以下、図1〜図4を用い、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を説明する。なお、本実施形態では、複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略)
まず、図1に基づき、本発明の第1の実施形態の複合機100の概略を説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る複合機100の一例を示す模型的正面断面図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、最上部に原稿カバー21を有し、複合機100本体には、操作パネル1、画像読取部2、給紙部3A、搬送路3B、画像形成部4、定着部5等が設けられる。
まず、図1に破線で示すように、操作パネル1は、複合機100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル1は、複合機100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部11を備える。液晶表示部11は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部11の上面に透明なタッチパネル部12(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部12は、液晶表示部11で押下された部分の位置、座標を検出する。又、操作パネル1には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー13や通常モードから省電力モードへの移行を指示するための節電キー14等、各種のハードキーも設けられる。
原稿カバー21は、図1の紙面奥行き方向に支点を有し、紙面上下方向に開閉可能である。原稿カバー21は、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス22に載置された原稿を押さえる。画像読取部2は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部2内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。尚、原稿カバー21に変えて、載原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部2の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス23)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
そして、これらの光学系部材を用い、載置読取用コンタクトガラス22に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。複合機100は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。
給紙部3Aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路3Bに送り込む。給紙部3Aは、収納用紙が載置されるカセット31を含む(図1で上方のものに31A、下方のものに31Bの符号を付す)。又、カセット31から搬送路3Bに送り出すため回転駆動する給紙ローラ32が設けられる(図1で上方のものに32A、下方のものに32Bの符号を付す)。例えば、印刷時には、給紙ローラ32が回転駆動し、印刷に要する用紙が1枚ずつ搬送路3Bに送り出される。
搬送路3Bは、給紙部3Aから排出トレイ33まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部4、定着部5等が配される。そして、搬送路3Bには、用紙の案内のためのガイドや、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対34、35や、搬送されてくる用紙を画像形成部4の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対36等が設けられる。
画像形成部4は、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部4は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41、及び、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラ45、清掃装置46等を備える。
