JP5359341B2 - 燃料電池構成材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池構成材の製造方法に関し、特に、加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂を用いて形成された電解質膜と、該電解質膜の周囲に形成されたシール部材とを少なくとも備えてなる燃料電池構成材の製造方法に関する。
燃料電池の一形態として固体高分子型燃料電池が知られている。固体高分子型燃料電池は、他の形態の燃料電池と比較して作動温度が低く(−30℃〜100℃程度)、低コスト、コンパクト化が可能なことから、自動車の動力源等として期待されている。
図4に示すように、固体高分子型燃料電池は、拡散層付き膜電極接合体(MEGA)4aを主要な構成要素とし、それをガス流路5を備えたセパレータ6,6で挟持することにより、単セルと呼ばれる1つの燃料電池10を形成している。膜電極接合体4aは、イオン交換膜である固体電解質樹脂膜1aの両面にアノード側およびカソード側触媒層2,2を積層した構造を持つ。触媒層2は、電解質樹脂と触媒担持導電体とを含む触媒混合物で形成される。触媒には主に白金系の金属が用いられ、該触媒を担持する導電体にはカーボン粉末が主に用いられる。通常、触媒層2の外面にカーボンペーパーまたはカーボンクロス等からなる拡散層3,3が形成される。拡散層3を除いた、固体電解質樹脂膜1aと触媒層2との積層体を膜電極接合体(MEA)と呼ぶ場合もある。
電解質膜と触媒層の積層は、例えば、シート状に作成した触媒層と電解質膜とを積層し、それを熱圧プレスすることにより行われる。しかし、一般的に用いられている電解質樹脂であるH型電解質樹脂(末端基が−SOHであり、プロトン伝導性を持つ)は、耐熱性が充分でなく熱劣化することから、100℃前後の温度で熱圧プレスするようにしており、電解質膜と触媒層との間に充分な結合力が得られない不都合がある。
電解質膜用の樹脂および触媒層を形成する樹脂として、末端基が−SOFである電解質前駆体樹脂を用いる場合がある。電解質前駆体樹脂はF型電解質樹脂と通称されており、そのままではプロトン伝導性を備えないが、加水分解処理とそれに続く酸処理(以下、本発明では、双方の処理を含めて単に「加水分解処理」といっている)により側鎖末端を−SOFから−SOHに変換することでプロトン伝導性が付与される。
電解質前駆体樹脂であるF型電解質樹脂は、H型電解質樹脂と比較して熱的安定性に優れており、高い温度での熱圧プレス等が可能なことから、発電性能および耐久性に優れた膜電極接合体が得られる。その一例として、特許文献1には、電解質前駆体樹脂膜と触媒層との積層体である膜電極接合体前駆体を作り、それに加水分解処理を施して膜電極接合体とすることが記載されている。また、特許文献2には、前記加水分解処理を行った後の膜電極接合体に対して、その周囲の必要となる箇所に、ガスケットとして機能するシール部材を形成することが記載されている。
図3は、前記特許文献2に記載されるような方法でガスケット付きの膜電極接合体を製造する場合において、通常採用されている製造プロセスを示している。最初に、図3(a)に示すように、前記F型電解質樹脂からなる膜(電解質膜前駆体)21の両面に触媒層22を形成したMEA前駆体20を作り、それに対して、図3(b)に示すように、80〜130℃である加水分解処理用流体25を用いて加水分解処理を施す。通常、この加水分解処理には数10分の時間を必要とする。加水分解処理により、F型電解質樹脂であった電解質膜前駆体21はH型電解質樹脂からなる電解質膜21aとなりプロトン伝導性を備えたMEA20aなる。そのときに、H型電解質樹脂からなる電解質膜21aは加水分解処理時の吸湿により膨張するのを避けられない。
膨張状態にある電解質膜21aを持つMEA20aは乾燥処理されるが、そのときに、図3(c)に示すように、所定寸法に規定されたクリップ26等で周囲を押さえた状態で乾燥処理が行われ、それにより、乾燥後のMEA20aにおける電解質膜21aは所要の大きさに矯正される。さらに、その状態で、図3(d)に示すように、拡散層27が触媒層22の上に積層されて、拡散層付き膜電極接合体(MEGA)28とされる。
