本考案の一実施形態について図1〜図16を参照して説明する。
本実施形態においては、航空機等により物品を搬送する際に用いて好適な航空機用の組み立て式コンテナ(以下、航空機用コンテナ又は単にコンテナと称する。)を例示して本考案を説明する。
図1は、本考案の一実施形態に係る航空機用コンテナ1の構成を示す分解斜視図である。
図1に示すように、航空機用コンテナ1は、主な構成部として、パレット100、下金枠200、底板300、側板400及び上蓋500を有する。
パレット100は、コンテナ1の搬送台である。パレット100の側面には、フォークリフトの爪部が差し込まれるリフト挿入用空間110が形成されている。本実施形態のパレット100は、アルミニウム製の角柱部材、L字状部材あるいは板状部材を溶接等により連結して構成したスキットタイプのパレットである。なお、パレット100を構成する金属は、鉄、ステンレス等アルミニウム以外の金属であってもよい。あるいはまた、パレット100は、樹脂等により一括一体成形したものであってもよい。
本実施形態のパレット100は、長手方向長さ2200(mm)、短手方向長さ1500(mm)の平面形状を有する大型のものである。また、パレット1の高さは130(mm)である。
また、パレット100の長手方向の両側端部には、図11を参照して後述するように側板400の差込側板440(第1の分割差込側板450、第2の分割差込側板470)に設置された連結用鎖490が収容される鎖収容箱120が形成されている。鎖収容箱120は、パレット100の足部分を構成するアルミニウム製の棒状部材の隣接する部材の間の幅方向の両側面及び下面を、金属あるいは樹脂製のプレート部材により閉塞することにより形成する。パレット100の、差込側板440がパレット100の上面の縁部に立設される場合に差込側板440の下辺の連結用鎖490が垂れ下がる位置(連結用鎖490が差込側板440に固定設置されている位置)に対応する位置には、開口121が形成されており、鎖収容箱120には、この開口121を介して連結用鎖490が落とし込まれ収容される。
下金枠200は、パレット100の上面の短手方向の周縁に沿って設置され、側板400の位置を規定するとともに、これらを組み立てる、あるいは折り畳むための支持部材である。下金枠200は、パレット100上の各角部に設置されるコーナー金具240と、コーナー金具240の短手方向間を接続するように配設される短手方向枠部260を有する。コーナー金具240及び短手方向枠部260は、溶接一体構造とし、パレット100にビス止めあるいは溶接固定される。
コーナー金具240のパレット100の長手方向と平行な面には、図5に示すように、固定側板410が設置される孔(固定側板設置孔)241が形成されている。固定側板設置孔241は、コーナー金具240の下辺近傍にパレット100の上面に平行に形成された水平孔部分242と、水平孔部分242の内側端部からパレット100の上面に垂直な上方向(高さ方向)にコーナー金具240の上辺近傍にまで伸びた垂直孔部分243とを有する。すなわち、固定側板設置孔241は、「L」字形状に形成された切り欠き(L字型切り欠き)である。
後述する固定側板410の両側端面の下部には、固定側板410の板面に平行に外側に突出したピン(回動ピン)420が設置されており、固定側板設置孔241には、この回動ピン420が水平孔部分242及び垂直孔部分243に沿って移動自在に嵌挿される。すなわち、パレット100の短手方向に対向するように配置されたコーナー金具240の対向する面(パレット100の長手方向に沿った面)の固定側板設置孔241に、1枚の固定側板410の両側端面下部の回動ピン420が嵌挿される。これにより固定側板410は、その下部が水平孔部分242及び垂直孔部分243に沿って案内される状態で、コーナー金具240に対して離脱不能に、換言すれば下金枠200及びパレット100にも離脱不能に保持される。
そして、固定側板410が垂直に立てられた状態で、回動ピン420が固定側板設置孔241の水平孔部分242の最も端部に移動された時、固定側板410は、その外面下部が短手方向枠部260の内側に密接し、外面底部がパレット100の上面に密接し、上方向には直接移動不能な状態となり、コンテナ1が組み立て状態の時の固定側板410の配置となる。
また、固定側板410のピン420が固定側板設置孔241の水平孔部分242の最も内側の位置あるいは垂直孔部分243に移動された時、固定側板410は上方向に移動可能な状態となり、回動ピン420を中心として回動可能な状態となり、パレット100上に折り畳み可能な状態となる。この折り畳まれた状態(固定側板410の板面がパレット100の上面と略平行な状態)の固定側板410の位置(高さ)は、固定側板設置孔241の垂直孔部分243の範囲内で任意の位置とすることができる。
コーナー金具240の固定側板設置孔241は、固定側板410をこのように移動、配置させるための孔である。換言すれば、固定側板410がこのような移動、配置ができるように、回動ピン420及び固定側板設置孔241の各配置、寸法等が決定される。そしてこれにより、固定側板410はパレット100に立設(組み立て)及び折り畳み可能に一体化される。
コーナー金具240の高さは、4枚の側板400、すなわち2枚の固定側板410及び2枚の差込側板440(一体化された第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470)をパレット100上に折り畳んだ際に、ちょうどそれらを収容できる高さとする。これにより、航空機用コンテナ1を折り畳んだ状態(航空機用コンテナ1を回送、保管等する場合)においては、上蓋500が直接、下金枠200のコーナー金具240の上縁に被さるように装着され、パレット100上に積層された(折り畳まれた)4枚の側板400の上部が閉塞される。
底板300は、図1に示すように、コンテナ1の収容空間の下面を規定する板部材であり、下金枠200によりその位置が規定されて、パレット100の上面に載置される。床板300の材質は、本実施形態においてはプラスチック段ボール板であるが、合成樹脂板(発泡合成樹脂板を含む)、薄い金属板、合板、繊維板等でもよい。
側板400は、パレット100の上面周縁部に沿って立設され、コンテナ1の収容空間の側面を規定する板部材である。
側板400は、一対の固定側板410及び一対の差込側板440を有する。また、差込側板440の各々は、固定側板410の対向する方向に沿って2分割されており、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470とされている。第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470は、パレット100上に立設される時には一体化されて1枚の差込側板440としてコンテナ1の収容空間の長手方向の側面を構成する。
