JP5352895B2 - 物質分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、欧州のRoHS指令に対応できる製品であるか否かを検査するために、製造ラインや製品形態において、特定の物質を検出するための物質分析装置に関する。
欧州連合(EU)において、電気電子機器に対して、2003年2月にRoHS(「Directive 2002/95/EC of the European Parliam entand of the council of 27 January 2003 on the Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」−「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2003年1月27日付欧州議会・理事会指令2002/95/EC)指令が公布され、2006年7月1日より施行されている。
RoHSの使用制限は、EUの法体系のうち「指令(Directive)」によって、EU加盟国の順守を義務付けている。「指令」とは、発効と同時に加盟国全体に法的拘束力を有する「規則(Regulation)」と異なり、「指令」そのものには法的拘束力がない。EU加盟各国は「指令」が出されると、それを受けて国内法を制定・改正・廃止するなどして指令内容を順守する必要があり、そうした手続き後に初めて法的拘束力が発揮される。
しかしながらこの指令は、EU域内で販売される電気・電子機器の生産から処分に至るすべての段階で、6つの特定有害物質(4つの重金属と2つの臭素系難燃剤)の使用を制限するものであり、EU加盟国企業のみならず、EU域内で製品を販売するEU域外の企業も対象となる。
我が国においては、産業分野では、依然として海外輸出品が大半を占めている。そのため、RoHS指令は、「指令」といえども我が国産業界に多大の影響を及ぼしているのが現状である。近年では、玩具や、部品において有害物質が、検出され、人体への影響が懸念され、国際的な問題となっている。
そのような背景のもと、本件出願人は、特許文献1に記載されているように、既に、自動車用エンジン開発のための燃焼室内計測を行う光着火プラズマ分光計測技術をベースに、高効率、コンパクトで、低コストのマイクロ波アシストのスパーク誘起ブレイクダウン分光法(SIBS)を開発し、提案している。
特開2007−113570公報
従来の物質分析装置は、高価である(例えば、600万円乃至1400万円)ばかりでなく、判定時間が数十秒乃至数分のオーダーであるため、製造ラインのようなオンラインでの検出は困難である。
本件出願人が先に提案しているマイクロ波アシストのスパーク誘起ブレイクダウン分光法(SIBS)を、物質分析装置に適用することができれば、簡便、かつ、高速に特定の物質を検出することができる物質分析装置を構成することができる。
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、例えば、欧州のRoHS指令に対応できる製品であるか否かを、製造ラインや製品形態において、簡便、かつ、高速に検査し、規制値以上のものをスクリーニングすることができる物質分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係る物質分析装置は、前述のような不都合を改善するため、スパークプラグにより発生させたマイクロプラズマをマイクロ波によりアシストするマイクロ波併用SIBSを用いている。スパークプラグと小型のマイクロ波発生装置とを組合せることにより、安価、かつ、容易にプラズマを発生させ、被測定物の一部をプラズマ化させ、発光分析により、例えば、RoHS物質などの特定の物質を検出し、規制値との比較評価を高速で行うことができる。
すなわち、本発明に係る物質分析装置は、以下の構成のいずれか一を備える。
〔構成1〕 高電圧放電により生成したマイクロプラズマを電磁波エネルギでアシストし被測定物の少なくとも一部を励起またはプラズマ化させる電磁波併用プラズマ生成手段と、分光分析手段とを備え、プラズマ生成手段によりプラズマを生成し、被測定物の少なくとも一部をプラズマ化させ、分光分析手段による励起光または発光の分光分析により、特定の物質を検出することを特徴とするものである。
〔構成2〕 構成1を有する物質分析装置において、電磁波エネルギは、マグネトロンで発生させることを特徴とするものである。
〔構成3〕 構成1、または、構成2を有する物質分析装置であって、複数の観測領域からの光をそれぞれ集光する複数の集光手段と、集光手段からの光を受けるように集光手段にそれぞれ接続された複数の分光手段と、分光手段の各々により波長分散された光を波長成分ごとに検知する検知手段と、検知手段による検知結果に対する解析処理を行うための演算手段とを備え、演算手段は、検知手段による検知結果を時分割し、各観測領域における各時刻の検知結果に対し解析処理を行うことを特徴とするものである。
〔構成4〕 構成3を有する物質分析装置において、さらに、各観測領域において生起する現象とその現象が生起する時間帯との関係を表す対応表を予め準備し、演算手段は、検知結果を時分割により生成される各観測領域及び各時刻の検知結果を、現象ごとに分別して解析処理を行うことを特徴とするものである。
