JP5357855B2 - 殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法 - Google Patents

殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法に関する。
従来の殺菌方法として、過酸化水素などの酸化剤を殺菌対象に接触させ、400nm〜1000nmの波長の光を殺菌対象に照射する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、過酸化水素に400nm〜1000nmの波長の光を照射してヒドロキシラジカルを発生させ、そのヒドロキシラジカルにより殺菌を行うことができる。
特開2008−284312号公報
特許文献1に記載の方法では、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼにより、一部の過酸化水素が分解されるため、それらの細胞や微生物に対する殺菌効果が低下するという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、殺菌効果を高めることができる殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼが、高い抗菌性を有するヒドロキシラジカル生成の基質である過酸化水素を分解することを見出した。本発明者等は、カタラーゼ陽性細菌および真菌のStreptcoccus aureus ATCC 12693およびCandida albicans JCM 9061を使用し、これらとヒドロキシラジカルとの反応を、DMPO−OHの変化を測定してLineweaver-Burk
Plot で解析を行った。その結果を、図1に示す。
図1に示すように、菌の細胞数が異なる全ての直線が、1/DMPO濃度のマイナス側で交わっており、S.aureus およびC.albicans がヒドロキシラジカルと反応するだけでなく、これら微生物が有するカタラーゼが過酸化水素と反応することが見出された。なお、S.aureus およびC.albicans がヒドロキシラジカルのみと反応するならば、1/DMPO−OH濃度軸上で、菌の細胞数が異なる全ての直線が交わり、カタラーゼが過酸化水素のみと反応するならば、菌の細胞数が異なる全ての直線が平行になるはずである。
なお、図1に示す実験は、S.aureus およびC.albicans の細胞数を様々に変えた菌液200μL(マイクロリットル)の各試料に、25〜300mMのラジカル捕捉材:DMPO(5,5-Dimethyl-pyrrolin-N-oxide)50μLを加え、さらに0.5Mの過酸化水素450μLを加えてから、波長400±20nmのLED光を1分間照射し、1分後にESR(電子スピン共鳴)測定を行うことにより、実施した。
本発明者等は、図1に示す結果から、カタラーゼ活性阻害剤を加えて細胞や微生物のカタラーゼ活性を低下させることにより、効率的なヒドロキシラジカル殺菌を行えるとの知見を得て、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る殺菌剤は、殺菌対象に接触させた後、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することにより殺菌を行うための、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含み、前記カタラーゼ活性阻害剤はオウゴンまたはリョクチャを含むことを、特徴とする。
本発明に係る口腔用殺菌剤は、殺菌対象に接触させた後、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することにより殺菌を行うための、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含み、前記カタラーゼ活性阻害剤はオウゴンまたはリョクチャを含むことを、特徴とする。
本発明に係る殺菌剤および口腔用殺菌剤は、以下のようにして使用される。まず、本発明に係る殺菌剤および口腔用殺菌剤を、殺菌対象に塗布したりスプレーしたりすることにより、殺菌対象に接触させる。このとき、カタラーゼ活性阻害剤を含んでいるため、殺菌対象にカタラーゼ陽性細菌・真菌等の細胞や微生物が存在していても、それらのカタラーゼ活性を低下させることができ、カタラーゼが過酸化水素と反応するのを防ぐことができる。
