JP5354996B2 - 破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品およびその製造方法 - Google Patents

破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車エンジン等の部品として用いられるコネクティングロッド(以下、「コンロッド」と省略することがある)の製造に好適に用いられる鋼に関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関には、ピストンとクランクシャフトとの間を連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝えて回転運動に変換する部品としてコンロッドが用いられている。このコンロッドは、クランクシャフトに組み付けるための略円形の貫通孔を備えた部品であり、この組み付けや保守での取り外しを容易にするために、貫通孔部分が2つの略半円に分離(分割)するように構成されている。分離したコンロッドのうちピストンと直結する側はコンロッド本体と称され、残りはコンロッドキャップと称される。
このようなコンロッドは、例えばコンロッド本体とコンロッドキャップとを別個に熱間鍛造した後、切削による合わせ面の加工を施すことによって製造することができる。なおこの場合、必要に応じてズレを防止するために、ノックピン加工が施されることもある。しかしこうした加工を施すと、材料の歩留まり量が低下する他、多数の工程を経るためにコストが上昇するという問題があった。
そこでコンロッドを一体で熱間鍛造し、機械加工(クランクシャフトに組み付けるための貫通孔形成加工(穴開け加工)やボルト穴加工等)を施した後、貫通孔部分が2つの略半円となるように冷間で破断分割(かち割り加工)し、最後にクランクシャフトを挟んで破断面を嵌合し、ボルトで締結して組立てる方法が行われている。この方法によれば、破断面に対して、切削による合わせ面の加工を施す必要がなくなる。
例えば、破断分割性に優れたコンロッド用鋼として、特許文献1〜3が知られている。特許文献1、2では、Pを積極的に添加することによって破断分割性を高めている。特許文献3では、Tiを含有させ、熱間鍛造時のオーステナイト粒をTiCにより部分的にピンニングして混粒状態とし、破断分割性を確保している。
特開2002−256394号公報 特開2003−113419号公報 特開2005−2367号公報
特許文献1〜3に記載された方法によっても、破断分割性は一定の向上を見せるものの未だ十分なものとはいえない。本発明の目的は、破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品およびその製造方法を提供することにある。
上記の特許文献1、2では、破断分割性を確保するために、Pを積極的に添加することを推奨している。Pは破断分割性の向上には有効なものの、過剰に添加すると熱間加工性が低下する。
そこで本発明者は、熱間加工性を損ねることなく破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品を実現すべく鋭意研究を重ねた。その結果、Nbを必須成分として含有し、旧オーステナイト粒が粗大で、かつJIS G 0551で規定する混粒に該当しない状態であれば、良好な破断分割性を確保することができ、更にPを抑制できるため熱間加工時の割れの発生が低減できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品は、C:0.1〜0.6%(質量%の意味。以下、同じ。)、Si:1.0%以下(0%を含まない)、Mn:0.5〜2.0%、P:0.01〜0.08%、S:0.01〜0.20%、V:0.4%以下(0%を含まない)、Cr:1.0%以下(0%を含まない)、Al:0.05%以下(0%を含まない)、Nb:0.01〜0.1%を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物であり、ミクロ組織において、旧オーステナイト粒の粒度番号が7番以下であるとともに、旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しない点に要旨を有する。
前記コネクティングロッド用熱間鍛造部品は、更に他の元素として(a)Cu:1.0%以下(0%を含まない)、Ni:1.0%以下(0%を含まない)、およびMo:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(b)Bi:0.1%以下(0%を含まない)、Zr:0.2%以下(0%を含まない)、Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、Te:0.1%以下(0%を含まない)、およびREM:0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明のコネクティングロッドは、前記コネクティングロッド用熱間鍛造部品から製造されたものである。
また、本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品の製造方法は、前記成分組成を満たす鋼材を、鍛造前加熱温度を1150℃以上、鍛造終了温度を950℃以上として熱間鍛造し、800℃から500℃までを1.5℃/s以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とするものである。
本発明によれば、Nbを必須成分として含有し、旧オーステナイト粒が粗大(粒度番号が7番以下)で、且つJIS G 0551で規定する混粒に該当しない状態にすることによって、破断分割性に優れたコンロッド用熱間鍛造部品を実現することができる。
本発明のコンロッド用熱間鍛造部品およびコンロッドについて、まずその化学成分組成から説明する。
C:0.1〜0.6%