次に、図3(e)に示すように、MEGA28は例えば射出成形型40にセットされ、図3(f)に示すように、周囲の必要箇所に形成されたキャビティ空間41内に、ガスケットとして機能する溶融したシール材(例えば、シリコーン樹脂のような弾性のある熱硬化性樹脂)が注入される。注入後、130℃で数10分程度の加熱処理を施すことにより熱硬化性樹脂であるシール材を熱硬化させ、熱硬化後、脱型することにより、図3(g)に示すように、H電解質樹脂である電解質膜21aの周囲にガスケットとして機能するシール部材24を備えた燃料電池構成材30が形成される。
この燃料電池構成材30の複数枚をセパレータ(図3には示されない)を介して積層し圧締することにより、燃料電池スタックとされる。
特開2005−116466号公報 特開2002−25563号公報
上記した従来の拡散層付き膜電極接合体(MEGA)の製造方法において、前記した加水分解処理の工程において数10分程度の時間を必要とし、さらに、MEGAの周囲の必要箇所にガスケットとして機能するシール部材を形成するときの樹脂加熱硬化工程にやはり数10分程度の時間を必要とする。そのために、従来のMEGAの製造は長い製造時間を必要とし、時間的な観点からまた省エネルギーの観点から、改善する余地がある。
また、膨張状態にある電解質膜を持つMEAを乾燥処理するときに、乾燥による膜の収縮を規定量に抑制するために所定寸法に規定されたクリップ等で周囲を押さえる工程が必要とされており、作業プロセス上も困難な作業を伴っている。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂(F型電解質樹脂)を用いて形成された電解質膜を備え、かつその周囲にシール部材を形成した燃料電池構成材を、従来の製造方法よりもより短い時間で製造することができ、かつ製造プロセスも簡素化することのできる、より改良された燃料電池構成材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明による燃料電池構成材の製造方法は、加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂を用いて形成された電解質膜と該電解質膜の周囲に形成されたシール部材とを少なくとも備えてなる燃料電池構成材の製造方法であって、前記電解質前駆体樹脂で構成される電解質膜前駆体を少なくとも備える第1部材をその周囲が固定された状態で成形型に配置した後、前記第1部材に対する前記シール部材の形成処理と前記電解質前駆体樹脂に対する加水分解処理とを前記成形型内で同時に行うことによって前記燃料電池構成材とすることを特徴とする。
本発明による製造方法では、電解質前駆体樹脂(F型電解質樹脂)をプロトン伝導性を有する電解質樹脂(H型電解質樹脂)に変換する加水分解処理工程と、膜の周囲の必要箇所にシール部材を形成するための熱処理との双方を成形型内で同時に行うようにしており、それにより製造に要する時間を大きく短縮することができる。また、少なくとも電解質前駆体樹脂で構成される電解質膜前駆体を含む前記第1部材を、所要の寸法にその周囲を固定した状態で型内に配置した後、前記加水分解処理と乾燥処理とを行うようにしたので、前記第1部材の寸法変化を所定値内に確実に抑制することができるとともに、従来行っていた、前記したクリップによる固定工程を省略することができる。
上記した本発明による燃料電池構成材の製造方法のより具体的な第1の態様では、前記成形型として、加熱手段と、前記電解質膜前駆体におけるシール部材が形成されるべき領域に対向して形成されたキャビティ空間と、前記電解質膜前駆体におけるプロトン伝導性が付与されるべき領域に加水分解処理用の流体を供与するための流体供与回路とを少なくとも備えたものを用い、前記成形型を前記加熱手段で加熱しながら、前記キャビティ空間への前記シール部材用の熱硬化性樹脂の供給と、前記流体供与回路への加水分解処理用の流体の供与とを同時に行うようにする。