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部4の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム41は、図1において、感光体ドラム41の右斜め上方に設けられる帯電装置42により、所定電位に帯電される。図4において、露光装置43は、帯電装置42の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光をから出力し、感光体ドラム41表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部2で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピュータ200(外部装置に相当)や相手方FAX装置300(外部装置に相当、図2参照)から送信された画像データ等が用いられる。
そして、図1において、感光体ドラム41の右斜め下方に設けられる現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム41の左方に設けられる転写ローラ45は感光体ドラム41に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ45には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。清掃装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナーを除去する。
定着部5は、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部5は主としてヒータ5Hを内蔵する加熱ローラ51と加圧ローラ52で構成される。加熱ローラ51と加圧ローラ52は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ33が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
まず、複合機100本体内には、主制御部6が設けられる。主制御部6は、例えば、記憶部60、通信部7、操作パネル1、エンジン制御部63、電源装置8等と接続され、複合機100の制御を司る。
主制御部6は、例えば、CPU62は、記憶部60に格納され、展開される制御プログラムに基づき演算等を行い、複合機100の各部を制御する。
記憶部60は、主制御部6と接続される。記憶部60は、ROM、RAM、HDD等を組み合わせて構成される。記憶部60は、複合機100の制御用プログラム、制御用データ、設定データや、画像読取部2によって読み取られた原稿の画像データ等の各種データを記憶できる。
又、例えば、主制御部6には、画像読取部2で原稿を読み取って得られた画像データや通信部7を介して複合機100に入力された画像データに対し、画像処理を施す画像処理部62が設けられる。画像処理部62は、画像処理用のASICやワークメモリ等を含む回路である。画像処理部62が処理した画像データは、例えば、露光装置43に送信されて感光体ドラム41の走査・露光に用いられ、又は、通信部7に送信され、外部に送信される。
又、主制御部6は、操作パネル1と接続される。主制御部6は、操作パネル1になされた入力を認識し、使用者の設定にあわせてコピー等が行われるように複合機100を制御する。例えば、操作パネル1で、使用する給紙部3Aを指定してコピーする旨が設定されると、主制御部6は、指定された給紙部3Aから給紙を行わせる。又。操作パネル1で指定された送信先に、主制御部6は通信部7から画像データを送信させる。
又、主制御部6は、エンジン制御部63と接続される。エンジン制御部63は、主制御部6の印刷開始等の指示に基づき、印刷や読取に関して制御を行う。例えば、エンジン制御部63は、給紙部3A、搬送路3B、画像形成部4、定着部5に設けられたモータを回転させ、用紙の給紙及び搬送を制御する。又、エンジン制御部63は、画像形成部4でのトナー像形成を制御する。又、通常モードや印刷時に定着部5の温度が定着に適した温度(定着制御温度、例えば、170〜200°C程度)で保たれるように、定着部5のヒータ5Hの通電制御を行う。
又、主制御部6は、電源装置8と接続される。電源装置8は、内部に、整流、降圧、昇圧等を行う電力変換回路80を有する。電力変換回路80は、外部から供給される電力(例えば、商用電源)を受け、モータ供給用の電圧(例えば、DC24V)や、主制御部6や、エンジン制御部63や、操作パネル1や、記憶部60や、通信部7への供給用の電圧(例えば、DC5V、3.3V、1.8V等)を生成する。尚、本実施形態の複合機100では、外部から供給される電力との接続、遮断を行うためのメインスイッチ81が設けられる。例えば、メインスイッチ81は、複合機100の側面等に設けられる機械的なスイッチである。このメインスイッチ81をONすることにより、主電源が投入される。
又、電源装置8は、電源装置8内で生成される電圧や各部への電力の供給と遮断を制御する電源制御部82を有する。電源制御部82は、例えば、通常モードでは、複合機100を動作させる上で必要な全ての種類の電圧を生成するように電力変換回路80を制御し、複合機100内の全ての部分に電力を供給する。一方、電源制御部82は、省電力モードでは、省電力モードでも動作させる部分を動作させるのに必要な電圧を生成し、省電力モードでも動作させる部分に対してのみ電力を供給する。そのため、電源制御部82は、例えば、スイッチング回路を含み、電力を供給する部分と、電力を供給しない部分との切り分けを行う。尚、通常モードと省電力モードについての詳細は、後述する。