〔構成5〕 構成1乃至構成4のいずれか一を有する物質分析装置において、電磁波併用プラズマ生成手段における放電のための電極及び電磁波エネルギ供給のためのアンテナと、分光分析手段における集光のための光学系とは一体化され被測定物に接近配置されるプローブを形成していることを特徴とするものである。
構成1を有する本発明に係る物質分析装置においては、マイクロ波併用プラズマ生成手段により被測定物の少なくとも一部をプラズマ化させ、分光分析手段による発光分析により、特定の物質を検出するので、例えば、欧州のRoHS指令に対応できる製品であるか否かを、製造ラインや製品形態において、簡便、かつ、高速に検査し、規制値以上のものをスクリーニングすることができる。
構成2を有する本発明に係る物質分析装置においては、マイクロ波エネルギは、マグネトロンで発生させるので、装置を安価に構成することができる。
構成3を有する本発明に係る物質分析装置においては、演算手段は、検知手段による検知結果を時分割し、各観測領域における各時刻の検知結果に対し解析処理を行うので、時間的、空間的に分割した解析を行うことができる。
構成4を有する本発明に係る物質分析装置においては、演算手段は、検知結果を時分割により生成される各観測領域及び各時刻の検知結果を、現象ごとに分別して解析処理を行うので、現象ごとに、時間的、空間的に分割した解析を行うことができる。
構成5を有する本発明に係る物質分析装置においては、被測定物の近傍に配置されるべき電極、アンテナ及び集光のための光学系とが一体化されプローブを形成しているので、製造ラインへの組込みや、手持ちでの分析等に容易に適用できる。
すなわち、本発明は、例えば、欧州のRoHS指令に対応できる製品であるか否か等を、製造ラインや製品形態において、簡便、かつ、高速に検査し、規制値以上のものをスクリーニングすることができる物質分析装置を提供することができるものである。
本発明は、小型、簡便、安価でオンライン組み込みが可能な物質分析装置を提案するものである。
計測手法は、スパーク誘起ブレイクダウン分光法(SIBS)と、電磁波とを組み合わせた電磁波応用SIBSを用いる。SIBSは、高電圧放電によりプラズマを生成し、プラズマによりサンプルを原子化、励起し、その発光を計測することでサンプル中に含まれる物質を計測する手法である。
高電圧放電により生成したプラズマに電磁波を供給することで、プラズマが電磁波のエネルギを吸収し、プラズマの拡大が生じる。この電磁波応用SIBSでは、通常のSIBSでは得られないような発光強度の強いプラズマを得ることが可能である。電磁波を用いることで、小さな放電エネルギ(<50mJ)でプラズマ生成が可能であり、大きな電極や、大容量高圧電源が不要である。
また、電磁波発生には、電子レンジ用として高効率なものが安価で流通しているマグネトロンを使用することができる。従って、システムの簡素化、低コスト化が可能である。
〔第1の実施の形態〕 以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る物質分析装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明に係る物質分析装置1000は、放電によるプラズマ形成のためのエネルギ投入を行う第1の投入エネルギ源1001と、プラズマの調整及び持続のためのエネルギ投入を行う第2の投入エネルギ源1002と、第1の投入エネルギ源1001及び第2の投入エネルギ源1002からのエネルギの入力を受けてプラズマを形成するプラズマ形成部1003とを備えている。
プラズマ形成部1003には、複数の集光器及び光ファイバからなる集光部1005が接合されている。集光部1005が集めた光は、分光部1006により波長分散される。分光部1006が波長分散させた光は、検知部1007により受光され、光電変換される。検知部1007による光電変換で生じる電気信号は、信号処理部1008によりデジタルデータに変換される。信号処理部1008の出力するデジタルデータは、演算部1009により蓄積される。演算部1009は、所定のアルゴリズムに従った演算処理により、前記デジタルデータに対応する結果を出力する。また、物質分析装置1000の各部の動作は、制御部1010により、統合制御される。
制御部1010は、外部からの指令に応答して動作し、予め定められたタイミングで、物質分析装置1000の各部に制御信号を与える。制御信号は、具体的には次のような信号である。すなわち、制御部1010は、第1の投入エネルギ源1001に対しては、制御信号として所定の時間電圧信号を印加する。また、制御部1010は、第2の投入エネルギ源1002に対しては、制御信号として動作の開始信号及び終了信号を印加する。制御部1010は、検知部1007に対しては、光電変換の開始信号と終了信号とを与える。光電変換の開始信号の印加時刻は、遅くとも第1の投入エネルギ源1001への電圧信号印加の終了時刻以前である。制御部1010は、演算部1009に対しては、上述した各制御信号の印加動作のうち、少なくとも最先の動作の実行時に、演算部1009に対し通知を行う。
