以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す説明図である。本実施形態に係る通信システム10は、相互に通信可能に接続された複数の基地局装置110、120を備えている。複数の基地局装置110、120は互いに協調し、各基地局装置110、120の無線通信エリアが重複したエリアに存在する通信端末200に、送信タイミングを合わせた無線通信により、送信データであるパケットを同期送信することができる。この同期送信により、通信端末200によるパケット通信時におけるスループットの向上、通信品質の向上および通信帯域の有効利用を実現できる。
なお、本実施形態では、互いに協調してパケットを同期送信する複数の基地局装置が2つである場合について説明するが、当該複数の基地局装置は3つ以上であってもよい。また、本実施形態では、複数の基地局装置から同期送信された複数のパケットを1台の通信端末で受信する場合について説明するが、当該同期送信された複数のパケットを受信する通信端末は複数台であってもよい。
通信システム10は、複数の基地局装置110、120に送信データであるパケットを分配するパケット分配元のノードである送信データ分配装置としてのパケット分配装置130を含んでもよい。パケット分配装置130は、パケット通信網141を介して外部のネットワークと通信することができる。パケット分配装置130と複数の基地局装置110、120とは、パケット通信網140を介して接続されている。通信システム10は、パケット通信網140を含んでもよい。また、通信システム10は、複数の基地局装置110、120から同期送信される複数のパケットを受信可能な通信端末200を含んでもよい。
通信端末200は、携帯電話機等の移動体通信端末である移動局であってもよく、基地局装置110、120及びパケット通信網140等で構築されるネットワークは、移動体通信ネットワークのセルラーネットワークであってもよい。パケット通信網141は、移動体通信ネットワークのコアネットワークであってもよい。基地局装置110、120の無線通信エリアはそれぞれ、互いに大きさが異なるマクロセル、マイクロセル、フェムトセル、ピコセル等の各種セルのいずれかであってもよい。
図2は、本実施形態に係る通信システム10によるパケットの同期送信の手順の一例を示す説明図である。通信端末200と無線通信可能な複数の基地局装置110、120のうちいずれか一つは、複数の基地局装置110、120からパケットを同期送信する協調通信動作を制御する協調通信制御手段の機能を備える第1基地局装置(本実施形態では、基地局装置110が該当し、以下、必要に応じて「アンカー基地局装置」という。)である。アンカー基地局装置以外の他の基地局装置は、アンカー基地局装置によって協調動作させるように制御される被協調基地局装置としての第2基地局装置(本実施形態では、基地局装置120が該当し、以下、必要に応じて「スレーブ基地局装置」という。)である。アンカー基地局装置110は、例えば、通信端末200と通信可能な複数の基地局装置のうち通信端末200との無線通信において受信電界強度が最も大きく無線通信品質が最も高いものが選択される。アンカー基地局装置110の選択は、通信端末200等から受信して取得した受信電界強度等の無線通信品質の情報に基づいて、通信端末200と通信可能な基地局装置が自律的にかつ動的に切り換わるようにしてもよい。
図2において、パケット分配装置130は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120の双方の無線通信エリアが重複しているエリア内に存在する通信端末200宛のパケット900を受信した場合、パケット900のヘッダ情報が書き換えられたパケット901をアンカー基地局装置110に送信する。また、パケット900をカプセル化し、パケット901に変換するようにしてもよい。
アンカー基地局装置110は、そのアンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間を定期的に測定している。アンカー基地局装置110は、アンカー基地局装置110、120の双方の無線通信エリアが重複しているエリア内に存在する通信端末200宛のパケット901を受信した場合、測定した伝送遅延時間に基づいて設定された送信タイミングを示す情報が付加されたパケット902を生成する。そして、アンカー基地局装置110は、送信タイミングの情報が付加されたパケット902をスレーブ基地局装置120に送信する。アンカー基地局装置110は、上記所定の送信タイミングになったときに、通信端末200に対してパケットを送信するのと同時に、スレーブ基地局装置120から通信端末200に対してパケットを送信させる。
アンカー基地局装置110は、同期送信対象のパケットのデータとともに、パケットの同期送信を管理するための管理テーブルを有してもよい。管理テーブルは、後述のように、アンカー基地局装置110内のパケット送受信部、送信タイミング付加部、同期I/F部又は再送制御部に設けてよい。
管理テーブルは、例えば表1に示すように、同期送信対象の複数のパケットについて、パケットを識別可能なパケットIDと、当該パケットを送信する基地局装置を識別可能な基地局IDと、当該パケットを同期送信する送信タイミングを示す送信タイミング情報(送信時刻、タイムスロット番号、送信フレーム番号等)と、ステータス情報とを互いに関連付けた管理レコードを記録したものである。
管理テーブルのステータス情報は、各基地局装置からのパケット送信処理の現在の状況を示す情報である。ステータス情報としては、例えば、「処理中」、「成功」、「失敗」等のパケット送信処理の現在の状況を示すデータが記録される。ステータス情報としては、「処理中」、「成功」、「失敗」等にそれぞれ対応した識別記号を記録するようにしてもよい。
管理テーブルは、パケット分配装置130から同期送信対象の新たなパケットを受信したとき、同期送信対象のパケットに対する応答(ACK、NACK)がスレーブ基地局装置120から受信したとき等に更新してよい。例えば、同期送信対象のパケットをスレーブ基地局装置120に送信したとき、管理テーブルにおける当該パケットのステータス情報を「処理中」にする。そして、当該パケットに対する受信成功応答(ACK)をスレーブ基地局装置120から受信したときは、当該パケットのステータス情報を「成功」に変更する。一方、当該パケットに対する受信失敗応答(NACK)をスレーブ基地局装置120から受信したときは、当該パケットのステータス情報を「失敗」に変更する。また、受信成功応答(ACK)をスレーブ基地局装置120から受信したとき、管理テーブルにおける当該パケットの管理レコード自体を削除するように更新してもよい。また、予め設定した所定更新タイミングが到来したとき、ステータス情報が「成功」になっているパケットの管理レコードをすべて削除するように更新してもよい。また、パケットの送信タイミングが新たに算出され変更になった場合は、管理テーブルにおける当該パケットの送信タイミング情報のデータが更新してもよい。
スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110と同様に、パケットの同期送信を管理するための管理テーブルを有してもよい。スレーブ基地局装置120の管理テーブルは、スレーブ基地局装置120から送信するパケットの管理レコードのみを記録したものでよく、パケットを送信する基地局装置を識別可能な基地局IDを記録しなくてもよい。スレーブ基地局装置120の管理テーブルは、アンカー基地局装置110によって設定された、連続した複数の送信タイミング情報だけを記録したものでもよい。この場合、スレーブ基地局装置120は、管理テーブルに基づき、次に到来する送信タイミングに合わせて、アンカー基地局装置110から受信したパケットを通信端末200に同期送信する。また、スレーブ基地局装置120の管理テーブルは、後述のように、スレーブ基地局装置120内のパケット受信部、送信タイミング判断部又は同期I/F部に設けてよい。
アンカー基地局装置110は、パケット902を生成する場合、例えば、スレーブ基地局装置120に送信すべきパケットをカプセル化して、送信タイミングを書き込む領域を作成する。アンカー基地局装置110は、例えば、IP−in−IPカプセル化により、送信タイミングを書き込む領域を作成してよい。また他の例においては、アンカー基地局装置110は、パケットのカプセル化を行わず、スレーブ基地局装置120に送信すべきパケットの空きフィールドに送信タイミングを書き込んでもよい。アンカー基地局装置110は、絶対時刻を送信タイミングとして書き込んでもよく、スレーブ基地局装置120の同期I/F部のタイムスロット番号(送信フレーム番号)を、送信タイミングを示す情報として書き込んでもよい。
アンカー基地局装置110は、そのアンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間を、現在時刻に加算した時刻を送信タイミングとして決定してもよい。また、アンカー基地局装置110は、現在時刻に伝送遅延時間を加算した時刻に、さらにスレーブ基地局装置120のパケット処理速度等を考慮して定められたマージンを加算した時刻を、送信タイミングとして決定してもよい。
