このようなアルミニウムなどの金属材料を使用した遊技機の外枠は、各辺の枠体を角筒型にすることにより、或いは枠体の横断面をコ字状などとすることにより、必要な強度を保持しながら軽量化を図ってはいるものの、遊技機の外枠は通常、10cm程度の奥行きを有すると共に、幅が約45cm、高さが約75cm程度あるため、枠全体としての容積は大きく、特に空間容積が大きい。
このため、外枠を製造する製造工場で製造した外枠を保管する際、或いは製造した外枠を遊技機メーカーなどに輸送する際、外枠を重ねて収納するとしても、台数が多くなると、多くの保管スペースや運送の際の積荷スペースを必要とする課題があった。
そこで、従来、パチンコ遊技機の外枠において、4隅の各コーナ部と、各コーナ部を摺動可能に接続する横枠部材及び縦枠部材とを備え、各辺部を伸縮可能とした外枠装置が、上記特許文献3において提案されている。
この外枠装置は、各コーナ部に対し各辺部を形成する横枠部材または縦枠部材を、長手方向に摺動可能に差し込み、外枠の横または縦の各辺部を伸縮可能に構成され、外枠の運送時や保管時には、外枠の横または縦の各辺部を短くするように収縮させ、パチンコ遊技機の外枠として使用する際には、横または縦の各辺部を所定の長さに伸長させる構造である。
しかし、この外枠装置は、中空状に形成された4隅の各コーナ部内に、横枠部材または縦枠部材を摺動可能に差し込むことにより、各辺部を伸縮可能な構造としているため、運送時や保管時に、横または縦の各辺部を短く収縮したとしても、その構造上、横または縦の長さの短縮率は約2/3程度と少なく、やはり外枠装置全体としての容積は大きく、空間容積も大きいという不具合があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、折畳み可能な構造として、保管時或いは運送時に、保管スペースまたは積荷スペースを大幅に削減することができる遊技機の枠装置を提供することを目的とする。
本発明に係る遊技機の枠装置は、上辺を構成する上辺枠と、下辺を構成する下辺枠と、一方の縦辺を構成する第1縦辺枠と、他方の縦辺を構成する第2縦辺枠とを備え、金属製の各辺枠を折り畳み可能に連結した、遊技機の枠装置であって、該上辺枠と該第1縦辺枠を連結する第1上角部は直角から鋭角側に開閉する鋭角丁番によって回動可能に連結され、該上辺枠と該第2縦辺枠を連結する第2上角部は直角から鈍角側に開閉する鈍角丁番によって回動可能に連結され、該下辺枠と該第1縦辺枠を連結する第1下角部は直角から鈍角側に開閉する鈍角丁番によって回動可能に連結され、該下辺枠と該第2縦辺枠を連結する第2下角部は直角から鋭角側に開閉する鋭角丁番によって回動可能に連結され、該第1上角部及び第2下角部の各鋭角丁番には、丁番の各回動部材の開閉角度を直角状態にロックするロック部材が設けられ、且つ該鋭角丁番の回動部材には該1対の回動部材を鋭角から直角まで回動させたとき、他の部材に当たって停止するストッパ部が該一方の回動部材に設けられ、第2上角部及び第1下角部の各鈍角丁番は該上辺枠または該第2縦辺枠或いは下辺枠または第1縦辺枠に対しその長手方向に摺動可能に取り付けられる一方、該鈍角丁番を該上辺枠または該第2縦辺枠内或いは該下辺枠または該第1縦辺枠内に引き込むように締め付ける緊締クランプが該鈍角丁番に設けられ、該各鈍角丁番の緊締クランプの締め付けを解除して該鈍角丁番を辺枠から引き出し、且つ各鋭角丁番の各ロック部材のロックを解除したとき、該各角部の鋭角丁番及び鈍角丁番の各回動部材が回動可能となり、各該鋭角丁番が直角から鋭角側に回動し、各該鈍角丁番が直角から鈍角側に回動して、該上辺枠の側面を該第1縦辺枠または第2縦辺枠の側面に当接させ、且つ該下辺枠の側面を該第1縦辺枠または第2縦辺枠の側面に当接させるように各該鋭角丁番と各該鈍角丁番の各回動部材を回動させて折り畳むことを特徴とする。