なお、これら制御部1010の各機能は、いずれもコンピュータハードウェア、該コンピュータハードウェア上で実行されるプログラム及びコンピュータハードウェアにより読出または書込可能なデータにより実現される。これら各機能及び動作は、この明細書の記載に基づき、当業者であればプログラムで実現することができる。そうしたプログラムもまた1つのデータであり、記憶媒体に記憶させて流通させることができる。
図2は、第1の投入エネルギ源1001の構成を示すブロック図である。
第1の投入エネルギ源1001は、図2に示すように、npn型トランジスタからなりベースが制御部1010に接続されエミッタが接地された点火スイッチ1021と、一次側の端子の一方が直流電源1020に接続され他方が点火スイッチ1021のコレクタに接続された点火コイル1022と、点火コイル1022の二次側に接続された整流器1023と、整流器1023の後段においてプラズマ形成部1003への接続を担うコネクタ1024とを備える。
点火スイッチ1021のベースに制御信号が印加されると、点火コイル1022の一次側に電流が流れ、点火コ
イル1022内の磁場が変化し電荷が蓄積する。この状態で、点火スイッチ1021のベースへの電圧印加を終了すると、電荷は、点火コイル1022の二次側に流入し、二次側において接地側とコネクタ1024側との間に高い電位差が生じる。これにより、高電圧の点火信号が発生する。
図3は、第2の投入エネルギ源1002の構成を示すブロック図である。
第2の投入エネルギ源1002は、図3に示すように、電力の供給を受けて発振し所定周波数の電磁波を発生する発振器1030と、制御部1010からの指令に従い発振器1030へ電力を供給する給電装置1031とを備える。発振器1030は、帰還型、弛緩型のいずれであってもよい。また、いわゆる高周波発電機であってもよい。なお、2.45GHz発振のマグネトロンは、安価でかつ高出力であり、発振器1030として好適である。
給電装置1031は、使用する発振器1030に合わせて適宜選択すればよい。ただし、給電装置1031は、制御部1010からの指令に従い、少なくとも発振器1030への給電の開始及び終了を行うものであることを要する。給電装置1031として、インバータ方式のパルス電源装置を用いてもよい。
第2の投入エネルギ源に指令信号を印加すると、給電装置1031が、発振器1030へ給電を開始する。発振器1031は、この給電を受けて発振し、電磁波を発生し出力する。指令信号の印加を終了すると、給電装置1031は給電を終了し、発振器1030は、発振を終了する。なお、第2の投入エネルギ源1002による電磁波の発生は、連続的であってもよく、また、断続的であってもよい。
図4は、プラズマ形成部1003の構成を示す斜視図である。
プラズマ形成部1003は、図4に示すように、概ね棒状の導電体からなり、この導電体の中心軸に沿って、一端においてコネクタ1024(図2参照)に接続される陰極1040と、陰極1040の両端を露出させて陰極1040を取り囲む碍子1041とを備えている。また、プラズマ形成部1003は、碍子1041を介して陰極104から離間配置された導電体からなる陽極1042と、碍子1041及び陽極1042を貫通する同軸線路からなる電磁波伝送路1043と、電磁波伝送路1043に接続されたアンテナ1044とを備えている。
図4においては、陽極104は、陰極104、碍子104及び電磁波伝送路1043をとり囲むように概ね筒状に形成されたボディ1050と、陰極104先端及びアンテナ1044を囲むようにボディ1050に螺合された導電体製のキャップ1051とを備えている。キャップ1051は、螺合部分と反対側が窄められた筒状の形状をなしており、窄められた側の噴出孔(以下、「開口」と呼ぶ。)1052を介して、キャップ内外の空間が連通する。キャップ1051は、陰極1041と開口1052付近で絶縁距離が最短となる。キャップ1051の開口1052付近の部材は、開口1052に近づくに従いに肉薄になるよう成型される。さらに、キャップ1052は、微粒化若しくは気化された試料、または、プラズマのワーキングガスを導入するための開閉自在の導入孔1053が設けられている。
試料は、導入孔1053よりキャップ105より導入され、開口1052より排出される。または、キャップ105より外側の開口1052付近の空間に配置される。この試料は、固相、液相、気相のいずれであってもよい。また、それらの相の組合せによる混相流を形成していてもよい。また、試料は、単原子からなるものであっても、複数種類の原子が混合するものであっても、複数種類の原子が分子を構成しているものであってもよい。
プラズマ形成部1003が第1の投入エネルギ源1001から高電圧の印加を受けると、放電が行われる。すなわち、陰極1040と陽極104との間に強い電場が生じ、陰極1040先端より電子が放出される。放出された電子は陽極側に引かれ、さらに、周囲の物質と衝突する。この衝突のエネルギを受けた物質は、電離し、または、励起する。その結果、陰極1040の先端とキャップ1051の開口1052付近の壁面との間にある物質が絶縁破壊する。放電は、まず急激な容量放電が行われ、その後緩慢な誘導放電が行われる。