又、主制御部6は、RTC64(Real Time Clock、計時部に相当)と接続される。RTC64は、計時を行う回路である。例えば、RTC64はチップである。RTC64はセットされた時間となると、主制御部6や通信部7に対し割込信号S1を発信する。このRTC64による割込により、例えば、予約送信を行える。尚、電池65がRTC64に接続されており、メインスイッチ81がOFF状態でもRTC64は動作する。
そして、主制御部6は、通信部7と接続され、通信部7の送受信の制御を行う。又、主制御部6は、通信部7で受信された受信データの受け取りや、送信データの通信部7への引き渡しを行うことができる。又、通信部7はネットワークにより外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)と通信を行うためのネットワーク通信部71を有する。ネットワーク通信部71は、通信チップ、各種コネクタ、ソケットを含む。これにより、通信部7は、画像読取部2で得られた画像データをコンピュータ200に送信することができる。(スキャナ機能)。又、画像読取部2で得られた画像データをEメールに添付して外部のコンピュータ200に送信することもできる。又、外部のコンピュータ200から送信され、複合機100に入力される画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンタ機能)。
又、通信部7は、電話回線L1(回線に相当)により外部装置と通信を行うためのファクシミリ通信部72を含む。ファクシミリ通信部72は、電話線用ソケットやFAXモデム等を含む。ファクシミリ通信部72は、例えば、基地局に設置される交換機400(外部装置に相当)と接続され、交換機400を介し、中央管理装置500(外部装置に相当)や相手方FAX装置300との通信線が確立される。
これにより、通信部7は、画像読取部2で得られた画像データを相手方FAX装置300に送信することができる(FAX機能)。又、相手方FAX装置300から送信された画像データに基づき印刷を行うこともできる。又、複合機100は、通信部7を介し、複合機100の管理を行うための中央管理装置500に対し管理用データを送信できる(詳細は後述)。
又、主制御部6は、診断制御部9と接続される。診断制御部9は、中央管理装置500への管理用データ送信に関して特化された回路である。例えば、診断制御部9は、管理用データの送信のための処理を行うCPU91や、管理用データ送信のためのプログラム、データを記憶するメモリ92を含む。CPU91は、メモリ92内のプログラム、データを用い、管理用データの送信のための処理を行う。
通常モードで、管理用データを中央管理装置500に送信する場合、例えば、診断制御部9は、主制御部6の指示を受け、管理用データの送信のための処理を行う。又、診断制御部9は、記憶部60とも接続される。そして、診断制御部9は、記憶部60に記憶されるデータを管理用データとして読み出し、メモリ92に保持することができる。
又、診断制御部9は、通信部7とも接続される。診断制御部9は、管理用データを通信部7に引き渡す。その後、通信部7から中央管理装置500に向けて管理用データが送信される。省電力モード、管理用データを中央管理装置500に送信する場合、診断制御部9は、動作している通信部7と通信を行い、管理用データの送信のための処理を行う(詳細は後述)。
尚、本発明に係る管理システム600は、図2に示すように、複合機100、中央管理装置500や交換機400で構成できる。
(通常モードと省電力モード)
次に、図3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機100での通常モードと省電力モードを説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100での電力供給系統の一例を示すブロック図である。
〈主電源投入時〉
まず、メインスイッチ81がOFF状態からON状態となり、主電源が投入されると、電源装置8は、商用電源と接続される状態となる。電源装置8は、上述したように、複数種の電圧を生成する。
そして、電源装置8から電力が、主制御部6などの各部に与えられる(図3において、通常モードでの電力供給関係を電力供給系統P1として図示)。そして、主制御部6やエンジン制御部63等に電力の供給が行われ、順次起動を開始する。又、起動によって、記憶部60から主電源投入時のメインプログラムの読み出しがなされ、例えば、主制御部6やエンジン制御部63の定着部5の暖めなど、複合機100で印刷を行えるようにするためのウォームアップが行われる。最終的に、主電源投入によって複合機100の全ての機能が利用できる状態となる。ここで、通常モードを説明しておくと、通常モードとは、例えば、主電源が投入され、ウォームアップが完了し、複合機100を直ちに利用できる状態としておくため、複合機100の(全ての)各部に電力が供給されている状態である。
〈通常モードから省電力モードへの移行〉