Cは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保するために必要である。さらに、破断分割性を高めるのにも有効な元素である。そこでC量を0.1%以上と定めた。C量は好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.3%以上である。しかし、C量が過剰であると被削性が低下する。そこでC量を0.6%以下と定めた。C量は好ましくは0.55%以下、より好ましくは0.5%以下である。
Si:1.0%以下(0%を含まない)
Siは、鋼を溶製する際の脱酸元素として有用である。さらに、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を向上させるために有効な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Si量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上とする。しかし、Si量が過剰であると被削性および熱間加工性が低下する。そこでSi量を1.0%以下と定めた。Si量は好ましくは、0.7%以下、より好ましくは0.5%以下である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、MnSを形成することによって鋳造時の割れを防止することができる元素として有用である。さらに、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を向上させるために有効な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Mn量は0.5%以上と定めた。Mn量は、好ましくは0.7%以上、より好ましくは0.9%以上である。しかし、Mn量が過剰であるとベイナイトが生成し、被削性が低下する。そこでMn量を2.0%以下と定めた。Mn量は好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下である。
P :0.01〜0.08%
Pは、コンロッド用熱間鍛造部品の破断分割性を高めるのに必要な元素である。そこでP量を0.01%以上と定めた。P量は、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上(特に0.03%以上)である。しかし、P量が過剰となると熱間加工性が低下する。そこでP量を0.08%以下と定めた。P量は、好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.06%以下である。
S :0.01〜0.20%
Sは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。そこでS量を0.01%以上と定めた。S量は、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.03%以上である。しかし、S量が過剰になると熱間加工性が低下する。そこでS量を0.20%以下とした。S量は、好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.07%以下である。
V :0.4%以下(0%を含まない)
Vは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、V量は好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.05%以上である。しかし、V量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでV量を0.4%以下と定めた。V量は、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。
Cr:1.0%以下(0%を含まない)
Crは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Cr量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。しかし、Cr量が過剰になると被削性が低下する。そこでCr量を1.0%以下とした。Cr量は、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.7%以下である。
Al:0.05%以下(0%を含まない)
Alは、脱酸元素として有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Al量は好ましくは、0.002%以上、より好ましくは0.004%以上である。しかしAl量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでAl量を0.05%以下と定めた。Al量は、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.035%以下である。
Nb:0.01〜0.1%
Nbは、本発明においてコンロッド用熱間鍛造部品の破断分割性を高めるのに重要な元素である。そこでNb量を0.01%以上と定めた。Nb量は、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上である。しかしNb量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでNb量を0.1%以下と定めた。Nb量は、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.07%以下である。
本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品の基本成分組成は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、O、N、As、Sb、Sn、Ti、Bなど)が鋼中に含まれることは、当然に許容される。さらに本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品は、必要に応じて、以下の任意元素を含有していても良い。