一対の固定側板410は、矩形のパレット100の短手方向枠部260が設置されている一方の対辺上に、各々短手方向枠部260に沿って、相互に対向するように配置される。また、一対の差込側板440は、パレット100の長手方向となるパレット100の他方の対辺上に、各々パレット100の長手方向に沿って、相互に対向するように、また、固定側板410の両側縁を連結するように配置される。
固定側板410は、図2(A)に示すように、パネル材(面部材)411の周囲に外周補強枠材としての上枠材(上補強枠材)412、下枠材(下補強枠材)413、左枠材(左補強枠材)414及び右枠材(右補強枠材)415が配設された構成である。
固定側板410の左右両辺縁には、図2(B)に示すように、航空機用コンテナ1の内側を向くように開放部が形成された差込側板差込用溝417が形成されている。差込側板差込用溝417には、側板400をパレット100上に立設して航空機用コンテナ1を組み立てる際に、固定側板410に隣接する差込側板440が差し込まれる。
パネル材411は、固定側板410と略同じサイズで矩形の面部材であり、本実施形態の航空機用コンテナ1においては厚さ10(mm)のプラスチック段ボール板である。
図2(B)及び図3(A)等に示すように、補強枠材412〜415は、各々、断面「U」字状の長尺部材(補強部材)、換言すれば内側が溝部416(補強枠材412〜415の内側溝部をいずれも符号416で示す)に形成された長尺部材であって、本実施形態の航空機用コンテナ1においては厚さ2(mm)のアルミ製押し出し型材である。補強枠材412〜415は、その溝部416をパネル材411の辺縁に嵌合させてパネル材411の周囲に配置されることにより、固定側板410の外枠を構成するとともに側板としてのパネル材411の強度を補強する。
補強枠材412〜415は、固定側板410(パネル材411)の角部において、隣接する補強枠材412〜415と端部同士が順次接続固定されており、これにより一体化された外周補強枠材に構成されている。
補強枠材412〜415同士の接続固定の方法について、図3及び図4を参照し、上補強枠材412と左補強枠材414との接続部分を一例として具体的に説明する。
図3(A)に示すように、上補強枠材412と左補強枠材414との接続部分においては、上補強枠材412の長手方向端部の端面が、左補強枠材414の長手方向端部の長手方向側面の内側(溝部416が形成されている側)に当接する状態となるように、上補強枠材412と左補強枠材414とが配置されている。上補強枠材412と左補強枠材414とは、その長手方向が直角をなし、各溝部416が内側を指向するように配置される。
この状態で、上補強枠材412及び左補強枠材414の各溝部416の内部には、上補強枠材412及び左補強枠材414の両方にわたるように接続金具435が配置されており、上補強枠材412及び左補強枠材414が各々リベットにより接続金具435に固定されている。これにより、上補強枠材412と溝部416とは接続金具435を介して直交に接続され固定された状態とされる。
接続金具435は、図3(B)に示すように、第1の面436と第2の面437とを有する断面「L」字状の金属板部材であり、本実施形態の航空機用コンテナ1においては、厚み0.6〜0.8(mm)のステンレス製部材である。
接続金具435が上補強枠材412と左補強枠材414の溝部416に配置された場合に、接続金具435の第1の面436は、溝部416の側面に沿って、換言すれば溝部416の側面に接面するように配置され、接続金具435の第2の面437は、溝部416の底面に沿って、換言すれば溝部416の底面に接面するように配置される。従って、接続金具435の第1の面436の幅W1は、上補強枠材412の溝部416の深さに略等しく形成されており、接続金具435の第2の面437の幅W2は、上補強枠材412の溝部416の底面の幅以下であって、底面の幅に略等しく形成されている。
そして、上補強枠材412及び左補強枠材414は、接続金具435に対して、各々2本のリベットにより、従って合計4本のリベットにより固定される。
図4に示すように、実際に固定側板410を製造する際には、まず、接続金具435をパネル材411の角部の所定の位置に配置し(工程1)、これに対して上補強枠材412を所定の位置に嵌合させ(工程2)、接続金具435を介在させて嵌合されたパネル材411と上補強枠材412とを最終的に左補強枠材414に嵌合させ(工程3)、上補強枠材412と左補強枠材414の側面から接続金具435に対してリベットを打ち込むことにより(工程4)、上補強枠材412と左補強枠材414とが接続固定される。
このように、本実施形態の航空機用コンテナ1において、固定側板410の上補強枠材412と左補強枠材414とは、端部を嵌合、係合あるいは重ねられることなく、単に接触した状態で連続的に隣接して配置した当接状態に配置し、接続金具435を介して接続固定されているものである。
そして固定側板410においては、隣接する補強枠材412〜415の各端部の接続は、いずれも図3及び図4を参照して上述した上補強枠材412と左補強枠材414との接続固定形態と同様の形態で接続固定されている。
すなわち、図2(A)に示すように、隣接する左補強枠材414と下補強枠材413、下補強枠材413と右補強枠材415、及び、右補強枠材415と上補強枠材412とは、各々、上補強枠材412又は下補強枠材413の長手方向端部の端面が、左補強枠材414又は右補強枠材415の長手方向端部の長手方向側面の内側(溝部416が形成されている側)に当接する状態に配置され、各補強枠材412〜415の溝部416の内部に配置された接続金具435に各補強枠材412〜415がリベットにより固定されることにより、順次直交状態に接続され固定される。
なお、パネル材411は、プラスチック段ボール板に限られず、合成樹脂板(発泡合成樹脂板を含む)、薄い金属板、合板、繊維板等の、その他の材質の面材を用いてもよい。
固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415の側面の下部には、図1、図5及び図7に示すように、コーナー金具240の固定側板設置孔241に嵌挿される回動ピン420が固定側板410の板面に平行に外側に突出するように設置されている。この回動ピン420は、例えば図7に示すように、右補強枠材415の外側に配置されて回動ピン420自身となる六角穴付きボルト420に、右補強枠材415の差込側板差込用溝417の内部に配置された緩み防止付きナット421を係合させて構成している。このような構成においては、単に六角穴付きボルト(回動ピン)420を回しただけでは緩み防止付きナット421も共回りし、六角穴付きボルト(回動ピン)420と緩み防止付きナット421とを外すことはできない。従って、回動ピン420を固定側板410から取り外すことはできず、固定側板410を下金枠200(パレット100)から取り外すこともできない。