上記した本発明による燃料電池構成材の製造方法のより具体的な第2の態様では、前記成形型として、加熱手段と、前記電解質膜前駆体におけるプロトン伝導性が付与されるべき領域に加水分解処理用の流体を供与するための流体供与回路とを少なくとも備えたものを用い、かつ、前記第1部材として少なくとも前記電解質膜前駆体におけるシール部材を形成すべき領域に前記シール部材用の熱硬化性樹脂が配置されている構成を備えたもの用い、前記成形型を前記加熱手段で加熱しながら、前記熱硬化性樹脂の硬化処理と、前記流体供与回路への加水分解処理用の流体の供与とを同時に行うようにする。
本発明による燃料電池構成材の製造方法において、前記第1部材としては、種々の形態のものを用いることができる。例えば、第1部材は電解質前駆体樹脂からなる電解質膜前駆体単独であってもよい。この場合に、MEGAとするためには、燃料電池構成材とした後に、触媒層および拡散層を電解質膜の上に積層する作業が必要となる。
前記第1部材は、電解質前駆体樹脂を少なくとも含む触媒層を前記電解質膜前駆体に積層した形態のものであってもよい。この場合には、MEGAとするために、燃料電池構成材とした後に、拡散層を触媒層の上に積層する作業が必要となる。
前記第1部材は、電解質前駆体樹脂を少なくとも含む触媒層と拡散層とを触媒層を電解質膜側として電解質膜に積層した形態のものであってもよい。この態様では、拡散層は通常高い撥水性を備える材料で作られることから、加水分解処理用の加熱水が拡散層を通過して触媒層および電解質前駆体樹脂からなる電解質膜前駆体まで到達しにくくなることが起こりうる。そのために、この態様では、好ましくは、前記電解質前駆体樹脂として予めアルカリ金属水酸化物を混合または配置してなる電解質前駆体樹脂を用いるとともに、前記加水分解処理用の流体として過熱水蒸気を用いることが推奨される。
上記の態様では、高い撥水性を備える材料で拡散層が作られていても、ガス状態である過熱水蒸気は容易にそこを通過できること、および、拡散層を通過した過熱水蒸気は凝縮し、凝縮した水が予め混合または配置したアルカリ金属水酸化物を溶解し、局所的に高温かつ高濃度のアルカリ水溶液を発生させ、発生したアルカリ水溶液によって電解質前駆体樹脂に対する加水分解処理が進行することから、加水分解処理を迅速に進行させることができる。
なお、前記したように、本発明において「加水分解処理」とは、電解質前駆体樹脂における末端基、例えば、−SOFを−SONaあるいは−SOKに置換するアルカリ処理と、置換された−SONaあるいは−SOKをさらに−SOHに置換する酸処理の双方を含むものとして用いている。
さらに、本発明において、前記電解質前駆体樹脂で構成される電解質膜前駆体は、延伸したPTFE膜のような多孔性膜を補強膜として備えていてもよい。
本発明によれば、加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂(F型電解質樹脂)を用いて作られた電解質膜を備え、かつその周囲にシール部材を形成してなる燃料電池構成材を、従来の製造方法よりもより短い時間で製造することができる。また、製造プロセスも簡素化することができる。それにより、燃料電池構成材ひいては燃料電池の生産性の向上およびコスト低減が可能となる。
本発明による燃料電池構成材の製造方法の第1の形態をその工程とともに説明する概略図。 本発明による燃料電池構成材の製造方法の第2の形態をその工程とともに説明する概略図。 ガスケット付きの膜電極接合体を製造する場合の従来例を説明する図。 固体高分子型燃料電池を説明するための概略図。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。
[第1の形態]
図1を参照して本発明による燃料電池構成材の製造方法の第1の形成を説明する。図1(a)は、ここで用いる第1部材50を示す。第1部材50は、電解質前駆体樹脂(以下、「F型電解質樹脂」という)からなる電解質膜前駆体51と、その両側に積層されたF型電解質樹脂と触媒担持導電体とを含む触媒混合物からなる触媒層52,52と、前記触媒層52,52の外側面に積層されたカーボンペーパーまたはカーボンクロス等からなる拡散層53,53が積層されて構成されている。
