JP5355289B2 - ポリカーボネート共押出し多層シート - Google Patents

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Description

本発明は、キャリアテープやトレイ等の電子部品搬送体の材料として用いられるポリカーボネート共押出し多層シート及びその製造方法に関する。高密度・高速実装に対応可能な高品質キャリアテープや、高い精度が要求され且つ粉塵の付着を嫌う高品質トレイの製造においては、その材料であるシートについても高い物性が要求される。本発明は、かかる高品質電子部品搬送体の材料として使用することができる、各部位におけるバラツキが少なく均一な品質を有する共押出し多層シートに関する。
近年、電子部品及び電子部品搭載製品に係る技術は急速に進歩しており、具体的には、軽量化、小型化、高機能化、高精度化が同時並行的に進展している。製品の高機能化、高精度化のためには多くの電子部品が必要であるが、それら多くの電子部品を一枚の基板に搭載するために、電子部品の大きさはどんどん小さくなり、一方で、一枚の基板に搭載される電子部品の数は、従来の2ないし3倍に増えているのである。このように、基板上における電子部品の密度が高まっている、すなわち高密度化が進行しているのである。電子部品を高密度化するためには、実装される電子部品を実装場所まで正確な向きで運ぶ必要がある。これを実現するためには、キャリアテープのポケットに電子部品が正確な向きで入っている必要がある。そして、ポケットに電子部品を正確な向きで入れるには、ポケットと電子部品との隙間を小さくする必要がある。すなわち、キャリアテープ用の材料として、高い成形精度を実現できる材質のものが求められている。それのみならず、例えばキャリアテープのポケット内にある電子部品を基板上に搭載させる際の速度も速まってきている。このような電子部品自体及び電子部品の基板への搭載にかかる技術革新を具現化するために、これら電子部品を基板等に実装する上で必須の、例えばキャリアテープ等の電子部品搬送体用の材料として、電子部品の大きさや形状にピッタリのポケットが成形できる、より高い品質のものが要求されるようになってきた。
また、キャリアテープ等の電子部品搬送体用の材料は、高密度・高速実装に対応可能な物性(強度や引張特性)を備えると共に、静電気等に起因する微細な粉塵の付着を防止する機能をも併有していなければならない。特に最近の導電性キャリアテープの分野においては、電子部品自体の技術革新に対応して、薄肉化、細幅化が進んでおり、従来の技術では対応が困難となりつつある。
図面を参照しながら、キャリアテープに求められる性能について説明する。図1は、電子部品用キャリアテープの一部であって、電子部品を搭載した状態を示す模式的平面図である。図2は、図1におけるII−II線の部分拡大断面図である。キャリアテープ10には、その幅方向一方の端部に、長手方向に沿ってキャリアテープを送るための送り穴2が形成されている。送り穴2の反対側の端部には、ポケット3が長手方向に沿って形成されている。ポケット3の中心部には、ポケット穴4が形成されている。また、ポケット3には電子部品5が載置されている。
ここで、キャリアテープ10には、搬送に耐えられる強度(引張破断応力や引張破断伸度)、容易且つ正確にポケット3を形成できる成形性及び寸法安定性、送り穴2やポケット穴4を形成するための穿孔適応性、帯電による電子部品5の破壊が生じないための低い表面抵抗値等が求められている。これらの要求特性のすべては、単一の樹脂組成物、すなわち単層シートでは充足させることが困難である。そこで、例えば厚み方向の中心部を強度に優れる樹脂組成物で形成し、表面は、カーボンブラック等が配合されてなる導電性に優れる樹脂組成物で形成した多層シートが提案された。
特許文献1には、ポリカーボネートを主成分とする樹脂素材に5乃至50重量%のカーボンブラックを配合した表面層を、同じくポリカーボネートを主成分とする樹脂からなる基材層の片面若しくは両面に積層してなるシートが、また、特許文献2には、そのようなシートからなるキャリアテープが開示されている。また、特許文献1及び2には、そのようなシートの表面層の表面抵抗値が10〜1010Ωであることが好ましい旨が記載されている。これは、静電気による電子部品の破壊を防止するためである。特許文献1及び2には、さらに、表面層と基材層との間に別の層を設けてもよいことと、基材層にポリカーボネートの流動性を損なわない程度にカーボンブラックを少量添加してもよいことも開示されている。
特許文献3には、芳香族ポリエーテル系樹脂又はスチレン系樹脂と芳香族ポリエーテル系樹脂との樹脂組成物に5乃至50重量部のカーボンブラックを配合した表面層を、同じく芳香族ポリエーテル系樹脂又はスチレン系樹脂と芳香族ポリエーテル系樹脂との樹脂組成物からなる基材層の片面若しくは両面に積層してなる耐熱性複合プラスチックシートが開示されている。この複合プラスチックシートにおいても、表面層の表面抵抗値が規定されており、その値は1010Ω以下である。また、特許文献3には、「ダイを多層化することにより導電層が表面のみでなく、内部にも導電層を設けた五層化あるいは、それ以上の多層化とすることも出来る。」との記載もある。
特許文献4には、ポリスチレン系樹脂又はABS系樹脂に5乃至50重量部のカーボンブラックを配合した表面層を、同じくポリスチレン系樹脂又はABS系樹脂からなる基材層の片面若しくは両面に積層してなる表面導電性複合プラスチックシートが開示されている。この複合プラスチックシートにおいても、表面層の表面抵抗値が規定されており、その値は1010Ωcm以下である。また、特許文献4には、「基材用として用いる樹脂は、導電層との押出流動特性を合せるため、又製品シートの性能を改良するための添加剤や着色剤等を適量添加することが出来、さらに導電層のスクラップ及びカーボンブラックを機械的強度等の性能が大きく低下させない程度に添加することもできる。」との記載もある。
一方、特許文献5には、半導体部品搬送トレイやキャリアテープに使用できる導電性樹脂組成物であって、体積固有抵抗が10乃至1012Ωcmであるものが開示されている。特許文献5には、この導電性樹脂組成物に使用できる樹脂としてポリカーボネートが例示されており、また、この樹脂組成物にカーボンブラックを添加してもよいことも記載されている。しかし、特許文献5に記載のトレイやキャリアテープは、いずれも単層構造のものであり、特許文献5には多層構造物に関する記載や示唆はない。