電離する物質が複数原子からなる分子であれば、まず、一または複数の原子からなるイオンが生成される。放電が持続すると、電離により生じたイオンは、さらに原子レベルにまで電離される。放電によるプラズマの辺縁付近、または、放電が緩慢な誘導放電に移行し徐々に終了に近づく時間帯では、電子密度が低く、電離より励起が優位になる。その結果、複数原子からなる分子が存在していた場合、分子内の電子に軌道遷移が生じ、すなわち、励起される。さらに放電が持続すると、プラズマの存在する領域が加熱し高温になる。その結果、プラズマ内またはその周囲において熱励起が行われる。このように、電離または励起した物質は、その後電子軌道の遷移等により発光する。このとき、微粒子が存在すると、光が散乱する。
放電が行われている期間内に、プラズマ形成部1003が第の投入エネルギ源100から電磁波の入力を受けると、この電磁波は、アンテナ1044よりキャップ内に放射される。電磁波は、プラズマ内の荷電粒子にエネルギを与える。荷電粒子、特に電子は、エネルギを受けて加速され、他の物質と衝突しその物質を電離させる。電離により生じた電子もまたエネルギを受けて加速する。この連鎖により、いわゆる電子雪崩によるプラズマ拡大が行われる。すなわち、雪崩式に物質のプラズマ化が進展し、プラズマの形成される領域が拡大する。この拡大過程においても、イオンレベルから原子レベルへの電離が進展し、この順で発光が優位になる。また、電子密度の低い辺縁部や、終了間際の時間帯では、電離より励起が優位になり、分子発光が生じる。
導入孔1053を閉止した状態で電磁波によるエネルギ供給が持続すると、そのエネルギによりキャップ1051内が加熱され、キャップ1051の内部の圧力が上昇する。キャップ1051の内部と外部との間で圧力差が生じると、キャップ内1051内の物質及びプラズマが開口1052より噴出する。プラズマが噴出した空間に物質が存在すると、その物質もまたプラズマ内の荷電粒子に曝露され、電離または励起する。
電磁波の供給に変化を与えると、プラズマが噴出する領域の体積、プラズマの噴出の持続時間及びプラズマの温度が変化する。すなわち、第2の投入エネルギ源1002に対する制御により、プラズマが噴出する領域の体積、プラズマの噴出時間、及びプラズマの温度が調整される。また、キャップ1051及びその開口1052付近の部材形状に応じて、噴出により形成されるプラズマ領域の形状が変化する。すなわち、キャップ1051及びその開口1052付近の部材形状により、プラズマ領域の形状を調整することができる。
ここで、プラズマ内及びプラズマ周辺での発光は、微視的には、上述のとおり種々の現象による発光の組合せであることに着目する。複数の部分(以下、この部分を「観測領域」と呼ぶ。)に分けて集光を行い、その光の分光測定及び演算を行えば、各観測領域での現象に応じた演算を行うことが可能になる。そこで、本実施形態では、集光部1005は、プラズマ形成部1004が形成するプラズマに起因する発光を、複数の導光路に分けて集光を行う。
図5は、キャップ1051の断面及び集光部1005の概略構成を示す断面図である。
集光部1005は、図5に示すように、キャップ内部、キャップ外部、及び、開口1052の各部からの光をそれぞれ観測領域ごとに集光する。集光部1005は、キャップ1051内に開口1052付近まで挿入された複数の光ファイバからなる導光路1061と、光ファイバの各々の先端からキャップ1051の外面までの部分にそれぞれ配置され観測領域からの光を対応する光ファイバ内へ導く集光器1062とを備えている。集光器1062は、具体的には所定点に焦点を有するミラー、レンズ、または、これらの組合せにより構成された光学系である。この光学系は、カセグレン式の光学系のように複数のミラーを組合せたものであってもよい。さらに、カセグレン式の光学系の主鏡と副鏡との間を透光性の媒質で満たものであってもよい。
集光器1062は、図5に示すように、一の光ファイバに対し一の光学系を配置する構成であってもよく、複数の光ファイバに対し一の光学系を配置する構成であってもよい。なお、観測領域は、放電の生じる領域から遠ざかるように列をなしていることが望ましく、その列は複数列であってもよい。なお、高い空間分解能を要しない場合は、集光器1062を介することなく、光ファイバの端部から直接に測定対象の光を導入するようにしてもよい。
ここで、プラズマ内及びプラズマ周辺での発光は、時間方向に細分化すれば種々の現象による発光の組合せであることに着目する。集光された光を時間方向に分けて分光測定及び演算を行えば、その領域でその時間帯での現象に応じた演算を行うことが可能になる。そこで、本実施形態では、集光部1005は、プラズマ形成部1004が形成するプラズマに起因する発光を時間方向に分割可能な形態で分光測定する。
再び図1を参照して、分光部1006は、集光部1005の光ファイバからそれぞれ光を受けるよう接続された複数の分光器1071A,・・・,Nを備える。分光器1071A,・・・,Nは、波長分散を回折格子によって行うものであっても、プリズム等の屈折素子で行うものであっても、また、複数段のフィルタまたはダイクロイックミラーによって行うものであってもよい。