Cu:1.0%以下(0%を含まない)、
Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種
Cu、Ni、Moはいずれもコンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保するのに有用な元素であり、必要に応じて含有させてもよい。この効果を十分に発揮させるため、Cu量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。Ni量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。Mo量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。しかし、Cu量は過剰になると熱間加工性が低下し、またコストが上昇する。そこでCu量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。またNi量は、多すぎても効果が飽和し、またコスト上昇を招く。そこでNi量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。さらに、Mo量は過剰になると被削性が低下し、またコストも上昇する。そこでMo量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下(特に0.5%以下)である。
Bi:0.1%以下(0%を含まない)、
Zr:0.2%以下(0%を含まない)、
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
Te:0.1%以下(0%を含まない)、
REM:0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種
Bi、Zr、Ca、Mg、Te、およびREMはいずれも被削性を高めるのに有用な元素である。特にZr、Ca、Mg、Te、およびREMは、MnSを球状化することによって被削性を高める作用がある。この効果を十分に発揮させるために、Bi量は好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.01%以上、Zr量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、Ca量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、Mg量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、Te量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、REM量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上である。しかし、これらの元素はいずれも過剰であっても効果が飽和し、またコスト上昇を招く。そこでBi量は好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.08%以下であり、Zr量は好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.13%以下(特に0.12%以下)、Ca量は好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下(特に0.003%以下)、Mg量は好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下(特に0.003%以下)、Te量は好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下(特に0.03%以下)、REM量は好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下(特に0.05%以下)である。
以上、本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品の成分組成について述べた。
次に本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品のミクロ組織について説明する。
[旧オーステナイト粒の粒度番号:7番以下]
旧オーステナイト粒の粒度番号と破断分割性の関係について図1を用いて説明する。図1は、表1に示すように、Nb量を0.000、0.006、0.015、0.050%と変化させた熱間鍛造後の試験片について、旧オーステナイト粒の粒度番号と破断分割時の寸法変化との関係を整理したものである。
Figure 0005354996
図1によれば、旧オーステナイト結晶粒度が7番以下では寸法変化が十分に低下し、つまり破断分割性が向上することがわかる。また、この効果はNbの添加量が増すにつれて顕著に現れている。そこで旧オーステナイト粒の粒度番号を7番以下とした。より好ましい旧オーステナイト粒の粒度番号は6番以下(特に5番以下)である。旧オーステナイト粒の粒度番号の下限値は特に制限されないが、概ね3番以上であっても良い。
[旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しない]
本発明において、旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しないとは、1視野内(1mm2)において、最大頻度を持つ粒度番号の粒から3以上異なった粒度番号の粒が存在する場合、これらの粒の面積が20%未満であることを意味する。旧オーステナイト粒が混粒に該当しない状態にすることによって、破断分割性のバラツキ(後記する実施例で示すように、破断分割試験を複数回行った時の寸法変化のバラツキで評価する)を抑制することができる。