特開2005−335397号公報 特許第3756049号公報 特開昭62−18261号公報 特開昭57−205145号公報 特開2006−225648号公報
従来のキャリアテープは、その幅寸法が12mm乃至32mmであったため、厚みに対する幅寸法の比率が大であり、従って、帯電防止の観点からは、表面抵抗値が小でありさえすればよかった。また、このような幅寸法のキャリアテープに求められる強度及び表面抵抗値は、単一の樹脂組成物、すなわち単層シートでも達成可能な場合もあった。単層構造のシートの場合、その表面の帯電性は、表面抵抗値で規定してもよいし、特許文献5のように体積固有抵抗値で規定してもよかった。いずれを選択するかは、単に、工場等における品質管理の都合(例えばいずれの測定装置を所有しているか)によるものであった。
しかし、現在では、技術の進歩により、その幅寸法が8mm以下のキャリアテープも使用されるようになってきた。このようなキャリアテープでは、幅寸法が小さくなったことに伴い、送り穴やポケット穴の寸法も小さくなっている。例えば、幅寸法が8mmの場合、送り穴の直径は1.05乃至1.55mm、ポケット穴の直径は0.3乃至0.5mm程度であり、幅寸法が4mmの場合には、送り穴の直径は1.05乃至1.55mm、ポケット穴の直径は0.2mm程度である。このような細幅のキャリアテープの製造に使用されるシートでは、搬送に耐えられる強度(引張破断応力や引張破断伸度)、容易且つ正確にポケット3を形成できる成形性及び寸法安定性、送り穴2やポケット穴4を形成するための穿孔適応性、帯電による電子部品5の破壊が生じないための低い表面抵抗値等について、従来のより広幅のキャリアテープ用シートに比べ、より高い物性がより厳格に求められるようになってきた。そして、これらの要求特性すべてを充足させるために、特性の異なる樹脂組成物を積層してなる多層シートを採用する必要が生じた。
また、多層シートの場合、理想的な状態、すなわち均一に積層されていれば高い性能を示すものであっても、積層状態にバラツキがあると性能にもバラツキが生じる。従って、細幅のキャリアテープ用多層シートを製造するに当たり、(1)導電機能を担保する表面層の厚みを均一とすることと、(2)各層間の界面を均一(層間乱れがない)とすることとが重要である。また、細幅のキャリアテープの場合、厚みに対する幅寸法の比率が小であり、従って、帯電防止の観点からは、表面抵抗値が小さいだけでは飽きたらず、厚み方向全体(即ち、キャリアテープの側面や、送り穴、ポケット穴の周面)においても、高い帯電防止性能が必要とされることが明らかとなった。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として鋭意研究を行った。その結果、素材としてポリカーボネートを選択し、強度は主として厚み方向中心部のコア層に担わせ、導電性は主として表面層に担わせるが、コア層等の表面層以外の層にも、それらの強度が損なわれない範囲で導電性素材を配合し、且つ、シートの体積固有抵抗値を規定することで、細幅のキャリアテープ用としても使用可能な多層シートが得られることを知見し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる最内層であるコア層と、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる最外層である二つの表面層とを備えるポリカーボネート共押出し多層シートであって、体積固有抵抗値が1014Ω以下であり、表面抵抗値が1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であることを特徴とするポリカーボネート共押出し多層シートに関する。
上記共押出し多層シートは、コア層と各表面層との間に中間層各一層を備え、中間層はカーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなり、且つ、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物のカーボンブラック含有量が表面層≧中間層≧コア層の順である共押出し多層シートをも包含する。
上記共押出し多層シートにおいて、二つの表面層は互いに同一であることが好ましく、二つの中間層も互いに同一であることが好ましい。即ち、コア層の厚み方向中央の平面を中心として、その両側が対称(面対称)であることが好ましい。
上記共押出し多層シートは、引張破断応力(JIS K7127;23℃;50±5%RH)が50MPa以上であることが好ましい。また、引張破断伸度(JIS K7127;23℃;50±5%RH)が50%以上であることが好ましい。
上記共押出し多層シートは、共押出しをフィード・ブロック方式で行い、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の配合が、押出加工温度において、隣接する二つの層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の見掛け溶融粘度が同一となるか又は最内層から最外層に向かって見掛け溶融粘度が順に低くなるように、但し、隣接する二つの層を構成するポリカーボネート樹脂組成物間における見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s(秒−1、以下同様)乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、各ポリカーボネート樹脂組成物の積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることによって得られたものであることが好ましい。このような共押出し多層シートは、層間乱れのない高品質なシートである。ここで、ダイ出口での剪断速度が50 1/s乃至500 1/sとなるような条件で共押出しすることがさらに好ましい。なお、「各ポリカーボネート樹脂組成物の積層合流時からダイ出口までの剪断速度が500 1/s以下となるような条件」、「ダイ出口での剪断速度が50 1/s乃至500 1/sとなるような条件」とは、剪断速度がそのような値となるための、温度、押出量、ダイ幅及びダイ・ギャップ等の条件をいう。
