〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は内壁パネル周辺の構成を示す縦断面図である。図2は、(a)が内壁パネルを示す側面図、(b)が内壁パネルを示す背面図である。
図1に示すように、建物10には、床梁14の上面に床根太15が設けられ、床根太15上には床面26を形成する床面材16が設けられている。床面材16は、例えばパーティクルボードにより構成されている。天井梁17の下面には野縁18が固定されており、野縁18の下面には天井面29を形成する天井面材19が固定されている。天井面材19は、例えば2枚重ねの石膏ボードにより構成されている。
建物10の外周部には、外壁パネル21が設けられている。外壁パネル21は、屋外面を形成する外壁材22と、外壁材22の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム23とを備えている。外壁材22は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
外壁フレーム23は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなる縦フレーム材23a及び横フレーム材23bが矩形枠状に連結されることにより構成されている。外壁フレーム23の各横フレーム材23bのうち上下の横フレーム材23bは、それぞれ床梁14及び天井梁17に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネル21が建物10に対して固定されている。また、外壁フレーム23の屋内側面には、複数の木レンガ25がタッピングネジ等により固定されている。
木レンガ25の屋内側面には、内壁パネル30が固定されている。図2に示すように、内壁パネル30は、屋内面を形成する内壁材31と、内壁材31の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム32と、を備えている。内壁材31は、例えば石膏ボードにより形成されている。内壁フレーム32は、木製の角材からなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されており、内壁材31と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。具体的には、内壁フレーム32は、内壁材31の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材32aと、内壁材31の上下方向両端部において水平方向に延びる横フレーム材32bと、内壁材31の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材32cとを有している。
図1の説明に戻り、内壁パネル30は、内壁フレーム32が木レンガ25の屋内側面にタッピングネジ等により取り付けられることで固定されている。この設置状態において内壁パネル30は、床面材16と天井面材19との間に配置されている。ここで、内壁パネル30の高さ寸法h1は床面26から天井面29までの高さ寸法H(以下、天井高さHという)よりも小さく設定されており(h1<H)、それ故床面材16と天井面材19との間に内壁パネル30を設置する際、その設置作業がし易くなっている。
内壁パネル30の下端部と床面材16との境界部には、同境界部を覆うための巾木34が設けられている。巾木34は、境界部に沿って長尺状に形成されており、例えば硬質系樹脂からなる。一方、内壁パネル30の上端部と天井面材19との境界部には、同境界部を覆うための廻り縁35が設けられている。廻り縁35は、境界部に沿って長尺状に形成されており、例えば硬質系樹脂からなる。
ところで、本実施形態では、内壁パネル30の高さ寸法h1が天井高さHよりも小さくなっているため、内壁パネル30の上端部と天井面材19との間又は内壁パネル30の下端部と床面材16との間には所定の隙間が発生する。そのため、上記隙間が巾木34及び廻り縁35によって覆われているものの上記隙間を介して建物10の内外で空気の出入りが生じ、その結果断熱性能が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、かかる隙間に当該隙間を埋めるための断熱材を設け、これにより屋内外で空気が出入りするのを抑制し断熱性を高めることとしている。以下、その詳細について、図1及び図2に加え図3を参照しつつ説明する。なお、図3は、(a)が内壁パネル30の下端部周辺を拡大して示す縦断面図、(b)が内壁パネル30の上端部周辺を拡大して示す縦断面図である。