図3は、アンカー基地局装置110の機能構成の一例を示すブロック図である。アンカー基地局装置110は、非同期I/F部300、パケット送受信部301、送信可否判断部302、送信方法決定部303、符号化データ生成部304、外部クロック受信部305、内部クロック生成部306、同期I/F部307、無線通信部308、送信タイミング制御部310および再送制御部320を備える。送信タイミング制御部310は、送信タイミング付加部311、伝送遅延時間測定部312、および送信タイミング算出部313を有する。
非同期I/F部300は、パケット通信網140を介して、パケット分配装置130とパケット通信(非同期通信)する。パケット送受信部301は、通信端末200宛のパケットを、非同期I/F部300を介してパケット分配装置130から受信する。また、パケット送受信部301は、通信端末200宛のパケットを、非同期I/F部300に供給するとともに、無線通信部308を介してスレーブ基地局装置120に送信する。
送信可否判断部302は、スレーブ基地局装置120が通信端末200にパケットを送信できるか否かを判断する。即ち、送信可否判断部302は、スレーブ基地局装置120の無線通信エリア内に、通信端末200が存在するか否かを判断する。送信可否判断部302は、スレーブ基地局装置120と通信端末200との間の電波強度を示す情報を、スレーブ基地局装置120から取得し、スレーブ基地局装置120から通信端末200にパケットを送信できるか否かを判断してもよい。また、送信可否判断部302は、通信端末200の現在位置を示す情報を取得し、スレーブ基地局装置120から通信端末200にパケットを送信できるか否かを判断してよい。
なお、本実施形態においては、送信可否判断部302がアンカー基地局装置110の内部に設けられているが、他の例においては、送信可否判断部302がアンカー基地局装置110の外部に設けられてもよい。例えば、アンカー基地局装置110とは別のシステムとして、パケット通信網140に接続され、通信端末の位置管理システムと連携して、通信端末200と通信可能な基地局装置を特定してもよい。
送信方法決定部303は、送信可否判断部302の判断結果に基づいて、パケット分配装置130から受信した通信端末200宛のパケットを、アンカー基地局装置110の無線通信部308からだけでなく、スレーブ基地局装置120の無線通信部からも送信させるかを決定する。送信方法決定部303は、スレーブ基地局装置120が通信端末200にパケットを送信できない場合、通信端末200宛のパケットを、アンカー基地局装置110だけから送信させることを決定する。送信方法決定部303は、スレーブ基地局装置120が通信端末200にパケットを送信できる場合、通信端末200宛のパケットを、各基地局装置110、120から送信させることを決定する。
また、送信方法決定部303は、アンカー基地局装置110、120から通信端末200に同一のパケットを送信させるか異なるパケットを送信させるかを決定してよい。送信方法決定部303は、アンカー基地局装置110から通信端末200への受信電波強度が予め定められた値より小さい場合に、各基地局装置110、120から通信端末200に同一のパケットを送信させることを決定してよい。通信端末200は、例えばOFDM技術を利用して、アンカー基地局装置110から送信されたパケットの無線信号と、スレーブ基地局装置120から送信されたパケットの無線信号とを重ね合わせることで、アンカー基地局装置110だけから受信する場合より高い受信強度で無線信号を受信できる。また、送信方法決定部303は、アンカー基地局装置110から通信端末200への通信帯域が予め定められた値より狭い場合に、各基地局装置110、120から通信端末200に異なるパケットを送信させることを決定してよい。通信端末200は、例えばMIMO技術を利用して、アンカー基地局装置110から送信された符号化パケットと、スレーブ基地局装置120から送信された符号化パケットとを復号化することで、アンカー基地局装置110だけから受信する場合より広い通信帯域でパケットを受信できる。
符号化データ生成部304は、送信方法決定部303が各基地局装置110、120から通信端末200に異なるパケットを送信させることを決定した場合、パケット送受信部301がパケット通信網140を介して受信したパケットから、アンカー基地局装置110から通信端末200に送信させるパケットと、スレーブ基地局装置120から通信端末200に送信させるパケットとを生成する。符号化データ生成部304は、例えばMIMO技術を利用して、パケット送受信部301が受信したパケットを符号化して、アンカー基地局装置110から通信端末200に送信させる符号化パケットと、スレーブ基地局装置120から通信端末200に送信させる符号化パケットとを生成してよい。
外部クロック受信部305は、スレーブ基地局装置120が参照する外部クロック信号を受信して内部クロック生成部306に供給する。外部クロック受信部305は、アンテナであってよく、GPS信号またはJJY信号を受信して内部クロック生成部306に供給してよい。また、外部クロック受信部305は、非同期I/F部300を介して、パケット通信網140、141に接続されたNTPサーバから時刻信号を受信して内部クロック生成部306に供給してよい。
内部クロック生成部306は、内部クロック信号を生成する。内部クロック生成部306は、外部クロック受信部305から供給された外部クロック信号で、内部クロック信号の位相を調整する。内部クロック生成部306は、外部クロック受信部305から供給されたGPS信号、JJY信号、または時刻信号で、内部クロック信号の位相を調整してよい。内部クロック生成部306によって生成された内部クロック信号は、本実施形態に係るパケットの同期送信制御のためだけでなく、無線通信部308がパケットを送受信する場合におけるデータ送受信のスケジューリング、データ符号化処理等のためにも参照されてよい。
同期I/F部307は、通信端末200と無線通信(同期通信)する。無線通信部308は、通信端末200に無線信号を送信したり通信端末200から無線信号を送信したりする。
送信タイミング制御部310は、無線通信によりパケットを送信するアンカー基地局装置110の無線通信部308およびスレーブ基地局装置120の無線通信部から、同時に通信端末200へパケットを同期送信させるべく、パケット通信網140を介して受信したパケットに送信タイミングを示す情報が付加されたパケットを、スレーブ基地局装置120に提供する。送信タイミング制御部310は、アンカー基地局装置110の無線通信部308から送信されるパケットの無線信号と、スレーブ基地局装置120の無線通信部から送信されるパケットの無線信号とを重ね合わせて、通信端末200が有する1つの無線受信部に受信させるべく、アンカー基地局装置110の無線通信部308およびスレーブ基地局装置120の無線通信部に同一のパケットを提供してもよい。また、送信タイミング制御部310は、アンカー基地局装置110の無線通信部308から送信されるパケットの無線信号と、スレーブ基地局装置120の無線通信部から送信されるパケットの無線信号とを、通信端末200が有する複数の無線受信部で同時に受信させるべく、アンカー基地局装置110の無線通信部308およびスレーブ基地局装置120の無線通信部に異なるパケットを提供してもよい。
送信タイミング付加部311は、送信方法決定部303が各基地局装置110、120から通信端末200に同一のパケットを送信させることを決定した場合、送信タイミング算出部313が算出した送信タイミングを、パケット送受信部301が受信した通信端末200宛のパケットに付加する。そして、パケット送受信部301は、送信タイミングが付加されたパケットを、スレーブ基地局装置120に送信する。
送信タイミング付加部311は、送信方法決定部303が各基地局装置110、120から通信端末200に異なるパケットを送信させることを決定した場合、符号化データ生成部304が生成した複数の符号化パケットのうち、スレーブ基地局装置120から通信端末200に送信すべき符号化パケットに、送信タイミング算出部313が算出した送信タイミングを付加する。そして、パケット送受信部301は、アンカー基地局装置110から通信端末200に送信すべき符号化パケットを、同期I/F部307に供給するとともに、送信タイミングが付加された符号化パケットを、スレーブ基地局装置120に送信する。
送信タイミング付加部311は、送信タイミング算出部313が算出した送信タイミングを示す情報およびパケットヘッダを付加することによって、パケット送受信部301がパケット通信網140を介して受信したパケットをカプセル化する。送信タイミング付加部311は、スレーブ基地局装置120に送信すべきパケットをカプセル化して、送信タイミングを書き込む領域を作成する。送信タイミング付加部311は、例えば、IP−in−IPカプセル化により、送信タイミングを書き込む領域を作成してよい。送信タイミング付加部311は、絶対時刻を送信タイミングとして書き込んでもよく、スレーブ基地局装置120の同期I/F部のタイムスロット番号を送信タイミングとして書き込んでもよい。