通常モードでは、直ちに複合機100を利用できる代わりに、主制御部6での電力消費や定着部5での温度維持のため、複合機100を使用していない状態でも、一定の電力が消費される。そこで、本実施形態の複合機100は、省電力モードを有する。省電力モードは、複合機100で消費される電力を通常モードよりも減らすモードである。
そこで、本実施形態の複合機100では、例えば、複合機100に対する入力(操作パネル1への入力や、通信部7へのデータの入力等)がなくなり、使用されない状態が始まってから、予め定められた省電力モード移行時間が経過すると、主制御部6は、省電力モード移行条件を満たしたと判断する。又、例えば、操作パネル1に設けられる節電キー14が押下されたとき、主制御部6は省電力モード移行条件を満たしたと判断してもよい。
そして、主制御部6は、電源装置8の電源制御部82に省電力モードへの移行を指示する。省電力モードに移行すると、電源装置8は、複合機100のうち、通信部7やその他数カ所を除いて電力供給を停止する(図3において、省電力モードでの電力供給関係を電力供給系統P2として図示)。そのため、例えば、主制御部6は動作を停止し、定着部5での温度維持制御は行われない。尚、通信部7への電力供給を維持するのは、通信部7への電力供給を停止すると、外部からの着信(FAX装置300や中央管理装置500やコンピュータ200からの着信)を認識できなくなるためである。
〈省電力モードから通常モードへの移行〉
使用者が使用したい場合や、印刷等を行う必要がある場合、複合機100の各部に電力を供給して、省電力モードから通常モードに復帰する必要がある。そこで、複合機100への操作、入力を検知し、省電力モードから通常モードへの復帰の復帰信号S2を発する部分(操作検知部)が複合機100内に設けられる。そのため、省電力モードでも、復帰信号S2を発する部分には、電力の供給は行われる。
例えば、操作検知部としては、操作パネル1がある。例えば、操作パネル1で何らかのキーが押下されると、操作パネル1は、復帰信号S2を発する。又、操作検知部としては通信部7がある。例えば、外部のコンピュータ200からプリンタとしての印刷用データを受信した場合や、相手方FAX装置300からデータを受信した場合、通信部7は、復帰信号S2を発し、複合機100が印刷等を行える状態に復帰させる。
又、例えば、画像読取部2に操作検知部を設けることもできる。例えば、画像読取部2には、原稿カバー21の上げ下げ(開閉)を検知する開閉検知センサ24が設けられる。この開閉検知センサ24は、原稿カバー21の開閉によって出力が変化し、機械式のものでもよく、光学式のものでもよく、開閉があったことを検知できるものであればよい。そして、原稿カバー21の上げ下げはコピーやスキャンのため行われる。そこで、開閉検知センサ24は、復帰信号S2を発し、複合機100が印刷等を行える状態に復帰させる。
又、例えば、給紙部3Aに操作検知部を設けることもできる。例えば、各給紙部3Aには、各カセット31の取り外し、取り付けを検知する着脱検知センサ37が設けられる。この着脱検知センサ37は、各カセット31の取り付け、取り外しで出力が変化し、機械式でも光学式のものでもよく、取り外しと取り付けがあったことを検知できればよい。そして、各カセット31の取り外しや取り付けは使用者が用紙補給や用紙サイズ変更のため行うものであり、複合機100に対する操作といえる。そこで、着脱検知センサ37は、復帰信号S2を発し、複合機100が印刷等を行える状態に復帰させる。
尚、上記以外の場所にも、省電力モードから通常モードへの復帰用の復帰信号S2を発する操作検知部が設けられてもよい。各操作検知部が発する復帰信号S2は、電源装置8(電源制御部82)に入力される。通信部7を経由させて電源装置8に復帰信号S2が入力されてもよい。いずれにしても、この復帰信号S2が入力されると、電源制御部82は、通常モードへの復帰条件が満たされたとして複合機100を利用できる状態とするため、複合機100の(全ての)各部に電力供給を再開する。その後、主制御部6は起動し、例えば、エンジン制御部63にウォームアップ指示を与える。
尚、各操作検知部が出力する復帰信号S2は、主制御部6にも入力される。通常モードでは、主制御部6は、復帰信号S2が入力されると、操作パネル1等に操作があったことを検知する。
即ち、画像形成装置(例えば、複合機100)は、主制御部6の指示を受けるとともに、少なくとも、トナーで画像を形成し、用紙にトナー像を転写する画像形成部4とトナー像を加熱、加圧して定着させる定着部5を制御するエンジン制御部63と、を備え、電源制御部82は、通常モードでは、画像形成部4、定着部5及びエンジン制御部63への電力供給を行い、省電力モードでは、画像形成部4、定着部5及びエンジン制御部63への電力供給を停止させ、主制御部6は、起動すると、画像形成部4と定着部5のウォームアップをエンジン制御部63に指示する。
(省電力モードでの中央管理装置500との通信)
次に、図4を用いて、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の省電力モードでの中央管理装置500への管理用データ送信における通信制御の一例を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る複合機100の省電力モードでの中央管理装置500への管理用データ送信における通信制御の一例を示すフローチャートである。