図1に示すように、内壁パネル30の下端部と床面材16との間(以下、これらの間の隙間を隙間36という)及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間(以下、これらの間の隙間を隙間37という)には、断熱材38が設けられている。断熱材38は、図2に示すように、軟質ウレタンフォーム等の弾性を有する素材からなり、長尺状にかつ自然状態において断面矩形形状に形成されている。断熱材38は、内壁パネル30の上端部及び下端部にそれぞれ各々の端部に沿って取り付けられており、詳細には内壁パネル30の幅方向全域に取り付けられている。
図2(a)に示すように、断熱材38は、その幅が内壁パネル30の厚み(詳しくは内壁材31の厚みと内壁フレーム32の厚みとの和)と略同じに設定されている。断熱材38は、内壁パネル30の上端部及び下端部において内壁材31の端面と内壁フレーム32(詳細には上側及び下側の横フレーム材32b)の端面とに跨って設けられ、それら各端面に接着剤等により固定されている。なお、本実施形態では、内壁パネル30を建物10に設置する前に、断熱材38が内壁パネル30に取り付けられる。
内壁パネル30に断熱材38が取り付けられた状態では、下側の断熱材38の下端部から上側の断熱材38の上端部までの高さ寸法h2が天井高さHよりも大きくなっている。したがって、図3に示すように、内壁パネル30が外壁パネル21に組み付けられた状態では、下側の断熱材38が内壁パネル30の下端部と床面材16との間で圧縮状態で介在されており、上側の断熱材38が内壁パネル30の上端部と天井面材19との間で圧縮状態で介在されている。これにより、隙間36,37が断熱材38により閉塞されるため、内壁パネル30の下端部と床面材16との間及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間を通じた空気の出入りが遮断される。
ここで、本実施形態では、巾木34と廻り縁35とにそれぞれ楔部が設けられており、楔部が断熱材38と床面材16との間及び断熱材38と天井面材19との間に挿し込まれている。この場合、圧縮状態にある断熱材38がさらに圧縮されるため、断熱材38の反発力を高めることができ、その結果断熱材38と楔部との密着性及び断熱材38と内壁パネル30との密着性を高めることができる。以下、その詳細について説明する。
図3(a)に示すように、巾木34は、内壁パネル30(詳しくは内壁材31)の屋内面に当接された見切り部34aと、見切り部34aの下端部から隙間36側に向かって延びる楔部34bとを有し、全体としてその縦断面が略L字状をなしている。巾木34の見切り部34aは、内壁材31の屋内面に接着剤等により固定されている。
楔部34bは、全体として薄板状に形成されており、その先端側(見切り部34aから離間する側)に向かうにつれて肉厚が小さくなっている。楔部34bは、断熱材38と床面材16との間に屋内側から挿し込まれている。具体的には、楔部34bは、その幅(短手方向の長さ)が内壁パネル30の厚みよりも小さくなっており、内壁パネル30の厚み方向において断熱材38と床面材16との間の一部に挿入されている。これにより、断熱材38の一部が楔部34bによって当該楔部34bの厚み分さらに圧縮されている。なお、楔部34bの幅は必ずしも内壁パネル30の厚みよりも小さくする必要はなく、任意でよい。要は、断熱材38の幅方向における少なくとも一部が楔部34bにより圧縮できる幅であればよい。
巾木34は、内壁パネル30の設置後に、屋内側から楔部34bを断熱材38と床面材16との間に挿し込んで取り付けられるものとなっている。ここで、楔部34bは、上述したように先端側(見切り部34aから離間する側)に向かうにつれて肉厚が小さくなっているため、断熱材38と床面材16との間に挿し込み易くなっている。
図3(b)に示すように、廻り縁35は、内壁パネル30(詳しくは内壁材31)の屋内面に当接された見切り部35aと、見切り部35aの上端部から隙間37側に向かって延びる楔部35bとを有し、全体としてその縦断面が略L字状をなしている。廻り縁35の見切り部35aは、内壁材31の屋内面に接着剤等により固定されている。
楔部35bは、全体として薄板状に形成されており、その先端側(見切り部35aから離間する側)に向かうにつれて肉厚が小さくなっている。楔部35bは、断熱材38と天井面材19との間に屋内側から挿し込まれている。具体的には、楔部35bは、その幅(短手方向の長さ)が内壁パネル30の厚みよりも小さくなっており、内壁パネル30の厚み方向において断熱材38と天井面材19との間の一部に挿入されている。これにより、断熱材38の一部が楔部35bによって当該楔部35bの厚み分さらに圧縮されている。なお、楔部35bの幅は必ずしも内壁パネル30の厚みよりも小さくする必要はなく、任意でよい。要は、断熱材38の幅方向における少なくとも一部が楔部35bにより圧縮できる幅であればよい。
廻り縁35は、内壁パネル30の設置後に、屋内側から楔部35bを断熱材38と天井面材19との間に挿し込んで取り付けられるものとなっている。ここで、楔部35bは、上述したように先端側(見切り部35aから離間する側)に向かうにつれて肉厚が小さくなっているため、そのため断熱材38と天井面材19との間に挿し込み易くなっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