伝送遅延時間測定部312は、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間を定期的に測定する。伝送遅延時間測定部312は、アンカー基地局装置110の送信時刻がタイムスタンプされた遅延時間測定用パケットを、非同期I/F部300を介してスレーブ基地局装置120に送信してよい。そして、伝送遅延時間測定部312は、スレーブ基地局装置120による遅延時間測定用パケットの受信時刻または送信時刻がタイムスタンプされた遅延時間測定用パケットを、非同期I/F部300を介してスレーブ基地局装置120から受信してよい。伝送遅延時間測定部312は、アンカー基地局装置110の送信時刻と、スレーブ基地局装置120の受信時刻または送信時刻とから、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間を測定してよい。
送信タイミング算出部313は、送信方法決定部303がスレーブ基地局装置120からもパケットを送信させることを決定した場合に、アンカー基地局装置110の無線通信部308およびスレーブ基地局装置120から通信端末200に対してパケットを送信するタイミングを示す送信タイミングを算出する。送信タイミング算出部313は、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間に基づいて、スレーブ基地局装置120がパケットを送信可能な送信タイミングを算出する。送信タイミング算出部313は、外部クロック受信部305が受信した外部クロック信号を参照して内部クロック生成部306が調整した内部クロック信号を参照して、送信タイミングを算出する。
送信タイミング算出部313は、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間を現在時刻に加算することによって、送信タイミングを算出してもよい。また、送信タイミング算出部313は、伝送遅延時間およびスレーブ基地局装置120のパケット処理速度等を考慮して定められたマージンを、現在時刻に加算することによって、送信タイミングとして決定してもよい。送信タイミング算出部313は、算出した送信タイミングを送信タイミング付加部311および同期I/F部307に供給する。同期I/F部307は、送信タイミング算出部313から供給された送信タイミングを指定して無線通信部308にパケットを供給する。無線通信部308は、同期I/F部307に指定された送信タイミングに、通信端末200にパケットの無線信号を送信する。
送信タイミング算出部313は、送信方法決定部303がアンカー基地局装置110だけから通信端末200にパケットを送信させることを決定した場合、送信タイミングを算出しない。そして、パケット送受信部301は、パケット通信網140を介して受信したパケットをそのまま同期I/F部307を介して無線通信部308に供給する。
送信タイミング算出部313は、パケット送受信部301が受信したパケットに送信タイミングが付加されているか否かを判断する。送信タイミング算出部313は、パケット送受信部301が受信したパケットをデカプセル化することによって、パケットの特定の領域に書き込まれた送信タイミングを抽出する。送信タイミング算出部313は、送信タイミングとして絶対時刻を抽出してもよく、同期I/F部307のタイムスロット番号を抽出してもよい。
送信タイミング算出部313は、パケットに送信タイミングが付加されている場合、付加されている送信タイミングに、当該パケットを送信するよう同期I/F部307に指示する。送信タイミング算出部313は、パケットに送信タイミングが付加されていない場合、他のパケットに付加されている送信タイミングと異なる送信タイミングに、当該パケットを送信するよう同期I/F部307に指示する。同期I/F部307は、送信タイミング算出部313の指示に従って、送信タイミングを指定して無線通信部308にパケットを供給する。無線通信部308は、同期I/F部307に指定された送信タイミングに、通信端末200にパケットを送信する。
再送制御部320は、各基地局装置110、120から同期送信された複数のパケットのいずれかが通信端末200で受信されなかった場合の再送制御手段として機能する。例えば、再送制御部320は、同期送信対象の送信データに対するスレーブ基地局装置120からの応答(ACK、NACK)を受信し、その応答に基づいて、パケットの同期送信を成功したか失敗したかを判断する。再送制御部320は、スレーブ基地局装置120からの応答(ACK、NACK)に基づき、パケットの同期送信を失敗したと判断した場合、通信端末200へ当該パケットを同期送信する再送制御を行う。この再送制御は、未送信のパケットを新たに設定した送信タイミングで同期送信するように行ってもよい。
再送制御部320は、各基地局装置110、120から通信端末200にパケットを同期送信した後、そのパケットが通信端末200で受信されたか否かを示す受信結果情報を通信端末200から受信して取得してもよい。再送制御部320は、各基地局装置110、120から通信端末200にパケットを同期送信した後、各基地局装置110、120から同期送信された複数のパケットすべてについて通信端末200で受信されたか否かを示す受信結果情報を通信端末200から受信して取得してもよい。再送制御部320は、前記パケットの同期送信に対する応答(ACK、NACK)を通信端末200から受信し、スレーブ基地局装置120からの応答と通信端末からの応答とに基づいて、パケットの同期送信を成功したか失敗したかを判断してもよい。
通信端末200は、複数の基地局装置110、120から複数のパケットの同期送信があったとき、そのパケットが正常に受信されたか否かを示す受信結果情報としての応答を、各基地局装置110、120に送信してもよい。通信端末200は、複数の基地局装置110、120から複数のパケットの同期送信があったとき、それら複数のパケットすべてについて正常に受信されたか否かを示す受信結果情報を、少なくともアンカー基地局装置110に送信してもよい。通信端末200は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120の双方に対して受信結果情報を送信してもよい。この受信結果情報は、同期送信されたパケットが通信端末200で受信できたか否かを識別可能な受信成功応答(ACK)又は受信失敗応答(NACK)であってもよい。どのパケットが正常に受信できたか否かを判定できるように、受信結果情報は、これらの応答(ACK、NACK)と、その応答に対応するパケットを識別可能な情報(例えば、パケットID、又は、基地局ID)とが関連付けられたものであってもよい。
再送制御部320は、スレーブ基地局装置120から受信した応答や通信端末200から受信して取得した受信結果情報に基づいて、複数の基地局装置110、120から送信された複数のパケットのいずれかが通信端末200で受信できなかったと判断した場合、未受信データである未受信パケットを通信端末200に再送するように制御してもよい。
再送制御部320は、未受信パケットをアンカー基地局装置110から通信端末200に再送し、その再送にタイミングを合わせて、スレーブ基地局装置120から新規パケットを同期送信するように制御してもよい。この場合、再送制御部320は、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間に基づいて、スレーブ基地局装置120がパケットを送信可能な送信タイミングを算出し、その送信タイミングに未受信パケットを送信するよう同期I/F部307に指示する。同期I/F部307は、送信タイミング算出部313の指示に従って、送信タイミングを指定して無線通信部308に未受信パケットを供給する。無線通信部308は、同期I/F部307に指定された送信タイミングに、通信端末200に対して未受信パケットを送信する。一方、送信タイミング付加部311は、送信タイミング算出部313で算出された送信タイミングを示す情報を、通信端末200宛の新規パケットに付加する。そして、パケット送受信部301は、送信タイミングの情報が付加された新規パケットを、非同期I/F部300を介してスレーブ基地局装置120に送信する。スレーブ基地局装置120は、新規パケットに付加されている送信タイミングに、通信端末200に対して新規パケットを送信する。
再送制御部320は、スレーブ基地局装置120から受信した応答や通信端末200から受信して取得した受信結果情報に基づいて、複数の基地局装置110、120から送信された複数のパケットのいずれかが通信端末200で受信できなかったと判断した場合、通信端末200で受信されなかった未受信パケットの再送に使用する基地局装置を決定し、決定された基地局装置から通信端末200に未受信パケットを再送するように制御してもよい。この場合、再送制御部320は、複数の基地局装置110、120それぞれと通信端末200との間の通信経路の品質を示す通信経路品質情報を取得する情報取得手段の機能を有するとともに、取得した通信経路品質情報に基づいて、通信経路品質が最もよい通紙経路で未受信パケットを再送するよう、未受信パケットの再送に使用する基地局装置を決定してもよい。前記通信経路品質情報は、各基地局装置110、120から送信された無線信号が通信端末200で受信されたときに測定される受信無線信号の電界強度のレベル、SN比、干渉比等であってもよい。この電界強度のレベル等の通信経路品質情報は、予め設定された所定周期のタイミングで通信端末200から受信して取得してもよい。