この発明の枠装置によれば、対角線上に位置する2個の鈍角丁番の緊締クランプのクランプを解除し鈍角丁番を枠装置の外側に引き出し、2個の鋭角丁番の各ロック部材を移動させてロックを解除すると、各角部の各鈍角丁番及び各鋭角丁番の各回動部材が回動可能となる。この状態で、鋭角丁番を鋭角側に閉じ鈍角丁番を鈍角側に開く方向に、軽い力を枠装置に加えると、各鋭角丁番が直角から鋭角側に回動し、各鈍角丁番が直角から鈍角側に回動する。これにより、上辺枠の側面が第1縦辺枠または第2縦辺枠の側面に当接するまで鋭角丁番又は鈍角丁番が回動し、同時に下辺枠の側面が第1縦辺枠または第2縦辺枠の側面に当接するまで鋭角丁番又は鈍角丁番が回動し、枠装置の方形枠は棒状の折畳み状態となる。
したがって、この発明によれば、方形枠を折り畳んで棒状又は帯板状とすることができるから、遊技機の外枠を製造する製造工場などで製造された枠装置を、それを保管する際、折り畳んで棒状又は帯板状とし、それらを容易に積み重ねて保管することができる。また、枠装置を積み重ねる際には、特別に指定された形態をとる必要がなく、平面となる部分を単純に上下に重ねて積み重ねて保管することができる。また、枠装置を折り畳む操作及び折り畳んだ枠装置を方形枠状に開く操作は、緊締クランプとロック部材の簡単な操作により、熟練した技術がなくても、容易に行うことができる。
さらに、折り畳んで棒状又は帯板状とした枠装置は、基本的に、折り畳んだ状態の各辺枠と辺枠または各角部と辺枠若しくは各角部と角部を重ね合わせた場合、各辺枠と各角部が相互に上からの荷重を受ける構造となるので、積み重ねた際の荷重により下側の枠装置が変形する虞はなく、簡単に且つ安全に多くの枠装置を縦に積み重ねて保管することができる。
しかも、方形枠状の枠装置をそのまま保管する場合に比べ、極めて少ない保管スペースで多くの枠装置を保管することができる。さらに、外枠製造工場などで製造された枠装置を、遊技機メーカーなどに輸送する際、方形枠状の枠装置をそのまま積載して運搬する場合に比べ、運送の際の積荷スペースを大幅に低減することができ、枠装置の運送効率を大きく向上させることができる。
また、枠装置を棒状または帯板状の状態から方形枠状に拡張したとき、緊締クランプにより鈍角丁番を、上辺枠または第2縦辺枠内に及び下辺枠または第1縦辺枠内に引き込むように締め付けるため、鈍角丁番が直角状態まで回動する際に必要な上辺枠と第2縦辺枠間及び下辺枠と第1縦辺枠間の隙間が、その緊締クランプの締め付け動作により解消される。
つまり、鈍角丁番が直角状態からその角度を拡張する側に開く際、上辺枠と第2縦辺枠の突合せ部、及び下辺枠と第1縦辺枠の突合せ部に隙間が必然的に必要となるが、この隙間は鈍角丁番を辺枠から引き出したときに形成されて折り畳み動作は支障なく行なわれ、枠装置を方形枠状に拡張したとき、緊締クランプにより鈍角丁番を辺枠内に引き込み締め付けるため、辺枠間の隙間はその緊締クランプの締め付け動作により解消される。
また、緊締クランプにより辺枠間を締付固定するため、枠装置を方形形状に拡張したときの形状を強固に保持し、各角部に生じやすいガタツキを防止することができる。また、枠装置の製造時、各部品に寸法誤差や形状のばらつきがあった場合でも、緊締クランプにより辺枠間を締付固定するため、それらの寸法誤差や形状のばらつきを吸収することができ、各部品の寸法精度などはラフにして製造コストの上昇を抑えることができる。
さらに、この発明の枠装置は、上辺を構成する上辺枠と、下辺を構成する下辺枠と、一方の縦辺を構成する第1縦辺枠と、他方の縦辺を構成する第2縦辺枠とを備え、上辺枠と第1縦辺枠を連結する第1上角部は直角から鋭角側に開閉する鋭角丁番によって回動可能に連結され、上辺枠と第2縦辺枠を連結する第2上角部は直角から鈍角側に開閉する鈍角丁番によって回動可能に連結され、下辺枠と第1縦辺枠を連結する第1下角部は直角から鈍角側に開閉する鈍角丁番によって回動可能に連結され、下辺枠と第2縦辺枠を連結する第2下角部は直角から鋭角側に開閉する鋭角丁番によって回動可能に連結されるから、上辺を構成する上辺枠と、下辺を構成する下辺枠と、一方の縦辺を構成する第1縦辺枠と、他方の縦辺を構成する第2縦辺枠は、アルミニウムなどの軽金属として枠の軽量化を図ると共に、各辺枠を連結する鋭角丁番、鈍角丁番、及び緊締クランプには、鋼板などの高強度の金属を使用して高い強度を保持させることができる。