このような構成の固定側板410は、図5を参照して前述したように、回動ピン420がコーナー金具240の固定側板設置孔241に移動自在に嵌合されており、下金枠200(パレット100)と離脱不能とされている。そして、固定側板410を垂直に立てた状態で、回動ピン420が固定側板設置孔241の水平孔部分242の最も端部に移動させることにより、固定側板410は、その外面下部が短手方向枠部260の内側に密接し、その外面底部がパレット100の上面に密接し、また上方向には直接移動不能な状態となり、組み立て状態の時の固定側板410の配置となる。また、固定側板410のピン420が固定側板設置孔241の水平孔部分242の最も内側の位置あるいは垂直孔部分243に移動された時、固定側板410は上方向に移動可能な状態となるとともに回動ピン420を中心として回動可能な状態となり、パレット100上に折り畳み可能な状態となる。
また、図8(図1のAの箇所の拡大図)に示すように、固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415(図8においては右補強枠材415)の側面の上端部の、差込側板差込用溝417部分には、固定側板410間に差込側板440(第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470)が差し込まれて設置された場合に、第1の分割差込側板450の左補強枠材454及び第2の分割差込側板470の右補強枠材475(図8においては第1の分割差込側板450の左補強枠材454)の外側表面の上端部に設置されている係合ナット461(481)が係合する「L」字型の係合切り欠き425が形成されている。
差込側板440の第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470を固定側板410と連結する際には、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470を若干(係合切り欠き425の鉛直方向の溝長さ分)持ち上げて、また、固定側板410を僅かに外方向に傾倒させて、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470の係合ナット461(481)を係合切り欠き425に水平方向の溝に嵌入させる。その後、外方向に傾斜させていた固定側板410を内方向に戻すことにより、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470の係合ナット461(481)は係合切り欠き425の水平部分を滑り奥方向(係合切り欠き425の鉛直方向の溝方向)に移動する。そして、係合ナット461(481)が係合切り欠き425の水平方向の最も奥の位置に達したら、係合ナット461(481)は係合切り欠き425の鉛直方向の溝に落とし込まれ、その溝の最下部に位置される。その結果、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470を若干持ち上げていた状態が解消され、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470はパレット100上に鉛直に立設された状態となる。
このように係合切り欠き425及び係合ナット461(481)を係合させることにより、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470、すなわち差込側板440と固定側板410とがその上部において一体化される。すなわち、差込側板440は、その上方向の移動が制限される。また、固定側板410においては、外方向への傾倒が制限される。その結果、コンテナ1は高い剛性で組み立て状態に維持される。
また、対向設置される一対の固定側板410の一方の固定側板410には、図12を参照して後述するように、その左補強枠材414及び右補強枠材415の側面の上部に、上蓋スライド用ピン430が形成されている。上蓋スライド用ピン430は、固定側板410の板面に平行に外側に突出するように設置され、後述するように、上蓋500の枠部512に形成された溝516に、上蓋500が離脱不能でスライド移動可能となるように嵌合し、これにより、上蓋500は固定側板410に対してスライド移動可能とするものである。
差込側板440は、図1に示すように、固定側板410の対向する方向、すなわちパレット100の長手方向に沿って2分割されており、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470により構成されるものとなっている。本実施形態において、差込側板440は第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とに略二等分されている。
これら第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470の基本的な構成は、前述した固定側板410の構成と同一である。
すなわち、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470は、各々、パネル材(面部材)451,471の周囲に外周補強枠材としての上枠材(上補強枠材)452,472、下枠材(下補強枠材)453,473、左枠材(左補強枠材)454,474及び右枠材(右補強枠材)455,475が配設された構成である(図1参照)。
パネル材451,471は、各々第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470と略同じサイズで矩形の面部材であり、本実施形態の航空機用コンテナ1においては固定側板410と同様に厚さ10(mm)のプラスチック段ボール板である。
補強枠材452〜455、472〜475は、各々、断面「U」字状の長尺部材(補強部材)、換言すれば内側が溝部に形成された長尺部材であって、本実施形態の航空機用コンテナ1においては厚さ2(mm)のアルミ製押し出し型材である。
補強枠材452〜455、472〜475は、その溝部をパネル材451,471の辺縁に嵌合させてパネル材451,471の周囲に配置されることにより、第1の分割差込側板450あるいは第2の分割差込側板470の外枠を構成するとともに側板としてのパネル材451,471の強度を補強する。