再送制御部320は、スレーブ基地局装置120から受信失敗応答(NACK)を受信する前に同期送信対象のパケットの送信タイミングになったとき、その同期送信対象のパケットを通信端末200に送信するように制御してもよい。
図3の機能ブロック図において、アンカー基地局装置110におけるパケットの同期送信を管理するための上述の管理テーブルは、パケット送受信部301、送信タイミング付加部311、同期I/F部307又は再送制御部320に設けてよい。
図4は、本実施形態に係るスレーブ基地局装置120の機能構成の一例を示すブロック図である。スレーブ基地局装置120は、非同期I/F部400、パケット受信部401、送信タイミング判断部402、外部クロック受信部403、内部クロック生成部404、同期I/F部405、および無線通信部406を備える。
非同期I/F部400は、パケット通信網140を介して、アンカー基地局装置110とパケット通信(非同期通信)する。無線通信部406は、通信端末200と無線通信(非同期通信)する。
外部クロック受信部403は、スレーブ基地局装置120が参照する外部クロック信号を受信して内部クロック生成部404に供給する。外部クロック受信部403は、アンテナであってよく、GPS信号またはJJY信号を受信して内部クロック生成部404に供給してよい。また、外部クロック受信部403は、非同期I/F部400を介して、パケット通信網140、140に接続されたNTPサーバから時刻信号を受信して内部クロック生成部404に供給してよい。
内部クロック生成部404は、内部クロック信号を生成する。内部クロック生成部404は、外部クロック受信部403から供給された外部クロック信号で、内部クロック信号の位相を調整する。内部クロック生成部404は、外部クロック受信部403から供給されたGPS信号、JJY信号、または時刻信号で、内部クロック信号の位相を調整してよい。内部クロック生成部404によって生成された内部クロック信号は、本実施形態に係る同期送信制御のためだけでなく、無線通信部406がパケットを送受信する場合におけるデータ送受信のスケジューリング、データ符号化処理等のためにも参照されてよい。
パケット受信部401は、通信端末200宛のパケットを、非同期I/F部400を介してアンカー基地局装置110から受信する。送信タイミング判断部402は、パケット受信部401が受信したパケットに送信タイミングが付加されているか否かを判断する。送信タイミング判断部402は、例えばパケット受信部401が受信したパケットをデカプセル化することによって、パケットの特定の領域に書き込まれた送信タイミングを抽出する。送信タイミング判断部402は、送信タイミングとして絶対時刻を抽出してもよく、同期I/F部405のタイムスロット番号(送信フレーム番号)を抽出してもよい。
送信タイミング判断部402は、アンカー基地局装置110から受信したパケットに送信タイミングが付加されている場合、付加されている送信タイミングに、当該パケットを送信するよう同期I/F部405に指示する。送信タイミング判断部402は、パケットに送信タイミングが付加されていない場合、他のパケットに付加されている送信タイミングと異なる送信タイミングに、当該パケットを送信するよう同期I/F部405に指示する。
送信タイミング判断部402は、送信タイミングが未来の時刻であるパケットをアンカー基地局装置110から受信したとき、アンカー1基地局装置110に受信成功応答(ACK)を送信するように非同期I/F部400に指示する。また、送信タイミング判断部402は、送信タイミングが過去の時刻であるパケットをアンカー基地局装置110から受信したとき又はアンカー基地局装置110からのパケットの受信に失敗したとき、アンカー1基地局装置110に受信失敗応答(NACK)を送信するように非同期I/F部400に指示する。アンカー1基地局装置110に送信する受信失敗応答(NACK)には、パケットの受信失敗の理由を含めてもよい。
送信タイミング判断部402は、アンカー基地局装置110に受信失敗応答(NACK)を送信する場合、同期送信対象のパケットを通信端末200に送信しないように制御してもよい。また、送信タイミング判断部402は、アンカー基地局装置110に受信失敗応答(NACK)を送信する場合、同期送信対象のパケットとは異なる同期送信失敗通知データ(ダミーパケット)を通信端末200に送信するように、同期I/F部405に指示してもよい。
同期I/F部405は、送信タイミング判断部402の指示に従って、送信タイミングを指定して無線通信部406にパケットを供給する。無線通信部406は、同期I/F部405に指定された送信タイミングに、通信端末200にパケットの無線信号を送信する。
図4の機能ブロック図において、スレーブ基地局装置120におけるパケットの同期送信を管理するための上述の管理テーブルは、パケット受信部401、送信タイミング判断部402又は同期I/F部405に設けてよい。
上記構成の通信システムによれば、複数の基地局装置110、120が互いに協調し、パケット通信網140のような非同期網を介して受信したパケットを、指定された送信タイミングに合わせて通信端末200に同期送信できる。
上記構成の通信システムに用いる基地局装置110、120は、単一のコンピュータ装置、又は複数のコンピュータ装置を連携させもので構成することができる。基地局装置110、120のハードウェア構成はそれぞれ、次のような構成を有するものであってもよい。例えば、基地局装置110、120はそれぞれ、ホスト・コントローラにより相互に接続されるCPU、RAM、グラフィック・コントローラ、および表示装置を有するCPU周辺部を備える。また、基地局装置110、120はそれぞれ、入出力コントローラによりホスト・コントローラに接続される通信インターフェイス、ハードディスクドライブ、およびCD−ROMドライブを有する入出力部を備える。さらに、基地局装置110、120はそれぞれ、入出力コントローラに接続されるROM、フレキシブルディスク・ドライブ、および入出力チップを有するレガシー入出力部を備える。ホスト・コントローラは、RAMと、高転送レートでRAMをアクセスするCPUおよびグラフィック・コントローラとを接続する。CPUは、ROMおよびRAMに格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。ハードディスクドライブは、基地局装置110、120内のCPUが使用するプログラムおよびデータを格納する。CD−ROMドライブは、CD−ROMからプログラムまたはデータを読み取り、RAMを介してハードディスクドライブに提供する。ROMは、基地局装置110、120が起動時に実行するブート・プログラム、基地局装置110、120のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブは、フレキシブルディスクからプログラムまたはデータを読み取り、RAMを介してハードディスクドライブに提供する。RAMを介してハードディスクドライブに提供されるパケットの同期送信及び再送のプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。パケットの同期送信及び再送のプログラムは、記録媒体から読み出され、RAMを介してハードディスクドライブにインストールされ、CPUにおいて実行される。基地局装置110、120にインストールされて実行されるパケットの同期送信及び再送のプログラムは、CPU等に働きかけて、基地局装置110、120を、図1から図4にかけて説明した各部として機能させる。
次に、図5〜11を用いて、上記構成の通信システムにおいてアンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120が協調して同一の複数パケットを同期送信する協調同期送信の通信制御について説明する。なお、図中のかっこで示した数字は制御ステップの順番を便宜的に示したものである(以下のシーケンス図でも同様)。
図5は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が成功した場合の通信制御例を示すシーケンス図である。図5において、アンカー基地局装置110とスレーブ基地局装置120との間、及び双方の基地局装置110、120と通信端末200との間には、パケットの送受信のためのリンクが確立されている。アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットAを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T1)を付加したパケットAをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。スレーブ基地局装置120は、送信時刻T1になる前にアンカー基地局装置110からのパケットAを受信すると、受信成功応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ2)。パケットAの同期送信の送信時刻T1が到来すると、アンカー基地局装置110はパケットAを通信端末200に送信し、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から受信したパケットAを通信端末200に送信する(ステップ3)。以上により、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一の複数パケットAの協調同期送信が成功する。通信端末200は、各基地局装置110、120から送信されたパケットAの受信に成功すると、パケットAの肯定的な受信結果情報としての受信成功応答(ACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信成功応答(ACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、通信端末200からの受信成功応答(ACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信成功応答(ACK)のいずれかを受信すると、パケットAの協調同期送信が成功したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。