まず、中央管理装置500による複合機100の管理を説明する。例えば、中央管理装置500は、複合機100と位置的に離れた場所(例えば、管理センターやサービスセンター)に設置される。中央管理装置500は、例えば、コンピュータと、コンピュータ内の記憶装置(例えば、HDD)にインストールされた管理用ソフトウェアと、複合機100と通信を行うためモデムを含む。
中央管理装置500は、複数台の複合機100やFAX装置などの画像形成装置を管理できる。そして、中央管理装置500は、複合機100などの管理対象となる画像形成装置から管理用データを取得する。図2に示すように、中央管理装置500は、管理対象となる画像形成装置から電話回線L1を通信路として用いて、管理用データを取得する。
管理用データは、例えば、複合機100などの画像形成装置での印刷枚数や、送信枚数や、受信枚数や、利用回数や、省電力モードに移行した回数や、ジャム発生回数、エラー検知回数など、枚数や回数をカウントしたデータである。又、管理用データには、故障が発生した旨のデータが含まれていてもよい。管理者は、中央管理装置500に集められた管理用データを閲覧し、管理対象となるそれぞれの画像形成装置の使用状況、使用頻度、エラー発生の有無等を確認できる。尚、管理用データは上記のものに限られず、管理上必要な別種のデータでもよい。
例えば、管理用データにおける枚数や回数のカウントは、主制御部6がカウントする。そして、管理用データは、記憶部60に記憶され、随時、主制御部6が更新する。そして、本実施形態では、中央管理装置500が一定のタイミング(予め定められた日時)に、複合機100に呼びかけを行い、複合機100は、呼びかけに対する応答として、管理用データを中央管理装置500に送信する。
ここで、従来、複合機100が省電力モードの時、中央管理装置500からの呼びかけが行われると、複合機100と中央管理装置500間で、FAX通信と同様の通信が行われるので、主制御部6を起動させ、省電力モードが解除されていた。言い換えると、通信部7が中央管理装置500からの呼びかけを受信したことが、省電力モードから通常モードへの復帰条件の1つとされていた。
しかし、省電力モードから通常モードへの移行がなされると、主制御部6の起動、主制御部6による記憶部60からのメインプログラムの読み出し処理、メインプログラムで使用するデータの記憶部60からの読み出し処理、主制御部6とエンジン制御部63との通信処理、定着温度制御に暖めるための定着部5の加熱処理、露光装置43内のポリゴンモータの回転処理、給紙部3Aでの用紙載置台のリフトアップ処理などが行われる。
しかし、中央管理装置500からの呼びかけがあった場合、中央管理装置500へ管理用データを送信すればよい。従って、中央管理装置500からの呼びかけがあった場合、主制御部6の起動や各種ウォームアップ処理を行わないようにすれば、大きな省電力効果が得られる。
そこで、本実施形態では、省電力モードで中央管理装置500からの呼びかけがあり、管理用データを送信する必要がある場合、主制御部6を起動せず、管理用データを送信するための診断制御部9を起動させる。この診断制御部9を用いた、省電力モードでの管理用データの送信制御を、図4を用いて説明する。
まず、図4におけるスタートは、複合機100が省電力モードの状態である。このとき、通信部7には、電力の供給がなされている。
そして、中央管理装置500は、目的とする画像形成装置(本例では、複合機100)から管理用データを得るため、交換機400に対してダイヤルを行う(ステップ♯1)。ダイヤルにより、複合機100の通信部7に呼びかけが行われる(ステップ♯2)。呼びかけに応じ、通信部7のファクシミリ通信部72は、着呼を行う(ステップ♯3)。そして、通信部7は、中央管理装置500と通信を行いつつ、中央管理装置500からの通信であることを確定する(ステップ♯4)。これは、中央管理装置500からの呼びかけの場合と、他のFAX装置300からの通信である場合とでは、その後の対応が異なるところ、通信部7に呼びかけがなされた場合、中央管理装置500である可能性もあれば、他のFAX装置300である可能性もあるためである。
尚、中央管理装置500以外のFAX装置300からの通信であれば(通常のFAX受信であれば)、画像データ等の受信と印刷の必要のため、例えば、通信部7は、電源制御部82に対し復帰信号S2を発して、省電力モードから通常モードへの復帰を指示する。これにより、主制御部6の起動やウォームアップが行われ、主制御部6の起動やウォームアップ後、通常のFAX通信での処理が行われる。あるいは、主制御部6は、通信部7が受信した画像データを受け取り、記憶部60に記憶させる。
中央管理装置500からの通信と確認されると、通信部7は、電源制御部82に診断制御部9のみを起動すべき旨の要求を行う(ステップ♯5)。この指示を受けて、電源制御部82は、診断制御部9への電力供給を行う(ステップ♯6)。その結果、診断制御部9が起動する(ステップ♯7)。