この例において、電解質膜前駆体51を構成するF型電解質樹脂および触媒層52に含まれるF型電解質樹脂には、必須ではないが、NaOHあるいはKOHのようなアルカリ金属水酸化物が混合されている。電解質膜前駆体51の場合には、アルカリ金属水酸化物が混合したF型電解質樹脂を用いるのではなく、F型電解質樹脂を用いて膜を作った後に、その上や周囲にアルカリ金属水酸化物を配置した構成であってもよい。また、拡散層53,53には、従来知られた手法により撥水処理が施されていてもよい。
上記の第1部材50を成形型60に取り付ける。図1(b)に示すように、成形型60は、第1部材50の周囲の適宜箇所にガスケットとして機能するシール部材55を形成するための適宜形状のキャビティ空間61と、該キャビティ空間61内にシール材を供給するための供給孔62を備える。第1部材50を成形型60内の適正位置にセットしたときに、第1部材50に形成した前記触媒層52の外周縁に沿うこととなる位置には、区画壁63が立設されており、第1部材50を成形型60にセットしたときに、電解質膜前駆体51は前記区画壁63の下端部によって両面から挟持される。それにより、第1部材50は成形型60内の適正位置に自由には移動しない状態で位置決めされる。キャビティ空間61は前記区画壁63の外側に形成される。
成形型60の前記区画壁63に囲まれた内側領域は加水分解処理用の流体が通過できる流体用空間64とされており、前記流体用空間64の一方の偶部近傍には流体入り口65が、流体用空間64の前記流体入り口65に対向する偶部近傍には流体出口66が形成されている。この構成が、本発明でいう「流体供与回路」の一例を構成する。また、特に図示しないが、成形型60には、キャビティ空間61および流体用空間64を所要温度に加熱するための例えばヒータである加熱手段が取り付けられる。
製造開始に当たり、図1(c)に示すように、一対の成形型60,60によって、その所定位置に前記第1部材50を挟持する。前記したように、それにより、第1部材50は区画壁63によって移動が阻止された状態で、一対の成形型60,60内にセットされる。この後、前記供給孔62からキャビティ空間61内に、熱硬化後にガスケットとして機能するシール材として、液状の熱硬化性樹脂(例えばシリコーン樹脂)54を注入する。また、熱硬化性樹脂54の注入と平行して、前記流体入り口65から流体用空間64内に加水分解処理用の流体70を連続的に送り込み、流体用空間64を通過した流体70を前記流体出口66から排出する。
キャビティ空間61内に注入された熱硬化性樹脂は、所定時間経過後に熱硬化してシール部材55となる。また、ほぼ同じ時間にわたり流体70を流体用空間64に送り込むことにより、第1部材50で用いられたF型電解質樹脂、すなわち電解質膜前駆体51を構成するF型電解質樹脂と触媒層52に混入されているF型電解質樹脂の加水分解処理が進行して、プロトン伝導性を備えたH型電解質樹脂に変換する。前記したように、ここでの加水分解処理には、加水分解処理とそれに続く酸処理が含まれる。その後、必要に応じて乾燥処理を行った後、脱型することで、図1(d)に示すように、本発明による燃料電池構成材Aとされる。
本発明による製造方法によれば、キャビティ空間61内に注入した熱硬化性樹脂が熱硬化に要する時間と、F型電解質樹脂の加水分解処理が進行してH型電解質樹脂に変換する時間とを、樹脂材料の選択、および加水分解用の流体70の組成、温度、流量等の選択を適宜行うことによって、ほぼ同じ時間とすることもでき、製造時間の短縮が可能となる。また、その間、成形型60の加熱は連続して行われるので、従来の加水分解処理とシール材の熱硬化とを別々に行う場合と比較して、熱エネルギーも節減することができる。
また、H型電解質樹脂に変換した膜(電解質膜)51は、加水分解時の水分の吸収により膨張し、乾燥処理時に収縮しようとする。しかし、本発明による製造方法では、前記のように、第1部材50は当初から自由に挙動できないように拘束された状態で、所要寸法となるように成形型60によって支持されており、その状態は脱型するまで維持される。そのために、所期どおりの寸法の燃料電池構成材Aを容易に得ることができ、得られた燃料電池構成材Aを用いて形成した膜電極接合体は、発電する面積精度がきわめて良いために、セル間での出力バラツキを抑え込むことができる。