また、本発明は、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法であって、当該多層シートは、コア層と当該コア層の両面に形成された二つの表面層とを備え、体積固有抵抗値は1014Ω以下であり、表面抵抗値は1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であり、当該方法は、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するコア層用のポリカーボネート樹脂組成物Aと、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有する表面層用のポリカーボネート樹脂組成物Bとを、フィード・ブロック方式で共押出しする工程を含み、ここで、ポリカーボネート樹脂組成物A及びBの配合は、押出加工温度において、見掛け溶融粘度が樹脂組成物A≧樹脂組成物Bとなるように、但し、見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、ポリカーボネート樹脂組成物A及びBの積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることを特徴とする、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法に関する。
さらに、本発明は、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法であって、当該多層シートは、コア層と、当該コア層の両面に形成された二つの中間層と、二つの中間層のそれぞれの外側に形成された二つの表面層とを備え、体積固有抵抗値は1014Ω以下であり、表面抵抗値は1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であり、当該方法は、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するコア層用のポリカーボネート樹脂組成物Aと、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有する中間層用のポリカーボネート樹脂組成物Cと、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有する表面層用のポリカーボネート樹脂組成物Bとを、フィード・ブロック方式で共押出しする工程を含み、ここで、ポリカーボネート樹脂組成物A,B及びCの配合は、カーボンブラック含有量が樹脂組成物B≧樹脂組成物C≧樹脂組成物Aの順であり、且つ、押出加工温度において、見掛け溶融粘度が樹脂組成物A≧樹脂組成物C≧樹脂組成物Bとなるように、但し、隣接する層間の見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、ポリカーボネート樹脂組成物A,B及びCの積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることを特徴とする、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法に関する。
本発明により、品質にバラツキが少ない、即ち高品質なシートであって、帯電防止性能にも優れるシートが提供される。このシートは、特に細幅(8mm以下)で過酷な条件下での使用がなされる電子部品用キャリアテープの用途で、優れた性能を発揮する。具体的には、本発明により、細幅であっても高速実装に耐え得る高い強度を有しており、且つ、キャリアテープの生産から電子部品の実装に至るまでのいずれの過程においても発生し得る静電気が、テープの表面のみならず側面においても防止されており、従ってポケット穴がゴミによって閉塞されることのない、安定した性能のキャリアテープが供給されるようになる。また、本発明の製造方法によって本発明のシートを製造すれば、層間乱れのない、特に高品質なシートが提供される。
電子部品を搭載した電子部品搬送用キャリアテープの一部を示す模式的平面図である。 図1におけるII−II線の部分拡大断面図である。
本発明に係るシートは、少なくとも三層構造である。三層構造の場合には、最内層であるコア層と、その両側に位置する二つの表面層からなる。本発明に係るシートは、五層構造や七層構造であってもよい。五層構造の場合には、コア層と各表面層との間に、中間層一層が存在する。七層構造の場合には、コア層と各表面層との間に、中間層各二層が存在する。必要に応じ、コア層の両面において、中間層の数が異なっていてもよい。
本発明のシートの製造においては、ポリカーボネート樹脂組成物を用いる。これは、樹脂の主成分としてポリカーボネートを用いることを意味する。ポリカーボネートは、電子部品搬送体の中で、特に高密度・高速実装に対応可能で且つ導電性を要求されるキャリアテープに好ましい素材である。ポリカーボネートは、強度、精密成形性、耐応力緩和性、寸法安定性、シャープな裁断・穿孔適応性等の諸特性において、特に優れている。しかし、ポリカーボネートと相溶性のある樹脂、例えばAS樹脂、ABS樹脂、PBT樹脂等であれば、樹脂全量中の10質量%以下の範囲内で添加することは可能である。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂組成物は、カーボンブラックを含有する。カーボンブラックには、その製造法により、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等があるが、導電性に優れるファーネスブラックとアセチレンブラックが好ましく、オイルファーネスブラックがさらに好ましい。中でも、高導電性カーボンブラックとして知られているケッチェンブラックEC300J、ケッチェンブラックEC600JDが、少量で優れた導電性を示すので、特に好ましい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂組成物におけるカーボンブラック含有量は、最内層であるコア層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の場合は4乃至7質量%であり、最外層である表面層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の場合は7乃至15質量%である。従って、カーボンブラック含有量は、表面層≧コア層である。また、コア層と各表面層との間に中間層各一層を備える場合には、中間層を構成するポリカーボネート樹脂組成物はカーボンブラックを4乃至7質量%の量で含有し、且つ、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物のカーボンブラック含有量は表面層≧中間層≧コア層の順である。中間層が二層以上存在する場合も同様に、カーボンブラック含有量は、コア層から表面層に向かって、順に多くなる。