なお、パケットA以降の同期送信対象の送信データであるパケットB,C,・・・については、パケット分配装置130からの受信や、送信タイミングのタイムスタンプを付加したパケットのスレーブ基地局装置への転送が、例えば、上記パケットAの協調同期送信処理シーケンスの途中に連続的に処理される。
図6は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の通信制御例を示すシーケンス図である。図6において、アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットAを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻T1を付加したパケットAをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。ここで、何らの原因によりパケットAの転送に遅れが生じ、スレーブ基地局装置120がパケットAを受信したとき、そのパケットAに付加されている送信時刻T1が既に過ぎている(送信時刻T1が過去の時刻である)場合がある。この場合、スレーブ基地局装置120は、パケットAを通信端末200に送信しない。一方、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したとき、パケットAを単独で通信端末200に送信する(ステップ2)。
次に、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から受信したパケットAを通信端末200に同期送信できないので、受信失敗応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ3)。この受信失敗応答には、失敗理由の情報を含めることができる。本例の場合の失敗理由は、パケットAを受信したとき、そのパケットAに付加されている送信時刻T1が既に過ぎている(送信時刻T1が過去の時刻である)ため、パケットAを同期送信できないことを示す情報である。
通信端末200は、基地局装置110、120の双方からのパケットAの受信に失敗しているため、パケットAの否定的な受信結果情報としての受信失敗応答(NACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信失敗応答(NACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの失敗理由を含む受信失敗応答、通信端末200からの受信失敗応答(NACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信失敗応答(NACK)の両方を受信すると、パケットAの送信が失敗したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。
なお、通信端末200がアンカー基地局装置110からパケットAの受信に成功し、ACK(パケットA)をアンカー基地局装置110へ応答することもありうる。この場合、アンカー基地局装置110はパケットAの送信が成功したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。パケットAの協調同期再送処理が不要である。
アンカー基地局装置110は、パケットAの協調同期送信が失敗したと判断すると、直ちに、次に示すようにパケットAの再送制御を開始する。まず、アンカー基地局装置110は、次の同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T2)をパケットAに付加し、そのパケットAをスレーブ基地局装置120に再度転送する(ステップ6)。なお、この再送制御を開始する際に同期送信パラメータを調整してもよい。例えば、上記ステップ1でスレーブ基地局装置120がアンカー基地局装置110からのパケットAの受信に失敗していることにより、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間が長くなっていると考えられる。この点を考慮し、次の同期送信の送信タイミングを示す送信時刻T2を遅めに設定するように調整してもよい。
スレーブ基地局装置120は、送信時刻T2になる前にアンカー基地局装置110からのパケットAを受信すると、受信成功応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ7)。次の同期送信の送信時刻T2が到来すると、アンカー基地局装置110はパケットAを通信端末200に送信し、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から再送されたパケットAを通信端末200に送信する(ステップ8)。以上により、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120によるパケットA、Aの協調同期送信が成功する。通信端末200は、各基地局装置110、120から送信されたパケットAの受信に成功すると、受信成功応答(ACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ9)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信成功応答(ACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ10)。アンカー基地局装置110は、通信端末200からの受信成功応答(ACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信成功応答(ACK)のいずれかを受信すると、パケットAの協調同期送信が成功したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。
なお、図6の例において、パケットA以降の同期送信対象の送信データであるパケットB,C,・・・については、パケット分配装置130からの受信や、送信タイミングのタイムスタンプを付加したパケットのスレーブ基地局装置への転送が、例えば、上記パケットA,Aの協調同期送信処理シーケンス及びその再送制御の途中に連続的に処理される。
図7は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の他の通信制御例を示すシーケンス図である。図7において、スレーブ基地局装置120は、パケットAの受信前に、アンカー基地局装置110等から送信時刻T1の情報を前もって取得している。送信時刻T1が到来したとき、スレーブ基地局装置120は、パケットAを受信していないので、そのパケットAとは異なる同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信している(ステップ2)。この場合、スレーブ基地局装置120が所定のパケットAを同期送信できなかったこと、すなわち協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができる。通信端末200は、スレーブ基地局装置120からダミーパケットを受信することにより、スレーブ基地局装置120がパケットAの受信に失敗したことを検出することができ、処理負荷の軽減や受信失敗応答(NACK)の素早い応答につながる。なお、ダミーパケットには、同期送信を失敗した失敗理由の情報を含めてもよい。図7の他の制御については、図6と同様であるので、説明を省略する。
図8は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図8において、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したときまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信していない場合、スレーブ基地局装置120と同様に、パケットAを通信端末200に送信しないように制御している。これにより、アンカー基地局装置110はすやかにパケットAの再送制御が始まることができ、パケットAの伝送遅延時間の短縮につながる。図8の他の制御については、図6と同様であるので、説明を省略する。