ここで、上記ロック部材は上記鋭角丁番の回動部材に設けたガイド溝に移動可能に支持され、対応する他方の回動部材に、該ロック部材に係止される係止部が形成される構成とすることができる。
また、上記鋭角丁番の回動部材には、上記ロック部材を、上記他方の回動部材に設けた係止部に係止させるように付勢する、ばね部材を設けることができる。
また、上記鈍角丁番の1対の回動部材間を、鈍角から直角状態に回動させたとき、他方の回動部材に当たって停止するストッパ部が、一方の回動部材に設けられた構成とすることができる。
さらに、上記鈍角丁番を引き込むように締め付ける緊締クランプは、鈍角丁番の1対の回動部材の内側に締付レバーの元部を回動可能に枢支し、その締付レバーの中間部に引掛部材の元部を回動可能に枢支して構成され、該引掛部材の先端には引掛ピンが取り付けられ、上辺枠または第2縦辺枠の内側に係止部を設け、該引掛部材の引掛ピンを該係止部に引掛け、締付レバーを該係止部と反対方向に倒して、鈍角丁番の一方の回動部材を上辺枠または第2縦辺枠内或いは下辺枠または第1縦辺枠内に引き込み締め付けるように構成することができる。
この発明によれば、枠装置を方形枠状として緊締クランプを締め付け、上辺枠と第2縦辺枠及び下辺枠と第1縦辺枠を直角状態としたとき、緊締クランプの締付レバー及び引掛部材は鈍角丁番の一方の回動部材の内側に収納され、鈍角丁番は上辺枠、第2縦辺枠、下辺枠、第1縦辺枠の角部に収納されるので、緊締クランプが枠装置の枠としての使用時に邪魔になることはなく、また、枠装置を折り畳んだ際にも内側に収納されて折り畳み動作を阻害することはない。
上記のように、本発明の遊技機の枠装置によれば、方形形状の枠を棒状または帯板状に折り畳むことができ、枠装置の保管時或いは運送時に、保管スペースまたは積荷スペースを大幅に削減することができる
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は遊技機の枠装置の正面図を示し、図2はその左側面図、図3はその右側面図を示す。図4(a)はその平面図を示し、(b)はその底面図を示す。さらに、図5は枠装置の分解正面図を示している。この枠装置は、ここではパチンコ遊技機の外枠を一例にして説明するが、他の枠に適用することもできる。
枠装置は、図1に示すように、概略的には、上辺を構成する上辺枠1と、下辺を構成する下辺枠2と、一方(左)の縦辺を構成する第1縦辺枠3と、他方(右)の縦辺を構成する第2縦辺枠4とを備え、上辺枠1と第1縦辺枠3を連結する第1上角部5は鋭角丁番10によって回動(開閉)可能に連結され、上辺枠1と第2縦辺枠4を連結する第2上角部6は鈍角丁番20によって回動(開閉)可能に連結されている。
また、下辺枠2と第1縦辺枠3を連結する第1下角部7は鈍角丁番20によって回動(開閉)可能に連結され、下辺枠2と第2縦辺枠4を連結する第2下角部8は鋭角丁番10によって回動(開閉)可能に連結され、方形枠状の枠装置は、鋭角丁番10と鈍角丁番20を回動(開閉)動作させて、折り畳み可能に構成される。なお、本枠装置の正面下部における下ヒンジ金具部32の下側に、幕板9が水平に固定される。この幕板9は、枠装置を折り畳む際、取り外され、方形枠状に拡張したとき、正面下部に固定される。
上辺枠1、下辺枠2、第1縦辺枠3、及び第2縦辺枠4は、アルミニウムなどの軽金属により、断面を略コ字状、略L形、または方形状とした中空のチャンネル材または角筒状に成形され、充分な曲げ強度を有し且つ軽量に構成されている。また、上辺枠1と第1縦辺枠3の第1上角部5の端部、及び下辺枠2と第2縦辺枠4の第2下角部の端部には固定ねじを通すための固定孔が穿設され、各辺枠の内側に鋭角丁番10の第1回動部材11と第2回動部材12を差し込み、固定座板と上角保護金具33及び下角保護金具36とにより各辺枠を挟むようにして鋭角丁番10は第1上角部5及び第2下角部8に連結固定される。この2個の鋭角丁番10によって、第1上角部5と第2下角部8は直角から直角未満の角度まで回動可能となっている。