上記のような組織を有する本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品は、上記成分組成を満たす鋼材を、以下に示す条件で熱間鍛造、冷却することによって製造することができる。
[鍛造前加熱温度:1150℃以上、鍛造終了温度:950℃以上]
本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品は、上記の通りNbを必須元素として含むものである。通常、Nbを添加した鋼はNbの炭窒化物等のピンニング効果により結晶粒が微細化し、高靭性となる。高靭性であると、破断分割時に熱間鍛造部品の変形量が大きくなり、破断分割性に劣るものとなる。
一方、Nbを十分に固溶させ、Nbの炭窒化物によるピンニング効果を発揮させない状態とすると、旧オーステナイト粒を粗大にし、かつJIS G 0551で規定する混粒に該当しない状態とすることができ、バラツキの少ない優れた破断分割性を実現することができる。そこでNbを十分に固溶させ、Nbの炭窒化物が析出しないようにするため、鍛造前加熱温度を1150℃以上、鍛造終了温度を950℃以上と定めた。本発明において、鍛造前加熱温度とは炉の加熱温度を意味し、鍛造終了温度とは鍛造終了時の熱間鍛造部品の表面温度を意味する。
鍛造前加熱温度は、好ましくは1200℃以上であり、鍛造終了温度は、好ましくは1000℃以上である。鍛造前加熱温度、および鍛造終了温度の上限は特に制限されないが、鍛造前加熱温度は1300℃以下、鍛造終了温度は1200℃以下であってもよい。
またNbを十分に固溶させるためには、鍛造前加熱温度での保持時間を200s以上とすることが好ましい。
[800℃から500℃までの平均冷却速度:1.5℃/s以下]
本発明の熱間鍛造部品は、実質的にフェライト・パーライト組織である。800℃から500℃までの平均冷却速度が速くなりすぎると、ベイナイト組織が生成し、破断分割性に劣ったものとなる。そこで800℃から500℃までの平均冷却速度を1.5℃/s以下(より好ましくは1.3℃/s以下)と定めた。このような冷却速度を実現するためには、放冷または空冷を行うのが好ましく、また冷却速度が速くなりすぎる場合には所望の冷却速度となるように保持する工程を設けてもよい。また冷却速度の下限は特に制限されないが、800℃から500℃の冷却速度は0.2℃/s以上であってもよい。
本発明の熱間鍛造部品の組織は、フェライト・パーライト組織のみからなっていてもよいし、その他少量であればベイナイト等の組織を含んでいても良い。フェライトおよびパーライトは、全組織に対して合計で90面積%以上(特に95面積%以上)含んでいることが好ましく、その他の組織は、全組織に対して合計で10面積%以下であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実験例1 成分組成の検討
表2に示す化学組成の鋼を通常の溶製方法に従って溶解し、鋳造、分塊した後、開始温度1050℃、終了温度900℃の圧延を行って、φ50mmの棒鋼を得た。得られた棒鋼を適当な長さに切断した後、鍛造前加熱温度:1200℃、鍛造前加熱温度での保持時間:1800秒、鍛造終了温度:971℃で、厚さ25mmに平潰し熱間鍛造を行い、800℃から500℃までの平均冷却速度が0.57℃/sとなるように冷却した。得られた平板体の特性を以下の様にして調べた。なお、表2において、REMはCe:50%、La:25%、Nd:15%程度を含有するミッシュメタルを用いた。
Figure 0005354996
(1)旧オーステナイト粒の粒度番号、および混粒の有無
平板体のt/4位置(tは板厚)の横断面において、0.63mm2の視野を光学顕微鏡(100倍)で観察し、JIS G 0551に従ってオーステナイト結晶粒度番号および混粒の有無を測定した。結晶粒度番号は、2視野について測定したものの平均値を算出した。混粒の有無の測定は2視野について行った。混粒の有無の判定は、2視野において最大頻度を持つ粒度番号の粒から3以上異なった粒度番号の粒が存在する場合、これらの粒の面積が20%未満である場合を混粒「無」と判定し、その他の場合を混粒「有」と判定した。
(2)破断分割性(寸法変化)
熱間鍛造によって得られた平板体を切削し、図3に示すような試験片に加工した。図3中、(a)は試験片の上面図、(b)は試験片の側面図を示し、aはノッチ、bはボルト穴、cは圧延方向を示す矢印である。試験片は、65mm×65mm×厚さ22mmの板状で、中央はφ43mmの円筒状の孔が抜き取られている。中央の孔の端部には、ノッチa(R0.2mm、深さ0.5mm)が設けられている。また、試験片には圧延方向に沿ってボルト孔b(φ8.3mm)が設けられている。
図4に示すように、試験片6の中央の孔にホルダー3a、3bを通してプレス試験機(1600tプレス)にセットし、プレス速度:270mm/sで、試験片の破断分割を行った。なお試験片の破断速度は、くさび4および5のくさび角が30°であるので、約150mm/sと計算される。そして図5に示すように、破断分割前後の孔径差(L2−L1)を寸法変化として測定し、この寸法変化が0.14mm以下のものを破断分割性に優れると評価した。なお「寸法変化0.14mm以下」は、欧州で使用されているDIN規格のC70S6に相当する成分組成(0.71%C−0.24%Si−0.49%Mn−0.010%P−0.057%S−0.10%Cr−0.009%Al)の鋼材を、鍛造前加熱温度1200℃、保持時間1800s、鍛造終了温度971℃、800℃から500℃までの平均冷却速度0.57℃/sとして、上記の要領で試験片を作成し、破断分割性を評価した値(寸法変化:0.14mm)を基準とした。
結果を表3に示す。
Figure 0005354996
A3、A4、およびA6〜17は成分組成が本発明の要件を満足していたため、混粒がなく、破断分割性が良好だった例である。