補強枠材452〜455、472〜475は、各分割差込側板450、470の角部において、隣接する補強枠材452〜455、472〜475と端部同士が順次接続固定されており、これにより一体化された外周補強枠材に構成されている。この隣接する補強枠材452〜455、472〜475の接続固定の形態及び実際の製造手順等は、図3及び図4を参照して前述した固定側板410と同様である。
すなわち、隣接する上補強枠材452,472と左補強枠材454,474、左補強枠材454,474と下補強枠材453,473、下補強枠材453,473と右補強枠材455,475、及び、右補強枠材455,475と上補強枠材452,472とは、各々、上補強枠材452,472又は下補強枠材453,473の長手方向端部の端面が、左補強枠材454,474又は右補強枠材455,475の長手方向端部の長手方向側面の内側に当接する状態に配置され、各補強枠材452〜455、472〜475が、各補強枠材452〜455、472〜475の溝部の内部に配置された接続金具435(図3参照)にリベットにより固定されることにより、順次直交状態に接続され固定される。
第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470の左補強枠材454、474及び右補強枠材455、475は、図6(B)に示すような断面構造を有する。なお、図6(B)には、第1の分割差込側板450(第2の分割差込側板470)の左補強枠材454(474)を示す。第1の分割差込側板450(第2の分割差込側板470)の右補強枠材455(475)の断面構造は、左補強枠材454と対称である。このような左補強枠材454を有する第1の分割差込側板450、及び、右補強枠材475を有する分割差込側板470は、図7に示すように、前述したように組み立て状態に配置された固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415の差込側板差込用溝417に差し込まれることにより、下金枠200のパレット100の長手方向に沿ってパレット100上に設置される。
なお、図示しないが、第1の分割差込側板450の左補強枠材454の下角部及び第2の分割差込側板470の右補強枠材475の下角部は、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470を固定側板410の差込側板差込用溝417に差し込んだ時に固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415の下部側面に設置されている回動ピン420と干渉しないように、切り欠き部が形成されているものとする。
また、第1の分割差込側板450の左補強枠材454及び第2の分割差込側板470の右補強枠材455の外側表面の上端部には、図8に示すように、係合ナット461、481が設置されている。前述したように、第1の分割差込側板450の左補強枠材454及び第2の分割差込側板470の右補強枠材475が、各々、隣接する固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415の差込側板差込用溝417に差し込まれて設置された場合には、分割差込側板450、470の係合ナット461、481と固定側板410の係合切り欠き425とが係合される。これにより、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470は、その上方向の移動が制限され、また、固定側板410においては、外方向への傾倒が制限される。
これら第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470は、各々が隣接する固定側板410に係合設置された後に、1枚の差込側板440に一体化される。
そのために、図1及び図9に示すように、第1の分割差込側板450には、右補強枠材455の外側に縦方向全域にわたって当て板462が装着されている。また、第2の分割差込側板470には、第1の分割差込側板450との連結側(固定側板410に係合する側の反対側)の側面の上部及び中間部の2箇所に、第1の分割差込側板450方向にピンが突出する丸落とし係止具482が設けられている。また、第2の分割差込側板470の中間部の丸落とし係止具482の近傍の左補強枠材474には、外側に向かって規制ピン483が形成されている。さらに、第1の分割差込側板450の当て板462の規制ピン483に対応する位置には、規制ピン係合孔463が形成されている。
なお、当て板462は溶接等により第1の分割差込側板450の右補強枠材455に設置される。
第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470が各々両側の固定側板410に係合設置された場合には、第1の分割差込側板450の右補強枠材455の側端面と第2の分割差込側板470の左補強枠材474の側端面とはパレット100の長手方向の中央部で略密接状態に対向する。この際、第2の分割差込側板470の規制ピン483が第1の分割差込側板450の規制ピン係合孔463に嵌入され、また、その両側端面が対向する位置の外側に第1の分割差込側板450に設置された当て板462が配置されるように、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470を各々設置する。
そしてこの状態において、第2の分割差込側板470の左上部及び左中間部に設けられた丸落とし係止具482のピンを突出させた状態とすることにより、第1の分割差込側板450に設置されている当て板462は第2の分割差込側板470の左補強枠材474と丸落とし係止具482のピンとの間に挟持されることとなり、これらの面間が略密接状態に維持され、面間に間隙が生じることが防止される。すなわち、第1の分割差込側板450の板面と第2の分割差込側板470の板面とが同一面内に維持される。
また、第2の分割差込側板470の規制ピン483が第1の分割差込側板450の規制ピン係合孔463に嵌入されているので、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とが鉛直方向あるいは水平方向にずれること、すなわち、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とが同一面内を平行移動することが防止される。さらに、丸落とし係止具482規制ピン483と規制ピン係合孔463の係合とともに第1の分割差込側板450の右補強枠材455の側端面と第2の分割差込側板470の左補強枠材474の側端面とは略密接状態に対向しているので、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470の相対的な回転移動も制限される。