次に、殺菌対象に所定の波長の光を照射する。これにより、過酸化水素が光分解してヒドロキシラジカルを発生させるため、発生したヒドロキシラジカルにより殺菌を行うことができる。このときにも、カタラーゼ活性阻害剤により、殺菌対象に存在する細胞や微生物のカタラーゼ活性を低下させることができるため、カタラーゼが過酸化水素と反応することにより生ずるヒドロキシラジカルの減少を防ぐことができる。
このように、本発明に係る殺菌剤および口腔用殺菌剤は、カタラーゼ活性阻害剤により、ヒドロキシラジカルを発生させる過酸化水素が、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼと反応して減少するのを防ぐことができ、結果として過酸化水素から発生するヒドロキシラジカルの減少が防げるので、ヒドロキシラジカルによる殺菌効果を高めることができる。
本発明に係る殺菌方法は、過酸化水素とオウゴンまたはリョクチャを含むカタラーゼ活性阻害剤とを殺菌対象に接触させ、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することを、特徴とする。
本発明に係る殺菌方法は、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを殺菌対象に接触させたとき、殺菌対象にカタラーゼ陽性細菌・真菌等の細胞や微生物が存在していても、カタラーゼ活性阻害剤により、それらのカタラーゼ活性を低下させることができ、カタラーゼが過酸化水素と反応するのを防ぐことができる。
また、殺菌対象に350nm乃至500nmの波長を有する光を照射することにより、過酸化水素が光分解してヒドロキシラジカルを発生させるため、発生したヒドロキシラジカルにより殺菌を行うことができる。このときにも、カタラーゼ活性阻害剤により、殺菌対象に存在する細胞や微生物のカタラーゼ活性を低下させることができるため、カタラーゼが過酸化水素と反応することにより生ずるヒドロキシラジカルの減少を防ぐことができる。
このように、本発明に係る殺菌方法によれば、カタラーゼ活性阻害剤により、ヒドロキシラジカルを発生させる過酸化水素が、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼと反応して減少するのを防ぐことができ、結果として過酸化水素から発生するヒドロキシラジカルの減少が防げるので、ヒドロキシラジカルによる殺菌効果を高めることができる。
本発明に係る殺菌方法で、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを殺菌対象に接触させる方法は、本発明に係る殺菌剤および口腔用殺菌剤を塗布したりスプレーしたりする方法や、殺菌対象を本発明に係る殺菌剤の溶液に浸漬する方法など、いかなる方法であってもよい。
本発明に係る殺菌装置は、過酸化水素とオウゴンまたはリョクチャを含むカタラーゼ活性阻害剤と、前記過酸化水素と前記カタラーゼ活性阻害剤とを接触させた殺菌対象に、350nm乃至500nmの波長を有する光を照射可能に設けられた発光手段とを、有することを特徴とする。
本発明に係る殺菌装置は、本発明に係る殺菌方法を好適に実施することができる。本発明に係る殺菌装置によれば、カタラーゼ活性阻害剤により、ヒドロキシラジカルを発生させる過酸化水素が、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼと反応して減少するのを防ぐことができ、結果として過酸化水素から発生するヒドロキシラジカルの減少が防げるので、ヒドロキシラジカルによる殺菌効果を高めることができる。
本発明に係る殺菌装置で、過酸化水素およびカタラーゼ活性阻害剤は、本発明に係る殺菌剤または口腔用殺菌剤により構成されていてもよい。また、本発明に係る殺菌装置で、殺菌対象は口腔内の歯や義歯等から成り、カタラーゼ活性阻害剤は、カタラーゼ活性阻害剤を含む歯磨き粉やうがい薬等で構成されていてもよい。この場合、その歯磨き粉で歯等を磨いたり、うがい薬でうがいしたりした後、殺菌対象に過酸化水素を接触させて、発光手段により光を照射して、使用される。
本発明に係る殺菌方法および殺菌装置で、光を照射する発光手段は、350nm乃至500nmの波長を有する光を照射可能であれば、いかなるものであってもよく、例えば、発熱灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LED(発光ダイオード)、半導体レーザー等である。照射する光は、350nm乃至500nmの波長を有していれば、単一の波長であっても、複数の波長を含んでいても、所定の帯域の波長から成っていてもよい。