コア層や中間層は、本発明に係るシートの物性、例えば強度に大きく寄与する。カーボンブラック含有量が7質量%以下であれば、ポリカーボネートの特徴である高い引張破断伸度、耐磨耗性、成形性等が損なわれない。一方、4質量%未満であると、本発明のシートの体積固有抵抗値が十分に下がらない場合がある。また、表面層については、表面抵抗値を1010Ω以下とするために、7質量%以上のカーボンブラックが必要である。一方、15質量%超のカーボンブラックを添加すると、ポリカーボネート樹脂組成物の粘度が上昇して好ましくない。
また、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物のカーボンブラック含有量を上記のような勾配とすると、後述する共押出し加工において、各層の層厚みが均一となる。
本発明のシートの表面層を除く各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止効果を期待して、界面活性剤が配合されている。界面活性剤は、陽イオン型、陰イオン型、両性及び非イオン型に分類されるが、本発明では、陰イオン型又は非イオン型界面活性剤を用いることが好ましく、陰イオン型界面活性剤を用いることがさらに好ましい。陰イオン型界面活性剤の例としては、モノアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等が挙げられる。
従来、多層シートの基材層(コア層)に添加された界面活性剤は、時間の経過と共に徐々に表面層に移行し、移行に従って基材層の帯電防止性能が徐々に低下するのみならず、表面層に移行した界面活性剤がホコリを吸着して表面を汚染することが知られていた。しかし、本発明においては、界面活性剤が添加されるコア層や中間層には4乃至7質量%のカーボンブラックが存在しているため、界面活性剤はカーボンブラックに吸着され、その表面層への移行が抑制されている。そのため、コア層や中間層が長期間に亘って帯電防止能を示す。
コア層用又は中間層用ポリカーボネート樹脂組成物の界面活性剤含有量は、界面活性剤の有効分濃度で0.1乃至2.0質量%であることが好ましく、0.2乃至1.5質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満では、所望の帯電防止性能が発現されず、一方、2.0質量%を越えると、押出し加工条件によっては加熱による着色や分解によるトラブルが発生する場合があり、又、カーボンブラックの吸着能力を越えて界面活性剤が表面層に移行してしまう場合がある。
本発明に係るシートの製造に使用する各層用のポリカーボネート樹脂組成物は、上記必須成分の他、シート製造用ポリカーボネート樹脂組成物に一般的に使用されている成分、例えばジオクチルフタレートやステアリン酸等の可塑剤、滑剤、安定化剤等も、本発明のシートの性能を損ねない限り、含有していてもよい。
前記したように、本発明のシートの層構成は、少なくとも表面層、コア層、表面層の三層であり、表面層、中間層、コア層、中間層、表面層の五層構造等、最外層である表面層と最内層であるコア層との間に、コア層の表裏各面につき、各々一層以上の中間層があってもよい。
本発明のシートの総厚は100〜300μm、好ましくは130〜200μmである。これは、キャリアテープ材料として適する厚みである。
二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であり、好ましくは33乃至50%である。二つの表面層の厚みの合計が67%を越えると、その厚みの変動(バラツキ)の程度によっては、シートの必要強度が保証できない場合が生じ得る。一方、二つの表面層の厚みの合計が25%未満であると、若干の押出し変動によって表面層の厚みがバラツキ、表面層の厚みが不足する個所が生じたり、又ダイ内壁面等での剪断により、各層間の層間乱れが発生した場合、結果的に表面層の導電機能が不足して品質の保証ができない事態が生じ得る。
本発明のシートは、その体積固有抵抗値が1014Ω以下であり且つ表面抵抗値が1010Ω以下である。なお、体積固有抵抗値及び表面抵抗値は、例えば日置電気株式会社製の絶縁計HIOKI SM−8220に、同じく日置電気株式会社製の平板試料用電極HIOKI SME−8311を繋いで測定する。測定時の温度は23℃、湿度は50±5%RHであり、印加電圧は、体積固有抵抗値の測定の場合には1000V、表面抵抗値の場合には500Vである。
従来は、表面層にカーボンブラックを配合して導電性を付与すれば、得られるキャリアテープは表面抵抗値が低くなり、実装上も問題なく使用することができた。しかしながら、テープ幅が8mm以下と狭く、しかも高密度で超小型電子部品を収納するキャリアテープの場合には、テープの生産から実装まですべての工程中で、静電気に起因すると思われる微細な粉塵の付着の問題が多発した。特にテープ幅が8mm以下の細幅テープにおいては、1.05乃至1.55mmφの送り穴加工や、電子部品を装填する個所であるポケットにおける0.2乃至0.5mmφのポケット穴の加工工程で、また、電子部品の実装工程で、穴の周面における静電気発生に起因したトラブルが多発することが明らかとなった。このように、細幅テープでは、側面部や穴の周面部の表面部に及ぼす影響が大きくなることから、表面層以外の層、即ちコア層や中間層にも、導電性、すなわち帯電防止性能を付与する必要が生じた。