検知部1007は、分光器1071A,・・・,Nが波長分散させた光を受光するように分光器1071A,・・・,Nの各々に対し設置された光センサアレイからなる。光センサアレイは、分光器1071により波長分散された光の経路上に配置された少なくとも一列の光電変換素子列を有する。この光電変換素子列を構成する光電変換素子は、例えば、電界結合素子(CCD)、相補性金属酸化膜半導体素子(CMOS)等の固体撮像素子を用いたものであってもよく、フォトダイオード、フォトトランジスタ等を用いたものであってもよい。また例えば、光電子増倍管(PMT)や撮像管等を用いたものであってもよい。ただし、本実施形態においては、現象の進展に従い、検知部1007において受光された光について、時間方向及び空間方向に細分化した演算を行うことになる。したがって、検知部1007には、時間応答性及び感度の少なくとも一が高い光電変換素子を選ぶことが好ましい。これら光電変換素子の動作の開始及び終了は、制御部1010からの光電変換の開始信号と終了信号に従い行われる。なお、光電変換素子列は必ずしも一列であることを要しない。例えばマトリクス状に配置されていてもよい。
なお、分光部1006及び検知部1007は、時間方向の分解を行うためにいわゆるカイネティックモードで動作するものであってもよい。この場合、分光部1006を構成する光学系及び検知部1006の光電変換素子は、カイネティックモードでの動作を行うための種々の構成及び配置をとる。これらについては周知であり、ここではその説明を行わない。
信号処理部1008は、具体的には、マルチチャネルのA/Dコンバータである。信号処理部1008の各チャネルは、光センサアレイに対応する。検知部1006を構成する各光電変換素子の出力信号の強度をデジタルデータに変換し出力する。この際、信号処理部1008は、信号を出力した光センサアレイごとに、及び、信号の入力時刻ごとにデジタルデータをデータセットとしてまとめ、各データセットにチャネルを表すデータと信号の入力時刻を表すデータとを付与し出力する。一のデータセットは、このデー
タと対応関係にある分光器が受けた光の分光スペクトルを表す。すなわち、このデータセットは、プラズマの形成領域及びその近辺の領域のうち、このデータセットと対応関係にある部分からのある時刻の光に含まれる各波長帯域成分の強度を表すものとなる。
以下、演算部1009による演算処理について説明する。なお、以下に示す演算部1009の各機能は、いずれもコンピュータハードウェア、該コンピュータハードウェア上で実行されるプログラム及びコンピュータハードウェアにより読出または書込可能なデータにより実現される。これら各機能及び動作は、この明細書の記載に基づき、当業者であればプログラムで実現することができる。そうしたプログラムもまた1つのデータであり、記憶媒体に記憶させて流通させることができる。
図6は、演算部1009の機能的構成を示すブロック図である。
演算部1009は、図6に示すように、制御部1010による通知の受理時刻を計数し記憶する計時部1080と、データセットに付与された入力時刻に基づき各データセットに対し受理時刻からの経過時間を表すデータを付与し出力する経過時間付与部1081と、経過時刻付与部1081が出力するデータセットを蓄積する記憶部1082とを備えている。
記憶部1082には、蓄積されるべきデータセットの他に、チャネルごとに経過時間とそのチャネルに対応する領域での発光に関わる現象との関係を表した対応表1083が予め準備され格納されている。対応表1083は、上述したチャネルごとに、各時刻において、行われている現象がイオンの発光、原子の発光、分子の発光、散乱、制動輻射、熱励起、荷電粒子の衝突による励起等のいずれかであるかを示す。これら対応表に掲載される現象は、この物質分析装置1000の使用環境及び試料に応じて適宜選択すればよい。
演算部1009はさらに、各現象に対応する解析処理を行う複数の解析部1084A,・・・,Mと、対応表1083に基づき、記憶部1082に蓄積された各データセットに対応する現象の判別を行う判別部1085と、判別部1085による判別結果に基づきデータセットを解析部1084A,・・・,Mに振分けるセレクタ1086とを備えている。
解析部1084A,・・・,Mは、担当の解析処理を行う際に参照される較正曲線、検量線、化学種ごとの発光スペクトルパタン等の参照情報1090と、データセット及び参照情報1090の照合等により、担当の解析処理の結果を生成する照合部1091と、結果生成部1091による処理結果を統合して出力する出力部1092とを備えている。例えば、イオン発光に対応する解析部の参照情報1090は、イオンの同定の際に参照されるスペクトルパタン、イオンの定量のために参照される検量線、各ピークの高さ若しくは高さの比、幅、持続時間、または、ピーク波長のズレなどスペクトルの特徴と、イオンの濃度、混合割合、温度等の物理的な状態との関係を表す校正曲線等、イオンの発光に関する情報を含む。
照合部1091は、対応する参照情報のみを与えられたデータセットとの照合の対象として照合の処理を実行し、結果として、データセットに対応する観測領域及び時刻における成分同定、定量、物理的状態の推定等を行う。成分同定、定量、物理的状態の推定等については、周知の種々の方法を用いればよい。その方法は、多変量解析、パタンマッチング等の算術的な手法を用いたものであってもよい。