また、上辺枠1と第2縦辺枠4の第2上角部6及び下辺枠2と第1縦辺枠3の第1下角部には鈍角丁番20が取り付けられる。第2上角部6の鈍角丁番20の第1回動部材21は上辺枠1の右端部に対し摺動可能に取り付けられ、第2縦辺枠4の上端部に対し鈍角丁番20の第2回動部材22が固定される。鈍角丁番20は、第2上角部6と第1下角部7に取り付けられ、枠装置を折り畳む際には直角から約180度まで角度を拡大する側に開くように動作する。
このとき、上辺枠1と第2縦辺枠4の第2上角部6及び下辺枠2と第1縦辺枠3の第1下角部において、隙間がないと、拡開回動時に、上辺枠1と第2縦辺枠4の突合せ部及び下辺枠2と第1縦辺枠3の突合せ部が相互に当接し、鈍角丁番20を開くことができない。このため、第1下角部7の鈍角丁番20の第1回動部材21は下辺枠2の左端部に対し摺動可能に取り付けられ、第1縦辺枠3の下端部に対し鈍角丁番20の第2回動部材22が固定される。
これにより、第2上角部6と第1下角部7に取り付けられた鈍角丁番20は、枠装置を折り畳む際、その第1回動部材11を上辺枠1の右端部または下辺枠2の左端部から引き出して丁番を回動させる構造となっている。また、枠装置を方形に拡張する際、第2上角部6と第1下角部7を鈍角から略直角まで曲折したとき、その第1回動部材11を上辺枠1の右端部または下辺枠2の左端部内に押し込み、これによって第2上角部6と第1下角部7に生じている隙間をなくし、さらに鈍角丁番20の第1回動部材21内に設けた緊締クランプ25により、その押し込み状態を締付固定する構造となっている。
第1上角部5と第2下角部8を各々鋭角側に回動可能に連結する鋭角丁番10には、図10、図13に示すように、その鋭角丁番10の第1回動部材11と第2回動部材12の開閉角度を直角状態にロックするロックピン(ロック部材)14が設けられる。また、鋭角丁番10は、第1回動部材11と第2回動部材12を、枢軸13を介して直角から鋭角側につまり略0度の閉じ角まで回動可能に連結して構成される。第1回動部材11は、断面コ字状の平板状部分に取付部11cを設け、取付部11cから直角に曲折された両側壁の元部に軸孔を有した軸受部11aが形成され、軸受部11aには枢軸13が係合保持される。さらに、その軸受部11aの軸孔に連続してガイド溝11bが両側壁部に形成され、このガイド溝11bにロックピン14が移動可能に挿通される。
さらに、板ばね15が、ロックピン14をガイド溝11b内で係止側に付勢するように、第1回動部材11の内側にリベットで取り付けられている。ロックピン14には2箇所に抜け防止用の止め輪が嵌着され、ガイド溝11b内で且つ板ばね15内にロックピン14は保持されて移動可能となっている。
この板ばね15はばね板材を山形に曲折して形成され、その山形の外側にロックピン14が嵌入され、ロックピン14は板ばね15により第2回動部材12の係止部12bに係止される側に付勢される。また、図24、26に示すように、閉じた枠装置を開くとき、第2回動部材12の係止部12bはロックピン14を板ばね15の付勢力に抗して移動させる。そして、第1回動部材11と第2回動部材12が直角に開いたとき、係止部12bがロックピン14を乗り越えて係止され、ロックピン14は板ばね15により係止側に付勢され、直角状態を保持する。なお、板ばね15は、トーションばね、コイルばねなどとすることもできる。
さらに、図13に示すように、第1回動部材11の軸受部11aの先端に、ストッパ部11dが突設され、第1回動部材11と第2回動部材12が直角に開いたとき、ストッパ部11dが第2回動部材12の縁部に当たり停止する構造となっている。