内壁パネル30の下端部と床面材16との間及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間に断熱材38を圧縮状態で介在させたため、断熱材38の反発力により断熱材38と内壁パネル30とが密着し、かつ断熱材38と天井面材19(及び床面材16)とが密着している。この場合、内壁パネル30の上端部と天井面材19との間及び内壁パネル30の下端部と床面材16との間を通じて空気の出入りが生じるのを抑制することができるため、断熱性を高めることができる。
断熱材38を内壁パネル30の上端部及び下端部に取り付ける構成としたため、断熱材38が取り付けられた内壁パネル30を床面材16と天井面材19との間に設置するだけで、内壁パネル30の上端部と天井面材19との間及び内壁パネル30の下端部と床面材16との間に断熱材38を配設することができる。また、断熱材38は、弾性を有しているため内壁パネル30の設置に際し邪魔となるのを回避することができる。したがって、この場合、内壁パネル30の設置工数の増大を抑えつつ上記の効果を得ることができる。
また、内壁パネル30の設置に際し、内壁パネル30の上端部が天井面材19に接触したり内壁パネル30の下端部が床面材16に接触したりして床面材16又は天井面材19が傷付くのを、内壁パネル30の上下両端部に取り付けられた断熱材38により防止することもできる。
断熱材38と床面材16との間には、巾木34の楔部34bが挿し込まれ、断熱材38と天井面材19との間には、廻り縁35の楔部35bが挿し込まれている。この場合、圧縮状態にある断熱材38をさらに圧縮することができるため、断熱材38と楔部34b,35bとの密着性及び断熱材38と内壁パネル30との密着性を高めることができる。これにより、気密性の向上を図ることができ、より一層断熱性を高めることができる。
巾木34及び廻り縁35といった見切り材により楔部34b,35bを構成したため、楔部34b,35bを専用部材により構成する必要はなく、それ故気密性の向上効果を簡素な構成で得ることができる。
また、巾木34の楔部34bを内壁パネル30と床面材16との間に挿し込む際には見切り部34aを押圧することにより、また廻り縁35の楔部35bを内壁パネル30と天井面材19との間に挿し込む際には見切り部35aを押圧することにより挿し込むことができるため、挿し込み作業が容易となる利点もある。
また、巾木34及び廻り縁35を、楔部34b,35bと隙間を覆う見切り部34a,35aとにより断面略L字状に形成したため、巾木34及び廻り縁35の多機能化を図りつつも構成を簡素化することができる。
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、上記隙間36,37を断熱材38により閉塞するための構成が第1の実施形態とは異なる。そこで、以下に、本実施形態における構成を第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図4は、(a)が内壁パネル30の下端部周辺を拡大して示す縦断面図、(b)が内壁パネル30の上端部周辺を拡大して示す縦断面図である。なお、図4では、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(a)に示すように、本実施形態における床面材16の床面26には、内壁パネル30の設置部において同パネル30の設置方向に沿って延びる床溝部41が形成されている。床溝部41は、矩形形状の断面を有しており、その溝幅が内壁パネル30の厚みよりも小さくなっている。
内壁パネル30は、床溝部41の上方に設けられており、具体的にはその厚み方向において床溝部41を跨ぐようにして設けられている。より詳しくは、内壁パネル30は、その厚み方向における両端部の略中央に床溝部41が位置するように設けられている。
内壁パネル30の下端部と床面材16との間において、断熱材38は、床溝部41を挟んで両側の部分(以下、両側部46という)が内壁パネル30の下端部と床面材16の床面26との間に圧縮状態で介在されている。そして、断熱材38における両側部46に挟まれた部分においては、その一部が自らの弾性力により床溝部41内に突出した状態で入り込んでいる。詳しくは、断熱材38におけるその突出部47は、床溝部41において、床溝部41の両側面(溝幅方向において対向し合う一対の側面)及び底面に当接されている。
なお、本実施形態では、第1の実施形態における巾木34に代えて、平板状の巾木44が内壁パネル30の内壁面に取り付けられている。
図4(b)に示すように、天井面材19の天井面29には、内壁パネル30の設置部において同パネル30の設置方向に沿って延びる天井溝部43が形成されている。本実施形態では、天井面材19を構成する二枚重ねの石膏ボードのうち下側の石膏ボードに上下に貫通するスリットが設けられ、これにより天井溝部43が形成されている。天井溝部43は、矩形形状の断面を有しており、その溝幅が内壁パネル30の厚みよりも小さくなっている。