なお、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したときまでにスレーブ基地局装置120からパケットAに対する受信成功応答を受信していない場合、パケットAではなく、同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信するように制御してもよい。
また、図6〜8の例において、アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの受信失敗応答を用いず、送信時刻T1が到来するまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかった場合に、パケットの再送制御を開始してもよい。
図9は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図9において、アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットAを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T1)を付加したパケットAをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。ここで、何らの原因により、スレーブ基地局装置120がパケットAの受信に失敗し、タイムアウトになる場合がある。この場合、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110からのパケットAの受信に失敗しているので、パケットAの受信失敗応答をアンカー基地局装置110に送信し(ステップ2)、パケットAを通信端末200に送信しない。この受信失敗応答には、失敗理由の情報を含めることができる。本例の場合の失敗理由は、パケットAの受信に失敗したことを示す情報である。一方、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したとき、パケットAを単独で通信端末200に送信する(ステップ3)。
通信端末200は、基地局装置110、120の双方からのパケットAの受信に失敗しているため、パケットAの否定的な受信結果情報としての受信失敗応答(NACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信失敗応答(NACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの失敗理由を含む受信失敗応答、通信端末200からの受信失敗応答(NACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信失敗応答(NACK)のいずれかを受信すると、パケットAの協調同期送信が失敗したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。
アンカー基地局装置110は、パケットAの協調同期送信が失敗したと判断すると、直ちに、次に示すようにパケットAの再送制御を開始する。この再送制御(ステップ6〜10)は、図6の場合と同様であるので、説明を省略する。
図10は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の他の通信制御例を示すシーケンス図である。図10において、スレーブ基地局装置120は、パケットAの受信前に、アンカー基地局装置110等から送信時刻T1の情報を前もって取得している。送信時刻T1が到来したとき、スレーブ基地局装置120は、パケットAの受信に失敗しているので、パケットAとは異なる同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信している(ステップ3)。この場合、スレーブ基地局装置120が所定のパケットAの受信に失敗したこと、すなわち協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができる。通信端末200は、スレーブ基地局装置120からダミーパケットを受信することにより、スレーブ基地局装置120がパケットAの受信に失敗したことを検出することができ、処理負荷の軽減や受信失敗応答(NACK)の素早い応答につながる。なお、ダミーパケットには、同期送信を失敗した失敗理由の情報を含めてもよい。図10の他の制御については、図9と同様であるので、説明を省略する。
図11は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による同一パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図11において、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来する前にスレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信した場合(ステップ2)、スレーブ基地局装置120と同様に、パケットAを通信端末200に送信しないように制御している。図11の他の制御については、図9と同様であるので、説明を省略する。
なお、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来する前にスレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信した場合、パケットAではなく、同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信するように制御してもよい。
また、図9〜11の例において、アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの受信失敗応答を用いず、送信時刻T1が到来するまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかった場合に、パケットの再送制御を開始してもよい。
次に、図12〜18を用いて、上記構成の通信システムにおいてアンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120が協調して互いに異なる複数パケットを同期送信する協調同期送信の通信制御について説明する。
図12は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が成功した場合の通信制御例を示すシーケンス図である。図12において、アンカー基地局装置110とスレーブ基地局装置120との間、及び双方の基地局装置110、120と通信端末200との間には、パケットの送受信のためのリンクが確立されている。アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットA、Bを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T1)を付加したパケットBをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。スレーブ基地局装置120は、送信時刻T1になる前にアンカー基地局装置110からのパケットBを受信すると、受信成功応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ2)。パケットA,Bの同期送信の送信時刻T1が到来すると、アンカー基地局装置110はパケットAを通信端末200に送信し、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から受信したパケットBを通信端末200に送信する(ステップ3)。以上により、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による複数パケットA、Bの協調同期送信が成功する。通信端末200は、各基地局装置110、120から送信されたパケットA,Bの受信に成功すると、パケットA,Bそれぞれの肯定的な受信結果情報としての受信成功応答(ACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信したパケットBに対する受信成功応答(ACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、通信端末200からの受信成功応答(ACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信成功応答(ACK)の両方を受信すると、パケットA,Bの協調同期送信が成功したと判断し、管理テーブルのステータス情報を個別に更新する。
なお、パケットA,B以降の同期送信対象の送信データであるパケットC,D、パケットE,F、・・・については、パケット分配装置130からの受信や、送信タイミングのタイムスタンプを付加したパケットのスレーブ基地局装置への転送が、例えば、上記パケットA,Bの協調同期送信処理シーケンスの途中に連続的に処理される。