鋭角丁番10の第2回動部材12の元部には軸支部12aが設けられ、軸支部12aには枢軸13が水平に支持される。この軸支部12aの内側に上記第1回動部材11の軸受部11aが挿入され、その軸受部11aの軸孔にこの枢軸13が挿通される。これにより、第1回動部材11と第2回動部材12は、枢軸13を軸に、直角から鋭角側に回動可能に連結され、最大開放角度90度(直角状態)から閉じ角度0度までの範囲で回動する構造となっている。また、この第2回動部材12の軸支部12aの先端上部には、上記ロックピン14に係止可能な係止部12bが設けられ、図13に示すように、第1回動部材11と第2回動部材12を直角状態まで回動させたとき、係止部12bがロックピン14を乗り越えた後、ロックピン14に係止されて停止する。
鈍角丁番20は、図11、図12に示すように、第1回動部材21と第2回動部材22を、枢軸23を軸に直角から鈍角側に、つまり略180度の開放角まで回動(開閉)可能に連結して構成される。第1回動部材21は、固定孔を設けた取付部の先端の両側壁部に、軸受部21aを設けて形成され、軸受部21aには枢軸23用の軸孔が穿設され、そこに枢軸23が支持される。第2回動部材22の元部に、軸孔を有した軸支部22aが形成され、その軸支部22aに上記枢軸23が挿通されて支持される。第2回動部材22の末端部(図11の上端部)にストッパ部22bが設けられ、第1回動部材21と第2回動部材22の作る角度が直角になったとき、ストッパ部22bが第1回動部材21の内側に当接して停止する。これにより、第1回動部材21と第2回動部材22は枢軸23を軸に直角から略180度の開放角まで回動(開閉)可能となっている。
一方、第1回動部材21の取付部にはガイド溝21cが長手方向に沿って形成され、そこにガイドピン21dが挿入される。鈍角丁番20が第2上角部6と第1下角部7に装着される際、ガイドピン21dの先端が上辺枠1または下辺枠2の内側に取着される。
これにより、鈍角丁番20の第1回動部材21は上辺枠1または下辺枠2の内側に、それらの辺枠の端部から引き出し可能に取り付けられる。一方、第1回動部材21の内側には緊締クランプ25が取り付けられ、上辺枠1または下辺枠2の内側に鈍角丁番20の第1回動部材21を押し戻したとき、この緊締クランプ25により第1回動部材21は上辺枠1または下辺枠2の内側に引き込まれ、締付固定されるようになっている。
緊締クランプ25は、締付レバー26と引掛部材27を有して構成され、締付レバー26の元部が第1枢軸28aにより第1回動部材21の端部に、回動可能に枢支される。締付レバー26は、断面コ字状に形成された第1回動部材21の内側に入るように第1枢軸28aを介して回動可能に取り付けられる。第1枢軸28aにはトーションばね29が装着され、このトーションばね29により締付レバー26は第1回動部材21内に入る側に付勢されている。なお、トーションばね29は、板ばねとすることもできる。
締付レバー26の中間部に第2枢軸28bが支持され、引掛部材27の末端部がこの締付レバー26に対し第2枢軸28bにより回動可能に軸支される。引掛部材27の末端部は両側壁部に分離され、両側壁部が締付レバー26の両側を挟むように配設され、引掛部材27が締付レバー26と共に第1回動部材21の内側に収納可能となっている。
さらに、引掛部材27の先端に引掛ピン27aが両側壁部に掛け渡すように水平に取り付けられ、引掛ピン27aは、係止部24に係止可能とされる。係止部24は、図21に示すように、上辺枠1または下辺枠2の内側における第1回動部材21の端部から少し離れた位置に固定される。係止部24には係止溝24aが設けられ、引掛部材27の引掛ピン27aがその係止溝24aに引掛け可能とされる。枠装置を折り畳んだ状態から方形枠状に拡張し、鈍角丁番20の第1回動部材21を上辺枠1または下辺枠2の内側に押し戻した後、緊締クランプ25の締付レバー26を操作して第1回動部材21を内側に引き込み、締付固定する構造となっている。