本発明に係る殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法および殺菌装置で、カタラーゼ活性阻害剤は、オウゴンまたはリョクチャのほか、例えば、ウイキョウ、ビワ、カンゾウ、アロエ、サルビア、ハマメリス、カミツレ、ローズマリー、メリッサ、またはモモを含むことが好ましい。オウゴンまたはリョクチャは、カタラーゼ活性阻害効果が高い。
本発明に係る殺菌剤の評価方法は、本発明に係る殺菌剤を接触させた殺菌対象から採取した試料と、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキサイド(TEMPOL)との混合液に対して電子スピン共鳴(ESR)測定を行い、得られた電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの線幅に基づいて、前記試料に含まれる細胞または微生物のカタラーゼ活性を測定し、前記殺菌剤の殺菌効果の評価を行うことを、特徴とする。
本発明に係る殺菌剤の評価方法は、カタラーゼが過酸化水素を水と酸素とに分解する反応を触媒していることから、この反応から発生する酸素をESRオキシメトリー法により測定することで、カタラーゼ活性を測定するものである。また、TEMPOLのESRスペクトルの線幅とカタラーゼ濃度との間には、正の相関関係が認められることから、ESRスペクトルの線幅に基づいて、試料に含まれる細胞または微生物のカタラーゼ活性を測定し、殺菌剤の殺菌効果の評価を行うことができる。なお、殺菌剤は、本発明に係る口腔用殺菌剤であってもよい。
本発明によれば、殺菌効果を高めることができる殺菌剤、口腔用殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法を提供することができる。
過酸化水素の光分解により生成されたヒドロキシルラジカルと(a)S.aureusとの反応動態解析、(b)C.albicansとの反応動態解析を示すグラフである。 本発明の実施の形態の殺菌剤の評価方法に基づいた、カタラーゼ濃度とTEMPOLのESRスペクトルの線幅との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の殺菌剤のカタラーゼ活性阻害剤としての使用が検討される各種の生薬の、カタラーゼ活性の阻害作用を示すグラフである。 本発明の実施の形態の殺菌剤のカタラーゼ活性阻害剤の、Streptcoccus aureusに対するオウゴンによる殺菌効果の増強効果を示すグラフである(図中のHは過酸化水素、Lはレーザー照射、Oはオウゴン(1mg/mL)、+は有り、−は無し、を表わす)。 本発明の実施の形態の殺菌剤のカタラーゼ活性阻害剤の、Streptcoccus aureusに対するオウゴンの濃度による殺菌効果を示すグラフである。 本発明の実施の形態の殺菌剤のカタラーゼ活性阻害剤の、(a)Streptcoccus aureus、(b)Candida albicansに対するオウゴンの濃度による殺菌効果を示すグラフ、(c)Streptcoccus aureus、(d)Candida albicansに対するリョクチャの濃度による殺菌効果を示すグラフである(図中のHは過酸化水素、Lはレーザー照射、+は有り、−は無し、を表わす)。
以下、本発明の実施の形態の殺菌剤、殺菌方法、殺菌装置および殺菌剤の評価方法について説明する。
本発明の実施の形態の殺菌装置は、本発明に係る殺菌剤と発光手段とを有している。
殺菌剤は、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含んでいる。カタラーゼ活性阻害剤は、オウゴンまたはリョクチャから成っている。
発光手段は、350nm乃至500nmの波長を有する光を照射可能な半導体レーザーから成っている。
本発明の実施の形態の殺菌方法は、本発明の実施の形態の殺菌装置により好適に実施される。まず、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含む殺菌剤を、殺菌対象に接触させる。このとき、殺菌対象にカタラーゼ陽性細菌・真菌等の細胞や微生物が存在していても、カタラーゼ活性阻害剤により、それらのカタラーゼ活性を低下させることができ、カタラーゼが過酸化水素と反応するのを防ぐことができる。