診断制御部9は、記憶部60から管理用データを収集し、通信部7に管理用データを引き渡す(ステップ♯8)。このとき、診断制御部9は、管理用データの収集のため、管理用データが記憶されている記憶部60内の記憶装置(例えば、HDD)に電力供給を行いアクセスしてもよい。又、診断制御部9内のメモリ92に予め管理用データが蓄積されるようにしてもよい。その後、通信部7のファクシミリ通信部72から中央管理装置500に向け、電話回線L1を経由し、管理用データが送信される(ステップ♯9)。
即ち、本発明に係る画像形成装置は、省電力モードでも給電され、回線と接続され、中央管理装置500を含む外部装置と通信を行う通信部7と、画像形成装置(例えば、複合機100)の制御を行う主制御部6と、中央管理装置500に引き渡すデータである管理用データに関する処理(管理用データの保持や収集)を行う診断制御部9と、省電力モードへの移行条件が整うと、少なくとも主制御部6及び診断制御部9への電力供給を停止させるとともに、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも主制御部6への電力供給を再開し、主制御部6を駆動させる電源制御部82と、を含み、省電力モードで、通信部7は、着呼を行うとともに、中央管理装置500からの通信である場合、診断制御部9への電力供給を電源制御部82に行わせて診断制御部9を起動させ、管理用データを診断制御部9から受け取り、管理用データを中央管理装置500に送信する。
これにより、従来のように、主制御部6を起動させることなく管理用データを中央管理装置500に送信できる。そして、診断制御部9の行うべき処理は、主制御部6が行うべき処理と比べ、量は少なく、単純である。そのため、診断制御部9のCPU91が処理するコマンド数は、少なくて済む。又、診断制御部9のCPU91は、主制御部6のCPU621のようにマルチタスク処理を行う必要はなく処理能力が低いものでよい。従って、主制御部6のCPU621よりも消費電力が少ないCPUを診断制御部9のCPU91として採用することができ、この点でも消費電力低減が実現される。
その後、通信部7は、中央管理装置500への管理用データの送信が完了したかを確認する(ステップ♯10)。もし、終了していなければ(ステップ♯10のNo)、ステップ♯9に戻る。一方、終了していれば(ステップ♯10のYes)、通信部7は、電源制御部82に診断制御部9への電力供給を停止させるべき旨の要求を行う(ステップ♯11)。この要求を受け、電源制御部82は、診断制御部9への電力供給を停止する(ステップ♯12→エンド)。即ち、通信部7は、管理用データの中央管理装置500への送信終了後、診断制御部9への電力供給を電源制御部82に停止させる。
このように、中央管理装置500に管理用データを送信する場合、診断制御部9に電力供給が行われる。しかし、診断制御部9は、中央管理装置500への管理用データの送信に特化される。そのため、診断制御部9を起動させたとしても消費される電力は、従来のように主制御部6を起動させる場合に比べ、少なくて済む。又、従来のように、主制御部6を起動させて管理用データを送信する場合、主制御部6では、サイズの大きなメインプログラムの読み出しや処理が行われ、その後、管理用データの送信が行われる。これに対し、診断制御部9は、管理用データの送信のみを行えばよく、迅速に管理用データの送信処理を行える。
このようにして、本実施形態の画像形成装置によれば、中央管理装置500からの通信である場合、診断制御部9が起動し、管理用データが中央管理装置500に送信される。これにより、省電力モードである状態でも、主制御部6を起動することなく管理用データを中央管理装置500に送信することができる。従って、主制御部6を起動せずにすむので、主制御部6で消費される電力を節約することができる。又、診断制御部9は、管理用データを中央管理装置500に送信する処理(プログラム)を実行するだけですみ、簡易、迅速に管理用データの送信処理を行うことができる。
又、管理用データの中央管理装置500への送信終了後、診断制御部9への電力供給が停止される。管理用データの中央管理装置500への送信が行われれば、診断制御部9は、しばらく不要になるところ、これにより、診断制御部9での無駄な電力消費をなくすことができる。
又、主制御部6は、起動すると画像形成部4と定着部5のウォームアップをエンジン制御部63に指示する。そして、本発明では、省電力モードで管理用データを中央管理装置500に送信する際、主制御部6は起動されない。従って、主制御部6での起動処理や、主制御部6とエンジン制御部63の通信処理や画像形成部4や定着部5でのウォームアップが行われず、無駄な電力消費を防ぐことができる。
又、本実施形態の管理システム600によれば、中央管理装置500が管理用データを収集する際、画像形成装置(例えば、複合機100)が省電力モードであっても、画像形成装置(例えば、複合機100)の主制御部6等の起動、ウォームアップがなされない。従って、管理システム600全体として高い省電力効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態を説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る複合機100の省電力モードでの中央管理装置500への管理用データ送信における通信制御の一例を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、中央管理装置500からの呼びかけに対する応答として管理用データを複合機100が送信する例を説明した。第2の実施形態では、RTC64にセットされた時間になると、複合機100が中央管理装置500に管理用データを送信する点で異なる。