図13は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の通信制御例を示すシーケンス図である。図13において、アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットA,Bを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻T1を付加したパケットBをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。ここで、何らの原因によりパケットBの転送に遅れが生じ、スレーブ基地局装置120がパケットBを受信したとき、そのパケットBに付加されている送信時刻T1が既に過ぎている(送信時刻T1が過去の時刻である)場合がある。この場合、スレーブ基地局装置120は、パケットBを通信端末200に送信しない。一方、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したとき、パケットAを単独で通信端末200に送信する(ステップ2)。
次に、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から受信したパケットBを通信端末200に同期送信できないので、受信失敗応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ3)。この受信失敗応答には、失敗理由の情報を含めることができる。本例の場合の失敗理由は、パケットBを受信したとき、そのパケットBに付加されている送信時刻T1が既に過ぎている(送信時刻T1が過去の時刻である)ため、パケットBを同期送信できないことを示す情報である。
通信端末200は、基地局装置110、120からのパケットA,Bの受信に失敗しているため、パケットA,Bの否定的な受信結果情報としての受信失敗応答(NACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信失敗応答(NACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの失敗理由を含む受信失敗応答、通信端末200からの受信失敗応答(NACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信失敗応答(NACK)のいずれかを受信すると、パケットA,Bの協調同期送信が失敗したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。なお、通信端末200はスレーブ基地局装置120からのパケットBの受信に失敗し、アンカー基地局装置110からのパケットAの受信に成功する場合もありうる。この場合、ACK(A)とNACK(B)をそれぞれに応答する。アンカー基地局装置110はパケットAの送信が成功したとパケットBの送信が失敗したと判断し、管理テーブルのステータス情報を個別に更新する。続いて、パケットBと次の送信候補となるパケットと協調同期送信を行い、パケットBの再送処理を行う。
アンカー基地局装置110は、パケットA,Bの協調同期送信が失敗したと判断すると、直ちに、次に示すようにパケットA,Bの再送制御を開始する。まず、アンカー基地局装置110は、次の同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T2)をパケットBに付加し、そのパケットBをスレーブ基地局装置120に再度転送する(ステップ6)。なお、この再送制御を開始する際に同期送信パラメータを調整してもよい。例えば、上記ステップ1でスレーブ基地局装置120がアンカー基地局装置110からのパケットBの受信に失敗していることにより、アンカー基地局装置110からスレーブ基地局装置120までの伝送遅延時間が長くなっていると考えられる。この点を考慮し、次の同期送信の送信タイミングを示す送信時刻T2を遅めに設定するように調整してもよい。
スレーブ基地局装置120は、送信時刻T2になる前にアンカー基地局装置110からのパケットBを受信すると、受信成功応答をアンカー基地局装置110に送信する(ステップ7)。次の同期送信の送信時刻T2が到来すると、アンカー基地局装置110はパケットAを通信端末200に送信し、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から再送されたパケットBを通信端末200に送信する(ステップ8)。以上により、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットA、Bの協調同期送信が成功する。通信端末200は、各基地局装置110、120から送信されたパケットA,Bの受信に成功すると、受信成功応答(ACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ9)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信成功応答(ACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ10)。アンカー基地局装置110は、通信端末200からの受信成功応答(ACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信成功応答(ACK)を受信すると、パケットA、Bの協調同期送信が成功したと判断し、管理テーブルのステータス情報を個別に更新する。
なお、図13の例において、パケットA,B以降の同期送信対象の送信データであるパケットC,D、パケットE,F、・・・については、パケット分配装置130からの受信や、送信タイミングのタイムスタンプを付加したパケットのスレーブ基地局装置への転送が、例えば、上記パケットA,Bの協調同期送信処理シーケンス及びその再送制御の途中に連続的に処理される。
図14は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の他の通信制御例を示すシーケンス図である。図14において、スレーブ基地局装置120は、パケットBの受信前に、アンカー基地局装置110等から送信時刻T1の情報を前もって取得している。送信時刻T1が到来したとき、スレーブ基地局装置120は、パケットBを受信していないので、そのパケットBとは異なる同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信している(ステップ2)。この場合、スレーブ基地局装置120が所定のパケットBを同期送信できなかったこと、すなわち協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができる。通信端末200は、スレーブ基地局装置120からダミーパケットを受信することにより、スレーブ基地局装置120がパケットBの受信に失敗したことを検出することができ、処理負荷の軽減や受信失敗応答(NACK)の素早い応答につながる。なお、ダミーパケットには、同期送信を失敗した失敗理由の情報を含めてもよい。図14の他の制御については、図13と同様であるので、説明を省略する。
図15は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図15において、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したときまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信していない場合、スレーブ基地局装置120と同様に、パケットAを通信端末200に送信しないように制御している。図15の他の制御については、図13と同様であるので、説明を省略する。
なお、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したときまでにスレーブ基地局装置120からパケットBに対する受信成功応答を受信していない場合、パケットAではなく同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信するように制御してもよい。
また、図13〜15の例において、アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの受信失敗応答を用いず、送信時刻T1が到来するまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかった場合に、パケットの再送制御を開始してもよい。
図16は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図16において、アンカー基地局装置110は、パケット分配装置130から同期送信対象のパケットA,Bを受信すると、同期送信の送信タイミングを示す送信時刻の情報としてタイムスタンプ(T1)を付加したパケットBをスレーブ基地局装置120に転送する(ステップ1)。ここで、何らの原因により、スレーブ基地局装置120がパケットBの受信に失敗し、タイムアウトになる場合がある。この場合、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110からのパケットBの受信に失敗しているので、パケットBの受信失敗応答をアンカー基地局装置110に送信し(ステップ2)、パケットBを通信端末200に送信しない。この受信失敗応答には、失敗理由の情報を含めることができる。本例の場合の失敗理由は、パケットBの受信に失敗したことを示す情報である。一方、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来したとき、パケットAを単独で通信端末200に送信する(ステップ3)。