出力部1092は、各データセットに対する照合部1091の処理の結果を受け、それらの積算、平均、または、種々の統計処理を行い、その結果を出力する。照合部1091により出力される結果は、プラズマを契機に生じた特定の現象についての解析結果となる。
〔好ましい作用効果〕 以上のように、本実施形態においては、電磁波による放電プラズマへのエネルギ供給とキャップからのプラズマの噴出し機構とにより、プラズマが拡大、持続、安定化する。そのため、各観測領域での現象の時間方向での進展が予測可能になる。また、プラズマ内及びプラズマ近傍の光の情報を観測領域ごとに及び時間方向に分解して処理を行うことが可能になる。そして、各観測領域での現象の時間方向での進展の予測に基づき、各時刻における各観測領域からの光の情報が、どの現象に対応するものであるかが推定可能になる。さらに、この推定に基づき、光の情報を時間、空間に関わりなく現象ごとに分別できる。
現象ごとに分別された一群の情報に対し、その現象に対応する解析処理を行うことにより、較正曲線等や検量線等の情報とスペクトルとの組合せの数が低減する。したがって、解析処理が高速化する。また、複数の現象による光の情報同士の干渉が回避されるため、より高品位の解析が可能になる。さらには、現象ごとにスペクトルを分別して処理を行うため、例えば、タンパク質や糖など分子構造が容易に変化する試料に対しても、放電に起因するプラズマを利用した分析が可能になる。
また、本実施形態に係る物質分析装置1000においては、キャップにより電磁波がキャップ内に閉じ込められ、外部への電磁波の漏洩が抑制される。そのため、電磁波の影響を受けやすい試料や設置場所に対しても適用可能である。また、実質的には、プラズマ形成部1003及び集光部1005からなるセンサプローブの部分を、内燃機関用のスパークプラグと同程度のサイズで構成可能である。手持ち式のシステムやロボットアーム等に搭載するなど、種々の使用条件に適用可能となる。
また、上述の実施形態においては、放電と電磁波放射によりプラズマの形成、制御、維持を行っている。放電と電磁波放射の制御は、電気回路によって実現可能であり、機械的な制御器を要しない。そのため、Qスイッチ等により入切を行うレーザ光を用いるものより高応答のシステムを構築することが容易である。
また、本実施形態に係る物質分析装置1000によれは、電磁波によってプラズマの拡大を行う。プラズマの体積が増大する分、集光・分光により得られる情報量が増大する。そのため、高精細、高品位の解析が可能になる。
〔第1の実施の形態の変形例〕 上述の実施形態では、第1の投入エネルギ源1001は、一般的な内燃機関用の点火信号源と同様の構成を有するものであったが、本発明はこのようなものには限定されない。例えば、電源電圧が十分に高ければ、点火コイルによる昇圧を行わなくてもよい。また、放電のためのエネルギは、必ずしも直流であることを要せず、交流であってもよい。
第2の投入エネルギ源1002は、マグネトロン等の発振回路を用いた電気的な発振により生じる電磁波をプラズマ形成部1003に供給したが、本発明はこのようなものには限定されない。例えば、レーザ光、放射線等を供給するものであってもよい。
上述の実施形態では、プラズマ形成部1003は、第1の投入エネルギ源1001からのエネルギと第2の投入エネルギ源1002からのエネルギをプラズマの形成される領域まで別々の経路で伝送した。しかし、本発明はこのようなものには限定されない。例えば、第1の投入エネルギ源1001からのエネルギと第2の投入エネルギ源1002からのエネルギとを同一の経路に重畳して伝送するようにしてもよい。
上述の実施形態では、現象ごとに解析処理の結果を総合して出力したが、本発明はこのようなものには限定されない。現象の時間変化、または、現象の空間分布に関し、知見を得たければ、照合部1091による解析処理の結果を総合することなく出力すればよい。または、時間ごと若しくは観測領域ごとに解析の結果を再編成して出力するようにしてもよい。例えば、照合部1091による解析処理の結果を総合することなく出力しておけば、プラズマの広がり速度や、プラズマの消滅現象の時間進展について知見を得ることができる。また、このような、総合することなく出力した情報に基づき、対応表1083の修正・変更を行ってもよい。
上述の実施形態では、物質分析装置1000は、制御部1010から各部への一方向のプロセス制御により動作した。しかし、本発明は、このようなものには限定されず、演算部1009による演算処理の結果を制御部1010の制御にフィードバックしてもよい。フィードバック制御により、時間遅れ、プラズマの規模の調整や、SN比の向上を制御目標とするエネルギ投入動作の最適化等が可能になる。また、例えば、集光部1005のプラズマを臨む面に汚れが付着したことを検出する解析を行い、その結果をフィードバックするようにしてもよい。さらに、電磁波放射の強度等を変更するよう制御することにより、プラズマ自体、または、プラズマ発生に伴い生じる衝撃波等を用いて汚れを除去するようにしてもよい。