従って、このような構造により、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とは一体化され、一の差込側板440を構成することとなる。
第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470は、このように一体化されて一の差込側板440として、パレット100上の対向する固定側板410間に、固定側板410の差込側板差込用溝417に差し込まれた状態で設置されるが、本実施形態のコンテナ1は航空機用コンテナであって長手方向の長さが2200(mm)と長いので、両側を固定側板410の差込側板差込用溝417で保持したのみでは差込側板440が外側に膨らむ可能性がある。
この側板の膨らみを防止するために、差込側板440の第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470各々の下補強枠材453,473の底面には、下方に向かって側板膨らみ防止ピン464,484が突出形成されている。また、パレット100の、差込側板440をパレット100上に立設した場合に側板膨らみ防止ピン464,484が配置される位置には、側板膨らみ防止ピン464,484が各々嵌入される側板膨らみ防止ピン挿入孔123、124が形成されている。
第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470をパレット100上に差込設置する場合には、側板膨らみ防止ピン464及び側板膨らみ防止ピン484が、各々、パレット100の側板膨らみ防止ピン挿入孔123及び側板膨らみ防止ピン挿入孔124に嵌入されるように、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470をパレット100上に載置する。
これにより、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470各々の下補強枠材453,473の外側方向への膨らみ、すなわち、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470の下部の外側方向への膨らみが防止される。
また、パレット100の、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470との連結部分、すなわち、パレット100の長手方向の周縁部の中央部には、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470との連結箇所をパレット100の周縁に沿った所定の位置に保持するための側板保持溝280が設置されている。
側板保持溝280は、図10に示すように、角形パイプ281を両側に配置してその間を溝に形成したものである。
第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470をパレット100上に差込設置する場合には、その結合部、すなわち、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470各々の固定側板410と係合しない側の端部が、各々側板保持溝280の内部に配置されるように、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470をパレット100上に載置する。
これにより、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470の結合部、すなわち、差込側板440の中央部の外側方向への膨らみが防止される。
これら側板膨らみ防止ピン464,484、側板膨らみ防止ピン挿入孔123,124、及び、側板保持溝280の構成により、差込側板440の下辺付近の外側への膨らみが防止される。なお、差込側板440は、後述する上蓋500により上辺位置が規制されることにより、その上辺においても外側への膨らみが防止され、これらにより差込側板440全体の外側に膨らみが防止される。
差込側板440は、前述したように固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415に第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470が差し込まれることにより設置されるものであり、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470はパレット100、下金枠200及び固定側板410から離脱可能に構成されているが、本実施形態の航空機用コンテナ1においては、各分割差込側板450、470は、図1に示すように、本考案に係る連結用鎖490によりパレット100と連結されており、パレット100等から分離されないように構成されている。
連結用鎖490は、図11(B)に示すように、金属製の鎖本体(490)の一方の端部に係止リング491が装着され、他方の端部に抜け止めリング492が装着されたものである。
連結用鎖490は、一方の端部の係止リング491が各分割差込側板450、470の下補強枠材453,473の内部に設置された係止部材493に係止され、各分割差込側板450、470と離脱不能な状態に連結されている。なお、係止部材493は、リベット又はネジ等である。
また、他方の端部の抜け止めリング492は、前述したパレット100の鎖収容箱120内に配置されている。鎖収容箱120の開口121は、連結用鎖本体は通過できるものの、抜け止めリング492は通過できない大きさに形成される。換言すれば、そのような大きさの抜け止めリング492を連結用鎖490の他方の端部に装着する。これにより、図11(A)に示すように、抜け止めリング492は鎖収容箱120から取り出せない状態となり、連結用鎖490の他方の端部は、パレット100から離脱不能な状態にパレット100に連結される。
そしてこの結果、各分割差込側板450、470は、固定側板410から抜き取った場合でも、連結用鎖490によりパレット100に連結された状態に維持される。
一方の端部が各分割差込側板450、470の下補強枠材453,473に設置された連結用鎖490は、分割差込側板450、470の下面から外部に出ており、分割差込側板450、470の下面から垂れ下がる状態に分割差込側板450、470に設置される。また、パレット100の鎖収容箱120及びその開口121は、前述したように、分割差込側板450、470が組み立てられた時に連結用鎖490が設置されている位置(垂れ下がる位置)に対応する位置に形成されている。