本発明では、上記の問題点を解決するため、先にポリカーボネート樹脂組成物に関する説明の欄に記載したような量で、すべての層にカーボンブラックを添加し、そのシートとしての体積固有抵抗値を1014Ω以下とし、且つ、その表面抵抗値を1010Ω以下としたものである。このような体積固有抵抗値を実現するために、界面活性剤も使用している。
本発明のシートは、引張破断応力が50MPa以上であることが好ましい。また、引張破断伸度が50%以上であることが好ましい。なお、引張破断応力及び引張破断伸度は、JIS K7127に準じ、23℃、50±5%RHの条件にて測定する。引張破断応力や引張破断伸度は、ポリカーボネートの含有量が低下したり、カーボンブラックの含有量が多くなると低下する傾向にある。従って、ポリカーボネート樹脂組成物の処方を決定するに当たり、任意成分を多量に配合しないことや、導電性付与性能の低いカーボンブラックを使用しないことが好ましい。
次に、本発明のシートを製造する際に、品質にバラツキを発生させる要因について説明する。共押出し法によって製造された多層シート製品においては、各層の均一性の欠如に起因して品質のバラツキが発生しがちである。所望の品質を確保するためには、表面層の厚みが均一であること、表面層とコア層、表面層と中間層、中間層とコア層等の各層間の界面が均一であること、すなわち層間乱れがないことが必要とされる。これをフィード・ブロック方式に代表して説明すると、各層を構成する樹脂組成物が合流して多層構造を構成した後ダイ出口までの製膜工程における、各層の見かけ溶融粘度を制御することが重要である。
表面層は、その一方の面(外表面)が、フィード・ブロック内からダイ出口まで、常に金属壁面に接触する状態で移動していくため、その影響を考慮しなければならない。一方、中間層やコア層は、金属壁面抵抗の影響は受けないが、表面層の非壁面側(内表面)や接触する他の層の表面の影響を受けつつ移動していくため、層間界面において、様々な現象が発生する。
上記の現象を検証すべく、以下の実験を行った。実験の前提条件は下記の通りである。
(1)樹脂の押出しには、φ65mm(L/D=32)の押出機を二乃至三台を使用した。
(2)共押出し用フィード・ブロック(以下、「FB」とする)は、二種原料三層構造と、三種原料五層構造を使用した。
(3)ダイ幅は1500mm、平均ダイギャップは0.8mmとし、最小ダイ幅はデッケル調整で1000mmとした。
(4)総押出し量は100kg/時間、150kg/時間の二水準とし、樹脂温度285乃至295℃で押出した。
FB出口、ダイ出口での剪断速度は、γ=6Q/w×h(1/s)で計算される。ここで、wはダイ幅、hはダイ・ギャップである。押出し量Qはm/秒に換算して計算すると、以下の条件となる。
(押出し量100kg/時間、ダイ幅1500mmの場合)
FB出口のγ=10 1/s、ダイ出口のγ=145 1/s
(押出し量150kg/時間、ダイ幅1000mmの場合)
FB出口のγ=15 1/s、ダイ出口のγ=326 1/s
(5)シートの層構造は、三層構造では、表面層:コア層:表面層の厚み比=1:3:1、五層構造では、表面層:中間層:コア層:中間層:表面層の厚み比=1:1:2:1:1とした。シートの総厚みは180μmとした。
(6)製造したシートについて、シート各部位の断面層の状態(以下、「プロファイル」とする)の観察(具体的には、シートを幅方向(TD)に切断し、顕微鏡観察により、各層の厚みに変動がないか、層と層の境界が直線状であるか或いは鋸歯状であるか等を観察する。)、シートの幅方向(TD)端部におけるプロファイルの観察とトリム率の測定、及びシートの幅方向(TD)の異なる位置5カ所(1カ所につきn=3)における表面抵抗値の測定を行い、結果を表1に示した。
(7)ポリカーボネート原料は、ガリバー(商品名、住友ダウ社製、以下、「G」とする)及びパンライトK−1300Y(商品名、帝人化成社製、以下、「K−1300」とする)より任意に選択した。カーボンブラックとしてはライオン社製ケッチェンブラックEC300Jを使用した。
実験に使用したすべての原料は、40mmφの2軸押出し機で溶融混練させ、ペレット化した。実験に先立ち、各層を構成する樹脂組成物について、キャピラリー・レオメータ(島津社製)で、加工の中心温度と思われる290℃の条件で、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)を測定した。
(実験−1)
表面層用樹脂組成物……G301−22:G301−10を70:30(質量)の比率で配合したポリカーボネート樹脂に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。これらの原料を混練しペレット化した後、キャピラリー・レオメータで290℃での剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)を測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=2700Pa・s、γ=100 1/sでのη=1800Pa・sであった。
コア層用樹脂組成物……G301−10を選択し、表面層同様に剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)を測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=1200Pa・s、γ=100 1/sでのη=800Pa・sであった。
これらの樹脂組成物を、二種三層のFBとTダイ(1500mm幅)を用い、押出し量100kg/時間、樹脂温度290℃で押出し、180μm厚のシートを作製した。
(実験−2)
表面層用樹脂組成物……G301−22にカーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。これらの原料を混練しペレット化した後、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を実験−1と同様の方法で測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=1500Pa・s、γ=100 1/sでのη=900Pa・sであった。