通信端末200は、基地局装置110、120の双方からのパケットA,Bの受信に失敗しているため、パケットA,Bそれぞれの否定的な受信結果情報としての受信失敗応答(NACK)を各基地局装置110、120に送信する(ステップ4)。また、スレーブ基地局装置120は、通信端末200から受信した受信失敗応答(NACK)をアンカー基地局装置110に転送する(ステップ5)。アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの失敗理由を含む受信失敗応答、通信端末200からの受信失敗応答(NACK)及びスレーブ基地局装置120から転送されてきた受信失敗応答(NACK)のいずれかを受信すると、パケットA,Bの協調同期送信が失敗したと判断し、管理テーブルのステータス情報を更新する。
アンカー基地局装置110は、パケットA,Bの協調同期送信が失敗したと判断すると、直ちに、次に示すようにパケットA,Bの再送制御を開始する。この再送制御(ステップ6〜10)は、図13の場合と同様であるので、説明を省略する。
図17は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の他の通信制御例を示すシーケンス図である。図17において、スレーブ基地局装置120は、パケットBの受信前に、アンカー基地局装置110等から送信時刻T1の情報を前もって取得している。送信時刻T1が到来したとき、スレーブ基地局装置120は、パケットBの受信に失敗しているので、パケットBとは異なる同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信している(ステップ3)。この場合、スレーブ基地局装置120が所定のパケットBの受信に失敗したこと、すなわち協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができる。通信端末200は、スレーブ基地局装置120からダミーパケットを受信することにより、スレーブ基地局装置120がパケットBの受信に失敗したことを検出することができ、処理負荷の軽減や受信失敗応答(NACK)の素早い応答につながる。なお、ダミーパケットには、同期送信を失敗した失敗理由の情報を含めてもよい。図17の他の制御については、図16と同様であるので、説明を省略する。
図18は、アンカー基地局装置110及びスレーブ基地局装置120による互いに異なる複数パケットの協調同期送信が失敗した場合の更に他の通信制御例を示すシーケンス図である。図18において、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来する前にスレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信した場合(ステップ2)、スレーブ基地局装置120と同様に、パケットAを通信端末200に送信しないように制御している。図18の他の制御については、図16と同様であるので、説明を省略する。
なお、アンカー基地局装置110は、送信時刻T1が到来する前にスレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信した場合、パケットAではなく、同期送信失敗通知データとしてのダミーパケットを通信端末200に送信するように制御してもよい。
また、図16〜18の例において、アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120からの受信失敗応答を用いず、送信時刻T1が到来するまでにスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかった場合に、パケットの再送制御を開始してもよい。
また、図13、14、16及び17の例では、パケットA,Bの最初の協調同期送信の際に、アンカー基地局装置110から通信端末200へのパケットAの送信に成功している可能性がある。この場合、その後の再送制御の際には、パケットAの代わりに次の待機パケットX(例えば、パケットC)を未送信のパケットBと組み合わせて同期送信制御を行うようにしてもよい。
以上、本実施形態によれば、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110から受信した同期送信対象のパケットに付加された送信タイミングが過去の時刻である送信データを受信したとき又は当該パケットの受信に失敗したとき、アンカー基地局装置110に受信失敗応答を送信する。この受信失敗応答により、スレーブ基地局装置120は、同期送信する予定であったパケットを通信端末200に送信できない旨を、アンカー基地局装置110に知らせることができる。アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120から受信した受信失敗応答により、スレーブ基地局装置120から送信されなかったパケットを通信端末200に送信する再送制御を開始することができる。よって、スレーブ基地局装置120が同期送信対象のパケットの送信に失敗した場合でも、その同期送信対象の送信データを通信端末200に確実に送信することができる。
また、本実施形態によれば、スレーブ基地局装置120からアンカー基地局装置110に送信される受信失敗応答が、パケットの協調同期送信ができない理由を含むことにより、その理由をアンカー基地局装置110に通知し再送制御に用いることができる。
また、本実施形態によれば、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110に受信失敗応答を送信する場合、同期送信対象のパケットを通信端末200に送信しないことにより、協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができる。
また、本実施形態によれば、スレーブ基地局装置120は、アンカー基地局装置110に受信失敗応答を送信する場合、同期送信対象のパケットとは異なるダミーパケットを同期送信失敗通知データとして通信端末200に送信することにより、協調同期送信が失敗したことを通信端末200に通知することができるとともに、協調同期送信が失敗した原因等の情報をダミーパケットに含めて通信端末200に通知することができる。
また、本実施形態によれば、アンカー基地局装置110は、スレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信する前に同期送信の送信タイミングになったとき、同期送信対象のパケットを通信端末200に送信し、アンカー基地局装置110からの新たな同期送信対象のパケットとスレーブ基地局装置120からの未送信パケットとを新たに設定した送信タイミングで同期送信することにより、パケット送信のスループットの低下を抑制することができる。
なお、上記実施形態において、アンカー基地局装置110は、同期送信の送信タイミングになる前にスレーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信したとき又は当該送信タイミングになる前にスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかったとき、当該送信タイミングに対応する同期対象のパケットを送信しないで、アンカー基地局装置110からの未送信パケットとスリット基地局装置120からの未送信パケットとを新たに設定した送信タイミングで同期送信してもよい。この場合、通信端末200への処理負荷を軽減させ、再送制御によるパケットの受信を確実に実行することにつながる。
また、上記実施形態において、アンカー基地局装置110は、同期送信の送信タイミングになる前にスリーブ基地局装置120から受信失敗応答を受信したとき又は当該送信タイミングになる前にスレーブ基地局装置120から受信成功応答を受信しなかったとき、当該送信タイミングになったときダミーパケットを通信端末200に送信し、アンカー基地局装置110からの未送信パケットとスレーブ基地局装置120からの未送信パケットとを新たに設定した送信タイミングで同期送信してもよい。この場合、通信端末200への処理負荷を軽減させ、再送制御によるパケットの受信を確実に実行することにつながる。
また、上記実施形態では、各基地局装置110、120から同期送信される送信データがパケットである場合について説明したが、本発明は、パケット以外の形式の送信データを同期送信する場合にも同様に適用することができる。
また、上記実施形態では、アンカー基地局装置110とスレーブ基地局装置120による協調同期送信制御の場合について、説明したが、本発明は、同期送信制御機能を上位装置(例えばパケット分配装置130)に持たせる場合にも同様に適用することができる。