尚、ハードウェア構成等、その他の点については、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様でよい。そのため、第1の実施形態と共通する部分については、特に説明する場合を除き、援用するものとして説明、図示を省略する。
まず、図5のスタートでは、複合機100は、省電力モードである。又、RTC64に管理用データを送信を行う時間(設定時間)がセットされた状態である。このRTC64への管理用データの設定時間のセットでは、中央管理装置500が通信部7に向けて設定時間を示すデータを送信してもよい。この場合、RTC64は、設定時間を示すデータに基づき、設定時間をセットする。又、操作パネル1への入力により、使用者が設定時間を入力するようにしてもよい。この場合、RTC64は、使用者が入力した設定時間を、設定時間としてセットする。
そして、RTC64は、予めセットされ、管理用データを送信すべき時刻に至ったかを確認し続ける(ステップ♯21、ステップ♯21のNo)。尚、RTC64は、電池65でバックアップされているので、省電力モードでRTC64に対して電力を供給する必要はない。
もし、設定時間になると(ステップ♯21のYes)、RTC64は、割込信号S1を電源制御部82に入力する(ステップ♯22)。そして、電源制御部82は、RTC64からの割込信号S1を受け、電源制御部82は、診断制御部9への電力供給を行う(ステップ♯23)。その結果、診断制御部9が起動する(ステップ♯24)。
そして、診断制御部9は、記憶部60からの管理用データの収集等、管理用データの送信準備を行う(ステップ♯25)。尚、診断制御部9内のメモリ92に予め管理用データが蓄積されるようにしておいてもよい。
そして、中央管理装置500は、目的とする画像形成装置(本例では、複合機100)から管理用データを得るため交換機400に対してダイヤルを行う(ステップ♯26)。ダイヤルにより、複合機100の通信部7に呼びかけが行われる(ステップ♯27)。呼びかけに応じ、通信部7のファクシミリ通信部72は、着呼を行う(ステップ♯28)。そして、通信部7は、中央管理装置500と通信を行いつつ、中央管理装置500からの通信であることを確定する(ステップ♯29)。
そして、診断制御部9は、予め用意していた管理用データを通信部7に引き渡す(ステップ♯30)。その後、通信部7のファクシミリ通信部72から中央管理装置500に向け、電話回線L1を経由し管理用データが送信される(ステップ♯31)。このように、管理用データが用意された状態で中央管理装置500からの管理用データの要求がなされるので、速やかな管理用データの送信がなされる。
即ち、本実施形態に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、中央管理装置500への管理用データの設定時間がセットされる計時部(RTC64)を含み、計時部(RTC64)は、設定時間に至ると、省電力モードであれば、割込信号S1を電源制御部82に送信し、電源制御部82は、割込信号S1を受けると、診断制御部9への電力供給を行って診断制御部9を起動させ、通信部7は、管理用データを診断制御部9から受け取り、管理用データを中央管理装置500へ送信する。
更に、通信部7は、中央管理装置500への管理用データの送信が完了したかを確認する(ステップ♯32)。もし、終了していなければ(ステップ♯32のNo)、ステップ♯31に戻る。一方、終了していれば(ステップ♯10のYes)、通信部7は、電源制御部82に診断制御部9への電力供給を停止させるべき旨の要求を行う(ステップ♯33)。この要求を受け、電源制御部82は、診断制御部9への電力供給を停止する(ステップ♯34→エンド)。
このようにして、本実施形態の画像形成装置によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。又、計時部(RTC64)による計時で、予め定められた時間(予めセットされた時間)になると、診断制御部9が起動して、その結果、管理用データを中央管理装置500へ送信する。これにより、タイマーにより中央管理装置500に管理用データを送信する際、主制御部6を起動せずに済み、主制御部6で消費される電力を節約することができる。又、診断制御部9は、中央管理装置500の呼びかけ対し、前もって管理用データを用意することができ、迅速な管理用データの送信処理を行うことができる。
本発明の第1、第2の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、第1、第2の実施形態の説明では、画像形成装置として複合機100を用いて説明したが、画像形成装置の一種であるFAX装置に本発明を適用することができる。