従って、分割差込側板450、470を固定側板410に差し込み航空機用コンテナ1を組み立て状態にする場合、連結用鎖490は、抜け止めリング492の自重により鎖収容箱120の中に落とし込まれていくこととなる。すなわち、分割差込側板450、470を通常の手順により固定側板410の差込側板差込用溝417に差し込む作業をすることにより、実質的に自動的に連結用鎖490はパレット100の鎖収容箱120の内部に収容されていくこととなる。従って、連結用鎖490を設置したことにより航空機用コンテナ1の組み立て作業に新たな手順等が加わるものではなく、何ら作業が煩雑になるものではない。
また、差込側板440が組み立てられた状態においては、連結用鎖490は、図11(B)に示すように鎖収容箱120に完全に収容された状態となり、外部から(また、航空機用コンテナ1の収容空間内部からも)視認できない状態となる。従って、連結用鎖490が航空機用コンテナ1内部の収容物、あるいは、航空機用コンテナ1の周囲の物品等に干渉し破損等を生じさせることもない。
なお、連結用鎖490の長さは、連結用鎖490の全部がパレット100の鎖収容箱120に収容可能であり、航空機用コンテナ1を折り畳んだ時に各分割差込側板450、470をパレット100上に載置できる長さであり、また、分割差込側板450、470を各々抜き取って航空機用コンテナ1に物品の収容作業を行う時、あるいは、航空機用コンテナ1から物品を取り出す作業を行う時に分割差込側板450、470を退避させておける長さであれば任意の長さでよい。より具体的には、分割差込側板450、470の各々を隣接する固定側板410の外側に立てかけておいておく、あるいは、航空機用コンテナ1の近くの床面に寝かせておいておくというような状況を想定する場合には、連結用鎖490は、各々、そのような状況を実現できるような長さを確保する一方で、差込側板440を差し込む場合又は抜き取る場合に差込側板440を高く持ち上げなくてすむ長さであり、作業の邪魔にならない長さ程度にしておくことが好ましい。
また、連結用鎖490を構成する部材は、パレット100と差込側板440とを連結するためには任意の材質の紐などの部材でも構成可能である。しかし、前述したような、連結用鎖490がその自重で鎖収容箱120に落とし込まれているという作用を実効的に実現するためには、連結用鎖490はある程度の重さを有するものが好ましく、また、鎖収容箱120の中で任意の方向に不要な応力を生じずに適宜曲げられて収容されていく形態の部材が好ましい。従って、金属製の鎖を用いるのが非常に好ましく効果的である。
また、同じ理由により、抜け止めリング492も、ある程度の重量のある部材、すなわち金属等で構成するのが好ましい。
上蓋500は、パレット100上に立設された側板400(固定側板410及び差込側板440)により形成されるコンテナ1の収容空間の上部開口を閉塞する部材である。
本実施形態の航空機用コンテナ1においては、この上蓋500も、差込側板440と同様にパレット100の長手方向に2分割されている。すなわち、上蓋500は、図1に示すように、第1の分割上蓋510、及び、第2の分割上蓋540を有する。
上蓋500においては、第1の分割上蓋510及び第2の分割上蓋540は同じ大きさではない。第1の分割上蓋510の方が、第2の分割上蓋540よりも大きい分割部とされている。
上蓋500を固定側板410と分離不能とするために、後述するように上蓋500の第1の分割上蓋510は一方の固定側板410の上辺に沿ってスライド移動し分離不能な構成となっている。一方、航空機用コンテナ1を折り畳む時には、図16を参照して後述するように、固定側板410はパレット100上に倒され、上蓋500はその上部を閉塞しなければならない。このような構成を実現するためには、固定側板410の上蓋スライド用ピン430がスライド移動する溝は、第1の分割上蓋510内において少なくとも固定側板410の高さと略等しい長さ以上の長さに形成される必要がある。そのために、本実施形態の航空機用コンテナ1では、上蓋500を分割した一方の部材である第1の分割上蓋510が十分に大きく形成されており、相対的に他方の部材である第2の分割上蓋540が小さく形成されているものである。
また、上蓋500においては、第1の分割上蓋510と第2の分割上蓋540とは分離された状態とはなっておらず、樹脂製蝶番560により相対的に折り曲げ可能(2枚折れ可能)な状態に接続された状態とされている。通常の使用形態としては、図1に矢印で示すように、また、図13に示すように、大きさの小さい第2の分割上蓋540を樹脂製蝶番560の位置を基準として上方向に回動させ、その上面が第1の分割上蓋510の上面に重なるように完全に(180°)折り曲げられ(2枚折れ)、この状態で、蓋の開閉等が行われる。
樹脂製蝶番560は、上蓋500の上面の第1の分割上蓋510と第2の分割上蓋540との分割領域の全域に装着されている。これにより、第1の分割上蓋510と第2の分割上蓋540の間から、雨水や塵、埃等がコンテナ1内部に侵入するのを防止している。
樹脂製蝶番560は、折り曲げ部分はゴムで形成されたラバーヒンジである。
本実施形態の航空機用コンテナ1においては、この上蓋500も、航空機用コンテナ1本体から分離不可能な構成に形成されている。
上蓋500(第1の分割上蓋510及び第2の分割上蓋540の各々)は、図1に示すように、前述した固定側板410、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470と同様に、面部材としての上面パネル511、541の周囲に、枠材としての枠部512、542が装着された構成である。上面パネル511、541の材質は特に限定されないが、例えば床板300と同様のプラスチック段ボール板、合成樹脂板(発泡合成樹脂板を含む)、薄い金属板、合板、繊維板等が用いられる。また枠部は、例えば鋼材等の金属で構成される。
図12は、上蓋500の第1の分割上蓋510の差込側板440に平行な辺部である図1のDの箇所における断面図である。
図1及び図12に示すように、第1の分割上蓋510の枠部512は、上面パネル511の上面の周辺部を押さえる枠部上部513と、上面パネル511の周辺を押さえるとともに側板400の上縁部の外周側に配置されて側板400の上部を嵌合保持する枠部縁部514を有する。これにより、第1の分割上蓋510は、パレット100上に立設された側板400の上縁部に嵌合され、コンテナ1の収容空間の上部開口を覆っている。
