した有機溶媒の加圧に耐えられる強度を有し、廃電解液を供給するための供給口5、蒸発器内部の廃電解液を所定の温度に加熱する加熱手段6、晶析させたリチウム塩を取り出す取り出し口7及び気化した有機溶媒を排出する排出口8を備えている。これらの各部の位置、サイズ、形状等については、特に限定はなくそれぞれの目的に応じた常識的な位置、サイズ、形状であればよい。
なお、蒸発器2に設けた供給口5、取り出し口7にはそれぞれバルブ9a、9bを設けることで前記系を密閉状態とすることができる。なお、気化した有機溶媒を排出する排出口8は前記連結管4と接続されている。
前記加熱手段6は、加熱媒体によって蒸発器2を加熱することができるものであればよい。また、加熱媒体の種類については、蒸発器2に供給された廃電解液を所望の温度に加熱できればよく、特に限定はない。また、図1に示すように、加熱媒体の供給量を調整するためのバルブ9dを設けることで、加熱温度を調整してもよい。
前記蒸発器2に供給された廃電解液の温度は、温度計10で測定することができる。温度計10は、廃電解液の温度を効率よく測定できるように設置されていればよく、例えば、廃電解液に接触できる位置に配置すればよい。
また、前記蒸発器2には窒素ガスを供給するための供給口24を設けていてもよい。この場合、窒素ガスを効率よく蒸発器2から排出するために排出口11を設け、ここから排出してもよい。
なお、前記加熱濃縮時の有機溶媒の漏出を防ぐため、排出口11に接続した管にはバルブ9fを設ける必要がある。
前記蒸発器2で加熱濃縮することで晶析させたリチウム塩は、蒸発器2の廃電解液中に沈殿しているため、蒸発器2の下部に設置されている取り出し口7からバルブ9bを開けることで取り出すことができる。取り出したリチウム塩については、濾過を行うことで廃電解液と分離することができる。
前記蒸発器2で気化した有機溶媒は排出口8から連結管4を通って凝縮器3に供給される。
前記凝縮器3では、前記蒸発器2にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する。
前記凝縮器3としては、前記気化した有機溶媒を収容できる容積を有し、気化した有機溶媒を供給する供給口12、凝縮器3内部の気化した有機溶媒を液化する冷却手段13、液化した有機溶媒を排出する排出口14、未凝縮ガスを排出する排出口15及び未凝縮ガスを系外へ排出可能な排出手段16を備えている。各部の位置、サイズ、形状等については特に限定はなくそれぞれの目的に応じた常識的な位置、サイズ、形状であればよい。なお、凝縮器3に設けた排出口14、15にはそれぞれ接続した管にバルブ9g、9hを設けることで、前記系を密閉状態とすることができる。なお、未凝縮ガスを排出する排出口15は前記排出手段16に接続されている。
前記冷却手段13は、冷却媒体によって凝縮器3内の気化した有機溶媒を冷却することができるものであればよい。また、冷却媒体の種類については、凝縮器3に供給された気化した有機溶媒を所望の温度に冷却できればよく、特に限定はない。また、図1に示すように、冷却媒体の供給量を調整するためのバルブ9iを設けることで、冷却温度を調整してもよい。
前記凝縮器3内の圧力は、圧力計17で測定することができる。圧力計17は、バルブ9jを開けることで、凝縮器3内に連通して圧力測定ができる。
また、前記凝縮器3には前記蒸発器2から供給された窒素ガスを効率よく排出するために排出口18を設け、ここから窒素ガスを排出してもよい。なお、前記凝縮時の有機溶媒や未凝縮ガスの漏出を防ぐため、排出口18に接続した管にはバルブ9kを設ける必要がある。
前記凝縮器3で凝縮することで液化した有機溶媒は、凝縮器3の底部に集まるため、凝縮器3の下部に設置されている排出口14からバルブ9gを開けることで取り出すことができる。
前記凝縮器3で凝縮されない未凝縮ガスは排出口15から管を通って未凝縮ガスを系外へ排出可能な排出手段16に供される。この場合、管に設けたバルブ9hとその他関連するバルブにより前記系を密閉可能にすることができる。
前記排気手段16としては、送気手段が好適に使用できる。前記送気手段は、未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、例えば、真空ポンプ、ブロワー、圧縮機等の気体流動装置が運転圧力又は排気量等、使用環境に応じて適宜使用できる。
また、前記排気手段16では、排気管20からバルブ9lを用いて系外への排気量を調整する。この排気量は、バルブ9lの下流に設けた流量計19aにより正確に測定することができる。バルブ9lは、未凝縮ガスを系外へ排出できる機能を有すれば特段の制限はなく、グローブバルブ等が好適に用いられるが、特に精密に排出を制御する必要がある場合はニードルバルブ等の流量調整機能の優れたバルブの使用が好ましい。
また、前記系外とは別に、未凝縮ガスを前記排気手段16から還流管21を介して前記蒸発器2に還流させてもよい。前記還流管21には、バルブ9mを設けることで流量を調整する。この流量は、バルブ9mの下流に設けた流量計19bにより正確に測定することができる。さらに前記還流管21の蒸発器の入口部にバルブ9qを設けて前記系を密閉状態にできるようにするとよい。
本発明においては、前記排気手段16により、前記蒸発器2において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器3にて凝縮させつつ、系内の未凝縮ガスの系外への排出量を前記廃電解液の当初量の5質量%以下に制御する。
廃電解液の当初量は、前記蒸発器2にバルブ9aを介して供給された量をいい、前記系内の未凝縮ガスの系外への排出量は、前記凝縮器3付近に設置された流量計19aで測定する量が相当する。
なお、既述のごとく、有機溶媒の当初量は液体の状態で測定され、未凝縮ガスの系外への排出量は気体の状態で測定されるが、質量流量計を使用すると直接的に当初量あるいは排出量を質量で計測できるので好ましい。体積流量計を使用する場合は、密度と体積流量から当初量あるいは排出量を質量に換算することができる。また、図示しないが、各配管を、フレキシブル継手を使用して連結し、秤を使って直接的に蒸発器あるいは凝縮器の重量を量ることで前記非水溶媒の当初量と未凝縮ガスの系外への排出量を測定することもできる。