この際、図21のように、締付レバー26を第1回動部材21側に回動操作すると、引掛部材27がその引掛ピン27aを軸に、係止部24を引き寄せながら回動し、第2枢軸28bが第1枢軸28aと引掛ピン27aを結ぶラインを、第1回動部材21の内側に越えることにより、そのデッドポイントを越え、第1回動部材21を上辺枠1または下辺枠2の内側に引き込み、締付固定する。緊締クランプ25は、第1枢軸28a、第2枢軸28b及び引掛ピン27aの位置またはそれらの軸間距離を変えることにより、その締付力を増大させるなど調整することができる。
一方、上記鋭角丁番10は、図5に示すように、方形枠の第1上角部5と、第1上角部5の対角線上にある第2下角部8とに取り付けられる。鋭角丁番10の第1回動部材11は第1上角部5の上辺枠1の左端部に差し込まれ、固定ねじにより締付固定され、鋭角丁番10の第2回動部材12は、第1縦辺枠3の上端部に差し込まれ、上角保護金具33を第1縦辺枠3の上端部の外側から覆うように組み付け、第1縦辺枠3の上端部を上角保護金具33と第2回動部材12で挟み込むように、固定ねじにより締付固定される。
同様に、第2下角部8の鋭角丁番10の第1回動部材11は、下辺枠2の右端部に差し込まれ、固定ねじにより締付固定され、その鋭角丁番10の第2回動部材12は、第2縦辺枠4の下端部に差し込まれ、下角保護金具36を第2縦辺枠4の下端部の外側から覆うように組み付け、第2縦辺枠4の下端部を下角保護金具36と第2回動部材12で挟みこむように、固定ねじにより締付固定される。
他方、上記構成の鈍角丁番20は、図13に示すように、方形枠の第2上角部6と、第2上角部6の対角線上にある第1下角部7とに取り付けられる。第2上角部6の鈍角丁番20の第1回動部材21は、上辺枠1の右端部内に、ガイド溝21cとガイドピン21dの係合により摺動可能に組み付けられ、鈍角丁番20の第2回動部材22は第2縦辺枠4の上端部内に差し込まれ、上角保護金具34を第2縦辺枠4の上端部の外側から覆うように組み付け、第2縦辺枠4の上端部を第2回動部材22と上角保護金具34で挟みこむように、固定ねじにより締付固定される。
同様に、第2上角部6の鈍角丁番20の第1回動部材21は、下辺枠2の左端部内に、ガイド溝21cとガイドピン21dの係合により摺動可能に組み付けられ、鈍角丁番20の第2回動部材22は、第1縦辺枠3の下端部内に差し込まれ、下角保護金具35を第1縦辺枠3の下端部の外側から覆うように組み付け、第1縦辺枠3の下端部を第2回動部材22と下角保護金具35で挟みこむように、固定ねじにより締付固定される。
なお、枠装置の第1上角部5に固定した上角保護金具33には、パチンコ遊技機の前枠用の上ヒンジ金具部31が一体に形成されている。上ヒンジ金具部31は、図5、6のように、上角保護金具33の上部に水平板部31bを直角に折り曲げて形成し、その水平板部31bに軸孔31cを穿設して形成される。また、その下方の第1下角部7に固定した下角保護金具35には、前枠用の下ヒンジ金具部32が固定される。
下ヒンジ金具部32は、図5、6のように、下角保護金具35の上部に水平板部32bを直角に折り曲げ、その水平板部32bに軸ピン32cを上向きに突設して形成される。上角保護金具33は、第1上角部5と鋭角丁番10の正面側の角部を覆って保護するように固定され、上角保護金具34は第2上角部6と鈍角丁番20の正面側の角部を覆って保護するように固定される。下角保護金具35は、第1下角部7と鋭角丁番10の正面側の角部を覆って保護するように固定され、下角保護金具36は、第2下角部8と鈍角丁番20の正面側の角部を覆って保護するように固定される。
なお、枠装置は、パチンコ遊技機の外枠として形成され、外枠の前面側には、上ヒンジ金具部31と下ヒンジ金具部32を介して前枠が開閉可能に装着され、前枠には図示しない施錠装置が取り付けられる。その施錠装置のフックが係止される受け金具37が、第2縦辺枠4の内側の所定位置に固定されている。また、図8、図9に示す如く、上辺枠1と下辺枠2の中間部に、枠装置を遊技場の島に固定するための長孔1a,2aが形成され、その内側に固定板38が挿入される。固定板38には、その長孔1a,2aに対応した位置にねじ孔が設けられ、島に設けた取付枠から固定ねじを上辺枠1と下辺枠2の長孔1a,2aに挿通し、固定板38のねじ孔にねじ込んで枠装置を取り付ける構造となっている。