なお、上記第1の形態において、F型電解質樹脂が撥水性であることに加えて、第1部材50が撥水性に富んだ拡散層53を備えていることから、加水分解用の流体70として単にアルカリ水溶液を用いる場合には、アルカリ水溶液の内部への浸透速度が遅くなり、加水分解処理に要する時間が長時間となる。それを回避するために、上記第1の形態では、NaOHあるいはKOHのようなアルカリ金属水酸化物が拡散層の内側にあらかじめ配置されると共に、加水分解処理用の流体70として、過熱水蒸気を用いることはきわめて好ましい態様となる。
その理由は、ガス状態である過熱水蒸気は撥水性材料(例えば、拡散層53,および触媒層52に含まれるF型電解質樹脂等)を容易に通過できることに加え、過熱水蒸気が凝縮し、凝縮した水が予め混合または配置したアルカリ金属水酸化物を溶解し、局所的に高温かつ高濃度のアルカリ水溶液を発生させることによる。
より具体的には、F型電解質樹脂に以下の反応が起こり、電解質膜前駆体の末端基が−SONaに変化する。
−SOF + 2NaOH → −SONa + NaF +H
アルカリ処理の終了後、酸処理を行う。酸処理は、過熱水蒸気とHClの混合ガスを120℃〜130℃程度に過熱し、それを流体用空間64に送給する。それにより、過熱混合ガスは、拡散層53を通り抜けて、触媒層52および電解質膜前駆体51にまで達し、水蒸気は凝縮水となる。そして、凝縮水中にHClが溶けて局所的に高温高濃度のHCl水溶液が発生する。その結果、電解質膜前駆体51および触媒層52内で以下の反応が起こり、前記した末端基が−SOHが変換され、F型電解質樹脂はプロトン伝導性を得て、H型電解質樹脂となる。
−SONa + HCl → −SOH +NaCl
なお、アルカリ金属水酸化物が混合したF型電解質樹脂を用いるとともに、加水分解処理用の流体70として過熱水蒸気を用いるようにした膜電極接合体の製造方法は、本出願人の出願にかかる特願2007−315923号に詳細に記載されており、該出願の内容も本発明の開示の一部として含まれる。
[第1の形態の変形例−その1]
第1部材として、拡散層53を積層しないものを用いることもできる。この場合には、従来知られた加水分解処理法によって、F型電解質樹脂をH型電解質樹脂に変換しやすくなる。従って、この態様では、アルカリ金属水酸化物を含まない電解質膜前駆体51を用い、また、加水分解処理用の流体70としてアルカリ水溶液を用いても、本発明による製造方法を実施することができる。ただし、この態様による場合には、MEGAを得るのに、製造された本発明による燃料電池構成材に対して、後作業で拡散層を積層する工程が必要となる。
[第1の形態の変形例−その2]
第1部材として、拡散層53および触媒層52を積層しないもの、すなわちF型電解質樹脂からなる電解質膜前駆体51単独のものを用いることもできる。この場合にも、従来知られた加水分解処理によってF型電解質樹脂をH型電解質樹脂に容易に変換することができる。ただし、この態様による場合には、MEGAを得るのに、製造された本発明による燃料電池構成材に対して、後作業で触媒層と拡散層を積層する工程が必要となる。
[第2の形態]
図2を参照して本発明による燃料電池構成材の製造方法の第2の態様を説明する。図2(a)に示すように、ここで用いる第1部材50は、第1の形態で用いた第1部材50と同じものであり、同じ符号を付して説明は省略する。
この例では、図1(a)に示す第1部材50における発電領域に対向する部分にガス流路81を有するセパレータ部材80(図2(b)参照)が用いられる。前記セパレータ部材80には、酸化剤ガスまたは燃料ガスを供給ための供給口82と、ガス流路81を通過した酸化剤ガスまたは燃料ガスを排出するための排出口83が備えられる。さらに、セパレータ部材80には、セパレータ部材80を第1部材50に対して適正位置に配置したときに、第1部材50に形成した前記触媒層52の外周縁に沿うこととなる位置に区画壁84が形成されており、2枚のセパレータ部材80で第1部材50を挟持したときに、前記区画壁63の下端部によって前記電解質膜前駆体51は挟持される。