内壁パネル30は、天井溝部43の下方に設けられており、具体的にはその厚み方向において天井溝部43を跨ぐようにして設けられている。より詳しくは、内壁パネル30は、その厚み方向における両端部の略中央に天井溝部43が位置するように設けられている。
内壁パネル30の上端部と天井面材19との間において、断熱材38は、天井溝部43を挟んで両側の部分(以下、両側部48という)が内壁パネル30の上端部と天井面材19の天井面29との間に圧縮状態で介在されている。そして、断熱材38における両側部48に挟まれた部分においては、その一部が自らの弾性力により天井溝部43内に突出した状態で挿入されている。詳しくは、断熱材38におけるその突出部49は、天井溝部43において、天井溝部43の両側面(溝幅方向において対向し合う一対の側面)及び底面に当接されている。
なお、本実施形態では、第1の実施形態における廻り縁35に代えて、平板状の廻り縁45が内壁パネル30の内壁面に取り付けられている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
床面材16の床面26及び天井面材19の天井面29に、内壁パネル30の設置部において同パネル30の設置方向に沿って延びる溝部41,43を形成し、断熱材38をその一部が溝部41,43に入り込むようにして設けた。この場合、断熱材38における溝部41,43に入り込んだ部分において床面26及び天井面29を伝う空気の流れを断つことができるため、気密性を高めることができる。そのため、より一層断熱性を高めることができる。
具体的には、溝部41,43の溝幅を内壁パネル30の厚みよりも小さく形成した。そして、断熱材38において、溝部41,43を挟んだ両側部分に溝部41,43に入り込んでいない部分(両側部46,48)を設けた。この場合、断熱材38における溝部41,43に入り込んだ部分(突出部47,49)において床面26及び天井面29を伝う空気の流れを断つことができるだけでなく、溝部41,43に空気が到達する前に内壁パネル30と床面材16との間及び内壁パネル30と天井面材19との間で圧縮されている両側部46,48において空気の侵入を抑制することができる。これにより、より一層断熱性を高めることができる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態では、内壁パネル30の下端部と床面材16との間及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間に断熱材38を設けたが、断熱材38を内壁パネル30の下端部と床面材16との間及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間のうちいずれか一方にのみ設けてもよい。例えば、内壁パネル30を床面材16上に載置した状態で組み付ける場合には、内壁パネル30の下端部と床面材16との間に隙間36が生じないことがあるが、その場合には内壁パネル30の上端部と天井面材19との間にのみ断熱材38を設ければよい。
(2)上記各実施形態では、内壁パネル30に対して断熱材38を取り付ける構成としたが、これを変更して、床面材16及び天井面材19に断熱材38を接着材等で取り付ける構成としてもよい。この場合においても、内壁パネル30の設置とともに断熱材38を内壁パネル30の下端部と床面材16との間及び内壁パネル30の上端部と天井面材19との間に配設することができる。また、内壁パネル30を設置した後、断熱材38を圧縮して隙間36,37に挿し込むことにより断熱材38を設けるようにしてもよい。
(3)上記各実施形態では、断熱材38の幅を内壁パネル30の厚み寸法と略同じとし、断熱材38を内壁パネル30の上下両端部において内壁材31と内壁フレーム32とに跨ぐようにして取り付けたが、これを変更してもよい。例えば、断熱材38の幅を内壁パネル30の厚みよりも小さくして、断熱材38を内壁パネル30において内壁材31及び内壁フレーム32のいずれかにのみ取り付けてもよい。例えば、内壁フレーム32にのみ取り付けるようにすれば、内壁パネル30を設置した際に断熱材38が隙間36,37から側方に突出するのを抑制できるため、巾木34又は廻り縁35を取り付ける際に断熱材38が邪魔となるのを抑制できる。
(4)上記第1の実施形態では、巾木34及び廻り縁35といった見切り材により楔部34b,35bを構成したが、楔部34b,35bは必ずしも見切り材により構成する必要はなく、その他の部材(例えば専用部材)により構成してもよい。また、楔部を設けない構成としてもよい。
(5)上記第2の実施形態では、床溝部41及び天井溝部43の断面形状を矩形形状としたが、それら各溝部41,43の断面形状はその他の形状であってもよい。例えば、図5(a)に示すように、床溝部を、三角形状の断面を有する床溝部65としてもよいし、図5(b)に示すように半円状の断面を有する床溝部66としてもよい。