コア層用樹脂組成物……K−1300を選択し、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を実験−1と同様の方法でを測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=3100Pa・s、γ=100 1/sでのη=2000Pa・sであった。
これらの樹脂組成物を用い、実験−1と同様の条件でシートを作製した。
(実験−3)
表面層用樹脂組成物……G301−22にカーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。これらの原料を混練しペレット化した後、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を実験−1と同様の方法で測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=1500Pa・s、γ=100 1/sでのη=900Pa・sであった。
コア層用樹脂組成物……G301−6とG301−10を50:50(質量)の比率で配合した。これらの原料を混練しペレット化した後、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を実験−1と同様の方法で測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=1600Pa・s、γ=100 1/sでのη=1000Pa・sであった。
これらの樹脂組成物を用い、実験−1と同様の条件でシートを作製した。
(実験−4)
表面層用樹脂組成物……G301−22にカーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。これらの原料を混練しペレット化した後、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を実験−1と同様の方法で測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=1500Pa・s、γ=100 1/sでのη=900Pa・sであった。
中間層用樹脂組成物……G301−6とK−1300を70:30(質量)の比率で配合した。これらの原料を混練しペレット化した後、剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係を表面層用樹脂組成物と同様の方法で測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=2200Pa・s、γ=100 1/sでのη=1400Pa・sであった。
コア層用樹脂組成物……K−1300を選択し、中間層との識別のため、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の0.2質量%となる量で添加した。剪断速度(γ)と見掛け溶融粘度(η)の関係は、実験−1と同様の方法でを測定した。その結果、γ=10 1/sでのη=3100Pa・s、γ=100 1/sでのη=2000Pa・sであった。
これらの樹脂組成物を、三種五層のFBとTダイ(1500mm幅)を用い、押出し量100kg/時間、樹脂温度290℃で押出し、180μm厚のシートを作製した。
Figure 0005355289
表1中、実験−1の表面抵抗値の欄の「(端部)」は、シート端部の表面抵抗値が1010Ωであったことを意味し、実験−2の表面抵抗値の欄の「(中央部)」は、シート中央部の表面抵抗値が1010Ωであったことを意味する。
尚、実験−4と同一組成で、押出し量150kg/時間、ダイ幅1000mmにデッケル調整し、FB出口の剪断速度γ=15 1/s、ダイ出口の剪断速度γ=326 1/sで押出実験をした結果、実験−4と同一性能のシートが得られることも確認した。
また、実験−3と同一の組成で、押出し量100kg/時間、ダイ幅1500mmの同一押出し条件で、ダイ出口の剪断速度とメルトフラクチャーとの関係を調べた。ダイギャップを徐々に狭めてゆき、表面平滑性の乱れ、層間界面の乱れ、極端な偏肉等を生じた時点で押出しを停止した。このときのダイギャップを測定したところ、0.4mmであった。この時のダイ出口の剪断速度を計算すると、γ=580 1/sであることが判明した。ポリカーボネートにカーボンブラックを配合すると、見掛け溶融粘度が上昇するが、ダイ出口の剪断速度γ=580 1/sではメルトフラクチャーを起こしたので、メルトフラクチャを生じるかも知れない危険域を考慮すると、剪断速度γ=500 1/s以下で押し出すことが好ましい。メルトフラクチャーを起こすと均一な層厚みと層構成が得られ難いので、メルトフラクチャーが生じない条件で押出しを行うことが重要である。
本発明者らが行った上記の各種実験及び表1より、均一な層構成の共押出し多層シートを得るには、以下の加工条件を選択することが好ましいことを見出した。
(1)見かけ溶融粘度に関しては、表面層≦コア層又は表面層≦中間層≦コア層の関係にあることが重要である。これ以外の関係の場合には、実験−1のように端部において表面層が欠けるとか、層間乱れが顕著であるといった不都合が生じ得る。
(2)(1)の条件を満たしても、層間乱れが発生する場合がある。層間乱れを起こさず整流を保ちながらフィード・ブロックやダイ内を複数の層が流れる限界を、各種のポリカーボネートを用い、配合組成を変えて調査・実験した。その結果、メルトフラクチャーを生じない剪断速度γ=500 1/s以下となる条件にて押し出すこと、剪断速度γが10 1/s乃至100 1/sの際、各層間において、樹脂組成物の見掛け溶融粘度の差が1000Pa・s以下となるように、ポリカーボネート樹脂組成物の配合を選択することが必要であることが明らかとなった。実験−1及び実験−2のように、剪断速度γが10 1/s乃至100 1/sにおいて、隣接する各層間における樹脂組成物の見掛け溶融粘度の差が1000Pa・sを超える場合には、層の乱れや層間乱れが生じることがある。