なお、本実施形態に係る物質分析装置1000は、内燃機関の作動流体の計測に用いてもよい。この場合、プラズマ形成部1003及び集光部1004は、例えば、燃焼器内、シリンダヘッド、シリンダー壁、エグゾーストパイプ、キャタリストの中など、作動流体の通過する領域のいずれに配置することも可能である。作動流体の流れは乱流であっても、層流であってもよく、またその流速は高速であっても低速であってもよい。流速に変化があってもよく、また定常であってもよい。この場合、解析は、内燃機関に関する結果を得るようなものを選べばよい。例えば、エンジンの性能、および搭載条件、燃料条件、酸素濃度、酸素圧力、空気圧、空気水分、誘電率、燃料種または混入する不純物、塵や重金属や煤などの浮遊物、温度(電子温度、回転温度、振動温度、励起温度等)、残留または還流した排気の濃度若しくは温度若しくは圧力、サイクル変動、気筒間変動、作動流体の脈動現象、流路壁面またはフィルタ等への堆積物、オイル等の劣化状態等に関する解析を行うようにしてもよい。さらに、これらの解析結果を内燃機関の制御器に与え、内燃機関の制御に利用するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態において、解析に供されるデータセットは、1回のプラズマ形成で生じる光の分光分析結果に対応するもののみであってもよく、また、複数回のプラズマ形成で生じる光の分光分析結果に対応するものであってもよい。例えば、複数回のプラズマ形成で生じる光の分光分析結果を用いて解析を行い、その結果の積算などを行えば、SN比を実効的に向上させることができる。また、放電回数と電磁波の放射回数とは、必ずしも1対1の対応関係になっていることを要せず、一回放電に対し複数回に亘り電磁波の放射を行ってもよい。また、電磁波を放射している期間内に複数回に亘り放電を行うようにしてもよい。この場合、放電を行うたびに放電の位置を変えるようにしておけば、プラズマの位置を変化させることができる。
なお、キャップ内では、壁面での反射により迷光が生じ、これが分光分析の妨げとなる場合がある。これを低減するために、キャップ内壁に対し、塗装、エンボス処理等を行ってもよい。塗装を行う場合、塗料には、低反射率の塗料を用いてもよく、また、光を吸収して特定波長の蛍光を発する蛍光塗料を用いてもよい。蛍光塗料を用いる場合、解析処理の際に、蛍光塗料の発する蛍光の波長成分について処理対象から除外してもよい。
〔小型プラズマプローブ装置〕 RoHS規制等に対応するべく全数検査等を行うためには、プラズマ形成部1003が製造ラインへの組み込みが可能な程度に小型化されていることが好ましい。そこで、本発明の発明者は、プラズマ形成部1003及び集光部1005の機能を備える小型プラズマプローブ装置を開発した。この小型プラズマプローブ装置は、マイクロ波放射アンテナ、スパーク放電電極、光学センサをユニット化し、マイクロ波プラズマの生成と計測を単体のプローブ装置で行えるようにしている。
この小型プラズマプローブ装置において、マイクロ波を効率よく伝送し、スパーク放電電極で発生するマイクロプラズマにマイクロ波エネルギを吸収させるためのプローブ先端
部各部品の形状及び材質については、電界シミュレーションを行い、マイクロ波アンテナ、電界集中のためのスパーク放電電極等の最適化設計を行えばよい。また、各種物質の検出が容易なように、各物質の発光特性が極大となるようなプローブ設計を行う。さらに、この小型プラズマプローブ装置は、小型化しても、耐久性、耐熱性、操作性などは確保されている。
〔解析手法(背景輻射、不純物の発光、ノイズ等の評価及び補正方法)〕 プラズマの発光には、検査物質以外にも制動輻射に起因する連続光や材料に含まれる物質からの輻射が含まれる。また検出器の暗電流によるノイズ等も計測精度に影響を与える。検査物質の発光を検出し高精度の分析を行うために、これら背景輻射、不純物の発光、バックグラウンドノイズを評価し補正を行うことが重要となる。これら背景輻射、不純物の発光、ノイズ等の評価及び補正については、例えば、演算部1009内の記憶部1082に蓄積されたデータセットのうち、スペクトルの主要な特徴が制動輻射、背景輻射、不純物の発光、ノイズ等に起因するものであるものを選び、それらについて解析を行えばよい。その解析の結果に基づき、他の解析部の参照情報1090や、対応表1083に補正を加えることも有効である。
前述した小型プラズマプローブ装置で生成したプラズマを市販の詳細分光器を用いて計測するようにしてもよい。マイクロ波の電力及びパルス幅を調整しプラズマの状態を変化させ、そのときのスペクトルの変化を計測してもよい。N2やOHのバンドスペクトルからプラズマのガス温度、金属原子の発光から電子温度を評価し、プラズマの状態と検査物質の発光の関係を明らかにしてもよい。検査物質の発光線の近傍に母材料の発光線が存在する場合には、その影響を調べる。以上より高分波長解能を必要としない検査手法を確立することができる。
〔分光光学系の小型化〕 システムの操作簡素化、低コスト化のため、分光光学系を小型化、簡素化することが好ましい。プラズマの発光を計測するために、市販の詳細分光器を用いると、その制御、計測結果の評価などには熟練が必要であり、装置も高価である。そこで、検査装置に必要な最小限度の機能のみを有した安価で簡便な分光光学系を用いることが好ましい。