図1に示す装置において、未凝縮ガスの系外への排出量を制御する制御手段は、排気手段16の下流にある排出管20に設けた流量計19aとバルブ9lで構成され、前記流量計19aで未凝縮ガスの流量を確認しながら、バルブ9lを開閉することで調整すればよい。
例えば、前記装置1において、排気手段16を用いた未凝縮ガスの前記還流量及び/又は系外への排出量の制御方法の1例としては、蒸発量と蒸発温度を所望の値になるよう、蒸発器2へ供給する加熱媒体の温度と供給量を制御し、同時に凝縮器3への冷却媒体の温度と供給量を制御し、かつ還流管21及び/又は排気管20に設置された流量計19b、19aでそれぞれの流量を計測しながら排気手段16の吐出側に設置した流量調整用のバルブ9lで行う方法、あるいは送気手段の吐出側と吸入側を連結したバイパス管22に設置された流量調整用のバルブ9nで行う方法、あるいはその双方を組み合わせて行う方法等が挙げられる。
また、前記還流管21には、系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段23を接続してもよい。この添加手段23は、供給側から順にPF5又はBF3の流量を調節するバルブ9o、流量計19c及びPF5又はBF3の供給用のバルブ9pとなるように構成される。
なお、この添加手段21は、別途、前記蒸発器2、凝縮器3、連結管4のいずれに接続してもよい。
また、前記蒸発器2へ、廃電解液とは別に、低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点成分と最低沸点共沸混合物を形成する有機溶媒を供給する場合には、廃電解液を供給するための供給口5から供給すればよいし、これらの溶媒用の供給口を前記蒸発器2に設けてもよい。
以上のような装置1を構成する各部の材料としては、特段の制限はなく、鉄鋼、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ハステロイ等の高合金鋼、あるいはこれらにフッ素樹脂等のライニングを施した複合材料等が適宜、環境に応じて使用できる。
また、前記装置1の各部を操作する条件としては、本発明の方法に準じて調整すればよい。
1 回収装置
2 蒸発器
3 凝縮器
4 連結管
5 廃電解液の供給口
6 廃電解液の加熱手段
7 晶析させたリチウム塩の取り出し口
8 気化した有機溶媒の排出口
9 バルブ
10 温度計
11 排出口
12 気化した有機溶媒の供給口
13 気化した有機溶媒の冷却手段
14 液化した有機溶媒の排出口
15 未凝縮ガスの排出口
16 未凝縮ガスの排出手段
17 圧力計
18 排出口
19 流量計
20 排気管
21 還流管
22 バイパス管
23 PF5又はBF3の添加手段
24 窒素ガスの供給口

Claims (6)

  1. 有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を蒸発器にて加熱濃縮してリチウム塩を晶析させると同時に、凝縮器にて前記蒸発器で蒸発させた有機溶媒を凝縮して回収するに際し、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な1つの系とし、
    凝縮器に設けられた未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段により凝縮器内の未凝縮ガスの系外への排出量を廃電解液の当初量の5質量%以下に制御しつつ蒸発器において廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させ、かつ、凝縮器において蒸発器にて蒸発させた有機溶媒を凝縮させることを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  2. 前記凝縮器内の未凝縮ガスを蒸発器内に還流させる請求項1に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  3. 前記リチウム塩がLiPF6又はLiBF4であり、前記系の系外からPF5又はBF3をそれぞれ前記系内に添加する請求項1又は2に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  4. 前記蒸発器へ、低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点成分と最低沸点共沸混合物を形成する有機溶媒を添加する請求項1〜3いずれかに記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する方法。
  5. 少なくとも、有機溶媒とリチウム電池及び/又はリチウムイオン電池の電解質であるリチウム塩とを含む廃電解液を加熱して有機溶媒を蒸発させリチウム塩を晶析させる蒸発器と、
    該蒸発器にて蒸発した有機溶媒を凝縮させて回収する凝縮器と、
    前記蒸発器と前記凝縮器とを連通させて密閉可能な一つの系を形成する連結管とを備え、
    前記凝縮器が未凝縮ガスを系外へ排出可能な排気手段を有し、
    前記蒸発器において蒸発させた有機溶媒を前記凝縮器にて凝縮させつつ、前記排気手段による系内の未凝縮ガスの系外への排出量を前記廃電解液の当初量の5質量%以下に制御する制御手段を有することを特徴とする廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置。
  6. 前記凝縮器内の未凝縮ガスを前記蒸発器内に還流させるための還流管及び未凝縮ガスの送気手段と前記系の系外からPF5又はBF3を前記系内に添加する添加手段及び/又は蒸発器へ低沸点の有機溶媒及び/又は廃電解液中の高沸点成分と最低沸点共沸混合物を形成する有機溶媒を供給する溶媒供給管とを更に備える請求項5に記載の廃電解液から電解質用リチウム塩と有機溶媒を同時に回収する装置。
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