次に、上記構成の枠装置の使用態様を説明する。この枠装置は、上記のように折り畳み可能に構成され、遊技機の外枠として使用される際には、図1に示すように、方形の枠状に拡張される。
方形に拡張された枠装置を折り畳む際には、先ず、正面下部から幕板9を外し、図16のように、第2上角部6と第1下角部7における各鈍角丁番20、20の緊締クランプ25のクランプを外す。この際、図21(a)のように、先ず、緊締クランプ25の締付レバー26を回動操作して、引掛部材27を鈍角丁番20の第1回動部材21の外側に回動させる。
このとき、引掛部材27はその引掛ピン27a、第1枢軸28a及び第2枢軸28bを結ぶライン上のデッドポイントを越えて回動し、引掛部材27の引掛ピン27aと係止部24の係止溝24aの係止が解除され、図21(b)のように、引掛ピン27aが係止溝24aから外される。このとき、第2上角部6と第1下角部7の鈍角丁番20の第1回動部材21は、長手方向に摺動可能となり、図17(a)の如く、第1縦辺枠3と第2縦辺枠4を持って、両側に引き出すように操作する。
これにより、図22のように、第2上角部6と第1下角部7の鈍角丁番20の第1回動部材21が、両側長手方向に所定の長さだけ引き出される。この鈍角丁番20の第1回動部材21の外側への引き出しにより、上辺枠1の端部と第2縦辺枠4の端部に隙間が生じ、且つ下辺枠2の端部と第1縦辺枠3の端部に隙間が生じ、第2上角部6と第1下角部7の鈍角丁番20は直角から約180度まで回動可能な状態となる。
次に、第1上角部5と第2下角部8の各鋭角丁番10、10のロックピン14を、板ばね15の付勢力に抗して、指などによりガイド溝11bの奥側に動かし、第2回動部材12の係止部12bとロックピン14の係合を解除して、ロックピン14による第2回動部材12のロックを解除する。これにより、第1上角部5と第2下角部8の各鋭角丁番10は、その第1回動部材11と第2回動部材12が、直角から鋭角側に回動可能な状態となる。
したがって、図17(b)のように、枠装置の斜め上から折り畳む方向に軽い力を加えると、第1上角部5と第2下角部8の各鋭角丁番10、10が直角から鋭角側に図24のように回動し、第2上角部6と第1下角部7の各鈍角丁番20、20が直角から鈍角側に図23のように回動を開始する。
そして、図18(a)のように、さらに方形枠を折り畳む方向に力を加えると、第1上角部5と第2下角部8の各鋭角丁番10、10が鋭角側に図26のように回動し、第2上角部6と第1下角部7の各鈍角丁番20、20がさらに鈍角側に図25のように回動する。そして最終的には、図18(b)の如く、上辺枠1の側面が第1縦辺枠3の側面に当接するまで鋭角丁番10と鈍角丁番20が回動し、且つ下辺枠2の側面が第2縦辺枠4の側面に当接するまで鋭角丁番10と鈍角丁番20が回動し、折畳み状態となる。
このように、本枠装置は、先ず、第2上角部6と第1下角部7の各鈍角丁番20における緊締クランプ25のクランプを外し、第2上角部6と第1下角部7の鈍角丁番20の第1回動部材21を外側に所定の長さだけ引き出し、第1上角部5と第2下角部8の各鋭角丁番10、10のロックピン14を、手動で動かして第2回動部材12の係止部12bとの係合を外し、枠を折り畳む方向に軽く力を加えるだけの簡単な操作で、折り畳むことができる。
また、このとき、上辺枠1、下辺枠2、第1縦辺枠3、及び第2縦辺枠4が図18(b)のように棒状又は帯板状に折り畳まれるから、遊技機の外枠を製造する製造工場などで製造された枠装置を保管する際、折り畳んで棒状又は帯板状とし、それらを容易に積み重ねて保管することができ、方形枠状の枠装置をそのまま保管する場合に比べ、極めて少ない保管スペースで多くの枠装置を保管することができる。