また、床面26及び天井面29に溝部41,43を設けるのに代えて、凸部を設けてもよい。例えば、図5(c)に示すように、床面26に矩形形状の断面を有する凸部67を、内壁パネル30の下端部に沿って延びるように設けることが考えられる。この場合、断熱材38が凸部67によって一部凹ませられた状態で隙間36に介在される。そして、凸部67によって床面26を伝う空気の流れを断つことができるため、上記第2の実施形態と同様、気密性を高めることができる。
また、図5(d)に示すように、床面26に凹凸部68を設けてもよい。この場合、断熱材38が凹凸部68によりその凹凸に沿って変形されるため、その変形により生じた凹凸によって床面26を伝う空気の流れを断つことができる。そのため、気密性を高めることができる。
なお、上記第2の実施形態では、溝部として床溝部41と天井溝部43とを設けたが、これを変更して、それらの溝部41,43のうちいずれか一方だけ設けるようにしてもよい。また、いずれの溝部41,43をも設けない構成としてもよい。
(6)上記第2の実施形態では、床溝部41の溝幅を内壁パネル30の厚みよりも小さくし、断熱材38の幅方向における一部だけを床溝部41に入り込ませたが、これを変更してもよい。例えば、図5(e)に示すように、床溝部69の溝幅を内壁パネル30の厚みと略同じとし、断熱材38の幅方向全域を床溝部69に配設するようにしてもよい。この場合、気密性を高めることができるとともに、内壁パネル30の設置に際し、断熱材38を床溝部69に係合させて内壁パネル30を位置決めすることができる。そのため、内壁パネル30の設置作業を容易とすることもできる。
(7)上記各実施形態では、建物10において外壁パネル21の内側に設けられる内壁パネル30に対して本発明を適用したが、外壁パネル21の内側以外に設けられる内壁パネルに対し本発明を適用してもよい。例えば、建物10において屋内空間を複数に仕切るための間仕切用の内壁パネルに対して適用してもよい。その一例を図6に示す。図6に示す間仕切用の内壁パネル50は、床面材53と天井面材54との間に設けられ、隣接する居室61,62同士を仕切っている。内壁パネル50は、対向する2枚の内壁材51と、それら内壁材51の間に設けられた内壁フレーム52とを備えている。内壁パネル50の下端部と床面材53との間及び内壁パネル50の上端部と天井面材54との間には、断熱材38が圧縮状態で設けられている。
内壁パネル50の下端部と床面材53との境界部には、L字状の板材からなる巾木57が設けられている。巾木57は、内壁パネル50の内壁面に当接された垂直板部57aと、床面材53の床面に当接された水平板部57bとを備えている。巾木57の垂直板部57aは、内壁材51を介して内壁フレーム52にタッピングネジ等で固定され、水平板部57bは床面材53を下方から支持する床梁60等に当該床面材53を介してボルト等で固定されている。
内壁パネル50の上端部と天井面材54との境界部には、L字状の板材からなる廻り縁58が設けられている。廻り縁58は、例えば巾木57と同一部材からなり、内壁パネル50の内壁面に当接された垂直板部58aと、天井面材54の天井面に当接された水平板部58bとを備えている。廻り縁58の垂直板部58aは、内壁材51を介して内壁フレーム52にタッピングネジ等で固定され、水平板部58bは天井面材54を支持する野縁59等に当該天井面材54を介してボルト等で固定されている。よって、本例では、巾木57及び廻り縁58が見切り材として役目を有しているだけでなく、内壁パネル50を建物に固定する役目を有している。
上記構成によれば、内壁パネル50を挟んだ両側の居室61,62間で、内壁パネル50の下端部と床面材53との間及び内壁パネル50の上端部と天井面材54との間を通じて空気が流通するのを遮断できるため、居室61,62における断熱性の向上を図ることができる。
(8)本発明を可動式の内壁パネルに対して適用してもよい。その一例を図7に示す。図に示す建物70は、リビング71や和室72等の居室と、リビング71及び和室72と隣接する廊下73とを備えている。リビング71と廊下73とを仕切る仕切壁74の一部は可動式のパネル75により構成されており、その可動式パネル75は幅方向の端部において回動可能に軸支されている。これにより、可動式パネル75は、仕切壁74の一部を構成する第一位置(図の実線参照)と、廊下73側に回動されてその回動先端部が和室72と廊下73とを仕切る仕切壁76に当接される第二位置(図の一点鎖線参照)との間で回動可能とされている。可動式パネル75が第二位置にある場合には、リビング71と廊下73とを連続させることができるため、リビング空間を拡張させることができる。つまり、本建物70では、リビング空間の広さが変更可能となっている。