(3)積層流を安定に保つには、ダイ内、特にダイ出口部の積層流の剪断速度、すなわち多層の状態での剪断速度を、50 1/s乃至500 1/sに制御することが好ましい。剪断速度は、多層シート生産時の押出し量Q、ダイ幅w及びダイギャップhの調整により、任意に制御可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例においては、表面層用ポリカーボネート樹脂組成物には、全て9質量%のカーボンブラックを配合した。中間層及びコア層用ポリカーボネート樹脂組成物には、5乃至7質量%のカーボンブラックと0.2乃至1.5%(有効成分濃度として)のアルキルスルホン酸ナトリウム(三洋化成工業社製、ケミスタット3033、以下、「C−3033」とする)を添加した。なお、カーボンブラックとしては、ライオン社製ケッチェンブラックEC300Jを使用した。
共押出し法による加工温度は285乃至295℃を前提とし、剪断速度は10 1/s乃至500 1/sとした。剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの際の隣接する各層間における樹脂組成物の見掛け溶融粘度差は1000Pa以下であり、且つ、見掛け溶融粘度は、表面層≦コア層、或いは表面層≦中間層≦コア層の関係を維持した。
二種三層構造の場合には、表面層:コア層:表面層の厚みの比率を1:3:1とし、三種五層構造の場合には、表面層:中間層:コア層:中間層:表面層の厚みの比率を1:1:2:1:1とした。
Tダイ、フィードブロック法による共押出しには、実験−1で使用した装置を用いた。ダイ幅は1500mm、平均ダイギャップは0.8mm、押出し量は100kg/時間、シート厚みは180μmとした。
実施例として、実施例1乃至4を試作した。比較例1として単層シートを試作し、比較例2及び3として多層シートを試作した。比較例2及び3については、品質のバラツキを考慮し、各層を構成する樹脂組成物の見掛け溶融粘度の調整は、実施例と同様とした。
各試作シートについて、幅方向(TD)に異なる位置5カ所(1カ所につきn=3)から測定用サンプルを切り出し、表面抵抗値及び体積固有抵抗値を測定した。また、引張破断応力及び引張破断伸度については、幅方向(TD)に異なる位置5カ所において、縦方向(MD)試験片(1カ所につきn=3)と横方向(TD)試験片(1カ所につきn=3)とを切り出し、測定を行った。表面抵抗値及び体積固有抵抗値は、日置電気株式会社製の絶縁計HIOKI SM−8220に、同じく日置電気株式会社製の平板試料用電極HIOKI SME−8311を繋いで測定した。測定時の温度は23℃、湿度は50±5%RHであり、印加電圧は、表面抵抗値の場合には500V、体積固有抵抗値の測定の場合には1000Vであった。また、引張破断応力及び引張破断伸度は、JIS K7127に準じ、23℃、50±5%RHの条件下に測定した。得られた結果を表2に示す。更に、スリット機で切断して広幅(12mm、16mm)又は細幅(4mm、8mm)の各試作シートを得、成形加工や高速実装に供し、トラブルの有無等を評価した。得られた結果を表3に示す。
実施例1
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
コア層用樹脂組成物……パンライトK−1300とG301−10を50:50(質量)の比率で配合した。これに、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の5質量%となる量で、またC−3033を樹脂組成物全量中の1.5質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
実施例2
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
コア層用樹脂組成物……G301−10とG301−22を50:50(質量)の比率で配合した。これに、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の6質量%となる量で、またC−3033を樹脂組成物全量中の0.5質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
実施例3
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
コア層用樹脂組成物……G301−10とG301−22を50:50(質量)の比率で配合した。これに、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の7質量%となる量で、またC−3033を樹脂組成物全量中の0.2質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
実施例4
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
中間層用樹脂組成物……G301−10:G301−22を40:60(質量)の比率で配合した。これに、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の7質量%となる量で、またC−3033を樹脂組成物全量中の0.2質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
コア層用樹脂組成物……G301−10とG301−22を50:50(質量)の比率で配合した。これに、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の6質量%となる量で、またC−3033を樹脂組成物全量中の0.5質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
比較例1
実施例1の表面層と同一の素材、即ち、G301−22にカーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で配合したポリカーボネート樹脂組成物を用い、単層構造で押出した。
比較例2
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
コア層用樹脂組成物……パンライトK−1300とG301−6を50:50(質量)の比率で配合した。
比較例3
表面層用樹脂組成物……G301−22に、カーボンブラックを樹脂組成物全量中の9質量%となる量で添加した。