セパレータ部材80の前記区画壁84の外側は段差部85とされており、その段差部85は、未硬化であり接着性のある熱硬化性樹脂(例えば、シリコーン樹脂)86を塗布配置するのに用いられる。
製造に当たり、最初に、図2(b)に示すように、前記段差部85に熱硬化性樹脂86を塗布した状態の2枚のセパレータ部材80を、そのガス流路81側が第1部材50側となるようにして所定の位置に配置し、2枚のセパレータ部材80によって第1部材50を軽く圧接した状態とする。それにより、前記段差部85に塗布した熱硬化性樹脂86は、電解質膜前駆体51に接触した状態となる。
2枚のセパレータ部材80で挟持した第1部材50の両面を、成形型90、90で挟み込み軽く圧締する。この例において、成形型90は実質的に平板状の加熱板であり、セパレータ部材80で挟持された第1部材50を適正位置に挟み込んだ状態で、セパレータ部材80の前記供給口82および排出口83に対向する位置には、流体入り口91および流体出口92が形成されている。また、成形型90、90での圧締により、セパレータ部材80に形成した前記区画壁63の下端部による電解質膜前駆体51の挟持圧は高いものとなり、第1部材50の自由移動は確実に阻止される。
その状態で、図2(c)に示すように、前記供給孔91から加水分解処理用の流体70を所要時間にわたって連続的に送り込む。流体70はセパレータ部材80の前記供給口82からガス流路81内に流入し、そこを通過して排出口83に至り、成形型90の流体出口92から排出する。この流路が、本発明でいう「流体供与回路」の一例を構成する。
その過程で、セパレータ部材80の前記段差部85に塗布した熱硬化性樹脂86は、電解質膜前駆体51に接触した状態で熱硬化し、電解質膜前駆体51と一体化したシール部材87となる。また、ほぼ同じ時間にわたり流体70を送り込むことにより、第1部材50で用いられたF型電解質樹脂、すなわち電解質膜前駆体51を構成するF型電解質樹脂と触媒層52に混入されているF型電解質樹脂の加水分解処理が進行して、プロトン伝導性を備えたH型電解質樹脂に変換する。その後、脱型することにより、図2(d)に示すように、本発明による燃料電池構成材A1とされる。この燃料電池構成材A1は、そのままの形態で燃料電池セルあるいは燃料電池スタックとして組み付けることができる。
この形態による製造方法でも、セパレータ部材80の前記段差部85に塗布した熱硬化性樹脂86が熱硬化に要する時間と、F型電解質樹脂の加水分解処理が進行してH型電解質樹脂に変換する時間とを、樹脂材料の選択、および加水分解用の流体70の組成、温度、流量等の選択を適切に行うことによって、ほぼ同じ時間とすることにより、製造時間の短縮が可能となる。また、その間、成形型90の加熱は連続して行われるので、従来の加水分解処理とシール材の熱硬化とを別々に行う場合と比較して、熱エネルギーも節減することができる。
なお、第2の形態において、前記電解質前駆体樹脂として予めアルカリ金属水酸化物を混合または配置してなる電解質前駆体樹脂を用い、前記加水分解処理用の流体として過熱水蒸気を用いることは、第1の形態の場合と同様に、好ましい。用いる場合の具体的内容は、第1の形態の場合と同じであってよく、ここでの説明は省略する。
A、A1…燃料電池構成材、
50…第1部材、
51…電解質前駆体樹脂(F型電解質樹脂)からなる電解質膜前駆体、
52…触媒層、
53…拡散層、
54…溶融した熱硬化性樹脂、
55…ガスケットとして機能するシール部材、
60…成形型、
61…キャビティ空間、
62…シール材の供給孔、
63…区画壁、
64…流体用空間、
65…流体入り口、
66…流体出口、
70…加水分解処理用の流体、
80…セパレータ部材、
81…ガス流路、
82…供給口、
83…排出口、
84…区画壁、
85…段差部、
86…熱硬化性樹脂、
87…シール部材、
90…成形型、
91…流体入り口、
92…流体出口。

Claims (7)