図8に示すように、可動式パネル75の上端部と廊下73の天井面78との間及び可動式パネル75の下端部と廊下73の床面79との間には、可動式パネル75の円滑な移動を考慮して、所定の隙間81,82が設けられている。しかしながら、可動式パネル75の設置時には、この隙間81,82を介して廊下73側からリビング71に冷気が入る等することが考えられる。そこで、本例では、可動式パネル75の上端部及び下端部に、上記隙間81,82を塞ぐための断熱材38を取り付けている。そのため、可動式パネル75の設置時においてリビング空間の気密性を高めることができるため、所望の断熱性を確保しつつリビング空間の広さを変更することができる。また、可動式パネル75の移動に際して、断熱材38が天井面78及び床面79と接触することとなるが、断熱材38は弾性を有しているため可動式パネル75の移動を大きく妨げることはない。
なお、上記の構成において、可動式パネル75の下端部に車輪等の回転体を取り付けるとともに床面79にレール溝を形成し、そのレール溝に沿って回転体を移動させることで可動式パネル75を回動させてもよい。そうすれば、可動式パネル75をより円滑に移動させることが期待できる。また、この場合、レール溝には同レール溝を覆うための蓋部を着脱自在に取り付けるのが好ましい。具体的には、蓋部を、その露出面が床面79と略面一となるように設けるのが望ましい。そうすれば、可動式パネル75の設置時には、レール溝に蓋部を取り付けることで床面79の見栄えが損なわれるのを抑制できるとともに、廊下73における円滑な歩行が妨げられるのを回避できる。
(9)上記各実施形態では、内壁パネル30の上端部と天井面材19との間の隙間37に断熱材38を設けたが、これを変更して以下では、かかる隙間にガラス管等の易破損部材を設けた場合について説明する。
図9に示すように、建物90は、一階部分91と二階部分92とを有する二階建ての建物である。一階部分91及び二階部分92には、それぞれ間仕切パネル99が設けられている。一階部分91の間仕切パネル99は、一階床部93に対してのみ固定されており、当該間仕切パネル99の上端部と一階天井部を構成する階間部94との間には所定の隙間96が設けられている。また、二階部分92の間仕切パネル99は、二階床部を構成する階間部94に対してのみ固定されており、当該間仕切パネル99の上端部と二階天井部95との間にも、一階部分91と同様に所定の隙間96が設けられている。したがって、本例では、間仕切パネル99が耐力壁を構成していない。そして、上記の隙間96には易破損部材としてのガラス管100が設けられている。
次に、そのガラス管100の設置構成について図10に基づいて説明する。図10は、二階部分92における間仕切パネル99の上端部周辺を拡大して示している。二階天井部95における構成について説明すると、天井梁101の下面には野縁102が取り付けられ、野縁102の下面には天井面材103が取り付けられている。上記隙間96は、間仕切パネル99の上端部と天井面材103との間に設けられており、この隙間96は例えば19mmに設定されている。
ガラス管100は、間仕切パネル99の厚みよりも大きい長さを有して形成されており、その一部が間仕切パネル99から側方に突出するようにして間仕切パネル99上に横向きの状態で設置されている。ガラス管100は、例えばその外径(高さ寸法)が9mmに設定されており、それ故ガラス管100の上端部と天井面材103との間には10mmの隙間が設けられている。なお、一階部分91についても同様の構成でガラス管100が隙間96に設けられている。
ここで、図10(b)に示すように、建物90の経年変化によって二階天井部95(一階部分91においては階間部94)が下方にたわみ、上記隙間96が9mm以下となると、ガラス管100が天井面材103と間仕切パネル99との間に挟まれて破損する。この場合、上述したようにガラス管100の一部が間仕切パネル99から側方に突出していることから、ガラス管100の破片の少なくとも一部が床上に落下する。そのため、建物90において床部や天井部にたわみが生じたことを、ひいては建物90が経年変化により変形したことを容易に確認することができ、老朽化した箇所をメンテナンスする等適切な対応をとることが可能となる。これにより、さらなる経年変化により建物90に著しい損傷が発生するのを未然に回避することができる。
なお、ガラス管100は必ずしも間仕切パネル99の上端部に設ける必要はなく、その他の部位に設けてもよい。例えば、間仕切パネル99を、その側端部が建物90の外壁部107と近接するように配置し、間仕切パネル99の側端部と外壁部107との間にガラス管100を設けてもよい。そうすれば、外壁部107が所定以上傾くとガラス管100が破損するため、上記同様建物90が経年変化したことを知ることができる。
また、易破損部材には必ずしもガラス管100を用いる必要はなく、セラミック製の管等その他の部材を用いてもよい。要は、圧縮力が作用することで容易に割れる部材であれば何でもよい。
(11)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。