コア層用樹脂組成物……パンライトK−1300とG301−6を50:50(質量)の比率で配合した。これに、C−3033を樹脂組成物全量中の2.5質量%(有効分濃度)となる量で加えた。
Figure 0005355289
Figure 0005355289
実施例1乃至4は、いずれも、優れた帯電防止性能と物性とを示した。これに対し、単層構造の比較例1は、引張破断伸度が小さく、従って細幅テープでは切断トラブルを生じさせた。また、比較例2及び3は、体積固有抵抗値が大きく、従って、細幅テープでは、側面、周面の帯電によるポケット穴等におけるゴミ付着の問題が生じた。

Claims (7)

  1. カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる最内層であるコア層と、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる最外層である二つの表面層とを備えるポリカーボネート共押出し多層シートであって、体積固有抵抗値が1014Ω以下であり、表面抵抗値が1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であることを特徴とするポリカーボネート共押出し多層シート。
  2. コア層と各表面層との間に中間層各一層を備え、中間層はカーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物からなり、そして、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物のカーボンブラック含有量が表面層≧中間層≧コア層の順である、請求項1に記載のポリカーボネート共押出し多層シート。
  3. 引張破断応力が50MPa以上であり且つ引張破断伸度が50%以上である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート共押出し多層シート。
  4. 共押出しはフィード・ブロック方式で行い、各層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の配合は、押出加工温度において、隣接する二つの層を構成するポリカーボネート樹脂組成物の見掛け溶融粘度が同一となるか又は最内層から最外層に向かって見掛け溶融粘度が順に低くなるように、但し、隣接する二つの層を構成するポリカーボネート樹脂組成物間における見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、各ポリカーボネート樹脂組成物の積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることによって得られた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリカーボネート共押出し多層シート。
  5. ダイ出口での剪断速度が50 1/s乃至500 1/sとなるような条件によって共押出しされた、請求項4に記載のポリカーボネート共押出し多層シート。
  6. ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法であって、当該多層シートは、コア層と当該コア層の両面に形成された二つの表面層とを備え、体積固有抵抗値は1014Ω以下であり、表面抵抗値は1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であり、当該方法は、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するコア層用のポリカーボネート樹脂組成物Aと、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有する表面層用のポリカーボネート樹脂組成物Bとを、フィード・ブロック方式で共押出しする工程を含み、ここで、ポリカーボネート樹脂組成物A及びBの配合は、押出加工温度において、見掛け溶融粘度が樹脂組成物A≧樹脂組成物Bとなるように、但し、見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、ポリカーボネート樹脂組成物A及びBの積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることを特徴とする、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法。
  7. ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法であって、当該多層シートは、コア層と、当該コア層の両面に形成された二つの中間層と、二つの中間層のそれぞれの外側に形成された二つの表面層とを備え、体積固有抵抗値は1014Ω以下であり、表面抵抗値は1010Ω以下であり、その総厚は100乃至300μmであり、且つ二つの表面層の厚みの合計は総厚の25乃至67%であり、当該方法は、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有するコア層用のポリカーボネート樹脂組成物Aと、カーボンブラックを4乃至7質量%の量で且つ界面活性剤を0.1乃至2.0質量%の量で含有する中間層用のポリカーボネート樹脂組成物Cと、カーボンブラックを7乃至15質量%の量で含有する表面層用のポリカーボネート樹脂組成物Bとを、フィード・ブロック方式で共押出しする工程を含み、ここで、ポリカーボネート樹脂組成物A,B及びCの配合は、カーボンブラック含有量が樹脂組成物B≧樹脂組成物C≧樹脂組成物Aの順であり、且つ、押出加工温度において、見掛け溶融粘度が樹脂組成物A≧樹脂組成物C≧樹脂組成物Bとなるように、但し、隣接する層間の見掛け溶融粘度の差は、剪断速度が10 1/s乃至100 1/sの範囲内において1000Pa・s以下となるように選択されており、そして、ポリカーボネート樹脂組成物A,B及びCの積層合流時からダイ出口までの剪断速度は500 1/s以下となるような条件で共押出しすることを特徴とする、ポリカーボネート共押出し多層シートの製造方法。
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