第1の分割上蓋510の差込側板440に平行な辺部の枠部縁部514には、内側に、凸条部515が形成されており、枠部上部513の内側面との間に係合スライド溝516が形成されている。この係合スライド溝516に、一方の固定側板410の左補強枠材414及び右補強枠材415に形成された上蓋スライド用ピン430が嵌合される。これにより、第1の分割上蓋510は、その一方の固定側板410の上辺部(上蓋スライド用ピン430)に対して、差込側板440の板面に平行な方向(固定側板410の板面に垂直な方向)に沿ってスライド移動可能に、また、その固定側板410から離脱不能に、その固定側板410に対して設置される。
そして、前述したように、上蓋500は第1の分割上蓋510と第2の分割上蓋540とに分割されており、第2の分割上蓋540は第1の分割上蓋510の上面に2枚折れされるようになっているので、上蓋500の開閉は、第2の分割上蓋540を第1の分割上蓋510に2枚折れする段階と、第1の分割上蓋510を固定側板410の上辺に沿ってスライド移動させる段階との2段階で開閉されることとなる。
このような構成の航空機用コンテナ1の使用形態、すなわち、組み立てた状態における開閉方法、組み立て方法(組み立て手順)及び折り畳み方法(折り畳み手順)について、図13〜図16を参照して説明する。
まず、このような構成の航空機用コンテナ1において、組み立てられた状態で物品の収容、あるいは取り出しを行う場合の方法について図13を参照して説明する。
図13(A)に示すように、航空機用コンテナ1が組み立てられて上蓋500が閉塞された状態から、航空機用コンテナ1を開放するためには、まず、図13(B)に示すように、上蓋500の小さい方の分割上蓋である第2の分割上蓋540を持ち上げて樹脂製蝶番560を中心に回動し、図13(C)に示すように第1の分割上蓋510の上面に2枚折りの状態に載置する。
次に、第1の分割上蓋510(第2の分割上蓋540)を図13(D)に示すように、上蓋スライド用ピン430に沿ってスライド移動させ、固定側板410方向に回転させる。これにより、固定側板410の上蓋スライド用ピン430が第1の分割上蓋510の係合スライド溝516内を移動し(図12参照)、第1の分割上蓋510(第2の分割上蓋540)は固定側板410の上辺に沿ってスライド移動する。
そして、図13(E)に示すように、固定側板410の上蓋スライド用ピン430が第1の分割上蓋510の係合スライド溝516の端部まで移動し、第1の分割上蓋510(第2の分割上蓋540)が固定側板410の上蓋スライド用ピン430に係止する状態か、あるいは、図示省略するが、第1の分割上蓋510が固定側板410の外側において端部が床面に着地する状態まで移動させることにより、航空機用コンテナ1の上部開口が開放された状態となる。
この状態においては、差込側板440(第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470)の抜き出しが可能となるため、これらを抜き取って、図13(E)に示すように、各々近接する固定側板410の外側にたてかける。
これにより、航空機用コンテナ1の内部の物品の取り出し、あるいは、航空機用コンテナ1への物品の収容が容易に行える状態となる。
また、図13(E)に示すような状態から航空機用コンテナ1を閉める場合には、前述の手順と全く逆の手順を行えばよい。すなわち、まず、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470を固定側板410間に差し込み、第1の分割上蓋510の固定側板410から遠い側の辺部(着地している側の辺部)を持ち上げて、図13(D)に示すようにスライド移動させ、図13(C)に示すように徐々に第1の分割上蓋510の姿勢を水平方向に倒しながらさらにスライド移動させる。そして図13(C)に示すように、上蓋スライド用ピン430が係合スライド溝516の端部まで移動したら、図13(B)に示すように、第1の分割上蓋510の上に2枚折りにしていた第2の分割上蓋540を回動させて元に戻し、第2の分割上蓋540の端辺を固定側板410の上辺に嵌合させる。これにより、図13(A)に示すように、航空機用コンテナ1の上部開口が上蓋500により閉塞される。
次に、航空機用コンテナ1を組み立てる場合について図14を参照して説明する。
なお、上蓋500の折り畳みについては図13を参照して前述したので、ここでは上蓋500は、第1の分割上蓋510と第2の分割上蓋540とが一体化された一の上蓋500として説明を行う。
航空機用コンテナ1を組み立てる場合には、図14(A)に示すように、折り畳まれた航空機用コンテナ1の最上部に配置されている上蓋500及び上蓋500が連結されている固定側板410を一体的に起こしあげ、その固定側板410をパレット100上に立設する。
次に、図14(B)に示すように、対向する固定側板410を起こし、パレット100上に立設する。
次に、図14(C)に示すように、パレット100上に載置されている各々2枚の第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470を各々起こして、図14(D)に示すように、既に対向配置されている固定側板410を若干逆ハの字形に外側に開きながら、各々、対向する差込側板差込用溝417に差し込む。航空機用コンテナ1が折り畳まれている時、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とは連結して一体化されてパレット100上に載置されているので、これを起こす場合には、丸落とし係止具482(図1、図9参照)を開放し、規制ピン483と規制ピン係合孔463との係合状態を解除して、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470を各々個別に起こすのが作業性の点から有効である。
また、各分割差込側板450、470を固定側板410の差込側板差込用溝417に差込側板440を差し込む場合には、図11に示すように、差込側板440の下辺に連結されている連結用鎖490を、パレット100の鎖収容箱120に落とし込みながら差し込んでいく。
また、各分割差込側板450、470が底部近くまで差し込まれたら、図8を参照して前述したように、各分割差込側板450、470の上端部に設置されている係合ナット461、481を固定側板410の係合切り欠き425に係合させ、各分割差込側板450、470をパレット100上に載置する。
さらに、各分割差込側板450、470を最終的にパレット100上に載置する際には、分割差込側板450、470の側板膨らみ防止ピン464、484が、パレット100の側板膨らみ防止ピン挿入孔123、124に嵌入され、また、各分割差込側板450、470の下補強枠材453,473が側板保持溝280に嵌入されるようにする。