  1. 加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂を用いて形成された電解質膜と該電解質膜の周囲に形成されたシール部材とを少なくとも備えてなる燃料電池構成材の製造方法であって、
    前記電解質前駆体樹脂で構成される電解質膜前駆体を少なくとも備える第1部材を成形型に形成した区画壁の下端部によって両面から挟持することによってその周囲が固定された状態で成形型に配置した後、前記区画壁の外側領域においての前記第1部材に対する前記シール部材の形成処理と前記区画壁の内側領域においての前記電解質前駆体樹脂に対する加水分解処理とを前記成形型内で同時に行うことによって前記燃料電池構成材とすることを特徴とする燃料電池構成材の製造方法。
  2. 前記成形型として、加熱手段と、前記区画壁の外側において前記電解質膜前駆体におけるシール部材が形成されるべき領域に対向して形成されたキャビティ空間と、前記区画壁の内側において前記電解質膜前駆体におけるプロトン伝導性が付与されるべき領域に加水分解処理用の流体を供与するための流体供与回路とを少なくとも備えたものを用い、前記成形型を前記加熱手段で加熱しながら、前記キャビティ空間への前記シール部材用の熱硬化性樹脂の供給と、前記流体供与回路への加水分解処理用の流体の供与とを同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池構成材の製造方法。
  3. 加水分解処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質前駆体樹脂を用いて形成された電解質膜と該電解質膜の周囲に形成されたシール部材とセパレータ部材とを少なくとも備えてなる燃料電池構成材の製造方法であって、
    前記電解質前駆体樹脂で構成される電解質膜前駆体を少なくとも備える第1部材をその両面に配置したセパレータ部材に形成した区画壁の下端部によって両面から挟持しさらに該セパレータ部材の両面に成形型を配置することによって、その周囲が固定された状態で成形型に配置した後、前記セパレータ部材に形成した区画壁の外側領域においての前記第1部材に対する前記シール部材の形成処理と前記区画壁の内側領域においての前記電解質前駆体樹脂に対する加水分解処理とを前記成形型内で同時に行うことによって前記燃料電池構成材とすることを特徴とする燃料電池構成材の製造方法。
  4. 前記セパレータ部材として、前記区画壁の外側において前記電解質膜前駆体におけるシール部材が形成されるべき領域に対向して形成されたキャビティ空間と、前記区画壁の内側において前記電解質膜前駆体におけるプロトン伝導性が付与されるべき領域に加水分解処理用の流体を供与することのできる流体供与回路とを少なくとも備えたものを用い、前記キャビティ空間内に前記シール部材用の熱硬化性樹脂を配置した状態で第1部材をセパレータ部材によって挟持し、成形型を加熱手段で加熱しながら、前記熱硬化性樹脂の硬化処理と、前記流体供与回路への加水分解処理用の流体の供与とを同時に行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池構成材の製造方法。
  5. 前記第1部材として、電解質前駆体樹脂を少なくとも含む触媒層を前記電解質膜前駆体に積層した形態のものを用いることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の燃料電池構成材の製造方法。
  6. 前記第1部材として、電解質前駆体樹脂を少なくとも含む触媒層と拡散層とを触媒層を電解質膜側として電解質膜に積層した形態のものを用いることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の燃料電池構成材の製造方法。
  7. 請求項に記載の燃料電池構成材の製造方法であって、前記電解質前駆体樹脂として予めアルカリ金属水酸化物を混合または配置してなる電解質前駆体樹脂を用い、前記加水分解処理用の流体として過熱水蒸気を用いることを特徴とする燃料電池構成材の製造方法。
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