A1〜A2、A18、A20、およびA22は、Nbが含有されていないか、Nb量が少なかったため、破断分割性が低下した例である。
A19、A21は、SまたはPが過剰に含有されていたため、鍛造時に割れが発生してしまった例である。
A5は、Nbが過剰に含有されている例であるが、0.1%超のNbを含有しても、破断分割性の効果は他の実施例と同等であり、コスト上昇を招いてしまう。
実験例2 製造条件の検討(1)
0.34%C−0.25%Si−1.06%Mn−0.048%P−0.055%S−0.093%V−0.35%Cr−0.020%Al−0.050%Nbを用い、実験例1と同様にし、表4に示す条件で平板体を作成した。旧オーステナイト粒の粒度番号、混粒の有無、および測定破断分割時の寸法変化について実験例1と同様に測定を行った。寸法変化については、各No.について5サンプル測定した。
結果を表4、図2に示す。
Figure 0005354996
B1は、鍛造条件が適切に制御されているため、粒度番号が本発明要件を満たすものとなり、混粒もないので、バラツキの少ない良好な破断分割性を実現できた例である。
B2、B3は、鍛造前加熱温度および鍛造終了温度が低かった例であり、Nbの炭窒化物によるピンニング効果によって旧オーステナイト粒が微細化して破断分割性が低下するとともに、混粒状態となったため寸法変化量にバラツキが見られた。
B4は、鍛造前加熱温度および鍛造終了温度が低かったため、Nbの炭窒化物の析出により、旧オーステナイト粒が一様に微細化し混粒のない状態となったため、寸法変化量のバラツキは小さかったものの、寸法変化量の値そのものが大きかった、つまり破断分割性が低下した例である。
実験例3 製造条件の検討(2)
0.34%C−0.25%Si−1.06%Mn−0.048%P−0.055%S−0.093%V−0.35%Cr−0.020%Al−0.050%Nbを用い、表5に示す条件で熱間鍛造、冷却する以外は、実験例1と同様にして測定を行った。
結果を表5に示す。
Figure 0005354996
C4〜C8は、本発明の製造条件を満たすため、混粒がなく、破断分割性が良好であった例である。
C1〜C3は、鍛造前加熱温度は本発明の要件を満たすものの、鍛造終了温度が低かったため、粒度番号が大きくなり、破断分割性が低下した例である。
C9は、800℃から500℃までの平均冷却速度が速かったため、ベイナイトが生成し、破断分割性が低下した例である。
図1は旧オーステナイト粒の結晶粒度と、破断分割時の寸法変化との関係を示すグラフである。 図2は鍛造前加熱温度と、破断分割時の寸法変化、および混粒の有無の関係を示すグラフである。 図3(a)は破断分割性試験に用いる試験片の概略上面図であり、図3(b)は前記試験片の概略側面図である。 図4は破断分割試験の方法を説明するための装置概略図である。 図5は破断分割試験前後の試験片の概略上面図である。
符号の説明
1 プレス
2 支持台
3a,3b ホルダー
4,5 くさび
6 試験片

Claims (7)

  1. C :0.1〜0.6%(質量%の意味。以下、同じ。)、
    Si:1.0%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.5〜2.0%、
    P :0.015〜0.08%、
    S :0.01〜0.20%、
    V :0.4%以下(0%を含まない)、
    Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
    Al:0.05%以下(0%を含まない)、
    Nb:0.015〜0.1%を含有し、
    残部は鉄及び不可避的不純物であり、
    ミクロ組織において、
    全組織に対してフェライトおよびパーライトを合計で90面積%以上含み、
    旧オーステナイト粒の粒度番号が7番以下であるとともに、旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しないことを特徴とする破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品。
  2. 更に、
    Cu:1.0%以下(0%を含まない)、
    Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
    Mo:1.0%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。
  3. 更に、
    Bi:0.1%以下(0%を含まない)、
    Zr:0.2%以下(0%を含まない)、
    Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
    Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
    Te:0.1%以下(0%を含まない)、
    REM:0.3%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。
  4. 破断分割前後において測定した寸法変化が0.14mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品から製造されたコネクティングロッド。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の成分組成を満たす鋼材を、
    鍛造前加熱温度を1150℃以上、鍛造終了温度を950℃以上として熱間鍛造し、
    800℃から500℃までを1.5℃/s以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とするコネクティングロッド用熱間鍛造部品の製造方法。
  7. 前記鍛造前加熱温度での保持時間を200s以上とする請求項6に記載の製造方法。
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