また、外枠製造工場などで製造された枠装置を、遊技機メーカーなどに輸送する際にも、棒状に折り畳んで積載し、運送するから、方形枠状の枠装置をそのまま積載して運搬する場合に比べ、運送の際の積荷スペースを大幅に低減することができ、枠装置の運送効率を大きく向上させることができる。
一方、折り畳んだ状態の枠装置を方形枠にする場合、第2上角部6を上方に持ち上げる。このとき、枠装置は、その第1上角部5の鋭角丁番10、第2下角部8の鋭角丁番10が鋭角を広げるように、第2上角部6の鈍角丁番20、第1下角部7の鈍角丁番20が鈍角を閉じるように回動し、図18(b)の棒状から図18(a)、図17(b)の菱形を経て、図17(a)のような方形形状になる。
この状態で、第1上角部5の鋭角丁番10、第2下角部8の鋭角丁番10は、第1回動部材11と第2回動部材12の角度が直角になると、第2回動部材12の係止部12bがロックピン14に自動的に係止され、直角状態に保持される状態となる。
一方、第2上角部6の鈍角丁番20、第1下角部7の鈍角丁番20においては、外側に引き出されていた第1回動部材21を上辺枠1の端部または下辺枠2の端部内に押し込み、図21(a)のように、緊締クランプ25の引掛部材27の引掛ピン27aを、係止部24の係止溝24aに引っ掛ける。そして、緊締クランプ25の締付レバー26を第1回動部材21の内側に入れるように操作すると、鈍角丁番20の第1回動部材21が上辺枠1または下辺枠2の端部内に引き込む側に締め付けられクランプされる。
鈍角丁番20が直角状態からその角度を拡張する側に開く際、上辺枠1と第2縦辺枠4の突合せ部、及び下辺枠2と第1縦辺枠3の突合せ部に隙間が必然的に必要となるが、この隙間は鈍角丁番20を辺枠から引き出したときに形成されて折り畳み動作は支障なく行なわれ、枠装置を方形枠状に拡張したとき、緊締クランプ25により鈍角丁番20を辺枠内に引き込み締め付けるため、辺枠間の隙間はその緊締クランプ25の締め付け動作により解消される。さらに、緊締クランプ25により辺枠間を締付固定するため、枠装置を方形形状に拡張したときの形状を強固に保持し、各角部に生じやすいガタツキを防止することができる。
また、枠装置を方形枠状として緊締クランプ25を締め付け、上辺枠1と第2縦辺枠4及び下辺枠2と第1縦辺枠3を直角状態としたとき、緊締クランプ25の締付レバー26及び引掛部材27は鈍角丁番20の第1回動部材21または第2回動部材22の内側に収納され、鈍角丁番20は上辺枠1、第2縦辺枠4、下辺枠2、第1縦辺枠3の角部に収納されるので、緊締クランプ25が枠装置の枠としての使用時に邪魔になることはなく、また、枠装置を折り畳んだ際にも内側に収納されて折り畳み動作を阻害することはない。
このように、棒状の方形枠を広げて各角部を直角とし、鈍角丁番20の第1回動部材21を上辺枠1と下辺枠2の端部内に押し込み、緊締クランプ25を操作して、鈍角丁番20の第1回動部材21を辺枠内に締付固定するという簡単な操作により、折り畳んだ状態の枠装置を、方形枠の使用状態に戻すことができる。
なお、本発明の枠装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記のような形態でも実施可能である。
1.第1上角部と第2下角部に鈍角丁番を使用し、第2上角部と第1下角部に鋭角丁番を使用し、上記とは左右逆方向に折り畳むように構成することもできる。
2.上記実施形態では、鈍角丁番20のロックピン14を指などで動かしてロックを解除したが、ロックピンをロック解除側に動かすための部材を取り付け、その部材を持ってロックピンを簡単にロック解除側に移動させるように構成することもできる。
3.上辺枠1、下辺枠2、第1縦辺枠3、及び第2縦辺枠4の外側面に、長手方向に沿って複数の溝または突条を設けることができる。これにより、複数の枠装置を折り畳み、枠の外側面が重なるように、積み重ねた場合でも、その溝と突条が嵌合して、各枠装置の積み重ね状態は適正に保持され、横滑りによる荷崩れを防止することができる。