JP5352541B2 - 作業機械のボス構造 - Google Patents
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Description
しかし、解析によると、目違いを有するブーム裏側の応力分布は、段差部(目違い部)の部分では応力が急峻に変化しており、従来の構造では、溶接部が十分に応力の低い場所に設定されているわけではなく、敏感に応力が変わりやすい位置にあることがわかった。
また、特許文献1のものでは、ブームの表側の応力については考慮されていないが、前記段差部の表側の応力は高くなるため、溶接部の表側から亀裂が発生する危険もあった。
更に、前記ボス部の段差部を予め機械加工やグラインダーなどにより滑らかに成形する応力緩和処理を施した状態で前記板材に溶接することが好ましい。
まず、作業機械(油圧ショベル)の全体構成を図1により説明する。
上記の課題を解決するための本発明の具体的実施例を以下説明する。
(1)ボス部10のつば部10aに、構造物の表側が凹、裏側が凸になるように段差部15を設ける。
(2)段差部15の表側段差変曲開始部15bより裏側段差変曲開始部15cの方を溶接部(溶接ビード)14に近くなるように形成する。
(3)つば部10aの先端側板厚を、接合する板材9の板厚tと略同じにし、前記段差部15ではその板厚を前記溶接部の板厚よりも小さくする。
(4)前記ボス部10の段差部15は予め機械加工やグラインダーなどにより滑らかに成形する応力緩和処理を施した状態で前記板材9に溶接されるようにする。
これにより溶接部を含め段差部全体での亀裂の発生を防止することができる。
図に示すように、つば部10aが形成された左右のブームセンターボス(ボス部)10はパイプ12により結合されており、左右のブームセンターボス10の前記つば部10aがブーム3の構造物の板材9に溶接により接合されている。この接合部では作用する荷重が滑らかに伝わるように、前記板材9の厚さtと、ブームセンターボス10のつば部10aの厚さをほぼ同一にしている。ブームセンターボス10と板材9の溶接部には内面(裏面)に裏当材11を設けて溶接金属の溶け落ち(吹き抜け)を防止した上で前記構造物の外側から溶接が行なわれる。裏当材11は溶接金属が溶け込むため、剥がれることなく裏面に張り付いている。このため、ブームセンターボス10と裏当材11、及び板材9と裏当材11のそれぞれの間には図6に示すような不溶着部13が形成されている。ブームセンターボス10のつば部10aは表側が凹、裏側が凸になるように段差部15が形成されている。
このため前記段差部15では表側の応力が高く、裏側(内側)の応力は低くなり、図7に示したように、裏面の不溶着部先端13aの応力が低くなる。このため応力の低い内面側からは亀裂が発生し難くなる。
従って、本実施例によれば、ボス部10と板材9の接合部における裏側(内側)及び表側(外側)共に亀裂の発生を防止でき、接合部の強度を向上できる。
つば部17aが形成された左右のブームフートボス(ボス部)17はパイプ12により結合されており、左右のブームフートボス17の前記つば部17aがブーム3を構成する板材9に溶接により接合されている。この接合部では作用する荷重が滑らかに伝わるように、前記板材9の厚さtと、ブームフートボス17のつばの厚さをほぼ同一にしている。
ブームフートボス17の穴の部分にはピン(図示せず)が挿入され、上部旋回体の旋回体フレームに設けたブラケット(図示せず)に結合されることで、ブーム3(図1参照)は上部旋回体2に俯仰自在に取り付けられる。上部旋回体2からの力は前記ピンを介してブームフートボス17に伝わり、ブームフートボス17からブーム3を構成する板材9に伝わる。
このため前記段差部15では表側の応力が高く、裏側(内側)の応力は低くなり、図7に示したように、裏面の不溶着部先端13aの応力が低くなる。このため応力の低い内面側からは亀裂が発生し難くなる。
従って、この例でも、ブームフートボスと板材の接合部における裏側及び表側共に亀裂の発生を防止でき、接合部の強度を向上できる。
また、本実施例では、代表的な作業機械である油圧ショベルに適用した場合について説明したが、ブームなどをピンによって取り付ける構造を有する、クレーン等その他各種の作業機械に適用することも同様に可能である。
2…上部旋回体
3…ブーム
4…アーム
5…バケット
6…ブームシリンダ
7…アームシリンダ
8…バケットシリンダ
9…板材
10…ブームセンターボス(ボス部)(10a…ブームセンターボスのつば部)
11…裏当材
12…パイプ
13…不溶着部(13a…不溶着部先端)
14…溶接部(溶接ビード)(14a…溶接ビード止端部)
15…段差部(15a…表側凹部、15b…表側段差変曲開始部、15c…裏側段差変曲開始部)
17…ブームフートボス(ボス部)(17a…ブームフートボスのつば部)
20…作業装置。
Claims (5)
- 板材により矩形断面を有するように構成されると共に、前記板材にはボス部が溶接部により接合されている作業装置を備えた作業機械のボス構造において、
前記ボス部は前記板材につば部を介して溶接されるものであって、
前記つば部には表側が凹で、裏側が凸になるように段差部が形成され、この段差部よりも前記板材側に離れた位置に前記溶接部が設けられ、且つ前記溶接部の裏側には、溶接金属の溶け落ちを防止するための裏当材が設けられ、前記ボス部と裏当材、及び前記板材と裏当材のそれぞれの間には不溶着部が形成されている
ことを特徴とする作業機械のボス構造。 - 請求項1に記載の作業機械のボス構造において、前記板材の板厚をtとしたとき、前記段差部の裏側の板材側端部から1t〜2t離れた位置に、前記溶接部の不溶着部先端が位置するように前記溶接部が設けられていることを特徴とする作業機械のボス構造。
- 請求項1または2に記載の作業機械のボス構造において、溶接される前記つば部の先端側板厚を、接合される前記板材の板厚と略同じにし、且つ前記段差部の板厚を前記溶接部における板厚よりも小さくしたことを特徴とする作業機械のボス構造。
- 請求項1〜3の何れかに記載の作業機械のボス構造において、前記段差部の表側段差変曲開始部よりも裏側段差変曲開始部の方を、前記溶接部に近くなるように形成されていることを特徴とする作業機械のボス構造。
- 請求項1〜4の何れかに記載の作業機械のボス構造において、前記ボス部の段差部を予め滑らかに成形する応力緩和処理を施した状態で前記板材に溶接されることを特徴とする作業機械のボス構造。
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