すなわち、光学フィルタとフォトダイオード検出器による光学系を構成することができる。なお、市販の安価な簡易分光器の組み込みを行ってもよい。
〔光学フィルタとフォトダイオード検出器による光学系の構成〕 前述した検査手法に基いて、検査物質の発光線の波長に合った光学フィルタを選定し、RoHS指令物質検査用のフィルタセットとした。検出器としてフォトダイオードを利用することで、光学系の小型化を図った。また、フィルタセットは交換可能とし、RoHS指令以外の規制にも対応可能な設計としている。
〔データベース化〕 計測の定量性を高めるために検量線の作成及びデータベース化することが好ましい。プラズマ分光計測は、多元素同時計測が可能であり定性分析に優れている。一方、原理的に定量性に欠けるという問題がある。このため、標準物質を用いた検量線を作成する。また、RoHS指令は全ての家電製品が対象であるため、検査が必要な製品は非常に多岐にわたる。さまざまな物質を計測しデータベース化し、それと計測結果を比較することで、定量性を高めることができる。検量線自体の評価については、多変量解析、主成分分析等の統計額的手法により評価を行うことができる。この評価は、予めソフトウェアとして実装しておいてもよい。
〔有害物質のしきい値および分析法〕
Figure 0005352895
また、光の集光以降の処理及び動作については、放電を契機に形成されるプラズマ以外のプラズマに対しても適用できる。例えば、火炎、レーザ誘起ブレイクダウン、加熱による熱電子の放出、衝撃波等を契機に形成されるプラズマに対し、本実施形態に係る分光分析及び解析の処理を適用してもよい。
なお、今回開示した実施形態は単なる例示であって、本発明の範囲が前述の各実施形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、明細書及び図面の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明に係る物質分析装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明に係る物質分析装置の第1の投入エネルギ源の構成を示すブロック図である。 本発明に係る物質分析装置の第2の投入エネルギ源の構成を示すブロック図である。 本発明に係る物質分析装置のプラズマ形成部の構成を示す斜視図である。 本発明に係る物質分析装置のキャップの断面及び集光部の概略構成を示す断面図である。 本発明に係る物質分析装置の演算部の機能的構成を示すブロック図である。
1000 物質分析装置 1001 第1の投入エネルギ源 1002 第2の投入エネルギ源 1003 プラズマ形成部 1005 集光部 1006 分光部 1007 検知部 1008 信号処理部 1009 演算部 1010 制御部

Claims (4)

  1. 高電圧放電により生成したマイクロプラズマを電磁波エネルギでアシストし、被測定物の少なくとも一部を励起またはプラズマ化させる電磁波併用プラズマ生成手段と、 分光分析手段と を備え、 前記電磁波併用プラズマ生成手段における放電のための電極及び電磁波エネルギ供給のためのアンテナと、前記分光分析手段における集光のための光学系とは一体化され被測定物に接近配置され、 前記電極のうち陰極及びアンテナは、前記電極のうち陽極を構成する筒状のキャップに接合されるボディのキャップとの接合端から突出し、 前記キャップの貫通孔は、一端側開口が前記ボディとの接合部、他端側開口が内側から外側に向けて窄められた噴出孔を形成し、さらに、側面には外部から被測定物を導入する導入孔が形成されるとともに、前記集光のための光学系の集光部が配設され、 前記電磁波併用プラズマ生成手段によりプラズマを生成し、前記導入孔から導入する被測定物の少なくとも一部を励起またはプラズマ化させ、前記分光分析手段による励起光または発光の分光分析により、特定の物質を検出する
    ことを特徴とする物質分析装置。
  2. 前記電磁波エネルギは、マグネトロンで発生させる ことを特徴とする請求項1記載の物質分析装置。
  3. 前記分光分析手段は、 複数の観測領域からの光をそれぞれ集光する複数の集光手段と、 前記集光手段からの光を受けるように前記集光手段にそれぞれ接続された複数の分光手段と、 前記分光手段の各々により波長分散された光を波長成分ごとに検知する検知手段と、 前記検知手段による検知結果に対する解析処理を行うための演算手段とを備え、 前記演算手段は、検知手段による検知結果を時分割し、各観測領域における各時刻の検知結果に対し解析処理を行う ことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の物質分析装置。
  4. さらに、各観測領域において生起する現象とその現象が生起する時間帯との関係を表す対応表を予め準備し、 前記演算手段は、前記検知結果を時分割により生成される各観測領域及び各時刻の検知結果を、前記現象ごとに分別して解析処理を行う ことを特徴とする請求項3記載の物質分析装置。
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