各分割差込側板450、470をパレット100上に載置したら、第2の分割差込側板470の丸落とし係止具482をピンが突出した状態とし、第2の分割差込側板470の左補強枠材474と丸落とし係止具482との間に第1の分割差込側板450の右補強枠材455を挟持する状態とする。
これにより、組み立て時に固定側板410の外側へのハの字の開きを防止され、図14(E)に示すように、航空機用コンテナ1が箱状に維持される。
そして、最後に、図14(F)に示すように、前述したように上蓋500をスライド移動させることにより、航空機用コンテナ1の組み立てが完了する。
次に、航空機用コンテナ1を折り畳む場合について図15及び図16を参照して説明する。
なお、ここでも、図15を参照して説明する範囲においては、上蓋500の折り畳みについては詳細な説明を省略する。
航空機用コンテナ1が組み立てられている状態から、まず、図15(A)に示すように、また前述したように、上蓋500を2枚折り及びスライド移動させて、図15(B)に示すように、固定側板410の外側に傾倒した状態とする。
次に、図15(C)に示すように、差込側板440を抜き取る。この時はまず、第2の分割差込側板470の丸落とし係止具482を解錠状態として、丸落とし係止具482による第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470との連結を解除する。
次に、各分割差込側板450、470を各々少し持ち上げ、固定側板410を若干外側に傾倒させながら、各分割差込側板450、470の係合ナット461、481と固定側板410の係合切り欠き425との係合を解除し、分割差込側板450、470を抜き取る。
各分割差込側板450、470を抜き取ったら、図15(D)に示すように、抜き取った各分割差込側板450、470を各々パレット100上に載置する。そして、分割差込側板450、470をパレット100上に倒した状態で、再度、第1の分割差込側板450と第2の分割差込側板470とを連結し一体化する。すなわち、第2の分割差込側板470の規制ピン483を第1の分割差込側板450の規制ピン係合孔463に嵌入し、丸落とし係止具482を施錠状態として第2の分割差込側板470の左補強枠材474と丸落とし係止具482との間で第1の分割差込側板450の当て板462を挟持する。これにより、各分割差込側板450、470は一体化されて、一の差込側板440としてパレット100上に倒された状態となる。
次に、図15(E)に示すように、上蓋500が連結されていない方の固定側板410をパレット100上に傾倒させ、その後、図15(F)に示すように、上蓋500が連結されている固定側板410を、上蓋500と一体的にパレット100上に傾倒させる。
この際、上蓋500は、図16(A)に示すように、第2の分割上蓋540が第1の分割上蓋510の上に2枚折りにされた状態である。
固定側板410及び上蓋500を、図16(B)に示すように、既にパレット100上に載置されている差込側板440及び対向する固定側板410の上に載置したら、図16(C)に示すように、第1の分割上蓋510の上に2枚折りされていた第2の分割上蓋540の端部を持って起こし、樹脂製蝶番560の箇所を中心に回動させて、図16(D)に示すように、他方の下金枠200に嵌合させる。これにより、航空機用コンテナ1の折り畳みが完了する。
このように、本実施形態の航空機用コンテナ1においては、固定側板410、第1の分割差込側板450及び第2の分割差込側板470の各々において、外周補強枠材を、隣接する補強枠材の端部同士を嵌合、係合あるいは重ねられることなく、単に接触した状態で連続的に隣接して配置した当接状態に配置し接続金具435を介して接続固定することにより構成している。
従って、構造が簡単であり、高精度な研削加工が不要となり、例えば補強部材の接続部分で外周補強枠材に段差が生じることを防止できる。また、外周補強枠材の角部において補強部材を研削加工して薄肉にする必要が無いため、外周補強枠材の強度を確保することができる。また、精密な研削加工は不要であることから、側板の製造作業は簡単で短時間化することができ、コストを低減することができる。
その結果、構造が簡単で、精度が高く、コストの低い組み立て式コンテナを提供することができる。
そして、このような効果は、特に航空機用コンテナのような大型のコンテナにおいて効果的である。従って、本願考案によれば、航空機などにより効率よく物品の搬送等が可能な組み立て式コンテナを提供することができる。
また、本願考案の航空機用コンテナ1においては、分割された差込側板440、上蓋500の各部、すなわち、各分割差込側板450、470、第1の分割上蓋510及び第2の分割上蓋540を含めて、航空機用コンテナ1の全ての部材はパレット100に連結された状態である。従って、航空機用コンテナ1の使用時に、その一部、すなわち上蓋や側板のような着脱自在な部材(部品)を紛失することが無く、常に、必要な部材が揃っている状態を維持することができる。また、他のコンテナ部材が混入するなどの状態を防止し易くなる。
また、そのように各部材が連結されている状態ながら、航空機用コンテナ1の組み立て、折り畳み、あるいは、組み立てられた状態(使用時)における物品の収容あるいは取り出しは、何ら連結部材などの制約を受けることなく、効率よく利便性高く行うことができる。
従って、航空機用コンテナ1は、航空機等により物品を搬送する際のコンテナとして、さらに、部材の検査等の種々のチェックが行われる国外との物品の搬送等に供するコンテナとして、非常に有用である。
なお、本考案は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本考案の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、上蓋500の第1の分割上蓋510をスライド移動可能に設置する機構としては、任意の機構でよい。
第1の分割上蓋510の枠部縁部514の長手方向に、上蓋スライド用ピン430が嵌挿可能な長穴を形成し、これに上蓋スライド用ピン430を挿入し、第1の分割上蓋510をスライド移動するようにしてもよい。このような構成であれば、枠部縁部514に凸条部515を形成する必要がなく、枠部縁部514に開口(長穴)を形成すればよいので、加工作業が簡単になる上に必要部材も少なくてすみ好適である。
また、第1の分割上蓋510の枠部縁部514を断面コの字状に形成することにより内側に溝を形成し、この溝に上蓋スライド用ピン430を挿入し第1の分割上蓋510をスライド移動可能にしてもよい。このような構成であれば、第1の分割上蓋510の枠部512あるいはその枠部縁部514の強度を高くすることができて好適である。
本考案は、例えばこのような形態で実現してもよい。