次に、発光手段により、350nm乃至500nmの波長を有する光を殺菌対象に照射する。これにより、過酸化水素が光分解してヒドロキシラジカルを発生させるため、発生したヒドロキシラジカルにより殺菌を行うことができる。このときにも、カタラーゼ活性阻害剤により、殺菌対象に存在する細胞や微生物のカタラーゼ活性を低下させることができるため、カタラーゼが過酸化水素と反応することにより生ずるヒドロキシラジカルの減少を防ぐことができる。
このように、本発明の実施の形態の殺菌剤、殺菌方法および殺菌装置によれば、カタラーゼ活性阻害剤により、ヒドロキシラジカルを発生させる過酸化水素が、殺菌対象に存在する細胞や微生物が有するカタラーゼと反応して減少するのを防ぐことができ、結果として過酸化水素から発生するヒドロキシラジカルの減少が防げるので、ヒドロキシラジカルによる殺菌効果を高めることができる。
カタラーゼ活性とTEMPOLのESRスペクトルの線幅との関係を求める試験を行った。100μLのカタラーゼ(和光純薬工業株式会社製)と、25μLのTEMPOL(Sigma-Aldrich Corporation 製)と、125μLの過酸化水素(三徳化学工業株式会社製)とをそれぞれ超純水で稀釈し、表1に示す最終濃度になるよう混合して、カタラーゼの最終濃度が0、0.25、0.5、1.0、2.0U/mLの5種類の混合液を作成した。作成した混合液に対してESR測定を行い、その測定結果を図2に示す。
Figure 0005357855
図2に示すように、TEMPOLのESRスペクトルの線幅とカタラーゼ濃度との間には、高い正の相関関係が認められることが確認された。この結果から、ESRスペクトルの線幅に基づいて、検査試料のカタラーゼ活性を測定することができる。
図2の結果を用いて、カタラーゼ活性阻害剤によるカタラーゼ活性の阻害作用の測定を行った。50μLのカタラーゼと、25μLのTEMPOLと、カタラーゼ活性の阻害作用を有すると考えられる50μLの生薬と、125μLの過酸化水素とをそれぞれ超純水(ミリQ水)で稀釈し、表2に示す最終濃度になるよう混合して混合液を作成した。生薬として、オウゴン、リョクチャ、レモンバームを使用した。また、生薬は、水に不溶な物質を除去するために、0.22μmのフィルターでろ過したものを使用した。また、比較のため、生薬を加えない混合液試料(ミリQ水:MQ)も作成した。
Figure 0005357855
得られた混合液試料に対してESR測定を行い、そのESRスペクトルの線幅に基づいて、図2からカタラーゼ活性を測定し、その測定結果を図3に示す。図3に示すように、カタラーゼ活性阻害作用のないMQ(コントロール)に比べて、オウゴンとリョクチャで、有意水準5%で有意に高いカタラーゼ阻害作用が確認された(図3中の*印)。このことから、カタラーゼ活性阻害剤として、オウゴンおよびリョクチャが好ましいといえる。
カタラーゼ活性阻害剤による殺菌効果の増強効果を調べる試験を行った。試験には、殺菌の対象として、カタラーゼ陽性の細菌であるStreptcoccus aureusを用いた。この細菌を使用して、生理食塩水で10cells/mLの濃度の細菌懸濁液を作成し、試験に用いた。発光手段として、半導体レーザー(商品名「RV−1000」;リコー光学株式会社製)を用い、照射光の波長400±20nm、照射出力を300mW、照射時間を2分間とした。100μLの細菌懸濁液と、150μLの過酸化水素とを、それぞれ表3に示す最終濃度になるように、96ウェル・マイクロプレート中で混合した。カタラーゼ活性阻害剤としてオウゴンを用い、超純水に希釈後、0.22μmのフィルターでろ過滅菌を行い、最終濃度がそれぞれ0、1、3mg/mLとなるように、細菌懸濁液と過酸化水素との混合液に添加して試験試料を作成した。
Figure 0005357855
試験試料の作成後、直ちにレーザー照射を行い、照射後の試料50μLと、5000U/mLのカタラーゼ50μLとを混合して、過酸化水素の反応を停止させた。その後、10倍希釈系列を作成し、BHI寒天培地に播種して、37℃の好気的条件下で24時間培養した後、殺菌効果の評価を行った。また、殺菌の対象として、カタラーゼ陽性真菌であるCandida albicansを用いた場合、および、カタラーゼ活性阻害剤としてリョクチャを用いた場合についても、同様の試験を行った。また、比較試験として、過酸化水素、カタラーゼ活性阻害剤、およびレーザー照射の有無による殺菌効果の評価も行った。これらの試験結果を、図4乃至図6に示す。
図4に示すように、濃度1mg/mLでオウゴンを加えた場合〔図4中のH(+)L(+)O(+)〕、オウゴンを添加していない場合〔図4中のH(+)L(+)O(−)〕に比べて、Streptcoccus aureusに対して約10倍の殺菌効果が得られることが確認された。また、過酸化水素なしでオウゴンのみの場合〔図4中のH(−)L(−)O(+)〕や、オウゴンのみに光照射を行った場合〔図4中のH(−)L(+)O(+)〕、過酸化水素のみの場合〔図4中のH(+)L(−)O(−)〕、光照射がない場合〔図4中のH(+)L(−)O(+)〕では、Streptcoccus aureusに対する殺菌効果は得られないことが確認された。
次に、図5に示すように、カタラーゼ活性阻害剤のオウゴンの濃度を変えた場合、オウゴンの濃度が高くなるに従って、Streptcoccus aureusに対する殺菌効果も大きくなることが確認された。例えば、オウゴンの濃度が3mg/mLの場合、カタラーゼ活性阻害剤を使用しない過酸化水素のみのヒドロキシルラジカル殺菌(オウゴンの濃度0mg/mL)に比べて、Streptcoccus
aureusに対して約1000倍の殺菌作用が得られた。
また、図6(a)および(b)に示すように、Streptcoccus aureusに対してだけでなく、Candida albicansに対しても、オウゴンの濃度が高くなるに従って、殺菌効果が大きくなることが確認された。図6(c)および(d)に示すように、カタラーゼ活性阻害剤としてリョクチャを用いた場合も、Streptcoccus aureusおよびCandida albicansに対して、リョクチャの濃度が高くなるに従って、概ね殺菌効果が大きくなることが確認された。また、図6(a)乃至(d)に示すように、カタラーゼ活性阻害剤を、過酸化水素およびレーザー照射と併用することにより、殺菌効果が飛躍的に高まることも確認された。
図4乃至図6の結果から、カタラーゼ活性阻害剤を、過酸化水素の光分解によるヒドロキシルラジカル殺菌と組み合わせることにより、より効率的に殺菌を行うことができるといえる。また、細菌の有するカタラーゼ活性と病原性との間には相関があり、酸化ストレスに対する防御機構が高い細菌ほど感染症を引き起こす可能性が高いといわれていることから、カタラーゼ活性阻害剤を併用した本発明は、病原性の高い細菌の殺菌にも有効であるといえる。

Claims (5)

  1. 殺菌対象に接触させた後、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することにより殺菌を行うための、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含み、前記カタラーゼ活性阻害剤はオウゴンまたはリョクチャを含むことを、特徴とする殺菌剤。
  2. 殺菌対象に接触させた後、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することにより殺菌を行うための、過酸化水素とカタラーゼ活性阻害剤とを含み、前記カタラーゼ活性阻害剤はオウゴンまたはリョクチャを含むことを、特徴とする口腔用殺菌剤。
  3. 過酸化水素とオウゴンまたはリョクチャを含むカタラーゼ活性阻害剤とを殺菌対象に接触させ、350nm乃至500nmの波長を有する光を前記殺菌対象に照射することを、特徴とする殺菌方法。
  4. 過酸化水素とオウゴンまたはリョクチャを含むカタラーゼ活性阻害剤と、
    前記過酸化水素と前記カタラーゼ活性阻害剤とを接触させた殺菌対象に、350nm乃至500nmの波長を有する光を照射可能に設けられた発光手段とを、
    有することを特徴とする殺菌装置。
  5. 請求項記載の殺菌剤を接触させた殺菌対象から採取した試料と、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキサイド(TEMPOL)との混合液に対して電子スピン共鳴(ESR)測定を行い、得られた電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの線幅に基づいて、前記試料に含まれる細胞または微生物のカタラーゼ活性を測定し、前記殺菌剤の殺菌効果の評価を行うことを、特徴とする殺菌剤の評価方法。
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